JP2004353373A - 外装樹脂床およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】樹脂系基材上に少なくとも化粧基材層を有する外装樹脂床に於いて、前記樹脂系基材と化粧基材層が主にオレフィン系樹脂からなる事を特徴とする外装樹脂床およびその製造方法を提供する。この場合、化粧基材層が表面保護層と裏面に易接着層をもつオレフィン系樹脂基材から主になる構成が好ましく、さらに化粧基材層がラッピング構造である構成が好ましい。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家屋、アパート、マンション等のベランダ、及び、庭に使用される外装樹脂床に関する。更に、簡易にリホーム出来る外装樹脂床およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、樹脂床表面に石材や木片を貼りつけたベランダタイルや射出成形で得た樹脂床基材に絵柄を転写、直接印刷、印刷シートを貼りつけた外装樹脂床およびこの様な製造方法は知られていた。
【0003】
その他公知文献には以下のものが公知である。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−61151号公報
【0005】
特許文献1には、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(以下ABSと称する)基材に40μmの紫外線硬化樹脂の耐磨耗層をそなえた石目調の0.2mmのアクリル樹脂フィルムを貼りつけた床ユニット材(本願における外装樹脂床に相当する物)があった。
【0006】
また、その実施の形態に、ABSの代わりにポリプロピレン(以下PPと称する),ポリエチレン(以下PEと称する)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下EVAと称する)を用いる記載もある。
【0007】
【特許文献2】
特開2000−291246号公報
【0008】
特許文献1には、その形状で、樹脂系基材の脚部構造を簡略化し量産性を狙っている構造が記載されている。
【0009】
【非特許文献1】
今村京都株式会社、”セライージー”、[online]、平成14年10月29日、[平成15年1月10日検索]、インターネット<URL:http://www.imakyo.co.jp/reform/sera−m.html>
【0010】
非特許文献1には、写真や文章にてベランダに簡易施工出きるベランダタイル(本願における外装樹脂床に相当する物)が表示されるとともに、リフォームが簡単である旨、および台風等の風にとばされ難くするためには、鉄柵等との連結等が必要である旨の表示がある。なお、その素材については記載がない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の様な特許文献1の外装樹脂床において、表面に化粧シートを張っても貼ってない部分、つまり暴露される部分に直射日光が当たり、その部分において樹脂系基材が劣化し、美粧性の低下が著しいとともに、その物理的特性においてももろく壊れやすくなるとともに、植木鉢を落とした時に、特に、冬季などではくだけ易かったという問題点があった。
【0012】
従ってこの様な技術では、ベランダに使うのに日に当てないことが使用条件となるなど制約あり。
【0013】
また、ABS樹脂の代わりに塩化ビニル樹脂を用いる技術も考えられるが、この技術では燃やすとダイオキシンが出る問題点があった。
【0014】
そこで本発明では、屋外で使えて、耐衝撃性の良い冬季でも安心して使え、リサイクルが容易で焼却も問題のない外装樹脂床が望まれていた。
【0015】
【課題を解決する為の手段】
請求項1に係る本発明における課題を解決する為の手段は、樹脂系基材上に少なくとも化粧基材層を有する外装樹脂床に於いて、前記樹脂系基材と化粧基材層が主にオレフィン系樹脂からなる事を特徴とする外装樹脂床を提供するものである。
【0016】
この場合の「主に」とは、化粧基材層の過半数の素材がオレフィン系樹脂からなるという意味で、副次的層を上面、下面、もしくは中間部分、さらにこれらの複数部分に持ち、もしくは副次的組成を含有しているものであっても、それらの層や組成が焼却、リサイクル、耐衝撃性などの物理特性、耐候性などの化学特性に影響を実質上与えないものであり、全体としてオレフィン系樹脂と評価できる層である事を意味する。
【0017】
この場合の「少なくとも」とは、樹脂系基材上に直接もしくは間接に化粧基材層を有するが、樹脂系基材と化粧基材層とが接していても、樹脂系基材と化粧基材層の間に一または複数の他の層を介していても、化粧基材層のさらに上に別な一または複数の他の層を有していても、樹脂系基材と化粧基材層の間に一または複数の他の層を介するとともに化粧基材層のさらに上に別な一または複数の他の層を有していても構わないという意味である。
【0018】
また、請求項2に係る本発明における課題を解決する為の手段は、請求項1記載の化粧基材層が表面保護層と易接着層を備えることを特徴とする外装樹脂床を提供するものである。
【0019】
この場合の易接着層は、化粧基材においては表面保護層と反対側に備える構成である。
【0020】
また、この場合の表面保護層と易接着層は化粧基材層の一部をなすが、化粧基材層の過半数の素材がオレフィン系樹脂からなるという意味で、副次的層であるので、オレフィン系樹脂からなる必要はない。
【0021】
また、表面保護層は、耐候性、耐傷付性、耐摩耗性、艶調整のための層という意味であり、この役割を果たすものであれば良い。
【0022】
易接着層は、化粧基材層が樹脂系基材、もしくは化粧基材層と樹脂系基材との間に他の層が入るのであればその層との密着性を向上させるための層であり、易接着層自体が接着性能を持たずとも、接着剤で接着した場合に密着する層でれば十分であるが、もちろん自身が接着性能を持つものであっても構わない。
【0023】
また、請求項3に係る本発明における課題を解決する為の手段は、請求項1記載の化粧基材層がラッピング構造である事を特徴とする外装樹脂床を提供するものである。
【0024】
ラッピング構造とは、樹脂系基材表面が平面形状であり、しかもその平面でない凹部や穴や溝や端部などが目地部や実部などの形である場合において、その平面部分だけの表面に化粧基材層が表面を覆っているのではなく、凹部や穴や溝や端部などまで回り込んでその凹部や穴や溝や端部などの表面のうち平面に近い部分まで化粧基材層が表面を覆っている構造となっている事を指し、相当深い部分まで覆っている通常のラッピング構造ばかりではなく、平面から浅い部分まで覆われているソフトラッピング構造であっても構わない。
【0025】
また、請求項4に係る本発明における課題を解決する為の手段は、請求項1記載の樹脂系基材を射出成形した後、請求項1記載の化粧基材層をラッピングする事を特徴とする外装樹脂床の製造方法を提供するものである。
【0026】
ラッピングとは、上記ラッピング構造とするための被覆、もしくは積層方法であって、具体的には表面を単一ロールで押圧するだけではなく、回り込み部分に対応した補助ロールも用いて、平面部分以外の部分も被覆させる技術であり、単一ロールで押圧するものであっても、そのロール自体を変形可能な材質のものを使用して少々凹凸があっても押圧により被覆可能とするソフトラッピングを含むものとする。
【0027】
射出成形については、通常の平板を形成する射出成形で製造する方法も考えられるが、異形成形でも構わない。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明は、射出成形で樹脂系基材を成形した後、転写により化粧基材層を一液湿気硬化型接着剤によるラッピング加工により張り合わせる例で代表させて以下説明する。なお、成形と同時にインモールドラミネートや転写やインキジェットによる化粧を施したりできることは当然である。
【0029】
また、異形成形機により押出しながら、もしくは押出した後一液湿気硬化型接着剤によるラッピング加工した後、単に長さに切断し、更に、実加工や溝加工をルーターを使って加工できることも当然である。
【0030】
樹脂系基材1は、要求性能と対価格対応において各種のものが選択可能であるが、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂などが使える。基材を柔らかくして柔軟性を持たせて耐衝撃性を更に持たせるためにホモポリプロピレン系樹脂50〜95重量%に、平均粒径0.1〜0.5μmのエチレン−プロピレン共重合ゴム微粒子が5〜50重量%分散されて曲げ初期弾性率100〜1000MPaになると、切削性や歩行感が良くなるとともに、間夏の直射日光により表面温度が60や70℃程度になっても熱収縮を吸収する為寸法安定性が増すので好ましい。しかも、エチレン−プロピレン共重合体ゴム微粒子の優れた弾性作用により厳冬期でも適度な弾性が有り、更に、エントロピー弾性により間夏の直射日光の下でも適度な弾性を保つことが出来る。
【0031】
樹脂系基材1の上部に化粧基材層8を設けるが、目地部や実部は直射日光にさらされる為、樹脂系基材1に耐候性処方を施すのが好ましい。紫外線吸収剤の配合による場合は、汎用品のベンゾトリアゾール系(基本骨格の吸収極大300nm及び340nm付近)、樹脂との相溶性を考慮したベンゾフェノン系(基本骨格の吸収極大290nm及び330nm付近)、トリアジン系(基本骨格の吸収極大280nm及び340nm付近)、オギザニリド系、サリシレート系、シアノアクリレート系等)、光安定剤(ヒンダードアミン系のHALS(hindered amine light stabilizer等)などが可能である。この場合の添加量は0.1重量部から5重量部程度が望ましい。
【0032】
更に、公知の熱安定剤、防藻剤、防カビ剤、四級アンモニウム塩等の帯電防止剤を添加しても良い。また、化粧基材層との接着性を良くする為に、成形後の表面をコロナ処理,プラズマ処理などをしても良い。
【0033】
化粧基材層8は、主としてポリプロピレン系樹脂,ポリエチレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂のほか、共重合ポリエチレンテレフタレート(以下PETと称する)樹脂系、アモルファスPET、ポリブチレンテレフタレート(以下PBTと称する)系樹脂及びこれらの混合物からなるものが考えられる。
【0034】
化粧基材層8は、例えば着色下台層3と絵柄インキ層4とアンカー剤層5と透明上台6と表面保護層7からなる構成などが考えられる。
【0035】
この場合、着色下台層3としてホモポリプロピレン樹脂に公知の着色剤、紫外線吸収剤,光安定剤等を添加するのが好ましい。厚みは60μm〜150μm程度が良いが、隠蔽等を考慮すると70μm以上が望ましい。表面には絵柄インキ層4を設けるのが好ましいが、この場合、2液硬化型のウレタン樹脂系が密着強度の見地から望ましい。この両面をコロナ処理などして表面張力を38mN/m〜55mN/mにするのが望ましい。裏面には、シリカと2液硬化型ウレタン樹脂系のプライマーを乾燥後の塗布量0.5〜2g/m2塗布するなどしてプライマー層2を設けるのが望ましい。
【0036】
透明上台6としては、透明なポリオレフィン系樹脂であれば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体やそれらの酸変性物、アイオノマーなどが望ましい。
【0037】
表面保護層7は、アクリルポリオールとイソシアネートからなる2液ウレタン結合したアクリルウレタン系樹脂に紫外線吸収剤、光安定剤を添加して、乾燥後の塗布量が5〜10g/m2塗布する等が考えられる。
【0038】
アンカー剤5は、後で設けるのも考えられ、この場合、2液硬化型ウレタン樹脂を乾燥後の塗布量0.5〜2g/m2塗布するのが望ましい。
【0039】
なお、樹脂系基材1と化粧基材層8をラッピングマシンを用いて接着する場合、反応型ホットメルト接着剤9を120℃程度の温度厚み50〜150μm程度で押出しながらラミネートするのが好ましい。
【0040】
【実施例】
<実施例1>
本願発明の外装樹脂板の一実施例を、図1の部分概略断面図を用いて説明する。
【0041】
樹脂系基材1は、基材を柔らかくして柔軟性を持たせて耐衝撃性を更に持たせるためにホモポリプロピレン系樹脂90重量%に、平均粒径0.3μmのエチレン−プロピレン共重合ゴム微粒子が10重量%分散されて曲げ初期弾性率500MPaにした。
【0042】
尚、樹脂系基材1に耐候性処方としてベンゾトリアゾール系(基本骨格の吸収極大300nm及び340nm付近)紫外線吸収剤を添加量は0.5重量部添加して更に、公知の熱安定剤、防藻剤、防カビ剤、四級アンモニウム塩等の帯電防止剤を添加した。また、化粧基材層との接着性を良くする為に、成形後の表面をコロナ処理して表面を48mN/mにした。
【0043】
化粧基材層8の着色下台層3としてホモポリプロピレン樹脂に公知の着色剤、紫外線吸収剤,光安定剤等を添加した厚みは70μmのものを用いた。
【0044】
これに絵柄層のインキとしては、2液硬化型のウレタン樹脂系(東洋インキ製造株式会社製)にて木目柄を印刷し絵柄インキ層5を設けた。着色下台層3の裏面は、シリカと2液硬化型ウレタン樹脂系のプライマーを乾燥後の塗布量0.5〜2g/m2塗布しプライマー層2を設けた。
【0045】
これに、IPP(アイソタクチックポリプロピレン樹脂)95重量部、APP(アタクチクポリプロピレン樹脂)5重量部の比率で65μmとマレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂の接着性樹脂と共押出して80μmの透明上台6を設けた。
【0046】
これに、アクリルポリオールとイソシアネートからなる2液ウレタン結合したアクリルウレタン系樹脂に紫外線吸収剤、光安定剤を添加したものを用いて、乾燥後の塗布量が8g/m2塗布し表面保護層7を設けた。
【0047】
さらに、2液硬化型ウレタン樹脂を乾燥後の塗布量1g/m2塗布しアンカー剤層5を設けた。
【0048】
次に、異形成形機による異形押出し成形法で押出しながら一液湿気硬化反応型接着剤(日立化成ポリマー株式会社製YR210−3)を120℃で厚み100μmに押出しラッピング加工した後、600mmの長さに切断し、更に、実加工や溝加工をルーターを使って加工した。
【0049】
この結果出来上がった外装樹脂床は、図2の様な全体断面形状を持つものであり、切削性や歩行感が良いものとなったとともに、リサイクルが容易になり、焼却してもダイオキシンが発生しなくなった。
【0050】
さらに、耐候性が良いので、屋外での劣化が遅いものとなった。さらに、植木鉢程度の落下物では破損することがなくなった。
【0051】
【発明の効果】
オレフィン系樹脂が主体であるので、リサイクルが容易になった。特に、樹脂基材と化粧基材をポリプロピレン樹脂でそろえると同一系樹脂の為リサイクルしやすい。また、リサイクルが困難な場合でも焼却しても問題が生じなくなった。
【0052】
また、ベランダ以外に、庭の踏み石に使って良い。耐候性が良いので、屋外での劣化が遅い。
【0053】
さらに、落下物対策として耐衝撃性も向上した。
【0054】
なお、本願発明においては異形成形機による製造も可能であり、この場合には押出しながら、もしくは押出した後、一液湿気硬化型接着剤によるラッピング加工してさらに後、単位長さに切断し、更に、実加工や溝加工をルーターを使って加工することも可能であり、それにより量産性を向上できる。
【0055】
また、エチレン−プロピレン共重合ゴム微粒子を配合することも可能であり、この場合、例えばホモポリプロピレン系樹脂50〜95重量%に平均粒径0.1〜0.5μmのエチレン−プロピレン共重合ゴム微粒子が5〜50重量部まぜる様な構成だと、切削性や歩行感が良くなるとともに、真夏の直射日光により表面温度が60や70℃程度になっても熱収縮を吸収する為寸法安定性が増す。しかも、エチレン−プロピレン共重合体ゴム微粒子の優れた弾性作用により厳冬期でも適度な弾性が有り、更に、エントロピー弾性により間夏の直射日光の下でも適度な弾性を保つことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の外装樹脂板の一実施例の部分概略断面図である。
【図2】図1の一実施例の全体概略断面図である。(但し、プライマー層と反応型ホットメルト接着剤は省略)
【符号の説明】
1 樹脂系基材
2 プライマー層
3 着色下台
4 絵柄インキ層
5 アンカー剤層
6 透明上台
7 表面保護層
8 化粧基材層
9 反応型ホットメルト接着剤
Claims (4)
- 樹脂系基材上に少なくとも化粧基材層を有する外装樹脂床に於いて、前記樹脂系基材と化粧基材層が主にオレフィン系樹脂からなる事を特徴とする外装樹脂床。
- 請求項1記載の化粧基材層が表面保護層と易接着層を備えることを特徴とする外装樹脂床。
- 請求項1記載の化粧基材層がラッピング構造である事を特徴とする外装樹脂床。
- 請求項1記載の樹脂系基材を射出成形した後、請求項1記載の化粧基材層をラッピングする事を特徴とする外装樹脂床の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003154184A JP4225120B2 (ja) | 2003-05-30 | 2003-05-30 | 外装樹脂床およびその製造方法 |
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CN103526911A (zh) * | 2013-10-09 | 2014-01-22 | 桂林舒康建材有限公司 | 一种轻质高强木塑地板的制作方法 |
CN104196200A (zh) * | 2014-09-15 | 2014-12-10 | 山东鑫海新材料股份有限公司 | 一种自吸附塑胶地板及其制造方法 |
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