JP4445147B2 - 汚泥の処理方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水汚泥、産廃汚泥等の汚泥の処理方法及び装置、詳しくは、汚泥をセメントロータリキルンに投入するための前処理として、汚泥を効率よく乾燥させ、ハンドリングを容易にするための乾燥工程を備え、かつ、乾燥機排ガスを確実に脱臭でき、セメント焼成熱消費の増加を抑え、セメントクリンカの品質を安定させ、汚泥を多量にロータリキルンに投入できるようにした汚泥の処理方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
下水汚泥、産廃汚泥等の汚泥の大半は、脱水乾燥された後、流動層炉又はロータリキルン等で汚泥中の有機物を焼却して埋立処分されていたが、近年、汚泥をセメント焼成装置に投入し、ロータリキルンで焼却することにより、汚泥の燃焼熱を有効に利用するとともに、焼却灰をセメント原料の一部として回収することが行われている。
【0003】
従来、汚泥処理の技術として、例えば、特開平9−248600号公報には、下水汚泥を脱水・乾燥し、乾燥した汚泥を生石灰と混合・熟成して乾燥した粉体とし、この粉体をセメント原料と混合粉砕して、セメント製造用の原料及び燃料として利用する方法が開示されている。
【0004】
また、特開平8−276199号公報には、含水汚泥を、直接、セメントクリンカを製造する乾式キルンの窯尻又は仮焼炉に導入して焼却する汚泥処理方法が開示されている。
【0005】
また、特開平11−116290号公報には、臭気性化合物を含む汚泥を、セメント原料の乾燥工程又は粉砕工程に供給して乾燥又は粉砕した後、焼成工程に供給するセメントの製造方法が開示されている。そして、この公報には、臭気性化合物を含む汚泥をセメント原料と接触させると、脱臭することができる実験結果が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特開平9−248600号公報記載の下水汚泥のセメント製造用原料及び燃料への利用方法においては、つぎのような問題点がある。
(1) 多くの焼成熱量を要する生石灰を多量に使用するので、熱損失が大きい。
(2) 汚泥と生石灰とを混合する時に発生する蒸気、ダスト、臭気の処理が必要である。
(3) 汚泥乾燥機からの排ガスの脱臭処理が必要である。
(4) 排ガス処理設備、排水処理設備が大掛りになる。
【0007】
また、上記の特開平8−276199号公報記載の汚泥処理方法においては、つぎのような問題点がある。
(1) 汚泥水分の蒸発に要する熱量が多大で、急激に焼成温度が低下し、セメント焼成用熱消費が悪化する。
(2) 水分の蒸発によりセメントプレヒータ排ガス量が増加するので、セメントクリンカ生産量が減少する。
(3) 上記の理由により、汚泥処理量をあまり多くすることができない。
(4) 汚泥水分、汚泥供給量の変動により、セメント焼成温度が不安定になる。
(5) キルンに投入された含水汚泥が塊状になるので、セメント原料との混合が悪く、セメント品質が不安定になる。
(6) 汚泥圧送配管が詰まり易く、その清掃作業が煩雑で、その間、汚泥を投入することができない。
(7) 汚泥受入時に発生する臭気の処理が必要である。
【0008】
また、上記の特開平11−116290号公報記載のセメントの製造方法においては、つぎのような問題点がある。
(1) セメント原料に、ある程度の除臭作用があることは認められるが、汚泥をセメント原料と接触させても、完全に脱臭することはできない。
(2) 実操業においては、乾燥機排ガス中の臭気成分を、600℃以上に加熱分解するあるいは活性炭吸着塔で処理するなど、さらなる脱臭処理が必要である。
(3) 汚泥受入及び汚泥輸送時に発生する臭気の処理が必要である。
なお、臭気ガスを仮焼炉、キルン、クーラ等の高温部に吹き込んで脱臭処理する技術も知られているが、セメント製造用排ガス量と焼成用熱量の増加が多大であり、汚泥処理量を多くすることができない。
【0009】
本発明は上記の諸点に鑑みなされたもので、本発明の目的は、気流乾燥機とセメント焼成装置とを組み合わせ、セメント焼成装置の高温部に排ガス加熱部を設け、かつ、気流乾燥機排ガスを予熱する熱交換器を設けることにより、セメント焼成装置の熱消費を極力悪化させることなく、多量の汚泥を投入でき、かつ気流乾燥機排ガスを無臭化して大気放出できる汚泥の処理方法及び装置を提供することにある。さらに、本発明の目的は、セメント焼成装置のサスペンションプレヒータからの排ガスを気流乾燥機の熱源として、この排ガス中のダスト(アルカリリッチのダスト)と気流乾燥された乾粉の一部とを良好に混合・接触させることにより、セメント原料の脱臭作用を効果的に利用した汚泥の処理方法及び装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の汚泥の処理方法は、汚泥ケーキタンクからの汚泥ケーキに気流乾燥させた汚泥の循環乾燥粉を混合攪拌して水分を調整し、ついで、この混合粉をセメント焼成装置のサスペンションプレヒータ排ガスを熱源とする気流乾燥機の解砕機で解砕した後、乾燥ダクト内で乾燥させ集塵器で集塵して乾燥粉を得、この乾燥粉の一定量をロータリキルン又は/及び仮焼炉に吹き込んでセメントクリンカ焼成用燃料の一部として利用し、かつ、焼成物をセメント原料焼成物とともに冷却してセメントクリンカを得る方法であって、セメント焼成装置の高温部を乾燥機排ガスを間接加熱する排ガス加熱部とし、この排ガス加熱部に気流乾燥機排ガスを導入して加熱・脱臭し、加熱・脱臭された気流乾燥機排ガスと気流乾燥機の集塵器からの気流乾燥機排ガスとを熱交換させて、集塵器からの気流乾燥機排ガスを予熱するように構成されている(図1、図2、図4参照)。
【0011】
上記の方法において、予熱された気流乾燥機排ガスを排ガス加熱部で600℃以上に加熱・脱臭する(図2参照)。600℃以上にすることにより、排ガス中の臭気成分が燃焼又は分解して脱臭される。
また、汚泥ケーキに混合する乾粉の循環量を、混合粉の水分が30%以下になるように調整する。混合粉の水分を30%以下にすることにより、付着性の弱い粉体となり、機器内での付着トラブルが防止される。
また、加熱・脱臭された気流乾燥機排ガスの一部を気流乾燥機の解砕機に循環させ、サスペンションプレヒータ排ガスと混合させて気流乾燥機の熱源とする場合もある(図1参照)。
【0012】
この場合、加熱・脱臭された気流乾燥機排ガスの気流乾燥機への循環量を、この排ガス中の水分が30〜60%になるように調整することが好ましい。
循環排ガス中の水分が30%未満の場合は、解砕機へのサスペンションプレヒータ排ガス量が多くなっており、装置が大型化するという問題がある。一方、循環排ガス中の水分が60%を超える場合は、解砕機へのサスペンションプレヒータ排ガス量が少なくなり、混合粉のサスペンションプレヒータ排ガスによる脱臭効果が期待できなくなる。
また、これらの方法において、汚泥ケーキを汚泥ケーキタンクに受け入れる時に発生する臭気を、セメント焼成装置のロータリキルン又は/及び仮焼炉の燃焼用空気とすることが好ましい(図1、図4参照)。
【0013】
本発明の汚泥の処理装置は、汚泥ケーキと後述の気流乾燥機で乾燥された乾燥粉の一部とを混合する混合部と、この混合部からの混合粉を熱風流とともに解砕する解砕機と、解砕された粉体を気流乾燥させる略鉛直方向の乾燥ダクトと、この乾燥ダクトの上端に接続された集塵器と、この集塵器の上部に接続された乾燥機排ガスダクトと、この集塵器の下部に排出機を介して接続された乾粉供給装置を付属する乾粉供給タンクとを有する気流乾燥機と、複数段のサイクロンからなるサスペンションプレヒータと、このサスペンションプレヒータの最下段のサイクロンに連結された仮焼炉と、この仮焼炉及び最下段のサイクロンに入口フッドを介して接続されたロータリキルンと、このロータリキルンの出口部に連結されたクーラとを有するセメント焼成装置とを備えた装置であって、前記気流乾燥機の乾粉供給装置は定量供給機及び乾粉空気輸送装置を介してロータリキルンの入口フッド又は/及び仮焼炉に接続されており、気流乾燥機の乾燥排ガスダクトは間接熱交換器を介してセメント焼成装置の高温部の排ガス加熱器に接続されており、この排ガス加熱器の出口の加熱・脱臭排ガスダクトは前記間接熱交換器に接続されており、サスペンションプレヒータの排ガスダクトは、サスペンションプレヒータ排ガス誘引ファンを経て分岐され(排ガスの一部が乾燥熱源となるよう)、一方の分岐ダクトが気流乾燥機の解砕機に接続されていることを特徴としている(図1、図4参照)。
【0014】
この装置において、排ガス加熱器をジャケット構造とすることが好ましい(図2参照)。
また、加熱・脱臭排ガスダクトを間接熱交換器の上流側で分岐させ、分岐ダクトを解砕機に接続して、加熱・脱臭排ガスの一部を解砕機に循環させるように構成する場合がある(図1参照)。
前記のセメント焼成装置の高温部を、サスペンションプレヒータ、入口フッド、ロータリキルン及びクーラの少なくともいずれかとすることが好ましい。
【0015】
これらの装置において、集塵器としては、サイクロン又はバグフィルタが用いられる。サイクロンを用いる場合は、リンデン型の入口ダクトを有する円筒部と、この円筒部の下端に連結された略逆円錐台状の上部コーンと、この上部コーンの下部にこの上部コーンの下端を挿入するように連結された下部に排出口を有する略逆円錐状の下部コーンと、円筒部の中心部に上端が出口部として突出するように上方から挿入された内筒とからなり、上部コーンの下端の内径D1は内筒の内径dの0.9〜1.1倍、すなわちD1=0.9〜1.1dとなっているサイクロンを用いることが好ましい(図3参照)。この場合、下部コーンの天壁が略水平であるように構成することが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施の形態に何ら限定されるものではなく、適宜変更して実施することができるものである。
図1は本発明の実施の第1形態による汚泥の処理装置を示している。下水汚泥、産廃汚泥等の汚泥の脱水ケーキが車輛10等により運搬されて汚泥ケーキ受入室12内の汚泥ケーキタンク14に貯留される。16は汚泥ケーキ排出機、18は臭気ファンである。
【0017】
汚泥ケーキタンク14の汚泥ケーキは汚泥ケーキ排出機16により排出されて気流乾燥機20の混合部22に供給され、循環乾粉と混合される。
この気流乾燥機20は、汚泥ケーキと気流乾燥された乾燥粉の一部とを混合する前記の混合部22と、この混合部22からの混合粉を熱風流とともに解砕する解砕機24と、解砕された粉体を気流乾燥させる略鉛直方向の乾燥ダクト26と、この乾燥ダクト26の上端に接続された集塵器、例えば、乾粉サイクロン28と、このサイクロン28の上部に接続された乾燥機排ガスダクト30と、このサイクロン28の下部に排出機32を介して接続された乾燥供給タンク39内の乾粉供給装置34とを有している。この乾粉供給装置34の下側には、乾粉の一部を循環させる循環乾粉供給機36が設けられ、この循環乾粉供給機36に汚泥ケーキ投入口38が接続されて、混合部22が形成されている。乾粉供給タンク39は、乾粉供給装置34及び循環乾粉供給機36を有している。
【0018】
一方、セメント焼成装置40は、複数段、例えば4段のサイクロンC1、C2、C3、C4からなるサスペンションプレヒータ42と、このサスペンションプレヒータ42の最下段のサイクロンC1に連結された仮焼炉44と、この仮焼炉44及び最下段のサイクロンC1に、入口フッド46を介して接続されたロータリキルン48と、このロータリキルン48の出口部に連結されたクーラ50とを有している。52はセメント原料投入口、54は仮焼炉バーナ、56はキルンバーナである。
【0019】
気流乾燥機20の乾粉供給装置34は、定量供給機58及び乾粉空気輸送装置60を介してロータリキルン48の入口フッド46、窯前又は/及び仮焼炉44に接続されている。
また、気流乾燥機20の乾燥排ガスダクト30は乾燥ガスファン62及び間接型の熱交換器64を介してセメント焼成装置40の高温部の排ガス加熱器66に接続されている。この高温部としては、サスペンションプレヒータ、入口フッド、ロータリキルン、クーラ等の1箇所以上を使用することができる。図1においては、高温部の排ガス加熱器66を、サスペンションプレヒータの第1サイクロンC1に設けた場合を示している。
【0020】
排ガス加熱器66は、図2に示すように、ジャケット構造とすることが好ましい。68はジャケット、70は耐火物である。
排ガス加熱器66の出口の加熱・脱臭排ガスダクト72は熱交換器64に接続されている。75はブリードガス管である。また、サスペンションプレヒータの排ガスダクト74は、サスペンションプレヒータ排ガス誘引ファン76を介して、一方の排ガス分岐ダクト77が気流乾燥機20の解砕機24に接続されている。他方の排ガス分岐ダクト79からのサスペンションプレヒータ排ガスは、セメント製造装置等の乾燥粉砕機等を経由して排ガス処理装置へ送られる。
【0021】
加熱・脱臭排ガスダクト72は熱交換器64の上流側で分岐しており、この分岐ダクト78は解砕機24に接続されて、加熱・脱臭排ガスの一部が解砕機24に循環されるように構成されている。
【0022】
集塵器として、図1ではサイクロン28を用いる場合を示しているが、バグフィルタを用いることもある。サイクロンを用いる場合は、図3に示すような高効率サイクロン28aを用いることが好ましい。この高効率サイクロン28aは、リンデン型、例えば半リンデン型の入口ダクト82を有する円筒部86と、この円筒部86の下端に連結された略逆円錐台状の上部コーン88と、この上部コーン88の下部にこの上部コーン88の下端を挿入するように連結された、下部に排出口93を有する略逆円錐状の下部コーン92と、円筒部86の縦方向中心部に上端が出口部84として突出するように上方から挿入固定された内筒85とからなっている。そして、上部コーン88の下端の内径D1は、内筒85の内径dの0.9〜1.1倍、すなわちD1=0.9d〜1.1dとなっている。また、下部コーン92の天壁は略水平となっている。このような構造のサイクロンを使用することにより、乾燥ダクト26からの気流中のダスト(乾粉)を効率よく捕集することができる。
【0023】
汚泥ケーキ受入室(汚泥ケーキ受入建家)12は密閉構造とされており、常時又は断続的に臭気を排出するように構成されている。なお、搬入口は2重扉にすることが好ましい。汚泥ケーキタンク14からの汚泥ケーキに気流乾燥させた汚泥の循環乾粉を混合部22で混合攪拌して水分を調整する。ついで、この混合粉(塊状物)をサスペンションプレヒータ排ガスの一部、及び加熱・脱臭排ガスの一部(循環ガス)からなる熱風流とともに解砕機24で解砕した後、乾燥ダクト26内で乾燥させサイクロン28で集塵して乾燥粉を得る。なお、解砕機24は、例えばケージの回転により、塊状物を解砕しながら熱風流に随伴させる構造のものである。
【0024】
乾粉循環量は投入汚泥の数倍必要であるので、乾粉サイクロンの効率は98%以上であることが必要である。効率98%未満では、ブリードガス(系外への排出ガス)とともに排出されるダストが多く、無意味なものとなる。
汚泥ケーキの水分は80%前後、キルンに吹き込む乾粉の水分は10〜15%が熱経済的に好ましい。また、循環乾粉量を極力少なくして、混合粉の水分を25〜30%とし、ハンドリングの容易なものとする。これらのことから、循環乾粉量は投入汚泥の固形分の数倍から十数倍になる。
【0025】
乾粉供給装置34で抜き出された乾燥粉は定量供給機58により定量され、一定量がロータリキルンの入口フッド46、キルンの窯前又は/及び仮焼炉44に吹き込まれ、汚泥中の有機物の燃焼熱が有効に利用される。なお、乾燥粉を仮焼炉44へ吹き込むように構成することが好ましい。汚泥焼成物はセメント原料焼成物とともにクーラ50で冷却されてセメントクリンカとして抜き出される。
セメント焼成装置の高温部、例えば最下段のサイクロンC1に設けられた排ガス加熱器66に、熱交換器64で予熱された気流乾燥機排ガスを導入して加熱・脱臭し、加熱・脱臭された気流乾燥機排ガスの一部を解砕機24に循環し、加熱・脱臭された気流乾燥機排ガスの残部とサイクロン28からの排ガスとを熱交換器64で熱交換させて、サイクロン28からの排ガスを予熱する。
【0026】
ロータリキルン48への乾粉吹込量は、投入汚泥から放散ダストを差し引いたものである。すなわち、乾粉供給タンク39の貯留量は一定である。
乾燥機排ガス中の水分を高くするほど、循環ガス量が増加し、ブリードガス量及びサスペンションプレヒータ排ガス分取量が減少する。したがって、乾燥装置の熱効率、焼成設備の熱消費とも向上する。ただし、サスペンションプレヒータ排ガス中のダストによる乾粉の脱臭効果を得るためには、乾燥機排ガス中の水分は60%程度が上限である。
【0027】
また、乾燥機排ガスを600℃以上に加熱すると、完全に脱臭できるので、排ガス加熱器66は内部温度700℃以上の領域に設ける。この領域が高温になるほど、加熱器の伝熱面積が小さくなり経済的である。なお、仮焼炉44及びサスペンションプレヒータ42内部では、常にセメント原料が内壁面を摺動しているので、伝熱係数は非常に高い。
汚泥ケーキ受入室12で発生した臭気は、臭気ファン18によりロータリキルン48又は/及び仮焼炉44へ供給され、燃焼用空気として用いられる。なお汚泥ケーキ受入室12で発生した臭気を乾燥機排ガスに混入する場合もある。
【0028】
サスペンションプレヒータは、並流熱交換器(サイクロン)を4〜5段(図1では一例として4段)直列に接続したものであるので、つぎのような特徴を有している。
(1) 排ガス原単位(Nm3 /kg−クリンカ)が増加すると、それが高温部ほど、サスペンションプレヒータ(以下、SPと記す)排ガス温度も上昇するので、SP排ガス損失(ガス量×温度)が倍増し、熱消費への影響は非常に大きい。
(2) 排ガス原単位が増加せず、放熱、吸熱(汚泥水分の蒸発)によりガス温度が低下する場合は、SP排ガス温度も低下するので、熱消費への影響は半減する。ただし、仮焼炉以前で温度低下すると、もろに仮焼炉での燃焼量が増加する。
(3) 仮焼炉以降で発熱(汚泥有機物の燃焼)すると、SP排ガス温度が上昇するので、熱消費改善効果は半減する。
【0029】
図4は本発明の実施の第2形態による汚泥の処理装置を示している。本実施形態は、加熱・脱臭された気流乾燥機排ガスの一部を解砕機に循環することなく、解砕機24の熱源のすべてをSP排ガスとしたものであり、混合粉とSP排ガス中のダスト(アルカリ成分含有量大)との混合・接触がより良好となって、乾粉の臭気をより確実に除去するようにしたものである。他の構成及び作用は実施の第1形態の場合と同様である。
【0030】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成されているので、つぎのような効果を奏する。
(1) 汚泥と循環乾粉との混合粉と、SP排ガス中ダスト(アルカリリッチ)との混合・接触が良好に行われるので、乾粉の臭気はほとんど除去され乾燥機排ガスの脱臭が容易になる。
(2) 気流乾燥機排ガスを予熱する熱交換器を設けているので、熱消費を悪化させることはない。また、予熱された乾燥機排ガスをセメント焼成装置の高温部で加熱・脱臭するので、乾燥機排ガスを無臭化して大気に放出することができる。
(3) 汚泥ケーキは水分80%程度で、非常に付着性が強いが、乾粉と混合して付着しない水分含有量の混合粉に調整するので、輸送機、乾燥機等での付着トラブルが防止される。
(4) 乾粉をセメント焼成装置(以下、焼成設備と記す)に吹き込むので、排ガス量及び焼成熱量を増加させずに、汚泥をセメント原料及び燃料として利用・処理できる。
(5) 乾粉とセメント原料との混合が良好であるので、セメントクリンカの品質が安定する。
(6) 乾燥機排ガスを焼成設備内の高温部の排ガス加熱器で間接加熱することにより、完全に脱臭することができる。
(7) 排ガス加熱器内でダスト中の有機物が燃焼するので、焼成設備内ガス温度の低下を小さくすることができる。
(8) 気流乾燥機の集塵器を高効率のものにする場合は、汚泥乾粉とともに焼成設備に吹き込むSP排ガスダストを少なくすることができ、焼成用熱消費の悪化を抑えることができる。
(9) 上記の(4)、(5)、(7)、(8)により、従来、セメント生産量の1割程度であった汚泥処理量を大幅に増加させることができる。
(10) 加熱・脱臭された乾燥機排ガスの一部を乾燥熱源として解砕機に循環使用する場合は、大気に放出される排ガス及びダストを大幅に減少させることができ、また、焼成設備に吹き込むSPダストも大幅に減少させることができるので、焼成設備の熱消費を低減させることができる。
(11) 解砕機への排ガス循環を行う場合は、排ガス循環量により、排ガス中水分の調整が可能となり、乾粉循環量、脱臭効果、熱消費、設備費用等総合的に最適な設備を計画することができる。
(12) 乾粉供給装置を備えた乾粉供給タンクがバッファーになるので、汚泥ケーキ受入から乾燥機投入までの間のトラブルが生じても、焼成設備への乾粉投入を停止しなくてもよい。
(13) 汚泥ケーキ受入時に発生する臭気を焼成設備の燃焼用1次空気として回収する場合は、熱消費を悪化させることなく脱臭することができる。なお、汚泥ケーキ受入時に発生する臭気を乾燥機排ガスに混入してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態による汚泥の処理装置を示す系統的概略構成図である。
【図2】図1における排ガス加熱器の一例を示す縦断面説明図である。
【図3】図1におけるサイクロンの一例を示す立面説明図である。
【図4】本発明の実施の第2形態による汚泥の処理装置を示す系統的概略構成図である。
【符号の説明】
10 車輛
12 汚泥ケーキ受入室(汚泥ケーキ受入建家)
14 汚泥ケーキタンク
16 汚泥ケーキ排出機
18 臭気ファン
20 気流乾燥機
22 混合部
24 解砕機
26 乾燥ダクト
28 サイクロン
28a 高効率サイクロン
30 乾燥機排ガスダクト
32 排出機
34 乾粉供給装置
36 循環乾粉供給機
38 汚泥ケーキ投入口
39 乾粉供給タンク
40 セメント焼成装置
42 サスペンションプレヒータ
44 仮焼炉
46 入口フッド
48 ロータリキルン
50 クーラ
52 セメント原料投入口
54 仮焼炉バーナ
56 キルンバーナ
58 定量供給機
60 乾粉空気輸送装置
62 乾燥ガスファン
64 熱交換器
66 排ガス加熱器
68 ジャケット
70 耐火物
72 加熱・脱臭排ガスダクト
74 排ガスダクト
75 ブリードガス管
76 サスペンションプレヒータ排ガス誘引ファン
77、79 排ガスダクト
78 分岐ダクト
82 入口ダクト
84 出口部
85 内筒
86 円筒部
88 上部コーン
92 下部コーン
93 排出口

Claims (14)

  1. 汚泥ケーキタンクからの汚泥ケーキに気流乾燥させた汚泥の循環乾燥粉を混合攪拌して水分を調整し、ついで、この混合粉をセメント焼成装置のサスペンションプレヒータ排ガスを熱源とする気流乾燥機の解砕機で解砕した後、乾燥ダクト内で乾燥させ集塵器で集塵して乾燥粉を得、この乾燥粉の一定量をロータリキルン又は/及び仮焼炉に吹き込んでセメントクリンカ焼成用燃料の一部として利用し、かつ、焼成物をセメント原料焼成物とともに冷却してセメントクリンカを得る方法であって、
    セメント焼成装置の高温部を乾燥機排ガスを間接加熱する排ガス加熱部とし、この排ガス加熱部に気流乾燥機排ガスを導入して加熱・脱臭し、加熱・脱臭された気流乾燥機排ガスと気流乾燥機の集塵器からの気流乾燥機排ガスとを熱交換させて、集塵器からの気流乾燥機排ガスを予熱することを特徴とする汚泥の処理方法。
  2. 予熱された気流乾燥機排ガスを排ガス加熱部で600℃以上に加熱・脱臭する請求項1記載の汚泥の処理方法。
  3. 汚泥ケーキに混合する乾粉の循環量を、混合粉の水分が30%以下になるように調整する請求項1又は2記載の汚泥の処理方法。
  4. 加熱・脱臭された気流乾燥機排ガスの一部を気流乾燥機の解砕機に循環させ、サスペンションプレヒータ排ガスと混合させて気流乾燥機の熱源とする請求項1、2又は3記載の汚泥の処理方法。
  5. 加熱・脱臭された気流乾燥機排ガスの気流乾燥機への循環量を、この排ガス中の水分が30〜60%になるように調整する請求項4記載の汚泥の処理方法。
  6. 汚泥ケーキを汚泥ケーキタンクに受け入れる時に発生する臭気を、セメント焼成装置のロータリキルン又は/及び仮焼炉の燃焼用空気とする請求項1〜5のいずれかに記載の汚泥の処理方法。
  7. 汚泥ケーキと後述の気流乾燥機で乾燥された乾燥粉の一部とを混合する混合部と、この混合部からの混合粉を熱風流とともに解砕する解砕機と、解砕された粉体を気流乾燥させる略鉛直方向の乾燥ダクトと、この乾燥ダクトの上端に接続された集塵器と、この集塵器の上部に接続された乾燥機排ガスダクトと、この集塵器の下部に排出機を介して接続された乾粉供給装置を付属した乾粉供給タンクとを有する気流乾燥機と、
    複数段のサイクロンからなるサスペンションプレヒータと、このサスペンションプレヒータの最下段のサイクロンに連結された仮焼炉と、この仮焼炉及び最下段のサイクロンに入口フッドを介して接続されたロータリキルンと、このロータリキルンの出口部に連結されたクーラとを有するセメント焼成装置とを備えた装置であって、
    前記気流乾燥機の乾粉供給装置は定量供給機及び乾粉空気輸送装置を介してロータリキルンの入口フッド又は/及び仮焼炉に接続されており、
    気流乾燥機の乾燥排ガスダクトは間接熱交換器を介してセメント焼成装置の高温部の排ガス加熱器に接続されており、この排ガス加熱器の出口の加熱・脱臭排ガスダクトは前記間接熱交換器に接続されており、サスペンションプレヒータの排ガスダクトは、サスペンションプレヒータ排ガス誘引ファンを経て分岐され、一方の分岐ダクトが気流乾燥機の解砕機に接続されていることを特徴とする汚泥処理装置。
  8. 排ガス加熱器がジャケット構造である請求項7記載の汚泥処理装置。
  9. 加熱・脱臭排ガスダクトを間接熱交換器の上流側で分岐させ、分岐ダクトを解砕機に接続して、加熱・脱臭排ガスの一部を解砕機に循環させるようにした請求項7又は8記載の汚泥処理装置。
  10. セメント焼成装置の高温部がサスペンションプレヒータ、入口フッド、ロータリキルン及びクーラの少なくともいずれかである請求項7、8又は9記載の汚泥処理装置。
  11. 集塵器がサイクロンである請求項7〜10のいずれかに記載の汚泥処理装置。
  12. 集塵器がバグフィルタである請求項7〜10のいずれかに記載の汚泥処理装置。
  13. サイクロンが、リンデン型の入口ダクトを有する円筒部と、この円筒部の下端に連結された略逆円錐台状の上部コーンと、この上部コーンの下部にこの上部コーンの下端を挿入するように連結された下部に排出口を有する略逆円錐状の下部コーンと、円筒部の中心部に上端が出口部として突出するように上方から挿入された内筒とからなり、上部コーンの下端の内径D1は内筒の内径dの0.9〜1.1倍、すなわちD1=0.9〜1.1dとなっている請求項11記載の汚泥処理装置。
  14. 下部コーンの天壁が略水平である請求項13記載の汚泥処理装置。
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