JP4193450B2 - 床材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅等の建築物における室内の床面や階段踏面等に用いられる床材に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、住宅等の建築物における室内床面等に用いられる床材としては、厚み6〜15mm程度の天然木材の無垢板や、厚み6〜15mm程度の積層合板等の木質基材上に厚み0.2〜1mm程度の天然木突板を貼着したもの等の、木質系フローリング材が、最も広く使用されている。しかし、この木質系フローリング材は、表面が天然木材からなるため、本質的に耐水性が弱く、厨房や洗面所等の様に床面が水に濡れる機会の多い箇所に使用すると、水分の滲み込みにより突板層の膨れや剥離、床材全体の反りや腐蝕等が発生し易いという問題がある。
【0003】
そこで、積層合板等の木質基材上に、従来の天然木突板に代えて、耐水性に優れた熱可塑性樹脂シートに、木目模様等を印刷等により人工的に表現した意匠を付与してなる化粧シートを貼着した床材も、既に提案されている(実用新案登録第3051530号等)。しかし、床材には一般に、古来の寄せ木貼り床面の意匠を模倣して、表面に溝加工が施される場合が多いが、化粧シートは高々300μm以下程度の薄いシート体であるから、一般的な深さ(0.2mm〜2mm程度)の溝加工を施すと、溝部には木質基材が露出し、ここから滲み込んだ水分により、化粧シート層の膨れや剥離、床材全体の反りや腐蝕等が発生してしまうという問題がある。一方、化粧シートの表面に予めエンボス加工を施しておく技術も知られているが、その深さは化粧シートの厚みより浅く、高々0.1mm程度が限界であるから、床材における溝部の深さとしては意匠的に不十分である。
【0004】
この問題を解決するために、積層合板等の木質基材と化粧シートとの間に熱可塑性樹脂板を介在させ、該熱可塑性樹脂板を貫通しない深さの溝加工を施すことにより、溝部から木質基材への水分の染み込みを防止し、耐水性を向上した床材の提案もある(特開2001−191454号等)。しかし、熱可塑性樹脂板は木質基材と異なり熱可塑性樹脂からなるため、溝加工時の切削刃との摩擦による発熱のために軟化して引き伸ばされ、バリやヒゲを発生したり、切削部分が白化したりして、床材の表面の意匠を損ない易いという問題があった。また、熱可塑性樹脂板と化粧シートとの接着界面が溝部において露出するため、この露出部から接着界面に水分が滲み込んで接着剤を劣化させ、化粧シートの剥離の原因となる場合もあるという問題もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術における上記のような問題点を解決するためになされたものであり、木質基材を使用しながら耐水性に優れており、表面に形成された溝部による立体的な意匠感を有し、しかも溝加工時のバリやヒゲ、白化等の切削不良の問題もなく、良好な品質の製品を簡便に製造可能な床材を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、 木質基材の表面に、熱可塑性樹脂中間層を介して熱可塑性樹脂製の化粧シートが積層された床材であって、前記化粧シートは、結晶性ポリエステル系樹脂を結晶化させずにシート化し、該化粧シートの厚みを越える深さのエンボス加工による溝部を有し、また前記熱可塑性樹脂中間層は、厚さが0.05mm〜3mmの範囲の熱変形温度(JIS K 7191、荷重0.45MPa)が60℃以上130℃以下である非結晶性共重合ポリエステル樹脂からなることを特徴とする床材を提供するものである。
【0009】
また、上記床材において、前記溝部は、前記化粧シートの表面から前記熱可塑性樹脂中間層の裏面までの距離を越えない深さに形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、上記床材において、前記溝部は、前記化粧シートの表面から前記熱可塑性樹脂中間層の裏面までの距離を超える深さに形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
さらに、上記床材において、前記木質基材と前記熱可塑性樹脂中間層との間に、熱可塑性樹脂発泡層が挟持されていることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の床材は、図1に示す様に、積層合板等からなる木質基材1の表面に、エンボス加工適性に優れた熱可塑性樹脂中間層2を介して、耐水性に優れた熱可塑性樹脂シートからなる意匠性付与のための化粧シート3が積層され、該化粧シート3の表面から、該化粧シート3の厚みを越える深さのエンボス加工が施されて溝部4が形成されてなる床材である。
【0013】
本発明の床材は上述のとおり、熱可塑性樹脂中間層2上に積層された熱可塑性樹脂製の化粧シート3の表面からのエンボス加工によって溝部4を形成したので、熱可塑性樹脂中間層2の熱可塑性を利用して、化粧シート3の厚みを越える十分な深さの溝部4を、エンボス加工により容易に形成可能である。しかも、溝部4を切削加工により形成する場合と異なり、溝部4において熱可塑性樹脂中間層2と化粧シート3との界面が露出することがなく、従って、この露出した界面から層間に水分が滲み込んで接着剤を劣化させることもなく、優れた耐水性を有している。
【0014】
さらに、溝部4の内面も床材の一般表面と同じ化粧シート3によって覆われているので、各種物性面からも意匠面(色彩)からも、後工程において溝部4に塗装を施す必要は必ずしもないので、生産性に優れる利点がある。勿論、意匠上の要請により必要に応じて、ワイピング法又はロール塗工法等により溝部4に着色塗装を施すことは差し支えないが、その際も、該塗装に使用する塗料に対する物性面からの要求は、切削加工により形成された溝部への塗装の場合ほど厳しくはなく、また、例えば僅かな位置ずれや微細なピンホール等のような軽微な塗装不良が発生することがあっても、耐水性等の物性面に深刻な影響を与えることがないので、塗料材料や塗装方式の選択幅が広く、歩留まりも向上し、生産性良く製造可能であるという利点もある。
【0015】
本発明の床材において、木質基材1としては、例えば積層合板や、単板積層材、配向性ボード、パーティクルボード、高密度繊維板等、従来公知の各種の木質系ボード類を任意に使用することができる。中でも最も代表的なのは積層合板であり、これは、複数枚(通常は奇数枚)の木材単板をその繊維方向を交互に直交させて積層接着してなるものであり、該木材単板の材種としては、ラワン材等の広葉樹材やパイン材等の針葉樹材のいずれか若しくはそれらの混合であっても良い。最表面の木材単板として、例えばクルイン材、カプール材、メンクラン材等、シリカ分を含み硬質で耐久性の高い南洋材系の材種を使用すれば、更に表面強度に優れた床材を得ることができる。
【0016】
木質基材1の厚みには特に制限はないが、床材の総厚としては通例6〜15mm程度の範囲内から選ばれるから、これから熱可塑性樹脂中間層2及び化粧シート3の厚みを差し引いた厚みに設定され、通例2.5〜12mm程度の範囲内で設計される。
【0017】
熱可塑性樹脂中間層2は、本発明の床材の表面にエンボス加工法により溝部4を形成可能なエンボス加工適性を担保するものであり、これを構成する熱可塑性樹脂の種類については、熱圧エンボス可能な熱可塑性を有するものであれば特に限定されない。但し、該熱可塑性樹脂の熱変形温度が低すぎると、使用中の高温時に容易に変形して、エンボス戻り現象により溝部4が浅くなってしまったり、表面に熱変形による凹凸が発生して意匠性を損なったりする原因となり、一方高すぎるとエンボス加工が困難となるので、熱変形温度(JIS K 7191、荷重0.45MPa)が60℃以上130℃以下の熱可塑性樹脂を使用することが望ましい。
【0018】
熱可塑性樹脂中間層2を構成する熱可塑性樹脂の具体例を挙げれば、例えばポリブチレンテレフタレート樹脂、非晶状態の結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂(通称A−PET)、1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(通称PET−G)に代表される非結晶性共重合ポリエステル樹脂、及びポリエチレン樹脂等を挙げることができる。なお、ポリエチレン樹脂については、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、線状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン樹脂(UHMWPE)等のいずれも可能であるが、低密度ポリエチレン樹脂及び線状低密度ポリエチレン樹脂の中には、熱変形温度が60℃に満たないものもあるので、熱変形温度が60℃以上のものを選択して使用することが望ましい。
【0019】
熱可塑性樹脂中間層2には、エンボス加工適性を損なわない範囲内において、適宜の充填剤を添加することも差し支えない。この充填剤として具体的には、例えば炭酸カルシウム、タルク、クレー、ガラス粉、ガラス繊維、ガラスビーズ、雲母粉、金属粉等の無機系充填剤や、木粉、紙粉、籾殻、木材パルプ、合成樹脂ビーズ等の有機系充填剤等を挙げることができ、そのいずれか1種を単独で、若しくは2種以上を混合して使用することができる。さらに、必要に応じて、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、カーボンブラック、コバルトブルー、フタロシアニン等の着色顔料を添加して着色することも任意であり、特に、不透明顔料の添加により隠蔽性を持たせると、木質基材1の色調のバラツキやムラ、欠陥等を隠蔽し、意匠品質の安定した床材を得ることができる利点がある。
【0020】
熱可塑性樹脂中間層2の厚みとしては、あまり薄すぎると十分な深さの溝部4を形成するためのエンボス加工適性が確保できないので、少なくとも0.05mm以上とすることが望ましい。上限は、床材全体の厚みの設計にもよるが、木質基材1の厚みとのバランス及び経済性などを考慮すると、一般的には5mm程度以下、さらに好ましくは3mm以下とすることが望ましい。
【0021】
化粧シート3は、床材の表面に所望の意匠や耐摩耗性、耐傷付き性、耐溶剤性、耐候性、耐油性等の表面物性を付与するために設けられるものであり、通常の床材においては、薄葉紙等の紙の表面に絵柄の印刷及び表面保護コート層を施した紙質系の化粧シートなどが使用される場合もあるが、本発明の床材においては、上記した各種表面物性に加えて、優れたエンボス加工適性が要求されることから、熱可塑性樹脂製の化粧シート3を使用する必要がある。
【0022】
上記熱可塑性樹脂製の化粧シート3とは具体的には、熱可塑性樹脂からなる不透明な基材シートの表面に絵柄層を設けたものや、熱可塑性樹脂からなる透明な基材シートの裏面及び/又は表面に絵柄層を設けたもの、それらの表面に表面保護層を設けたものなどの単層構成の化粧シートであっても良い。しかし、意匠性、接着適性、耐候性、耐溶剤性、耐摩耗性等の各種要求品質を考慮すると、透明又は不透明の熱可塑性樹脂からなる基材シート上に、絵柄層を介して、透明な熱可塑性樹脂からなる透明樹脂層を設けてなる、複層構成の化粧シートを使用することが最も好適である。なお、絵柄層は、基材シートと透明樹脂層との層間に設けるほか、透明樹脂層の表面や、基材シートが透明である場合にはその裏面などに設けることも、勿論差し支えない。
【0023】
化粧シート3の主体である、基材シートや透明樹脂層等の構成する熱可塑性樹脂としては、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂等を使用することができる。特に、床材としての表面物性や加工性、経済性、廃棄性(焼却性も含む)等を考慮すると、化粧シート3の材料としてはポリオレフィン系樹脂及び/又はポリエステル系樹脂を使用することが望ましい。さらに、床材の使用後や加工中に発生する廃材の処理を考慮すると、熱可塑性樹脂中間層2に含まれる樹脂と同系のものを使用すれば、熱可塑性樹脂中間層2と化粧シート3とを分離することなく、そのまま熱可塑性樹脂中間層2の原料として再利用することができる利点がある。
【0024】
化粧シート3に要求されるエンボス加工適性を考慮すると、化粧シート3を構成する熱可塑性樹脂は、エンボス加工時の伸長により破断や白化を発生しにくい柔軟性に優れたものを選定することが望ましい。例えば、ポリオレフィン系樹脂であれば、ポリエチレン又はポリプロピレン等の通常のポリオレフィン樹脂に、低密度ポリエチレン、アタクチックポリプロピレン、エチレン−プロピレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体又はその水素添加物等のオレフィン系軟質成分ないしゴム成分を添加した樹脂組成物か、若しくは、例えばエチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体、エチレン−プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂等の軟質ポリオレフィン系樹脂を使用することが望ましい。
【0025】
また、ポリエステル系樹脂であれば、例えば非晶状態の結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂(A−PET)や、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート(PET−G)等の共重合ポリエステル系樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー樹脂等の柔軟性ポリエステル系樹脂を使用することが望ましい。また、これら柔軟性ポリエステル系樹脂に、ポリブチレンテレフタレート系樹脂等の結晶性ポリエステル系樹脂を適当量含有させ、該結晶性ポリエステル系樹脂を結晶化させずにシート化したものを用いて化粧シート3を作製し、熱可塑性樹脂中間層2上への積層後にエンボス加工を施す際の熱により該結晶性ポリエステル系樹脂を部分的に結晶化させる手法を採用すると、エンボス加工の際には十分な柔軟性を有しエンボス加工適性に優れ、しかもエンボス加工後には結晶化により表面硬度や耐溶剤性等の表面物性が向上するので、十分に深い溝部4による意匠性と各種表面物性との双方に優れた床材が容易に得られる利点もある。
【0026】
化粧シート3に施す絵柄層の絵柄の種類には特に制限はなく、例えば木目柄、石目柄、抽象柄等、所望により任意である。また、化粧シート3には、木質基材1及び/又は熱可塑性樹脂中間層2の表面の好ましくない色彩や色ムラ、欠陥等を隠蔽して意匠性を高めるために、隠蔽性が要求される場合が多い。化粧シート3に隠蔽性を付与するには、絵柄層より裏面側の熱可塑性樹脂層、すなわち上述した複層構成の化粧シートにおける基材シートに、酸化チタンや酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化鉄等の不透明顔料を添加して、隠蔽性に着色しておくことが最も有効である。その他、絵柄層の裏面側に、不透明顔料を含有する不透明印刷インキ等により隠蔽層を形成したり、これらを併用することもできる。
【0027】
上記のほか、化粧シート3には必要に応じて、表面にエンボス加工を施したり、該エンボスの凹部にワイピング法により着色剤を充填したり、表面に艶調整及び表面保護を兼ねたトップコート層を施したり、該トップコート層として艶状態の異なる樹脂層を設けて艶差により視覚的立体感を表現したり、該トップコート層に減摩剤を添加して耐摩耗性や耐傷付き性を向上させたり、裏面にプライマー層を設けて熱可塑性樹脂中間層2との接着性を向上させたりしてもよい。また、化粧シート3における透明樹脂層及び/又はトップコート層に紫外線吸収剤、光安定剤等を添加して耐候性を向上させることも、任意に行うことができる。
【0028】
エンボス加工による溝部4は、意匠上の要請により、少なくとも化粧シート3の厚みを越える深さに形成する必要がある。その深さは、溝部4の底部が熱可塑性樹脂中間層2の層内に留まる深さ、すなわち化粧シート3の表面から熱可塑性樹脂中間層2の裏面までの距離を越えない深さであれば、熱可塑性樹脂中間層2のエンボス加工適性を利用することにより、エンボス不良を発生することなく良好に形成可能である。
【0029】
しかし、木質基材1がそれ自体として多少ともエンボス加工に堪える柔軟性を備えたものである場合には、図2に示す様に、熱可塑性樹脂中間層2のエンボス加工前の裏面を越え、木質基材1にまで達する深さの溝部4を形成することもできる。この場合にも、エンボス加工による溝部4を形成するための変形の殆どは熱可塑性樹脂中間層2に負担され、木質基材1には溝部4の深さの一部に相当する変形が加えられるだけであるから、木質基材1の表面に直接化粧シート3が積層されている場合と比較すれば、遥かに深い溝部4を容易に形成することができる利点がある。
【0030】
また、熱可塑性樹脂中間層2は、その全体が発泡層であるか、若しくはその一部に発泡層を含むものであっても良い。例えば、図3に示す様に、化粧シート3側の非発泡層21と、木質基材1側の発泡層22との積層体によって、熱可塑性樹脂中間層2を構成しても良い。との間に、熱可塑性樹脂発泡層5を挟持させた構成としてもよい。この様に構成すると、化粧シート3の表面から熱可塑性樹脂中間層2における非発泡層21の裏面を越える深さの溝部4を形成しても、非発泡層21の裏面を越える部分の変形の全部又は大部分を発泡層22に負担させることができるので、木質基材1には全く影響が及ばないか、若しくは木質基材1に及ぶ影響を軽減することが可能になる。つまり、エンボス加工適性が無いか又は非常に乏しい木質基材1を使用した場合にも、より深い溝部4の形成が可能になる。
【0031】
上記と同様の発泡層22によるエンボス加工適性向上効果は、熱可塑性樹脂中間層2が発泡層22のみからなる場合や、非発泡層21と発泡層22との上下関係が上記と逆の場合、非発泡層21/発泡層22/非発泡層21の三層構成の場合、発泡層22/非発泡層21/発泡層22の三層構成の場合、その他四層以上の多層構成の場合等、要するに熱可塑性樹脂中間層2が発泡層22を少なくとも含む構成であれば、有効に発現することができる。また、発泡層22が設けられていることで、クッション性、歩行性、耐衝撃性、遮音性、保温性などが改善される利点もある。
【0032】
本発明の床材の製造にあたり、木質基材1と熱可塑性樹脂中間層2との積層方法、及び、熱可塑性樹脂中間層2と化粧シート3との積層方法に関しては、何ら限定されるものではなく、例えば適宜の接着剤を介したウェットラミネート法又はドライラミネート法や、接着剤を介するか又は介さない熱ラミネート法、溶融熱可塑性樹脂の押出層を介するサンドラミネート法、超音波融着法、高周波融着法等、従来公知の任意の積層方法から任意に選択して実施することができる。
【0033】
また、これら3層の積層の順序も特に問わず、予め木質基材1と熱可塑性樹脂中間層2とを積層しておいてから、その熱可塑性樹脂中間層2側の面に化粧シート3を積層しても良いし、逆に、予め熱可塑性樹脂中間層2と化粧シート3とを積層しておいてから、その熱可塑性樹脂中間層2側の面に木質基材1を積層しても良く、或いは、木質基材1、熱可塑性樹脂中間層2及び化粧シート3の3層を同時に積層しても勿論構わない。
【0034】
また、予め板状に成形された熱可塑性樹脂中間層2を木質基材1及び化粧シート3と積層する代わりに、熱可塑性樹脂中間層2の押出成形法又は射出成形法等による成形と同時に、その溶融状態における粘着力を利用して、木質基材1及び/又は化粧シート3と積層することも可能である。例えば押出成形法であれば、木質基材1の表面に、又は化粧シート3の裏面に、若しくは木質基材1と化粧シート3との層間に、熱可塑性樹脂組成物を溶融状態で押出すと同時に積層し、冷却固化させて熱可塑性樹脂中間層2を形成させる手法を採用することもできる。
【0035】
また、溝部4のエンボス加工の時期については、少なくとも熱可塑性樹脂中間層2と化粧シート3との積層後である必要があり、熱可塑性樹脂中間層2の裏面を越える深さの溝部4を形成する場合には、木質基材1との積層後である必要があるが、熱可塑性樹脂中間層2の層内に留まる深さの溝部4を形成する場合には、木質基材1との積層後であっても積層前であっても良い。さらに、熱可塑性樹脂中間層2の成形と同時に化粧シート3と積層する場合には、該積層と同時にエンボス加工により溝部4を形成することも可能である。
【0036】
熱可塑性樹脂中間層2が非発泡層21や発泡層22からなる多層構成である場合における該熱可塑性樹脂中間層2の製造方法についても、各層を別々に成形した後に積層しても良いし、全体又は一部の複数層を共押出法等により同時に成形しても良い。さらに、熱可塑性樹脂中間層2の構成層の内の一部を予め化粧シート3又は木質基材1と積層した後に、熱可塑性樹脂中間層2全体を積層一体化することも、勿論差し支えない。
【0037】
本発明の床材には、従来の木質系床材の場合と同様に、木質基材1の裏面に溝加工を施したり、及び/又は、木質基材1の裏面に発泡層及び/又は繊維質層を積層したりして、床下地の不陸の吸収性、防音・遮音性、クッション性、断熱性、耐衝撃性等を付与することもできる。
【0038】
【実施例】
実施例1
厚み70μmの着色非結晶性共重合ポリエステル樹脂シート(リケンテクノス株式会社製「リベスター」)を基材シートとして、その表面に、ウレタン樹脂系印刷インキを使用してグラビア印刷法により隠蔽層及びチェリー材(桜材)柄の木目の絵柄層を順次印刷形成し、更に、2液硬化型ウレタン樹脂系ドライラミネート用接着剤を乾燥後の塗布量6g/m2に塗布した後、該塗布面に、光安定剤0.2重量%及び紫外線吸収剤0.3重量%を添加した透明結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)を押出機を用いて結晶化しないように両面コロナ処理しながら押し出して厚み100μmのシート状に成形しながらドライラミネートした。更に、その表面に2液硬化型ウレタン樹脂を乾燥後の塗布量6g/m2に塗布して表面保護層を設けると共に、裏面にシリカ粉末を配合したウレタン樹脂系プライマー剤をグラビア塗工法にて乾燥後の塗布量1g/m2に塗布してプライマー層を形成し、化粧シートを作製した。
【0039】
熱変形温度(JIS K 7191、荷重0.45MPa)が約68℃である透明非結晶性1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂を押出成形法により厚み2mmの板状に成形し、両面にコロナ処理を施して、熱可塑性樹脂中間層を作製した。
【0040】
厚み12mmの積層合板の上面に、変性酢酸ビニル樹脂系エマルジョン接着剤(中央理化工業株式会社製「リカボンドBA−10L」100重量部及び「BA−11B」2.5重量部の混合物)を80g/m2(wet)塗布して、上記熱可塑性樹脂中間層を貼り合わせ、更にその上に、上記と同一の接着剤を同一塗布量塗布して、上記化粧シートを貼り合わせた。しかる後、その化粧シート面を遠赤外線ヒータにて表面温度120℃に加熱し、表面温度50℃のV溝用エンボス凹凸ロールを使用して、深さ0.5mm、底角90度のV溝形状の溝部を形成して、本発明の床材を作製した。
【0041】
こうして得た本発明の床材は、溝部の内面も一般表面部と同一の化粧シートにより被覆されており、表面を水に濡らしてもこの溝部から下層に水分が滲み込むことがなく、しかも、溝部の内面にも一般表面部と同一の色彩の木目意匠が付与されて、無垢材のような意匠感を有しており、溝部に別途塗装を施さなくても意匠的に十分満足できるものであった。
【0042】
実施例2
上記実施例1において、熱可塑性樹脂中間層の厚みを1mmに変更すると共に、溝部の深さを1.5mmに変更し、その他は上記実施例1と同一の要領で床材を作製したところ、エンボス加工による溝部が積層合板にまで達していたが、特に問題なくエンボス加工を行うことができた。また、共重合ポリエステル樹脂からなる化粧シートには、予め最大深さ約50μmの導管エンボスが施されていたが、該樹脂の優れた柔軟性により、溝部においてもシートの割れや導管エンボスの目開きは発生せず、物性的にも意匠的にも欠陥のない床材を得ることができた。
【0043】
実施例3
上記実施例2において、熱可塑性樹脂中間層を、上記実施例2において使用した熱可塑性樹脂中間層と同一物である非発泡層と、厚さ1mmの発泡ポリエチレンシート(発泡倍率5倍)からなる発泡層との2層構成とし、その非発泡層側に化粧シートを、発泡層側に積層合板をそれぞれ積層すると共に、溝部の深さを2mmに変更し、その他は上記実施例2と同一の要領で床材を作製したところ、特に問題なく良好な床材を作製することができた。なお、この例においては、積層合板として通常品(針葉樹系、広葉樹系)に代えて、最表面の単板層として厚さ2mmのカプール材が使用された堅木合板を使用した場合にも、溝部の深さが2mmと深いにも拘わらず、特に問題なく良好な床材を作製することができた。
【0044】
【発明の効果】
以上詳細に説明した様に、本発明の床材は、木質基材上に熱可塑性樹脂中間層を介して熱可塑性樹脂製の化粧シートを積層し、該化粧シートの表面からその厚みを越える深さのエンボス加工を施して溝部を形成したことにより、溝部の内面も一般表面部と同一の化粧シートによって被覆されており、溝部において下層の木質基材や熱可塑性樹脂中間層が露出していないので、床材の表面が水に濡れることがあっても、溝部から木質基材に水分が滲み込んで反りや腐蝕の原因となったり、溝部から化粧シートと熱可塑性樹脂中間層との界面に水分が滲み込んで接着剤を劣化させて化粧シートに膨れや剥離を発生したりすることがなく、耐水性に優れている。しかも、溝部にも一般表面部と同一の化粧シートによる色彩や絵柄の意匠が付与されているので、溝部に別途塗装を施さなくても意匠的に違和感がないなど、種々の優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の床材の実施の形態を示す模式断面図。
【図2】本発明の床材の実施の形態を示す模式断面図。
【図3】本発明の床材の実施の形態を示す模式断面図。
【符号の説明】
1 木質基材
2 熱可塑性樹脂中間層
21 非発泡層
22 発泡層
3 化粧シート
4 溝部
5 熱可塑性樹脂発泡層
Claims (4)
- 木質基材の表面に、熱可塑性樹脂中間層を介して熱可塑性樹脂製の化粧シートが積層された床材であって、前記化粧シートは、結晶性ポリエステル系樹脂を結晶化させずにシート化し、該化粧シートの厚みを越える深さのエンボス加工による溝部を有し、また前記熱可塑性樹脂中間層は、厚さが0.05mm〜3mmの範囲の熱変形温度(JIS K 7191、荷重0.45MPa)が60℃以上130℃以下である非結晶性共重合ポリエステル樹脂からなることを特徴とする床材。
- 前記溝部は、前記化粧シートの表面から前記熱可塑性樹脂中間層の裏面までの距離を越えない深さに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の床材。
- 前記溝部は、前記化粧シートの表面から前記熱可塑性樹脂中間層の裏面までの距離を超える深さに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の床材。
- 前記木質基材と熱可塑性樹脂中間層の間に、さらに熱可塑性発泡層を挟持させたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の床材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002246364A JP4193450B2 (ja) | 2002-08-27 | 2002-08-27 | 床材 |
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