JP6152246B2 - プリント配線板用プリプレグ、積層板及びプリント配線板 - Google Patents
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Description
エポキシ樹脂は、絶縁性や耐熱性、コスト等のバランスに優れるが、近年のプリント配線板の高密度実装、高多層化構成にともなう耐熱性向上への要求に対応するには、どうしてもその耐熱性の向上には限界がある。
また、熱膨張率が大きいため、芳香環を有するエポキシ樹脂の選択やシリカ等の無機充填材を高充填化することで低熱膨張化を図っている(例えば、特許文献1参照)。しかし、充填量を増やすことは吸湿による絶縁信頼性の低下や樹脂−配線層の密着不足、プレス成形不良を起こすことが知られている。
低熱膨張係数のガラスクロス(Sガラス、Dガラスなど)を用いた場合は、ガラスクロスが硬いためドリル加工性が悪く、加工時に樹脂とガラスクロスの界面に発生したクラックの影響により、絶縁信頼性が大幅に低下するという問題がある。そのため、低熱膨張係数のガラスクロスを用いた場合でも、絶縁信頼性が確保できるガラスクロスの処理剤が必須となっている。
1.1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(a)と、1分子中に少なくとも2個の1級アミノ基を有するアミン化合物(b)を有機溶媒中で反応させて製造される不飽和マレイミド基を有する樹脂(A)と熱硬化性樹脂(B)を含有する熱硬化性樹脂組成物を、下記一般式(I)で表されるフェニルアミノシラン処理剤で処理された熱膨張係数が5ppm/℃以下のガラスクロスに含浸し、加熱乾燥してBステージ化して得られたものであることを特徴とするプリント配線板用プリプレグ。
4.熱硬化性樹脂組成物に、さらに、難燃剤(E)を含有する上記1〜3いずれかのプリント配線板用プリプレグ。
5.熱硬化性樹脂(B)がエポキシ樹脂及び/又はシアネート樹脂である上記1〜4いずれかのプリント配線板用プリプレグ。
6.絶縁樹脂層が上記1〜5のいずれかのプリント配線板用プリプレグを用いて成形されたものであることを特徴とする積層板。
7.上記6の積層板における絶縁樹脂層の片面又は両面に配置された金属箔を回路加工して得られたものであることを特徴とするプリント配線板。
先ず、本発明は、1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(a)と、1分子中に少なくとも2個の1級アミノ基を有するアミン化合物(b)を有機溶媒中で反応させて製造される不飽和マレイミド基を有する樹脂(A)と熱硬化性樹脂(B)を含有する熱硬化性樹脂組成物を、下記一般式(I)で表されるフェニルアミノシラン処理剤で処理された熱膨張係数が5ppm/℃以下のガラスクロスに含浸し、加熱乾燥してBステージ化して得られたプリント配線板用プリプレグを提供する。
これら有機溶媒は1種又は2種以上を混合して使用できる。これらの中で、溶解性の点からシクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、γ−ブチロラクトンが好ましく、低毒性であることや揮発性が高く残溶剤として残りにくい点から、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルアセトアミドが特に好ましい。
また、有機溶媒の使用量は、マレイミド化合物(a)とアミン化合物(b)の合計量100質量部当たり、10〜1000質量部とすることが好ましく、100〜500質量部とすることがより好ましく、200〜500質量部とすることが特に好ましい。有機溶剤の使用量は溶解性の観点から10質量部以上とし、反応時間の観点から1000質量部以下とする。
この反応には任意に反応触媒を使用することができ、特に限定されないが、反応触媒の例としては、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン等のアミン類、メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等のリン系触媒等が挙げられ、1種又は、2種以上を混合して使用できる。
硬化剤としては、例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、アミノトリアジンノボラック樹脂等の多官能フェノール化合物、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン等のアミン化合物、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、無水マレイン酸共重合体等の酸無水物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して使用できる。
酸性置換基を有するアミン化合物(C)を含有させる場合、不飽和マレイミド基を有する樹脂(A)と酸性置換基を有するアミン化合物(C)は、配合前に有機溶媒中で反応させておくことが好ましい。
この反応には任意に反応触媒を使用することができ、特に限定されない。反応触媒の例としては、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン等のアミン類、メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等のリン系触媒等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。
無機充填材(D)としては、シリカ、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、EガラスやTガラス、Dガラス等のガラス粉や中空ガラスビーズ等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して使用できる。
これらの中で、誘電特性、耐熱性、低熱膨張性の点からシリカが特に好ましい。シリカとしては、例えば、湿式法で製造され含水率の高い沈降シリカと、乾式法で製造され結合水等をほとんど含まない乾式法シリカが挙げられ、乾式法シリカとしてはさらに、製造法の違いにより破砕シリカ、フュームドシリカ、溶融球状シリカが挙げられる。これらの中で、低熱膨張性及び樹脂に充填した際の高流動性から溶融球状シリカが好ましい。
また,無機充填材(D)の中で,水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム等は難燃剤として作用する。これら難燃性の無機充填剤を併用することが好ましい。
難燃剤としては、無機充填材(D)に挙げた水酸化アルミニウムやベーマイト,水酸化マグネシウム以外では、臭素や塩素を含有する含ハロゲン系難燃剤、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、リン酸エステル系化合物、赤リン等のリン系難燃剤、スルファミン酸グアニジン、硫酸メラミン、ポリリン酸メラミン、メラミンシアヌレート等の窒素系難燃剤、シクロホスファゼン、ポリホスファゼン等のホスファゼン系難燃剤、三酸化アンチモン等の無機系難燃剤が挙げられる。
この際用いる有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の窒素原子含有溶媒、ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶媒等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。
これらの中で、溶解性の点からメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましく、低毒性である点からメチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルがより好ましい。
また、配合時、無機充填材をシラン系、チタネート系等のカップリング剤、シリコーンオリゴマー等の表面処理剤で前処理、あるいはインテグラルブレンド処理することも好ましい。
最終的に得られるワニス中の樹脂組成物は、ワニス全体の40〜90質量%であることが好ましく、50〜80質量%であることがより好ましい。ワニス中の樹脂組成物の含有量を40〜90質量%にすることで、塗工性を良好に保ち、適切な樹脂組成物付着量のプリプレグを得ることができる。
ガラスクロスの種類は、熱膨張係数が5ppm/℃以下であれば特に限定されないが、例えばSガラス(熱膨張係数:2.4ppm/℃、組成 SiO2:62〜65%、Al2O3:20〜25%、MgO:10〜15%、R2O,B2O3:0〜1%)、Dガラス(熱膨張係数:3.1ppm/℃、組成 SiO2:75〜76%,Al2O3:20〜25%、B2O3:19〜20%、R2O:<3%、Al2O3,CaO,MgO:<1%)、Qガラス(熱膨張係数:0.5ppm/℃、組成 SiO2:99.9%)などが挙げられる。
金属箔は、電気絶縁材料用積層板に用いるものであれば特に制限されない。また、成形条件は、例えば、電気絶縁材料用積層板及び多層板の手法が適用でき、例えば多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃、圧力0.2〜10MPa、加熱時間0.1〜5時間の範囲で成形することができる。また、本発明のプリプレグと内層用配線板とを組合せ、積層成形して、多層板を製造することもできる。
なお、各実施例および比較例で得られた銅張積層板は、以下の方法で性能を測定・評価した。
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用い、評価基板のX方向のTg未満の熱膨張係数を測定した。
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5cm角の評価基板を作製し、平山製作所(株)製プレッシャー・クッカー試験装置を用いて、121℃、0.2MPaの条件で4時間までプレッシャー・クッカー処理を行った後、温度288℃のはんだ浴に、評価基板を20秒間浸漬した後、外観を観察することによりはんだ耐熱性を評価した。
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板を作製し、平山製作所(株)製プレッシャー・クッカー試験装置を用いて、121℃、2atmの条件で5時間までプレッシャー・クッカー処理を行った後、評価基板の吸水率を測定した。
銅張積層板から5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用い、300℃で評価基板の膨れが発生するまでの時間を測定することにより評価した。
銅張積層板を、直径0.15mmのドリルで、穴間隔0.25mmに加工し、穴の間に電圧5.5Vを印加して、130℃、85%RHの条件で200時間放置後の絶縁抵抗を測定することにより評価した。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:569.30gと、4,4'−ジアミノジフェニルメタン:59.04g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:350.00gを入れ、還流させながら5時間反応させて不飽和マレイミド基を有する樹脂(A−1)の溶液を得た。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:555.04gと、3,3'−ジエチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン:73.84g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:350.00gを入れ、還流させながら5時間反応させて不飽和マレイミド基を有する樹脂(A−2)の溶液を得た。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:556.53gと、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン:72.29g、及びジメチルアセトアミド:350.00gを入れ、100℃で5時間反応させて不飽和マレイミド基を有する樹脂(A−3)の溶液を得た。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:556.53gと3,3'−ジエチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン:74.03g,m−アミノフェノール:21.19g、及びジメチルアセトアミド:350.00gを入れ,100℃で5時間反応させて酸性置換基と不飽和マレイミド基を有する樹脂(A−4)の溶液を得た。なお、この製造例4は(C)成分の酸性置換基を有するアミン化合物を予め(A)成分と反応させたものである。
下記成分を第1表および第2表に示した配合割合(質量部)で混合し、溶媒にはメチルエチルケトンを使用して樹脂分65質量%の均一なワニスを得た。なお、(D)成分の難燃性無機充填材AlOOHは(E)成分の難燃剤を兼ねるものであり、全ての実施例および比較例において熱硬化性樹脂組成物中の(D)無機充填材が50質量%(32体積%)である。
次に、得られたワニスを厚さ0.1mm、第1表および第2表に示した処理剤で処理されたS−ガラスクロスまたはE−ガラスクロスに含浸塗工し、160℃で10分加熱乾燥して樹脂含有量50質量%のプリプレグを得た。
次に、このプリプレグを4枚重ね、18μmの電解銅箔を上下に配置し、圧力2.5KPa、温度185℃で90分間プレスを行って、銅張積層板を得た。
得られた銅張積層板の測定・評価結果を第1表および第2表に示す。
(B)熱硬化性樹脂:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、商品名:NC−3000−H)。
(D)無機充填材:溶融シリカ((株)アドマテックス製、商品名:SO−25R)。
硬化促進剤:下記の式(III)に示す構造のビスフェノールA型エポキシ樹脂と2−フェニルイミダゾールの付加反応物。
難燃剤:ベーマイト型水酸化アルミニウム(河合石灰工業(株)製、商品名:BMT−3L)。
ガラスクロス(#2116:厚さ0.095mm)
Sガラス(日東紡績(株)製、商品名:GAT−7010、熱膨張係数:2.4ppm/℃)。
Eガラス(日東紡績(株)製、商品名:GA−7010、熱膨張係数:5.6ppm/℃)。
ガラスクロス処理剤:
KBM573:N-フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製〕。
KBM403:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製〕。
一方、第2表の比較例1〜4では、ガラスクロスがフェニルアミノシラン処理剤で処理されていないため、はんだ耐熱性、銅付き耐熱性、絶縁信頼性が著しく劣っている。また、比較例5はガラスクロスの処理剤にフェニルアミノシラン処理剤を用いており、はんだ耐熱性、耐吸湿性、銅付き耐熱性、絶縁信頼性に優れるが,Eガラスクロスを用いているため熱膨張係数が本発明の実施例と比較して大きく劣っている。
従って、本発明により、熱膨張係数が低く、耐熱性や絶縁信頼性に優れたプリプレグ、積層板及びプリント配線板が得られることが分かる。
Claims (7)
- 熱硬化性樹脂組成物に、さらに、無機充填材(D)を含有する請求項1又は2に記載のプリント配線板用プリプレグ。
- 熱硬化性樹脂組成物に、さらに、難燃剤(E)を含有する請求項1〜3のいずれかに記載のプリント配線板用プリプレグ。
- 熱硬化性樹脂(B)がエポキシ樹脂及び/又はシアネート樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載のプリント配線板用プリプレグ。
- 絶縁樹脂層が請求項1〜5のいずれかに記載のプリント配線板用プリプレグを用いて成形されたものであることを特徴とする積層板。
- 請求項6の積層板における絶縁樹脂層の片面又は両面に配置された金属箔を回路加工して得られたものであることを特徴とするプリント配線板。
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