JP2008144347A - 填料内添紙およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製紙スラッジ等から回収した無機物を、再生填料として、内添させ、紙力低下を引き起こすことなく、しかも紙の不透明度、白色度が高く、摩耗性に優れ、安定した品質を有する填料内添紙を提供する。
【解決手段】填料内添紙を、填料として、有機物と白色無機粒子の混合物を酸素含有ガスの存在を制限した貧酸素条件下、温度1000℃以下で炭化処理52し、次いで炭化処理によって得た炭化物を温度450℃〜1000℃の範囲で酸化させるように制御した酸素含有ガスが存在する条件下で脱炭素して53得たメジアン径0.5〜5μmの再生填料を1〜30重量%含有し、かつカチオン化高分子を内添した55ものとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、廃棄物を原料とする再生填料を含む内添紙に関し、さらに詳しくは製紙スラッジ等の有機物と白色無機粒子を含む混合物から再生した白色度の高い填料を用いた内添紙に関するものである。
白色無機粒子は農薬の展着剤、増量剤、印刷インキの改質顔料、ゴム類の補強剤、プラスチック類(成形品、フィルム、繊維など)の充填材、改質剤、および製紙産業における内添用填料や塗工用顔料などとして利用されている。ここでは、白色無機粒子としてカオリン類や炭酸カルシウム等の使用量が最も多い製紙産業での利用形態を代表例として説明する。
一般に、紙の白色度、不透明度などの光学特性や平滑性等を改善するために、パルプを主成分とする紙料には内添用填料としての白色無機粒子を添加して抄紙が行われる。また、印刷適性の改善を主目的に、白色無機粒子と接着剤を主成分とする顔料塗工層を紙(原紙)の上に設けることが広く行われている。
このような内添用あるいは塗工用に使用される製紙用白色無機粒子としては、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、硫化亜鉛、二酸化チタン、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、硫酸バリウム、サチンホワイト、タルク、シリカ等の無機顔料(填料)を主体に、さらに必要に応じてプラスチックピグメントと称される有機顔料の1種あるいは2種以上が適宜混合され使用されている。
一方、古紙からパルプを再生する際には、求めるパルプ品質と古紙原料の品質に応じて、離解、叩解、ソーキング、洗浄、浮選処理、漂白等の工程を組み合わせて古紙を処理している。各工程では、最適な濃度に希釈もしくは脱水されるが、各工程で脱水された搾液は白水と呼ばれ、この中には古紙由来の微細な繊維やそれらに付着した印刷インキおよび上記の白色無機粒子が含まれている。
また、抄紙工程においても、紙料中のパルプなどの微細繊維分、澱粉や合成接着剤などの接着剤を主とする有機物および上記の白色無機粒子を主とする無機物の一部が抄紙ワイヤーを通過して白水中に流出している。しかし、これらの有機物と白色無機粒子の混合物を含む白水を、そのままパルプの希釈水として再使用すると、製造した紙の嵩や紙力などが劣ることがある。そのため、白水は、沈殿あるいは浮上などを利用した固形分分離装置により固形分と清澄水とに分離され、清澄水をパルプの希釈水として使用し、固形分は遠心分離機や脱水機で脱水処理した後、廃棄処分されている。さらに、古紙からパルプを再生する工程や抄紙工程で発生する白水などを廃水として放出する際には、一般に活性汚泥処理等の生物処理が施される。このような白水や工場廃水の排水処理によって分離、回収された固形分や廃水の最終生物処理によって発生する余剰スラッジを、一般に製紙スラッジ(以降単にスラッジと呼ぶ)という。
近年、古紙利用率が高まるにつれ、古紙の脱墨工程由来のスラッジが多くなっている。その中で、新聞古紙や上質古紙は、古紙中に含まれる無機物(無機填料)が少ないのでスラッジ発生量が比較的少なく、このため、かかる古紙の利用率は高い。一方、顔料塗工されたチラシや雑誌古紙は、古紙に含まれる無機物が多く、その結果スラッジ発生量が多くなり、これが、新聞古紙や上質古紙に比べて雑誌古紙の利用率が低いことの一因となっている。今後、古紙利用を一層促進するためには、雑誌古紙の利用率向上が必要となるが、反面その利用率が高まると、スラッジの発生量が増えるという新たな問題が発生する。
そこで、スラッジの大量発生に対処するため、廃水から分離、回収されたスラッジは、従来は脱水後そのまま埋め立て処分されることが多かったのに対し、最近は流動床炉やストーカ炉等の焼却炉でスラッジ中の有機物を燃焼させてエネルギーを回収すると同時に、スラッジの減容化が図られている。
スラッジを焼却炉で燃焼させることは、従来利用されずに廃棄されている繊維などの有機物をエネルギーとして有効に取り出して回収できる反面、スラッジには無機物が多く含まれるために、焼却後には多量の残渣(灰)が残るという問題がある。現在、焼却灰の一部はセメントに混合されたり土壌改良剤等にも使用されているが、大部分は産業廃棄物として埋め立て処分されている。このため、焼却によってエネルギーとして回収されている有機物だけでなく、焼却灰として残る無機物を製紙用白色無機粒子(内添用填料、塗工用顔料)として再利用することができれば、埋め立て処分に要する環境負荷が減るのみならず、現在利用率が低い雑誌古紙の利用率向上に結びつくと考えられる。
しかしながら、焼却灰には燃焼の状態によって白色度が低くなったり、あるいは無機物(焼却灰)の焼結が進み粒子径が不揃いで、かつ大粒子化して、そのままでは製紙用の填料や顔料として使用できないといった難点もある。このような状況の下、特許文献1や特許文献2には、スラッジを酸素存在下に一旦有機物を燃焼して残った灰を、さらに焼成炉へ再供給し、白色度を向上させる提案がなされている。
特開平10−029818号公報 特開平10−505055号公報
環境保全の必要性から産業廃棄物の低減は急務であり、また、資源の有効利用の観点から、廃棄物のリサイクルが要請されている。そこで、本発明者等は、紙製造工程から排出される有機物と無機物の混合物であるスラッジを高温で燃焼した焼却残査(焼却灰)を焼却炉から回収し、内添用填料として再利用することを試みた。
しかしながら、上記公報に記載された方法は、1段目の熱処理で燃焼した焼却残査(灰)を回収し、2段目の焼成炉で白色度を向上させるものであり、1段目が燃焼により処理する方法のため得られる灰の白色度が不均一であることから、2段目の焼成で均一焼成することが困難であることがわかった。この結果、内添紙の白色度を低下させてしまう欠点があることが判明した。
さらに、回収した填料を再利用しようとすると、もともと粒径の小さい填料は抄紙時に大部分が白水中に流出し、紙層中への保持が非常に悪いという課題のあることが判明した。また、このような粒径の小さい填料粒子は、繊維間に分布することによって繊維間の結合を阻害し、紙力を低下させてしまう欠点もある。さらに、高温で燃焼した焼却残査(焼却灰)を焼却炉から回収し、製紙用填料として紙中に内添すると、その填料は通常紙に含まれている填料そのものとは化学的にも、物性的にも異なった形態に変化していることがわかった。この結果、紙製造時や加工時におけるロール表面やカッター刃の摩耗が激しく、内添紙を製造する上で解決しなければならない課題を有することが判明した。
本発明の目的は、紙製造時に悪影響を及ぼすために従来では廃棄されていた無機物を、内添紙製造への悪影響を軽減しうる再生填料としてスラッジから回収し、内添紙の填料として有効に活用する方法を提案することにある。さらに詳しくは、かかる再生填料を内添した紙の紙力低下を引き起こすことなく、しかも紙の不透明度、白色度が高く、摩耗性に優れ、安定した品質を有する填料内添紙を提供することにある。
本発明の内添紙は、填料として、有機物と白色無機粒子の混合物を酸素含有ガスの存在を制限した貧酸素条件下、温度1000℃以下で炭化処理し、次いで炭化処理によって得た炭化物を温度450℃〜1000℃の範囲で酸化させるように制御した酸素含有ガスが存在する条件下で脱炭素して得たメジアン径0.5〜5μmの再生填料を1〜30重量%含有し、かつカチオン化高分子を内添したことを特徴とする。
かかる再生填料が、メジアン径0.5〜5μmとなるように粉砕処理されていると、紙製造時や加工時の摩耗がより改善され、しかも紙中への歩留りも改善されるため好ましい。また、カチオン化高分子として、カチオン化澱粉またはカチオン化グアーガムから選ばれる少なくとも1種を用いると、地合の低下を招くことなく、填料の歩留りをより改善することができるため好ましい。さらに、かかる再生填料をカチオン化高分子によって予め凝集させて内添すると、紙中への再生填料の歩留りがより一層改善されるため、添加量を削減でき、経済的に好ましく、そのうえ地合の低下も防止できるため、好ましい。
発明を実施するための形態
以下に、本発明の内添紙に用いるに好適な填料の、スラッジからの再生方法について説明する。
(原料)
図1に示すフローを用いて説明する。本発明では、再生填料の原料として、製紙スラッジ51を用いる。製紙スラッジは、古紙パルプ製造工程や抄紙工程において、脱水された白水と呼ばれる搾液中に含まれる有機物と白色無機粒子の混合物である。具体的には、(1)古紙処理工程での混入異物除去、脱墨処理や洗浄過程で発生したもの、(2)パルプ化工程での洗浄過程で発生したもの、および(3)抄紙時にワイヤーを通過して白水に流出した有機物と白色無機粒子を含む混合物を使用することができる。この実施形態では、古紙再生工程の脱墨工程よりも前段工程である離解工程の白水からスラッジを回収することにより、古紙再生工程における脱墨処理、漂白処理、洗浄処理の負荷が低減され、古紙処理コストの低減に加え、排水処理の負荷が低減できるため好ましい。
特に古紙処理工程では、古紙原料に由来した白色無機粒子が白水中に多量に流出するが、この白水を凝集処理して白色無機粒子を効率的に回収することができる。例えば、通常の古紙パルプの製造工程から得ることができ、離解処理であれば、従来公知の低濃度パルパー、高濃度パルパーのいずれからの搾水も利用できる。古紙の脱墨処理についても従来公知のいずれの方法でも使用でき、各工程の洗浄機からの搾水も使用できる。また、白色度の低い古紙原料から得られた白水の場合は、白水の浮選処理によって白水からインク粒子を除去しておく方が好ましい。
また、本発明では、再生填料の原料として、下水や工場廃水等から発生するスラッジを用いることもできる。下水や工場廃水には固形分が含まれているために、クラリファイヤーや凝集沈殿槽で沈降分離されてから放流されている。この際、廃棄物として廃水中に含まれる固形分がスラッジとして回収される。
スラッジとは別に、製紙材料として再利用が困難な低級な古紙やそれに付随するプラスチックを主としたRPF(Refused Paper & Plastic Fuel)を原料として使用することもできる。内添紙への使用に関する本発明においては、製紙材料に由来したスラッジが好ましい原料であることから、製紙材料に由来する製紙スラッジを使用した例について以下に記述する。この実施形態ではスラッジを熱処理することで、内添紙製造に適した再生填料を有機物と分離して回収することができる。
なお、スラッジ中の鉄分含有量(Fe)は、固形分比率で5.0重量%以下、好ましくは3.0質量%以下であることが好ましい。鉄を多量に含むスラッジは白色度が十分に高くならない問題が生じる。鉄分量を減らす方法としては、例えば、製紙工場廃水処理工程で固形分分離のために使用される凝集剤に鉄分を含まないものを使用することが好ましい。さらに、分級機に磁石等を設置し、スラッジ中に混入する針金やくぎなどの鉄片を除去したり、混入しない工夫をすることが可能である。この他にも必要に応じて異物や粗大焼結塊の除去を行うことが好ましい。これらの異物除去処理は炭化、脱炭素による白化、粉砕等の各処理工程間において、スラッジと除去対象物の形態に合わせて、効率的に除去できるように設置することが好ましいが、できるだけ前段の工程で除去しておくことがより好ましい。
スラッジを熱処理前に造粒することも可能である。この造粒処理により、微細粒子が一体化し、微細粒子の飛散を防止でき、熱処理後の収率を向上できる。また、大きさのバラツキが小さくなり、その熱処理効率が高まり、効率よく有機物が熱分解し、設備を小型化できる。含水状態のスラッジを転動造粒法や攪拌造粒法等により造粒することもできるが、乾燥したスラッジを圧縮成形する方法は、熱処理で熱エネルギーを節約することができ、好ましい。
乾式の造粒方法として、ブリケットマシンやローラコンパクター等の圧縮成形機を用いることが好ましい。これらの圧縮成形機は、加圧された2本のロール間にスラッジを、スクリューにより強制的に押し込み、ロールを回転させることで圧縮成形することができる。
(炭化処理工程)
炭化処理工程52ではスラッジの乾燥と熱分解による炭化を行う。本発明においては、スラッジに含まれる白色無機粒子が炭化処理工程と焼成工程を経て再生填料として回収されることにより、従来技術の焼却処理に比べて、無機粒子の熱変成を少なくすることができる。この結果、紙製造時や加工時におけるロール表面やカッター刃の摩耗を抑制した、紙製造上好ましい填料として回収することができる。ただし、得られる再生填料は微細な粒子から凝集した粒子を含むため、粉砕により整粒した後に、カチオン化高分子を用いて、紙中に内添することがより好ましい。
スラッジ中の固形分は、脱水機の能力で異なるため、5%〜60%である。そのため、炭化工程の前半で、含水スラッジを乾燥することが好ましい。スラッジを乾燥することで効率的に熱分解をすることができる。スラッジの乾燥と熱分解を区分せずに、炭化処理することも可能であるが、それぞれ別々の温度帯を設けることがより好ましい。すなわち、スラッジの炭化処理において、有機物の乾燥、熱分解温度が異なるため、2段階以上の加熱帯を設けることにより、効率的にスラッジを炭化することができる。
炭化工程前半において、装置の雰囲気温度が400℃以下でスラッジ中の水分を蒸発させ、後半の熱分解において、400℃〜1000℃、好ましくは450℃〜700℃の範囲で行うことで、紙製造に適した再生填料が得られやすくなる。
因みに、水分蒸発後の熱分解の際に炉内温度が400℃未満では、炭化時間が長くなり、1000℃を超えるような高温では白色無機粒子の溶融〜焼結が進み、焼却後の微粉砕化が困難となるだけでなく、粒子硬度が高くなったり、着色傾向が強くなるので好ましくない。炭化処理は、最終的に熱分解による可燃性ガスが発生しなくなるまで、行われることが好ましい。炭化処理時間としては、スラッジの形態、量、水分、有機物量、経済的効果、環境から考慮されるべきものであるが、30分から2時間程度が好ましい。
炭化工程において、酸素が存在すると、スラッジ中に含まれる揮発分の燃焼とともに有機物が燃焼する。この結果、有機物の燃焼によって燃焼被物の燃焼温度が炉内の雰囲気温度以上に上昇し、スラッジ中に含まれる顔料の望まざる熱変性が生じてしまう。そこで、炭化工程では、酸素含有ガス(空気)の流入を制限することにより、スラッジの発火による炉内雰囲気温度以上の温度上昇を防止することができる。スラッジを投入する際に、できるだけスラッジに酸素が同伴しないように、投入口は必要最低限の大きさにすることが好ましい。スラッジに同伴する酸素含有ガス(空気)が炉内に存在する場合もありえるが、スラッジから発生する水蒸気や揮発性成分(一酸化炭素、水素ガス)によって、速やかに置換することが好ましい。実質的に酸素が炉内に存在しない貧酸素状態であることがより好ましい。
スラッジの加熱方法として、電気的な加熱も可能であるが、灯油や重油の燃焼ガスによる加熱が経済的に好ましい。スラッジを、燃焼ガスにより直接加熱することも可能であるが、熱風に含まれる酸素(空気)とスラッジが接触し、スラッジが発火し、燃焼してしまうことから、スラッジと熱風が直接接触することがないように隔壁を設けることが好ましい。そのため、スラッジを炭化する設備としては、空気の流入が制限されされる密閉室を用いることが好ましい。すなわち、炭化装置は密閉式のスラッジの炭化室と炭化室を加熱する加熱室からなる2重構造の間接加熱炉であることがより好ましい。
炭化における加熱方法として、加熱室に燃焼ガスを送風することにより、スラッジを加熱し乾燥することができる。燃焼ガスは、既存の焼却設備から排出される燃焼ガスを使用することができる。焼却設備としては、火格子方式(ストーカ炉)、散布浮遊方式、材料攪拌方式、熱風燃焼方式等を例示することができる。もちろん、間接加熱室内にバーナーを設けることで、直接にスラッジの加熱室を加熱することも可能であるし、間接加熱炉の外部にバーナーを設置することで燃焼ガスを発生させることも可能である。
スラッジの乾燥後に、乾燥スラッジを加熱することで、スラッジ中の有機物が熱分解する。この際、一酸化炭素、メタン、エタン等の可燃性ガスが発生するが、炉内に酸素が実質的に含まれないため、有機物の燃焼を抑制することができる。可燃性ガスを熱風発生装置へ吸入し、スラッジの乾燥、炭化の熱源とすることができる。
(白化処理工程)
次に、脱炭素による白化処理工程53にて炭化物の脱炭素による白化を行う。脱炭素による白化処理工程において、炭化物に含まれる有機物由来の炭素を酸化させ脱炭素することにより白化させる、その後填料を回収する。既に前段の炭化工程において、発熱量の大きい可燃性ガスは揮発してなくなっているため、揮発分の燃焼による炉内温度以上の燃焼を抑制することができる。この結果、有機物の燃焼によりスラッジ中に含まれる白色無機粒子の望まざる熱変性を防止することができる。すなわち炭化工程後の脱炭素による白化処理工程では、炭化物が酸化するために必要な酸素(空気)を十分に供給することが可能となる。この状態を富酸素状態という。結局、前段の炭化工程と本脱炭素による白化処理工程とを組み合わせることによって最終的に白色無機粒子を好適な条件で白化することができる。
脱炭素による白化室が450℃〜1000℃の範囲になるように、加熱することで、効率的に白色度を向上させることができる。脱炭素による白化室内では、炉内の雰囲気温度を500℃以上にすることで、炭化物に含まれる有機物由来の炭素が酸化し、白色無機粒子を効率的に白化することができる。
450℃未満での脱炭素による白化では処理時間が長くなり、1000℃を超えるような高温では白色無機粒子の溶融・焼結が進み、脱炭素による白化後の微粉砕化が困難となる不都合がある他、着色傾向が強くなるので好ましくない。処理時間は、炭化物の形態、量、水分、炭素含有率、のみならず、経済的効果、環境から考慮されるべきものであるが、30分から2時間程度が好ましい。最終的に炭化物を脱炭素し、填料の白色度を70%以上、好ましくは80%以上とすることで、製紙用原料に適した再生填料を製造することができる。
脱炭素による白化処理工程において、急激な炭化物の加熱は白色無機粒子の溶融〜焼結が進み、炭素分子が白色無機粒子中に取り込まれ、白化が困難になるため、好ましくない。炉内を単一の温度帯に保つことも可能であるが、炭化物の急激な加熱を防止するために、2段階以上の温度帯で脱炭素による白化処理することがより好ましい。脱炭素による白化処理において、450℃〜600℃と600℃〜1000℃の2段階以上の加熱帯を経ることがより好ましい。2段階以上の熱処理における後段で、雰囲気温度以上に被処理物の温度が上がらないように前段で脱炭素することが好ましい。この際、被処理物の自体の温度を管理することがより好ましいが、被処理物の局所的な温度変化を測定することは困難である。そのため、白化室に温度センサを設置し、白化室の雰囲気温度が800℃以下になるように、酸素含有ガス(空気)を供給し、炭化物の自燃により炭化物自体の温度が急激に上昇することがないように管理することが好ましい。
スラッジ中の炭酸カルシウムの脱炭酸を防止することで、脱炭素後の再生填料中には、スラッジ由来の炭酸カルシウムが混在することになる。そのため、再生填料中の残炭素率は、脱炭素による白化処理後であっても、高い値となることがある。有機物由来の残炭素率は、原料スラッジ中に含まれるカルシウム量から推定した炭酸カルシウム含有率と白化処理後のX線回折により推定した炭酸カルシウム分解率から炭酸カルシウム残存率を試算した後、元素分析により得られる全炭素含有率から残存炭酸カルシウム由来の炭素分を差し引いた値により推定する。この有機物由来の残炭素率をできるだけ低くすることが好ましく、1重量%以下とすることで、紙製造に適した再生填料を回収することができる。
炭化および白化処理を経て、原料スラッジ中に含まれていた炭酸カルシウムは酸化カルシウムに熱分解する。炭酸カルシウムの分解率は、X線回折分析装置用いて両者のピーク強度比や白化処理後の消和反応の発熱量を測定することから推定することができる。50%を越えて炭酸カルシウムの分解が進むと、再生顔料をスラリー化した際に粘度が上昇するために移送が困難となったり、スケーリングの原因になる。水酸化カルシウムを含むスラリーに二酸化炭素や硫酸を加えて中和し、粘度を低下させることも可能であるが、炭酸カルシウムの分解が少ない方が、中和反応槽、酸、時間等の節約に繋がり好ましい。炭酸カルシウムの分解率は50%以下が好ましく、30%以下がより好ましい。本発明における炭化および白化工程の処理温度を800℃以下、より好ましくは700℃以下にすることで、炭酸カルシウムの分解率を50%以下、より好ましくは30%以下にすることができる。
炭化物の加熱方法として、燃焼ガスにより直接炭化物を加熱することも可能であるが、熱風に含まれる未燃炭素が白化した白色無機粒子に接触し、白色度が低下してしまうことから、スラッジと熱風が直接接触することがないように隔壁を設けることがより好ましい。すなわち、脱炭素による白化処理工程においても、炭化工程と同様に密閉式の炭化物の脱炭素による白化室と加熱室からなる2重構造の間接加熱炉であることがより好ましい。
加熱室の電気的な加熱も可能であるが、灯油や重油の燃焼ガスによる加熱が経済的に好ましい。前述のスラッジ由来の揮発ガスを回収し、燃焼して得られる熱風も使用することができる。この他にも焼却炉等の既存の焼却設備から排出される燃焼ガスも使用することが可能である。焼却設備としては、火格子方式(ストーカ炉)、散布浮遊方式、材料攪拌方式、熱風燃焼方式等を例示することができる。
この他にも、各製紙工場に排水処理装置の一部として設置されているロータリーキルンや既存の焼却炉(サイクロン炉や流動床焼却炉)を用いることができるが、長時間の脱炭素による白化処理が可能なロータリーキルンの使用がより好ましい。
また、炭化および脱炭素による白化処理の間に処理対象物温度を一旦400℃以下に冷却した後、その後の処理をすることで、炭化処理により熱分解した有機物由来の可燃性ガスを完全に炭化物から除去することができる。さらに、この間に炭化物に水および/または水蒸気を接触させて冷却することにより、炭化物の比表面積を増加させ、脱炭素による白化処理工程における酸素との反応効率が向上し、効率的に脱炭素による白化を行うことができる。
連続的に炭化、脱炭素による白化する場合には、熱処理室内にスクリューや攪拌羽を設置することで、スラッジや炭化物を強制的に移送することができる。スクリューにより強制的に押し込むことで、攪拌が促進され、熱処理効率を向上させるができる。逆に多角形状の炭化室を回転させることでスラッジや炭化物を移送することもできる。
本発明で用いる再生填料を製造する際に使用できる熱処理装置の一例について、図2を参照しつつ、詳しく説明する。図2は本発明の炭化工程及び脱炭素による白化処理工程を行う熱処理装置の一例の概略系統図である。炭化工程は第1間接加熱炉1および第2間接加熱炉6により行う。脱炭素による白化処理工程は第3間接加熱炉10で行う。第1間接加熱炉1は、炭化工程の乾燥帯であり、第1間接加熱炉のスラッジ投入口2からスラッジが投入され、スラッジ乾燥室3で乾燥される。スラッジ乾燥室を加熱するための熱風取り入れ口4a及び熱風、水蒸気、乾留ガス排出口5aが備えられている。なお、図示を省略したが、排出口5a近傍には、スラッジから発生する水蒸気等を同排出口に排出するために、微少開口部をスラッジ乾燥室3の後半部分に設けている。
第2間接加熱炉6は、炭化工程の熱分解帯である。第2間接加熱炉のスラッジ熱分解、炭化室7の一方に乾燥したスラッジを炭化する加熱室を加熱するための熱風取り入れ口4b、他方に熱風、水蒸気、乾留ガス排出口5bが備えられている。なお、図示を省略したが、排出口5b近傍には、スラッジから発生する乾留ガス等を同排出口に排出するために、微少開口部をスラッジ熱分解、炭化室7の後半部分に設けている。炭化が終了すると、炭化物は炭化物排出口8から排出される。
炭化物排出口8から排出された炭化物は、炭化物流送路9を経由して第3間接加熱炉10に移送され、脱炭素による白化処理をする。第3加熱炉の炭化物投入口11から炭化物が投入され、炭化物を酸化させるための空気の取り入れ口12、炭化物の脱炭素による白化室13、脱炭素による白化室を加熱するための熱風取り入れ口4c、熱風、水蒸気排出口5cが備えられている。脱炭素による白化処理された再生填料は、再生填料回収口14から排出される。
図2において、炭化工程について説明する。炭化装置は2段階の間接加熱帯を設けている。これは、炭化工程におけるスラッジの乾燥、熱分解温度が異なるためである。第1間接加熱炉1でスラッジの乾燥を行う。スラッジの乾燥室3の雰囲気温度が400℃以下でスラッジ中の水分を蒸発させることができる。
熱風取り入れ口4aから送風することにより、間接的にスラッジを加熱し乾燥することができる。スラッジから発生する水蒸気と熱風は排出口5aから排出される。各熱風取り入れ口4a、4b、4c、排出口5a、5b、5cは図示を省略した熱風発生装置にそれぞれ接続されており、熱風発生装置から供給される熱風は、温度、供給量および排出量を調節することができる。この他にも焼却炉等の既存の焼却設備から排出される燃焼ガスも使用することが可能である。
スラッジの乾燥後に、第2間接加熱炉6により、乾燥スラッジを熱分解、炭化する。乾燥スラッジの炭化室7で、乾燥スラッジの有機物が熱分解する。この際、一酸化炭素、メタン、エタン等の可燃性ガスが発生するが、炉内に酸素が実質的に含まれないため、有機物の燃焼を抑制することができる。炭化室後半に設けた微細開口部から吸引される可燃性ガスは熱風、水蒸気、乾留ガス排出口5bから熱風とともに排出する。図示を省略した熱風発生装置によりそれらのガスも燃焼し、スラッジの乾燥、炭化の熱源とすることができる。
炭化室7の温度を400℃〜1000℃、好ましくは450℃〜700℃とすることで、スラッジ中の白色無機粒子の望まざる熱変性が生じない温度以下で、有機物の熱分解を促進することができる。これらの温度は熱風発生装置により発生する熱風の温度、供給量および排出量により調節することができる。
連続的に炭化、脱炭素による白化を行う場合には、熱処理室内にスクリューや攪拌羽を設置することで、スラッジを強制的に移送することができる。スラッジの投入口は炭化室に空気が同伴しないように必要最低限の開口としている。スクリューにより強制的に押し込むことで、同伴空気量を制限することができる。また、スクリューによりスラッジの攪拌が促進されるため、熱効率を向上させるができる。
炭化時間は、熱分解による可燃性ガス発生量をガス検知装置を用いて測定することで、調節することができる。この際、スクリューの回転速度を調節することでスラッジの滞留時間を調節することができる。図2では、炭化工程を2段階で行った例であるが、1段階で処理することも可能である。2軸式のスクリューを用いることで、炭化物を解砕しつつ、炭化させることも可能である。有機物由来の炭素と炭酸カルシウム由来の炭素を区別することは難しいが、結果的に有機物由来の炭素を固定炭素化し、炭酸カルシウム由来の炭素は炭酸カルシウムのまま保持し、炭化処理することが好ましい。
図2において脱炭素による白化処理工程を説明する。炭化物流送路9により移送された炭化物は、第3間接加熱炉10に設けられた投入口11から投入される。この際、炭化物の酸化に要する空気を空気の取り入れ口12から取り入れることができる。取り入れ口には流量調節器を設置し、炭化物の酸化を制御することができる。脱炭素による白化室13の加熱は、焼却炉等の既存の焼却設備から排出される燃焼ガスにより行うことができる。なお、好ましい温度範囲で炭化物が自燃するように酸素含有ガス(空気)や熱風(燃焼ガス)の供給量を調節することが好ましい。特に、原料となるスラッジが未知であったり、変動が大きい場合には、白化装置にはより敏感な温度センサを多数設置することで、炭化物の温度変化をより詳細に観察することが好ましい。
脱炭素による白化室13が450℃〜1000℃の範囲になるように、加熱することで、効率的に白色度を向上させることができる。この際、炭化物が急激に加熱されないように、熱風の温度、供給量および排出量、空気流量により調節することが好ましい。これにより、450℃〜600℃と600℃〜1000℃の2段階以上の加熱帯を設けることが好ましい。脱炭素による白化処理された再生顔料は再生顔料回収口14から排出される。再生顔料中の有機物由来の残炭素率をできるだけ低くすることが好ましく、有機物由来の残炭素率を1%以下とすることで、紙製造に適した再生填料を回収することが好ましい。最終的に炭化物を脱炭素し、填料の白色度を70%以上、好ましくは80%以上とすることで、製紙用原料に適した再生填料を製造することができる。
図3は、図2の脱炭素による白化処理工程に用いた第3間接加熱炉の代わりに内燃式ロータリーキルンを、さらに炭化物流送路9の代わりに貯蔵器16を設置した一例である。図3を参照しつつ、詳しく説明する。炭化工程は図2で示した例と同じであるため、説明を省略する。
内燃式ロータリーキルン15にて脱炭素による白化処理をする例である。炭化物貯蔵器16にて炭化物が一度貯蔵され、内燃式ロータリーキルンの炭化物投入口17から投入される。脱炭素による白化処理室18、バーナー19、白色無機粒子回収口20が備えられている。
炭化工程により得られた炭化物は、脱炭素による白化処理工程に直接流送せずに、貯蔵器16で貯蔵する。ここで、炭化物を一旦冷却し、可燃性ガスを完全に揮発させることが好ましい。さらには、炭化物の比表面積を増加させるために、水を噴霧することも可能である。ポンプで加圧した水を噴霧ノズルを用いて噴霧することにより均一に噴霧処理することができる。水と加圧空気を同時に噴射する二流体ノズルを用いれば、水粒子の大きさが100μm以下に調節することができ、より均一な噴霧処理が可能となる。
次に、脱炭素による白化処理工程に、ロータリーキルンを用いた工程を説明する。内燃式ロータリーキルン15の炭化物投口17から投入された炭化物は、白色無機粒子回収口20の付近に設置されたバーナー19により直接加熱される。炉内の温度が450℃〜1000℃の範囲になるように、加熱することで、効率的に白色度を向上させることができる。この際、炭化物が急激に加熱されないように、バーナー19に供給する燃料を調節することで、炉内温度を調節することが好ましい。なお、図示を省略したが、内燃式ロータリーキルン15から排出される燃焼ガスは、排ガス処理装置を用いて、処理することが好ましい。
図3では炭化物貯蔵器16を用いたが、炭化処理工程の間接加熱炉と脱炭素による白化処理工程のロータリーキルン間を炭化物流送路9により直接につなぐことも可能である。また、図2において、炭化物流送路9の代わりに炭化物貯蔵器16を使用することも可能である。
図3で用いた内燃式ロータリーキルン以外にも、各製紙工場に排水処理装置の一部として設置されている既存の焼却炉(サイクロン炉や流動床焼却炉)を用いることができる。間接加熱式のロータリーキルンを用いることもでき、熱風は焼却炉等の既存の焼却設備から排出される燃焼ガスを使用することが可能である。特に、図示を省略したが炭化、脱炭素による白化処理装置には断熱材を用いて、周囲を被覆し装置を保温することが好ましい。また、装置の材質は、処理温度や経済性を考慮してセラミックや合金類を選択することができる。
(スラリー化・粉砕処理工程)
次に、図1のスラリー化・粉砕処理工程54について説明する。本発明においては、製紙スラッジから回収された再生填料をそのまま使用することもできるが、再生填料中には非常に微細な粒子から粗大粒子まで含まれており、紙中への歩留りが劣ったり、あるいは抄紙ワイヤーを摩耗する虞があるため、予め整粒することが好ましい。以下に説明する乾式粉砕や湿式粉砕処理によって、紙製造用に適した粒径に調節することができる。なお、本発明においては、目的とする内添紙の種類あるいは再生填料の使用方法により最適粒子径は異なるが、メジアン径として0.5〜5μmが好ましい粒子径である。一方、填料の粒子径が小さいほど、パルプと混合後の抄紙工程での填料の歩留まりが低下する。そのため、填料をカチオン化高分子で凝集させた後にパルプ等の紙料に添加することが好ましい。
脱炭素による白化後の再生填料は、乾式粉砕機に送られて一次粉砕される。一次粉砕後の粉体は、分散機に移送され、水や少量の分散剤とともに攪拌されてスラリー化される。そして、このスラリーは湿式粉砕機に送られ、粉体が二次粉砕されて、微粉の再生填料となる。
粉砕方法として、乾式粉砕機のみによる粉砕、又は湿式粉砕機のみによる粉砕も可能であるが、上述のように乾式粉砕機と湿式粉砕機を適宜組み合わせることが好ましい。各粉砕機をそれぞれ又は一方のみ複数段設けることも可能である。最終的に再生填料のメジアン径が、紙製造に適した値になるように粉砕するが、湿式粉砕前に乾式粉砕により予め小粒子化しておくことが粉砕効率上より好ましい。このとき、乾式粉砕された粉体の粒子径が35μmを越えると、分散機での粉体の分散が悪くなり、粉砕機での粉砕効率が悪くなるとともに、分散機や粉砕機が摩耗し、填料の白色度が低下する。また、乾式粉砕で、粉体を2μm未満に粉砕するのは、粉砕効率が悪く経済上好ましくない。
このように、乾式粉砕機と湿式粉砕機を組み合わせ、乾式粉砕で粒体のメジアン径を2μm〜35μm、好ましくは2μm〜20μmに粉砕し、所定の固形分濃度、例えば50%以上の水性スラリーとして湿式粉砕することにより、分散機や湿式粉砕機の摩耗による白色度低下を防止しながら、効率良く微粒子まで粉砕することができる。粉砕が不十分であると、紙製造時や加工時に抄紙ワイヤーやロール表面を摩耗させたり、カッターの刃を著しく摩耗させ深刻な問題を生じる。このとき、湿式粉砕後の再生填料のメジアン径が0.5μm〜5μmとなるように粉砕することができる。
以下に乾式粉砕機についてさらに詳しく説明する。数mmのものを数十μmにまで粉砕する粉砕機としては、例えばロールクラッシャ、ロールミル、スタンプミル、エッジランナ、カッタミル、ロッドミルなどを例示することができる。また、製紙用原料に適した数μm以下にする乾式微粉砕機としてはローラミル、ジェットミル、乾式ボールミル、衝撃式粉砕機などが使用される。なお、これらの乾式粉砕機は、耐摩耗鋼を用いる等、摩耗に対する考慮がされている。
次に、湿式粉砕機としては、サンドミル、湿式ボールミル、振動ミル、攪拌槽型ミル、流通管型ミル、コボールミルなどの粉砕機により粉砕することが可能である。さらに、粉砕機の摩耗による填料の汚染(白色低下)を防ぐために、粉砕機の粉砕ゾーンを耐摩耗性材、例えばゴムや耐摩耗性プラスチックで被覆することが望ましい。その粉砕ゾーンとは、粉砕室内面、攪拌部材の外面などをいい、粉砕の際に、スラリー中の粉体が接触するゾーンである。粉砕室に仕切板等の部材が設けられている場合には、これらも粉砕ゾーンの一部となる。なお、ボール等の粉砕媒体が用いられる湿式粉砕機では、耐摩耗性のセラミック製ボールを用いることが望ましく、これらのボールも粉砕ゾーンの一部である。耐摩耗性プラスチックとしては、ウレタン樹脂やナイロン樹脂を例示することができ、およそ1mm〜10mm程度の厚みに被覆することが望ましいが、使用頻度や粉砕条件によって適宜選択することができる。なお、湿式粉砕前後に、オープン型振動スクリーン、多管式振動加圧フィルタや機械式加圧フィルタなどのスクリーニング装置を介して難粉砕性の焼結物を除去することもできる。また、前述の分散機も、その分散ゾーンを、湿式粉砕機と同様に、ゴムや耐摩耗性プラスチックなどで被覆することが望ましい。
湿式粉砕に際して、粉体を均一に分散するために分散剤を添加してスラリー化することが行われる。分散剤を添加することによって、スラリーを高濃度化しても粘度上昇を防止することができる他、湿式粉砕による粘度上昇を防止し、粉砕効率やハンドリング性を向上させることができる。スルホン酸基含有ポリアクリル酸塩は、他の分散剤に比べて耐塩性、耐熱性に優れる利点を有しているため、分散剤としてスルホン酸基を含有した、分子量が1000〜10000程度のスルホン酸基含有ポリアクリル酸塩を填料に対して0.05〜3重量%添加するとよい。因みに、3%を越えて添加量を増やしても、分散性の改善は頭打ちとなり、0.05%以下では分散性がわるく、湿式粉砕を効率よく行うことができない。
なお、再生填料を水性媒体の懸濁液とする際や粉砕処理する際に、懸濁液のpHを二酸化炭素を用いて8〜13に調整することもできる。
(カチオン化高分子の添加工程)
次に、再生填料へのカチオン化高分子の添加工程55を説明する。本発明においては、パルプ・紙製造工程から発生するスラッジを原料として、炭化〜白化〜粉砕工程を経て再生填料を回収することができる反面、かかる再生填料には非常に微細な粒子も含まれているため、これらの粒子をそのまま紙料へ添加すると歩留まりが低くなる。本発明によれば、かかる再生填料をカチオン化高分子を併用することで、良好な歩留りで、内添紙中に1〜30重量%含ませることができる。填料の含有率が低いと目的とする不透明度等の紙質低くなり、逆に高すぎると引き裂き強さ等の紙質が低下するため、填料の含有率は5〜20%がより好ましい。填料の内添により、紙の散乱表面積を増加させ、紙の不透明性を高めることができる。さらに、予め再生填料を凝集させ、凝集粒子を紙中に含ませることにより、粒径の小さい顔料粒子が繊維間に分布することによって繊維間の結合を阻害し、紙力を低下させてしまう欠点をも克服することができる。以下にさらに詳しく説明する。
本発明では、カチオン化高分子には、サイズ剤、紙力増強剤、歩留向上剤、填料などを効率良くパルプ繊維に定着させる方法(例えば特開昭52−65423号公報)等において使用されているような公知のものが使用できる。即ち、カチオン化高分子としては、カチオン化ポリアミン樹脂、カチオン化ポリアミンポリアミド樹脂、カチオン化ポリアクリルアマイド(PAM)、カチオン化澱粉、カチオン化グアーガム等のカチオン系高分子を例示することができる。
ただし、凝集が強すぎると、抄紙したシートの地合が悪化し、紙質が低下してしまうことがあるので注意しなければならない。一般的に、分子量が高いカチオン化高分子ほど凝集力大きくなり、本発明においては数万〜1000万程度のものを適宜選択することができる。填料の含有率やカチオン化高分子の添加率は、求める紙質や填料の粒子径、粒度分布、形状に合わせて適宜選択することができる。
さらに、カチオン化高分子と無機系凝集剤の併用添加法を例示することができる。無機系凝集剤には硫酸アルミニウムやポリ塩化アルミニウム(PAC)が有る。特に硫酸アルミニウムは、填料中のアニオン成分を中和して不活性化する働きあるため、カチオン化高分子の凝集効率を高めることができる。すなわち、無機凝集剤の電化の中和による「凝結」と有機凝集剤の架橋吸着による「凝集」が主な作用機構である。カチオン化高分子と無機系凝集剤を組み合わせる事によって「凝結」と「凝集」の両効果を得ることもできるため、紙力や歩留がいっそう向上すると推定される。高価なカチオン化高分子の添加量を削減することができ、経済的な方法とも言える。無機系凝集剤の添加率は、填料の乾燥固形分に対して0.01〜5.0重量%程度添加することが望ましい。
なお、カチオン化高分子と無機系凝集剤の水溶液が酸性を示す場合には、填料中に含まれる炭酸カルシウムが分解するため、注意が必要である。填料中に炭酸カルシウムが含まれる場合、特に填料の炭酸カルシウムの含有率が10%を越えるような場合には、水溶液が酸性を示す硫酸アルミニウムの併用は避ける方が好ましい。この場合には、比較的凝集力の大きい分子量が100万〜1000万のカチオン化高分子を使用することで、填料の紙中での歩留まりを高めることができる。さらに、シートの地合や紙質を低下させないように填料を凝集処理する方法としては、予め填料に対してカチオン化高分子を添加した後に、凝集填料を紙料に添加する方法が好ましい。填料に予め添加することで、カチオン化高分子を過剰に添加しなくて済むため好ましい。填料へのカチオン化高分子の添加率は、求める紙質や填料の粒子径、粒度分布、形状に合わせて適宜選択することができる。
この際、カチオン化高分子にカチオン化澱粉、カチオン化グアーガムを使用することがより好ましい。これらのカチオン化高分子は、安価なことに加え凝集力が弱いために、たとえ添加量が過剰になっていても、抄紙後のシートの地合や紙質の低下を防止することができるからである。カチオン化高分子の添加率は、求める紙質や填料の粒子径、粒度分布、形状に合わせて適宜選択することができる。
本発明に使用するカチオン化澱粉の原料澱粉としては、小麦、甘蔗、馬鈴薯、玉蜀黍、米、タピオカなどのいずれでも良い。これらの原料をカチオン化処理し、カチオン化澱粉として使用できる。本発明で使用されるカチオン化澱粉とは、製紙業界で一般にカチオン化澱粉と呼ばれているものであれば何でも良く、澱粉分子のOH基に、3級アミノ基または4級アミノ基などのカチオン基を有する化合物をエーテル化反応させて得られるものであれば良い。3級アミノ基または4級アミノ基を有する化合物として、例えば下記の式1〜式2のような物質が挙げられる。
Figure 2008144347
Figure 2008144347
なお、上記式1、式2において、Xはハロゲン原子を示し、R1 、R2 、R3 はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基を示し、R1 およびR2 は各々環を形成しても良く、nは1〜3の整数を示す。
本発明に使用するカチオン化グアーガムは、上記と同様にカチオン化処理を行われたグアーガムである。グアーガムはマメ科植物であるグアー(Guar)の種子の胚乳部分に含有される粘液物質で、分子量約20,000、組成としては約80%がD−ガラクトースとD−マンノースであり、他に蛋白質、繊維等を含む天然多糖類である。
填料の歩留まり向上と紙の地合悪化を防止する上で、カチオン化澱粉、カチオン化グアーガムはいずれも填料分に対して0.01〜5.0質量%の使用が望ましい。
カチオン化高分子の添加順序としては、カチオン化澱粉とカチオン化グアーガムはいずれを先に添加しても良く、同時に添加しても良いし、予め混合してから添加しても良い。無機凝集剤を併用する場合は、無機凝集剤を始めに添加し撹拌してからカチオン化澱粉とカチオン化グアーガムを添加するほうが、歩留、紙力の点で好ましい。無機系凝集剤には硫酸アルミニウムやポリ塩化アルミニウム(PAC)が有り、白水中の対固形分0.01〜5.0%程度加えることが好ましい。填料の炭酸カルシウムの含有率が10%を越えるような場合には、水溶液が酸性を示す硫酸アルミニウムの併用は避けた方が好ましい。
本発明においては、填料のスラリーのゼータ電位が−10〜+10mVの範囲に維持されるように、予めカチオン化高分子を添加する方が好ましい。ゼータ電位が上記範囲内であれば、抄紙後のシートの地合や紙質の低下を防止することができる。ゼータ電位が−10mV未満及び10mVを越える領域では、填料の凝集が不十分となる。
カチオン化高分子を填料のスラリーに添加する時、スラリーの濃度が高過ぎると、カチオン化高分子の分散が不均一になってしまうため、0.1〜10.0%程度が好ましい。このときの攪拌速度は100〜5000rpm程度が好ましい。パルプに混合してから抄紙されるため、抄紙機のインレット濃度の範囲内であれば問題ない。カチオン化高分子の添加によって生成したフロックは剪断力により破壊されるため、凝集粒子を添加する位置は出来るだけ抄紙機の直前が望ましい。
この発明に用いるパルプ原料に古紙パルプが使用でき、原料古紙としては、新聞古紙、印刷古紙、雑誌古紙、OA古紙等が挙げられる。この他にバージンパルプも使用することができ、広葉樹材、針葉樹材の制限はなく両者の原料から得られるパルプを任意に配合できる。また、製造方法においても蒸解液によって脱リグニンされる化学的パルプ化法であるクラフトパルプ(KP)、サルファイトパルプ(SP)や機械的に砕木される砕木パルプ(GP)、リファイナーパルプ砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)等の機械パルプ化法のどちらでもかまわない。これらのパルプとカチオン化高分子添加後の填料を混合し、抄紙することができる。
本発明では、上記の如き炭化〜白化〜粉砕工程工程を経て得られる再生填料を単独で使用することもできるし、かかる再生填料と内添用填料として通常使用される重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、二酸化チタン、合成シリカ、水酸化アルミニウム等の無機填料、ポリスチレン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等の合成高分子微粒子等から選ばれる少なくとも1種の填料を併用することもできる。勿論、これらの2種以上と併用することもできる。再生顔料を含む填料の添加率が30%を越えると、紙力が低下するため、内添紙中に紙灰分として1〜30重量%含むことが好ましい。また、必要に応じて、紙力増強剤、サイズ剤、染料、蛍光増白剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等を紙料に添加することも可能である。
かくして調製された紙料は、公知の抄紙機によって抄造することができる。本発明において、内添紙の坪量についてはとくに限定するものではないが、一般に、40〜200g/m程度の範囲であると、本発明の所望する効果が顕著に発揮されるため好ましい。もちろんこの範囲を越えた板紙やカード等の厚紙へも添加することは可能である。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、例中の部および%は、特に断らない限り重量部および重量%を示す。
なお、実施例および比較例において示した紙の諸物性は、ISO5269- 1(パルプ試験用手抄き紙調製法)に基づき調製した手抄き紙を用いて、白色度(ISO2470に準拠)、不透明度(ISO2471に準拠)、灰分(ISO2144に準拠)、引張強さ(ISO1924に準拠)、引裂強さ(ISO1974に準拠)をそれぞれ評価した。
実施例1
<炭化装置の説明>
実施例で用いた装置構成を図4を使用して説明する、21は原料ホッパ、22は原料ホッパの下部に設置した切出し装置である。23は切出された原料を乾燥装置までの搬送する装置、Aは原料の乾燥装置である。乾燥装置Aにおいて、24は炉本体、25は乾燥装置への熱風供給装置、26は上下2段で連結された炉内搬送装置である。30aは乾燥装置炉本体内部の温度を計測する温度計である。Bは乾燥装置の直下に設置した炭化装置である。炭化装置Bにおいて、27は炉本体、28は上下3段で連結された炉内搬送装置、29は炭化装置への熱風発生装置である。30bは炭化装置炉本体内温度を計測する温度計である。
<白化装置の説明>
31は炭化装置から排出される炭化物を焼成装置(白化装置)Cまで搬送する原料搬送装置である。焼成装置Cにおいて、32は炉本体、33は上下2段で連結された炉内搬送装置である。34は焼成装置への熱風を供給するための熱風発生装置である。35aは焼成装置炉本体内部の温度を計測する温度計である。
<スラッジの供給>
古紙パルプの洗浄排水を浮選機に供給し浮選処理し白水を得た。得られた白水をスクリュープレス式脱水機(富国製作所)に送り固形分濃度約50%スラッジを得た。原料ホッパに貯えたスラッジは、切出し装置22から一定量で切出される。切出された原料は搬送装置23により乾燥装置A内に連続的に装入される。本実施例では100kg/hrで切り出しを行った。
<原料の乾燥・炭化>
乾燥装置内へ装入された原料は、炉内搬送装置26によって、炉本体内を水平方向に搬送される。乾燥装置Aでは熱風発生装置から炉本体内へ供給される燃焼高温ガスによる間接的な加熱を行い、原料中の水分を蒸発する。この間、搬送装置内にある空気等の酸素含有ガスは、発生した水蒸気によって置換され、酸素濃度0.1%未満の貧酸素状況下となった。上記乾燥処理後原料を、炭化装置本体内へ連続的に装入した。炭化装置では、熱風発生装置29から供給される燃焼高温ガスにより搬送装置内で水平移動を伴いながら乾燥した原料を搬送装置の鉄皮を介して間接的に加熱し、その炉内雰囲気温度を600℃とした。この間、空気等の酸素含有ガスは、炭化工程で発生した乾留ガスによって完全に置換され、その酸素濃度は0.1%未満の貧酸素状況下の還元雰囲気となっており有機物の炭化を促進した。本実施例では脱墨製紙スラッジを連続的に処理し、炭化装置でのその炉内滞留時間を60分とした。生成された炭化物中にある有機物由来の固定炭素の割合は平均で8%(質量比)であった。炭化装置から排出される原料(炭化物)の排出量は乾燥・炭化処理を行うことで30kg/hrとなった。
<炭化物の白化処理>
炭化室Bから排出された炭化物を搬送装置31により焼成装置Cへ連続的に装入した。導入される燃焼ガスの酸素濃度は燃焼空気比ならびに送風ファンによる空気付加により3%から15%まで調整することが可能であり、本実施例では焼成装置Cの炉内酸素濃度を12%とした。焼成装置Cの炉内温度は制御可能である。この温度を本実施例では650℃とした。焼成対象物はこの雰囲気ガスの中を搬送装置のスクリュー機構により水平移動ならびに攪拌を行い、酸素による脱炭素反応を緩慢に行った。炭化物の焼成装置Cでの炉内滞留時間を120分とした。焼成装置Cから排出量は25kg/hrとなった。
<白化処理後の填料>
蛍光X線分析装置(XRF、島津製作所)を用いたカルシウム元素の測定結果より原料スラッジ中に含まれる推定炭酸カルシウム含有率は、全白色無機粒子に対して60%であった。さらに、白化処理後における再生顔料のX線回折分析装置(XRD、マックサイエンス社)の測定結果から炭化および白化処理によって、炭酸カルシウムの推定分解率は20%であった。従って、白化処理後の再生顔料中には炭酸カルシウムが50%程度含まれているものと考えられた。残り50%はカオリンと酸化カルシウム等である。
<粉砕>
得られた再生填料を、分散剤 (A6028、東亞合成社) 1.0%を含む水に加えて、再生填料の固形分濃度が60%のスラリーを調製し、ビーズミル (アシザワ) を用いて湿式粉砕した。粉砕機1パス後の再生填料の50%粒度(メジアン径)は0.5μmであった。なお、再生填料の粒度分布はセディグラフ粒度分布測定装置(micromeritic社)を用いて測定した。これは、通常の炭酸カルシウムを粉砕する場合よりも低負荷で粉砕することができ、炭化・焼成により得られる再生填料が焼結せずにそのまま再生されていることを示す。
<填料の白色度の測定>
上記で粉砕処理した再生填料の一部を乾燥した後、約10gをサンプリングし、乳鉢で粗い粒子がなくなるまで粉砕したのち、中空円筒と内径の合う太さの円柱からなる粉体錠剤成型機を用いて13kgf/cmで30秒加圧して成型する。円筒は強光沢アクリル板上に置かれて操作される。錠剤状の粉体を円筒に付けたまま、白色度を測定した結果、再生填料の白色度は82%であった。なお、白色度は、分光白色度測色計(スガ試験機社製)を使用してJISZ8722に準拠し測定した。
次に、白色度80%、不透明度82%の古紙パルプ60部に、白色度85%、不透明度64%の広葉樹晒しパルプ(自製LBKP)40部を配合した。得られた填料の固形分濃度を10%に調整した懸濁液にカチオン化澱粉(ピラースターチ社製P−2A)を対固形分3.0%添加してよく攪拌した後、カチオン化グアーガム(三晶社製メイプロボンド9806)を対固形分0.3%添加してよく攪拌し、凝集粒子を得た。手抄き紙の米坪が60g/mで填料の含有率が10質量%になるように上記パルプ(フリーネスが350cc)に凝集粒子を混合し、直後に手抄きした。このときの填料歩留まりは88%と高い値だった。得られた内添紙の諸物性を表1に示した。
実施例2
実施例1で用いたパルプに、実施例1で得られた填料の含有率が15質量%になるように混合し、硫酸バンド対固形分0.5%、カチオン化澱粉(エースK100/王子コーンスターチ社)対固形分0.8%、アクリルアマイド系高分子(ハイモロックNR12MLS/ハイモ社)対固形分0.02%を添加して紙料とした。手抄き紙の米坪が60g/mになるように手抄きした。このときの填料歩留まりは75%だった。得られた内添紙の諸物性を表1に示した。
比較例1
実施例1で用いたカチオン化高分子を添加しなかったこと以外は実施例1と同様に手抄きした。このときの填料歩留まりは25%と低い値だった。得られた内添紙の諸物性を表1に示した。
比較例2
実施例1で用いたスラッジを流動床ボイラーによって焼却した。焼却温度は900℃、滞留時間は供給した空気が4秒以上滞留する条件で燃焼させ、焼却灰を得た。次に、実施例1と同様に、得られた焼却灰粒子に分散剤 (東亜合成) と水を加えて、固形分濃度が60%のスラリーを調整し、ビーズミル (アシザワ) を用いて湿式粉砕した。粉砕機1パス後の50%粒度が2.0μmの焼却灰粒子を得た。これは、炭化〜焼成から得られた再生填料に比べて焼却灰粒子の粉砕性が劣っていることを示す結果となった。得られた焼却灰について、実施例1と同様にして手抄紙を得た。このときの填料歩留まりは90%と高い値だった。得られた内添紙の諸物性を表1に示した。
比較例3
実施例2で用いた填料に変えてタルク(イライト、日本タルク)を用いたこと以外は実施例2と同様にして手抄き紙を得た。このときの填料歩留まりは81%だった。得られた内添紙の諸物性を表1に示した。
Figure 2008144347
[発明の効果]
表1の結果から明らかなように、本発明の内添紙は、スラッジを原料とする特定の再生填料が内添されているため、不透明度に優れた内添紙であった。
本発明の内添紙を製造するプロセスを概念的に示した工程図。 本発明の内添紙に使用する再生顔料を製造するための、炭化処理工及び脱炭素による白化処理工程を行なう熱処理装置の一例の概念系統図。 本発明の内添紙に使用する再生顔料を製造するための、炭化処理工程及び脱炭素による白化処理工程を行なう熱処理装置の別の一例の概念系統図。 本発明の実施例に適用した熱処理装置例を示す。
符号の説明
1 :第1間接加熱炉(炭化工程の乾燥帯)
2 :スラッジ投入口
3 :スラッジ乾燥室
4a:熱風取り入れ口
5a:熱風、水蒸気、乾留ガス排出口
6 :第2間接加熱炉(炭化工程の熱分解による炭化帯)
7 :スラッジ熱分解、炭化室
4b:熱風取り入れ口
5b:熱風、水蒸気、乾留ガス排出口
8 :炭化物排出口
9 :炭化物流送路
10:第3間接加熱炉(脱炭素による白化帯)
11:炭化物投入口
12:空気取り入れ口
13:脱炭素による白化室
4c:熱風取り入れ口
5c:熱風排出口
14:再生填料回収口
15:内燃式ロータリーキルン(脱炭素による白化帯)
16:炭化物貯蔵器
17:炭化物投入口
18:炭化物酸化室
19:バーナー
20:再生填料回収口

Claims (5)

  1. 填料内添紙において、填料として、有機物と白色無機粒子の混合物を、酸素含有ガスの存在を制限した貧酸素条件下、温度1000℃以下で炭化処理し、次いで炭化処理によって得た炭化物を温度450℃〜1000℃の範囲で酸化させるように制御した酸素含有ガスが存在する条件下で脱炭素して得たメジアン径0.5〜5μmの再生填料を1〜30重量%含有し、かつカチオン化澱粉またはカチオン化グアーガムの少なくとも1種のカチオン化高分子を含むものであり、かつ
    前記炭化処理が2段階に分かれて実施され、該処理の少なくとも後半の温度が450から1000℃で実施されたものであることを特徴とする填料内添紙。
  2. 前記再生填料が、前記カチオン化高分子によって予め凝集させて含まれる請求項1記載の填料内添紙。
  3. 前記有機物と白色無機粒子を含む混合物が、製紙スラッジを主体とする廃棄物または低級古紙の少なくとも1種である請求項1または2に記載の填料内添紙。
  4. 前記有機物と白色無機粒子を含む混合物が、古紙パルプの洗浄排水を浮選機に供給し、浮選処理し、脱水処理して得られたスラッジである請求項1〜3いずれか1項に記載の填料内添紙。
  5. 有機物と白色無機粒子の混合物を、酸素濃度0.1%未満の貧酸素条件下、温度1000℃以下で炭化処理し、次いで炭化処理によって得た炭化物を温度450℃〜1000℃の範囲で酸化させるように制御した酸素含有ガスが存在する条件下で脱炭素し、その後、粉砕してメジアン径0.5〜5μmの再生填料を製造し、このようにして得た再生填料1〜30重量%を、カチオン化澱粉またはカチオン化グアーガムの少なくとも1種のカチオン化高分子と共に、パルプに混合内添して抄紙したことを特徴とする内添紙の製造方法。
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