JP3900935B2 - 化粧材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、戸建て住宅、アパート、マンション、保養所、オフィスビル、店舗等の建築物における室内床面に使用するための床材等として好適な化粧材及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、戸建て住宅等の建築物における室内床面用の床材としては、木質系フローリング材が最も広く流行している。この木質系フローリング材とは具体的には、厚み6〜15mm程度の天然木材の無垢板や、厚み6〜15mm程度の積層合板等の木質基材上に、厚み数百μm乃至数mm程度の天然木材の突板を貼着したもの、或いはそれらの塗装品等である。
【0003】
これらの天然木材を使用した木質系フローリング材は、日光による変色等の耐候性の問題や、表面に傷が付き易く耐水性も弱い等の問題が有るにも拘わらず、その表面の意匠が天然木材の木目という、最も自然で親しみ易く美麗な意匠であることが最大の強みとなって、耐候性の弱さは天然物ゆえに大目に見られ、表面の傷付きは研磨・塗装による補修で対処することで許容されて、消費者に広く受けられている現状がある。
【0004】
しかるに、上記木質系フローリング材は、表面化粧材として天然木突板が使われているため、本質的に耐水性が弱く、例えば浴室脱衣所や洗面所、厨房の流し台近傍等の様に、床面が水に濡れる機会の多い箇所に使用すると、水分が突板層やその下の木質基材に滲み込み易く、突板層の膨れや木質基材からの剥離、床材全体としての反り等が発生し易いという問題点があった。
【0005】
また、上記木質系フローリング材は、その表面意匠が天然木材に依存するため、色調や木目模様などの意匠品質の安定した製品を安定的に大量生産することが困難であるという問題がある。資源が比較的に豊富なオーク材(楢材)であれば現在のところ問題はあまり表面化していないが、消費者の多様な嗜好に合わせて、例えばバーチ材(樺材)、チェリー材(桜材)、メープル材(楓材)などを使用してライト調(淡色系)の意匠の製品を品揃えに加えようとすると、世界的にも木材資源が不足していることから、意匠品質の安定した製品の大量供給は非常に困難である。
【0006】
こうした問題点に鑑みて、表面の意匠の付与手段として、上記した天然木材の突板に代えて、木目模様等を印刷等により人工的に表現した意匠が付与された化粧シートを使用した床材も、既に提案されている。係る床材は、表面意匠の自由度や安定性に優れることは勿論、化粧シートが合成材料であることから耐候性や耐水性にも優れるなどの利点がある。
【0007】
ところが、上記の如くして、木質基材の上面に合成樹脂製の化粧シートを貼着して床材を構成しても、これを多数敷き詰めて施工した際に、床材同士の継ぎ目から水分が容易に滲み込むことができるので、こうして継ぎ目から滲み込んだ水分が木質基材を膨潤させ、継ぎ目付近からの化粧シートの膨れや剥離、継ぎ目付近の湿潤部における黴や腐朽、滲み込んだ水分の作用による床材の反り等の問題を発生する場合がある。
【0008】
特に、一般的な木質フローリング材においても通例である様に、床材の継ぎ目部における床材間の段差を目立たなくさせ、床面の意匠性を向上させるために、床材同士の継ぎ目となる外周部において、上面と側面との間の稜部に面取り加工が施されると、この面取り加工部においては施工後にも木質基材が床面表面に露出した状態となるので、上記した水分の滲み込みの問題が発生し易い。
【0009】
この問題の解決策としては、施工後に床材同士の継ぎ目に合成樹脂等によるシーリング処理を施す方法や、床材の上面部のみならず面取り加工部等の側面部にまで巻き込む様に化粧シートを貼着する方法、床材の面取り加工部等の側面部に塗装を施す方法なども考えられる。
【0010】
しかし、シーリング処理は、施工に手間がかかる上に、施工後に養生期間が必要となって工期が長引き、色彩や艶の整合が困難で意匠的にも望ましくないこと、側面部への化粧シート貼着や塗装は、特殊な生産工程が必要となって生産性が悪化することや、施工現場において床材を切断又は切削加工した際の対処が困難であること、特に塗装はシーリング処理と同様、意匠的にも問題があることなど、それぞれ各種の問題を抱えている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術
における上記した問題点を解決するためになされたものであり、従来の木質系フローリング材と同等の意匠性を有すると共に、個々の化粧材の上面は勿論のこと、化粧材同士の継ぎ目においても優れた耐水性を有しており、しかも、化粧材自体の製造も施工現場での加工及び施工も共に容易な床材等の化粧材の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の化粧材の製造方法は、平板状の木質基材の上面に防水層が積層されると共に、前記木質基材の上面と側面との間の稜部に面取り加工が施されてなる化粧材であって、前記面取り加工部に沿って前記木質基材が圧縮されてなる圧縮部を有し、平板状の木質基材の上面と側面との間の稜部を硬質部材により押圧することによって、前記面取り加工と同時に前記圧縮部の形成を行うことを特徴とするものである。
【0014】
特に、上記の化粧材の製造方法において、前記硬質部材として硬質ロールを使用し、該硬質ロールを前記稜部に沿って押圧しつつ転動させることによって、前記面取り加工及び前記圧縮部の形成を行うことを特徴とするものである。
【0015】
また特に、上記の化粧材の製造方法において、前記面取り加工及び前記圧縮部の形成は、前記木質基材の上面に前記防水層を積層した後に行うことを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の化粧材の実施の形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1及び図2は、本発明の化粧材の実施の形態を示す側断面図であり、図3及び図4は、本発明の化粧材の製造方法の実施の形態を工程順に示す側断面図である。
【0017】
本発明の化粧材は、図1に示す様に、積層合板等からなる平板状の木質基材1の上面11に、合成樹脂製の化粧シート等からなる防水層2が積層されており、一方、木質基材1の上面11と側面12との間の稜部13には、上面11と側面12とをなだらかに結ぶ面をなす面取り加工14が施されている。そして、本発明においては、前記面取り加工14部に沿った箇所において、木質基材1が圧縮された圧縮部15が形成されていることが重要である。
【0018】
本発明の化粧材は上記の通り、木質基材1の面取り加工14部に沿った部分が、圧縮前よりも耐水性が向上した圧縮部15となっているので、防水層2が木質基材1の主として上面11にしか積層されていなくても、化粧材同士の継ぎ目部分における木質基材1の露出部は、耐水性が向上した圧縮部15であるから、この化粧材を床材として施工した床面が水に濡れることがあっても、継ぎ目部分から木質基材1への水分の滲み込みが発生しにくく、従って、木質基材1への水分の滲み込みによる木質基材1の膨潤、腐朽、黴、反りや、化粧シート等の防水層2の膨れや剥離等の問題を発生しにくいという特長がある。
【0019】
なお、上記の目的を達成するためには、木質基材1全体を圧縮加工することも考えられるが、それでは得られる化粧材の重量が極端に増し、硬度が増して切断等の加工性も低下するほか、圧縮加工のための設備も大型化、複雑化し、木材の消費量も増して、化粧材の製造原価が大幅に上昇するなど、多くの問題がある。これに対し、本発明の化粧材によれば、圧縮するのは稜部13の近傍のみであるから、重量増も加工性の低下も極めて軽微であり、しかも簡便な設備により安価に生産可能である利点がある。
【0020】
本発明において、木質基材1としては、例えば天然木材の無垢板や、積層合板、集成材、単板積層材、中密度繊維板、硬質繊維板、パーティクルボード、配向性ボード等、或いはそれらの積層体等を使用することができる。最も一般的なのは積層合板であり、その材種は針葉樹材、広葉樹材、或いはそれらの混合など任意であるが、特に床材の場合等には、強度や表面硬度、耐水性等の面では、少なくとも最上面の層に広葉樹材を用いたものが優れる。特に、最上面の層として例えばクルイン材、カプール材、メンクラン材等、シリカ分を多く含む南洋材系(フタバガキ科)の材種を使用すると、表面強度や耐キャスター性に優れた床材が得られるので好適である。木質基材1の厚みは用途に応じて任意であるが、例えば床材の場合、一般的には3〜30mm程度、中でも5〜15mm程度とされる場合が多い。なお、図示はしていないが、木質基材1の側面12部は、雄雌実や合决り等、相互間の連結に適した形状に加工されていてもよい。
【0021】
防水層2は、化粧材の表面として通常要求される防水性を木質基材1の表面に付与可能な材質であれば何であってもよく、例えば金属板(金属箔を含む)や無機質板等であっても良いが、加工性や触感(適度の弾性、断熱性)、意匠付与の容易性(印刷、エンボス等)、経済性等の面から、合成樹脂を用いることが最も望ましい。該合成樹脂としては、熱可塑性樹脂であっても硬化性樹脂であっても良く、形成方法も塗工法、ラミネート法等特に問わないが、熱可塑性樹脂フィルムのラミネート加工によるのが、製造が簡便で防水性にも優れ、最も望ましい。特に、前記熱可塑性樹脂フィルムに絵柄の印刷やエンボス等の装飾加工を施した化粧シートを用いると、防水性の付与と同時に意匠の付与が可能であり、最も望ましい。
【0022】
上記化粧シートとは更に具体的には、熱可塑性樹脂からなる不透明な基材シートの表面に絵柄層を設けたものや、熱可塑性樹脂からなる透明な基材シートの裏面及び/又は表面に絵柄層を設けたもの、それらの表面に表面保護層を設けたものなどの単層構成の化粧シートであっても良いし、透明又は不透明の熱可塑性樹脂からなる基材シート上に、絵柄層を介して、透明な熱可塑性樹脂層を積層してなる、複層構成の化粧シートであっても良いが、その意匠性、接着適性、耐候性、耐溶剤性、耐摩耗性等の各種の面からは、後者である複層構成の化粧シートが有利である。
【0023】
上記化粧シートには、木質系基材1の表面の好ましくない色彩や色ムラ、欠陥等を隠蔽して意匠性を高めるために、基材シートに酸化チタン又は酸化鉄等の不透明顔料を添加して隠蔽性に着色したり、絵柄層の裏側に不透明顔料を含む不透明印刷インキによる隠蔽層を形成したりすることもできる。また、表面にエンボス加工を施して凹凸模様を形成したり、該凹凸模様の凹部をワイピング法等により着色したり、最表面に表面保護や艶調整のためのトップコート層を施したり、裏面に木質基材1との接着性を向上させるためのプライマー層を施したりすることも、任意に行うことができる。
【0024】
化粧シートの主体である基材シートや透明樹脂層を構成する熱可塑性樹脂としては、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等を使用することができる。中でも、化粧材としての表面物性や加工性、経済性、廃棄性(焼却性を含む)等を考慮すると、ポリオレフィン系樹脂及び/又はポリエステル系樹脂を使用することが望ましい。
【0025】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂や、エチレン−プロピレン共重合体樹脂、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂、その金属中和物(所謂アイオノマー樹脂)、エチレン−(メタ)アクリレート共重合体樹脂等のオレフィン系共重合体樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂等を挙げることができる。
【0026】
また、上記ポリエステル系樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリテトラメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等の結晶性ポリエステル樹脂や、ポリアリレート樹脂、非晶質ポリエチレンテレフタレート樹脂(所謂A−PET樹脂)、共重合ポリエステル樹脂(例.1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂である所謂PET−G樹脂)等の非晶質ポリエステル樹脂等を挙げることができる。
【0027】
木質基材1と、防湿層2としての上記化粧シートとの積層に使用する接着剤の種類は、本発明において特に限定されるものではないが、接着後の耐水性に優れた接着剤を使用することが望ましく、具体的には、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体系エマルジョン型接着剤や、2液硬化型ウレタン系接着剤、1液湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤等を好適に使用することができる。
【0028】
本発明の化粧材は、上記した熱可塑性樹脂製の化粧シート等の防水層2が上面11に積層された木質基材1の、上面11と側面12との間の稜部13に、面取り加工14が施されている。面取り加工14により形成された面の形状は、図1に示した様な斜めの平面状(C面取り)が従来最も一般的であったが、近年では例えば床面において上面11と面取り加工14面との間の角が歩行者の足裏に及ぼす引っ掛かり感を弱めるために、図2に示した様な断面円弧状の曲面(R面取り)もよく採用される様になっている。
【0029】
なお、上記C面取りの場合における面取り加工14面の幅や上面11との角度、R面取りの場合における断面の曲率半径は、本発明において特に限定されるものではなく、所望により適宜設計可能であるが、C面取りの場合の幅は通例0.5〜10mm程度、角度は通例30〜60度程度、R面取りの場合の曲率半径は通例0.5〜10mm程度とされる場合が多い。
【0030】
本発明の化粧材における面取り加工14面の形状は、これらのいずれであっても良いし、その他、断面円弧状以外の任意の曲面や、複数の平面及び/又は曲面の組み合わせ等、所望により任意の形状とすることができる。
【0031】
そして、本発明においては、前述した様に、上記面取り加工14部は、単に木質基材1の切削加工によって設けられているのではなく、面取り加工14部に沿って、木質基材1が圧縮されて耐水性が向上した圧縮部15が形成される様に、面取り加工14が施されていることが重要である。
【0032】
上記の様に、木質基材1の圧縮部15の形成を伴う面取り加工14の方法としては、図3に示す様に、木質基材1の上面11と側面12との間の稜部13を、少なくとも木質基材1よりも硬質の材質からなる硬質部材(硬質ロール3等)によって押圧することにより、稜部13における木質基材1を圧縮して圧縮部15を形成することによって、面取り加工14を施す方法によることが望ましい。この様にすれば、稜部13への面取り加工14と、該面取り加工14部に沿った圧縮部15の形成とを、1つの工程により同時に行える利点がある。
【0033】
面取り加工14及び圧縮部15の形成に用いる硬質部材の材質は、少なくとも木質基材1よりも硬質の材質であれば良く、鋼鉄等の金属や、セラミックス等の無機材質、硬質プラスチック等の合成樹脂等、特に問わないが、安価で加工し易く、硬度や耐久性にも優れた、鋼鉄等の金属製のものを用いるのが、最も好適である。またその形状も、木質基材1の各辺の稜部13の全長に亘り押圧可能な寸法を有する、平板状又は曲面板状、柱状等であっても勿論構わないが、図3に示した様に、少なくとも面取り加工14部の幅以上の幅を有するロール状の形状のもの(硬質ロール3)を使用し、これを木質基材1の稜部13に沿って押圧しつつ転動させる方法によると、硬質ロール3は小型軽量で取扱性に優れ、しかもあらゆる寸法の化粧材に対応可能であるので、最も好適である。
【0034】
硬質ロール3の形状は、面取り加工14面が平面状であれば、図3に示す様に単純な円筒状の形状とすれば良い。面取り加工14面がR面等の曲面であれば、図4に示す様に、面取り加工14面の断面形状を反転した断面形状を有する回転体状の形状とすれば良い。若しくは、円筒状の硬質ロール3を使用して、押圧角度を少しずつ変更しながら多数回転動押圧させたり、多数の円筒状の硬質ロール3を使用して、押圧角度を少しずつ変更しながら順次押圧させたりすることにより、近似的にR面を形成することもできる。R面以外の複雑形状の場合も、これらと同様である。
【0035】
硬質ロール3による加工条件は、本発明において特に限定されるものではないが、通例、押圧力は100〜1000kPa(10〜100kgf/cm2)、転動速度は2〜40m/分程度とするのが良い。
【0036】
木質基材1に面取り加工14を施す時期は、木質基材1の上面11への防水層2の形成前であっても形成後であっても良い。但し、面取り加工14を施した後に化粧シート等の防水層2を積層すると、防水層2の端部処理が面倒であるのに対し、防水層2の積層後であれば、防水層2の端部のトリミング除去処理や、木質基材1の切断加工、側面12への実加工等の各種処理を施し、最後に面取り加工14を施すことにより、良好な仕上がりを容易に得ることができる。
【0037】
また、施工現場において、施工面の形状等に応じて化粧材に切断又は切削加工を施す場合にも、切断又は切削部における稜部13に上記と同様の面取り加工14を施すことにより、化粧材の出荷時に既に施されていた他の部分の面取り加工14と同等の仕上がりが容易に得られるので、特定箇所における化粧材の切断又は切削加工部が目立ちにくい、意匠的に良好な床面の仕上がりが、容易に得られる利点がある。
【0038】
木質基材1を常温での押圧により単に機械的に圧縮するだけでも、ある程度の耐水性の向上が見られるが、更に優れた耐水性を付与するためには、硬質部材による押圧の際に、圧縮を受ける木質基材1の稜部13を加熱すると良い。熱の作用により繊維やリグニンの結合状態が変化して、化学的にも強化されるからである。そのための加熱温度としては、一般的には80〜250℃程度が必要であり、特に好ましくは100〜180℃程度である。但し、温度を上げ過ぎると熱劣化するので注意が必要である。この加熱は、硬質部材自体の加熱によるものであっても良いし、硬質部材による押圧の前又は押圧と同時に他の加熱手段により加熱しても良く、両者を併用することもできる。後者における他の加熱手段としては、例えば熱風の吹付けや、熱盤又は熱ロール等による接触加熱、火炎加熱、赤外線加熱、高周波加熱等、従来公知の手法を適宜用いることができる。
【0039】
また、木質基材1の圧縮部15に更に優れた耐水性を付与するためには、硬質部材による押圧に先立ち、圧縮を受ける木質基材1の稜部に、スポンジロール又はスプレー等による水の塗布、或いは水蒸気の吹付け等により、水分を付与しておくか、及び/又は、木質基材1中に含浸し易い樹脂を塗布又は含浸しておくことが望ましい。塗布又は含浸する樹脂としては、例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、不飽和ポリエステル樹脂、(メタ)アクリレートモノマー、ビニルモノマー等の重合性モノマー、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂等を挙げることができる。なお、防湿層2の少なくとも裏面側の層が、加熱により木質基材1中に浸透し易い樹脂からなる場合には、該樹脂を加熱及び硬質部材による押圧によって木質基材1中に浸透させることにより、上記塗布又は含浸に代えることも可能である。
【0040】
本発明の化粧材は、既に述べた様に、住宅等の建築物における室内床面用の床材として特に好適なものであるが、本発明の化粧材の用途は床材に限定されるものではなく、例えば壁材、天井材、階段踏板、建具類等の各種建築資材や、家具什器類、家電製品の外装材、車両等の輸送機器の内外装材等、各種の用途に適宜使用することができる。
【0041】
【実施例】
以下に、本発明の化粧材及びその製造方法の具体的な実施例及び比較例を挙げ、本発明をより詳細に説明する。
【0042】
実施例1
厚さ12mmのラワン合板からなる矩形板状の木質基材の上面に、エチレン−酢酸ビニル共重合体系エマルジョン接着剤(塗布量:90g/m2wet)を介して、防湿層としてのポリオレフィン系樹脂製化粧シート(着色ポリオレフィン系樹脂製基材シート上に、2液ウレタン系絵柄印刷層を介して、透明ポリオレフィン系樹脂層を積層し、その表面にエンボス加工及び2液ウレタン系トップコートを施したもの)を貼着し、側面に雄雌実加工を施した。しかる後、その四方側面と上面との間の稜部に、温度150℃に加熱した円柱状鋼鉄製ロール(直径20mm、幅50mm)を押圧力500kPa(50kg/cm2)で上面に対し45度の角度に押圧しながら速度20m/分で転動させることにより、押圧部分で木質基材に圧縮部を形成しつつ幅1mmのC面取り加工を施して、本発明の化粧材(床材)を作製した。
【0043】
実施例2
上記実施例1において、円柱状鋼鉄製ロールに代えて、図4に示す如く、縦断面が曲率半径5mmの円弧からなる凹曲面状の表面形状を有する回転体状鋼鉄製ロールを使用し、その他は上記実施例1と同一の要領にて、稜部に曲率半径5mmのR面取り加工が施された本発明の化粧材(床材)を作製した。
【0044】
比較例1
上記実施例1において、円柱状鋼鉄製ロールを押圧しながら転動させる代わりに、面取り鉋を使用して、木質基材を圧縮することなく切削加工により、上記実施例1と同形状のC面取り加工を施して、化粧材(床材)を作製した。
【0045】
性能比較
上記実施例1〜2及び比較例1の化粧材(床材)を、床下地面であるコンクリートスラブ面上に多数敷き詰めて施工した床面に、化粧材同士の継ぎ目部分にかかる様に、コップ1杯分の水をこぼし、絞っていないぬれ雑巾で被覆して、常温で24時間放置した。その結果、実施例1〜2の化粧材には特に目立った外観の変化は見られなかったが、比較例1の化粧材は、化粧材同士の継ぎ目部分で化粧シートが木質基材から剥離してめくれたり、継ぎ目部分の近傍で化粧シートが膨れたりするなどの変化が観察された。
【0046】
【発明の効果】
以上詳述の通り、本発明の化粧材は、平板状の木質基材の上面に防水層が積層されると共に、前記木質基材の上面と側面との間の稜部に面取り加工が施され、該面取り加工部に沿って前記木質基材が圧縮されてなる圧縮部を有することにより、例えば床材として床面に施工した際に、化粧材同士の継ぎ目に露出する化粧材の面取り加工部において、木質基材が圧縮により耐水性が向上しているので、ここに水分が付着することがあっても、付着した水分が木質基材中に滲み込みにくく、そのため、木質基材の膨潤や腐朽、黴、反りや、面取り加工部付近からの化粧シートの膨れや剥離等を発生しにくい、耐水性に優れた化粧材を提供することができる。
【0047】
しかも、木質基材の圧縮による面取り加工は、硬質ロール等の硬質部材による押圧という、簡便な方法で加工可能であり、化粧材の製造時は勿論のこと、施工現場において化粧材を施工面の形状に合わせて切断又は切削加工した際にも、その場で簡便に加工可能であり、塗装やシーリング処理の場合の様な、特別な材料の準備や、色合わせや乾燥養生等の必要もなく、製造時における納期や施工時における工期の短縮化にも寄与するなど、種々の優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧材の実施の形態を示す側断面図である。
【図2】本発明の化粧材の実施の形態を示す側断面図である。
【図3】本発明の化粧材の製造方法の実施の形態を工程順に示す側断面図である。
【図4】本発明の化粧材の製造方法の実施の形態を工程順に示す側断面図である。
【符号の説明】
1 木質基材
11 上面
12 側面
13 稜部
14 面取り加工
15 圧縮部
2 防水層
3 硬質ロール
Claims (3)
- 平板状の木質基材の上面に防水層が積層されると共に、前記木質基材の上面と側面との間の稜部に面取り加工が施され、前記面取り加工部に沿って前記木質基材が圧縮されてなる圧縮部を有することを特徴とする化粧材の製造方法であって、平板状の木質基材の上面と側面との間の稜部を硬質部材により押圧することによって、前記面取り加工と同時に前記圧縮部の形成を行うことを特徴とする化粧材の製造方法。
- 前記硬質部材として硬質ロールを使用し、該硬質ロールを前記稜部に沿って押圧しつつ転動させることによって、前記面取り加工及び前記圧縮部の形成を行うことを特徴とする請求項1に記載の化粧材の製造方法。
- 前記面取り加工及び前記圧縮部の形成は、前記木質基材の上面に前記防水層を積層した後に行うことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の化粧材の製造方法。
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