JP4616398B2 - 多層抄きインクジェット用はがき用紙 - Google Patents
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Description
1.古紙パルプに含まれる残留インキや除去しきれないゴミなどの影響によって夾雑物が増加すること。
2.リサイクルが進むと繊維の角質化、短繊維化などの影響によって各種強度(例えば、紙力、内部結合強度、引張強度、引裂強度、破裂強度など)が低下すること。
3.前記2を解消するために、過度な紙力増強剤の使用、過度なパルプの叩解が必要となるが、結果としてインクジェット印字適性が低下すること。
4.古紙処理工程で使用する脱墨剤などの界面活性剤が残留するため、基紙が剥き出しである宛名面に印字したときにはフェザリングが発生すること(フェザリングとは、非特許文献1に記載のとおり、いわゆるインク受容層を特別に設けない紙基材表面での滲みを表現するものである。)。
5.インク受容層を設ける場合にも、塗工液の浸透ムラが発生しやすくなる。結果としてインク受容層表面での滲みが発生すること。
6.郵便はがきは、その宛名面に自動区分機を通るときに無色透明の蛍光染料インク(不可視インク)によってバーコードを印字するが(郵便番号と宛名住所を同時に読み取り、その読み取った住所情報をバーコード化して郵便はがきに印字する。)、市場にある古紙の大半が蛍光染料を使用したものであるため、当然これを使用すると蛍光強度の高いはがき用紙となるので、このバーコードを読み取ることができず、後に自動区分する(郵便はがきを配達順に並べ替える(道順組立))ときに支障を来たすこと(非特許文献2参照。)。
古紙パルプを含ませたときに増加する蛍光によるバーコード読み取りの不良の問題を生じさせず、更には印刷強度などの印刷適性が良好なインクジェット用はがき用紙を提供することを目的とする。
(数1)古紙パルプ配合割合(%)=古紙パルプ配合量÷(バージンパルプ配合量+古紙パルプ配合量)×100
<基紙の作製>
表面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ100部(表面層の離解フリーネス500ml)、中間層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ10部及び未叩解上質系古紙パルプ90部(中間層の離解フリーネス500ml)、裏面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ100部(裏面層の離解フリーネス500ml)の各パルプ原料に対して、表面層、中間層、裏面層共通でカチオン化澱粉(ネオタック40T、日本食品加工社製)を1.0部、酸性ロジンサイズ剤0.1部(AL1212、星光PMC製)、液体硫酸バンド1部、及びタルクを灰分5%になるよう添加量を調整して配合した紙料を各々長網抄紙機にて抄紙し、表面層坪量60g/m2、中間層坪量60g/m2、裏面層坪量60g/m2の3層を抄き合わせ180g/m2の基紙を製造した。
<サイズ液の塗布>
酸化澱粉(王子エースA:王子コーンスターチ社製)糊液をサイズ液とし、基紙の両面に乾燥塗工量が片面当たり1g/m2となるようにサイズプレスで塗布し、シリンダードライヤーで乾燥した。スチールカレンダーを用いて線圧40kg/cm、25℃、2ニップ1パスの条件で表面処理を行った。
<インク受容層用塗工液の調製>
合成非晶質シリカ(ニップジェルBY400:東ソーシリカ社製)100部に、水とpH調整剤として酢酸0.5部を添加し、カウレス分散機で28%の顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーにポリビニルアルコール15部(PVA−117:クラレ社製)、ポリエチレン酢酸ビニルバインダー35部(スミカフレックス450:住友化学社製)、及びインク定着剤15部(SR1001:田岡化学社製)を添加・攪拌し、更に水を添加し、固形分濃度が20%の塗工液を得た。
<インク受容層の形成>
得られたインク受容層用塗工液を通信面に乾燥塗工量が8g/m2となるようにエアナイフコーターで塗工し、エアドライヤーで熱風乾燥した。さらに、ソフトカレンダーを用いて線圧30kg/cm、25℃、2ニップ1パスの条件で表面処理を行い、インクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプ配合割合は、30%となった。
表面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ60部及び未叩解上質系古紙パルプ40部(表面層の離解フリーネス500ml)とし、中間層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ50部及び未叩解上質系古紙パルプ50部(中間層の離解フリーネス500ml)とした以外は、実施例1に準じインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプ配合割合は、30%となった。
表面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ80部及び未叩解上質系古紙パルプ20部(表面層の離解フリーネス500ml)とし、中間層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ30部及び未叩解上質系古紙パルプ70部(中間層の離解フリーネス500ml)とし、裏面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ100部(裏面層の離解フリーネス500ml)とした以外は、実施例1に準じインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプ配合割合は、30%となった。
表面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ100部(表面層の離解フリーネス500ml)とし、中間層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ25部及び未叩解上質系古紙パルプ75部(中間層の離解フリーネス500ml)とし、裏面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ85部及び未叩解上質系古紙パルプ15部(裏面層の離解フリーネス500ml)とした以外は、実施例1に準じインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプ配合割合は、30%となった。
表面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ100部(表面層の離解フリーネス500ml)とし、中間層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ20部及び未叩解上質系古紙パルプ80部(中間層の離解フリーネス500ml)とし、裏面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ90部及び未叩解上質系古紙パルプ10部(裏面層の離解フリーネス500ml)とした以外は、実施例1に準じインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプ配合割合は、30%となった。
表面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ60部及び未叩解上質系古紙パルプ40部(表面層の離解フリーネス500ml)とし、中間層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ20部及び未叩解上質系古紙パルプ80部(中間層の離解フリーネス500ml)とし、裏面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ85部及び未叩解上質系古紙パルプ15部(裏面層の離解フリーネス500ml)とした以外は、実施例1に準じインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプ配合割合は、45%となった。
表面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ80部及び未叩解上質系古紙パルプ20部(表面層の離解フリーネス500ml)とし、中間層のパルプ配合を未叩解上質系古紙パルプ100部(中間層の離解フリーネス500ml)とし、裏面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ85部及び未叩解上質系古紙パルプ15部(裏面層の離解フリーネス500ml)とした以外は、実施例1に準じインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプ配合割合は、45%となった。
表面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ60部及び未叩解上質系古紙パルプ40部(表面層の離解フリーネス500ml)とし、中間層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ15部及び未叩解上質系古紙パルプ85部(中間層の離解フリーネス500ml)とし、裏面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ90部及び未叩解上質系古紙パルプ10部(裏面層の離解フリーネス500ml)とした以外は、実施例1に準じインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプ配合割合は、45%となった。
表面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ100部(表面層の離解フリーネス500ml)とし、中間層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ40部及び未叩解上質系古紙パルプ60部(中間層の離解フリーネス500ml)、裏面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ100部(裏面層の離解フリーネス500ml)とし、表面層坪量45g/m2、中間層を坪量45g/m2の層で2層抄き合せ、裏面層坪量45g/m2を抄き合わせ180g/m2としたこと以外は、実施例1に準じインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプ配合割合は、30%となった。
表面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ55部及び未叩解上質系古紙パルプ45部(表面層の離解フリーネス500ml)とし、中間層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ10部及び未叩解上質系古紙パルプ90部(中間層の離解フリーネス500ml)とし、裏面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ85部及び未叩解上質系古紙パルプ15部(裏面層の離解フリーネス500ml)とし、表面層坪量45g/m2、中間層を坪量45g/m2の層で2層抄き合せ、裏面層坪量45g/m2を抄き合わせ180g/m2としたこと以外は、実施例1に準じインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプ配合割合は、60%となった。
上質系古紙パルプの未叩解のフリーネスは、500mlであり、これを、ビーターを用いて4%濃度で単独叩解して、フリーネスを430mlとした。したがって、フリーネス差異値を70mlとした。フリーネス差異値が70mlの上質系古紙パルプを用いた以外は、実施例1に準じインクジェット用はがき用紙を作製した。中間層の離解フリーネスは437ml、基紙全体の古紙パルプ配合割合は、30%となった。
表面層、中間層、裏面層の離解フリーネスを各々550mlとしたこと以外は、実施例1に準じインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプ配合割合は、30%となった。
表面層、中間層、裏面層の離解フリーネスを各々400mlとしたこと以外は、実施例1に準じインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプ配合割合は、30%となった。
インク受容層の乾燥塗工量を6g/m2としたこと以外は、実施例1に準じインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプ配合割合は、30%となった。
インク受容層の乾燥塗工量を12g/m2としたこと以外は、実施例1に準じインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプ配合割合は、30%となった。
中間層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ40部及び未叩解上質系古紙パルプ60部(中間層の離解フリーネス500ml)としたこと以外は、実施例1に準じインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプ配合割合は、20%となった。
表面層、中間層、裏面層の離解フリーネスを各々600mlとしたこと以外は、実施例1に準じインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプ配合割合は、30%となった。
表面層、中間層、裏面層の離解フリーネスを各々350mlとしたこと以外は、実施例1に準じインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプ配合割合は、30%となった。
インク受容層の乾燥塗工量を4g/m2としたこと以外は、実施例1に準じインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプ配合割合は、30%となった。
インク受容層の乾燥塗工量を15g/m2としたこと以外は、実施例1に準じインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプ配合割合は、30%となった。
表面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ65部及び未叩解上質系古紙パルプ35部(表面層の離解フリーネス500ml)とし、中間層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ100(中間層の離解フリーネス500ml)とし、裏面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ75部、未叩解上質系古紙パルプ25部(裏面層の離解フリーネス500ml)とした以外は、実施例1に準じインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプ配合割合は、30%となった。
表面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ15部及び未叩解上質系古紙パルプ85部(表面層の離解フリーネス500ml)とし、中間層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ100(中間層の離解フリーネス500ml)とし、裏面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ85部、未叩解上質系古紙パルプ15部(裏面層の離解フリーネス500ml)とした以外は、実施例1に準じインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプ配合割合は、30%となった。
表面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ60部及び未叩解上質系古紙パルプ40部(表面層の離解フリーネス500ml)とし、中間層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ100(中間層の離解フリーネス500ml)とし、裏面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ50部、未叩解上質系古紙パルプ50部(裏面層の離解フリーネス500ml)とした以外は、実施例1に準じインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプ配合割合は、30%となった。
単層抄きでパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ70部及び未叩解上質系古紙パルプ30部(表面層の離解フリーネス500ml)とし、180g/m2の基紙を製造した以外は、実施例1に準じインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプ配合割合は、30%となった。
中間層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ45部及び未叩解上質系古紙パルプ55部(中間層の離解フリーネス500ml)としたこと以外は、実施例1に準じインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプ配合割合は、18%となった。
得られたインクジェット記録用はがきは、23℃−50%RHの恒温恒湿室で24時間調湿後、同環境下でそれぞれ次に示す方法によって、評価を行った。
紙塵測定装置DF1000(Ver3.00)(王子計測機器社製)を用いて夾雑物の合計面積を測定した。なお、測定条件として、M.D.A.(minimum detection area)=0.05mm2、しきい値を34とした。
◎…夾雑物の視感が非常に少なく、夾雑物の合計面積が3.0mm2/m2未満(実用レベル)、○…夾雑物の視感が少なく、夾雑物の合計面積が3.0mm2/m2以上10.0mm2/m2未満(実用レベル)、△…夾雑物の視感がやや多く、夾雑物の合計面積が10.0mm2/m2以上20.0mm2/m2未満(実用下限レベル)、×…夾雑物の視感が非常に多く、夾雑物の合計面積が20.0mm2/m2以上(実用に適さない)。
市販のフルカラーインクジェットプリンター(商品名:PM−900C、セイコーエプソン社製)を用いて、通信面には写真画像をフルカラーインクで印字し、宛名面にはブラックインクだけで文字を印字し、通信面は画像細部のムラの他、境界部の滲み、発色の鮮やかさなどを目視観察、宛名面はフェザリングなどを目視観察してインクジェット印字適性を評価した。
◎…優れている(実用レベル)、○…良い(実用レベル)、△…やや劣る(実用下限レベル)、×…劣る(実用に適さない)。
J TAPPI紙パルプ試験方法No12−76で規定する測定方法に従い、宛名面のペン書きサイズ度を測定し評価した。
◎…6(実用でき、良好)、○…5(実用下限)、△…4(不適)、×…3以下(不適)。
実機印刷機(リョービ社製、リョービ3302M)を用いて、宛名面側に郵便番号枠、切手貼り付け枠、及びテストパターンを印刷し、白抜け部、剥けの有無によって印刷強度を評価、ブランケットの汚れの程度によって作業性を評価した。
印刷面の評価:◎…実用レベル以上、○…実用レベル、△…やや支障あり(実用下限)、×…印刷不可。
Claims (5)
- 3層以上の多層抄きの基紙の片面側に顔料を主体として含有するインク受容層を設け、前記基紙の反対面側にはインク受容層を設けずに基紙を剥き出しの状態とし、かつ、前記基紙全体の古紙パルプ配合割合が20質量%以上である多層抄きインクジェット用はがき用紙において、
前記基紙の層のうち、前記インク受容層と接する層を表面層、反対側の層を裏面層、該表面層と該裏面層との中間に位置する層を中間層とそれぞれ表記したとき、該中間層が1層以上で形成され、かつ、該中間層の古紙パルプ配合割合が50質量%以上であり、かつ、前記裏面層の古紙パルプ配合割合が0質量%以上20質量%未満であることを特徴とする多層抄きインクジェット用はがき用紙。 - 前記表面層の古紙パルプ配合割合を0質量%以上50質量%未満とすることを特徴とする請求項1に記載の多層抄きインクジェット用はがき用紙。
- 前記表面層、中間層及び裏面層の離解フリーネスがすべて350ml以上600ml以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の多層抄きインクジェット用はがき用紙。
- 前記古紙パルプは、未叩解の古紙パルプであるか、又は、未叩解の古紙パルプのフリーネスを基準としてフリーネスの差異値がCF100ml以内の叩解した古紙パルプであることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の多層抄きインクジェット用はがき用紙。
- 前記インク受容層の乾燥塗工量が4〜15g/m2であることを特徴とする請求項1、2、3又は4の多層抄きインクジェット用はがき用紙。
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