JP2004156277A - 床材 - Google Patents
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Abstract
【課題】木質系基材1上に、表面硬度や耐水性の向上のための熱可塑性樹脂中間層3を介して、化粧シート5が積層された床材において、表裏面の応力バランスをそろえ、温度・湿度変化による反りの発生を大幅に軽減した床材を提供する。
【解決手段】上記木質系基材1の裏面にも、上記熱可塑性樹脂中間層3と同質同厚の熱可塑性樹脂裏打層8を積層する。この床材の表面から熱可塑性樹脂中間層3にかけて表面溝6を形成した場合には、裏面側の熱可塑性樹脂裏打層8面にも、該表面溝6と平行する方向に裏面溝9を施すことが望ましい。
【選択図】図1
【解決手段】上記木質系基材1の裏面にも、上記熱可塑性樹脂中間層3と同質同厚の熱可塑性樹脂裏打層8を積層する。この床材の表面から熱可塑性樹脂中間層3にかけて表面溝6を形成した場合には、裏面側の熱可塑性樹脂裏打層8面にも、該表面溝6と平行する方向に裏面溝9を施すことが望ましい。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅等の建築物における室内の床面や階段踏面等に用いられる床材に関し、特に、住環境における温度・湿度変化による反りの防止効果に優れた床材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在の住宅等で用いられている床材としては、厚み6〜15mm程度の積層合板等の木質系基材の表面に、厚み0.2〜2mm程度の天然木の突板を貼り合わせ、透明塗装を施したものが、最も広く用いられている。しかしながらこの床材は、表面材として天然木を使用しているが故に耐水性や耐候性が弱く、窓際や水廻りなどに用いると割れや反りが発生し易いといった問題があった。
【0003】
そこで、木質系基材の表面に、耐水性や耐候性に優れた合成樹脂製の化粧シートを貼着した床材の提案もある(特許文献1)。しかし、このような構成の床材は、意匠性の向上のために表面に溝加工を施すと、木質系基材が露出した溝部の耐水性が著しく劣る問題がある。この溝部に塗装を施して耐水性を向上させることも一案である(特許文献2)が、製造工程が煩雑となり生産性が劣るほか、溝部以外の一般表面部に塗料が付着して不良品を発生すること等の問題がある。
【0004】
上記の問題を解決するために、木質系基材と化粧シートとの間に、該化粧シートに近似した色の熱可塑性樹脂中間層を設け、化粧シート表面から該熱可塑性樹脂中間層を貫通しない範囲で溝加工を施した床材の提案もある(特許文献3)。この床材には、熱可塑性樹脂中間層として、木粉の配合等による高硬度の樹脂組成物を使用すれば、耐キャスター性等の表面硬度を向上できる利点もある。
【0005】
しかし、上記した溝加工のために、熱可塑性樹脂中間層にはある程度の厚みが必要であり、一般的な床材における表面溝の深さを考慮すると、少なくとも数百μm程度は必要である。このような厚手の熱可塑性樹脂中間層を木質系基材の片面に積層すると、木質系基材の表裏面の応力バランスが崩れ、温度や湿度の変化による反りが発生し易くなる。
【0006】
この問題を解決するために、木質系基材の裏面に、ポリオレフィン系樹脂フィルム又はその両面に薄葉紙を貼合したものなどからなる防湿シートを貼着することも提案されている(特許文献3)。しかし、この方法により確かに反りの発生をある程度軽減することは可能であるが、反りの発生を実用上の支障がない程度にまで十分に抑えることはできないという問題があった。
【0007】
先行技術文献情報
【特許文献1】
実用新案登録第3051531号公報
【特許文献2】
特開2001−123647号公報
【特許文献3】
特開2001−191454号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決すべくなされたもので、その目的とするところは、木質系基材上に、表面硬度や耐水性の向上のための熱可塑性樹脂中間層を介して、化粧シートが積層された床材において、表裏面の応力バランスをそろえ、温度・湿度変化による反りの発生を大幅に軽減した床材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、木質系基材の表面上に、熱可塑性樹脂中間層と、化粧シートとがこの順に積層されてなる床材において、前記木質系基材の裏面に、前記熱可塑性樹脂中間層と同一材質からなり同一厚みの熱可塑性樹脂裏打層が積層されてなることを特徴とする床材を提供するものである。
【0010】
また、上記の床材に加えてさらに、前記化粧シートの表面から、前記熱可塑性樹脂中間層の層内に至り、前記木質系基材には達しない深さの表面溝が形成されてなることを特徴とする床材を提供するものである。
【0011】
また、上記の床材に加えてさらに、前記熱可塑性樹脂裏打層の裏面に、前記表面溝と平行な方向に、該熱可塑性樹脂裏打層を貫通しない深さの裏面溝が形成されてなることを特徴とする床材を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の床材の模式断面図であり、木質系基材1の表面側には熱可塑性樹脂中間層3及び化粧シート5が、裏面側には熱可塑性樹脂裏打層8が、それぞれ接着層2、4、7を介して積層されている。ここで、熱可塑性樹脂中間層3と熱可塑性樹脂裏打層8とは、同一材質からなる同一厚みの熱可塑性樹脂層によって構成されている。
【0013】
木質系基材1は、従来の床材におけるそれと同様のものであり、一般的には、例えば通常の積層合板や中質繊維板(MDF)、硬質繊維板(HDF)、パーティクルボード等であり、それらを任意に組み合わせた積層体が用いられる場合もある。その厚みは、床材の使用部位や施工方法などに応じて任意であるが、一般的には3〜30mmであり、中でも5〜15mmのものが最もよく用いられる。
【0014】
熱可塑性樹脂中間層3及び熱可塑性樹脂裏打層8は、床材の構成材料として十分な機械的強度や耐水性、耐候性等を備えた熱可塑性樹脂からなる薄板状体であればよく、熱可塑性樹脂の種類には特に制限はなく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー)等のポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)等のスチレン系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、6−ナイロン、12−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン等のポリアミド系樹脂等、或いはそれらの複数種の混合物や複合体、積層体等を使用することができる。
【0015】
上記した各種の熱可塑性樹脂の中でも、機械的強度や加工性、経済性、リサイクル適性、廃棄性(焼却性)等を考慮すると、ポリオレフィン系樹脂を使用することが望ましく、その中でも硬度の高いポリプロピレン樹脂を使用することが最も望ましい。このポリプロピレン樹脂としては、床材を施工する建築物の使用目的や施工部位等により、耐キャスター性や耐傷付き性などの表面硬度を重視する場合にはホモポリプロピレン樹脂、耐落下物性などの耐衝撃性を重視する場合にはブロック重合ポリプロピレン樹脂、触感や歩行感などの柔軟性を重視する場合にはランダム重合ポリプロピレン樹脂やプロピレン−α−オレフィン共重合体樹脂などを適宜使い分ければよい。
【0016】
また、必要に応じて、表面硬度や剛性を高めたり、熱膨張係数を低減したりするために、適宜の充填剤を添加することもできる。この充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ、タルク、クレー、ガラスビーズ、ガラス繊維、金属粉等の無機系充填剤や、木粉、紙粉、竹粉、籾殻粉等の有機系充填剤などを任意に用いることができる。充填剤の配合量は通常、熱可塑性樹脂100重量部当たり5〜400重量部の程度であるが、表面硬度の向上という目的のためには高充填化が必要であり、熱可塑性樹脂100重量部当たり150〜400重量部程度の配合とすることが望ましい。
【0017】
さらに、必要に応じて、適宜の着色顔料等の着色剤を添加することにより着色してもよい。特に、後述する様に化粧シート5の表面から熱可塑性樹脂中間層3内に至る表面溝6を切削形成する際には、熱可塑性樹脂中間層3を予め表面溝6の内面に所望する色調に着色しておくと、表面溝6の切削形成後にその内面に塗装等の着色処理を施す必要がなくなる利点がある。この場合の熱可塑性樹脂中間層3の色調としては、無垢材調の外観を得たければ化粧シート5の絵柄の色調に近似した色調にすればよいし、寄せ木調やタイル貼り調等のように目地部がくっきりとした外観を得たければ目地部に所望する色調にすればよい。
【0018】
熱可塑性樹脂中間層3及び熱可塑性樹脂裏打層8の厚みは、主として熱可塑性樹脂中間層3に要請される表面硬度や表面溝6形成時の問題(木質系基材1が露出しないこと)などの観点から決定され、通例、0.2〜5mm程度のものが用いられ、中でも0.5〜3mm程度が最も好適である。
【0019】
これら熱可塑性樹脂中間層3及び熱可塑性樹脂裏打層8には、木質系基材1を表裏両面からサンドウィッチすることにより、床材が全体としてほぼ表裏対称構造(化粧シート5は薄いので事実上無視できる)となって、温度変化等による内部応力のバランスが取れて反りが防止できると共に、木質系基材1の表裏面からの吸放湿を防止し、木質系基材1の内部における含水率の不均一化による反りの発生を防止する機能をも有する。
【0020】
この観点からは、熱可塑性樹脂中間層3及び熱可塑性樹脂裏打層8は、その透湿速度が木質系基材1の内部における水分の拡散速度を大幅に下回る様に、透湿度が十分に低いことが必要であり、具体的には、JIS Z 0208に規定のカップ法による透湿度が30g/m2・24時間以下となる様に設計することが望ましい。この点では、例えば上記したポリオレフィン系樹脂などでは一般に、厚みが数十μm程度あれば反り防止効果が発現するが、これを表面硬度等の観点から熱可塑性樹脂中間層3に要求される例えば数百μm以上といった厚みとすると共に、表面側の熱可塑性樹脂中間層3と裏面側の熱可塑性樹脂裏打層8とを同質、同厚とすれば、より完全性の高い反り防止効果を得ることができる。
【0021】
熱可塑性樹脂中間層3上に積層される化粧シート5は、床材の表面に所望の絵柄や表面エンボス等による意匠性を付与するためのもので、天然木の突板や模様印刷紙などが用いられる場合もあるが、耐水性や耐摩耗性、耐擦傷性などの観点からは、熱可塑性樹脂製の化粧シート5を用いることが望ましい。
【0022】
熱可塑性樹脂製の化粧シート5は、熱可塑性樹脂からなる不透明な基材シートの表面に印刷等による絵柄層を設けたものや、熱可塑性樹脂からなる透明な基材シートの裏面及び/又は表面に絵柄層を設けたもの、それらの表面に表面保護層を設けたものなどの単層構成の化粧シートであってもよいし、透明又は半透明の熱可塑性樹脂からなる基材シート上に絵柄層を介して透明な熱可塑性樹脂層を積層してなる、複層構成の化粧シートであってもよい。この化粧シート5の厚みは通例、0.05〜0.3mm程度である。
【0023】
上記化粧シート5を構成する熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂や、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー樹脂)等のオレフィン系共重合体樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、1,4−シクロヘキサンジメタノール変性ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)等のスチレン系樹脂等を使用することができ、これらから選ばれる複数種類の混合物、積層体等であってもよい。
【0024】
上記化粧シート5における絵柄層は、従来公知の印刷インキや塗料を使用して、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法等の適宜の印刷法で形成される。また、絵柄層が無地のベタ層であるか又はベタ層を含む場合には、上記各種印刷法のほか例えばロールコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、スプレーコート法等の塗工法を採用してもよい。
【0025】
絵柄の種類は、例えば木目柄や石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様、文字又は記号、或いはそれらの組み合わせ等であり、単色無地であっても勿論かまわない。意匠性を安定させる為には、不透明な基材シートを用いるか、及び/又は、絵柄層の裏面側に不透明な印刷インキ又は塗料からなる隠蔽ベタ層を設けることが望ましい。また、化粧シート5の意匠性をさらに向上させるために、表面にエンボスを施したり、該エンボスの凹部にワイピング法等により着色剤を充填したり、グロスインキやマットインキを使用して表面にグロスマット模様を形成したりしてもよい。
【0026】
床材として要求される表面硬度や耐摩耗性、耐傷付き性、耐溶剤性等の表面物性を考慮すると、化粧シート5の表面には、高硬度の架橋性樹脂からなる表面保護層を設けることが望ましく、特に、紫外線又は電子線等の電離放射線の照射により硬化する電離放射線硬化型樹脂を用いることが望ましい。この表面保護層は、化粧シート5を木質系基材1や熱可塑性樹脂中間層3などと積層した後に形成してもよいし、積層前に予め化粧シート5の表面に形成しておいてもよい。また、この表面保護層に例えば着色剤、充填剤、艶消剤、減摩剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤等の各種の添加剤を適宜添加してもよい。
【0027】
接着層2、4、7は、木質系基材1、熱可塑性樹脂中間層3、化粧シート5、熱可塑性樹脂裏打層8を相互に貼り合わせるのが目的であり、これらに使用する接着剤の種類は各被積層物の材質等に応じて適宜選定すればよく、本発明において特に制限されるものではない。接着剤を用いたウェットラミネート法やドライラミネート法のほか、接着剤の代わりに溶融熱可塑性樹脂の押出層を介するサンドラミネート法や、接着剤を用いない熱ラミネート法、高周波ラミネート法、超音波ラミネート法等によることもできる。また、接着性を高めるために、積層される層の片面又は両面に予めコロナ放電処理やプライマー等による易接着処理を施しておくこともできる。
【0028】
本発明の床材には、化粧シート5の表面からの切削加工により、表面溝6を形成することができる。この表面溝6の深さは、化粧シート5の厚みの範囲内であっては、浅すぎて意匠的に満足し得ないので、化粧シート5の厚みを越える深さが要求されるのが一般的であり、その際、その底部が熱可塑性樹脂中間層3の層内に留まり、木質系基材1には達しない様な深さとすれば、木質系基材1が露出しないので、表面の耐水性を維持できる利点がある。また、既に述べた様に、熱可塑性樹脂中間層3を予め所望の色調に着色しておけば、表面溝6の形成後にその内面に着色塗装を施す必要がない。
【0029】
この表面溝6は、従来の床材の場合と同様、例えば鋸、鉋、鑿、彫刻刀、ルーター等の切削工具を使用した切削加工法により形成される。その形状は、例えばV字状、U字状、又はそれらの斜面と一般平面部との間の角部を上に凸の曲面状(R面)にしたもの(いわゆるR溝)等、所望により任意である。この表面溝6の幅及び深さは、一般的には0.2〜2mm程度の範囲内で設計される。
【0030】
上記の様に、本発明の床材の表面に、熱可塑性樹脂中間層3内に至る表面溝6を形成した場合、この表面溝6によって熱可塑性樹脂中間層3が熱可塑性樹脂裏打層8よりも表面溝6と直交する方向に撓み易くなり、表裏間の内部応力バランスが若干見出され、反りが発生し易くなる場合がある。この様な場合には、熱可塑性樹脂裏打層8の裏面に、上記表面溝6と平行な方向の裏面溝9を形成することによって、熱可塑性樹脂裏打層8にも熱可塑性樹脂中間層3と同等の撓み易さを与えてやると、内部応力バランスが回復し、反りの抑制に効果的である。
【0031】
裏面溝9の形状や寸法、本数等は、表面溝6と同一にする必要はなく、要するに熱可塑性樹脂中間層3と同等の撓み易さを熱可塑性樹脂裏打層8に与えるものであればよい。裏面溝9には表面溝6と異なり、意匠的な美観は要求されないので、工作機械等による加工が容易な単純な形状であってよく、例えばV字状や矩形状等が一般的となる。なお、裏面溝9には、床材の外形や表面溝6との関係において、特に位置を整合させる必要がないので、木質系基材1との積層前に予め切削形成しておいたり、熱可塑性樹脂裏打層8の成形に使用する金型の内面に裏面溝9に相当する突起部を設けておくことにより、熱可塑性樹脂裏打層8の成形と同時に裏面溝9を形成しておいたりしてもよい。
【0032】
【実施例】
以下に、本発明の床材の具体的な実施例及び比較例を示す。
【0033】
実施例1
褐色に着色したポリプロピレン系樹脂を加熱溶融し、Tダイ押出機で押し出すと同時に両面にコロナ放電処理を施して、熱可塑性樹脂中間層及び熱可塑性樹脂裏打層として使用するための、厚み3mmの着色ポリプロピレン系樹脂シートを作製した。
【0034】
一方、着色ポリプロピレン系樹脂フィルムの表面に、褐色系の木目柄の印刷層を介して、透明なポリプロピレン系樹脂フィルムを積層し、その表面に紫外線硬化型樹脂による硬化後の厚み10μmの表面保護層を形成して、総厚0.17mmの化粧シートを作製した。
【0035】
上記化粧シートを、熱可塑性樹脂中間層としての上記着色ポリプロピレン系樹脂シートの片面に、ドライラミネート接着剤(東洋モートン(株)製 T−359)を介してドライラミネートし、しかる後、木質系基材としての厚み8mmの積層合板の表面に該積層体の熱可塑性樹脂中間層面(化粧シートが積層されていない側の面)を、また該積層合板の裏面には熱可塑性樹脂裏打層として、化粧シートが積層されていない別の上記着色ポリプロピレン系樹脂シートを、それぞれ変性酢酸ビニル樹脂系エマルジョン接着剤(中央理化工業(株)製 BA−10L、硬化剤BA−11Bを2.5部混合、塗布量80g/m2・wet)にて貼り合わせた。
【0036】
上記貼り合わせ体(厚み15mm)を幅300mm×長さ1800mmの定寸に切断して外形を整えた後、Vカット機を用いて、化粧シート表面から深さ0.5mmのV字状の表面溝を、長さ方向に平行に3本(幅方向中央振り分け750mmピッチ)切削形成して、本発明の床材を作製した。
【0037】
実施例2
上記実施例1の床材の裏面の熱可塑性樹脂裏打層に、上記表面溝の場合と同様にして、深さ0.5mmのV字状の裏面溝を長さ方向に3本切削形成した床材を作製した。
【0038】
実施例3
上記実施例1の床材の裏面の熱可塑性樹脂裏打層に、表面溝とは直交する方向に、深さ0.5mmのV字状の裏面溝を6本(長さ方向中央振り分け750mmピッチ)切削形成した床材を作製した。
【0039】
比較例1
上記実施例1において、熱可塑性樹脂裏打層を積層せず、その他は上記実施例1と同一要領で床材を作製した。
【0040】
比較例2
上記実施例1において、熱可塑性樹脂裏打層を、坪量29g/m2の紙2枚を厚み40μmのポリエチレン樹脂押出層を介して積層した3層構成の防湿シート(凸版印刷(株)製 VSシート)に変更し、その他は上記実施例1と同一要領で床材を作製した。
【0041】
比較例3
上記実施例1において、熱可塑性樹脂裏打層を、同一材質で厚みが1mmのものに変更し、その他は上記実施例1と同一要領で床材を作製した。
【0042】
比較例4
上記実施例1において、熱可塑性樹脂裏打層を、厚みが3mmのポリ塩化ビニル樹脂シートに変更し、その他は上記実施例1と同一要領で床材を作製した。
【0043】
評価
上記実施例1〜3及び比較例1〜4の床材について、環境試験後の床材の反りを測定した。但し、環境試験条件は、条件1(温度5℃、湿度20%RH)を48時間と、条件2(温度40℃、湿度90%RH)を48時間とで1サイクルとし、これを10サイクル繰り返した。また、反りの評価は、図2に示す様に、平面形状が長尺矩形状の床材における2本の対角線における矢高測定1、2にて実施した。その結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】
以上に詳述したとおり、本発明の床材は、木質系基材の表面上に、熱可塑性樹脂中間層と化粧シートとをこの順に積層した床材における、該木質系基材の裏面にも、前記熱可塑性樹脂中間層と同質同厚の熱可塑性樹脂裏打層を積層したことにより、全体的にほぼ表裏対称構造であるので、内部応力バランスが取れると共に、木質系基材の表裏面からの吸放湿も低減されることにより、環境変化による反りの発生を大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の床材の模式断面図。
【図2】実施例における矢高測定の説明図。
【符号の説明】
1・・・木質系基材
2・・・接着層
3・・・熱可塑性樹脂中間層
4・・・接着層
5・・・化粧シート
6・・・表面溝
7・・・接着層
8・・・熱可塑性樹脂裏打層
9・・・裏面溝
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅等の建築物における室内の床面や階段踏面等に用いられる床材に関し、特に、住環境における温度・湿度変化による反りの防止効果に優れた床材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在の住宅等で用いられている床材としては、厚み6〜15mm程度の積層合板等の木質系基材の表面に、厚み0.2〜2mm程度の天然木の突板を貼り合わせ、透明塗装を施したものが、最も広く用いられている。しかしながらこの床材は、表面材として天然木を使用しているが故に耐水性や耐候性が弱く、窓際や水廻りなどに用いると割れや反りが発生し易いといった問題があった。
【0003】
そこで、木質系基材の表面に、耐水性や耐候性に優れた合成樹脂製の化粧シートを貼着した床材の提案もある(特許文献1)。しかし、このような構成の床材は、意匠性の向上のために表面に溝加工を施すと、木質系基材が露出した溝部の耐水性が著しく劣る問題がある。この溝部に塗装を施して耐水性を向上させることも一案である(特許文献2)が、製造工程が煩雑となり生産性が劣るほか、溝部以外の一般表面部に塗料が付着して不良品を発生すること等の問題がある。
【0004】
上記の問題を解決するために、木質系基材と化粧シートとの間に、該化粧シートに近似した色の熱可塑性樹脂中間層を設け、化粧シート表面から該熱可塑性樹脂中間層を貫通しない範囲で溝加工を施した床材の提案もある(特許文献3)。この床材には、熱可塑性樹脂中間層として、木粉の配合等による高硬度の樹脂組成物を使用すれば、耐キャスター性等の表面硬度を向上できる利点もある。
【0005】
しかし、上記した溝加工のために、熱可塑性樹脂中間層にはある程度の厚みが必要であり、一般的な床材における表面溝の深さを考慮すると、少なくとも数百μm程度は必要である。このような厚手の熱可塑性樹脂中間層を木質系基材の片面に積層すると、木質系基材の表裏面の応力バランスが崩れ、温度や湿度の変化による反りが発生し易くなる。
【0006】
この問題を解決するために、木質系基材の裏面に、ポリオレフィン系樹脂フィルム又はその両面に薄葉紙を貼合したものなどからなる防湿シートを貼着することも提案されている(特許文献3)。しかし、この方法により確かに反りの発生をある程度軽減することは可能であるが、反りの発生を実用上の支障がない程度にまで十分に抑えることはできないという問題があった。
【0007】
先行技術文献情報
【特許文献1】
実用新案登録第3051531号公報
【特許文献2】
特開2001−123647号公報
【特許文献3】
特開2001−191454号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決すべくなされたもので、その目的とするところは、木質系基材上に、表面硬度や耐水性の向上のための熱可塑性樹脂中間層を介して、化粧シートが積層された床材において、表裏面の応力バランスをそろえ、温度・湿度変化による反りの発生を大幅に軽減した床材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、木質系基材の表面上に、熱可塑性樹脂中間層と、化粧シートとがこの順に積層されてなる床材において、前記木質系基材の裏面に、前記熱可塑性樹脂中間層と同一材質からなり同一厚みの熱可塑性樹脂裏打層が積層されてなることを特徴とする床材を提供するものである。
【0010】
また、上記の床材に加えてさらに、前記化粧シートの表面から、前記熱可塑性樹脂中間層の層内に至り、前記木質系基材には達しない深さの表面溝が形成されてなることを特徴とする床材を提供するものである。
【0011】
また、上記の床材に加えてさらに、前記熱可塑性樹脂裏打層の裏面に、前記表面溝と平行な方向に、該熱可塑性樹脂裏打層を貫通しない深さの裏面溝が形成されてなることを特徴とする床材を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の床材の模式断面図であり、木質系基材1の表面側には熱可塑性樹脂中間層3及び化粧シート5が、裏面側には熱可塑性樹脂裏打層8が、それぞれ接着層2、4、7を介して積層されている。ここで、熱可塑性樹脂中間層3と熱可塑性樹脂裏打層8とは、同一材質からなる同一厚みの熱可塑性樹脂層によって構成されている。
【0013】
木質系基材1は、従来の床材におけるそれと同様のものであり、一般的には、例えば通常の積層合板や中質繊維板(MDF)、硬質繊維板(HDF)、パーティクルボード等であり、それらを任意に組み合わせた積層体が用いられる場合もある。その厚みは、床材の使用部位や施工方法などに応じて任意であるが、一般的には3〜30mmであり、中でも5〜15mmのものが最もよく用いられる。
【0014】
熱可塑性樹脂中間層3及び熱可塑性樹脂裏打層8は、床材の構成材料として十分な機械的強度や耐水性、耐候性等を備えた熱可塑性樹脂からなる薄板状体であればよく、熱可塑性樹脂の種類には特に制限はなく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー)等のポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)等のスチレン系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、6−ナイロン、12−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン等のポリアミド系樹脂等、或いはそれらの複数種の混合物や複合体、積層体等を使用することができる。
【0015】
上記した各種の熱可塑性樹脂の中でも、機械的強度や加工性、経済性、リサイクル適性、廃棄性(焼却性)等を考慮すると、ポリオレフィン系樹脂を使用することが望ましく、その中でも硬度の高いポリプロピレン樹脂を使用することが最も望ましい。このポリプロピレン樹脂としては、床材を施工する建築物の使用目的や施工部位等により、耐キャスター性や耐傷付き性などの表面硬度を重視する場合にはホモポリプロピレン樹脂、耐落下物性などの耐衝撃性を重視する場合にはブロック重合ポリプロピレン樹脂、触感や歩行感などの柔軟性を重視する場合にはランダム重合ポリプロピレン樹脂やプロピレン−α−オレフィン共重合体樹脂などを適宜使い分ければよい。
【0016】
また、必要に応じて、表面硬度や剛性を高めたり、熱膨張係数を低減したりするために、適宜の充填剤を添加することもできる。この充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ、タルク、クレー、ガラスビーズ、ガラス繊維、金属粉等の無機系充填剤や、木粉、紙粉、竹粉、籾殻粉等の有機系充填剤などを任意に用いることができる。充填剤の配合量は通常、熱可塑性樹脂100重量部当たり5〜400重量部の程度であるが、表面硬度の向上という目的のためには高充填化が必要であり、熱可塑性樹脂100重量部当たり150〜400重量部程度の配合とすることが望ましい。
【0017】
さらに、必要に応じて、適宜の着色顔料等の着色剤を添加することにより着色してもよい。特に、後述する様に化粧シート5の表面から熱可塑性樹脂中間層3内に至る表面溝6を切削形成する際には、熱可塑性樹脂中間層3を予め表面溝6の内面に所望する色調に着色しておくと、表面溝6の切削形成後にその内面に塗装等の着色処理を施す必要がなくなる利点がある。この場合の熱可塑性樹脂中間層3の色調としては、無垢材調の外観を得たければ化粧シート5の絵柄の色調に近似した色調にすればよいし、寄せ木調やタイル貼り調等のように目地部がくっきりとした外観を得たければ目地部に所望する色調にすればよい。
【0018】
熱可塑性樹脂中間層3及び熱可塑性樹脂裏打層8の厚みは、主として熱可塑性樹脂中間層3に要請される表面硬度や表面溝6形成時の問題(木質系基材1が露出しないこと)などの観点から決定され、通例、0.2〜5mm程度のものが用いられ、中でも0.5〜3mm程度が最も好適である。
【0019】
これら熱可塑性樹脂中間層3及び熱可塑性樹脂裏打層8には、木質系基材1を表裏両面からサンドウィッチすることにより、床材が全体としてほぼ表裏対称構造(化粧シート5は薄いので事実上無視できる)となって、温度変化等による内部応力のバランスが取れて反りが防止できると共に、木質系基材1の表裏面からの吸放湿を防止し、木質系基材1の内部における含水率の不均一化による反りの発生を防止する機能をも有する。
【0020】
この観点からは、熱可塑性樹脂中間層3及び熱可塑性樹脂裏打層8は、その透湿速度が木質系基材1の内部における水分の拡散速度を大幅に下回る様に、透湿度が十分に低いことが必要であり、具体的には、JIS Z 0208に規定のカップ法による透湿度が30g/m2・24時間以下となる様に設計することが望ましい。この点では、例えば上記したポリオレフィン系樹脂などでは一般に、厚みが数十μm程度あれば反り防止効果が発現するが、これを表面硬度等の観点から熱可塑性樹脂中間層3に要求される例えば数百μm以上といった厚みとすると共に、表面側の熱可塑性樹脂中間層3と裏面側の熱可塑性樹脂裏打層8とを同質、同厚とすれば、より完全性の高い反り防止効果を得ることができる。
【0021】
熱可塑性樹脂中間層3上に積層される化粧シート5は、床材の表面に所望の絵柄や表面エンボス等による意匠性を付与するためのもので、天然木の突板や模様印刷紙などが用いられる場合もあるが、耐水性や耐摩耗性、耐擦傷性などの観点からは、熱可塑性樹脂製の化粧シート5を用いることが望ましい。
【0022】
熱可塑性樹脂製の化粧シート5は、熱可塑性樹脂からなる不透明な基材シートの表面に印刷等による絵柄層を設けたものや、熱可塑性樹脂からなる透明な基材シートの裏面及び/又は表面に絵柄層を設けたもの、それらの表面に表面保護層を設けたものなどの単層構成の化粧シートであってもよいし、透明又は半透明の熱可塑性樹脂からなる基材シート上に絵柄層を介して透明な熱可塑性樹脂層を積層してなる、複層構成の化粧シートであってもよい。この化粧シート5の厚みは通例、0.05〜0.3mm程度である。
【0023】
上記化粧シート5を構成する熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂や、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー樹脂)等のオレフィン系共重合体樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、1,4−シクロヘキサンジメタノール変性ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)等のスチレン系樹脂等を使用することができ、これらから選ばれる複数種類の混合物、積層体等であってもよい。
【0024】
上記化粧シート5における絵柄層は、従来公知の印刷インキや塗料を使用して、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法等の適宜の印刷法で形成される。また、絵柄層が無地のベタ層であるか又はベタ層を含む場合には、上記各種印刷法のほか例えばロールコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、スプレーコート法等の塗工法を採用してもよい。
【0025】
絵柄の種類は、例えば木目柄や石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様、文字又は記号、或いはそれらの組み合わせ等であり、単色無地であっても勿論かまわない。意匠性を安定させる為には、不透明な基材シートを用いるか、及び/又は、絵柄層の裏面側に不透明な印刷インキ又は塗料からなる隠蔽ベタ層を設けることが望ましい。また、化粧シート5の意匠性をさらに向上させるために、表面にエンボスを施したり、該エンボスの凹部にワイピング法等により着色剤を充填したり、グロスインキやマットインキを使用して表面にグロスマット模様を形成したりしてもよい。
【0026】
床材として要求される表面硬度や耐摩耗性、耐傷付き性、耐溶剤性等の表面物性を考慮すると、化粧シート5の表面には、高硬度の架橋性樹脂からなる表面保護層を設けることが望ましく、特に、紫外線又は電子線等の電離放射線の照射により硬化する電離放射線硬化型樹脂を用いることが望ましい。この表面保護層は、化粧シート5を木質系基材1や熱可塑性樹脂中間層3などと積層した後に形成してもよいし、積層前に予め化粧シート5の表面に形成しておいてもよい。また、この表面保護層に例えば着色剤、充填剤、艶消剤、減摩剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤等の各種の添加剤を適宜添加してもよい。
【0027】
接着層2、4、7は、木質系基材1、熱可塑性樹脂中間層3、化粧シート5、熱可塑性樹脂裏打層8を相互に貼り合わせるのが目的であり、これらに使用する接着剤の種類は各被積層物の材質等に応じて適宜選定すればよく、本発明において特に制限されるものではない。接着剤を用いたウェットラミネート法やドライラミネート法のほか、接着剤の代わりに溶融熱可塑性樹脂の押出層を介するサンドラミネート法や、接着剤を用いない熱ラミネート法、高周波ラミネート法、超音波ラミネート法等によることもできる。また、接着性を高めるために、積層される層の片面又は両面に予めコロナ放電処理やプライマー等による易接着処理を施しておくこともできる。
【0028】
本発明の床材には、化粧シート5の表面からの切削加工により、表面溝6を形成することができる。この表面溝6の深さは、化粧シート5の厚みの範囲内であっては、浅すぎて意匠的に満足し得ないので、化粧シート5の厚みを越える深さが要求されるのが一般的であり、その際、その底部が熱可塑性樹脂中間層3の層内に留まり、木質系基材1には達しない様な深さとすれば、木質系基材1が露出しないので、表面の耐水性を維持できる利点がある。また、既に述べた様に、熱可塑性樹脂中間層3を予め所望の色調に着色しておけば、表面溝6の形成後にその内面に着色塗装を施す必要がない。
【0029】
この表面溝6は、従来の床材の場合と同様、例えば鋸、鉋、鑿、彫刻刀、ルーター等の切削工具を使用した切削加工法により形成される。その形状は、例えばV字状、U字状、又はそれらの斜面と一般平面部との間の角部を上に凸の曲面状(R面)にしたもの(いわゆるR溝)等、所望により任意である。この表面溝6の幅及び深さは、一般的には0.2〜2mm程度の範囲内で設計される。
【0030】
上記の様に、本発明の床材の表面に、熱可塑性樹脂中間層3内に至る表面溝6を形成した場合、この表面溝6によって熱可塑性樹脂中間層3が熱可塑性樹脂裏打層8よりも表面溝6と直交する方向に撓み易くなり、表裏間の内部応力バランスが若干見出され、反りが発生し易くなる場合がある。この様な場合には、熱可塑性樹脂裏打層8の裏面に、上記表面溝6と平行な方向の裏面溝9を形成することによって、熱可塑性樹脂裏打層8にも熱可塑性樹脂中間層3と同等の撓み易さを与えてやると、内部応力バランスが回復し、反りの抑制に効果的である。
【0031】
裏面溝9の形状や寸法、本数等は、表面溝6と同一にする必要はなく、要するに熱可塑性樹脂中間層3と同等の撓み易さを熱可塑性樹脂裏打層8に与えるものであればよい。裏面溝9には表面溝6と異なり、意匠的な美観は要求されないので、工作機械等による加工が容易な単純な形状であってよく、例えばV字状や矩形状等が一般的となる。なお、裏面溝9には、床材の外形や表面溝6との関係において、特に位置を整合させる必要がないので、木質系基材1との積層前に予め切削形成しておいたり、熱可塑性樹脂裏打層8の成形に使用する金型の内面に裏面溝9に相当する突起部を設けておくことにより、熱可塑性樹脂裏打層8の成形と同時に裏面溝9を形成しておいたりしてもよい。
【0032】
【実施例】
以下に、本発明の床材の具体的な実施例及び比較例を示す。
【0033】
実施例1
褐色に着色したポリプロピレン系樹脂を加熱溶融し、Tダイ押出機で押し出すと同時に両面にコロナ放電処理を施して、熱可塑性樹脂中間層及び熱可塑性樹脂裏打層として使用するための、厚み3mmの着色ポリプロピレン系樹脂シートを作製した。
【0034】
一方、着色ポリプロピレン系樹脂フィルムの表面に、褐色系の木目柄の印刷層を介して、透明なポリプロピレン系樹脂フィルムを積層し、その表面に紫外線硬化型樹脂による硬化後の厚み10μmの表面保護層を形成して、総厚0.17mmの化粧シートを作製した。
【0035】
上記化粧シートを、熱可塑性樹脂中間層としての上記着色ポリプロピレン系樹脂シートの片面に、ドライラミネート接着剤(東洋モートン(株)製 T−359)を介してドライラミネートし、しかる後、木質系基材としての厚み8mmの積層合板の表面に該積層体の熱可塑性樹脂中間層面(化粧シートが積層されていない側の面)を、また該積層合板の裏面には熱可塑性樹脂裏打層として、化粧シートが積層されていない別の上記着色ポリプロピレン系樹脂シートを、それぞれ変性酢酸ビニル樹脂系エマルジョン接着剤(中央理化工業(株)製 BA−10L、硬化剤BA−11Bを2.5部混合、塗布量80g/m2・wet)にて貼り合わせた。
【0036】
上記貼り合わせ体(厚み15mm)を幅300mm×長さ1800mmの定寸に切断して外形を整えた後、Vカット機を用いて、化粧シート表面から深さ0.5mmのV字状の表面溝を、長さ方向に平行に3本(幅方向中央振り分け750mmピッチ)切削形成して、本発明の床材を作製した。
【0037】
実施例2
上記実施例1の床材の裏面の熱可塑性樹脂裏打層に、上記表面溝の場合と同様にして、深さ0.5mmのV字状の裏面溝を長さ方向に3本切削形成した床材を作製した。
【0038】
実施例3
上記実施例1の床材の裏面の熱可塑性樹脂裏打層に、表面溝とは直交する方向に、深さ0.5mmのV字状の裏面溝を6本(長さ方向中央振り分け750mmピッチ)切削形成した床材を作製した。
【0039】
比較例1
上記実施例1において、熱可塑性樹脂裏打層を積層せず、その他は上記実施例1と同一要領で床材を作製した。
【0040】
比較例2
上記実施例1において、熱可塑性樹脂裏打層を、坪量29g/m2の紙2枚を厚み40μmのポリエチレン樹脂押出層を介して積層した3層構成の防湿シート(凸版印刷(株)製 VSシート)に変更し、その他は上記実施例1と同一要領で床材を作製した。
【0041】
比較例3
上記実施例1において、熱可塑性樹脂裏打層を、同一材質で厚みが1mmのものに変更し、その他は上記実施例1と同一要領で床材を作製した。
【0042】
比較例4
上記実施例1において、熱可塑性樹脂裏打層を、厚みが3mmのポリ塩化ビニル樹脂シートに変更し、その他は上記実施例1と同一要領で床材を作製した。
【0043】
評価
上記実施例1〜3及び比較例1〜4の床材について、環境試験後の床材の反りを測定した。但し、環境試験条件は、条件1(温度5℃、湿度20%RH)を48時間と、条件2(温度40℃、湿度90%RH)を48時間とで1サイクルとし、これを10サイクル繰り返した。また、反りの評価は、図2に示す様に、平面形状が長尺矩形状の床材における2本の対角線における矢高測定1、2にて実施した。その結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】
以上に詳述したとおり、本発明の床材は、木質系基材の表面上に、熱可塑性樹脂中間層と化粧シートとをこの順に積層した床材における、該木質系基材の裏面にも、前記熱可塑性樹脂中間層と同質同厚の熱可塑性樹脂裏打層を積層したことにより、全体的にほぼ表裏対称構造であるので、内部応力バランスが取れると共に、木質系基材の表裏面からの吸放湿も低減されることにより、環境変化による反りの発生を大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の床材の模式断面図。
【図2】実施例における矢高測定の説明図。
【符号の説明】
1・・・木質系基材
2・・・接着層
3・・・熱可塑性樹脂中間層
4・・・接着層
5・・・化粧シート
6・・・表面溝
7・・・接着層
8・・・熱可塑性樹脂裏打層
9・・・裏面溝
Claims (3)
- 木質系基材の表面上に、熱可塑性樹脂中間層と、化粧シートとがこの順に積層されてなる床材において、前記木質系基材の裏面に、前記熱可塑性樹脂中間層と同一材質からなり同一厚みの熱可塑性樹脂裏打層が積層されてなることを特徴とする床材。
- 前記化粧シートの表面から、前記熱可塑性樹脂中間層の層内に至り、前記木質系基材には達しない深さの表面溝が形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の床材。
- 前記熱可塑性樹脂裏打層の裏面に、前記表面溝と平行な方向に、該熱可塑性樹脂裏打層を貫通しない深さの裏面溝が形成されてなることを特徴とする請求項2に記載の床材。
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- 2002-11-06 JP JP2002322145A patent/JP2004156277A/ja active Pending
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