JP3611830B2 - 製紙スラッジの処理方法および処理設備 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製紙工程で発生する製紙スラッジを、特に製紙用の顔料などとして再利用可能に処理するための製紙スラッジの処理方法および処理設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
このように、製紙工程において発生する製紙スラッジは、従来は脱水後に焼結されて埋め立て処分されたり、一部はセメント原料や炭化物等への利用が図られたりしていたが、近年では、例えば特開2001−26727号公報に記載されたように、製紙スラッジを燃焼等によって好ましくは多段で酸化処理した後に所定の粒径にやはり好ましくは多段で粉砕処理したりして、製紙用の白色顔料として再利用することが提案されている。すなわち、このような処理方法では、温度を適当に制御した例えば燃焼による多段の酸化処理により製紙スラッジに含まれる炭酸カルシウムを酸化カルシウムに分解しすぎたりすることなく回収し、これを細かく粉砕することによって製紙用の白色顔料として再利用を図るようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、こうして製紙スラッジを処理するに際して、スラリー状の製紙スラッジやその脱水ケーキをそのまま燃焼炉や焼却炉に供給して加熱、燃焼することにより酸化処理したのでは、この供給された製紙スラッジの燃焼が部分的に不均一となることが避けられず、例えばスラッジ表面の燃焼が促進された部分では上述のような温度制御にも拘わらず炭酸カルシウムが分解されて酸化カルシウムが生成されてしまい、顔料として用いる場合に所望の白色度等を得ることができなくなるおそれがある。また、このように燃焼が不均一となることにより、回収された炭酸カルシウムや水酸化カルシウムが部分的に溶融凝固を生じて高硬度となり、その後の粉砕処理において粉砕されても、製紙用顔料として用いた場合には抄紙機のワイヤーの摩耗や裁断時のカッターの劣化が激しくなって、設備メンテナンスコストの増大と生産効率の悪化を招くおそれもある。
【0004】
本発明は、このような背景の下になされたもので、このように製紙工程で発生する製紙スラッジを製紙用の顔料等として再利用したりするのに際し、スラッジを均一に燃焼させることによって炭酸カルシウム等の分解を抑えてその効率的な回収を図ること可能な製紙スラッジの処理方法および処理設備を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の製紙スラッジの処理方法は、製紙スラッジを造粒機によって粒の揃った造粒物に成型造粒した後に、この造粒物を焼成炉の本体の内部にその一端部側から供給して他端部側に送り出しつつ、上記本体の内部に他端側から一端側へ向けて吹き込まれた熱風により焼成して処理するとともに、上記本体より排出された排気から固形分を回収し、この固形分を上記造粒機に供給することを特徴とし、また本発明の製紙スラッジの処理設備は、製紙スラッジを粒の揃った造粒物に成型造粒する造粒機と、内部に一端部側から上記造粒物が供給される円筒状の本体が横置きされた中心軸回りに回転可能とされるとともに、この本体内に上記熱風が他端側から一端側へ向けて吹き込み可能とされ、上記造粒物を上記一端部側から上記他端部側に送り出しつつ上記熱風によって加熱することにより焼成して処理する焼成炉と備え、上記焼成炉より排出された排気から回収された固形分が、上記造粒機に供給可能とされていることを特徴とする。従って、このような処理方法および処理設備においては、製紙スラッジがまず造粒機によって粒の揃った造粒物に成型されるため、この製紙スラッジの造粒物が焼成炉に保持された状態で隣接する造粒物同士の間に適当な間隙を確保しておくことができ、この間隙を、温度管理(制御)がなされた熱風が通ることによって製紙スラッジが加熱されて焼成すなわち燃焼し、酸化処理されることとなるので、保持された製紙スラッジを満遍なく均一に加熱して焼成することができ、部分的に炭酸カルシウムが分解されすぎたり凝固したりするのを防ぐことができる。また、この製紙スラッジの造粒物が直接火炎に晒されたりすることなく、こうして熱風により加熱されて焼成されるため、焼成温度の管理が比較的容易であり、炭酸カルシウムの分解を一層確実に抑制してその回収効率の向上を図ることができる。
【0006】
ここで、上記処理方法においては、上記造粒物を水分量50〜60wt%、平均粒径5〜20mmに成型造粒し、この造粒物を上記焼成炉において焼成温度700〜850℃で1〜3時間保持して焼成するのが望ましい。すなわち、造粒物の水分量が上記範囲を上回るほど大きいと造粒物が崩れやすくなって上記間隙の確保が困難となるおそれがある一方、上記範囲を下回るまで製紙スラッジを脱水するには多くの時間と労力等を要する結果となる。また、造粒物の平均粒径が上記範囲よりも小さくても造粒物同士の上記間隙が小さくなってしまうおそれがある一方、平均粒径が上記範囲よりも大きいと個々の造粒物において焼成が不均一となるおそれが生じる。なお、造粒物は円柱状に成型造粒するのが容易であり、その場合には直径6〜10mm、長さ10〜20mm程度の範囲とされるのが望ましい。さらに、焼成炉における焼成温度や保持時間が上記範囲よりも低かったり短かったりすると、製紙スラッジ中の有機物を完全燃焼させて十分に除去することができなくなるおそれがある一方、逆に焼成温度や保持時間が上記範囲よりも高かったり長かったりすると、炭酸カルシウムが分解されて酸化カルシウムが生成されてしまい、炭酸カルシウムの回収効率が損なわれたり、さらにこの酸化カルシウムが他の無機質体と溶融、結晶化することで高硬度の焼成品となってしまったりするおそれがある。
【0007】
また、上記処理設備においては、上記焼成炉が、内部に上記造粒物が供給される円筒状の本体が横置きされた中心軸回りに回転可能とされて、この本体内に上記熱風が吹き込み可能とされた内熱キルンとされるの、こうして本体が回転されることにより、内部に保持された製紙スラッジの造粒物も本体内でその周方向に転がりながらこの本体内部に吹き込まれる熱風によって一層均一に焼成されることとなる。さらに、この焼成炉より排出された排気から回収された固形分にはカルシウム成分が含有されているので、これを循環させて上記造粒機に供給可能とすることにより、炭酸カルシウムの回収効率の一層の向上を促すことが可能になる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の製紙スラッジの処理設備の一実施形態を示すものであり、以下この処理設備の実施形態を説明しながら、合わせて該処理設備による本発明の製紙スラッジの処理方法の一実施形態についても説明する。まず、本実施形態においては、スラッジ受入貯槽1に貯留された製紙スラッジSが、このスラッジ受入貯槽1の下部に設けられたスラッジ切出コンベア1Aからスラッジ計量器2を介して切出量が調整可能に所定量ずつ連続的に切り出され、スラッジ搬送コンベア3によって造粒機4に供給される。
【0009】
この造粒機4は、例えばスクリューケース4A内の一端側に一対のスクリュー4Bが回転可能に収容されるとともに他端側には所定の内径の孔が多数の開けられたスクリーン4C内にエクストラクト(絞り出し)羽根4Dが設けられた構成とされ、上記スクリューケース4Aの一端側から投入されたスラッジSが、スクリュー4Bとスクリューケース4Aとの間で適当な圧縮と混練作用を受けながら他端側に送られ、上記エクストラクト羽根4Dによって90度変向してスクリーン4Cの孔から粒径の規制された比較的硬い円柱状粒となって押し出されることにより、造粒物Pとして成型造粒されるようになされたものであり、こうして成型造粒された造粒物Pは、その水分量が50〜60wt%、平均粒径が5〜20mmとされて、形状および寸法が略等しい粒揃いのものとされる。なお、本実施形態の造粒物Pはこのように円柱形であって、個々の造粒物Pの粒径は例えば該円柱の直径と長さとの平均値として得られるが、より具体的には直径が6〜10mm、長さが10〜20mm程度とされる。
【0010】
そして、こうして成型造粒された造粒物Pは、この造粒機4から、周壁部が水冷ジャケット構造とされたスクリューフィーダ式のスラッジ供給コンベア5を介して焼成炉6に供給される。この焼成炉6は、内部に造粒物Pが上記スラッジ供給コンベア5により供給される円筒状の本体6Aが、横置きされたその中心軸O回りに図示されない駆動手段によって回転可能とされて、この本体6A内に、熱風炉7から熱風が吹き込み可能とされた内熱キルンであり、この本体6Aの両端部には本体6Aの回転を許容しつつ内部を気密に密封可能なボックス6B,6Cが配設されていて、上記スラッジ供給コンベア5はこのうち一端部側(図1において左側)のボックス6Bの上記中心軸O上に接続されて造粒物Pを本体6A内部に供給可能とされている。
【0011】
一方、上記熱風炉7は、反対の他端部側(図1において右側)のボックス6Cの中心軸O上に接続されていて、圧縮空気Aによって噴射された灯油等の燃料FをガスGによる炎で着火させて焼成炉燃焼ブロア8から供給される空気Bにより燃焼させるバーナー7Aを備え、これにより、同じく焼成炉燃焼ブロア8からボックス6Cに供給された空気Bを加熱して熱風として上述のように本体6A内に吹き込む構造とされている。そして、上記スラッジ供給コンベア5から供給された造粒物Pは、本体6Aの回転に伴いその内部を周方向に転がりながら所定時間かけて他端部側へと送り出されつつ上記熱風によって加熱されることにより、製紙スラッジS中に含まれる有機物が燃焼させられて焼成され、他端部側の上記ボックス6Cの下部から排出される。
【0012】
ここで、この焼成炉6の本体6Aに吹き込まれる上記熱風の温度は800〜1000℃とされ、これによる焼成炉6においての焼成温度、すなわち加熱されて焼成された造粒物Pの品温(本体6A内における造粒物Pの最高温度)は700〜850℃、より望ましくは700〜750℃とされる。また、本体6A内における造粒物Pの保持時間は1〜3時間とされる。しかして、こうして焼成されて上記ボックス6Cの下部から排出された造粒物Pは、周壁部が水冷ジャケット構造とされたスクリューフィーダ式の冷却コンベア9(ただし、本実施形態では2段の冷却コンベア9,9が備えられている)によって冷却された後、焼成品排出ダンパ9Aから焼成品搬送コンベア10を介して焼成品タンク11に貯留され、その下部の焼成品タンク切出コンベア11Aによって所定量ずつ切り出されてトラック等の輸送手段12により輸送され、例えば製紙工程の白色顔料として再利用される。なお、この製紙工程においては、焼成された造粒物(焼成品)Pを上述のように必要に応じて多段で粉砕処理したり、さらに燃焼等の乾式酸化や湿式酸化によって酸化処理したりしてもよい。
【0013】
一方、本体6A内に吹き込まれて造粒物Pを加熱した熱風は一端部側のボックス6B上部から排気Eとして排出され、集塵機13によって集塵された後に二次燃焼炉14に供給される。この二次燃焼炉14は、圧縮空気Aとともに噴射されたガス等の燃料Fを、やはりガスGによる炎で着火して二次燃焼炉燃焼ブロア15から供給される空気Cによって燃焼させるバーナー14Aをその上部に備えたものであり、上記排気Eは、この二次燃焼炉14においてその可燃ガス成分等が完全燃焼させられ、次いで燃焼空気予熱器16において上記空気Cを予熱した後に廃熱ボイラ17に供給されて熱回収され、さらにベンチュリースクラバー18およびスクラバー19によって清浄化、冷却されて排出される。なお、図中に符号20で示すのは誘引ファン、符号21で示すのはスクラバー循環ポンプである。そして、上記集塵機13、二次燃焼炉14、燃焼空気予熱器16、および廃熱ボイラ17において排気Eから回収された固形分Dは、それぞれの下端に備えられた排出バルブ13A,17Aや排出ダンパ14B,16Aから排出されてダスト戻しコンベア22により上記スラッジ搬送コンベア3に戻され、製紙スラッジSとともに造粒機4に供給可能とされている。
【0014】
しかして、このように構成された製紙スラッジSの処理設備および該処理設備による製紙スラッジSの処理方法においては、この製紙スラッジSが造粒機4において粒の揃った造粒物Pに成型造粒され、この造粒物Pが焼成炉6に供給されて保持され、熱風炉7から吹き込まれる熱風により加熱されて焼成させられるので、焼成炉6の本体6A内に保持された状態で隣接する造粒物P同士の間には熱風が通過するのに十分な間隙があけられることとなり、これにより造粒物Pに成型造粒された製紙スラッジSを、個々の造粒物Pごとにその表面から満遍なく均一に加熱して焼成することが可能となる。このため、焼成炉6に供給された製紙スラッジSにおいて有機物が十分に燃焼されない部分が生じたり、あるいは炭酸カルシウムが加熱されすぎて酸化カルシウムに分解されたりするのを防ぐことができるとともに、これら炭酸カルシウムや酸化カルシウムが部分的に溶融凝固して高硬度となったり、酸化カルシウムが他の無機質体と溶融、結晶化することで高硬度の焼成品となったりすることも防ぐことができる。また、こうして熱風炉7で発生された熱風によって製紙スラッジSの造粒物Pが焼成されるので、例えばスラッジが直接火炎に晒されて焼成される場合などに比べて焼成温度の管理や制御が容易であり、これによっても有機物の完全燃焼を促しつつ炭酸カルシウムの分解を抑えてその回収効率の向上を図ることができる。従って、上記処理方法および処理設備によれば、焼成された製紙スラッジSの造粒物Pを製紙工程における顔料として用いるような場合において、その白色度の向上を図ることができるとともに、この製紙工程における抄紙機のワイヤーの摩耗や裁断時のカッターの劣化を抑えて設備メンテナンスコストの削減や生産効率の向上を促すことができ、高品位の紙類をより低コストで提供することが可能となる。
【0015】
また、本実施形態の処理方法では、こうして製紙スラッジSを造粒物Pに成型造粒するに際し、その水分量を50〜60wt%とするとともに、平均粒径5〜20mmに成型造粒しており、このため必要以上に多くの時間や労力を要したりすることなく、上述のように焼成炉6の本体6A内に保持される造粒物P同士の間に確実に十分な間隙を確保することができ、しかも個々の造粒物Pにおいてもより確実に上述のような均一な焼成を図ることが可能となる。さらに、本実施形態では、この造粒物Pを焼成炉6において焼成温度700〜850℃で1〜3時間保持して焼成するようにしており、これによって一層確実に炭酸カルシウムの分解を防ぎつつ、製紙スラッジS中の有機物の完全燃焼を図って、かかる有機物に起因する白色度の劣化等を抑えることが可能となる。
【0016】
ここで、次表1、2は、表1に示す原料(製紙スラッジS)成分の造粒物Pを本実施形態の処理方法によって焼成して処理したときの焼成品の分析結果を表2に示すものである。ただし、これらの表1において脱水機1、2(表2ではRUN−1、2)としてあるのは、造粒前の製紙スラッジSを所定の水分量にまで脱水する際の脱水機を示したものであり、脱水機1はスクリュープレス脱水機、脱水機2は遠心脱水機である。また、表2におけるCaCO(炭酸カルシウム)分解率は、次式1により算出した。さらに、このときの造粒物Pは直径約8mm、長さ10〜15mmの円柱状(平均粒径9〜11.5mm)に成型造粒されて、RUN−1の場合は2.49kg/h、RUN−2の場合は2.1kg/hの供給量で焼成炉6に供給された。また、この焼成炉6は、その本体6Aが内径200mm、長さ1500mmの円筒状(均熱部容量47.1L)で、その一端部側から他端部側に向けて下向きにRUN−1では1.3/100、RUN−2では1.6/100の傾斜が与えられ、RUN−1の場合は1.0rpm、RUN−2の場合は1.5rpmの回転数で回転された。さらに、この焼成炉6の熱風炉7は、その熱容量が61500kcal/hであって、RUN−1の場合は865℃、RUN−2の場合は843℃の熱風が本体6A内に吹き込まれ、これにより造粒物Pの焼成温度(品温)はRUN−1で797℃、RUN−2で760℃とされた。また、造粒物Pの焼成炉6における保持時間(滞留時間)は1.77時間であった。
【0017】
【表1】
Figure 0003611830
【0018】
【表2】
Figure 0003611830
【0019】
【数1】
Figure 0003611830
【0020】
しかして、この結果より、上記処理方法によれば、RUN−1の場合は焼成品におけるCaCOの分解率が比較的高めであったものの、これに対してRUN−2の場合はCaCOの分解率が大幅に抑えられており、焼成品中のCaCOの含有量もRUN−2では約20wt%とされた。さらに、これらRUN−1、2の焼成品の白色度を測定したところ、双方とも80以上と比較的高い白色度が得られていることが判った。
【0021】
一方、上記実施形態の処理設備においては、その焼成炉6が横置きされた中心軸O回りに回転可能な円筒状の本体6Aを備え、この本体6A内に上記造粒物Pが供給されて保持されるとともに熱風炉7から熱風が吹き込み可能とされ、造粒物Pが加熱されて焼成されるようになされている。このため、本体6A内部に保持された造粒物Pはこの本体6Aの回転に伴ってその内壁部を周方向に転がりながら焼成されることとなり、従って造粒物P自体が粒の揃った形状、寸法に成型造粒されて上記間隙が確保されることとも相俟って、個々の造粒物Pの周囲により確実かつ均一に熱風を行き渡らせて焼成することが可能となる。また、本実施形態では、この焼成炉6が、その本体6Aの一端部側から造粒物Pが供給されて他端部側に送り出されつつ焼成されるのに対し、熱風はこの本体6Aの他端側から吹き込まれるようになされており、従って本体6Aの一端部側では供給されたばかりの水分量の多い造粒物Pから蒸発した水分を速やかに本体6Aから排出することができる一方、他端部側ではより高温の熱風を造粒物Pに与えて一層確実な焼成を図ることが可能となる。なお、この本体6Aには上述のように一端部側から他端部側に向けて下向きに傾斜を与え、造粒物Pが確実に送り出されるようにされていてもよい。
【0022】
さらに、本実施形態の処理設備では、上記焼成炉6の一端部側から排出された熱風の排気Eが集塵機13、二次燃焼炉14、燃焼空気予熱器16、廃熱ボイラ17、ベンチュリースクラバー18およびスクラバー19を経て排出されるようになされており、このうち集塵機13、二次燃焼炉14、燃焼空気予熱器16、および廃熱ボイラ17は排出バルブ13A,17Aや排出ダンパ14B,16Aを介してダスト戻しコンベア22に接続されて、排気Eから回収された固形分Dがこのダスト戻しコンベア22からスラッジ搬送コンベア3を経て製紙スラッジSとともに造粒機4に供給可能とされている。しかして、こうして焼成炉6から排出された排気E中には焼成炉6内に保持された造粒物Pの粉塵等が上記固形分Dとして含まれており、従ってこの固形分Dには製紙スラッジSに含有されたカルシウム成分も含まれているので、このような固形分Dを回収して再び造粒機4に供給し、製紙スラッジSと混合して造粒物Pに成型造粒して焼成炉6に供給することにより、本実施形態によれば、焼成される造粒物P中におけるカルシウム成分の増加を図って、炭酸カルシウムの回収効率の一層の向上を促すことが可能となる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の製紙スラッジの処理方法および処理設備によれば、製紙スラッジを造粒機において粒の揃った造粒物に成型造粒した上で、焼成炉において熱風により加熱して焼成することにより、造粒物間に熱風を十分に行き渡らせてその均一かつ確実な焼成を図ることができ、有機物の完全燃焼と炭酸カルシウム等の回収効率の向上とを促して、製紙工程等の顔料として用いたりする場合の白色度の向上を図ったり、該製紙工程における抄紙機のワイヤーの摩耗や裁断機のカッターの劣化を抑えたりすることができる。また、上記処理方法においては、上記造粒物を水分量50〜60wt%、平均粒径5〜20mmに成型造粒し、この造粒物を上記焼成炉において焼成温度700〜850℃で1〜3時間保持して焼成することにより、造粒物の成型造粒に多くの時間や労力を要することなく、さらに確実かつ均一な有機物の燃焼および炭酸カルシウム等の分解抑制を図ることができる。一方、上記処理設備においては、その焼成炉を、横置きされた中心軸回りに回転可能とされた円筒状の本体内に熱風が吹き込み可能とされた内熱キルンとすることにより、造粒物の一層均一な焼成を図ることができ、またこの焼成炉より排出された排気から回収した固形分を造粒機に供給可能とすることにより、炭酸カルシウム等の回収効率の一層の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製紙スラッジの処理設備の一実施形態を示す図である。
【符号の説明】
4 造粒機
6 焼成炉
6A 焼成炉6の本体
7 熱風炉
13 集塵機
14 二次燃焼炉
16 燃焼空気予熱器
17 廃熱ボイラ
S 製紙スラッジ
P 造粒物
E 焼成炉6から排出される排気
D 排気Eから回収された固形分

Claims (3)

  1. 製紙スラッジを造粒機によって粒の揃った造粒物に成型造粒した後に、この造粒物を焼成炉の本体の内部にその一端部側から供給して他端部側に送り出しつつ、上記本体の内部に他端側から一端側へ向けて吹き込まれた熱風により焼成して処理するとともに、上記本体より排出された排気から固形分を回収し、この固形分を上記造粒機に供給することを特徴とする製紙スラッジの処理方法。
  2. 上記造粒物を水分量50〜60wt%、平均粒径5〜20mmに成型造粒し、この造粒物を上記焼成炉において焼成温度700〜850℃で1〜3時間保持して焼成することを特徴とする請求項1に記載の製紙スラッジの処理方法。
  3. 製紙スラッジを粒の揃った造粒物に成型造粒する造粒機と、内部に一端部側から上記造粒物が供給される円筒状の本体が横置きされた中心軸回りに回転可能とされるとともに、この本体内に上記熱風が他端側から一端側へ向けて吹き込み可能とされ、上記造粒物を上記一端部側から上記他端部側に送り出しつつ上記熱風によって加熱することにより焼成して処理する焼成炉とを備え、上記焼成炉より排出された排気から回収された固形分が、上記造粒機に供給可能とされていることを特徴とする製紙スラッジの処理設備。
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