JP6446804B2 - 化粧シート及び化粧板 - Google Patents

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Description

本発明は、化粧シート及び化粧板に関する。
従来、エクステリア(駐車場のポール、ドア、ルーフ等)に用いられる化粧板として、金属基材に化粧シートを貼着した化粧板が知られている。これらの化粧板には、不燃認定取得可能要件を満たすことが要求される場合がある。例えば、非住宅等の人が多く行き交う場所の壁面や建築部材等で使用される場合が挙げられる。ここで、上記不燃認定取得可能要件とは、日本の建築基準法第2条第9号で規定されている、ISO5660-1に準拠する発熱性試験にて、以下の(i)〜(iii)の要件:
(i)加熱開始後から20分間、総発熱量が8 MJ/m2以下であること、
(ii)加熱開始後から20分間、最大発熱速度が「10秒以上継続(連続)して200 kW/m2以上」を超えないこと、
(iii)加熱開始後から20分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がないこと、
をいう。特に、上記化粧シートにおいては、化粧板が少なくとも上記(i)及び(ii)の不燃認定取得可能要件を満たすような化粧シートとすることが要求される。
化粧板が少なくとも上記(i)及び(ii)の不燃認定取得可能要件を満たすような化粧シートとするための方法として、化粧シートの厚みを薄くすること(つまり、有機質量を減らすこと)が考えられる。化粧シートの厚みを薄くすると、上記不燃認定取得可能要件を満たすとともに、エクステリアとして使用するための加工性に優れる。しかしながら、化粧シートの厚みを薄くすると、機械物性等が低下してしまうという問題がある。そのため、化粧シートの厚み制御で上記不燃認定取得可能要件と物性を同時に満たすように対応するには限界がある。
特許文献1には、金属基材上に、接着剤層及び化粧シートが順に積層された化粧板であって、金属基材、接着剤層及び化粧シートの厚みをそれぞれ規定した化粧板が開示されている(金属基材の厚み:1.5mm以上)。当該化粧板は、不燃認定取得可能要件を満たすとともに、接着強度及び耐候性に優れている。
特開2013-199032号公報
しかしながら、当該化粧板の金属基材厚みが1.5mm未満である場合は、不燃認定取得可能要件を満たすことが困難になるという問題がある。
そこで、化粧板の金属基材厚みが1.5mm未満である場合は、化粧シート全体に難燃剤を添加することにより、化粧シート自体に不燃性を付与することが考えられる。しかしながら、難燃剤を化粧シート全体に添加する場合、耐候性が著しく低下するという問題がある。
一方、難燃剤を化粧シート全体ではなく、透明性樹脂層に添加する場合、化粧シートの上層部が柔軟になるため、化粧シートの耐傷性が著しく低下するという問題がある。しかも、難燃剤の種類によっては、透明性樹脂層の透明性を維持することができないため、化粧シート全体の意匠性を損なってしまう虞がある。
よって、本発明は、化粧シートと貼り合わせることで化粧板にするための基材の厚みが薄い場合でも、上記(i)及び(ii)の不燃認定取得可能要件を満たすとともに、耐傷性、耐候性、接着強度及び加工性に優れた化粧板、及び当該化粧板を得るための化粧シートを提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、難燃剤を特定の層に含有した上で、化粧シートの基材シートの厚み、透明性樹脂層の厚み、及び当該2つの層の厚みに加えて上記透明性樹脂層の上に積層されている表面保護層の厚みの合計値、並びに上記難燃剤の含有量をそれぞれ特定の範囲とした場合には、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、化粧シート及び化粧板に関する。
1.基材シート、透明性樹脂層及び表面保護層が順に積層された化粧シートであって、
(1)前記基材シートは、樹脂成分及び窒素系難燃剤を含有し、当該窒素系難燃剤は、無機窒素化合物系難燃剤、硫酸メラミン、ジシアンジアミド、トリアジン化合物、グアニジン化合物、及びリン系−窒素系難燃剤からなる群から選択される少なくとも一種であり、
(2)前記窒素系難燃剤の含有量が、前記樹脂成分100質量部に対して60〜100質量部であり、
(3)前記基材シートの厚みが15〜150μmであり、
(4)前記透明性樹脂層の厚みが15〜150μmであり、
(5)前記基材シートの厚み、前記透明性樹脂層の厚み及び前記表面保護層の厚みの合計が40〜200μmである、
ことを特徴とする、化粧シート。
.前記基材シートがオレフィン系熱可塑性樹脂を含む、上記項1に記載の化粧シート。
.前記透明性樹脂層がオレフィン系熱可塑性樹脂を含む、上記項1又は2に記載の化粧シート。
.前記表面保護層が電離放射線硬化型樹脂を含む、上記項1〜のいずれかに記載の化粧シート。
.基材上に上記項1〜のいずれかに記載の化粧シートが積層されている、化粧板。
以下、本発明の化粧シートについて詳細に説明する。
1.本発明の化粧シート
本発明の化粧シートは、基材シート、透明性樹脂層及び表面保護層が順に積層された化粧シートであって、
(1)前記基材シートは、樹脂成分及び難燃剤を含有し、
(2)前記難燃剤の含有量が、前記樹脂成分100質量部に対して10〜100質量部であり、
(3)前記基材シートの厚みが15〜150μmであり、
(4)前記透明性樹脂層の厚みが15〜150μmであり、
(5)前記基材シートの厚み、前記透明性樹脂層の厚み及び前記表面保護層の厚みの合計が40〜200μmである、
ことを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の化粧シートは、難燃剤を基材シートという特定の層に含有した上で、基材シートの厚み、透明性樹脂層の厚み、及び当該2つの層の厚みに加えて上記透明性樹脂層の上に積層されている表面保護層の厚みの合計値、並びに上記難燃剤の含有量をそれぞれ特定の範囲としているため、基材と貼り合わせて化粧板とした際に、当該基材厚みが薄い場合でも以下の(i)及び(ii)の不燃認定取得要件:
(i)加熱開始後から20分間、総発熱量が8 MJ/m2以下であること、及び
(ii)加熱開始後から20分間、最大発熱速度が「10秒以上継続(連続)して200 kW/m2以上」を超えないこと、
を満たし、且つ、耐傷性、耐候性、接着強度及び加工性に優れる。
化粧シート中の基材シートの厚み、透明性樹脂層の厚み及び表面保護層の厚みの合計(以下、「基材シート、透明性樹脂層及び表面保護層の総厚み」又は単に「総厚み」ともいう)は40〜200μmである。上記総厚みが40μm未満である場合、優れた耐傷性又は耐候性が得られない虞があり、上記総厚みが200μmを超える場合、化粧板とした際に優れた加工性が得られない又は上記不燃認定取得可能要件を満たさない虞がある。上記総厚みは、60〜180μmが好ましい。
本発明の化粧シートの構造は、基材シート、透明性樹脂層及び表面保護層が順に積層された化粧シートであればその他は限定的ではない。つまり、本発明の化粧シートは、上記層以外の(その他の)層については特に限定されない。例えば、本発明の化粧シートとして、基材シート上に絵柄模様層(ベタインキ層・柄インキ層)、接着剤層(接着剤層B)、透明性樹脂層及び表面保護層が順に積層された化粧シートが好ましい。以下、この化粧シートを例示的に説明する。なお、本発明の化粧シートにおいて、上記基材シート、透明性樹脂層及び表面保護層が不燃認定取得可能要件に大きな影響を及ぼすものであり、絵柄模様層、接着剤層B及び透明性樹脂層と表面保護層との間のプライマー層等の各層については、通常の化粧シート製造の厚みや構成成分の範囲内では不燃認定取得可能要件に影響を及ぼすものではない。
本発明の化粧シートは、表面保護層がいわゆる「おもて面」(施工後に視認される面)である。よって、本明細書では、基材シートに対して表面保護層が存在する方向を「おもて」又は「上」と称し、その反対側を「裏」又は「下」と称する。
発熱性試験
本発明では、ISO5660-1コーンカロリーメーター法に準拠する試験(以下、単に発熱性試験ともいう)を採用している。当該方法は、化粧板等の建築材料の燃焼性状を評価する試験方法であって、建築材料の受輻射加熱状況下での発熱性を求めるものである。
具体的には、試験片(10cm×10cm)を水平に置き、その上方からコーン型の電気ヒーターにより50kW/m2の輻射加熱を与え、電気スパークの口火により着火させ、その時の発熱量により燃焼性を判定する。発熱量の測定は燃焼ガス分析により酸素消費量から行われる。
基材シート
本発明の化粧シートは、基材シートを有する。
基材シートの樹脂成分としては、低密度ポリエチレン(線状低密度ポリエチレンを包含する),中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,エチレン−αオレフィン共重合体,ポリプロピレン(ホモポリプロピレンを包含する),ポリメチルペンテン,ポリブテン,エチレン−プロピレン共重合体,プロピレン−ブテン共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、又は、これらの混合物等のオレフィン系熱可塑性樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体,ポリカーボネート,ポリアリレート等の熱可塑性エステル系樹脂、ポリメタアクリル酸メチル,ポリメタアクリル酸エチル,ポリアクリル酸エチル,ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系熱可塑性樹脂、ナイロン−6,ナイロン−66等のポリアミド系熱可塑性樹脂、又は、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アイオノマー等が挙げられる。また、これらの樹脂成分は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。基材シートは、これらの合成樹脂層の1種又は2種以上の積層体であってもよい。基材シートの中でも、オレフィン系熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、基材シートを構成する樹脂がオレフィン系熱可塑性樹脂であることがより好ましい。
基材シートが積層体であって、2種以上(2層以上)の合成樹脂層を有する場合、各合
成樹脂層中の樹脂成分は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
基材シートの厚みは、15〜150μmである。基材シートの厚みが15μm未満である場合、優れた耐傷性又は耐候性等が得られない虞がある。基材シートの厚みが150μmを超える場合、化粧板として加工する際の曲げ加工時に割れが発生する等の加工性が低下する虞がある。基材シートの厚みは、40〜120μmが好ましい。
基材シートは、基材シート中の樹脂成分100質量部に対して、10〜100質量部の難燃剤を含有する。本発明の化粧シートでは、基材シート中に難燃剤を含有することにより、化粧シートの耐傷性を保持しつつ、不燃認定取得可能要件を満たすのに必要な難燃性を付与することができる。難燃剤の含有量が、基材シート中の樹脂成分100質量部に対して100質量部を超える場合、優れた耐傷性(特に凹み傷)又は耐候性が得られない虞がある。難燃剤の含有量が、基材シート中の樹脂成分100質量部に対して10質量部未満である場合、不燃認定取得可能要件を満たすのに必要な難燃性を付与することができない虞がある。難燃剤の含有量は、基材シート中の樹脂成分100質量部に対して、20〜60質量部が好ましい。
難燃剤は、特に限定されない。例えば、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、アルミニウム系難燃剤、アンチモン系難燃剤、マグネシウム系難燃剤、ホウ素系難燃剤、ジルコニウム系難燃剤等が挙げられる。難燃剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ハロゲン系難燃剤としては、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤等が挙げられる。臭素系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモフェニルエーテル、テトラブロモジフェニルエーテル、臭化ポリスチレン等が挙げられる。塩素系難燃剤としては、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。
リン系難燃剤としては、リン酸エステル類(例えば、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリス(モノクロロプロピル)ホスフェート等)、ポリリン酸塩などが挙げられる。
窒素系難燃剤としては、炭酸アンモニウム等の無機窒素化合物系、メラミン、硫酸メラミン、メラミンシアヌレート、ジシアンジアミド、トリアジン化合物、グアニジン化合物(スルファミン酸グアニジン等)などの有機窒素化合物系等が挙げられる。なお、窒素系難燃剤の中には、リン系−窒素系難燃剤(例えば、リン酸二水素アンモニウム等)も含まれる。
アルミニウム系難燃剤としては、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
アンチモン系難燃剤としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸塩メタほう酸バリウム等が挙げられる。
マグネシウム系難燃剤としては、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
ホウ素系難燃剤としては、ホウ酸亜鉛等が挙げられる。
ジルコニウム系難燃剤としては、酸化ジルコニウム等のジルコニウム系が挙げられる。
難燃剤の中でも、非着色かつ環境負荷軽減という観点から、窒素系難燃剤が好ましい。
基材シートは、必要に応じて着色されていてもよい。また、表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理が施されていてもよい。
基材シートには、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の各種の添加剤が含まれていてもよい。
絵柄模様層
絵柄模様層は、柄インキ層及び/又はベタインキ層から構成される。絵柄模様層は、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷等の印刷法により形成できる。柄インキ層の模様は、例えば、木目模様、石目模様、布目模様、皮紋模様、幾何学模様、文字、記号、線画、各種抽象模様等が挙げられる。ベタインキ層は、着色インキのベタ印刷により得られる。絵柄模様層は、柄インキ層及びベタインキ層の片方又は両方から構成される。
絵柄模様層に用いるインキとしては、ビヒクルとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、アクリルウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等を1種又は2種以上混合して用い、これに顔料、溶剤、各種補助剤等を加えてインキ化したものが使用できる。この中でも、環境問題、被印刷面との密着性等の観点から、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、アクリルウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂等の1種又は2種以上の混合物が好ましい。
絵柄模様層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、塗工時の層厚は1〜10μm程度、乾燥後の層厚は0.1〜5μm程度である。
接着剤層
透明性樹脂層と絵柄模様層との密着性を高めるため、絵柄模様層上に接着剤層(接着剤層B)を形成してもよい。
接着剤としては特に限定されず、化粧シートの分野で公知の接着剤が使用できる。化粧シートの分野で公知の接着剤としては、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、ウレタン系樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。これら接着剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂も適用し得る。接着剤層は、例えば、塗布及び乾燥させることにより得られる。
接着剤層の厚みは特に限定されないが、乾燥後の厚みが0.1〜10μm程度、好ましくは1〜5μm程度である。
透明性樹脂層
本発明の化粧シートは、基材シート上に透明性樹脂層を有する。
透明性樹脂層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも包含する。
透明性樹脂層に含まれる樹脂成分としては、上記基材シートで例示された各樹脂成分と同様の樹脂成分が挙げられる。上記樹脂成分は、単独又は2種以上を混合して使用してもよい。透明性樹脂層は、オレフィン系熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、透明性樹脂層を構成する樹脂成分がオレフィン系熱可塑性樹脂であることがより好ましい。
なお、透明性樹脂層は、透明性を有する限り、着色されていても良いが、特に着色剤を
配合しない方が望ましい。
また、透明性樹脂層は、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲内で難燃剤を含有してもよいが、透明性確保のためには含有しないことが好ましい。
透明性樹脂層の厚みは、15〜150μmである。透明性樹脂層の厚みが15μm未満である場合、優れた耐傷性、耐候性又は加工性が得られない虞がある。透明性樹脂層の厚みが150μmを超える場合、不燃性低下の虞がある。透明性樹脂層の厚みは、50〜120μmが好ましい。
透明性樹脂層は、充填剤、艶消し剤、発泡剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、ラジカル捕捉剤、軟質成分(例えばゴム)等の各種の添加剤を含有してもよい。
プライマー層
透明性樹脂層の上には、プライマー層を設けてもよい。プライマー層は、透明性樹脂層と表面保護層の密着性を向上させることができる。
プライマー層を形成するためのプライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系樹脂)等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン−セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。プライマー剤には、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
プライマー剤の塗布量は特に限定されないが、通常0.1〜100g/m2、好ましくは0.1〜50g/m2程度である。
プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.01〜10μm、好ましくは0.1〜3μm程度である。
表面保護層
本発明の化粧シートは、透明性樹脂層上に表面保護層を有する。表面保護層は、化粧シートに、耐傷性、耐摩耗性、耐水性、耐汚染性等の表面物性を付与する。
表面保護層は、熱硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂等の硬化型樹脂を含むことが好ましく、高い表面硬度、生産性等の観点から電離放射線硬化型樹脂を含有する(即ち、表面保護層を構成する樹脂成分が電離放射線硬化型樹脂を含有する)ことがより好ましく、表面保護層を構成する樹脂成分が電離放射線硬化型樹脂であることがさらに好ましい。なお、表面保護層に含まれる樹脂成分は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
熱硬化型樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。2液硬化型ポリウレタン樹脂としては特に限定されないが、中でも主剤としてOH基を有するポリオール成分(アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール等)と、硬化剤成分であるイソシアネート成分(トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート等)とを含むものが使用できる。上記例示の樹脂については1種又は2種以上を併用して用いることができる。
上記樹脂には、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤を添加することができる。
例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加でき、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加できる。熱硬化型樹脂で表面保護層を形成する方法としては、例えば、熱硬化型樹脂の溶液をロールコート法、グラビアコート法等の塗布法で塗布し、乾燥・硬化させる方法が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂としては特に限定されず、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により重合架橋反応可能なラジカル重合性二重結合を分子中に含むプレポリマー(オリゴマーを含む)及び/又はモノマーを主成分とする透明性樹脂が使用できる。これらのプレポリマー又はモノマーは、単体又は複数を混合して使用できる。硬化反応は、通常、架橋硬化反応である。
具体的には、前記プレポリマー又はモノマーとしては、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物が挙げられる。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによるポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましい。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの分子量としては、通常250〜100000程度が好ましい。
ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、単官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、多官能モノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーが挙げられる。また、チオールとしては、例えば、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオールが挙げられる。ポリエンとしては、例えば、ジオール及びジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリルアルコールを付加したものが挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂を硬化させるために用いる電離放射線としては、電離放射線硬化型樹脂(組成物)中の分子を硬化反応させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子が用いられる。通常は紫外線又は電子線を用いればよいが、可視光線、X線、イオン線等を用いてもよい。
紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源を使用することができる。紫外線の波長としては、190〜380nm程度である。
電子線源としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。電子線のエネルギーとしては、100〜1000keV程度が好ましく、100〜300keV程度がより好ましい。電子線の照射量は、2〜15Mrad程度が好ましい。
電離放射線硬化型樹脂は、1種又は2種以上を併用して用いることができる。
電離放射線硬化型樹脂の中でも、電子線硬化型樹脂(EB樹脂)が好ましい。電子線硬化型樹脂としては、ウレタンアクリレート系電子線硬化型樹脂が挙げられる。
表面保護層には、耐候性を向上させるために、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、トリアジン系などの紫外線吸収剤を添加するのが好ましい。紫外線を照射して樹脂層を硬化させる場合には、光重合開始剤、光重合促進剤(増感剤)等を含有することが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等の少なくとも1種が使用できる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等の少なくとも1種が使用できる。光重合促進剤(増感剤)としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
光重合開始剤や光重合促進剤の添加量は特に限定されないが、一般に樹脂成分100質量部に対して0.1〜10質量部程度である。
また表面保護層には、抗菌性を付与する為に、抗菌剤を添加してもよい。抗菌剤としては、無機系抗菌剤、及び有機系抗菌剤がある。特に無機系抗菌剤は有機系抗菌剤に比べ一般に安全性が高く、耐久性、及び耐熱性にも優れているため望ましい。無機系抗菌剤とは、銀をはじめとする銅、亜鉛等の抗菌性金属を各種の無機物担体に担持したものである。抗菌剤の添加量は、表面保護層を構成する樹脂成分100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましい。
また表面保護層には、必要に応じて、溶剤、染料、顔料等の着色剤、増量剤等の充填剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤等の各種添加剤を加えることができる。充填剤としては、例えば、粉末状の酸化アルミニウム、炭化珪素、二酸化珪素、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、マグネシウムパイロボレート、酸化亜鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化鉄、窒化硼素、ダイヤモンド、金剛砂、ガラス繊維等が挙げられる。
表面保護層は、例えば、透明性樹脂層上に(1)樹脂成分、及び(2)必要に応じて、その他の樹脂、紫外線吸収剤、抗菌剤、上記各種添加剤、などを含有する表面保護層形成用樹脂組成物をグラビアコート、ロールコート等の公知の塗工法により塗工後、樹脂成分を硬化させることにより形成できる。
表面保護層の厚みは、特に限定されず、最終製品の特性に応じて適宜設定できるが、0.1〜50μmが好ましく、5〜30μmがより好ましい。
各層の積層は、例えば、基材シートの一方の面に絵柄模様層(ベタインキ層、柄インキ層)を順に印刷により形成後、絵柄模様層上に2液硬化型ウレタン樹脂等の公知のドライラミネーション用接着剤による接着剤層(接着剤層B)を介して、透明性樹脂層をドライラミネーション法、Tダイ押出し法等で積層し、さらに表面保護層を形成する方法により行える。
化粧シート表面には、エンボス形状(模様)を形成してもよい。エンボス形状は、上記透明性樹脂層を形成した後、透明性樹脂層側からエンボス加工が施されることにより形成されてもよい。また、エンボス形状は、上記透明性樹脂層の上に上記表面保護層を積層した後、表面保護層側からエンボス加工が施されることにより形成されていてもよい。具体的には、例えば、透明性樹脂層又は表面保護層のおもて面を加熱軟化させてエンボス版により加圧・賦形後、冷却する方法が好ましい方法として挙げられる。
エンボス加工には、公知の枚葉式又は輪転式のエンボス機が用いられる。エンボス形状としては、例えば、浮造り模様(浮出した年輪の凹凸模様)、木目導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
本発明の化粧シートは、例えば駐車場のポール、ドア、ルーフ等のエクステリア用途に用いる化粧板を提供するための化粧シートとして適している。
2.本発明の化粧板
本発明の化粧板は、基材上に、本発明の化粧シート(即ち、基材シート、透明性樹脂層及び表面保護層が順に積層された化粧シートであって、
(1)前記基材シートは、樹脂成分及び難燃剤を含有し、
(2)前記難燃剤の含有量が、前記樹脂成分100質量部に対して10〜100質量部であり、
(3)前記基材シートの厚みが15〜150μmであり、
(4)前記透明性樹脂層の厚みが15〜150μmであり、
(5)前記基材シートの厚み、前記透明性樹脂層の厚み及び前記表面保護層の厚みの合計が40〜200μmである、化粧シート)が積層されている。上記特徴を有する本発明の化粧板は、難燃剤を基材シートという特定の層に含有した上で、基材シートの厚み、透明性樹脂層の厚み、及び当該2つの層の厚みに加えて、上記透明性樹脂層の上に積層されている表面保護層の厚みの合計値、並びに上記難燃剤の含有量をそれぞれ特定の範囲としているため、基材厚さにかかわらず上記(i)及び(ii)の不燃認定取得要件を満たし、且つ、耐傷性、耐候性、接着強度及び加工性に優れる。
本発明の化粧板に関する化粧シートの説明については、上述の通りである。
基材
基材としては、上記(i)〜(iii)の不燃認定取得要件を満たす基材であれば特に限定されないが、上記不燃認定取得可能要件の観点から、金属基材が好ましい。金属基材の材質としては、アルミニウム、鉄、溶融亜鉛めっき鋼鈑、ブリキ、ブリキ鋼鈑等を使用することができる。中でも耐食性という観点から、アルミニウムを含む基材が好ましく、アルミニウムのみからなる基材がより好ましい。
金属基材の形状は、平板形状の他、筒状であってもよい。金属基材の形状が筒状である場合、当該金属基材に接着剤層及び化粧シートを積層することにより、筒状の化粧板が得られる。
基材の厚みは、特に限定されず、1.0〜50mmが好ましく、1.0〜1.5mmがより好ましく、1.0〜1.4mmがさらに好ましい。特に基材の厚みが、1.0〜1.5mm(さらに好ましくは1.0〜1.4mm)である場合、不燃認定取得可能要件を満たしつつ、金属基材のコストを抑えることもできる。
接着剤
基材のおもて面には、化粧シートを貼り合わせるために、接着剤層(接着剤層A)が積層されていてもよい。
接着剤層の厚みは、特に限定されないが、乾燥後の厚みが0.1〜100μmが好ましく、0.1〜30μmがより好ましく、1〜20μmがさらに好ましい。
接着剤層で使用される接着剤としては、ポリエステル系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤等が挙げられる。接着剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の化粧板は、例えば駐車場のポール、ドア、ルーフ等のエクステリア用途に用いる化粧板として適している。
本発明の化粧シートは、難燃剤を基材シートという特定の層に含有した上で、基材シートの厚み、透明性樹脂層の厚み、及び当該2つの層の厚みに加えて上記透明性樹脂層の上に積層されている表面保護層の厚みの合計値、並びに上記難燃剤の含有量をそれぞれ特定の範囲としているため、化粧板にするための基材の厚みが薄い場合でも不燃認定取得可能要件((i)加熱開始後から20分間、総発熱量が8 MJ/m2以下であること、及び(ii)加熱開始後から20分間、最大発熱速度が「10秒以上継続(連続)して200 kW/m2以上」を超えないこと)を満たし、且つ、耐傷性、耐候性、接着強度及び加工性に優れた化粧板を提供することができる。
本発明の化粧シート及び化粧板の一例を示す模式図である。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例の態様に限定されない。
実施例1
ポリプロピレン樹脂100質量部と窒素系難燃剤(MELAPUR 200/70、BASF(株)製)20質量部とを含む樹脂組成物を、Tダイ押出し機を用いて押出し製膜することにより、60μm厚さの基材シートを作製した。次に、当該基材シートの両面にコロナ放電処理を施した後、当該基材シートのおもて面にアクリルウレタン系樹脂含有印刷インキでグラビア印刷法により、絵柄模様層を形成した。さらに、当該絵柄模様層の上に接着剤を塗布することにより、透明性の接着剤層を形成した。さらに、接着剤層上に、Tダイ押出し機でポリプロピレン樹脂を加熱溶融押出しして熱可塑性の透明性樹脂層(厚さ40μm)を形成した。
次に、当該透明性樹脂層上に、2μm厚さのプライマー層を形成した。さらに、前記プライマー層上にウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む電子線硬化型樹脂組成物をグラビアコート法により、厚さが10μmとなるように塗布及び乾燥した後、加速電圧175keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射することにより、表面保護層を形成した。
さらに、当該表面保護層側から熱圧によるエンボス加工を施すことで木目導管柄の凹凸模様を形成した。これにより、実施例1の化粧シートを得た。
実施例2〜10及び比較例1〜5
以下の(a)〜(e):
(a) 基材シート又は透明性樹脂層を構成する樹脂成分100質量部に対する難燃剤の含有量、
(b) 表面保護層、透明性樹脂層及び基材シートの厚みの合計値(表面保護層、透明性樹脂層及び基材シートの総厚み)、
(c) 基材シートの厚み、
(d) 透明性樹脂層の厚み、
(e) 難燃剤を含有する層の箇所
のいずれか1つ以上を変更する以外は、実施例1と同様にして、各化粧シートを作製した。変更点については、以下の表1及び2の通りである。
比較例6
透明性ポリプロピレン樹脂100質量部と窒素系難燃剤(MELAPUR 200/70、BASF(株)製)20質量部とを含む樹脂組成物を、Tダイ押出し機を用いて押出し製膜することにより、100μm厚さの透明性樹脂層を作製した。次に、当該透明性樹脂層の両面にコロナ放電処理を施した。次いで、透明性樹脂層の裏面にアクリルウレタン系樹脂含有インキをグラビア印刷法で塗工することにより、透明性樹脂層越しに絵柄が見えるように絵柄模様層を形成した。
次に、絵柄模様層とは反対側の透明性樹脂層上に2μm厚さのプライマー層を形成した。次いで、前記プライマー層上にウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む電子線硬化型樹脂組成物をグラビアコート法により、厚さが10μmとなるように塗布及び乾燥した後、加速電圧175keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射することにより、表面保護層を形成した。
さらに、当該表面保護層側から熱圧によるエンボス加工を施すことで木目導管柄の凹凸模様を形成した。これにより、比較例6の化粧シートを得た。
比較例7
ポリプロピレン樹脂100質量部と窒素系難燃剤(MELAPUR 200/70、BASF(株)製)20質量部とを含む樹脂組成物を、Tダイ押出し機を用いて押出し製膜することにより、100μm厚さの基材シートを作製した。次に、当該基材シートの両面にコロナ放電処理を施した後、当該基材シートのおもて面にアクリルウレタン系樹脂含有印刷インキでグラビア印刷法により、絵柄模様層を形成した。さらに、当該絵柄模様層の上に2μm厚さのプライマー層を形成した。さらに、前記プライマー層上にウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む電子線硬化型樹脂組成物をグラビアコート法により、厚さが10μmとなるように塗布及び乾燥した後、加速電圧175keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射することにより、表面保護層を形成した。
さらに、当該表面保護層側から熱圧によるエンボス加工を施すことで木目導管柄の凹凸模様を形成した。これにより、比較例7の化粧シートを得た。
比較例8
窒素系難燃剤を、基材シート中に代えて、透明性樹脂層中に含有させる以外は実施例1と同様にして、化粧シートを作製した。
試験例1(発熱性試験)
作製した各化粧シートの裏面に、ポリエステル系接着剤(商品名「PES-360」、東亞合成株式会社製)80μmを塗布した。次いで、アルミニウム押出形材(A6063S-T5)を用いた筒状のアルミニウム材の外周に、当該アルミニウム材と前記ポリエステル系接着剤とが接触するようにして、当該アルミニウム押出形材上に各化粧シートを貼着した。これにより、各化粧板を得た。
次いで、各化粧板を切断することにより、100mm×100mmの化粧板試験片(厚さ1.0mmのアルミニウム基材の上に接着剤が積層され、上記接着剤の上に各化粧シートが積層された化粧板試験片)を作製した。当該試験片に対して、ISO 5560-1 コーンカロリーメーター法に準拠し、20分間の試験を行った。発熱性試験では、東洋精機株式会社製コーンカロリーメーターを使用した。以下の(1)〜(3)の各評価の評価基準を以下に示す。なお、上記各化粧板は、いずれも加熱開始後から20分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がないことが確認された。
≪(1)加熱開始後から20分間の総発熱量(MJ/m2)≫
◎:6 MJ/m2以下
○:6 MJ/m2を超えて、7.2 MJ/m2以下
△:7.2 MJ/m2を超えて、8 MJ/m2以下
×:8 MJ/m2超え
≪(2)加熱開始から20分間、最大発熱速度が継続して200KW/m2以上を超える秒数≫
◎:0秒
○:0秒を超えて、10秒未満
△:10秒
×:10秒超え
≪(3)総合評価≫
◎:上記(1)(2)両者とも◎、又は、上記(1)と(2)の一方が◎でもう一方が○
○:上記(1)(2)両者とも○、又は、上記(1)と(2)の一方が○でもう一方が△
△:上記(1)(2)両者とも△
×:上記(1)(2)両者とも×、又は、上記(1)と(2)の一方が△でもう一方が×
試験例2(耐傷性試験:ホフマンスクラッチ試験)
まず、試験例1と同様にして、各化粧板を得た。次いで、米国BYK GARDNER社製のホフマンスクラッチ試験機を用いて試験を行った。具体的には、各化粧板表面に対して45度(°)の角度で接するようにスクラッチ刃(φ7mmの円柱刃)をセットし、試験機を各化粧シート上で移動させた。徐々に荷重(錘)を高めていき、各化粧板表面に擦り傷、圧痕等が生じるまで試験を繰り返し行った。評価基準を以下に示す。
○:400g荷重以上において、傷が見られない
△:300g荷重以上400g荷重未満において、傷が見られない
×:300g荷重未満において、傷が発生した。
試験例3(耐傷性試験:鉛筆硬度試験)
まず、試験例1と同様にして、各化粧板を得た。次いで、試験機が水平位置のときに鉛筆の先に対して500gの荷重を与えるように試験機を設定した以外はJIS K 5600-5-4に準拠して、上記各化粧板の表面の鉛筆硬度試験を行った。試験は、鉛筆硬度試験機を用いて行った。各化粧板の鉛筆硬度は、アルミニウム基材ラミネート品にて傷付きはじめの硬度より評価した。判定基準は以下の通りである。
○:引っ掻きによって傷付きはじめたのが4B以上である
△:引っ掻きによって傷付きはじめたのが5Bである
×:引っ掻きによって傷付きはじめたのが6B以下である
なお、4B以上とは、4Bと同等又は4Bよりも硬いことを意味し、例えば、3B,2B,HB,2H等はいずれも4B以上に包含される。
試験例4(耐候性試験)
まず、試験例1と同様にして、各化粧板を得た。次いで、UVランプ(商品名「M04 L21WB/SUV」、岩崎電気株式会社製)、ランプジャケット(商品名「WJ50-SUV」、岩崎電気株式会社製)、及び照度計(商品名「UVD-365PD」、岩崎電気株式会社製)を備えた超促進耐候性試験装置(商品名:アイスーパーUVテスター 「SUV-W131」、岩崎電気株式会社製)を用意した。当該超促進耐候性装置のブラックパネル温度を63℃、照度を60mW/cm2に設定し、各化粧板に対して、200時間に到達するまでの20時間の照射及び4時間の結露を繰り返した。当該試験後の化粧板に対して、外観を観察した。評価基準を以下に示す。なお、○又は△であれば、実際にエクステリア用として使用可能である。
○:外観変化なし
△:軽微の艶変化あり
×:大きな艶変化あり。
試験例5(折り曲げ試験)
まず、試験例1と同様にして、各化粧板を得た。次いで、JIS Z 2248 6.3に規定されたVブロック法に準拠して、各化粧板の表面温度25℃、曲げ角度90度(°)、曲げ内側半径0mmの条件で、折り曲げ試験を行った。評価基準を以下に示す。
○:折り目付近が白化していない
△:折り目付近に軽微な白化が見られるものの、意匠的には問題ない
×:折り目付近が白化している。
試験例6(接着強度試験)
まず、試験例1と同様にして、各化粧板を得た。次いで、各化粧板に対して、JIS Z0237の試験方法に従って接着強度を測定した。評価基準を以下に示す。なお、○又は△であれば、実際にエクステリア用として好ましい。
○:30 N/inch以上
△:20 N/inch以上30 N/inch未満
×:20 N/inch未満。
Figure 0006446804
Figure 0006446804
1.基材シート
2.絵柄模様層
3.接着剤層B
4.透明性樹脂層
5.表面保護層
6.エンボス模様
7.基材
8.接着剤層A
9.化粧シート
10.化粧板

Claims (5)

  1. 基材シート、透明性樹脂層及び表面保護層が順に積層された化粧シートであって、
    (1)前記基材シートは、樹脂成分及び窒素系難燃剤を含有し、当該窒素系難燃剤は、無機窒素化合物系難燃剤、硫酸メラミン、ジシアンジアミド、トリアジン化合物、グアニジン化合物、及びリン系−窒素系難燃剤からなる群から選択される少なくとも一種であり、
    (2)前記窒素系難燃剤の含有量が、前記樹脂成分100質量部に対して60〜100質量部であり、
    (3)前記基材シートの厚みが15〜150μmであり、
    (4)前記透明性樹脂層の厚みが15〜150μmであり、
    (5)前記基材シートの厚み、前記透明性樹脂層の厚み及び前記表面保護層の厚みの合計が40〜200μmである、
    ことを特徴とする、化粧シート。
  2. 前記基材シートがオレフィン系熱可塑性樹脂を含む、請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記透明性樹脂層がオレフィン系熱可塑性樹脂を含む、請求項1又は2に記載の化粧シート。
  4. 前記表面保護層が電離放射線硬化型樹脂を含む、請求項1〜のいずれかに記載の化粧シート。
  5. 基材上に請求項1〜のいずれかに記載の化粧シートが積層されている、化粧板。
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