JP6586745B2 - 化粧シート及び化粧材 - Google Patents
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高い耐候性を有する化粧シートとして、現在、オレフィン系の材料を用いた化粧シートが実用化されている。耐候性の評価は、実際の屋外暴露や促進耐候性試験によって行われている。オレフィン系材料を用いた化粧シートの耐候性は、実用の条件を満たすものである。なお、このような化粧シートは、例えば、特許文献1に記載されている。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、遮熱性を有し、赤外光による反りを防ぐことができる化粧シート及び化粧材を提供することを目的とする。
(化粧材)
図1は、本実施形態の化粧材1を説明するための断面図である。本実施形態の化粧材1は、基材20と、基材20と貼り合わされる化粧シート3と、基材20と化粧シート3とを貼り合わせる第1接着層21と、を有している。
基材20は、表面に化粧シート3を貼着(ラミネート)して使用するものである。基材20には、金属系基材や木質系基材等の各種材料のものがある。金属系基材としては、アルポリック材がある。アルポリック材は、塗装や鏡面仕上げ等の表面加工処理が施された金属板で樹脂材を挟んだアルミ樹脂複合板である。金属板としては、アルミ、ガルバリウム鋼板、ステンレス及びチタン等が使用される。また、樹脂材としては、ポリエチレン単体、あるいはポリエチレンに無機材を加えたもの等が使用される。
また、木質系基材としては、例えば、MDF(medium density fiberboard)や合板、パーチクルボード等が使用される。
基材20へのシート3の貼り付けには、例えばウレタン系や酢酸ビニル系等の適宜の接着剤が使用される。
第1接着層21としては、床用化粧シートと基材との貼り合わせに使用される公知の接着剤であれば、どのようなものを用いてもよい。また、本実施形態では、例えば、反応性ホットメルト系の接着剤を使用して第1接着層21を形成することができる。特に、反応性ホットメルト系の接着剤のうち、2液タイプのポリウレタンの接着剤を用いて第1接着層21を形成してもよい。このような第1接着層21のうち、本実施形態では、特に、一般社団法人日本壁装協会の規定による不燃認定を受けている部材を用いることが望ましい。
第1接着層21は、紫外線吸収剤や光安定剤等を含有するものであってもよい。また、第1接着層21の厚みは、5μm〜50μm程度が好ましい。
化粧シート3は、第1接着層21の側から順に設けられる、熱可塑性樹脂基材11、印刷層13、オーバーレイフィルム層15、第2接着層17及びトップコート層19を有している。本実施形態の化粧材1は、波長が0.7μmから1000μmの赤外光に対する印刷層13の透過率を高め、透過した赤外光を熱可塑性樹脂基材11で反射することによって基材20の蓄熱を防いでいる。
〈熱可塑性樹脂基材〉
熱可塑性樹脂基材11としては、ポリオレフィン系樹脂からなるものが用いられる。熱可塑性樹脂基材11には、半透明なものや着色したもの等も用途に応じて選定することが可能である。本実施形態では、熱可塑性樹脂基材11を着色基材とする。
熱可塑性樹脂基材11にポリオレフィン系樹脂を使用することにより、化粧材1は、フッ素系樹脂と異なり、焼却処理しても問題の無いものとなる。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレンまたはそれらの変性樹脂が一般的に用いられるが、表面の硬度や耐熱性等も考慮するとポリプロピレン系樹脂が好適である。ポリプロピレン系樹脂としてはランダム共重合、ホモ系の2種類があるが、いずれも用途に応じて使用可能である。
また、本実施形態では、熱可塑性樹脂基材11における赤外光の反射率を高めるため、上記材料に酸化チタンを添加し、熱可塑性樹脂基材に含有させてもよい。このとき、本実施形態では、熱可塑性樹脂基材11が酸化チタンを23質量部以上含有させることにより、遮熱性が向上させる。
ただし、熱可塑性樹脂基材11に添加される酸化チタンが多くなると、熱可塑性樹脂基材11の膜質に酸化チタンが影響を及ぼす。このため、熱可塑性樹脂基材11の酸化チタンの好適な含有量は、23質量部以上40質量部以下である。
印刷層13は、目的とする化粧シートに任意の所望の絵柄の意匠性を付与する目的で設けられるものである。本発明においては熱可塑性樹脂基材11の表面に、印刷法等の手段により適宜の絵柄模様を有する印刷層13が設けられる。
印刷層13は、熱可塑性樹脂基材11に好適なインキを用いて設けられる。具体的には熱可塑性樹脂基材11がポリプロピレン樹脂であれば、ウレタン樹脂と塩化ビニル=酢酸ビニル共重合樹脂の混合物が好適に用いられる。
また、黒色顔料以外の顔料として、印刷層13には、イソインドリノン、ジスアゾ、ポリアゾ、ジケトピロロピロール、キイナクリドン、フタロシアニン、酸化チタンの少なくとも一つ以上が用いられる。
その他、印刷層13には、必要に応じて例えば体質顔料や可塑剤、分散剤、界面活性剤、粘着付与剤、接着助剤、乾燥剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、硬化剤、硬化促進剤又は硬化遅延剤等の各種の添加剤を適宜添加することもできる。
印刷層13が構成する絵柄の種類には特に制限はなく、従来より化粧シートの分野において広く採用されている木目柄や、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様等、或いは単なる着色や色彩調整を目的とする場合には単色無地であっても良く、要するに、目的の化粧シートの用途に応じ任意の所望の絵柄を採用することができる。
オーバーレイフィルム層15は、熱可塑性樹脂基材11や印刷層13との層間密着を考慮して材料となる樹脂が選択される。具体的には、熱可塑性樹脂基材11がホモポリプロピレン系樹脂、ランダムポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン樹脂のいずれかであるならば、同様のホモポリプロピレン系樹脂、ランダムポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン樹脂のいずれかが選択される。また、オーバーレイフィルム層15には、紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤を添加するのが好適である。
オーバーレイフィルム層15の表面には、必要に応じて所望の模様のエンボスを適宜設けることもできる。エンボスの模様の種類にも特に制限はなく、例えば木目調(特に導管模様状)、石目調、布目調、和紙調、幾何学模様状等の各種模様状であってもよいし、或いは例えば単なる艶消状や砂目状、ヘアライン状、スウェード調等であってもよい。また、これらのエンボスの模様を印刷層13の絵柄と同調させることによって更なる意匠性の向上を図ることもできるが、その必要がなければ非同調であっても良く、また印刷層13の絵柄と同調した模様と同調しない模様との両者を含む模様のエンボスを設けることもできる。
オーバーレイフィルム層15の厚さとしては、50μmから150μm程度、より好ましくは70μmから100μm程度の範囲内とするのがよい。
オーバーレイフィルム層15の成形方法としては、例えば押出成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法、キャスト成形法等が使用可能である。
第2接着層17は、オーバーレイフィルム層15とトップコート層19との間のドライラミネート法による接着を可能とし、両層間での接着強度を発現させる目的で設けられるものであり、本実施形態ではポリエステル系樹脂を主鎖とするウレタン系樹脂からなる接着剤を採用する。ウレタン系樹脂からなる接着剤としては、ポリエステルポリオール系等と硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びこれらの混合物の2液ウレタン樹脂系接着剤を乾燥後の厚み2μmから10μm塗工したもの等が使える。
第2接着層17には、目的とする化粧シートの用途により必要に応じて、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤等の従来公知の各種の添加剤の1種以上が添加されていてもよい。
トップコート層19は、メイン樹脂としてのアクリルポリオールと、硬化剤としてのヘキサメチレンジイソシアネートに紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤を添加して作製される。上記紫外線吸収剤としては、トリアジン系紫外線吸収剤が用いられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体が使用できる。さらに、ベンゾフェノン系としては、オクタベンゾンやこの変性物、重合物、誘導体が使用できる。
トップコート層の厚さは、固形分塗布量で5g/m2以上10g/m2以下である。さらに好ましくは6g/m2以上9g/m2以下である。これにより本実施形態のトップコート層の塗工性、保管等の汎用性が高いものとなる。
また、実施形態中の図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は上記説明を参酌して判断すべきものである。
[実施例1]
実施例1では、熱可塑性樹脂基材として、ヒンダードフェノール系酸化防止剤3質量部、紫外線吸収剤1質量部、ヒンダードアミン系光安定剤1質量部、酸化チタン23質量部をポリプロピレン樹脂100質量部に添加し、厚み70μmの膜を製膜した。
そして、熱可塑性樹脂基材の表面に印刷層として、ウレタン樹脂と塩化ビニル=酢酸ビニル共重合樹脂を7:3の割合で混合したもの100質量部に、ヘキサメチレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートを2:8の割合で混合した硬化剤を3質量部添加して、イソインドリノン、ポリアゾ、フタロシアニン及びペリレンブラックからなる顔料を3質量部添加してインキとし、木目柄をグラビア印刷にて印刷した。
実施例2では、実施例1の化粧シートの作製条件のうち、熱可塑性樹脂基材の顔料のみを変更して化粧シートを作製した。実施例2では、ジケトピロロピロール2質量部、キイナクリドン2質量部、フタロシアニン1質量部及び酸化チタン23質量部をポリプロピレン樹脂100質量部に添加して熱可塑性樹脂基材を作製した。
[比較例]
比較例では、実施例1の印刷層に用いた黒色顔料の条件だけを変更して化粧シートを作製した。比較例の化粧シートは、黒色顔料をペリレンブラックに代えてカーボンブラックを使用したインキを使って作製された。
本発明の発明者らは、上記実施例1、実施例2及び比較例について、それぞれ遮熱性能、蓄熱性能及び耐候性を評価した。
〈耐候性〉
本発明の発明者らは、メタルハライドランプ方式の超促進耐候性試験機(ダイプラ・ウィンテス株式会社製)を用いて化粧シートの促進耐候性を評価した。試験は、メタルハライドランプの放射照度650W/m2、ブラックパネル温度(試験片温度)53℃の条件で行われた。そして、照射後、試験片に著しい変化の無い場合を「○」と評価し、表面樹脂層のクラック、剥離が発生した場合を「×」と評価した。
なお、このような促進耐候性の試験方法は、JIS規格、K5602に規定されたものである。
本発明の発明者らは、遮熱性能を、JIS規格、K5602に規定された塗膜の日射反射率の測定方法を用いて測定した。測定は、株式会社島津製作所製分光光度計UV3600(製品名)によって行われた。そして、JIS規格、K5602の規定により、塗膜の日射反射率が40%以上であれば「〇」と評価し、40%以下であれば「×」と評価した。
蓄熱性能の評価では、本発明の発明者らは、縦21cm、横29.7cm、厚みが0.5mmの無塗装鋼板の片側の表面に接着剤を用いて化粧シートを貼り合わせ、試験片を作製した。そして、試験片表面の真上であって、表面から15cm離れた位置にハロゲン球を設置し、120分間ハロゲン光を照射しながら試験片の表面と裏面の温度を1分毎に測定し、その最高温度を記録した。
なお、本発明の発明者らは、トップコート層を固形分で3g/m2以下、固形分で11g/m2以上となるように塗工して作製し、この耐候性と遮熱性とを評価した。
3 化粧シート
11 熱可塑性樹脂基材
13 印刷層
15 オーバーレイフィルム層
17 第2接着層
19 トップコート層
20 基材
21 第1接着層
111 酸化チタン層
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂基材の一方の面の側にトップコート層を設け、前記熱可塑性樹脂基材がポリオレフィン系樹脂と酸化チタンとを含み、前記トップコート層がトリアジン系紫外線吸収剤を含有したアクリルウレタン系樹脂からなり、前記トップコート層の厚さが固形分塗布量で5g/m2以上10g/m2以下であり、
前記熱可塑性樹脂基材と前記トップコート層との間に印刷層を有し、該印刷層は、黒色顔料を含み、該黒色顔料は、ペリレン系黒色顔料であり、
前記熱可塑性樹脂基材は、前記印刷層の側の面に酸化チタンからなる酸化チタン層を有し、
前記熱可塑性樹脂基材における前記酸化チタンの含有量は、23質量部以上40質量部以下であり、
前記酸化チタン層を有する前記熱可塑性樹脂基材の前記酸化チタンの含有量は、23質量部以上であることを特徴とする化粧シート。 - 前記印刷層は、前記黒色顔料の他、イソインドリノン、ジスアゾ、ポリアゾ、ジケトピロロピロール、キイナクリドン、フタロシアニン、酸化チタンの少なくとも一つ以上の顔料を含むことを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
- 前記熱可塑性樹脂基材の厚さは、30μm以上120μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化粧シート。
- 前記酸化チタン層の厚さは、5μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の化粧シート。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の化粧シートを基材に貼り合わせて成ることを特徴とする化粧材。
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