JP6065438B2 - プリプレグ、これを用いた積層板及び多層プリント配線板 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体パッケージやプリント配線板用に好適なプリプレグ、これを用いた積層板並びに多層プリント配線板に関する。
近年の電子機器の小型化・高性能化の流れに伴い、プリント配線板では配線密度の高度化、高集積化が進展し、これにともなって、配線用積層板の耐熱性の向上による信頼性向上への要求が強まっている。特に、半導体用パッケージ基板では、部品実装時やパッケージ組み立て時において、チップと基板との熱膨張率の差に起因したそりが大きな課題となっており、低熱膨張率化が求められている。
プリント配線板用積層板は、エポキシ樹脂等を主剤とした樹脂組成物をガラス織布に塗工してプリプレグを得、これを一枚以上積層し、銅箔を配置し、プレスによって熱硬化したものが一般的である。エポキシ樹脂は、一般に絶縁性や耐熱性、コスト等のバランスに優れるが、熱膨張率が大きいため、芳香環を有するエポキシ樹脂の選択やシリカ等の無機充填材を高充填化することで低熱膨張化を図っている(特許文献1及び2参照)。無機充填材を高い割合で充填することにより、さらなる低熱膨張率化を図ることも可能であるが、無機充填材の充填量を増やすことは吸湿による絶縁信頼性の低下や樹脂組成物層−配線層間の密着力の不足、プレス成形不良を起こすことが知られている。他にも、シリコーン重合体を用いることにより、無機充填材を均一に分散させ、高充填化する方法が知られている(特許文献3参照)。しかし、多層配線板における用途では、無機充填材の高充填化での低熱膨張率化には限界があった。
また、樹脂の選択或いは改良により、低熱膨張を達成することが試みられている。例えば、芳香環を有するエポキシ樹脂の公知例としては、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂を用いた硬化性樹脂組成物(特許文献4)がある。また、従来、配線板用の樹脂組成物の低熱膨張率化は特許文献5及び6に示すように架橋密度を高め、Tgを高くして熱膨張率を低減する方法が一般的である。しかしながら、架橋密度を高めることは官能基間の分子鎖を短くすることであり、一定以上分子鎖を短くすることは反応性や樹脂強度等の点で困難である。このため、架橋密度を高める手法での低熱膨張率化には限界があった。
また、上記低熱膨張率化を行った場合でも、製造過程における内部応力によって、はんだ実装時にはそりを生じ、接続不良となる場合があった。
特開平5−148343号公報 特許第2740990号公報 特許第2904311号公報 特許第4591801号公報 特開2000−243864号公報 特開2000−114727号公報
本発明は、従来の無機充填材の高充填化や低熱膨張率化に有効な樹脂の使用のみでは発現困難な、低熱膨張性、そり特性に優れるプリプレグ、これを用いた積層板及び多層プリント配線板を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、合成繊維基材及び特定の熱硬化性樹脂組成物の層を含んでなるプリプレグが、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
1.合成繊維基材(A)及び熱硬化性樹脂組成物の層を含んでなるプリプレグにおいて、熱硬化性樹脂組成物の層が、分子構造中に少なくとも2個の不飽和N−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(B)、下記一般式(1)に示すシロキサンジアミン(C)、及び下記一般式(2)に示す酸性置換基を有するアミン化合物(D)を含有することを特徴とするプリプレグ。
Figure 0006065438
[式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6はそれぞれ独立にアルキル基、フェニル基又は置換フェニル基を示し、R7及びR8はそれぞれ独立に2価の有機基を示し、m及びnはそれぞれ独立に1〜50の整数を示す。但し、m及びnは、1<m+n<50である。]
Figure 0006065438
[式(2)中、R9は複数ある場合は各々独立に、酸性置換基である水酸基、カルボキシル基又はスルホン酸基を示し、R10は複数ある場合は各々独立に水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子を示し、xは1〜5の整数、yは0〜4の整数で、x+y=5である。]
2.前記熱硬化性樹脂組成物が、さらに熱硬化性樹脂(E)を含有することを特徴とする上記1に記載のプリプレグ。
3.前記熱硬化性樹脂組成物が、上記1に記載の(B)、(C)及び(D)を反応させて得られる、分子構造中に酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミドを含有する上記1又は2に記載のプリプレグ。
4.前記熱硬化性樹脂組成物が、1分子中に少なくとも2個の1級アミノ基を有するアミン化合物(ただし、(C)の一般式(1)に示されるシロキサンジアミンを除く)(F)を含有することを特徴とする上記1又は2に記載のプリプレグ。
5.分子構造中に酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミドが、上記1に記載の(B)、(C)および(D)と共に、1分子中に少なくとも2個の1級アミノ基を有するアミン化合物(ただし、(B)の一般式(1)に示されるシロキサンジアミンを除く)(F)を反応させて得られるものである上記3に記載のプリプレグ。
6.前記合成繊維基材が、パラ系アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、PBO繊維、ポリアリレート繊維、メタ系アラミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリイミド繊維、及びフッ素繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載のプリプレグ。
7.前記合成繊維基材が、負の熱膨張係数を有することを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載のプリプレグ。
8.前記熱硬化性樹脂(E)が、分子構造中にエポキシ基またはシアネート基を有する樹脂である上記1〜7のいずれかに記載のプリプレグ。
9.前記熱硬化性樹脂組成物が、無機充填材(G)を含有する上記1〜8のいずれかに記載のプリプレグ。
10.上記1〜9のいずれかに記載のプリプレグを用いて積層成形した得られた積層板。
11.上記10記載の積層板を用いて製造された多層プリント配線板。
である。
本発明のプリプレグは、低熱膨張性、そり特性に優れ、これを用いた積層板及び多層プリント配線板は、高集積化された半導体パッケージや電子機器用プリント配線板として有用である。
本発明のプリプレグは、合成繊維基材(A)及び熱硬化性樹脂組成物の層を含んでなり、例えば、合成繊維基材に熱硬化性樹脂組成物を塗工して製造できる。
本発明の合成繊維基材(A)は、有機低分子を重合させてつくった高分子を原料とする化学繊維のことであり、特に制限されないが、例えば、パラ系アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、PBO繊維、ポリアリレート繊維、メタ系アラミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリイミド繊維、フッ素繊維等が挙げられる。
パラ系アラミド繊維は、ベンゼン環がパラ系(互いのベンゼン環がパラ位置(対角線状)に繋がる)に結合したアラミド繊維である。これらは市販品を用いることができ、例えば、「ケブラー」(東レ・デュポン(株)製)、「トワロン」、「テクノーラ」(以上、帝人テクノプロダクツ(株)製)などが挙げられる。
超高分子量ポリエチレン繊維は、非常に分子量が大きいポリエチレンポリマーを原料にした、高強度、高弾性率を有する繊維である。これらは市販品を用いることができ、例えば、「ダイマーニ」(東洋紡績(株)製)などが挙げられる。
PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサザール)繊維としては、市販品を用いることができ、例えば、「ザイロン」(東洋紡績(株)製)などが挙げられる。
ポリアリレート繊維は、ベンゼン環等で構成され、その結合部分がエステル結合からなる液晶高分子を原料とした繊維である。これらは市販品を用いることができ、例えば、「ベクトラン」(クラレ(株)製)、「ゼクシオン」(KBセーレン(株)製)などが挙げられる。
メタ系アラミド繊維は、互いのベンゼン環がメタ位置に結合したアラミド繊維である。これらは市販品を用いることができ、例えば、「コーネックス」(帝人テクノプロダクツ(株)製)などが挙げられる。
ポリフェニレンサルファイド繊維としては、市販品を用いることができ、例えば、「プロコン」(東洋紡績(株)製)、「トルコン」(東レ(株)製)などが挙げられる。
ポリイミド繊維としては、市販品を用いることができ、例えば、「P84」(東洋紡績(株)製)などが挙げられる。
フッ素繊維(四フッ化エチレン繊維)としては、市販品を用いることができ、例えば、「トヨフロン」、「テフロン」(以上、東レ(株)製)などが挙げられる。
これらの合成繊維の中で、高強度、高弾性率の点から、パラ系アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、PBO繊維、ポリアリレート繊維が好ましく、熱膨張係数が小さい点から、超高分子量ポリエチレン繊維、PBO繊維が特に好ましい。
これらの合成繊維基材は、例えば、織布、不織布等の形状を有するが、材質及び形状は、目的とする成形物の用途や性能により選択され、必要により、単独又は2種類以上の材質及び形状を組み合わせることができる。基材の厚さは、特に制限されず、例えば、約0.01〜1.0mmを使用することができ、シランカップリング剤等で表面処理したもの又は機械的に開繊処理を施したものが、耐熱性や耐湿性、加工性の面から好適である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、分子構造中に少なくとも2個の不飽和N−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(B)、下記一般式(1)に示すシロキサンジアミン(C)、及び下記一般式(2)に示す酸性置換基を有するアミン化合物(D)を含有するものである。
Figure 0006065438
[式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6はそれぞれ独立にアルキル基、フェニル基又は置換フェニル基を示し、R7及びR8はそれぞれ独立に2価の有機基を示し、m及びnはそれぞれ独立に1〜50の整数を示す。但し、m及びnは、1<m+n<50である。]
Figure 0006065438
[式(2)中、R9は複数ある場合は各々独立に、酸性置換基である水酸基、カルボキシル基又はスルホン酸基を示し、R10は複数ある場合は各々独立に水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子を示し、xは1〜5の整数、yは0〜4の整数で、x+y=5である。]
分子構造中に少なくとも2個の不飽和N−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(B)としは、例えば、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ポリフェニルメタンマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン等が挙げられ、1種を単独で又は2種以上を混合して使用できる。
これらの中で、反応率が高く、より高耐熱性化できるビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンが好ましく、溶剤への溶解性の点から、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンがより好ましく、安価である点からビス(4−マレイミドフェニル)メタンが特に好ましい。
一般式(1)に示すシロキサンジアミン(C)としては、市販品を用いることができ、例えば、「KF−8010」(アミン当量430)、「X−22−161A」(アミン当量800)、「X−22−161B」(アミン当量1500)、「KF−8012」(アミン当量2200)、「KF−8008」(アミン当量5700)、「X−22−9409」(アミン当量700)、「X−22−1660B−3」(アミン当量2200)(以上、信越化学工業(株)製)、「BY−16−853U」(アミン当量460)、「BY−16−853」(アミン当量650)、「BY−16−853B」(アミン当量2200)(以上、東レダウコーニング(株)製)等が挙げられ、これらは単独で、あるいは2種類以上を混合して用いてもよい。
これらのシロキサンジアミンの中で低吸水率の点からX−22−161A、X−22−161B、KF−8012、KF−8008、及びX−22−1660B−3が好ましく、低熱膨張性の点からX−22−161A、X−22−161B、及びKF−8012が特に好ましい。
一般式(2)に示す酸性置換基を有するアミン化合物(D)としては、例えば、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、o−アミノ安息香酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、p−アミノベンゼンスルホン酸、3,5−ジヒドロキシアニリン、3,5−ジカルボキシアニリン等が挙げられ、これらの中で、溶解性や合成の収率の点からm−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、及び3,5−ジヒドロキシアニリンが好ましく、耐熱性の点からm−アミノフェノール及びp−アミノフェノールがより好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記の(B)、(C)及び(D)を含有するものであるが、(B)、(C)及び(D)をプレ反応させて得られる、酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミドとしても使用することができる。このようなプレ反応を行うことにより、分子量を制御することができ、更なる低熱膨張率化及び耐デスミア性向上を行うことができる。
これらのプレ反応は有機溶媒中で、加熱保温しながら行い、酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミドを合成することが好ましい。
上記の(B)、(C)及び(D)成分を有機溶媒中で反応させる際、反応温度は70〜150℃であることが好ましく、100〜130℃であることがさらに好ましい。反応時間は0.1〜10時間であることが好ましく、1〜6時間であることがさらに好ましい。
ここで、(C)のシロキサンジアミンと(D)の酸性置換基を有するアミン化合物の使用量は、−NH2基当量の総和と、(B)のマレイミド環のC=C基当量との関係が、以下の関係となるように調整されることが好ましい。
0.1≦〔C=C基当量〕/〔−NH2基当量の総和〕≦10.0
該当量比を0.1以上とすることによりゲル化及び耐熱性が低下することがなく、又、10.0以下とすることにより有機溶剤への溶解性、耐熱性が低下することがない。
以上の観点より、該当量比は
1.0≦〔C=C基当量〕/〔−NH2基当量の総和〕≦9.0、
であることが好ましく、
2.0≦〔C=C基当量〕/〔−NH2基当量の総和〕≦8.0
の範囲であることがさらに好ましい。
上記のような関係を維持しつつ、(B)成分の使用量は、(C)成分100質量部に対して50〜3000質量部が好ましく、100〜1500質量部がより好ましい。50質量部以上とすることにより耐熱性が低下することがなく、また、3000質量部以下とすることにより低熱膨張性を良好に保つことができる。
また、(D)成分の使用量は、(C)成分100質量部に対して1〜1000質量部が好ましく、10〜500質量部がより好ましい。1質量部以上とすることにより耐熱性が低下することがなく、また、1000質量部以下とすることにより低熱膨張性を良好に保つことができる。
この反応で使用される有機溶剤は特に制限されないが、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチルエステルやγ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の窒素原子含有溶剤;ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶剤等が挙げられ、1種を単独で又は2種以上を混合して使用できる。
これらの有機溶剤の中で、溶解性の点からシクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、及びγ−ブチロラクトンが好ましく、低毒性であることや揮発性が高く残溶剤として残りにくい点から、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びジメチルアセトアミドが特に好ましい。
有機溶剤の使用量は、(B)、(C)及び(D)成分の総和100質量部当たり、25〜1000質量部とすることが好ましく、50〜500質量部とすることがより好ましい。有機溶剤の使用量を25〜1000質量部とすると、溶解性の不足や、合成に長時間を要するなどのデメリットがない。
また、この反応には任意に反応触媒を使用することができ、特に限定されない。反応触媒の例としては、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン等のアミン類;メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;トリフェニルホスフィン等のリン系触媒等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を混合して使用できる。
さらに、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記の(B)、(C)及び(D)と共に、1分子中に少なくとも2個の1級アミノ基を有するアミン化合物(F)も含有することができる。
(F)成分のアミン化合物としては、(C)の一般式(1)に示されるシロキサンジアミン以外のものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,6−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノメシチレン、m−キシレン−2,5−ジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ビス(アミノ−t−ブチル)トルエン、2,4−ジアミノキシレン、2,4−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノデュレン、4,5−ジアミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、3−ビス(3−アミノベンジル)ベンゼン、4−ビス(4−アミノベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、4−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、3−ビス(3−(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、4−ビス(4−(4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、3−ビス(α,α−ジメチル−3−アミノベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(α,α−ジメチル−3−アミノベンジル)ベンゼン、3−ビス(α,α−ジメチル−4−アミノベンジル)ベンゼン、ビス(4−メチルアミノペンチル)ベンゼン、p−ビス(2−メチル−4−アミノペンチル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、ビス[(4−アミノフェニル)−2−プロピル]1,4−ベンゼン、2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’、5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル、5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、3,3’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、2,2’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3−(2’,4’−ジアミノフェノキシ)プロパンスルホン酸、ビス(4−アミノフェニル)ジエチルシラン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノ−t−ブチルフェニル)エ−テル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル−2,2’−ジスルホン酸、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ベンジジン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル−6,6’−ジスルホン酸、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノ−3,3’−ビフェニルジオール、1,5−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン−2,7−ジスルホン酸、9,9’−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)フルオレン、ジアミノアントラキノン、3,7−ジアミノ−2,8−ジメチルジベンゾチオフェンスルホン等の芳香族アミン類、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、2,5−ジアミノ−1,3,4−オキサジアゾ−ル、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン等の脂肪族アミン類、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−アリル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−アクリロイルオキシエチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジン等のグアナミン化合物類が挙げられる。
(F)成分のアミン化合物(ただし、(C)の一般式(1)に示されるシロキサンジアミンを除く)として、これらの中で、良好な反応性や耐熱性を有する芳香族アミン類であるm−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ベンジジン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノ−3,3’−ビフェニルジオール及びグアナミン化合物類であるベンゾグアナミンが好ましく、安価である点からp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンゾグアナミンがより好ましく、毒性や溶媒への溶解性の点から3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンが特に好ましい。これらは単独で、または2種類以上混合して用いることもできる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記の(B)、(C)及び(D)を含有するものであるが、(B)、(C)、(D)及び(F)をプレ反応させて得られる、酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミドとしても使用することができる。このようなプレ反応を行うことにより、分子量を制御することができ、更なる低熱膨張率化および耐デスミア性向上を行うことができる。
これらの反応は有機溶剤中で、加熱保温しながら行い、酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミドを合成することが好ましい。
上記の(B)、(C)、(D)及び(F)成分を有機溶剤中で反応させる際、反応温度は70〜150℃であることが好ましく、100〜130℃であることがさらに好ましい。反応時間は0.1〜10時間であることが好ましく、1〜6時間であることがさらに好ましい。
ここで、(C)のシロキサンジアミンと、(D)の酸性置換基を有するアミン化合物と、(F)の1分子中に少なくとも2個の1級アミノ基を有するアミン化合物(ただし、(C)の一般式(1)に示されるシロキサンジアミンを除く)との使用量は、−NH2基当量の総和と、(B)のマレイミド環のC=C基当量との関係が、以下の関係となるように調整されることが好ましい。
0.1≦〔C=C基当量〕/〔−NH2基当量の総和〕≦10.0
該当量比を0.1以上とすることによりゲル化及び耐熱性が低下することがなく、又、10.0以下とすることにより有機溶剤への溶解性、耐熱性が低下することがない。
以上の観点より、該当量比は
1.0≦〔C=C基当量〕/〔−NH2基当量の総和〕≦9.0、
であることが好ましく、
2.0≦〔C=C基当量〕/〔−NH2基当量の総和〕≦8.0
の範囲であることがさらに好ましい。
(F)成分の使用量は、上記関係を維持しつつ、(C)成分100質量部に対して50〜3000質量部が好ましく、100〜1500質量部がより好ましい。50質量部以上とすることにより耐熱性が低下することがなく、又、3000質量部以下とすることにより低熱膨張性を良好に保つことができる。
(B)、(C)、(D)及び(F)成分を反応させる際には、前記の(B)、(C)及び(D)成分を反応させる場合と同様の有機溶媒や反応触媒が使用される。
有機溶媒の使用量は、(B)、(C)、(D)及び(F)の総和100質量部当たり、25〜1000質量部とすることが好ましく、50〜500質量部とすることがより好ましい。有機溶剤の使用量が25〜1000質量部とすると、溶解性の不足や、合成に長時間を要するなどのデメリットがなくて好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、単独で良好な熱硬化反応性を有するが、必要により、他の熱硬化性樹脂(E)と併用することで、耐熱性や接着性、機械強度を向上させることができる。
併用する熱硬化性樹脂(E)は、特に制限されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和イミド樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、シリコーン樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられ、これらは単独で、あるいは2種類以上を混合して使用してもよい。これらの中で、成形性や電気絶縁性の点からエポキシ樹脂及びシアネート樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有エポキシ樹脂、トリフェノールフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能フェノール類及びアントラセン等の多環芳香族類のジグリシジルエーテル化合物およびこれらにリン化合物を導入したリン含有エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独で、あるいは2種類以上を混合して使用してもよい。これらの中で、耐熱性、難燃性の点からビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂が好ましい。
また、シアネート樹脂としては、例えば、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂などのビスフェノール型シアネート樹脂およびこれらが一部トリアジン化したプレポリマーなどを挙げることができ、これらは単独で、あるいは2種類以上を混合して使用してもよい。これらの中で耐熱性、難燃性の点からノボラック型シアネート樹脂が好ましい。
熱硬化性樹脂(E)の使用量としては、樹脂成分の総和に対して、銅箔接着性、耐薬品性の点で20〜50質量%とすることが好ましい。
また、これらの熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じて硬化剤や硬化促進剤を併用することができる。硬化剤の例としては、例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、アミノトリアジンノボラック樹脂等の多官能フェノール化合物;ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等のアミン化合物;無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、無水マレイン酸共重合体等の酸無水物等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用できる。
また、硬化促進剤の例としては、例えば、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)等の有機金属塩、イミダゾール類及びその誘導体、ホスフィン類及びホスホニウム塩等の有機リン系化合物、第二級アミン類、第三級アミン類、及び第四級アンモニウム塩等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用できる。
その中でもイミダゾール類及びその誘導体、ホスフィン類及びホスホニウム塩等の有機リン系化合物が耐熱性や難燃性、銅箔接着性等の点から好ましく、さらに下記一般式(3)で表される、イミダゾール基がエポキシ樹脂によって変性された変性イミダゾール化合物や、下記一般式(4)で表される、イミダゾール基がイソシアネート樹脂によって変性された変性イミダゾール化合物が200℃以下での比較的低温での硬化成形性とワニスやプリプレグの経日安定性に優れるためより好ましい。
Figure 0006065438
[式(3)中、R11、R12、R13、R14は各々独立に水素原子、又は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、フェニル基を示し、Bは存在しないか、又はアルキレン基、アルキリデン基、エーテル基、スルフォニル基のいずれかである]
Figure 0006065438
[式(4)中、R15、R16、R17、R18は各々独立に水素原子、又は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、フェニル基を示し、Dはアルキレン基または芳香族炭化水素基のイソシアネート樹脂の残基である]
特に、下記一般式(5)又は(6)で表される化合物が少量の配合使用でよく、また商業的にも安価であることから特に好ましい。
Figure 0006065438
Figure 0006065438
硬化促進剤の使用量は、樹脂成分の総和100質量部当たり、0.1質量部〜10質量部とすることが好ましく、0.1質量部〜5質量部とすることがより好ましく、0.1質量部〜1質量部とすることが特に好ましい。硬化促進剤の使用量が少ないと耐熱性や難燃性、銅箔接着性等が不足し、また10質量部を超える場合も耐熱性、経日安定性及びプレス成形性が低下する場合がある。
本発明の熱硬化性樹脂組成物においては、酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミドの使用量は樹脂成分の総和に対して、20〜100質量%とすることが好ましく、50〜90質量%とすることがより好ましい。酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミドの配合量を20質量%以上とすることにより優れた耐熱性、低吸水性、低熱膨張性が得られる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、任意に無機充填材剤(G)を併用することができる。無機充填材としては、シリカ、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、EガラスやTガラス、Dガラス等のガラス粉や中空ガラスビーズ等が挙げられ、これらは単独で、あるいは2種類以上を混合して使用してもよい。
これらの無機充填剤中で、誘電特性、耐熱性、低熱膨張性の点からシリカが特に好ましい。シリカとしては、例えば、湿式法で製造され含水率の高い沈降シリカと、乾式法で製造され結合水等をほとんど含まない乾式法シリカが挙げられ、乾式法シリカとしてはさらに、製造法の違いにより破砕シリカ、フュームドシリカ、溶融球状シリカが挙げられる。これらの中で、低熱膨張性及び樹脂に充填した際の高流動性から溶融球状シリカが好ましい。
無機充填剤として溶融球状シリカを用いる場合、その平均粒子径は0.1〜10μmであることが好ましく、0.3〜8μmであることがより好ましい。該溶融球状シリカの平均粒子径を0.1μm以上にすることで、樹脂に高充填した際の流動性を良好に保つことができ、さらに10μm以下にすることで、粗大粒子の混入確率を減らし粗大粒子起因の不良の発生を抑えることができる。ここで、平均粒子径とは、粒子の全体積を100%として粒子径による累積度数分布曲線を求めた時、ちょうど体積50%に相当する点の粒子径のことであり、レーザ回折散乱法を用いた粒度分布測定装置等で測定することができる。
無機充填剤の含有量は、樹脂成分の総和100質量部に対して20〜300質量部であることが好ましく、50〜200質量部であることがより好ましい。無機充填材の含有量を樹脂成分の総和100質量部に対して20〜300質量部にすることで、樹脂組成物の成形性と低熱膨張性を良好に保つことができる。
本発明では、その目的に反しない範囲内で、任意に公知の熱可塑性樹脂、エラストマー、有機充填剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤及び接着性向上剤等を使用できる。
熱可塑性樹脂としては、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂及びシリコーン樹脂等が挙げられる。
エラストマーとしては、ポリブタジエン、ポリアクリロニトリル、エポキシ変性ポリブタジエン、エポキシ変性スチレン−ブタジエン、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、フェノール変性ポリブタジエン及びカルボキシ変性ポリアクリロニトリル等が挙げられる。
有機充填剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、シリコーン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂等よりなる均一構造の樹脂フィラー、アクリル酸エステル系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、共役ジエン系樹脂等よりなるゴム状態のコア層と、アクリル酸エステル系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、芳香族ビニル系樹脂、シアン化ビニル系樹脂等よりなるガラス状態のシェル層を持つコアシェル構造の樹脂フィラーが挙げられる。
難燃剤としては、臭素や塩素を含有する含ハロゲン系難燃剤、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、リン酸エステル系化合物、赤リン等のリン系難燃剤、スルファミン酸グアニジン、硫酸メラミン、ポリリン酸メラミン、メラミンシアヌレート等の窒素系難燃剤、シクロホスファゼン、ポリホスファゼン等のホスファゼン系難燃剤、三酸化アンチモン等の無機系難燃剤が挙げられる。
その他、紫外線吸収剤の例としてはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、酸化防止剤の例としてはヒンダードフェノール系やヒンダードアミン系酸化防止剤、光重合開始剤の例としてはベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、チオキサントン系の光重合開始剤、蛍光増白剤の例としてはスチルベン誘導体の蛍光増白剤、接着性向上剤の例としては尿素シラン等の尿素化合物やシラン系、チタネート系、アルミネート系等のカップリング剤が挙げられる。
本発明のプリプレグは、前記した本発明の熱硬化性樹脂組成物を、合成繊維基材に含浸又は吹付け、押出し等の方法で塗工してなるものである。この際には、熱硬化性樹脂組成物の各成分が有機溶剤中に溶解もしくは分散されたワニスの状態として、基材に塗工することが好ましい。
この際用いる有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の窒素原子含有溶剤;ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶剤が挙げられ、1種を単独で又は2種以上を混合して使用できる。これらの中で、低毒性、溶解性の点からメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましく、揮発性が高くプリプレグの製造時に残溶剤として残りにくい点からメチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルがより好ましい。
本発明のプリプレグは、上述のワニスを合成繊維基材に塗工した後、加熱等により半硬化(Bステージ化)することで製造することができる。
より具体的には、合成繊維基材に対する樹脂組成物の付着量が、乾燥後のプリプレグの樹脂含有率で、20〜90質量%となるように、合成繊維基材に塗工した後、通常、100〜200℃の温度で1〜30分加熱乾燥し、半硬化(Bステージ化)させて、本発明のプリプレグを得ることができる。
本発明における積層板は、前述の本発明のプリプレグを用いて、積層成形して、形成することができる。本発明のプリプレグを例えば1〜20枚重ね、その片面又は両面に銅及びアルミニウム等の金属箔を配置した構成で積層成形することにより製造することができる。金属箔は、電気絶縁材料用途で用いるものであれば特に制限されない。また、成形条件は、例えば、電気絶縁材料用積層板及び多層板の手法が適用でき、より具体的には、多段プレス、多段真空プレス、連続成形機、オートクレーブ成形機を使用し、温度100〜250℃、圧力2〜100kgf/cm2、加熱時間0.1〜5時間の範囲で成形することができる。
本発明におけるプリント配線板は、前記積層板の表面に回路を形成して製造される。すなわち、本発明に係る積層板の導体層を通常のエッチング法によって配線加工し、前述のプリプレグを介して配線加工した積層板を複数積層し、加熱プレス加工することによって一括して多層化する。その後、ドリル加工又はレーザ加工によるスルーホール又はブラインドビアホールの形成と、メッキ又は導電性ペーストによる層間配線の形成を経て多層プリント配線板を製造することができる。
次に、下記の実施例により本発明について更に詳しく説明するが、これらの実施例は本発明をいかなる意味においても制限するものではない。
なお、各実施例および比較例で得られた積層板を用いて、ガラス転移温度、熱膨張率、銅付きはんだ耐熱性、そり特性について以下の方法で測定し、評価した。
(1)ガラス転移温度(Tg)の測定
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(TAインスツルメント社製、Q400)を用いて圧縮法で熱機械分析をおこなった。評価基板を前記装置にZ方向に装着後、荷重5g、昇温速度10℃/分の測定条件にて連続して2回測定した。2回目の測定における熱膨張曲線の異なる接線の交点で示されるTgを求め、耐熱性を評価した。
(2)熱膨張率の測定
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(TAインスツルメント社製、Q400)を用いて圧縮法で熱機械分析をおこなった。評価基板を前記装置にX方向に装着後、荷重5g、昇温速度10℃/分の測定条件にて連続して2回測定した。2回目の測定における30℃から100℃までの平均熱膨張率を算出し、これを熱膨張率の値とした。これは、精度を向上させるため、2回目の測定結果を用いたものである。
(3)銅付きはんだ耐熱性の評価
銅張積層板から25mm角の評価基板を作製し、温度288℃のはんだ浴に、120分間評価基板をフロートし、外観を観察することにより銅付きはんだ耐熱性を評価した。
(4)そり量の評価
AKROMETRIX社製、サーモレイPS200シャドーモアレ分析を用いて、基板のそり量を評価した。基板のサンプルサイズは40mm×40mmとし、測定エリアは36mm×36mmとした。室温から260℃まで加熱し、その後50℃まで冷却した時のそり量を測定した。
実施例1〜18及び比較例1〜6
以下に示す各成分を第1表〜第4表に示した配合割合(質量部)で混合し、溶媒にメチルエチルケトンを用いて樹脂分65質量%の均一なワニスを作製した。次に、このワニスを用いて、以下に示す厚さ0.05mmの合成繊維基材及びEガラスクロスに含浸塗工し、160℃で10分加熱乾燥して、プレス成形後厚みが0.06mmとなる樹脂分のプリプレグを得た。
このプリプレグを2枚重ね、12μmの電解銅箔を上下に配置し、圧力2.5MPa、温度240℃で60分間プレスを行って、銅張積層板を得た。得られた銅張積層板の試験・評価した結果を第1表〜第4表に示す。
(A)合成繊維基材
・テクノーラ〔帝人テクノプロダクツ(株)製〕
・ベクトラン〔クラレ(株)製〕
・ゼクシオン〔KBセーレン(株)製〕
・ザイロン〔東洋紡績(株)製〕
・ダイマーニ:〔東洋紡績(株)製〕
(B)マレイミド化合物
・BMI:ビス(4−マレイミドフェニル)メタン〔ケイ・アイ化成(株)製;商品名〕
・BMI−4000:2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン〔大和化成工業(株)製;商品名〕
(C)シロキサンジアミン
・X−22−161A〔信越化学工業(株)製;商品名〕
・X−22−161B〔信越化学工業(株)製;商品名〕
・KF−8012〔信越化学工業(株)製;商品名〕
(D)アミン化合物
・p−アミノフェノール〔関東化学(株)製〕
(E)熱硬化性樹脂
・PT−30:ノボラック型シアネート樹脂〔ロンザジャパン(株)製、商品名〕、
・NC−7000L、α−ナフトール/クレゾールノボラック型エポキシ樹脂〔日本化薬(株)製、商品名:〕、
(F)ジアミン化合物(上記(C)を除く)
・KAYAHARD A−A:3,3‘−ジエチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン〔日本化薬(株)製、商品名:〕
・BAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン〔和歌山精化工業(株)製、商品名:〕
(G)無機充填剤
・SC2050−KNK:溶融シリカ〔アドマテック(株)製、商品名:〕、
(シロキサン変性ポリイミド)
製造実施例1:シロキサン変性ポリイミド(1−1)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、X−22−161A:75.7gと、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:168.0gと、p−アミノフェノール:6.4g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:250.0gを入れ、115℃で4時間反応させて、酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミド(1−1)含有溶液を得た。
製造実施例2:シロキサン変性ポリイミド(1−2)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、X−22−161B:75.7gと、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:168.0gと、p−アミノフェノール:6.4g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:250.0gを入れ、115℃で5時間反応させて、酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミド(1−2)含有溶液を得た。
製造実施例3:シロキサン変性ポリイミド(1−3)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、X−22−161B:82.8gと、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン:162.1gと、p−アミノフェノール:5.1g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:250.0gを入れ、115℃で4時間反応させて、酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミド(1−3)含有溶液を得た。
製造実施例4:シロキサン変性ポリイミド(1−4)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、X−22−161B:88.0gと、3,3'−ジエチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン:14.0gと、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:143.0gと、p−アミノフェノール:5.5g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:250.0gを入れ、115℃で4時間反応させて、酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミド(1−5)含有溶液を得た。
製造実施例5:変性シリコーン化合物(1−5)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、KF−8012:88.0gと、3,3'−ジエチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン:14.0gと、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン:143.0gと、p−アミノフェノール:5.5g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:250.0gを入れ、115℃で6時間反応させて、酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミド(1−6)含有溶液を得た。
(硬化促進剤)
・ナフテン酸亜鉛(II):ナフテン酸亜鉛8%ミネラルスピリット溶液〔東京化成(株)製〕
・G−8009L:イソシアネートマスクイミダゾール〔第一工業製薬(株)製、商品名:〕、
・TPP−S:トリフェニルホスフィントリフェニルボラン〔北興化学(株)製、商品名:〕
(ガラスクロス基材)
・Eガラス:〔日東紡績(株)製〕
Figure 0006065438
Figure 0006065438
Figure 0006065438
Figure 0006065438
第1表〜第4表から明らかなように、本発明の実施例では、比較例と比較し、熱膨張率、そり特性に優れている。
本発明のプリプレグを積層成形することにより製造した積層板、及び該積層板を用いて製造されてなる多層プリント配線板は、ガラス転移温度、熱膨張率、はんだ耐熱性、そり特性に優れ、電子機器用プリント配線板として有用である。

Claims (11)

  1. 合成繊維基材(A)及び熱硬化性樹脂組成物の層を含んでなるプリプレグにおいて、熱硬化性樹脂組成物の層が、分子構造中に少なくとも2個の不飽和N−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(B)、下記一般式(1)に示すシロキサンジアミン(C)、及び下記一般式(2)に示す酸性置換基を有するアミン化合物(D)を含有することを特徴とするプリプレグ。
    Figure 0006065438

    [式(1)中、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基、フェニル基又は置換フェニル基を示し、R及びRはそれぞれ独立に2価の有機基を示し、m及びnはそれぞれ独立に1〜50の整数を示す。但し、m及びnは、1<m+n<50である。]
    Figure 0006065438

    [式(2)中、Rは複数ある場合は各々独立に、酸性置換基である水酸基、カルボキシル基又はスルホン酸基を示し、R10は複数ある場合は各々独立に水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子を示し、xは1〜5の整数、yは0〜4の整数で、x+y=5である。]
  2. 前記熱硬化性樹脂組成物が、さらに熱硬化性樹脂(E)を含有することを特徴とする請求項1に記載のプリプレグ。
  3. 前記熱硬化性樹脂(E)が、分子構造中にエポキシ基又はシアネート基を有する樹脂である請求項2に記載のプリプレグ。
  4. 前記熱硬化性樹脂組成物が、請求項1に記載の(B)、(C)及び(D)を反応させて得られる、分子構造中に酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミドを含有する請求項1〜3のいずれかに記載のプリプレグ。
  5. 前記熱硬化性樹脂組成物が、1分子中に少なくとも2個の1級アミノ基を有するアミン化合物(ただし、(C)の一般式(1)に示されるシロキサンジアミンを除く)(F)を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプリプレグ。
  6. 分子構造中に酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミドが、請求項1に記載の(B)、(C)及び(D)と共に、1分子中に少なくとも2個の1級アミノ基を有するアミン化合物(ただし、(C)の一般式(1)に示されるシロキサンジアミンを除く)(F)を反応させて得られるものである請求項に記載のプリプレグ。
  7. 前記合成繊維基材が、パラ系アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、PBO繊維、ポリアリレート繊維、メタ系アラミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリイミド繊維、及びフッ素繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のプリプレグ。
  8. 前記合成繊維基材が、負の熱膨張係数を有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のプリプレグ。
  9. 前記熱硬化性樹脂組成物が、無機充填材(G)を含有する請求項1〜8のいずれかに記載のプリプレグ。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のプリプレグを用いて積層成形した得られた積層板。
  11. 請求項10記載の積層板を用いて製造された多層プリント配線板。
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