JP4715303B2 - 樹脂積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、分解性を有する樹脂基材に表面保護層を積層して耐久消費材として使用される樹脂成形体に関するもので、床材、壁材、天井材等の建築材、建具、家電品の表面材等に用いられる樹脂成形体及びそれを用いた化粧材に関するものであり、特に、賃貸マンション、アパート、オフィスビル、店舗、学生寮等の様に、リフォームによる貼り替えのサイクルの短い用途にも好適な、寸法精度に優れ施工性に優れた床材をはじめとする化粧材に関するものである。
現在、戸建て住宅等の建築物における室内床面用の床材としては、木質系フローリング材が最も広く流行している。しかし、水に濡れると膨れや割れ、反り、腐蝕を起こし易く、特に浴室脱衣所や洗面所の様な水廻りの部位への使用には問題があることが指摘されている。また、オフィスビルや店舗では凹みなどの耐傷性の問題があることも指摘されている。そこで近年では、熱可塑性樹脂と木質系充填剤を主原料とした、耐水性、耐候性、耐腐食性、耐傷性、強度に優れる木質樹脂建材が提案されている。
しかしながら、これらの木質系樹脂建材は耐久性には優れるものの、廃棄時にはその形状的なかさばりや強度的に優れる面から廃棄性には著しく乏しいという問題もあった。
本発明は前記問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、熱可塑性樹脂からなる樹脂成形体に化粧シートなどの表面保護層が積層されてなる樹脂積層体の表面保護層が樹脂成形体から易分離でき、かつ樹脂基材が分解性を有する材料で構成されている樹脂成形体を提供することにある。
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その請求項1に記載の発明は、熱可塑性樹脂からなる樹脂成形体に表面保護層が積層されてなる樹脂積層体において、前記表面保護層が前記樹脂成形体から分離可能であり、前記樹脂成形体に光触媒活性を有する金属酸化物が含有されてなること特徴とする樹脂積層である。
また、請求項2に記載の発明は、前記熱可塑性樹脂が、生分解性樹脂であることを特徴とする、請求項1記載の樹脂積層体である。
また、請求項3に記載の発明は、前記熱可塑性樹脂に木質系充填剤が含有されてなることを特徴とする、請求項1または2のいずれか記載の樹脂積層体である。
また、請求項4に記載の発明は、前記木質系充填剤の配合比率が、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して10〜200重量部であることを特徴とする、請求項3記載の樹脂積層体である。
また、請求項5に記載の発明は、前記樹脂成形体が、発泡成形体であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか記載の樹脂積層体である。
また、請求項6に記載の発明は、前記表面保護層が、耐水性と耐候性を有する化粧シートであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか記載の樹脂積層体である。
請求項1に記載の発明は、表面保護層を有することにより通常の使用時には内部の樹脂基材の分解が起こることはなく耐久消費材として使用できる。また、表面保護層が前記樹脂成形体から分離可能であることにより、使用を終え廃棄もしくはリサイクルの時点で、表面保護層を剥離し、天日などに暴露することができる。また、前記樹脂成形体に光触媒活性を有する金属酸化物が含有されてなることにより、樹脂成形体に配された光触媒により劣化が促進され、自然分解させることもでき、かつその分解の過程で強度が低下することにより、粉砕しやすくなったり減容しやすくなる樹脂積層体を提供することが可能となる。
また、請求項2に記載の発明は、前記熱可塑性樹脂が生分解性樹脂であることにより、前述のように使用を終え表面保護層を剥離した後に、土中への埋め立て処理した場合の光触媒活性が得られない条件下においても分解性を得ることができる樹脂積層体を提供することが可能となる。
また、請求項3記載の発明は、前記樹脂成形体に木質系充填剤が含有されてなることにより、微生物分解の過程に必要な栄養源や水を取り込みやすくでき、その生分解性を向上することができ、さらには、切削ができたり釘打ちができるなどの施工性に優れることを併せ持つ樹脂積層体を提供できることが可能となる。
また、請求項4に記載の発明は、木質系充填剤の配合比率が、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して10〜200重量部であることにより、成形性や施工性を損なうことなく、微生物分解の過程に必要な栄養源や水を取り込むことができる、さらに好ましい樹脂積層体を提供することが可能となる。
また、請求項5に記載の発明は、樹脂成形体が発泡成形体であることにより、軽量で、切削などの施工性に優れ、さらには、前述のように使用を終え表面保護層を剥離した後の光分解過程および微生物分解過程において表面積を増大することができ、その分解性を著しく向上できる樹脂積層体を提供することが可能となる。
また、請求項6に記載の発明は、前記表面保護層が耐水性と耐候性を有する化粧シートであることにより、意匠性にも優れ、使用過程での光分解や生分解のトリガーを遮断でき耐久性を維持できる樹脂積層体を提供することが可能となる。
以下に本発明の樹脂積層体を図面に基づき詳細に説明する。図1に本発明の樹脂積層体の一実施例の断面の構造を示す。本実施例における樹脂積層体は、熱可塑性樹脂からなる樹脂成形体1に表面保護層2が積層されてなる樹脂積層体において、表面保護層2が樹脂成形体1から分離でき、かつ樹脂成形体1に光触媒活性を有する金属酸化物11が配されている。樹脂成形体には適宜木質充填材12が含有される。
本発明における光触媒活性を有する金属酸化物11としては、屋外などで天日にさらされることにより樹脂成形体1の劣化や分解を促進するものであり、酸化チタンTiO2あるいは酸化亜鉛ZnOが挙げられ、さらに、これらの光触媒活性を向上させる機能を有するPt、Au、Pd、Ag、Cu、Ni、Coからなる群より選択される第二の金属を含有する金属混合体からなり、内部が実質的に該金属酸化物を構成するものと同種の金属であるTi又はZn及び該金属酸化物の光触媒活性を向上させる該第二の金属を含有する金属混合体からなり、該表面及びその近傍と内部が連続的に構成されているものなどが適宜使用可能である。
本発明における樹脂積層体1に使用される熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリポリカーボネート、アクリル、ポリ塩化ピニル、ポリ乳酸をはじめとする生分解性樹脂、等の樹脂から適官選択が可能であるが、焼却時のダイオキシンの発生や埋め立て時等の環境ホルモン物質の流出、さらには光触媒物質による分解性の性能を満たすためにはポリオレフイン系樹脂および生分解性樹脂が好適である。
前記ポリオレフインとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体や、これらを接着性の向上の目的で酸変性したもの、あるいはアイオノマー等から適宜選択が可能で、単一でも複数種の混合でも構わない。
前記生分解性樹脂としては、ポリヒドロキシブチレート系、ポリブチレンサクシネート系、ポリブチレンサクシネート系、ポリカプロラクトン系、酢酸セルロース系、ポリエステルアミド系、酢酸ビニル系、コポリエステル系、ポリ乳酸系、デンプン系のものから適宜選択が可能で、単一でも複数種の混合でも構わない。
また、樹脂成形体1に木質系充填剤12を含有することにより、廃棄時には微生物分解の過程に必要な栄養源や水を取り込みやすくでき、その生分解性を向上することができ、廃棄性を高めることができる。さらには、木工機械での切削ができたり釘打ちができるなどの施工性に優れることを併せ持つことができる。
木質系充填材12の素材としては、特に制限されることなく選択が可能であるが、一般的には木材をカッターミルなどによって破断し、これをボールミルやインペラーミルなどにより粉砕して、微粉状にした木粉などを用いる。
木質系充填材12の平均粒径は1〜200μmが好ましく、10〜150μmであることがさらに好ましい。平均粒径が1μm未満のものは、取り扱いが困難である上に、特に木質系充填材の配合量が多い場合は、樹脂への分散が悪いと、製造される樹脂成形体1に機械強度の低下が発生する。また、200μmより大きくても成形品の均質性に劣り機械的強度が低下する。さらには成形品の表面状態でも平面性が得られにくくなる。
またここでいう木質系充填材とは、前述の木粉に限定されるものではなく、木質系の繊維構造物全てを包含するものであり、木質樹脂成形体の利用の目的に応じて、例えば、ケナフ、バガス、バンブー、あるいは故紙を選択しても良い。
木質系充填材と熱可塑性樹脂の混練は特に方法を問わないが、バンバリーミキサーによって混練し、ペレタイザーでペレット化する方法や、2軸押出混練機によって混合、ペレット化する方法が一般的である。また、木質系充填材は含水率が大きいと、ペレタイズ時に発泡の原因となるために、混練前に予め乾燥機やホッパードライヤーで含水率を8%以下に抑えておくことが好ましい。
また、木質系充填剤12の配合比率が熱可塑性樹脂1の100重量部に対して10〜200重量部であることを特徴とすることにより、成形性や施工性を損なうことなく、微生物分解の過程に必要な栄養源や水を取り込むことができる、さらに好ましい樹脂積層体1を得ることができる。
即ち、本発明においては主旨を逸脱しない範囲で、熱可塑性樹脂の種類や木質系充填材の種類、その他の添加剤に制限されるものではない。
また、樹脂成形体1が発泡成形体であることを特徴とすることにより、表面保護層2を剥離した後の光分解過程および微生物分解過程において表面積を増大することができ、その分解性を著しく向上できる。
さらには、樹脂成形体1を軽量化でき、断熱効果、保温効果、衝撃吸収効果、防音効果を付与することができる。例えば、本発明の木質樹脂成形体を床材に使用した場合には、その断熱効果、保温効果により素足で触れた時に不快な冷触感を緩和することができ、衝撃吸収効果により、歩行時の衝撃を吸収でき歩行時の人体に与える負荷を低減でき、施工時の切削加工性も優れ割れや欠けを防止する効果もある。また軽量化により使用材料の重量を低減でき製造コストを抑えることができ、施工時の作業性にも優れる。
また、発泡の手法についても公知の手法がいずれも利用できる。一般的には、熱分解や化学反応によってガスを発生する化学発泡と、低沸点の液体に熱をかけて気化させる物理発泡に分類でき、化学発泡剤としては無機系の重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、ホウ化水素ナトリウム、軽金属、アジド化合物等、また有機発泡剤としてはアゾ系、ニトロソ系、ヒドラジド系等が、任意の組み合わせで使用できる。
また、特に2倍を超える高発泡倍率での発泡には主に物理発泡が用いられ、発泡剤としては炭酸ガスや脂肪族炭化水素が主に用いられる。また、物理発泡に際しても発泡体のセル形状を整えるため化学発泡剤を併用することが多い。
上記の本発明の目的とするところから樹脂成形体1に耐光性を付与する紫外線吸収剤や光安定剤を添加することは好ましくない。ただし、用途や成形方法によっては必要に応じて、熱安定剤、難燃剤等を適宜添加可能である。
熱安定剤としては、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]−プロピオネート、2、4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトに代表される燐系酸化防止剤等の中から1種、あるは1種以上組み合わせて使用可能である。
難燃剤としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機系化合物や燐酸エステル系の難燃剤等があるが、特に成分に限定は無い。ただし、樹脂成形体1に環境を考慮して塩化ビニル樹脂を使用しないのであるならば、ハロゲン系の難燃剤やアンチモンなどの重金属を含む難燃剤の使用については配慮する必要がある。
次に、積層される表面保護層2は、本発明の樹脂積層体が使用中には、内部の樹脂成形体1を劣化や分解から保護する目的で設けられる。そのため、表面保護層2には、耐水性、遮光性、紫外線吸収性、光安定性に優れるものが求められる。その一例としては、着色されたオレフィン系のフィルムやシートに紫外線吸収剤および光安定剤を練り込みまたはワニスに分散した形態で塗布した形態で用いられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3、5−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等のトリアジン系紫外線吸収剤、酸化セリウム、酸化チタン等の無機系紫外線吸収剤等の中から1種あるいは1種以上を任意に組み合わせて添加することが可能である。
光安定剤としては、例えば、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート等のヒンダードアミン系光安定剤、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系光安定剤、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルキシ)−4−ピペリジニル)エステル等のアミノエーテル型の光安定剤等の中から1種あるいは1種以上を任意に組み合わせて使用することが可能である。また大塚化学(株)製の特許公開公報「特開平9−278835号」に記載されているような、紫外線吸収剤あるいは光安定剤とポリプロピレンを架橋したグラフトポリマーを耐候マスターバッチとして添加することも可能である。
樹脂成形体1に表面保護層2を積層する方法としては、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、エクストルージョンラミネート法、熱ラミネート法などによって貼り合わせることができ、樹脂成形体1の材質や形状、表面保護層の材質や厚みにより任意の方法から適宜選択が可能である。特に好ましくは、ラッピング法や真空成形法によるもので、平面での積層貼合だけでなく、立体形状での積層貼合が可能であり、実用形態で樹脂成形体1を外部に露出することなく表面保護層2で被覆することができる。
ラミネート強度としては、使用を終えて廃棄もしくはリサイクルする場合に容易に分離できる強度とする必要があり、好ましくは5N/25mm以上15N/25mm以下とすることが好ましい。
また、表面保護層12が耐水性と耐候性に優れる化粧シートとすることにより、意匠性にも優れ、使用過程での光分解や生分解のトリガーを遮断でき耐久性を維持できる。
この化粧シート12は、例えば着色シートに印刷を施した単層化粧シート、着色シートに印刷を施したシートに、透明シートをドライラミネート法、エクストルージョンラミネート法、熱ラミネート法などによって貼り合わせた復層の化粧シートや、透明シートの裏面に印刷を施した裏刷りの単層の化粧シートなどから用途に応じて適宜選択が可能である。
このとき化粧シートに十分な隠蔽性があれば安定した意匠の再現が達成され、逆に化粧シートが透明性を有する場合は樹脂成形体11の木質感を生かした意匠表現が可能になる。
化粧シートの木目柄等のパターン、絵柄、彩色等の印刷に用いるインキは、バインダーとしては硝化綿、セルロース、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、アクリル、ポリエステル系等の単独もしくは各変性物の中から適宜選択すればよい。これらは、水性、溶剤系、エマルジョンタイプのいずれでも問題なく、また1液タイプでも硬化剤を使用した2液タイプでも任意に選定可能である。さらに紫外線や電子線等の照射によりインキを硬化させることも可能である。
中でも最も一般的な方法は、ウレタン系のインキでイソシアネートで硬化させる方法である。これらバインダー以外には通常のインキに含まれている顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、各種添加剤が添加されている。特によく用いられる顔料には縮合アゾ、
不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等がある。
一般的に化粧シートには耐候性が求められるため、紫外線吸収剤及び光安定剤の添加は必須条件である。その他にも必要に応じて、熱安定剤、難燃剤、ブロッキング防止剤等が添加される紫外線吸収剤や光安定剤としては、前述のようなものが挙げられるが、所望の効果を有する範囲内で、かつ化粧シートの耐候性以外の特性に大きな影響を与えない範囲であれば、特にその成分や添加量に制限はない。
また必要に応じて、熱安定剤、難燃剤、ブロッキング防止剤等が添加される。熱安定剤は、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]−プロピオネート、2、4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトに代表される燐系酸化防止剤等の中から1種、あるは1種以上組み合わせて使用可能である。
難燃剤としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機系化合物や燐酸エステル系の難燃剤等があるが、特に限定されるものではない。
ブロッキング防止剤は珪酸アルミニウム、酸化珪素、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム等の無機系ブロッキング防止剤、脂肪酸アミドのような有機系ブロッキング防止剤等が任意に添加される。
また、いずれの化粧シートにおいても樹脂成形体1への貼り合わせのためのプライマーコートや表面保護や艶調整のためのトップコート、エンボス法やグロスマット法等による導管表現等が施されていても構わない。
下記配合からなる木質樹脂組成物を用い、異形押出成形法により縦900mm×横150mm×厚さ5mmの横方向断面が図1に示すような板形状の本発明の樹脂成形体を成形し、意匠側となる表面にコロナ放電処理を施した後、表面保護層となる木目印刷が施されたポリプロピレン樹脂系化粧シートをラッピング法にて積層貼合し、本発明の樹脂積層体を作製した。樹脂成形体と化粧シートのラミネート強度は6N/25mmである。
<木質樹脂組成物の配合>
ポリ乳酸樹脂 57重量部
木粉(平均粒径100μm) 25重量部
酸化チタン 15重量部
重曹−クエン酸系化学発泡剤 3重量部
下記配合からなる樹脂組成物を用い、実施例1と同様に、本発明の樹脂成形体を成形し、表面保護層となる化粧シートを積層貼合し、本発明の樹脂積層体を作製した。
<樹脂組成物の配合>
ポリ乳酸樹脂 82重量部
酸化チタン 15重量部
重曹−クエン酸系化学発泡剤 3重量部
下記配合からなる木質樹脂組成物を用い、実施例1と同様に、本発明の樹脂成形体を成形し、表面保護層となる化粧シートを積層貼合し、本発明の樹脂積層体を作製した。
<木質樹脂組成物の配合>
ポリプロピレン樹脂 57重量部
木粉(平均粒径100μm) 25重量部
酸化チタン 15重量部
重曹−クエン酸系化学発泡剤 3重量部
<比較例1>
実施例1の木質樹脂組成物配合から酸化チタンを除きその減量分のポリ乳酸樹脂を追加した下記配合からなる木質樹脂組成物を用い、実施例1と同様に、本発明の樹脂成形体を成形し、表面保護層となる化粧シートを積層貼合し、本発明の樹脂積層体を作製した。
<木質樹脂組成物の配合>
ポリ乳酸樹脂 72重量部
木粉(平均粒径100μm) 25重量部
重曹−クエン酸系化学発泡剤 3重量部
<比較例2>
実施例2の樹脂組成物配合から酸化チタンを除きその減量分のポリ乳酸樹脂を追加した下記配合からなる樹脂組成物を用い、実施例1と同様に、本発明の樹脂成形体を成形し、表面保護層となる化粧シートを積層貼合し、本発明の樹脂積層体を作製した。
<樹脂組成物の配合>
ポリ乳酸樹脂 97重量部
重曹−クエン酸系化学発泡剤 3重量部
<比較例3>
実施例3の木質樹脂組成物配合から酸化チタンを除きその減量分のポリプロピレン樹脂を追加した下記配合からなる木質樹脂組成物を用い、実施例1と同様に、本発明の樹脂成形体を成形し、表面保護層となる化粧シートを積層貼合し、本発明の樹脂積層体を作製した。
<木質樹脂組成物の配合>
ポリプロピレン樹脂 72重量部
木粉(平均粒径100μm) 25重量部
重曹−クエン酸系化学発泡剤 3重量部
<比較例4>
実施例1と同じ木質樹脂組成物を用い、実施例1と同様に、本発明の樹脂成形体を成形し、表面保護層となる化粧シートを積層貼合し、本発明の樹脂積層体を作製した。ただし樹脂成形体と化粧シートのラミネート強度は20N/25mmである。
<比較例5>
実施例1と同じ木質樹脂組成物を用い、実施例1と同様に、本発明の樹脂成形体を成形した。表面保護層となる化粧シートは積層貼合しなかった。
<性能比較>
上記実施例1〜3及び比較例1〜5について、床材として使用した場合の、耐久性、易分離性、光分解性、生分解性、緩衝性、施工性について評価した。
<耐久性>
80℃オーブンに10日間投入し、化粧シートと木質樹脂成形体のデラミネーションの有無をみる。デラミネーション有りを不良とし、無しを良とする。また、サンシャインウェザーメータに1000時間投入(照射は化粧シート貼合面側)し表面劣化および内部劣化の有無をみる。劣化有を不良とし、無しを良とする。また、いずれか一方でも満足できなかったものは不良とする。
<易分離性>
化粧シートと樹脂成形体のラミネート強度が5N/25mm以上15N/25mm以下であれば良とした。5N/25mm未満では不用意な剥離の恐れがあり不良とした。また15N/25mmより大きいとラミネート強度が大きく意図的に剥離することが困難として不良とした。
<光分解性>
樹脂積層体から化粧シートを剥離した100mm×100mm×厚さ5mmの樹脂成形体を1年間屋外暴露し、試料を水洗いしたのち調温調湿し、3%以上の重量減少が認められるものは良とし、表面の白化等があっても重量の減少が3%未満のものは不良とした。
<生分解性>
樹脂積層体から化粧シートを剥離した100mm×100mm×厚さ5mmの樹脂成形体を1年間土中に埋没し、試料を水洗いしたのち調温調湿し、3%以上の重量減少が認められるものは良とし、表面の白化等があっても重量の減少が3%未満のものは不良とした。
<緩衝性>
10人のパネルによる官能評価で通常の木製フローリングと同等もしくはそれより固くないと評価したパネルが8人以上の場合は良とし、木製フローリングと同等もしくはそれより固く感じると評価したパネルが3人以上の場合は不良とした。
以下に結果を示す。
耐久性 易分離性 光分解性 生分解性 緩衝性
実施例1 良 良 良 良 良
実施例2 良 良 良 良 良
実施例3 良 良 良 評価なし 良
比較例1 良 良 不良 良 良
比較例2 良 良 不良 良 良
比較例3 良 良 不良 不良 良
比較例4 良 不良 不良 不良 良
比較例5 不良 評価なし 評価なし 評価なし 良
本発明の樹脂積層体の一実施例の断面の構造を示す説明図である。
符号の説明
1…樹脂成形体
2…表面保護層
11…光触媒活性を有する金属酸化物
12…木質充填材

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂からなる樹脂成形体に表面保護層が積層されてなる樹脂積層体において、前記表面保護層が前記樹脂成形体から分離可能であり、前記樹脂成形体に光触媒活性を有する金属酸化物が含有されてなること特徴とする樹脂積層体。
  2. 前記熱可塑性樹脂が、生分解性樹脂であることを特徴とする、請求項1記載の樹脂積層体。
  3. 前記熱可塑性樹脂に木質系充填剤が含有されてなることを特徴とする、請求項1または2のいずれか記載の樹脂積層体。
  4. 前記木質系充填剤の配合比率が、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して10〜200重量部であることを特徴とする、請求項3記載の樹脂積層体。
  5. 前記樹脂成形体が、発泡成形体であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか記載の樹脂積層体。
  6. 前記表面保護層が、耐水性と耐候性を有する化粧シートであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか記載の樹脂積層体。
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