JP2017145584A - 床用化粧材 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、木材伐採制限等により原木が入手し難く、材料不足が進んでいる。この問題は、特にラワン等の広葉樹にとって深刻である。そのため、ラワン合板に代えて使用できる木質基材の開発が進められている。ラワン代替材料としては、例えば、針葉樹合板、木質系廃材から分離した木質繊維又は木質片を接着剤により成形・固化してなる木質板や、早成樹からなる早成樹合板がある。
上記問題を改善するために、ラワン代替材料の他方の面に防湿フィルムを積層することが提案されている(例えば、特許文献1〜3)。しかしながら、特許文献1〜3に記載した防湿フィルムは透湿度がせいぜい20g/m2・24時間程度であり、ラワン代替材料の反りや曳き曲がりを防止するには性能が不十分である。特に近年では、ラワン代替材料の一方の面に透湿度が低い(2g/m2・24時間以下)化粧シートを積層する場合が多いため、他方の面の透湿度を一方の面と同等又はより透湿度を下げることが求められている。
また、化粧材が外装用の場合には内装用の場合よりも耐候性が要求される。
高い耐候性を有する化粧材の化粧シートとしては、現在、オレフィン系の材料を用いた化粧シートが実用化されている。耐候性の評価は、実際の屋外暴露や促進耐候性試験によって行われている。オレフィン系材料を用いた化粧シートの耐候性は、実用の条件を満たすものである。なお、このような化粧シートは、例えば、特許文献4に記載されている。
ここで、印刷層に黒色顔料、特にペリレン系黒色顔料を含有することが好ましい。
なお、印刷層に黒色顔料、特にペリレン系黒色顔料を含有した場合には、遮熱性を有し、赤外光による反りも防ぐことができる床用化粧材を提供することが可能となる。
ここで、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
本実施形態の床用化粧材10は、図1に示すように、木質基材1の一方の面(表面)に化粧シート3が接着剤で貼り付けられていると共に、上記木質基材1の他方の面(裏面)に防湿フィルム2が接着剤で貼り付けられている。
木質基材1は、1%含水率変化当たりの寸法変化量が0.02%よりも大きく、且つ平均含水率が6〜10質量%である木質基材1を使用する。そのような木質基材1としては、例えば、中密度木質繊維板(MDF)、高密度木質繊維板(HDF)、パーティクルボード(PB)、針葉樹合板及び早成樹合板の一つ、又はこれらの板から選択された2以上の板を積層して構成される基材が例示出来る。
このように、木質基材1としてラワン代替材料を用いる。つまり、従来のラワン合板等に置き換わる材料であって、例えば、中密度木質繊維板(MDF)、高密度木質繊維板(HDF)、パーティクルボード(PB)、針葉樹合板、早成樹合板等の少なくとも1種を用いる。早成樹としては、ポプラ、ファルカタ、アカシア、カメレレ、ユーカリ、ターミナリア等が挙げられる。これらのラワン代替材料は、1%含水率変化当たりの寸法変化量が0.02%よりも大きい。
(1)300mm×303mmにカットした木質基材1の試験片を用意する。
(2)常温(25℃)環境下、試験片の現在の寸法(四辺の長さ)をノギスで測定する。
(3)試験片を40℃オーブン(湿度フリー、乾燥雰囲気≒0%湿度)に1週間放置する。
(4)1週間後、試験片の質量と寸法(四辺の長さ)を測定する。
(5)両条件の測定データから1%含水率変化当たりの寸法変化率を測定する。
本実施形態では、床用化粧材10を施工場所に応じてカットして用いる場合に備えて、木質基材1として、平均含水率が6〜10質量%であり、且つ中央部の含水率が周辺部の含水率と比較して−1%〜+2%の範囲である木質基材1を用いることが好ましい。木質基材1のサイズが、例えば、縦150mm×横1840mm程度(特に短辺の長さが200mm以下)となる場合は、木質基材1の中央部と周辺部の含水率の偏りによって反りや曳き曲がりが生じ易くなる。よって、木質基材1の含水率特性を上記条件に設定することにより、床用化粧材10をカットして用いる場合でも反りや曳き曲がりの発生を抑制することができる。なお、床用化粧材10をカットして用いる場合としては、具体的には、床用化粧材10を施工する部屋の隅部分(壁際又は柱の周辺)に施工する場合が想定される。
木質基材1の含水率は、中央部の含水率が周辺部の含水率と比較して−1%〜+2%の範囲であることが好ましく、−0.5%〜+1.0%の範囲であることがより好ましい。なお、木質基材1の周辺部とは木質基材1の周囲5cmの範囲を意味し、木質基材1の中央部とは上記周辺部を除いた木質基材1の内部を意味する。
(A)縦303mm×横1818mmの木質基材1を用意する。
(B)木質基材1の周辺から5cmの範囲を周辺部とし、それよりも内側を中央部とする。
上記用意した木質基材1から均等に5cm×5cmのサンプルを35個採取し、全乾法により含水率を測定する。全乾法とは、各サンプルを105℃のオーブンに3日間放置した後、下記算出式から各サンプルの含水率を測定する方法である。放置前を処理前、放置後を処理後と言う。
含水率(%)={(処理前質量−処理後質量)/処理後質量}×100
(C)35個のサンプルの平均値を「平均含水率」とする。
(D)中央部のサンプル(15個)の平均値から周辺部のサンプル(20個)の平均値を引いた値を「含水率差」とする。
防湿フィルム2は、透湿度が1.0g/m2・24時間以下となっている。
本実施形態の透湿度は、JIS Z0208(透湿度試験方法(カップ法))に準じて、温度40℃、湿度90%RH環境下での測定値である。以下、本明細書における透湿度はこの条件での測定値である。
本実施形態の防湿フィルム2は、樹脂製の基材層2Aと、その基材層2A上に形成された蒸着層2Bとを有する。これによって、透湿度が1.0g/m2・24時間以下となるように形成可能である。
さらに、防湿フィルム2の表裏表面の少なくとも一方の面に接着用のプライマー層が形成されていることが好ましい。
透湿度が1.0g/m2・24時間以下である防湿フィルム2を裏面に設けることで、木質基材1の裏面の透湿性が大幅に低く抑えられている。そのため、木質基材1として1%含水率変化当たりの寸法変化量が0.02%よりも大きいラワン代替材料を用い且つ表面に透湿性の低い化粧シート3を積層した場合であっても、木質基材1の裏面と表面の透湿性を同程度に設定することができる。このため、床用化粧材10の反りや引き曲がりの発生が十分に抑制されている。このような本発明の床用化粧材10は、各種建築物の床面に施工する床用化粧材10及び特殊用途として床暖房用途などに用いる床用化粧材10として適している。
蒸着層2Bとしては、アルミニウムに代表される金属薄膜からなる無機物の蒸着層、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムに代表される無機酸化物薄膜からなる無機酸化物蒸着層が挙げられる。蒸着層2Bは、真空蒸着法、プラズマ活性化化学反応蒸着法等の周知の蒸着法で、合成樹脂製の基材層2Aに形成される。より好ましくは、蒸着層2Bが透明である無機酸化物蒸着層である。
蒸着層2Bのガスバリア性を一層向上させる目的で、蒸着層2B上にコート層2Cを設けることが好ましい。
上記の金属アルコキシドは、金属MとしてSi,Ti,Al,Zr等の金属が採用され、RがCH3,C2H5 等のアルキル基で表せる化合物であるが、具体的にはテトラエトキシシラン〔Si(OC2H5)4〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2’−C3H7)3〕などがあげられ、中でもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
コーティング剤の塗布方法としては、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法、グラビア印刷法などの従来公知の方法を用いることが可能である。
コート層2Cの厚さは、コーティング剤の種類や加工機や加工条件によって最適条件が異なる。但し乾燥後の厚さが、0.01μm以下の場合は、均一に塗膜が得られず、十分なガスバリア性を得られない場合があるので好ましくない。また厚さが50μmを超える場合は膜にクラックが生じ易くなるため問題となる場合がある。0.01〜50μmの範囲にあり、より好ましくは0.1〜10μmの範囲にあることである。
これらのプライマー層は、基材層2Aと蒸着層2Bとの密着性を高めるためや、防湿フィルム2を他の層に積層する際の密着性を高めるために設ける。
プライマー層に用いる樹脂としては、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等を挙げることができ、これらの樹脂は単独又は混合して使用できる。プライマー層の形成は、ロールコート法やグラビア印刷法等の適宜の塗布手段を用いて行える。
上記防湿フィルム2を木質基材1に積層する際は、公知の接着剤が使用できる。接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等を有効成分とする接着剤が挙げられる。接着剤層の厚さは限定的ではないが、0.1〜50μm程度が好ましい。
化粧シート3は、木質基材1の側から、熱可塑性樹脂基材3A、印刷層3B、オーバーレイフィルム層3C、第2接着層3D、及び表面保護層3Eがこの順に積層されて構成されている。尚、表面保護層3Eを設けない場合には、オーバーレイフィルム層3Cが表面保護層3Eとなる。
本実施形態の化粧材10では、表面保護層3Eによって耐候性を有すると共に、波長が0.7μmから1000μmの赤外光に対する印刷層3Bの透過率を高め、透過した赤外光を熱可塑性樹脂基材3Aで反射することによって木質基材1への蓄熱を防いでいる。
以下、化粧シート3の各層について説明する。
熱可塑性樹脂基材3Aとしては、ポリオレフィン系樹脂からなるものが用いられる。熱可塑性樹脂基材3Aには、半透明なものや着色したもの等も用途に応じて選定することが可能である。本実施形態では、熱可塑性樹脂基材3Aを着色基材とする。
熱可塑性樹脂基材3Aにポリオレフィン系樹脂を使用することにより、化粧材10は、フッ素系樹脂と異なり、焼却処理しても問題の無いものとなる。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレンまたはそれらの変性樹脂が一般的に用いられるが、表面の硬度や耐熱性等も考慮するとポリプロピレン系樹脂が好適である。ポリプロピレン系樹脂としてはランダム共重合、ホモ系の2種類があるが、いずれも用途に応じて使用可能である。
また熱可塑性樹脂基材3Aには耐候性の処方として紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系等)が添加されていてもよい。添加量は所望の耐候性に応じて添加すればよいが、樹脂固形分に対して0.1質量%〜10質量%、好ましくは1質量%〜5質量%である。
また、本実施形態では、熱可塑性樹脂基材3Aにおける赤外光の反射率を高めるため、上記材料に酸化チタンを添加し、熱可塑性樹脂基材3Aに含有させてもよい。このとき、本実施形態では、熱可塑性樹脂基材3Aが酸化チタンを23質量部以上含有させることにより、遮熱性が向上させる。
また、熱可塑性樹脂基材3Aに、隠蔽層としての役割を持たせるために酸化チタンを用いる場合、隠蔽層としての酸化チタンの含有量と添加された酸化チタンとの合計が23質量部以上であればよい。また、熱可塑性樹脂基材3Aが隠蔽層として酸化チタンを23質量部以上含む場合、これ以酸化チタンを添加しなくともよい。
また、本実施形態は、図1に示したように、熱可塑性樹脂基材3Aにおける印刷層3Bの側の面に酸化チタンを塗布して酸化チタン層111を設けてもよい。なお、酸化チタン層111を設ける場合であっても、酸化チタン層111によって熱可塑性樹脂基材3Aが酸化チタンを23質量部以上含有すれば熱可塑性樹脂基材3Aによる木質基材1への遮熱性が向上する。このような条件により、酸化チタン層111の厚さとしては、5μmから10μmが好ましい。
印刷層3Bは、目的とする化粧シート3に所望の絵柄の意匠性を付与する目的で設けられるものである。本実施形態においては熱可塑性樹脂基材3Aの表面に、印刷法等の手段により適宜の絵柄模様を有する印刷層3Bが設けられる。
印刷層3Bは、熱可塑性樹脂基材3Aに好適なインキを用いて設けられる。具体的には熱可塑性樹脂基材3Aがポリプロピレン樹脂であれば、ウレタン樹脂と塩化ビニル=酢酸ビニル共重合樹脂の混合物が好適に用いられる。
また、黒色顔料以外の顔料として、印刷層3Bには、イソインドリノン、ジスアゾ、ポリアゾ、ジケトピロロピロール、キイナクリドン、フタロシアニン、酸化チタンの少なくとも一つ以上が用いられる。
その他、印刷層3Bには、必要に応じて例えば体質顔料や可塑剤、分散剤、界面活性剤、粘着付与剤、接着助剤、乾燥剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、硬化剤、硬化促進剤又は硬化遅延剤等の各種の添加剤を適宜添加することもできる。
印刷層3Bの形成方法には特に制限はなく、例えばグラビア印刷法やオフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インキジェット印刷法等の従来公知の各種印刷方法を使用することができる。また、例えば全面ベタ状の場合には上記した各種の印刷方法の他、例えばロールコート法やナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種のコーティング方法によることもできる。その他、例えば手描き法、墨流し法、写真法、レーザービーム又は電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法やエッチング法等、又はこれらの方法を複数組み合わせて行うことも勿論可能である。
印刷層3Bが構成する絵柄の種類には特に制限はなく、従来から化粧シート3の分野において広く採用されている木目柄や、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様等、或いは単なる着色や色彩調整を目的とする場合には単色無地であっても良く、要するに、目的の化粧シート3の用途に応じ任意の所望の絵柄を採用することができる。
オーバーレイフィルム層3Cは、熱可塑性樹脂基材3Aや印刷層3Bとの層間密着を考慮して材料となる樹脂が選択される。具体的には、熱可塑性樹脂基材3Aがホモポリプロピレン系樹脂、ランダムポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン樹脂のいずれかであるならば、同様のホモポリプロピレン系樹脂、ランダムポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン樹脂のいずれかが選択される。また、オーバーレイフィルム層3Cには、トリアジン系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の少なくとも1方の紫外線吸収剤と、ヒンダードアミン系光安定剤とを添加するのが好適である。トリアジン系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の例は上述の通りである。
オーバーレイフィルム層3Cは少なくともその下の印刷層3Bを透視可能な程度の透明性を有している必要があり、無色透明であることが最も望ましいが、着色透明や半透明であってもよい。その限りにおいて、オーバーレイフィルム層3Cは着色剤や充填剤を含有していてもよい。
オーバーレイフィルム層3Cの厚さとしては、50μmから150μm程度、より好ましくは70μmから100μm程度の範囲内とするのがよい。
オーバーレイフィルム層3Cの成形方法としては、例えば押出成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法、キャスト成形法等が使用可能である。
第2接着層3Dは、オーバーレイフィルム層3Cと表面保護層3Eとの間のドライラミネート法による接着を可能とし、両層間での接着強度を発現させる目的で設けられるものであり、本実施形態ではポリエステル系樹脂を主鎖とするウレタン系樹脂からなる接着剤を採用する。ウレタン系樹脂からなる接着剤としては、ポリエステルポリオール系等と硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びこれらの混合物の2液ウレタン樹脂系接着剤を乾燥後の厚み2μmから10μm塗工したもの等が使える。
第2接着層3Dには、目的とする化粧シート3の用途により必要に応じて、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤等の従来公知の各種添加剤の1種以上が添加されていてもよい。
表面保護層3Eは、メイン樹脂としてのアクリルポリオールと、硬化剤としてのヘキサメチレンジイソシアネートに紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤を添加して作製される。上記紫外線吸収剤としては、トリアジン系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の少なくとも1方の紫外線吸収剤、好ましくはトリアジン系紫外線吸収剤が用いられる。トリアジン系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の例は上述の通りである。
表面保護層3Eの厚さは、固形分塗布量で5g/m2以上10g/m2以下である。さらに好ましくは6g/m2以上9g/m2以下である。これにより本実施形態の表面保護層3Eの塗工性、保管等の汎用性が高いものとなる。
化粧シート3を木質基材1に積層する際は、公知の接着剤が使用できる。接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等を有効成分とする接着剤が挙げられる。接着剤層の厚さは限定的ではないが、0.1〜50μm程度が好ましい。図3における符号4が接着層をあらわす。
本発明の実施形態は以下の効果を奏する。
(1)床用化粧材10は、透湿度が1.0g/m2・24時間以下である防湿フィルム2を有する。
この構成によれば、木質基材1の裏面の透湿性が低く抑えられている。そのため、木質基材1として1%含水率変化当たりの寸法変化量が0.02%よりも大きいラワン代替材料を用いて、表面に化粧シート3を積層した場合でも、木質基材1の一方の面と他方の面の透湿性を同程度に設定することができる。この結果、床用化粧材10の反りや引き曲がりの発生が十分に抑制されている。
このような本実施形態の床用化粧材10は、各種建築物の床面に施工する床用化粧材10及び特殊用途として床暖房用途に用いる床用化粧材10として適している。
(3)また、本実施形態は、表面保護層3Eとしてアクリルウレタン系樹脂を用い、これと相溶性の良好なトリアジン系紫外線吸収剤を用い、さらに固形分塗布量を5g/m2以上にする。
この構成により、紫外線遮蔽力の優れ、経時でも紫外線遮蔽力の低下しない塗膜を形成することができる。また、固形分塗布量を10g/m2以下にすることにより、凹凸部分へのラミネート時においても、表面保護層3Eの割れの無い塗膜を形成することができる。
<実施例1>
化粧シート3として、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を3質量部、紫外線吸収剤を1質量部、ヒンダードアミン系光安定剤を1質量部、酸化チタン(顔料、白色)を23質量部添加した混合物を使用して、熱可塑性樹脂基材3Aとしての着色基材層2Aを設けた。着色基材層2Aの厚みは70μmとした。
続いて、着色基材層2Aの表面に、ウレタン樹脂と塩化ビニル=酢酸ビニル共重合樹脂とを7:3で混合した混合物100質量部に対し、ヘキサメチレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートとを2:8で混合した硬化剤を3質量部、イソインドリノン、ポリアゾ、及びフタロシアニンからなる顔料を3質量部添加したインキを使用してグラビア印刷により絵柄(木目柄)を印刷し、印刷層3Bを設けた。
続いて、オーバーレイフィルム層3C上に、アクリルポリオール100質量部に対し、ヘキサメチレンジイソシアネート10質量部とトリアジン系紫外線吸収剤5質量部とヒンダードアミン系光安定剤5質量部とを添加したアクリルウレタン系樹脂をコーティングして表面保護層3Eを設けた。表面保護層3Eの厚みは9μmとした。アクリルウレタン系樹脂の固形分塗布量は5g/m2以上10g/m2以下とした。
以上によって、実施例1の化粧シート3を得た。
また、MDFの裏面に、防湿フィルム(9g/尺角)を貼り合わせた。
防湿フィルムの作製は次の通りとした。即ち、12μm厚さの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、片面に2液硬化型ウレタン系樹脂からなるプライマー層を設けた。更にプライマー層の上にアルミニウム蒸着層を設けた。
前記積層体の両面を、コロナ放電処理した後、主剤(ウレタン樹脂及び硝化綿系樹脂の混合物)に硬化剤(イソシアネート)を添加した2液硬化型樹脂をグラビア印刷法にてそれぞれ固形分として5g/m2の塗布量で塗布し、接着用プライマー層を両面に形成した。これにより防湿フィルム2(透湿度1.0g/m2・24時間)を得た。
化粧シート3のオーバーレイフィルム層3C及び表面保護層3Eに対し紫外線吸収剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして比較例1の化粧材10を作成した。
<比較例2>
防湿フィルム2としてPE(ポリエチレンシート。透湿度7g/m2・24時間)を用いた以外は実施例1と同様にして比較例2の化粧材10を作製した。
<比較例3>
防湿フィルム2を用いない以外は実施例1と同様にして比較例3の化粧材10を作製した。
(防湿性能)
実施例1、および比較例1、2で使用する防湿フィルム2について、JIS Z 0208「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」に準拠して測定し、各水蒸気透過度を算出した。水蒸気透過度の単位は、g/m2・dayである。
(耐候性能)
実施例1、および比較例1、2の化粧材10に対し、メクルハライドランプ方式の超促進耐候性試験機(ダイプラ・ウィンテス株式会社製)を用い、照度650W/m2、ブラックパネル温度53℃として200時間の試験を実施した後、目視確認にて外観のクラックや剥離の有無を確認した。
その際、外観にクラックや剥離がない場合を合格「○」、外観にクラックや剥離がある場合を不合格「×」とした。
評価結果を表1に示す。
ここで、実施例1の床用化粧材10に対し、40℃雰囲気(乾燥雰囲気)中に7日間放置(7日間)し、床用化粧材10の反り量を測定したが、反りが抑制されていることを確認している。
また、実施例1の床用化粧材10に対し、40℃雰囲気(湿度90%の雰囲気)中に7日間放置(7日間)し、床用化粧材10の反り量を測定したが、反りが抑制されていることを確認している。
このように、本発明に基づく床用化粧材10は、防湿フィルム2の存在により木質基材1の湿度による寸法変化が効果的に抑制されている。
また、実施例1の床用化粧材10に使用される化粧シート3について、縦21cm、横29.7cm、厚みが0.5mmの無塗装鋼板の片側の表面に接着剤を用いて貼り合わせ、試験片を作製した。そして、試験片表面の真上であって、表面から15cm離れた位置にハロゲン球を設置し、120分間ハロゲン光を照射しながら試験片の表面と裏面の温度を1分毎に測定し、その最高温度を記録した。その記録によれば、最高温度が62℃以下であったことを確認している。
2 防湿フィルム
2A 基材層
2B 蒸着層
2C コート層
3 化粧シート
3A 熱可塑性樹脂基材
3B 印刷層
3C オーバーレイフィルム層
3D 第2接着層
3E 表面保護層
10 床用化粧材
Claims (8)
- 木質基材の一方の面に化粧シートが設けられると共に、上記木質基材の他方の面に防湿フィルムが設けられた床用化粧材であって、
上記木質基材は、1%含水率変化当たりの寸法変化量が0.02%よりも大きく、且つ平均含水率が6〜10質量%の範囲であり、
上記防湿フィルムは、透湿度が1.0g/m2・24時間以下であり、
上記化粧シートは、オレフィン系樹脂製の熱可塑性樹脂基材と、その熱可塑性樹脂基材の上記木質基材とは反対側の面の上に、印刷層と表面保護層とがこの順に設けられ、
上記表面保護層は、トリアジン系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の少なくとも1方の紫外線吸収剤を含有し、その表面保護層の厚さは固形分塗布量で5g/m2以上10g/m2以下であることを特徴とする床用化粧材。 - 上記表面保護層と印刷層の間に、オーバーレイフィルム層を有し、そのオーバーレイフィルム層にも、トリアジン系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の少なくとも1方の紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1に記載した床用化粧材。
- 上記印刷層は黒色顔料を含み、その黒色顔料はペリレン系黒色顔料であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した床用化粧材。
- 上記印刷層は、イソインドリノン、ジスアゾ、ポリアゾ、ジケトピロロピロール、キイナクリドン、フタロシアニン、酸化チタンの少なく/とも一つ以上の顔料を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した床用化粧材。
- 上記熱可塑性樹脂基材は、上記印刷層側の面に酸化チタンを顔料とする塗料から成る膜を有する、または酸化チタンを顔料として含有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した床用化粧材。
- 上記木質基材は、中密度木質繊維板(MDF)、高密度木質繊維板(HDF)、パーティクルボード(PB)、針葉樹合板及び早成樹合板の一つ、又はこれらの板から選択された2以上の板を積層して構成されることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載した床用化粧材。
- 上記防湿フィルムは、樹脂製の基材層と、その基材層上に形成された蒸着層とを有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載した床用化粧材。
- 上記防湿フィルムは、上記蒸着層の上に表面保護層を有することを特徴とする請求項7に記載した床用化粧材。
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