JP6322919B2 - 熱硬化性樹脂組成物、これを用いたプリプレグ、積層板及びプリント配線板 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、これを用いたプリプレグ、積層板及びプリント配線板 Download PDF

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Description

本発明は半導体パッケージやプリント配線板用に好適な熱硬化性樹脂組成物に関し、詳しくはガラス転移温度(Tg)、低熱膨張性及び低硬化収縮性に優れる熱硬化性樹脂組成物、これを用いたプリプレグ、積層板及びプリント配線板に関する。
近年の電子機器の小型化・高性能化により、プリント配線板では配線密度の高度化、高集積化が進展し、これに伴って配線用積層板の信頼性向上への要求が強まっている。このような用途においては、優れた耐熱性及び低熱膨張性を兼備することが要求される。
プリント配線板用積層板としては、エポキシ樹脂を主剤とした樹脂組成物とガラス織布とを硬化し、一体成形したものが一般的である。
これは、エポキシ樹脂が絶縁性、耐熱性、及びコスト等のバランスに優れるためであるが、近年のプリント配線板の高密度化、高多層化にともなう耐熱性向上の要求に対応するには、さらなる改良が必要である。
また、エポキシ樹脂は、熱膨張率が大きいため、芳香環を有するエポキシ樹脂の選択やシリカ等の無機充填材を高充填することで低熱膨張性化を図っている(例えば、特許文献1参照)。しかし、無機充填材の充填量を増やすことは、吸湿による絶縁信頼性の低下や樹脂−配線層の密着不足、プレス成形不良を起こすことが知られている。
一方、プリント配線板用積層板に広く使用されているポリビスマレイミド樹脂も、接着性に難点があり、低熱膨張性も十分ではない。
エポキシ樹脂及びフェノール樹脂と変性イミド樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献2参照)。この変性イミド樹脂含有組成物は耐湿性や接着性が改良されるものの、メチルエチルケトン等の汎用性溶媒への可溶性を確保するために水酸基とエポキシ基を含有する低分子化合物で変性している。そのため、得られる変性イミド樹脂の耐熱性は、ポリビスマレイミド樹脂と比較すると、大幅に劣るという問題点がある。
さらに、近年、半導体用パッケージ基板では、小型化、薄型化に伴い、部品実装時やパッケージ組み立て時に、チップと基板との熱膨張率の差や基板の硬化収縮に起因した反りが大きな課題となっている。
特開平5−148343号公報 特開平6−263843号公報
本発明の目的は、こうした現状に鑑み、ガラス転移温度(Tg)、低熱膨張性、及び低硬化収縮性に優れる樹脂組成物、これを用いたプリプレグ、積層板及びプリント配線板を提供することである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の硬化促進剤、マレイミド化合物及びアミン化合物が配合された樹脂組成物が上記目的に沿うものであることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、積層板及びプリント配線板を提供するものである。
1.第三級ホスフィンとキノン類との付加物(a)、分子構造中に少なくとも2個の1級アミノ基を有するアミン化合物(b)、酸性置換基を有するアミン化合物(c)及び分子構造中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)が配合されたものである熱硬化性樹脂組成物。
2.分子構造中に少なくとも2個の1級アミノ基を有するアミン化合物(b)、酸性置換基を有するアミン化合物(c)及び分子構造中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)、を反応させて得られる化合物(X)と、第三級ホスフィンとキノン類との付加物(a)とを含有する熱硬化性樹脂組成物。
3.さらに、エポキシ樹脂及びシアネート樹脂から選ばれた少なくとも一種の熱硬化性樹脂(e)を含有する上記1又は2の熱硬化性樹脂組成物。
4.さらに、無機充填材を含有する上記1〜3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
5.分子構造中に少なくとも2個の1級アミノ基を有するアミン化合物(b)が、末端にアミノ基を有する変性シロキサンを含有するものである上記1〜4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
6.上記1〜5のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を基材に含侵又は塗工し、得られるプリプレグ。
7.絶縁樹脂層が上記6のプリプレグを用いて形成される積層板。
8.上記7の積層板における絶縁樹脂層の片面又は両面に配置された金属箔を回路加工して得られるプリント配線板。
本発明によれば、ガラス転移温度(Tg)、低熱膨張性及び低硬化収縮性に優れる熱硬化性樹脂組成物、これを用いたプリプレグ、積層板及びプリント配線板を提供することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を基材に含浸、又は塗工して得たプリプレグ、及び該プリプレグを積層成形することにより製造した積層板、及び該積層板を用いて製造された多層プリント配線板は、ガラス転移温度(Tg)、低熱膨張性及び低硬化収縮性に優れており、高集積化された電子機器用プリント配線板として有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、第三級ホスフィンとキノン類との付加物(a)、分子構造中に少なくとも2個の1級アミノ基を有するアミン化合物(b)、酸性置換基を有するアミン化合物(c)及び分子構造中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)、が配合されたものである。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、第三級ホスフィンとキノン類との付加物(a)(以降、成分(a)と呼ぶことがある)を含むことにより、硬化が十分に進み、ガラス転移温度(Tg)、低熱膨張性及び低硬化収縮性に優れる。
成分(a)に含まれる第三級ホスフィンは特に限定されるものではないが、例えば、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4−ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメチル−4−エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−エトキシフェニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。
また、成分(a)に含まれるキノン類としては、例えば、o−ベンゾキノン、p−ベンゾキノン、ジフェノキノン、1,4−ナフトキノン、アントラキノン等が挙げられる。これらの中でも、耐湿性、及び保存安定性の点から、p−ベンゾキノンが好ましい。
成分(a)の製造方法も特に限定はされないが、例えば、原料となる第三級ホスフィンとキノン類がともに溶解する溶媒中で両者を撹拌混合し、付加反応させて単離する方法等が挙げられる。この場合の製造条件としては、例えば、原料の溶解度が高く、生成した付加物の溶解度が低いメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類などの溶媒中で、室温から80℃の範囲で、1時間〜12時間撹拌し、付加反応させることが好ましい。
このようにして得られる第三級ホスフィンとキノン類との付加物(a)としては、例えば、下記一般式(I)で表されるものが挙げられる。
Figure 0006322919
(式中、Rは1価の有機基を表す。)
一般式(I)中のRの1価の有機基としては、例えば、それぞれ独立にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等のアルキル基や、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基等のアリール基などが挙げられる。
本発明の成分(a)としては、例えば、トリフェニルホスフィンとp−ベンゾキノンの付加物、トリ−p−トリルホスフィンとp−ベンゾキノンの付加物、トリ(n−ブチル)ホスフィンとp−ベンゾキノンの付加物等が挙げられる。
これらの中でも、保存安定性の点から、トリフェニルホスフィンとp−ベンゾキノンの付加物、及びトリ−p−トリルホスフィンとp−ベンゾキノンの付加物が好ましい。また、溶剤への溶解性の点からは、トリ(n−ブチル)ホスフィンとp−ベンゾキノンの付加物が好ましい。
成分(a)は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
成分(a)の配合量としては、熱硬化性樹脂組成物中の固形分換算の樹脂成分合計量100質量部に対して、0.1〜2.0質量部が好ましく、0.3〜0.7質量部がより好ましい。
この範囲で成分(a)を用いることで、ガラス転移温度(Tg)、低熱膨張性、及び低硬化収縮性を向上させることができる。
分子構造中に少なくとも2個の1級アミノ基を有するアミン化合物(b)(以降、成分(b)と呼ぶことがある)は、特に制限されるものではない。成分(b)としては、例えば、末端にアミノ基を有する変性シロキサン、ジアミノベンジジン、ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジエチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジメトキシ−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル−6,6'−ジスルホン酸、2,2',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、1,3'−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ビフェニルジオール、9,9'−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、o−トリジンスルホン等が挙げられる。
これらの中でも、末端にアミノ基を有する変性シロキサンを含むことが好ましい。末端にアミノ基を有する変性シロキサンは、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、両末端にアミノ基を有する「PAM−E」(官能基当量130)、「KF−8010」(官能基当量430)、「X−22−161A」(官能基当量800)、「X−22−161B」(官能基当量1500)、「KF−8012」(官能基当量2200)、「KF−8008」(官能基当量5700)〔以上、信越化学工業株式会社製〕、「BY16−871」(官能基当量130)、「BY16−853U」(官能基当量460)〔以上、東レダウコーニング株式会社製〕等が挙げられる。
また、末端にアミノ基を有する変性シロキサン以外に用いる2個の1級アミノ基を有するアミン化合物としては、高弾性及び高耐熱性が得られる点で、3,3'−ジエチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、2,2'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンを用いることが好ましい。
これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
成分(b)の配合量としては、熱硬化性樹脂組成物中の固形分換算の樹脂成分合計量100質量部に対して、3〜50質量部が好ましく、5〜35質量部がより好ましい。成分(b)の配合量をこの範囲とすることで、良好な低熱膨張性及び銅箔接着性が得られる。
酸性置換基を有するアミン化合物(c)(以降、成分(c)と呼ぶことがある)は、特に制限されるものではないが、例えば、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、o−アミノ安息香酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、p−アミノベンゼンスルホン酸、3,5−ジヒドロキシアニリン、3,5−ジカルボキシアニリン等が挙げられる。
これらの中でも、溶解性や合成の収率の点からm−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、及び3,5−ジヒドロキシアニリンが好ましく、耐熱性の点からm−アミノフェノール及びp−アミノフェノールがより好ましく、低熱膨張性の点からp−アミノフェノールが特に好ましい。
成分(c)は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
成分(c)の配合量としては、熱硬化性樹脂組成物中の固形分換算の樹脂成分合計量100質量部に対して、0.5〜10質量部が好ましく、0.7〜3質量部がより好ましい。
成分(c)の配合量をこの範囲とすることで、良好なガラス転移温度(Tg)、及び低熱膨張性が得られる。
1分子構造中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)(以降、成分(d)と呼ぶことがある)は、特に制限されるものではないが、例えば、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ポリフェニルメタンマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。
これらの中でも、反応率が高く、より高耐熱性化できる点から、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンが好ましく、溶剤への溶解性の点から、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンがより好ましく、安価である点からビス(4−マレイミドフェニル)メタンが特に好ましい。
成分(d)は、単独で用いても、2種を併用してもよい。
成分(d)の配合量としては、熱硬化性樹脂組成物中の固形分換算の樹脂成分合計量100質量部に対して、20〜80質量部が好ましく、30〜65質量部がより好ましい。
成分(d)の配合量をこの範囲とすることで、良好な弾性率及び低熱膨張性が得られる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物では、分子構造中に少なくとも2個の1級アミノ基を有するアミン化合物(b)、酸性置換基を有するアミン化合物(c)及び1分子構造中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)をそれぞれ用いても良いが、これらの成分(b)、成分(c)及び成分(d)を予め反応させて得られる化合物(X)と、上記成分(a)とを含むものであってもよい。上記反応は、必要により加熱・保温して行う。
この際の成分(d)の使用量は、ゲル化の防止と耐熱性の観点から、成分(d)のマレイミド基の当量が、成分(b)及び成分(c)の一級アミノ基の当量を超える範囲であることが好ましい。なお、成分(b)の量は成分(c)の量の7〜35倍であることが、耐熱性の点から好ましい。
上記反応の温度は70〜200℃とすることが好ましく、反応時間は0.5〜10時間とすることが好ましい。
上記反応に使用される有機溶媒は、特に制限されるものではないがが、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチルエステルやγ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の窒素原子含有溶媒、ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、溶解性の点から、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、γ−ブチロラクトン、ジメチルアセトアミドが好ましく、低毒性であることや揮発性が高くプリプレグの製造時に残溶剤として残りにくい点から、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルアセトアミドがより好ましい。
有機溶媒の使用量は、溶解性と反応時間の観点から、成分(b)、成分(c)及び成分(d)の合計量100質量部に対して、25〜1000質量部とすることが好ましく、40〜700質量部とすることがより好ましい。
化合物(X)の配合量は、熱硬化性樹脂組成物中の固形分換算の樹脂成分合計量100質量部に対して、30〜95質量部が好ましく、40〜90質量部がより好ましく、50〜80質量部が特に好ましい。
なお、化合物(X)として予め反応させて用いると、低熱膨張性、及び低硬化収縮性の点で好ましい。もちろん、必要に応じて、化合物(X)とともに、成分(b)、成分(c)、成分(d)を併用しても差し支えない。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、さらに熱硬化性の樹脂を配合してもよく、このような熱硬化性樹脂(e)(以降、成分(e)と呼ぶことがある)としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和イミド樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、シリコーン樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、成形性や電気絶縁性の点から、エポキシ樹脂、シアネート樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有エポキシ樹脂、トリフェノールフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能フェノール類、及びアントラセン等の多環芳香族類のジグリシジルエーテル化合物などが挙げられる。また、これらにリン化合物を導入したリン含有エポキシ樹脂等を用いることができる。これらは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、耐熱性及び難燃性の点から、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、及びナフタレン型エポキシ樹脂が好ましい。
また、シアネート樹脂としては、例えば、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂、及びこれらの一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、耐熱性及び難燃性の点から、ノボラック型シアネート樹脂が好ましい。
成分(e)の配合量としては、熱硬化性樹脂組成物中の固形分換算の樹脂成分合計量100質量部に対して、5〜50質量部が好ましく、10〜40質量部であることがより好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、任意に無機充填材を配合することができる。無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、EガラスやTガラス、Dガラス等のガラス粉や中空ガラスビーズなどが挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
無機充填材としては、誘電特性、耐熱性、及び低熱膨張性の点からシリカが好ましい。シリカとしては、例えば、湿式法で製造され含水率の高い沈降シリカと、乾式法で製造され結合水等をほとんど含まない乾式法シリカが挙げられる。乾式法シリカとしてはさらに、製造法の違いにより破砕シリカ、フュームドシリカ、溶融球状シリカ等が挙げられる。これらの中で、低熱膨張性及び樹脂に充填した際の高流動性から溶融球状シリカが好ましい。
無機充填材として溶融球状シリカを用いる場合、その平均粒子径は0.1〜10μmであることが好ましく、0.3〜8μmであることがより好ましい。該溶融球状シリカの平均粒子径を0.1μm以上にすることで、樹脂に高充填した際の流動性を良好に保つことができ、さらに10μm以下にすることで、粗大粒子の混入確率を減らし粗大粒子起因の不良の発生を抑えることができる。ここで、平均粒子径とは、粒子の全体積を100%として粒子径による累積度数分布曲線を求めた時、体積50%に相当する点の粒子径のことであり、レーザ回折散乱法を用いた粒度分布測定装置で測定することができる。
無機充填材の配合量は、熱硬化性樹脂組成物中の固形分換算の樹脂成分合計量100質量部に対し、20〜300質量部であることが好ましく、50〜250質量部であることがより好ましい。無機充填材の配合量を20〜300質量部とすることで、プリプレグの成形性と低熱膨張性を良好に保つことができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、樹脂組成物として熱硬化性の性質を損なわない程度に、熱可塑性樹脂、エラストマー、有機充填材、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤及び接着性向上剤等を使用できる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、キシレン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、シリコーン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂等が挙げられる。
エラストマーとしては、例えば、ポリブタジエン、アクリロニトリル、エポキシ変性ポリブタジエン、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、フェノール変性ポリブタジエン及びカルボキシ変性アクリロニトリル等が挙げられる。
有機充填材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、シリコーン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂等よりなる樹脂フィラー、アクリル酸エステル系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、共役ジエン系樹脂等よりなるゴム状態のコア層と、アクリル酸エステル系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、芳香族ビニル系樹脂、シアン化ビニル系樹脂等よりなるガラス状態のシェル層を持つコアシェル構造の樹脂フィラーなどが挙げられる。
難燃剤としては、例えば、臭素や塩素を含有する含ハロゲン系難燃剤、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、リン酸エステル系化合物、赤リン等のリン系難燃剤、スルファミン酸グアニジン、硫酸メラミン、ポリリン酸メラミン、メラミンシアヌレート等の窒素系難燃剤、シクロホスファゼン、ポリホスファゼン等のホスファゼン系難燃剤、三酸化アンチモン等の無機系難燃剤などが挙げられる。
その他、紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系やヒンダードアミン系酸化防止剤、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、チオキサントン系の光重合開始剤等、蛍光増白剤としては、例えば、スチルベン誘導体の蛍光増白剤、接着性向上剤としては、例えば、尿素シラン等の尿素化合物やシラン系、チタネート系、アルミネート系等のカップリング剤などが挙げられる。
また、配合時、無機充填材をシラン系、チタネート系等のカップリング剤、シリコーンオリゴマー等の表面処理剤で前処理、あるいはインテグラルブレンド処理してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、通常、希釈溶媒として有機溶媒を使用し、ワニスとして使用される。該有機溶媒は特に制限されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メチルセロソルブ等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶媒などが挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
最終的に得られるワニス中の熱硬化性樹脂組成物は、ワニス全体の40〜90質量%であることが好ましく、50〜80質量%であることがより好ましい。ワニス中の熱硬化性樹脂組成物の含有量を40〜90質量%にすることで、塗工性を良好に保ち、適切な樹脂組成物付着量のプリプレグを得ることができる。
本発明のプリプレグは、本発明の熱硬化性樹脂組成物を、基材に含浸又は塗工した後、Bステージ化してなるものである。すなわち、本発明の熱硬化性樹脂組成物を、基材に含浸又は、吹付け、押出し等の方法で塗工した後、加熱等により半硬化(Bステージ化)して本発明のプリプレグを製造する。以下、本発明のプリプレグについて詳述する。
本発明のプリプレグに用いられる基材として、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものが使用できる。その材質としては、例えば、Eガラス、Dガラス、Sガラス及びQガラス等の無機物繊維、ポリイミド、ポリエステル及びテトラフルオロエチレン等の有機繊維、並びにそれらの混合物などが挙げられる。
これらの基材は、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット及びサーフェシングマット等の形状を有するが、材質及び形状は、目的とする成形物の用途や性能により選択される。これらは、単独で用いても、2種以上の材質及び形状を組み合わせて用いてもよい。
基材の厚さは、特に制限されず、例えば、0.03〜0.5mmの厚さのものを使用することができる。また、シランカップリング剤等で表面処理したものや、機械的に開繊処理を施したものが、耐熱性や耐湿性、加工性の面から好適である。
該基材に対する樹脂組成物の付着量が、乾燥後のプリプレグの樹脂含有率で、20〜90質量%となるように、基材に含浸又は塗工した後、通常、100〜200℃の温度で1〜30分加熱乾燥し、半硬化(Bステージ化)させて、本発明のプリプレグを得ることができる。
本発明の積層板は、絶縁樹脂層が本発明のプリプレグを用いて形成されたものであり、前述のプリプレグを用いて、積層成形して、本発明の積層板を形成することができる。例えば、前述のプリプレグを、1〜20枚重ね、その片面又は両面に、銅及びアルミニウム等の金属箔を配置した構成で積層成形することにより積層板を製造することができる。金属箔は、電気絶縁材料用積層板で用いるものであれば特に制限されない。また、成形条件は、電気絶縁材料用積層板及び多層板の手法が適用でき、例えば、多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃、圧力0.2〜10MPa、加熱時間0.1〜5時間の範囲で成形することができる。また、本発明のプリプレグと内層用配線板とを組合せ、積層成形して、多層板を製造することもできる。
本発明のプリント配線板は、本発明の積層板における絶縁樹脂層の片面又は両面に配置された金属箔を回路加工して得られたものである。すなわち、本発明の積層板の導体層を通常のエッチング法によって配線加工し、前述のプリプレグを介して配線加工した積層板を複数積層し、加熱プレス加工することによって一括して多層化した後、ドリル加工又はレーザ加工によるスルーホール又はブラインドビアホールの形成と、メッキ又は導電性ペーストによる層間配線の形成を経て多層プリント配線板を製造することができる。
次に、下記の実施例により本発明を更に詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
なお、以下の実施例で得られた銅張積層板及び樹脂版は、以下の方法で性能を測定・評価した。
(1)ガラス転移温度(Tg)
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(ティー・エイ・インスツルメント社製、Q400)を用いて圧縮法で熱機械分析をおこなった。評価基板を前記装置にX方向に装着後、荷重5g、昇温速度10℃/分の測定条件にて連続して2回測定した。2回目の測定における熱膨張曲線の異なる接線の交点で示されるTgを求め、耐熱性を評価した。
(2)熱膨張率
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(ティー・エイ・インスツルメント社製、Q400)を用いて圧縮法で熱機械分析をおこなった。評価基板を前記装置にX方向に装着後、荷重5g、昇温速度10℃/分の測定条件にて連続して2回測定した。2回目の測定における30℃から100℃までの平均熱膨張率を算出し、これを熱膨張率の値とした。
(3)曲げ弾性率の測定
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた50mm×25mmの評価基板を作製し、株式会社オリエンテック製5トンテンシロンを用い、クロスヘッド速度1mm/min、スパン間距離20mmで測定した。
(4)銅箔接着性(銅箔ピール強度)
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより3mm幅の銅箔を形成して評価基板を作製し、引張り試験機を用いて銅箔の接着性(90°ピール強度)を測定した。
(5)耐デスミア性の評価
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた40mm×40mmの評価基板を、下記の表1に示す工程によりデスミア処理した。薬液はアトテック社製を用いた。耐デスミア性の評価は、デスミア処理前の乾燥重量に対するデスミア処理後の重量差から算出した。
Figure 0006322919
(6)樹脂板の硬化収縮率の測定
下記樹脂板を切り取り5mm角の樹脂板(厚み1mm)を作製し、TMA試験装置(ティー・エイ・インスツルメント社製、Q400)を用いて圧縮法で熱機械分析を行った。樹脂板を前記装置にZ方向に装着後、荷重5g、昇温速度45℃/分とし、20℃(5分保持)〜260℃(2分保持)〜20℃(5分保持)の温度プロファイルにて測定した。昇温開始前の20℃及び昇温後の20℃での寸法変化量から樹脂板の硬化収縮率(%)を評価した。
具体的には、以下の式を用いて、樹脂板の硬化収縮率を算出した。
[(昇温開始前20℃の寸法(mm)−昇温後20℃の寸法(mm))/昇温開始前20℃の寸法(mm)}×100
この際の昇温開始前20℃の寸法は5mmである。
実施例1〜10、比較例1〜4
以下に示す各成分を表2〜表4に示した配合割合(質量部)で混合し、溶媒にメチルエチルケトンを用いて樹脂分65質量%のワニスを作製した。次に、このワニスを厚さ0.1mmのEガラスクロスに含浸塗工し、160℃で10分加熱乾燥して樹脂含有量48質量%のプリプレグを得た。
このプリプレグを4枚重ね、12μmの電解銅箔を上下に配置し、圧力2.5MPa、温度240℃で60分間プレスを行って、銅張積層板を得た。
また、上記ワニスを、16μmのポリエチレンテレフタレート製フィルムに、乾燥後の樹脂厚が35μmとなるようにフィルムアプリケーター(テスター産業株式会社製、PI−1210)を用いて塗布し、160℃で10分加熱乾燥した。加熱乾燥後のワニスをフィルムから剥がし、乳鉢を用いて、粉砕して、半硬化物の樹脂粉末を得た。
この樹脂粉末をテフロン(登録商標)シートの型枠に投入し、12μmの電解銅箔の光沢面を上下に配置し、圧力2.0MPa、温度240℃で60分間プレスを行った後、電解銅箔を除去して樹脂板を得た。
得られた銅張積層板及び樹脂板の試験・評価した結果を表2〜表4に示す。
使用した各成分は次のとおりのものである。
第三級ホスフィンとキノン類との付加物(a)
(a−1)トリフェニルホスフィンとp−ベンゾキノンの付加物
(a−2)トリ−p−トリルホスフィンとp−ベンゾキノンの付加物
(a−3)トリ(n−ブチル)ホスフィンとp−ベンゾキノンの付加物
分子構造中に少なくとも2個の1級アミノ基を有するアミン化合物(b)
(b−1)両末端ジアミン変性シロキサン
〔信越化学工業株式会社製;商品名:X−22−161A〕
(b−2)両末端ジアミン変性シロキサン
〔信越化学工業株式会社製;商品名:X−22−161B〕
(b−3)3,3'−ジエチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン
〔日本化薬株式会社製;商品名:KAYAHARD A−A〕
(b−4)2,2'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
〔和歌山精化工業株式会社製;商品名:BAPP〕
酸性置換基を有するアミン化合物(c)
(c−1)芳香族アミン
〔関東化学株式会社製;p−アミノフェノール〕
(c−2)芳香族アミン
〔関東化学株式会社製;m−アミノフェノール〕
少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)
(d−1)ビス(4−マレイミドフェニル)メタン
〔ケイ・アイ化成株式会社製;商品名:BMI〕
(d−2)2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン
〔大和化成工業株式会社製;商品名:BMI−4000〕
製造例1: 化合物(X−1)
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、X−22−161A:99.2gと、3,3'−ジエチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン:54.4gと、p−アミノフェノール:4.8gと、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:125.3g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:250.0gを入れ、100℃で3時間反応させて、酸性置換基を有する化合物(X−1)含有溶液を得た。
製造例2: 化合物(X−2)
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器にX−22−161B:23.8gと、3,3'−ジエチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン:15.0gと、p−アミノフェノール:4.7gと、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン:123.2g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:250.0gを入れ、115℃で3時間反応させて、酸性置換基を有する化合物(X−2)含有溶液を得た。
熱硬化性樹脂(e)
(e−1)α−ナフトール/クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
〔日本化薬株式会社製;商品名:NC−7000L〕
(e−2)ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂
〔日本化薬株式会社製;商品名:NC−3000H〕
硬化促進剤(f)
(f−1)1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール
〔四国化成工業株式会社製;商品名:2MZ−CN〕
(f−2)2−フェニル−イミダゾール
〔四国化成工業株式会社製;商品名:2PZ〕
無機充填材:溶融シリカ(株式会社アドマテックス製:商品名:SC2050−KNK)
Figure 0006322919
Figure 0006322919
Figure 0006322919
表2〜表3から明らかなように、本発明の実施例は、ガラス転移温度(Tg)、低熱膨張性、及び低硬化収縮性に優れている。一方、表4から明らかなように、比較例は、実施例と比べ、ガラス転移温度(Tg)、低熱膨張性、及び低硬化収縮性が劣っている。従って、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、弾性率、銅箔接着性や耐デスミア性等の性能を維持したまま、ガラス転移温度(Tg)、低熱膨張性及び低硬化収縮性に優れた積層板が得られていることがわかる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、ガラス転移温度、低熱膨張性、及び低硬化収縮性に優れた積層板が得られることから、高密度化、高多層化されたプリント配線板を製造することができ、大量のデータを高速で処理するコンピュータや情報機器端末等の用いられる電子機器の配線板に好適に用いられる。

Claims (8)

  1. 第三級ホスフィンとキノン類との付加物(a)、分子構造中に少なくとも2個の1級アミノ基を有するアミン化合物(b)、酸性置換基を有するアミン化合物(c)及び分子構造中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)が配合されたものである熱硬化性樹脂組成物。
  2. 分子構造中に少なくとも2個の1級アミノ基を有するアミン化合物(b)、酸性置換基を有するアミン化合物(c)及び分子構造中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)、を反応させて得られる化合物(X)と、第三級ホスフィンとキノン類との付加物(a)とを含有する熱硬化性樹脂組成物。
  3. さらに、エポキシ樹脂及びシアネート樹脂から選ばれた少なくとも一種の熱硬化性樹脂(e)を含有する請求項1又は2の熱硬化性樹脂組成物。
  4. さらに、無機充填材を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 分子構造中に少なくとも2個の1級アミノ基を有するアミン化合物(b)が、末端にアミノ基を有する変性シロキサンを含有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を基材に含侵又は塗工し、得られるプリプレグ。
  7. 絶縁樹脂層が請求項6のプリプレグを用いて形成される積層板。
  8. 請求項7の積層板における絶縁樹脂層の片面又は両面に配置された金属箔を回路加工して得られるプリント配線板。
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