JP2016205695A - 乾燥設備における乾燥系統内の酸素濃度推定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
C={(α−β)/α}×21・・・(1)
α=F×{273/(273+T)}×60/1000・・・(2)
β1=[A×{(X−Y)/100}]×22.4/18・・・(3)
β2={W×60/1000}×100×22.4/18・・・(4)
本実施形態の汚泥乾燥設備1は、例えば、下水汚泥、食品汚泥、製紙スラッジ等の汚泥廃棄物のほかに家畜ふん尿などを含む有機系含水廃棄物の乾燥に広く適用することができる。有機系含水廃棄物の含水率Xは、少なくとも40(質量%)程度である。好ましくは、有機系含水廃棄物の含水率Xが80(質量%)程度であり、汚泥乾燥設備1によって造粒される有機性粉体の含水率Yが10(質量%)程度であるとよい。
有機性粉体は、有機系含水廃棄物を乾燥することによって得られる粉体である。この有機性粉体は、有機系含水廃棄物が、乾燥用ガスとともに汚泥乾燥設備1内を気体搬送されることで造粒される。有機性粉体の含水率Yは、少なくとも25(質量%)以下であり、好ましくは、20(質量%)以下、より好ましくは15(質量%)以下、特に好ましくは10(質量%)以下であるとよい。一方、含水率Yの下限値としては、例えば、5(質量%)程度である。汚泥乾燥設備1によって造粒された有機性粉体は、セメント製造設備40の燃料に使用される。燃料として使用する場合の有機性粉体の粒径は、例えば、1〜5(mm)程度となることが好ましい。
次に、本実施形態の汚泥乾燥設備1について説明する。図2において、汚泥乾燥設備1の構成要素は、その機能に基づいて投入系統及び乾燥系統の2つに区分することができる。このうち、乾燥系統は、セメント製造設備40に接続されている。本実施形態の汚泥乾燥設備1において、セメント製造設備40は、有機系含水廃棄物の乾燥用ガスを昇温させるための熱源であり、かつ、有機系含水廃棄物から造粒した有機性粉体の供給先である。
投入系統は、有機系含水廃棄物を汚泥乾燥設備1に投入するための構成要素である。本実施形態の投入系統は、廃棄物供給源としての受入れホッパ10と、その出口側に配置された混合機11とで構成される。受入れホッパ10は、乾燥前の有機系含水廃棄物を受け入れる部分である。受入れホッパ10は、単位時間当たりに所定量の有機系含水廃棄物を混合機11の側へ送り出す。具体的に、受入れホッパ10の出口は、搬送路21を介して混合機11に接続されている。有機系含水廃棄物は、搬送路21を経由して混合機11に供給される。
乾燥系統は、有機系含水廃棄物を乾燥用ガスとともに循環させることで、有機系含水廃棄物を乾燥させた有機性粉体を造粒するための構成要素である。本実施形態における乾燥用ガスとは、高温に昇温された空気である。
セメント製造設備40は、ロータリキルン41の他に、図示しないサスペンションプレヒータ、仮焼炉、クーラ等を備えている。サスペンションプレヒータは、複数段のサイクロンを含む。仮焼炉は、サスペンションプレヒータの最下段のサイクロンに連結される。ロータリキルン41は、サスペンションプレヒータの最下段のサイクロン及び仮焼炉に接続される。上述した汚泥乾燥設備1の原料タンク17に蓄えられた有機性粉体は、セメント製造設備40に供給され、ロータリキルン41のメインバーナによって燃焼される。図示しないが、セメント製造設備40に供給された有機性粉体は、仮焼炉でも燃焼される。
次に、上述した汚泥乾燥設備1において実施される、乾燥系統内の酸素濃度制御システムの一実施形態について説明する。図3に示す酸素濃度制御システム210は、汚泥乾燥設備1の粉塵爆発を未然に防止するためのものである。粉塵爆発は、乾燥系統内の粉塵濃度及び酸素濃度が一定量に達し、着火源となる火種が生じた場合に起こり得る。酸素濃度制御システム210は、乾燥系統内の酸素濃度C(体積%)を演算により推定し、推定された酸素濃度C(体積%)が閾値を超えた場合に、粉塵爆発を防止するための処理を実行する。
汚泥乾燥設備1の粉塵爆発は、乾燥系統内の水蒸気量の減少を起因とした酸素濃度の上昇によって引き起こされるものと考えられる。図1に示す乾燥系統モデルにおいて、乾燥系統内の水蒸気量βは、乾燥系統内に供給される水分量と空気量δとの比率に収束する。そして、乾燥系統内での燃焼反応が無いと仮定すると、乾燥系統内の気体組成は水蒸気及び空気である。乾燥系統内に供給される空気中の酸素濃度γは21%、空気中の水分は0%とする。
C={(α−β)/α}×21・・・(1)
系外排出風量算出手段211は、排蒸気ファンB2の電流値(A)に基づいて、汚泥乾燥設備1の乾燥系統外に排出される系外排出風量α(kNm3/h)を算出する。
α=F×{273/(273+T)}×60/1000・・・(2)
動力(kW)=√3×0.44×排蒸気ファン電流値(A)×0.8・・・(2−1)
風量F(m3/min)=16.7×動力(kW)−150.5・・・(2−2)
水蒸気量算出手段212は、汚泥乾燥設備1の乾燥系統内で生成される水蒸気量β(kNm3/h)を算出する。上述のとおり、乾燥系統内で生成される水蒸気量β(kNm3/h)は、乾燥系統内に供給される水分量に依存する。本実施形態の汚泥乾燥設備1においては、有機系含水廃棄物に含まれる水分に由来する水蒸気量β1(kNm3/h)と、散水装置18、19の散水に由来する水蒸気量β2(kNm3/h)とがある。したがって、本実施形態の水蒸気量算出手段212には、乾燥系統内で生成される水蒸気量β(kNm3/h)の算出するにあたり、以下の2通りの方法を選択することが可能である。
β1=[A×{(X−Y)/100}]×22.4/18・・・(3)
β2={W×60/1000}×100×22.4/18・・・(4)
酸素濃度算出手段213は、上述した系外排出風量α(kNm3/h)、水蒸気量β(kNm3/h)及び乾燥系統内に供給される空気中の酸素濃度γ=21(%)に基づいて、下記式(1)から乾燥系統内の酸素濃度C(体積%)を算出する。
C={(α−β)/α}×21・・・(1)
酸素濃度監視手段214には、上記式(1)によって算出される乾燥系統内の酸素濃度C(体積%)の閾値として、上述した限界酸素濃度(例えば、12.5(体積%))の値が設定されている。酸素濃度監視手段214は、常時、酸素濃度算出手段213から上記式(1)の算出結果を取得し、乾燥系統内の酸素濃度C(体積%)が限界酸素濃度の値以上か否かを監視する。例えば、酸素濃度監視手段214は、乾燥系統内の酸素濃度C(体積%)が所定時間(例えば、数秒)の間、継続して限界酸素濃度の値以上となった場合に、検知信号を出力する。
報知手段215は、液晶ディスプレイなどの画像表示装置202、及びスピーカなどの音声出力装置203に接続されている。報知手段215は、酸素濃度監視手段214の検知信号に基づいて、画像表示装置202及び音声出力装置203に、表示及び音による報知を実行させる。
散水量制御手段216は、散水装置18、19に接続されている。散水量制御手段216は、上述した限界酸素濃度(例えば、12.5(体積%))の値が設定されている。散水量制御手段216は、酸素濃度監視手段214の検知信号に基づいて、散水装置18、19を駆動させ、酸素濃度C(体積%)が限界酸素濃度以下となるように、散水装置18、19による散水量W(L/min)を制御する。
ここで、上述した限界酸素濃度について説明する。下記の試料、試験条件、試験方法で限界酸素濃度測定を行った。この限界酸素濃度測定では、限界酸素濃度と推定される濃度付近で種々濃度を変えて測定を行い、3回中1回も爆発しなくなるときの酸素濃度を、本実施形態における「限界酸素濃度」とした。この限界酸素濃度測定により得られた限界酸素濃度の値は、12.5(体積%)である。
・原料タンク(図2の符号17を参照)から採取した乾燥汚泥
・乾燥汚泥の粒径:63μmアンダー(篩下)
・試験装置の名称
密閉型吹上げ式粉塵爆発試験装置(蕪木化学器械工業株式会社製)
・圧力センサー
歪ゲージ式圧力センサー
・測定室の温度、湿度
温度:23℃、湿度:52%
・爆発円筒の容積
1.84L
・圧縮空気吹出し圧力
2.0×105Pa(G)
・放電開始時間
0.15秒
試料を天秤で秤量して試料容器に均一に仕込み、一旦系内を真空排気する。次に、予め空気、窒素で所定の酸素濃度に調整した混合ガスを、爆発円筒に大気圧まで充填し、吹出しタンクに所定の圧力まで仕込む。そして、混合ガスを吹込んで粉塵雲を形成し、電気火花で着火する。爆発の有無は、爆発円筒上部に取り付けてある圧力センサーで爆発圧力を検知し、次の○、△、×の基準によって判定する。
○ 爆発:爆発圧力>0.5×105Pa
△ 爆発:0.1×105Pa≦爆発圧力≦0.5×105Pa
× 不爆:上昇圧力<0.1×105Pa
試験結果を図4〜図7に示す。なお、図4〜図6中の「最大圧力上昇速度」は、圧力波形から10msec間での最大勾配により求める。
本実施形態に係る酸素濃度制御システム210を用いたシミュレーションの結果を図8に示す。このシミュレーションにおける有機系含水廃棄物は、汚泥廃棄物である。図8の縦欄の数値は、受入れホッパ10への汚泥投入量(t/h)である。本実施例の汚泥廃棄物の含水率Xは80(%)に設定した。この汚泥廃棄物を乾燥させて得られる有機性粉体の含水率Yは10(%)に設定した。汚泥投入量は、0.5(t/h)刻みで0.0〜7.0(t/h)の範囲で変化させた。また、図8横欄の数値は、排蒸気ファン電流(A)であり、1(A)刻みで33〜44(A)の範囲で変化させた。図8中の汚泥投入量(t/h)と排蒸気ファン電流(A)との関係において、上記式(1)〜(3)を用いて乾燥系統内の酸素濃度C(体積%)を算出した。図8中の太い実線で囲った箇所は、実際の排蒸気ファンB2の運転範囲を示す。一方、図8中の細い点線で囲った箇所は、乾燥系統内の酸素濃度Cが限界酸素濃度12.5(体積%)未満の安全域を示す。
2 制御室
10 受入れホッパ
11 混合機
12 解砕機
13、14 サイクロン
15 風量計
16 熱交換器
17 原料タンク
18、19 散水装置
21 搬送路
22〜25 廃棄物循環路
31 ガスライン
32A 熱交換ライン
32B バイパスライン
33 戻りガスライン
34、35 ガスライン
36 ガスライン
40 セメント製造設備
41 ロータリキルン
201 演算処理装置
202 画像表示装置
203 音声出力装置
210 酸素濃度制御システム
211 系外排風量算出手段
212 水蒸気量算出手段
213 酸素濃度算出手段
214 酸素濃度監視手段
215 報知手段
216 散水制御手段
B1 乾燥ファン
B2 排蒸気ファン
B3 熱源ファン
P1 接続部
P2 分岐部
V1〜V4 弁
Claims (5)
- 有機系含水廃棄物を乾燥させて有機性粉体を造粒する乾燥設備において、乾燥系統内の気体組成が水蒸気及び空気を含み、前記有機系含水廃棄物が昇温された気体とともに循環される乾燥系統内の酸素濃度推定方法であって、
前記乾燥系統内の酸素濃度C(体積%)が、前記乾燥系統外に排出される系外排出風量α(kNm3/h)と、前記乾燥系統内で生成される水蒸気量β(kNm3/h)と、前記乾燥系統内に供給される空気中の酸素濃度γ=21(%)とに基づいて、下記式(1)から算出されることを特徴とする乾燥系統内の酸素濃度推定方法。
C={(α−β)/α}×21・・・(1) - T(℃)における前記系外排出風量α(kNm3/h)が、前記乾燥系統に備えられた排蒸気ファンの性能曲線から決定される風量F(m3/min)に基づいて、下記式(2)から算出される請求項1に記載の乾燥系統内の酸素濃度推定方法。
α=F×{273/(273+T)}×60/1000・・・(2) - 前記水蒸気量β(kNm3/h)が、前記有機系含水廃棄物由来の水蒸気量β1(kNm3/h)であり、前記有機系含水廃棄物の投入量A(t/h)と、前記有機系含水廃棄物の含水率X(%)と、前記有機性粉体の含水率Y(%)とに基づいて、下記式(3)から算出される請求項1又は2に記載の乾燥系統内の酸素濃度推定方法。
β1=[A×{(X−Y)/100}]×22.4/18・・・(3) - 前記水蒸気量β(kNm3/h)が、前記有機系含水廃棄物由来の水蒸気量β1(kNm3/h)と、前記乾燥系統内に設けられた散水装置由来の水蒸気量β2(kNm3/h)との合計であり、前記水蒸気量β1(kNm3/h)は、上記式(3)から算出され、前記水蒸気量β2(kNm3/h)は、前記散水装置による散水量W(L/min)と、含水率100(%)とに基づいて、下記式(4)から算出される請求項3に記載の乾燥系統内の酸素濃度推定方法。
β2={W×60/1000}×100×22.4/18・・・(4) - 前記乾燥設備が汚泥乾燥設備である請求項1〜4のいずれか1項に記載の乾燥系統内の酸素濃度推定方法。
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