JP6711067B2 - 化粧シート及び化粧材 - Google Patents

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Description

本発明は、建材として屋外、及び室内で使用される化粧シート及び、これを利用した化粧材に関する。
化粧シートは、安価で加工性に優れた建材として、建築物の屋内、屋外及び家具や什器といった様々な用途に使用されている。このような化粧シートのうち、屋外に使用される外装用の化粧シートは、玄関等の外装用化粧鋼板の表面に貼り付けられて使用される。外装用化粧シートには、内装用の化粧シート以上の耐候性が要求される。
高い耐候性を有する化粧シートとして、現在、オレフィン系の材料を用いた化粧シートが実用化されている。耐候性の評価は、実際の屋外暴露や促進耐候性試験によって行われている。オレフィン系材料を用いた化粧シートの耐候性は、実用の条件を満たすものである。なお、このような化粧シートは、例えば、特許文献1に記載されている。
特開2012−131112号公報
しかしながら、既存の外装用化粧シートは、太陽光の紫外光に対する耐候性については評価し、処方が施されているものの、赤外光に対する耐候性については考慮されていなかった。外装用の化粧シートにあっては、赤外光を吸収することによって蓄熱し、蓄えらえた熱が化粧シートの基材に伝わることによって膨張が発生する。化粧シートの基材が膨張すると、化粧シートが貼り合わされた化粧材に反りが発生し、建材としての美観や建築物を保護する機能が低下することになる。
更に、外装用化粧シートは、その用途として建材として用いられることが多いため、防火性能も求められている。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、遮熱性能を有し、赤外光による反りを防止するとともに、更に防火性能を有する化粧シート及び化粧材を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る化粧シート及び化粧材は、熱可塑性樹脂基材層と、印刷層と、コーティング層とが順次積層されている。熱可塑性樹脂基材層は、ポリオレフィン系樹脂からなる。コーティング層は、トリアジン系紫外線吸収剤を含有したアクリルウレタン系樹脂からなる。コーティング層の厚さは、固形分塗布量で5g/m以上10g/m以下である。熱可塑性樹脂基材層は、無機材料を10%以上45%以下含有することで防火性能を有する。
具体的には、熱可塑性樹脂基材層は、無機材料として、炭酸カルシウム、酸化チタン、及び酸化鉄のうち少なくとも1つを含有する。熱可塑性樹脂基材層は、更に、防火性能の向上のため臭素化合物を3%以上5%以下含有していても良い。また、熱可塑性樹脂基材層は、更に、防火性能の向上のためアンチモン化合物を1%以上2%以下含有していても良い。
本発明によれば、遮熱性能を有し、赤外光による反りを防止するとともに、更に防火性能を有する化粧シート及び化粧材を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る化粧シート、及び化粧シートを用いた化粧材の断面図である。
以下に、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る化粧シート及び化粧材について説明する。ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、及び構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(化粧材)
図1は、本実施形態に係る化粧材1を説明するための断面図である。本実施形態に係る化粧材1は、基材20と、基材20と貼り合わされる化粧シート3と、基材20と化粧シート3とを貼り合わせる第1接着層21と、を有している。
(基材)
基材20は、表面に化粧シート3を貼着(ラミネート)して使用するものである。基材20としては、例えば、金属系基材が使用可能である。金属系基材としては、例えば、金属板や、アルポリック材がある。アルポリック材は、塗装や鏡面仕上げ等の表面加工処理が施された金属板で樹脂材を挟んだアルミ樹脂複合板である。金属板としては、例えば、アルミ、ガルバリウム鋼板、ステンレス及びチタン等が使用される。また、樹脂材としては、例えば、ポリエチレン単体、或いはポリエチレンに無機材を加えたもの等が使用される。
(第1接着層)
第1接着層21としては、化粧シートと基材との貼り合わせに使用される公知の接着剤であれば、どのようなものを用いても良い。本実施形態では、基材20への化粧シート3の貼り付けには、例えばウレタン系や酢酸ビニル系等の適宜の接着剤を使用して第1接着層21を形成することができる。若しくは、例えば、反応性ホットメルト系の接着剤を使用して第1接着層21を形成することができる。特に、反応性ホットメルト系の接着剤のうち、2液タイプのポリウレタンの接着剤を用いて第1接着層21を形成しても良い。更に、第1接着層21は、紫外線吸収剤や光安定剤等を含有するものであっても良い。
なお、基材20に化粧シート3を貼り付ける接着剤の種類によっては、化粧シート3の下層(接着側)を構成する樹脂との接着性が不十分である場合も考えられる。このような場合を考慮して、第1接着層21と化粧シート3との間には、プライマー剤(下塗り剤)からなるプライマー層(図示省略)が設けられていても良い。若しくは、第1接着層21自体が、プライマー剤からなるプライマー層でも良い。プライマー剤としては、特に限定されず、既知のプライマー剤を用いることができる。例えば、ウレタン系、アクリル系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系等の各種のプライマー剤を使用することができる。また、プライマー層を構成するプライマー剤には、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の粉末を添加しても良い。これにより、プライマー層の表面を粗面化でき、化粧シート10の巻取保存時のブロッキングを防止でき、投錨効果によりラミネート用接着剤との接着性を向上できる。
(化粧シート)
本実施形態に係る化粧シート3は、熱可塑性樹脂基材層11の一方の面の側に、コーティング層としてのトップコート層19を設けてなるものである。即ち、化粧シート3は、第1接着層21の側から順に設けられる、熱可塑性樹脂基材層11、印刷層13、第2接着層15、オーバーレイフィルム層17及びトップコート層19を有している。
本実施形態に係る化粧材1は、波長が0.7μm以上1000μm以下の赤外光に対する印刷層13の透過率を高め、透過した赤外光を熱可塑性樹脂基材層11で反射することによって基材20の蓄熱を防いでいる。
以下、化粧シート3の各層について説明する。
(熱可塑性樹脂基材層)
熱可塑性樹脂基材層11としては、ポリオレフィン系樹脂からなるものが用いられる。熱可塑性樹脂基材層11には、半透明なものや着色したもの等も用途に応じて選定することが可能である。本実施形態では、熱可塑性樹脂基材層11を着色基材とする。
熱可塑性樹脂基材層11にポリオレフィン系樹脂を使用することにより、化粧材1は、フッ素系樹脂と異なり、焼却処理しても問題の無いものとなる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン又はそれらの変性樹脂が一般的に用いられる。本実施形態では、熱可塑性樹脂基材層11の一例として、ポリエチレン原反を使用する。
また、熱可塑性樹脂基材層11には耐候性の処方として紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系等)を添加しても良い。添加量は、所望の耐候性に応じて添加すれば良いが、樹脂固形分に対して0.1%以上10%以下、好ましくは1%以上5%以下である。
紫外線吸収剤の中でも、ベンゾトリアゾール系としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール,2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール,2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール,2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体が挙げられる。
また、トリアジン系としては、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体が使用できる。
更に、ベンゾフェノン系としては、例えば、オクタベンゾンやこの変性物、重合物、誘導体が使用できる。
また、樹脂自体の光・熱・水等による劣化を防止するため、ヒンダードアミン系光安定剤を添加しても良い。添加部数は所望の耐候性に応じて添加すれば良いが、樹脂固形分に対して0.1%以上10%以下、好ましくは1%以上5%以下である。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ポペリジニル)セバケート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体等が使用できる。
熱可塑性樹脂基材層11は、上記材料の配合を適宜行い、押出成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法等でフィルム状に成形して得ることができる。熱可塑性樹脂基材層11の厚さは、粘着貼り合わせ加工のし易さや、耐候性、透明性等を考慮すると30μm以上120μm以下程度が適切である。
また、本実施形態では、熱可塑性樹脂基材層11における赤外光の反射率を高めるため、上記材料に酸化チタンを添加し、熱可塑性樹脂基材層11に含有させても良い。このとき、熱可塑性樹脂基材層11が酸化チタンを23質量部以上含有することにより、遮熱性能が向上する。
また、熱可塑性樹脂基材層11に隠蔽層として酸化チタンを用いる場合、隠蔽層としての酸化チタンの含有量と添加された酸化チタンとの合計が23質量部以上であれば良い。また、熱可塑性樹脂基材層11が隠蔽層として酸化チタンを23質量部以上含む場合、これ以上酸化チタンを添加しなくとも良い。
ただし、熱可塑性樹脂基材層11に添加される酸化チタンが多くなると、熱可塑性樹脂基材層11の膜質に酸化チタンが影響を及ぼす。このため、熱可塑性樹脂基材層11の酸化チタンの好適な含有量は、23質量部以上40質量部以下である。
また、本実施形態は、図1に示したように、熱可塑性樹脂基材層11の印刷層13の側の面に酸化チタンを塗布して酸化チタン層111を設けても良い。なお、酸化チタン層111を設ける場合であっても、酸化チタン層111によって熱可塑性樹脂基材層11が酸化チタンを23質量部以上含有すれば熱可塑性樹脂基材層11による基材20への遮熱性能が向上する。このような条件により、酸化チタン層111の厚さとしては、5μm以上10μm以下が好ましい。
また、酸化チタン層111の代わりに、顔料(イソインドリノン、ジスアゾ、ポリアゾ、ジケトピロロピロール、キイナクリドン、フタロシアニン)からなる層を設けても良い。
[防火性能]
ここで、本実施形態の熱可塑性樹脂基材層11は、無機材料を含有することで、防火性能(耐火性能)を有する。無機材料としては、例えば、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化鉄等のうち少なくとも1種類が使用可能であり、特に炭酸カルシウムが好ましい。実際には、酸化チタン及び酸化鉄は無機顔料として添加されることがある。無機材料の含有率は10%以上45%以下程度が好ましい。無機材料の含有率が10%未満であると、充分な防火性能を発揮し難くなる。但し、無機材料全体の含有率が45%以下であっても、炭酸カルシウムの含有量が20%を超えると、基材生産時に機械のロール等を削ってしまう可能性があるため、炭酸カルシウム自体の含有量は10%以上20%以下程度が好ましい。
また、本実施形態の熱可塑性樹脂基材層11は、防火性能の向上のため、有機系難燃剤である臭素化合物(臭素系難燃剤)も含有していると好ましい。臭素化合物としては、例えば、RoHS規制物質のポリ臭化ビフェニル(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)等以外の臭素系難燃剤が使用可能である。臭素化合物の含有率は3%以上5%以下程度が好ましい。
更に、本実施形態の熱可塑性樹脂基材層11は、防火性能の向上のため、無機系難燃剤であるアンチモン化合物も含有していても良い。アンチモン化合物は、臭素化合物の難燃性を高める助剤として用いられることがある。アンチモン化合物としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が使用可能であり、特に三酸化アンチモンが好ましい。アンチモン化合物の含有率は1%以上2%以下程度が好ましい。
これにより、本実施形態に係る化粧シート3に対し、遮熱性能に加えて、高い防火性能を好適に付与することができる。防火性能の試験方法としては、化粧シート3を、基材20の片面に貼り付け、化粧シート3を表面にしたドアを作成する。このドアの非加熱側については化粧シート3を貼り付けた基材20を用いなければならないが、このドアの加熱側については化粧シート3を貼り付けた基材20を用いるか否かは任意である。例えば、延焼防止を目的とした防火設備用のドアであれば、ドアの加熱側については化粧シート3を貼り付けた基材20を用いなくても良い。一方、防火区画に用いられる特定防火設備用のドアであれば、ドアの加熱側についても化粧シート3を貼り付けた基材20を用いなければならない。そして、このドアの加熱側を火に晒して加熱し、防火設備用のドアであれば20分間、特定防火設備用のドアであれば60分間、このドアの非加熱側に延焼しないことを確認する。具体的には、非加熱側へ10秒を超えて継続する火炎の噴出がないこと、非加熱面で10秒を超えて継続する発炎がないこと、火炎が通る亀裂等の損傷及び隙間を生じないこと等を確認する。
(印刷層)
本実施形態の印刷層13は、顔料を用いたインキを使ってグラビア印刷等により設けられる。本実施形態の印刷層13は、ベタ印刷層131と、絵柄層132と、からなる。ベタ印刷層131は、模様のない印刷層であり、絵柄層132は、化粧シート3に任意の模様を付すための層である。模様としては、木目柄、石目柄、布目柄、抽象柄及び幾何学模様等が考えられる。更に、意匠が単なる着色や色彩調整のものである場合には、単色無地であっても良い。絵柄層132の模様としては、化粧シート3の用途に応じて任意の絵柄を採用することができる。
また、ベタ印刷層131、絵柄層132は、いずれも単層であっても良いし、複数の層を積層したものであっても良い。
ベタ印刷層131、絵柄層132に使用されるインキは、共に熱可塑性樹脂基材層11に印刷可能なものであれば良く、具体的には熱可塑性樹脂基材層11がランダムポリプロピレン系樹脂であれば、ウレタン樹脂と塩化ビニル=酢酸ビニル共重合樹脂の混合物が好適に用いられる。
顔料としては、黒色顔料として、ペリレン系顔料を用いる。代表的なペリレン系顔料としては、例えば、ペリレンブラックがある。既存の化粧シートは黒色顔料としてカーボンブラックを用いることが多く、近赤外光領域(0.781μm以上2.5μm以下)においての反射率が低かったが、ペリレンブラックを用いることにより、赤外光による熱の吸収によって、蓄熱作用が発生するという不具合を改善することができる。
或いは、黒色顔料として、アゾメチンアゾ系顔料を用いても良い。アゾメチンアゾ系顔料を用いることにより、印刷層13への赤外線の吸収を少なく、蓄熱機能を抑え、化粧シートとしての赤外線反射率を高くすることが可能となる。上記アゾメチンアゾ系顔料としては、テトラクロロフタルイミドとアミノアニリンの反応化合物であるジアゾニウム基を有するものであり、特には粒子径が0.1μm以上0.3μm以下のものが好適である。これらを用いることで、可視部で吸収、赤外部で反射といった特性を顕著に現すものとなる。
また、黒色顔料以外の顔料として、例えば、イソインドリノン、ジスアゾ、ポリアゾ、ジケトピロロピロール、キイナクリドン、フタロシアニン、及び酸化チタンから少なくとも1つ以上選択されたものを用いる。これにより、印刷インキは、赤外光の透過率が80%以上となっている。それゆえ、印刷層13が赤外光を透過し、透過した赤外光を熱可塑性樹脂基材層11が反射するため、赤外光の熱による蓄熱作用が低減される。
また、ベタ印刷層131を設けた上で、絵柄層132で例えば木目の導管を表現する際には、黒色顔料は用いずに、イソインドリノン顔料(黄色)、ジケトピロロピロール顔料(赤色)及びフタロシアニン顔料(青色)を混色することで黒色を表現する。
このような構成により、本実施形態は、絵柄層132をベタ印刷層131と組み合わせることで深みのある意匠性を得ると共に、経時による色変化を抑え、赤外光領域の反射率を一定以上に上げることが可能となる。
本発明の発明者らは、ペリレン系顔料を使ってベタ印刷層131の上に木目柄を印刷し、印刷層13の総合的な赤外光透過率を測定した。この測定によれば、波長が0.781μm以上2.5μm以下の光の透過率は、40%以上であった。
また、本発明の発明者らは、アゾメチンアゾ系顔料を使ってベタ印刷層131の上に木目柄を印刷し、印刷層13の総合的な赤外光透過率を測定した。この測定によれば、波長が0.781μm以上2.5μm以下の光の透過率は、80%以上であった。
その他、印刷層13には、必要に応じて例えば体質顔料や可塑剤、分散剤、界面活性剤、粘着付与剤、接着助剤、乾燥剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、硬化剤、硬化促進剤又は硬化遅延剤等の各種の添加剤を適宜添加することもできる。
印刷層13の形成方法には特に制限はなく、例えばグラビア印刷法やオフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等の従来公知の各種の印刷方法を使用することができる。また、例えば全面ベタ状の場合には前述した各種の印刷方法の他、例えばロールコート法やナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種のコーティング方法によることもできる。その他、例えば手描き法、墨流し法、写真法、レーザービーム又は電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法やエッチング法等、又はこれらの方法を複数組み合わせて行うことも勿論可能である。
また、印刷層13の形成に先立ち、必要に応じて、熱可塑性樹脂基材層11の表面に例えばコロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理、アンカー又はプライマー処理等の表面処理を施すことによって、熱可塑性樹脂基材層11と印刷層13との間の密着性を向上することもできる。
(第2接着層)
第2接着層15は、印刷層13とオーバーレイフィルム層17との間のドライラミネート法による接着を可能とし、両層間での接着強度を発現させる目的で設けられるものであり、本実施形態ではポリエステル系樹脂を主鎖とするウレタン系樹脂からなる接着剤を採用する。ウレタン系樹脂からなる接着剤としては、ポリエステルポリオール系等と硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びこれらの混合物の2液ウレタン樹脂系接着剤を乾燥後の厚み2μm以上10μm以下で塗工したもの等が使える。
第2接着層15には、目的とする化粧シートの用途により必要に応じて、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤等の従来公知の各種の添加剤の1種以上が添加されていても良い。
なお、第2接着層15とオーバーレイフィルム層17との間には、プライマー剤(下塗り剤)からなるプライマー層(図示省略)が設けられていても良い。若しくは、第2接着層15自体が、プライマー剤からなるプライマー層でも良い。プライマー剤については、前述の通りである。
(オーバーレイフィルム層)
オーバーレイフィルム層17は、熱可塑性樹脂基材層11や印刷層13との層間密着を考慮して材料となる樹脂が選択される。具体的には、熱可塑性樹脂基材層11がホモポリプロピレン系樹脂、ランダムポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン樹脂のいずれかであるならば、同様のホモポリプロピレン系樹脂、ランダムポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン樹脂のいずれかが選択される。また、オーバーレイフィルム層17には、紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤とを添加するのが好適である。
なお、上層にトップコート層19を設けずに、オーバーレイフィルム層17が表面層となる場合、オーバーレイフィルム層17としてはポリメチルメタアクリル樹脂を用いるのが好ましい。このとき、オーバーレイフィルム層17に紫外線吸収剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加するのが好適である。更に、印刷層13との層間密着を考慮して、印刷層13との間にアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル=酢酸ビニル共重合樹脂の少なくとも1つ以上からなる接着剤によって印刷層13と貼り合わされる。
オーバーレイフィルム層17は、少なくともその下の印刷層13を透視可能な程度の透明性を有している必要があり、無色透明であることが最も望ましいが、着色透明や半透明であっても良い。その限りにおいて、オーバーレイフィルム層17は顔料や充填剤を含有していても良い。
オーバーレイフィルム層17の表面には、必要に応じて所望の模様のエンボスを適宜設けることもできる。エンボスの模様の種類にも特に制限はなく、例えば木目調(特に導管模様状)、石目調、布目調、和紙調、幾何学模様状等の各種模様状であっても良いし、或いは例えば単なる艶消状や砂目状、ヘアライン状、スウェード調等であっても良い。また、これらのエンボスの模様を印刷層13の絵柄と同調させることによって更なる意匠性の向上を図ることもできるが、その必要がなければ非同調であっても良く、また印刷層13の絵柄と同調した模様と同調しない模様との両者を含む模様のエンボスを設けることもできる。
エンボスの形成方法にも特に制限はないが、金属製のエンボス版を使用した機械エンボス法が最も一般的である。また、オーバーレイフィルム層17に対するエンボスの形成時期にも特に制限はなく、熱可塑性樹脂基材層11への積層前、積層と同時又は積層後の中から任意の時期を選択することができ、またこれらの各時期から選ばれる複数の時期に同一又は異なる模様のエンボスを複数回に亘って施すこともできる。
オーバーレイフィルム層17の厚さとしては、50μm以上150μm以下程度、より好ましくは70μm以上100μm以下程度の範囲内とするのが良い。オーバーレイフィルム層17の成形方法としては、例えば押出成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法、キャスト成形法等が使用可能である。
(トップコート層)
トップコート層19は、化粧シート3の表面を保護するために硬質な樹脂をコーティングして形成された透明なシート状の層である。硬質な樹脂としては、例えば、メイン樹脂として、アクリルポリオールにイソシアネートを添加して硬化させたアクリルウレタン系樹脂を使用することができる。
本実施形態のトップコート層19は、メイン樹脂としてのアクリルポリオールと、硬化剤としてのヘキサメチレンジイソシアネートとに、紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤とを添加して作製される。
ここで、トップコート層19に添加する紫外線吸収剤としては、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤が用いられる。トリアジン系紫外線吸収剤は、トップコート層19に用いるアクリルウレタン系樹脂と相溶性が良好であるので、経時による紫外線吸収剤の析出が抑制され、紫外線遮蔽性能の効果が長期にわたり継続し、耐候性が良好なものになる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体が使用できる。更に、ベンゾフェノン系としては、オクタベンゾンやこの変性物、重合物、誘導体が使用できる。
トップコート層19の厚さは、固形分塗布量で5g/m以上10g/m以下である。更に好ましくは6g/m以上9g/m以下である。これにより本実施形態のトップコート層19の塗工性、保管等の汎用性が高いものとなる。
また、本実施形態は、コーティング層を化粧シート3の最上層となるトップコート層19としたが、本実施形態は、コーティング層をトップコート層19とすることに限定されるものではない。例えば、トップコート層19よりも下のコーティング層がトリアジン系紫外線吸収剤を含有しても良いし、トリアジン系紫外線吸収剤を含有するコーティング層の上に適宜別のコーティング層を設けても良い。
以上説明したように、本実施形態によれば、黒色顔料としてペリレン系顔料若しくはアゾメチンアゾ系顔料を使用し、又はイソインドリノン顔料(黄色)、ジケトピロロピロール顔料(赤色)及びフタロシアニン顔料(青色)を混色して黒色を表現したため、印刷層13における光の透過率が既存の化粧シートよりも高まる。印刷層13を透過した赤外光は熱可塑性樹脂基材層11で反射されるため、基材20に熱が伝わらず、基材20の蓄熱を防ぐことができる。そして、基材20の蓄熱を防ぐことにより、屋外で使用しても太陽光による反り等が発生し難い化粧材1を得ることができる。
また、本実施形態は、トップコート層19としてアクリルウレタン系樹脂を用い、これと相溶性の良好なトリアジン系紫外線吸収剤を用い、更に固形分塗布量を5g/m以上にすることにより、紫外線遮蔽力が優れ、経時によっても紫外線遮蔽力の低下しない塗膜を形成することができる。また、固形分塗布量を10g/m以下にすることにより、凹凸部分へのラミネート時においても、トップコート層19の割れの無い塗膜を形成することができる。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を上記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
また、実施形態中の図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は上記説明を参酌して判断すべきものである。
以下に、本実施形態の実施例及び比較例を示す。なお、本実施形態は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、熱可塑性樹脂基材層として、ヒンダードフェノール系酸化防止剤3質量部、紫外線吸収剤1質量部、ヒンダードアミン系光安定剤1質量部、酸化チタン23質量部をポリプロピレン樹脂100質量部に添加し、厚み70μmの膜を製膜した。
次に、実施例1では、熱可塑性樹脂基材層の表面にベタ印刷層を形成した。ベタ印刷層のインキは、ウレタン樹脂と塩化ビニル=酢酸ビニル共重合樹脂を7:3の割合で混合したもの100質量部に、硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートを2:8の割合で混合したものを3質量部添加し、顔料としてイソインドリノン5.3質量部、ポリアゾ2.4質量部、フタロシアニン1.7質量部を添加して作製された。ベタ印刷層は、このようなインキを熱可塑性樹脂基材層の全面に印刷して形成される。
また、実施例1では、ベタ印刷層の表面に絵柄層の1層目を印刷した。絵柄層の1層目のインキは、ウレタン樹脂と塩化ビニル=酢酸ビニル共重合樹脂を7:3の割合で混合したもの100質量部に、硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートを2:8の割合で混合したものを3質量部添加し、顔料としてポリアゾ6.0質量部、フタロシアニン3.1質量部を添加して製造された。絵柄層の1層目は、木目模様の木肌部分を印刷するものである。
次に、実施例1では、絵柄層の2層目を印刷した。絵柄層の2層目のインキは、ウレタン樹脂と塩化ビニル=酢酸ビニル共重合樹脂を7:3の割合で混合したもの100質量部に、硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートを2:8の割合で混合したものを3質量部添加し、顔料としてイソインドリノン2.4質量部、ポリアゾ5.2質量部、フタロシアニン2.7質量部を添加して製造された。絵柄層の2層目は、木目模様の木肌部分を印刷するものである。
次に、実施例1では、絵柄層の3層目を印刷した。絵柄層の3層目のインキは、ウレタン樹脂と塩化ビニル=酢酸ビニル共重合樹脂を7:3の割合で混合したもの100質量部に、硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートを2:8の割合で混合したものを3質量部添加し、顔料としてイソインドリノン3.2質量部、ジケトピロロピロール4.9質量部、フタロシアニン3.0質量部を添加して製造された。絵柄層の3層目は、木目模様の導管部分を印刷するものである。
また、実施例1では、印刷層の上にオーバーレイフィルム層を形成した。オーバーレイフィルム層は、ランダムポリプロピレン系樹脂100質量部に対してベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤0.5質量部とヒンダードアミン系光安定剤0.3質量部を添加したものを溶融押出によってフィルム状に形成することによって作製される。オーバーレイフィルム層の乾燥後の厚みは、70μmである。
更に、実施例1では、オーバーレイフィルム層の表面にトップコート層を形成した。トップコート層は、アクリルポリオール100質量部に対してヘキサメチレンジイソシアネート10質量部、トリアジン系紫外線吸収剤5質量部及びヒンダードアミン系光安定剤5質量部を添加したものをコーティングすることによって形成された。トップコート層の厚さは、固形分塗布量で9g/mであり、実施例1では、9μmとなった。
(実施例2)
実施例2では、実施例1の化粧シートの作製条件のうち、熱可塑性樹脂基材層の顔料のみを変更して化粧シートを作製した。実施例2では、ジケトピロロピロール2質量部、キイナクリドン2質量部、フタロシアニン1質量部及び酸化チタン23質量部をポリプロピレン樹脂100質量部に添加して熱可塑性樹脂基材層を作製した。
(実施例3)
実施例3では、実施例1の化粧シートの作製条件のうち、ベタ印刷層のインキを変更して化粧シートを作製した。実施例3では、着色熱可塑性樹脂基材層の一方の面にベタ印刷層として、ウレタン樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂を7:3の割合で混合したもの100質量部に、ヘキサメチレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートを2:8の割合で混合した硬化剤を3質量部添加して、イソインドリノン、ポリアゾ、フタロシアニン及び黒色顔料として平均粒経0.2μmのアゾメチンアゾ系樹脂(大日精化工業(株)製「クロモファインブラックA−1103」)を3質量部添加してインキとし、導管模様をグラビア印刷して絵柄層を形成した。
(比較例1)
比較例1では、実施例1の印刷層に用いた黒色顔料の条件だけを変更して化粧シートを作製した。比較例1の化粧シートは、黒色顔料としてカーボンブラックを使用したインクを使って作製された。
(評価)
本発明の発明者らは、上記実施例1、実施例2及び実施例3及び比較例1について、それぞれ耐候性、遮熱性能及び蓄熱性能を評価した。
[耐候性]
本発明の発明者らは、メタルハライドランプ方式の超促進耐候性試験機(ダイプラ・ウィンテス株式会社製)を用いて化粧シートの促進耐候性を評価した。試験は、メタルハライドランプの放射照度650W/m、ブラックパネル温度(試験片温度)53℃の条件で行われた。そして、照射後、試験片に著しい変化の無い場合を「○」と評価し、表面樹脂層のクラック、剥離が発生した場合を「×」と評価した。
なお、このような促進耐候性の試験方法は、JIS規格、K5602に規定されたものである。
[遮熱性能]
本発明の発明者らは、遮熱性能を、JIS規格、K5602に規定された塗膜の日射反射率の測定方法を用いて測定した。測定は、株式会社島津製作所製分光光度計UV3600(製品名)によって行われた。そして、JIS規格、K5602の規定により、塗膜の日射反射率が40%以上であれば「〇」と評価し、40%以下であれば「×」と評価した。
[蓄熱性能]
蓄熱性能の評価では、本発明の発明者らは、縦21cm、横29.7cm、厚みが0.5mmの無塗装鋼板の片側の表面に接着剤を用いて化粧シートを貼り合わせ、試験片を作製した。そして、試験片表面の真上であって、表面から15cm離れた位置にハロゲン球を設置し、120分間ハロゲン光を照射しながら試験片の表面と裏面の温度を1分毎に測定し、その最高温度を記録した。
下記の表1は、上記耐候性、遮熱性能及び蓄熱性能の評価結果をまとめて示している。
Figure 0006711067
表1によれば、実施例1、実施例2及び実施例3の化粧シートは、いずれも耐候性及び遮熱性能について「〇」の評価を得た。一方、比較例1の化粧シートは、耐候性能について「〇」の評価を得たものの、遮熱性能については「×」と評価された。
また、蓄熱性能については、実施例1、実施例2及び実施例3の試験片がいずれも61℃になったのに対し、比較例1の試験片は72℃にまで温度が上昇した。
このような差異は、実施例1及び実施例2がイソインドリノン顔料(黄色)、ジケトピロロピロール顔料(赤色)及びフタロシアニン顔料(青色)を混色して黒色を表現し、実施例3がアゾメチンアゾ系樹脂の黒色顔料を使用しているのに対し、比較例1は黒色顔料としてカーボンブラックを使用しているために生じたと考えられる。
なお、本発明の発明者らは、トップコート層を固形分塗布量で5g/mとなるように塗布し、他の条件を実施例1、実施例2及び実施例3と同じにした化粧シートを作製した。また、本発明の発明者らは、トップコート層を固形分塗布量で10g/mとなるように塗布し、他の条件を実施例1、実施例2及び実施例3と同じにした化粧シートを作製した。そして、このような化粧シートについて、耐候性と遮熱性能とを評価した。この評価において、本発明の発明者らは、実施例1、実施例2及び実施例3と同様に、良好な耐候性と遮熱性能を得た。
更に、本発明の発明者らは、印刷層に用いられる各インキの透過率を測定した。印刷インキは、赤外光の透過率が40%以上となっている。それゆえ、印刷層13が赤外光を透過し、透過した赤外光を熱可塑性樹脂基材層11が反射するため、赤外光の熱による蓄熱作用が低減される。
ここで、上記インキ(印刷インキ)の透過率の測定方法としては、例えば、厚み25μmの2軸延伸PETフィルム(東レ株式会社製ルミラーS50)に対し、坪量1g/mとなるよう顔料を分散したインキで印刷し、株式会社島津製作所製分光光度計UV3600によって波長782nm以上2500nm以下の領域を2nm毎に測定点数860点の透過率を測定し、各波長の透過率(%T)の合計値を測定点数で除算した除算結果を、赤外光の透過率とする方法がある。即ち、式「赤外光の透過率=赤外線各波長(782nm以上2500nm以下)の測定透過率(%T)合計値÷測定点数(860)」で算出する。
上記結果から、実施例1、実施例2及び実施例3で使用されたインキは、赤外光に対して高い透過率を有していることが分かる。
以上説明した本発明の化粧シート及び化粧材は、太陽光下に曝しても反りが発生し難いので、屋外の使用に好適である。
以上、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これらの説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の別の実施形態も明らかである。したがって、特許請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例又は実施形態も網羅すると解すべきである。
1 化粧材
3 化粧シート
11 熱可塑性樹脂基材層
111 酸化チタン層
13 印刷層
131 ベタ印刷層
132 絵柄層
15 第2接着層
17 オーバーレイフィルム層
19 トップコート層
20 基材
21 第1接着層

Claims (11)

  1. 熱可塑性樹脂基材層と、印刷層と、コーティング層とが順次積層され、
    前記熱可塑性樹脂基材層は、ポリオレフィン系樹脂からなり、
    前記コーティング層は、トリアジン系紫外線吸収剤を含有したアクリルウレタン系樹脂からなり、
    前記コーティング層の坪量は、固形分塗布量で5g/m以上10g/m以下であり、
    前記熱可塑性樹脂基材層は、前記熱可塑性樹脂基材層を構成する組成物における質量比で、無機材料を10%以上45%以下含有することで防火性能を有し、
    前記無機材料は、炭酸カルシウムを含み、
    前記熱可塑性樹脂基材層は、前記熱可塑性樹脂基材層を構成する組成物における質量比で、炭酸カルシウムを10%以上20%以下含有することを特徴とする化粧シート。
  2. 前記熱可塑性樹脂基材層は、前記無機材料として、酸化チタン、及び酸化鉄のうち少なくとも1つを含有することを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記熱可塑性樹脂基材層は、更に、前記防火性能の向上のため臭素化合物を3%以上5%以下含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧シート。
  4. 前記熱可塑性樹脂基材層は、更に、前記防火性能の向上のためアンチモン化合物を1%以上2%以下含有することを特徴とする請求項3に記載の化粧シート。
  5. 前記熱可塑性樹脂基材層は、前記印刷層の側の面に酸化チタンを顔料とする塗料からなる膜を有する、又は酸化チタンを顔料として含有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の化粧シート。
  6. 前記熱可塑性樹脂基材層は、前記印刷層の側の面に酸化チタンからなる酸化チタン層を有し、
    前記酸化チタン層を有する前記熱可塑性樹脂基材層の前記酸化チタンの含有量は、23質量部以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の化粧シート。
  7. 前記酸化チタン層の厚さは、5μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項6に記載の化粧シート。
  8. 前記印刷層は、少なくとも黒色顔料としてペリレン系顔料又はアゾメチンアゾ系顔料を含み、更に他の顔料を含む場合には、イソインドリノン、ジスアゾ、ポリアゾ、ジケトピロロピロール、キイナクリドン、フタロシアニン、及び酸化チタンのうち少なくとも1つ以上の顔料を含むことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の化粧シート。
  9. 前記印刷層は、前記熱可塑性樹脂基材層の側からベタ印刷層と絵柄層とが順次積層され、
    前記ベタ印刷層は、顔料がイソインドリノン、ジスアゾ、ポリアゾ、ジケトピロロピロール、キイナクリドン、フタロシアニン及び酸化チタンから少なくとも1つ以上選択され、
    前記絵柄層は、黒色がイソインドリノン顔料、ジケトピロロピロール顔料及びフタロシアニン顔料を混色して表現されることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の化粧シート。
  10. 熱可塑性樹脂基材層と、印刷層と、コーティング層とが順次積層され、
    前記熱可塑性樹脂基材層は、ポリオレフィン系樹脂からなり、
    前記コーティング層は、トリアジン系紫外線吸収剤を含有したアクリルウレタン系樹脂からなり、
    前記コーティング層の坪量は、固形分塗布量で5g/m以上10g/m以下であり、
    前記熱可塑性樹脂基材層は、前記熱可塑性樹脂基材層を構成する組成物における質量比で、無機材料を10%以上45%以下含有することで防火性能を有し、
    前記印刷層は、少なくとも黒色顔料としてペリレン系顔料を含み、更に他の顔料を含む場合には、イソインドリノン、ジスアゾ、ポリアゾ、ジケトピロロピロール、キイナクリドン、フタロシアニン、及び酸化チタンのうち少なくとも1つ以上の顔料を含むことを特徴とする化粧シート。
  11. 請求項1から10のいずれか項に記載の化粧シートを基材に貼り合わせてなることを特徴とする化粧材。
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