JP6299433B2 - 熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、樹脂付フィルム、積層板、多層プリント配線板及び半導体パッケージ - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、樹脂付フィルム、積層板、多層プリント配線板及び半導体パッケージ Download PDF

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Description

本発明は半導体パッケージやプリント配線板用に好適な熱硬化性樹脂組成物、これを用いたプリプレグ、樹脂付フィルム、積層板、多層プリント配線板及び半導体パッケージに関する。
近年の電子機器の小型化及び高性能化により、プリント配線板では配線密度の高度化、高集積化が進展し、これに伴って配線用積層板の信頼性向上への要求が強まっている。このような用途においては、優れた耐熱性及び低熱膨張性が要求される。
プリント配線板用積層板としては、エポキシ樹脂を主剤とした樹脂組成物とガラス織布とを硬化及び一体成形したものが一般的である。
エポキシ樹脂は、絶縁性や耐熱性、コスト等のバランスに優れるが、近年のプリント配線板の高密度実装、高多層化構成にともなう耐熱性向上への要請に対応するには、どうしてもその耐熱性の向上には限界がある。
また、エポキシ樹脂は、熱膨張率が大きいため、芳香環を有するエポキシ樹脂の選択やシリカ等の無機充填材を高充填化することで樹脂組成物の低熱膨張性化を図っている(例えば、特許文献1参照)。しかし、無機充填材の充填量を増やすことは、吸湿による絶縁信頼性の低下や樹脂−配線層の接着不足、プレス成形不良を起こすことが知られている。
高密度実装、高多層化積層板に広く使用されているポリビスマレイミド樹脂は、接着性に難点があり、低熱膨張性も十分ではない。
エポキシ樹脂、フェノール樹脂及び変性イミド樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献2参照)。この熱硬化性樹組成物は耐湿性や接着性が改良されているものの、メチルエチルケトン等の汎用性溶媒への可溶性確保のため水酸基とエポキシ基とを含有する低分子化合物で変性するので、得られる熱硬化性樹組成物の耐熱性がポリビスマレイミド樹脂と比較すると、大幅に劣るという問題がある。
さらに、特に近年、半導体用パッケージ基板では、小型化、薄型化に伴い、部品実装時やパッケージ組み立て時において、チップと基板との熱膨張率の差に起因した反りが大きな課題となっている。
特開平5−148343号公報 特開平6−263843号公報
本発明の目的は、こうした現状に鑑み、ガラス転移温度(Tg)が高く、低熱膨張性及び低収縮性に優れる熱硬化性樹脂組成物、これを用いたプリプレグ、樹脂付フィルム、積層板、多層プリント配線板及び半導体パッケージを提供することである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、分子構造中に芳香族アゾメチン基を有するアミノ変性シロキサン化合物とマレイミド化合物とを配合してなる熱硬化性樹脂組成物が上記目的に沿うものであることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、樹脂付フィルム、積層板、多層プリント配線板及び半導体パッケージを提供するものである。
1.第三級ホスフィンとキノン類との付加物(a)、1分子中に少なくとも1個のアルデヒド基を有する芳香族アゾメチン化合物(b)と、分子末端に少なくとも2個の一級アミノ基を有するシロキサン化合物(c)とを反応させ得られる、分子構造中に芳香族アゾメチン基を有するアミノ変性シロキサン化合物(I)、及び分子構造中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)を配合してなることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
2.下記一般式(1)に示す酸性置換基を有するアミン化合物(e)をさらに配合してなる上記1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
Figure 0006299433
(式(1)中、R1は各々独立に、酸性置換基である水酸基、カルボキシル基又はスルホン酸基を、R2は各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、xは1〜5の整数、yは0〜4の整数で、かつxとyの和は5である。)
3.熱可塑性エラストマー(f)をさらに配合してなる上記1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
4.他の熱硬化性樹脂(g)をさらに配合してなる上記1〜3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
5.無機充填材をさらに配合してなる請求項1〜4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
6.上記1〜5のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を用いてなるプリプレグ。
7.上記1〜5のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を熱硬化性樹脂組成物を支持体上に層形成してなる樹脂付フィルム。
8.上記6に記載のプリプレグを積層成形し得られる積層板。
9.上記7に記載の樹脂付フィルムを積層成形して得られる積層板。
10.上記8又は9に記載の積層板を用いて製造された多層プリント配線板。
11.上記10に記載の多層プリント配線板に半導体を搭載してなる半導体パッケージ。
本発明によれば、ガラス転移温度(Tg)が高く、低熱膨張性及び低収縮性に優れる熱硬化性樹脂組成物、これを用いたプリプレグ、樹脂付フィルム、積層板、多層プリント配線板及び半導体パッケージを提供することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を基材に含浸、又は塗工して得たプリプレグ、及び該プリプレグを積層成形することにより製造した積層板、及び該積層板を用いて製造された多層プリント配線板は、特にガラス転移温度(Tg)が高く、低熱膨張率及び低収縮率に優れており、高集積化された電子機器用プリント配線板として有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。
[熱硬化性樹脂組成物]
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、第三級ホスフィンとキノン類との付加物(a)、1分子中に少なくとも1個のアルデヒド基を有する芳香族アゾメチン化合物(b)と、分子末端に少なくとも2個の一級アミノ基を有するシロキサン化合物(c)とを反応させ得られる、分子構造中に芳香族アゾメチン基を有するアミノ変性シロキサン化合物(I)、及び分子構造中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)を配合してなることを特徴とする。
(第三級ホスフィンとキノン類との付加物(a))
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、第三級ホスフィンとキノン類との付加物(a)を用いることにより、硬化が十分に進み、低熱膨張性及び耐熱性を向上させることができる。
(a)成分に含まれる第三級ホスフィンとしては特に限定するものではないが、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4−ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメチル−4−エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−エトキシフェニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。
(a)成分に含まれるキノン類としてはo−ベンゾキノン、p−ベンゾキノン、ジフェノキノン、1,4−ナフトキノン、アントラキノン等が挙げられ、なかでもp−ベンゾキノンが耐湿性、保存安定性の点から好ましい。
(a)成分の製造方法としては特に限定はされないが、原料となる第三級ホスフィンとキノン類とがともに溶解する溶媒中で両者を撹拌混合する方法等が挙げられる。この場合の製造条件としては、室温から80℃の範囲で、原料の溶解度が高く、かつ生成した付加物の溶解度が低いメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類などの溶媒中で、1時間〜12時間撹拌し、付加反応させることが好ましい。
このようにして得られる第三級ホスフィンとキノン類との付加物(a)としては、例えば、下記一般式(2)で表されるものが挙げられる。
Figure 0006299433
(式中、Rは1価の有機基を表す。)
一般式(2)中のRの1価の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等のアルキル基や、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基等のアリール基などが挙げられ、これらは単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
具体的な付加物(a)としては、トリフェニルホスフィンとp−ベンゾキノンとの付加物、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィンとp−ベンゾキノンとの付加物、トリブチルホスフィンとp−ベンゾキノンとの付加物等があり、特に、トリフェニルホスフィンとp−ベンゾキノンとの付加物及びトリス(4−メチルフェニル)ホスフィンとp−ベンゾキノンとの付加物は保存安定性の点で、トリブチルホスフィンとp−ベンゾキノンとの付加物は溶剤への溶解性の点で好ましく用いられる。これらは、単独でも2種以上併用して用いても良い。
配合量としては、熱硬化性樹脂組成物中の固形分換算樹脂成分合計量100質量部に対して、0.1〜2.0質量部程度が好ましく、より好ましくは0.3〜0.7質量部程度である。この範囲で用いることで、低熱膨張性及び耐熱性を向上することができる。
(芳香族アゾメチン化合物(b))
本発明の1分子中に少なくとも1個のアルデヒド基を有する芳香族アゾメチン化合物(b)は、好ましくは、1分子中に少なくとも2個の一級アミノ基を有する芳香族アミン化合物(i)を1分子中に少なくとも2個のアルデヒド基を有する芳香族アルデヒド化合物(ii)と反応させて得られる。
<芳香族アミン化合物(i)>
本発明の1分子中に少なくとも2個の一級アミノ基を有する芳香族アミン化合物(i)としては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3−メチル−1,4−ジアミノベンゼン、2,5−ジメチル−1,4−ジアミノベンゼン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチル−ジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジエチル−ジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルケトン、ベンジジン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジヒドロキシベンジジン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン等が挙げられる。これらは単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
これらの中で、例えば、反応時の反応性が高く、より高耐熱性化できる4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチル−ジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジエチル−ジフェニルメタン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン等がより好ましく、安価であることや溶剤への溶解性の点から4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジエチル−ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパンが好ましく、低熱膨張性や誘電特性の点から、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジエチル−ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパンが特に好ましい。また、高弾性率化できるp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3−メチル−1,4−ジアミノベンゼン、2,5−ジメチル−1,4−ジアミノベンゼンも好ましい。
<芳香族アルデヒド化合物(ii)>
本発明の1分子中に少なくとも2個のアルデヒド基を有する芳香族アルデヒド化合物(ii)としては、例えば、テレフタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、o−フタルアルデヒド、2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボキシアルデヒド等が挙げられる。これらの中で、例えば、より低熱膨張化が可能であり、反応時の反応性が高く、溶剤溶解性にも優れ、商業的にも入手しやすいテレフタルアルデヒドが特に好ましい。
(シロキサン化合物(c))
本発明の分子末端に少なくとも2個の一級アミノ基を有するシロキサン化合物(c)としては、市販品を用いることができ、例えば、「KF−8010」(アミノ基当量430)、「X−22−161A」(アミノ基当量800)、「X−22−161B」(アミノ基当量1500)、「KF−8012」(アミノ基当量2200)、「KF−8008」(アミノ基当量5700)、「X−22−9409」(アミノ基当量700)、「X−22−1660B−3」(アミノ基当量2200)(以上、信越化学工業(株)製)、「BY−16−853U」(アミノ基当量460)、「BY−16−853」(アミノ基当量650)、「BY−16−853B」(アミノ基当量2200)(以上、東レダウコーニング(株)製)等が挙げられ、 これらは単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
これらの中で、例えば、合成時の反応性が高く、低熱膨張性の点から「X−22−161A」、「X−22−161B」、「KF−8012」、「X−22−1660B−3」、「BY−16−853B」が好ましく、相溶性に優れ、高弾性率化できる「X−22−161A」、「X−22−161B」が特に好ましい。
(アミノ変性シロキサン化合物(I))
本発明の分子構造中に芳香族アゾメチン基を有するアミノ変性シロキサン化合物(I)は、本発明の芳香族アゾメチン化合物(b)と、本発明のシロキサン化合物(c)とを反応させて得られる。
本発明において、芳香族アゾメチン基を有するアミノ変性シロキサン化合物(I)を得るための反応としては、始めに、1分子中に少なくとも2個の一級アミノ基を有する芳香族アミン化合物(i)と、1分子中に少なくとも2個のアルデヒド基を有する芳香族アルデヒド化合物(ii)を有機溶媒中で脱水縮合反応させることにより、1分子中に少なくとも1個のアルデヒド基を有する芳香族アゾメチン化合物(b)を得る。次いで、前記化合物(b)と、分子末端に少なくとも2個の一級アミノ基を有するシロキサン化合物(c)を有機溶媒中で脱水縮合反応させることにより、芳香族アゾメチン基を有するアミノ変性シロキサン化合物(I)を得ることができる。
また、本反応は、本発明の芳香族アゾメチン基を有するアミノ変性シロキサン化合物(I)の分子中における、芳香族アゾメチン基の分子量制御が容易である特徴を有し、これを配合してなる樹脂組成物の高弾性率化に特に有効である。
脱水縮合反応に使用される有機溶媒は、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の窒素原子含有溶剤、ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶剤、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤などが挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。これらの中で、例えば、溶解性の点からプロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン等が好ましく、揮発性が高くプリプレグの製造時に残溶剤として残りにくいプロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエンがより好ましい。また、この反応は脱水縮合反応であるため副生成物として水が生成される。この副生成物である水を除去する目的で、例えば、芳香族系溶剤との共沸により副生成物である水を除去しながら反応することが望ましい。
脱水縮合反応には、必要により任意に反応触媒を使用することができ、反応触媒の例としては、p−トルエンスルホン酸等の酸性触媒、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン等のアミン類、メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等のリン系触媒などが挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。脱水縮合反応を効率よく進行させるため、例えば、p−トルエンスルホン酸等の酸性触媒が好ましい。
始めに、1分子中に少なくとも2個のアミノ基を有する芳香族アミン化合物(i)と、1分子中に少なくとも2個のアルデヒド基を有する芳香族アルデヒド化合物(ii)とを有機溶媒中で脱水縮合反応させることにより、1分子中に少なくとも1個のアルデヒド基を有する芳香族アゾメチン化合物(b)を得る。
ここで、1分子中に少なくとも2個のアミノ基を有する芳香族アミン化合物(i)と1分子中に少なくとも2個のアルデヒド基を有する芳香族アルデヒド化合物(ii)との配合量は、例えば、芳香族アミン化合物(i)の一級アミノ基数〔芳香族アミン化合物(i)の配合量/芳香族アミン化合物(i)の一級アミノ基当量〕が、芳香族アルデヒド化合物(ii)のアルデヒド基数〔芳香族アルデヒド化合物(ii)の配合量/芳香族アルデヒド化合物(ii)のアルデヒド基当量〕の0.1倍〜5.0倍の範囲になるように使用することが望ましい。0.1倍以上とすることにより、本反応により得られる芳香族アゾメチン化合物の分子量が低下することなく、また、5.0倍以下とすることにより、溶媒への溶解性が低下することがない。
また、有機溶媒の配合量は、例えば、芳香族アミン化合物(i)、芳香族アルデヒド化合物(ii)の樹脂成分の総和100質量部に対して、25〜2000質量部とすることが好ましく、40〜1000質量部とすることがより好ましく、40〜500質量部とすることが特に好ましい。有機溶媒の配合量を25質量部以上とすることにより、溶解性が不足することなく、また2000質量部以下とすることにより、反応に長時間を要することがない。
上記の原料、有機溶媒、必要により反応触媒を反応釜に仕込み、必要により加熱及び保温しながら0.1時間から10時間攪拌し脱水縮合反応させることにより、芳香族アゾメチン化合物(b)が得られる。
反応温度は、例えば、70〜150℃が好ましく、副生成物である水を除去しながら反応することが望ましく、反応温度は100〜130℃がより好ましい。温度を70℃以上とすることにより、反応速度が遅くなることがなく、温度を150℃以下とすることにより、反応溶媒に高沸点の溶媒を必要とせず、プリプレグを製造する際、残溶剤が残りにくく、耐熱性が低下することがない。
次いで、前記反応により得られた芳香族アゾメチン化合物(b)と、分子末端に少なくとも2個のアミノ基を有するシロキサン化合物(c)とを有機溶媒中で脱水縮合反応させることにより、芳香族アゾメチン基を有するアミノ変性シロキサン化合物(I)を得ることができる。
ここで、芳香族アゾメチン化合物(b)とシロキサン化合物(c)との配合量は、例えば、シロキサン化合物(c)の一級アミノ基数〔シロキサン化合物(c)の配合量/シロキサン化合物(c)の一級アミノ基当量〕が、芳香族アゾメチン化合物(b)のアルデヒド基数〔芳香族アゾメチン化合物(b)の配合量/芳香族アゾメチン化合物(b)のアルデヒド基当量〕の1.0〜10.0倍の範囲になるように使用されることが望ましい。1.0倍以上とすることにより、溶媒への溶解性が低下することなく、また、10.0倍以下とすることにより、芳香族アゾメチン基を有するアミノ変性シロキサン化合物(I)を配合してなる熱硬化性樹脂の弾性率が低下することがない。
また、有機溶媒の配合量は、例えば、芳香族アゾメチン化合物(b)、シロキサン化合物(c)との樹脂成分の総和100質量部に対して、25〜2000質量部とすることが好ましく、40〜1000質量部とすることがより好ましく、40〜500質量部とすることが特に好ましい。有機溶媒の配合量を25質量部以上とすることにより、溶解性が不足することなく、また2000質量部以下とすることにより、反応に長時間を要することがない。
上記の原料、有機溶媒、必要により反応触媒を反応釜に仕込み、必要により加熱及び保温しながら0.1時間から10時間攪拌し脱水縮合反応させることにより、芳香族アゾメチン基を有するアミノ変性シロキサン化合物(I)が得られる。
反応温度は、例えば、70〜150℃が好ましく、副生成物である水を除去しながら反応することが望ましく、反応温度は100〜130℃がより好ましい。温度を70℃以上とすることにより、反応速度が遅くなることがなく、温度を150℃以下とすることにより、反応溶媒に高沸点の溶媒を必要とせず、プリプレグを製造する際、残溶剤が残りにくく、耐熱性が低下することがない。
上記の反応により得られた芳香族アゾメチン基を有するアミノ変性シロキサン化合物(I)は、IR測定を行うことにより確認することができる。IR測定により、アゾメチン基(−N=CH−)に起因する1620cm-1のピークが出現することを確認し、また、一級アミノ基に起因する3440cm-1、及び3370cm-1付近のピークが存在することを確認することにより、良好に反応が進行し、所望の化合物が得られていることを確認することができる。また、重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、例えば、1,000〜300,000が好ましく、特に6,000〜150,000が好ましい。重量平均分子量(Mw)が前記下限値未満であると低収縮性、低熱膨張性が低下する場合が有り、前記上限値を超えると相溶性、弾性率が低下する場合がある。なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定を行い、標準ポリスチレンを用いて作製した検量線により換算したものである。
例えば、以下の条件で行うことができる。
測定装置としては、例えばオートサンプラー(東ソー(株)製、AS−8020)、カラムオーブン(日本分光(株)製860−C0)、RI検出器(日本分光(株)製830−RI)、UV/VIS検出器(日本分光(株)製870−UV)、HPLCポンプ(日本分光(株)製880−PU)を使用することが可能である。
また、使用カラムとしては、例えば、東ソー(株)製、TSKgel SuperHZ2000,2300を使用でき、測定条件としては、例えば、測定温度 40℃、流量 0.5ml/min、溶媒をテトラヒドロフランとすることで、測定可能である。
(1分子構造中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d))
1分子構造中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)としては、例えば、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ポリフェニルメタンマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。
これらの中で、反応率が高く、より高耐熱性化できるビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンが好ましく、溶剤への溶解性の点から、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンがより好ましく、安価である点からビス(4−マレイミドフェニル)メタンが特に好ましい。
なお、マレイミド化合物(d)の配合量としては、熱硬化性樹脂組成物中の固形分換算樹脂成分合計量100質量部に対して、30〜80質量部程度が好ましく、より好ましくは35〜65質量部程度である。この範囲の配合量とすることで、弾性率及び低熱膨張性が向上するため好ましい。
(酸性置換基を有するアミン化合物(e))
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、第三級ホスフィンとキノン類との付加物(a)、分子構造中に芳香族アゾメチン基を有するアミノ変性シロキサン化合物(I)、及び分子構造中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)の他に、下記一般式(1)で示す酸性置換基を有するアミン化合物(e)をさらに配合してもよい。
Figure 0006299433
(式(1)中、R1は各々独立に、酸性置換基である水酸基、カルボキシル基又はスルホン酸基を、R2は各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、xは1〜5の整数、yは0〜4の整数で、かつxとyの和は5である。)
酸性置換基を有するアミン化合物(e)は、例えば、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、o−アミノ安息香酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、p−アミノベンゼンスルホン酸、3,5−ジヒドロキシアニリン、3,5−ジカルボキシアニリン等が挙げられ、これらの中で、溶解性や合成の収率の点からm−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、及び3,5−ジヒドロキシアニリンが好ましく、耐熱性の点からm−アミノフェノール及びp−アミノフェノールがより好ましく、低熱膨張性の点からp−アミノフェノールが特に好ましい。
配合量としては、熱硬化性樹脂組成物中の固形分換算樹脂成分合計量100質量部に対して、0.5〜10質量部程度が好ましく、より好ましくは0.7〜3%質量部程度である。この範囲の配合量とすることで、耐熱性及び低熱膨張性が向上するため好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、芳香族アゾメチン基を有するアミノ変性シロキサン化合物(I)、1分子構造中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)及び酸性置換基を有するアミン化合物(e)を配合した後、必要により加熱及び保温し、あらかじめ反応させておいたものでもよい。
この際のマレイミド化合物(d)の配合量は、ゲル化の防止と耐熱性の観点から、マレイミド化合物(d)のマレイミド基の当量が、アミン化合物(I)及び(e)の一級アミノ基の当量を超える範囲であることが望ましい。なお、アミン化合物(I)の量はアミン化合物(e)の量の7〜35倍程度であることが、耐熱性の点から好ましい。
化合物(I)、(d)及び(e)の反応の温度は70〜200℃とすることが好ましく、反応時間は0.5〜10時間とすることが好ましい。
以上の反応の際に使用される有機溶媒は、特に制限されないが、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチルエステルやγ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の窒素原子含有溶剤、ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶剤などが挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。
これらの中で、溶解性の点からシクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、γ−ブチロラクトン、ジメチルアセトアミドが好ましく、低毒性であることや揮発性が高くプリプレグの製造時に残溶剤として残りにくい点から、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルアセトアミドが特に好ましい。
有機溶媒の配合量は、溶解性と反応時間の観点から、芳香族アゾメチン基を有するアミノ変性シロキサン化合物(I)、1分子構造中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)及び酸性置換基を有するアミン化合物(e)の合計量100質量部当たり、25〜1000質量部とすることが好ましく、40〜700質量部とすることがより好ましい。
(熱可塑性エラストマー(f))
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱可塑性エラストマー(f)を配合させることができる。熱可塑性エラストマー(f)としては、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー、シリコーン系エラストマーやその誘導体等が挙げられる。これらは、ハードセグメント成分とソフトセグメント成分を有しており、一般に前者が耐熱性及び強度に、後者が柔軟性及び強靭性に寄与している。これらは、1種を単独で又は2種以上を混合して使用できる。
また、これら熱可塑性エラストマー(f)としては、分子末端又は分子鎖中に反応性官能基を有するものを用いることができる。反応性官能基としては、例えば、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、イソシアナト基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基等が挙げられる。これら反応性官能基を分子末端又は分子鎖中に有することにより、樹脂への相溶性が向上し、本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化時に発生する内部応力をより効果的に低減することができ、結果として、基板の反りを顕著に低減することが可能となる。
これらの熱可塑性エラストマー(f)の中で、例えば、耐熱性、絶縁信頼性の点で、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、及びシリコーン系エラストマーが好ましい。
また、これら熱可塑性エラストマー(f)の分子末端又は分子鎖中に有する反応性官能基は、例えば、金属箔との接着性の点で、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、及びアミド基が好ましく、耐熱性、絶縁信頼性の点から、エポキシ基、水酸基、及びアミノ基が特に好ましい。
熱可塑性エラストマー(f)成分の配合量は、例えば、樹脂成分の総和100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましく、2〜30質量部であることが、樹脂の相溶性が良く、硬化物の低収縮性、低熱膨張性を効果的に発現できる点からより好ましい
(他の熱硬化性樹脂(g))
さらに、本発明の熱硬化性樹脂組成物には、第三級ホスフィンとキノン類との付加物(a)、アミノ変性シロキサン化合物(I)、マレイミド化合物(d)及び所望により酸性置換基を有するアミン化合物(e)を配合してなる熱硬化性樹脂組成物以外の他の熱硬化性樹脂(g)を配合してもよく、このような他の熱硬化性樹脂(g)としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和イミド樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、シリコーン樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して使用できる。これらの中で、成形性や電気絶縁性の点からエポキシ樹脂、シアネート樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有エポキシ樹脂、トリフェノールフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能フェノール類及びアントラセン等の多環芳香族類のジグリシジルエーテル化合物及びこれらにリン化合物を導入したリン含有エポキシ樹脂等が挙げられ、これらの中で、耐熱性、難燃性の点からビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂が好ましい。これらは1種又は2種以上を混合して使用できる。
また、シアネート樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂、ノボラック型シアネート樹脂及びこれらが一部トリアジン化したプレポリマー等を挙げることができる。これらの中で耐熱性、難燃性の点からノボラック型シアネート樹脂が好ましい。これらは1種又は2種以上を混合して使用できる。
なお、これらの熱硬化性樹脂(g)の配合量としては、熱硬化性樹脂組成物中の固形分換算樹脂成分合計量100質量部に対して、5〜50質量部程度が好ましく、10〜40質量部程度であることがより好ましい。
(無機充填剤)
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、さらに無機充填材を配合させることができる。無機充填材としては、シリカ、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、EガラスやTガラス、Dガラス等のガラス粉や中空ガラスビーズなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して使用できる。
無機充填材としては、誘電特性、耐熱性、低熱膨張性の点からシリカが特に好ましい。シリカとしては、例えば、湿式法で製造され含水率の高い沈降シリカと、乾式法で製造され結合水等をほとんど含まない乾式法シリカが挙げられ、乾式法シリカとしてはさらに、製造法の違いにより破砕シリカ、フュームドシリカ、溶融球状シリカが挙げられる。これらの中で、低熱膨張性及び樹脂に充填した際の高流動性から溶融球状シリカが好ましい。
無機充填材として溶融球状シリカを用いる場合、その平均粒子径は0.1〜10μmであることが好ましく、0.3〜8μmであることがより好ましい。該溶融球状シリカの平均粒子径を0.1μm以上にすることで、樹脂に高充填した際の流動性を良好に保つことができ、さらに10μm以下にすることで、粗大粒子の混入確率を減らし粗大粒子起因の不良の発生を抑えることができる。ここで、平均粒子径とは、粒子の全体積を100%として粒子径による累積度数分布曲線を求めた時、体積50%に相当する点の粒子径のことであり、レーザ回折散乱法を用いた粒度分布測定装置等で測定することができる。
無機充填材の配合量は、熱硬化性樹脂組成物中の固形分換算樹脂成分合計量100質量部当たり20〜300質量部であることが好ましく、50〜200質量部であることがより好ましい。無機充填材の配合量を20〜300質量部にすることで、プリプレグの成形性と低熱膨張性を良好に保つことができる。
(その他の成分)
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、樹脂組成物として熱硬化性の性質を損なわない程度に、熱可塑性樹脂、有機充填材、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤及び接着性向上剤等を使用できる。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、キシレン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、シリコーン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂等が挙げられる。
有機充填材の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、シリコーン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂等よりなる均一構造の樹脂フィラー、アクリル酸エステル系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、共役ジエン系樹脂等よりなるゴム状態のコア層と、アクリル酸エステル系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、芳香族ビニル系樹脂、シアン化ビニル系樹脂等よりなるガラス状態のシェル層を持つコアシェル構造の樹脂フィラーが挙げられる。
なお、上述のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びポリフェニレンエーテル樹脂は、熱可塑性樹脂として使用可能であり、有機充填剤としても使用可能である。
難燃剤の例としては、臭素や塩素を含有する含ハロゲン系難燃剤、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、リン酸エステル系化合物、赤リン等のリン系難燃剤、スルファミン酸グアニジン、硫酸メラミン、ポリリン酸メラミン、メラミンシアヌレート等の窒素系難燃剤、シクロホスファゼン、ポリホスファゼン等のホスファゼン系難燃剤、三酸化アンチモン等の無機系難燃剤が挙げられる。
その他、紫外線吸収剤の例としてはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、酸化防止剤の例としてはヒンダードフェノール系やヒンダードアミン系酸化防止剤、光重合開始剤の例としてはベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、チオキサントン系の光重合開始剤、蛍光増白剤の例としてはスチルベン誘導体の蛍光増白剤、接着性向上剤の例としては尿素シラン等の尿素化合物やシラン系、チタネート系、アルミネート系等のカップリング剤が挙げられる。
また、配合時、無機充填材をシラン系、チタネート系等のカップリング剤、シリコーンオリゴマー等の表面処理剤で前処理、又はインテグラルブレンド処理することも好ましい。
[ワニス]
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、通常、希釈溶媒として有機溶媒を使用し、ワニスとして使用される。該有機溶媒は特に制限されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メチルセロソルブ等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶媒などが挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。
最終的に得られるワニス中の熱硬化性樹脂組成物は、ワニス全体の40〜90質量%であることが好ましく、50〜80質量%であることがより好ましい。ワニス中の熱硬化性樹脂組成物の含有量を40〜90質量%にすることで、塗工性を良好に保ち、適切な樹脂組成物付着量のプリプレグを得ることができる。
[プリプレグ]
本発明のプリプレグは、前記した本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いてなるものである。
本発明のプリプレグは、本発明の熱硬化性樹脂組成物を、基材に含浸し、加熱等により半硬化(Bステージ化)して製造することができる。本発明の熱硬化性樹脂組成物を基材に含浸させる方法として特に限定されないが、例えば、基材を樹脂ワニスに浸漬する方法、各種コーターにより塗布する方法、スプレーによる吹き付ける方法等が挙げられる。これらの中でも、基材を樹脂ワニスに浸漬する方法が好ましい。これにより、基材に対する樹脂組成物の含浸性を向上することができる。
本発明の基材としては、例えば、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものが使用できる。その材質の例としては、Eガラス、Dガラス、Sガラス及びQガラス等の無機物繊維、ポリイミド、ポリエステル及びテトラフルオロエチレン等の有機繊維、並びにそれらの混合物などが挙げられる。他の用途では、例えば、繊維強化基材であれば、炭素繊維等を用いることも可能である。
これらの基材は、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット及びサーフェシングマットの形状を有するが、材質及び形状は、目的とする成形物の用途や性能により選択され、必要により、単独又は2種類以上の材質及び形状を組み合わせることができる。基材の厚さは、例えば、約0.03〜0.5mmを使用することができ、シランカップリング剤等で表面処理したもの又は機械的に開繊処理を施したものが、耐熱性や耐湿性、加工性の面から好適である。
本発明のプリプレグは、例えば、該基材に対する熱硬化性樹脂組成物の付着量が、乾燥後のプリプレグの熱硬化性樹脂組成物の含有率で、20〜90質量%となるように、基材に含浸又は塗工した後、通常、100〜200℃の温度で1〜30分加熱乾燥し、半硬化(Bステージ化)させて得ることができる。
[樹脂付フィルム]
本発明の樹脂付フィルムは、本発明の熱硬化性樹脂組成物を支持体上に層形成してなるものである。
本発明で得られる熱硬化性樹脂組成物を支持体上に層形成する方法として特に限定されないが、例えば、本発明で得られる熱硬化性樹脂組成物をワニスの状態にし、各種コーターを用いて支持体に塗布し、更に加熱、又は熱風吹きつけ等により乾燥させて樹脂組成物層を形成させることができる。このように加熱等により半硬化(Bステージ化)して本発明の樹脂付フィルムを製造することができる。この半硬化状態は、樹脂付きフィルムと回路基板を積層し、硬化する際に、樹脂付きフィルムの樹脂組成物層と回路基板との接着力が確保される状態で、また、回路基板への埋めこみ性(流動性)が確保される状態であることが好ましい。
ここで、樹脂組成物層とは、熱硬化性樹脂組成物が支持体上に半硬化状態で形成される層をいい、絶縁樹脂層とは、該樹脂組成物層を熱硬化して形成される層をいう。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を支持体上に塗布する際に用いるコーターは、特に限定されるものではないが、例えば、ダイコーター、コンマコーター、バーコーター、キスコーター、ロールコーター等が利用できる。これらは、樹脂組成物層の厚みによって適宜選択できる。また、乾燥方法としては、加熱、又は熱風吹きつけ等を用いることができる。
熱硬化性樹脂組成物を支持体に塗布した後の乾燥条件は、例えば、該樹脂組成物層への有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。ワニス中の有機溶剤量、有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30〜60質量%の有機溶剤を含むワニスを50〜150℃で3〜10分程度乾燥させることにより、樹脂組成物層が形成される。乾燥条件は、予め簡単な実験により適宜、好適な乾燥条件を設定することが好ましい。
支持体上に形成される樹脂組成物層の厚さは、通常、回路基板が有する導体層の厚さ以上とする。導体層の厚さは、例えば、5〜70μmであることが好ましく、多層プリント配線板の軽薄短小化のために、5〜50μmであることがより好ましく、5〜30μmであることがより好ましい。
樹脂付きフィルムにおける支持体は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミドなどからなるフィルム、更には離型紙や銅箔、アルミニウム箔等の金属箔を挙げることができる。なお、支持体及び後述する保護フィルムには、マット処理、コロナ処理の他、離型処理を施してもよい。
支持体の厚さは、例えば、10〜150μmが好ましく、より好ましくは25〜50μmである。樹脂組成物層の支持体が設けられていない面には、支持体に準じた保護フィルムをさらに積層することができる。保護フィルムの厚さは、例えば1〜40μmである。保護フィルムを積層することにより、異物混入を防止することができる。
又は樹脂付きフィルムは、ロール状に巻き取って貯蔵することもできる。
[積層板、多層プリント配線板]
本発明の樹脂付フィルムを用いて積層板を形成し、その積層板を用いて多層プリント配線板を製造する方法の形態としては、例えば、樹脂付フィルムを、真空ラミネーターを用いて回路基板の片面又は両面にラミネートする。回路基板に用いられる基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。なお、ここで回路基板とは、上記のような基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成されたものをいう。また導体層と絶縁層とを交互に積層してなる積層板及び該積層板から製造される多層プリント配線板において、該多層プリント配線板の最外層の片面又は両面がパターン加工された導体層(回路)となっているものも、ここでいう回路基板に含まれる。なお導体層表面には、黒化処理等により予め粗化処理が施されていてもよい。
上記ラミネートにおいて、樹脂付フィルムが保護フィルムを有している場合には該保護フィルムを除去した後、必要に応じて樹脂付フィルム及び回路基板をプレヒートし、樹脂付フィルムを加圧及び加熱しながら回路基板に圧着する。本発明の支持体付絶縁フィルムにおいては、真空ラミネート法により減圧下で回路基板にラミネートする方法が好適に用いられる。ラミネート条件は、例えば、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧力を好ましくは0.1〜1.1MPaとし、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートするのが好ましい。また、ラミネートの方法は、バッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。
樹脂付フィルムを回路基板にラミネートした後、室温付近に冷却してから、支持体を剥離する場合は剥離し、熱硬化することにより回路基板に絶縁樹脂層を形成することができる。熱硬化の条件は、樹脂組成物中の樹脂成分の種類、含有量等に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは150℃〜220℃で20分〜180分、より好ましくは160℃〜200℃で30〜120分の範囲で選択される。
絶縁樹脂層を形成した後、硬化前に支持体を剥離しなかった場合は、ここで剥離する。次いで必要により、回路基板上に形成された絶縁層に穴開けを行ってビアホール、スルーホールを形成する。穴あけは、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等の公知の方法により、また必要によりこれらの方法を組み合わせて行うことができるが、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等のレーザーによる穴あけが最も一般的な方法である。
次いで、乾式メッキ又は湿式メッキにより絶縁樹脂層上に導体層を形成する。乾式メッキとしては、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の公知の方法を使用することができる。湿式メッキの場合は、まず、硬化した絶縁樹脂組成物層の表面を、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等)、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等の酸化剤で粗化処理し、凸凹のアンカーを形成する。酸化剤としては、特に過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等の水酸化ナトリウム水溶液(アルカリ性過マンガン酸水溶液)が好ましく用いられる。次いで、無電解メッキと電解メッキとを組み合わせた方法で導体層を形成する。また導体層とは逆パターンのメッキレジストを形成し、無電解メッキのみで導体層を形成することもできる。その後のパターン形成の方法として、例えば、公知のサブトラクティブ法、セミアディティブ法等を用いることができる。
本発明の積層板は、前述の本発明のプリプレグを用いて、積層成形して、形成することができる。本発明のプリプレグを、例えば、1〜20枚重ね、その片面又は両面に銅又はアルミニウム等の金属箔を配置した構成で積層成形することにより製造することができる。
積層板を製造する際の成形条件は、例えば、電気絶縁材料用積層板及び多層板の手法が適用でき、例えば多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃、圧力0.2〜10MPa、加熱時間0.1〜5時間の範囲で成形することができる。また、本発明のプリプレグと内層用配線板とを組合せ、積層成形して、積層板を製造することもできる。
本発明に係る多層プリント配線板は、前記積層板の表面に回路を形成して製造される。例えば、本発明に係る積層板の導体層を通常のエッチング法によって配線加工し回路基板を得ることができる。そして、前述のプリプレグを介して配線加工した積層板を複数積層し、加熱プレス加工することによって一括して多層化する。その後、ドリル加工、レーザー加工によるスルーホール又はブラインドビアホールの形成と、メッキ又は導電性ペーストによる層間配線の形成を経て多層プリント配線板を製造することができる。
[半導体パッケージ]
本発明に係る半導体パッケージは、前記多層プリント配線板の所定の位置に半導体チップやメモリ等を搭載し製造される。
次に、下記の実施例により本発明を更に詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
なお、以下の実施例で得られた銅張積層板は、以下の方法で性能を測定・評価した。
(1)樹脂板の収縮率の測定
縦5mm(X方向)、横5mm(Y方向)、厚さ1mm(Z方向)の樹脂板を作製し、TMA試験装置(TAインスツルメント社製、Q400)を用いて圧縮法で熱機械分析を行った。樹脂板を前記装置にX方向又はY方向に装着後、荷重5g、昇温速度45℃/分とし、20℃(5分保持)〜260℃(2分保持)〜20℃(5分保持)の温度プロファイルにて測定した。昇温開始前の20℃及び昇温後の20℃での寸法変化量から樹脂板の収縮率(%)を評価した。
具体的には、以下の式を用いて、樹脂板の収縮率を算出した。
収縮率(%)={(昇温開始前20℃の寸法(mm)−昇温後20℃の寸法(mm))/昇温開始前20℃の寸法(mm)}×100
(2)ガラス転移温度(Tg)
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用いて圧縮法で熱機械分析をおこなった。評価基板を前記装置にX方向に装着後、荷重5g、昇温速度10℃/分の測定条件にて連続して2回測定した。2回目の測定における熱膨張曲線の異なる接線の交点で示されるTgを求め、耐熱性を評価した。
(3)熱膨張率
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用いて圧縮法で熱機械分析をおこなった。評価基板を前記装置にX方向に装着後、荷重5g、昇温速度10℃/分の測定条件にて連続して2回測定した。2回目の測定における30℃から100℃までの平均熱膨張率を算出し、これを熱膨張率の値とした。
(4)銅箔接着性(銅箔ピール強度)
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより3mm幅の銅箔を形成して評価基板を作製し、引張り試験機を用いて銅箔の接着性(90°ピール強度)を測定した。なお、配線板としては、通常、0.6KN/m程度以上のピール強度が求められる。
(5)銅付きはんだ耐熱性の評価
銅張積層板から25mm角の評価基板を作製し、温度288℃のはんだ浴に、120分間評価基板をフロートし、外観を観察することにより銅付きはんだ耐熱性を評価した。
(6) 曲げ弾性率の測定
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた50mm×25mmの評価基板を作製し、(株)オリエンテック社製5トンテンシロンを用い、クロスヘッド速度1mm/minスパン間距離20mmで測定した。なお、配線板としては、通常、28GPa程度以上の曲げ弾性率が求められる。
(7)誘電特性(比誘電率及び誘電正接)
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた100mm×2mmの評価基板を作製し、空洞共振機装置((株)関東電子応用開発製)を用いて、周波数1GHzでの比誘電率及び誘電正接を測定した。
(実施例1〜19、比較例1〜6)
以下に示す各成分を表1〜4に示した配合割合(質量部)で混合し、溶媒にメチルエチルケトンを用いて樹脂分65質量%の均一なワニスを作製した。次に、このワニスを厚さ0.1mmのEガラスクロスに含浸塗工し、160℃で10分加熱乾燥して樹脂含有量48質量%のプリプレグを得た。
このプリプレグを4枚重ね、12μmの電解銅箔を上下に配置し、圧力2.5MPa、温度240℃で60分間プレスを行って、銅張積層板を得た。
また、上記ワニスを、16μmのポリエチレンテレフタレート製フィルムに、乾燥後の樹脂厚が35μmとなるようにフィルムアプリケーター(テスター産業(株)製、PI−1210)を用いて塗布し、160℃で10分加熱乾燥し、半硬化物の樹脂粉を得た。支持体としては、特に制限はなく、汎用のものを使用することができ、また、塗布の方法としても特に制限はなく、通常の卓上塗工機を用いて塗布すればよい。
この樹脂粉をテフロンシートの型枠に投入し、12μmの電解銅箔の光沢面を上下に配置し、圧力2.0MPa、温度240℃で60分間プレスを行った後、電解銅箔を除去して樹脂板を得た。得られた銅張積層板及び樹脂板の試験・評価した結果を表1〜4に示す。
第三級ホスフィンとキノン類との付加物(a)
(a−1)トリフェニルホスフィンとp−ベンゾキノンとの付加物
(a−2)トリス(4−メチルフェニル)ホスフィンとp−ベンゾキノンとの付加物
(a−3)トリブチルホスフィンとp−ベンゾキノンとの付加物
(a)の製造方法は、原料となる第三級ホスフィンとキノン類とがともに溶解する溶媒中で両者を撹拌混合する方法で合成できる。製造条件としては、室温から80℃の範囲で、原料の溶解度が高く生成した付加物の溶解度が低いメチルイソブチルケトン中で、1時間〜12時間撹拌する条件である。
芳香族アミン化合物(i)
(i−1) 4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−ジフェニルメタン
〔日本化薬(株)製;商品名:KAYAHARD A−A〕
(i−2) 2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン
〔和歌山精化工業(株)製;商品名:BAPP〕
芳香族アルデヒド化合物(ii)
・TPAL:テレフタルアルデヒド〔東レ・ファインケミカル(株)製〕
分子末端に少なくとも2個の一級アミノ基を有するシロキサン化合物(c)
両末端ジアミン変性シロキサン
〔信越化学工業(株)製;商品名:X−22−161B〕
少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)
(d−1)ビス(4−マレイミドフェニル)メタン
〔ケイ・アイ化成(株)製;商品名:BMI〕
(d−2)2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン
〔大和化成工業(株)製;商品名:BMI−4000〕
酸性置換基を有するアミン化合物(e)
p−アミノフェノール〔関東化学(株)製〕
(製造実施例1〜4)
製造実施例1:芳香族アゾメチン基を有するアミノ変性シロキサン化合物(I−1)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−ジフェニルメタン(i−1):12.9g、テレフタルアルデヒド(ii):17.1g、プロピレングリコールモノメチルエーテル:45.0gを入れ、115℃で4時間反応した後、130℃まで昇温して常圧濃縮により脱水し、芳香族アゾメチン化合物含有溶液(樹脂成分:60質量%)を得た。
次に、上記反応溶液に、X−22−161B(c):325.5g、プロピレングリコールモノメチルエーテル:513.3gを入れ、115℃で4時間反応した後、130℃まで昇温して常圧濃縮により脱水し、芳香族アゾメチン基を有する変性シロキサン化合物(I−1)含有溶液(樹脂成分:90質量%)を得た。
製造実施例2:芳香族アゾメチン基を有するアミノ変性シロキサン化合物(I−2)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、2,5−ジメチル−1,4−ジアミノベンゼン:8.7g、テレフタルアルデヒド(ii):21.3g、プロピレングリコールモノメチルエーテル:45.0gを入れ、115℃で4時間反応した後、130℃まで昇温して常圧濃縮により脱水し、芳香族アゾメチン化合物含有溶液(樹脂成分:60質量%)を得た。
次に、上記反応溶液に、X−22−161B(c):413.8g、プロピレングリコールモノメチルエーテル:645.7gを入れ、115℃で4時間反応した後、130℃まで昇温して常圧濃縮により脱水し、芳香族アゾメチン基を有する変性シロキサン化合物(I−2)含有溶液(樹脂成分:90質量%)を得た。
製造実施例3:芳香族アゾメチン基を有する変性イミド樹脂(J−1)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、芳香族アゾメチン基を有する変性シロキサン化合物(I−1)含有溶液(樹脂成分:90質量%):77.8g、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン(d−2):246.9 g、プロピレングリコールモノメチルエーテル:425.3gを入れ、115℃で4時間反応した後、130℃まで昇温して常圧濃縮し、芳香族アゾメチン基を有する変性イミド樹脂(J−1)含有溶液(樹脂成分:60質量%)を得た。この変性イミド樹脂(J−1)は、分子構造中に芳香族アゾメチン基を有するアミノ変性シロキサン化合物(I)と分子構造中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)とを配合して得られたものである。
製造実施例4:酸性置換基と芳香族アゾメチン基を有する変性イミド樹脂(K−1)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、芳香族アゾメチン基を有する変性シロキサン化合物(I−1)含有溶液(樹脂成分:90質量%):94.7g、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン(d−2):225.6g、p−アミノフェノール(e):2.3g、プロピレングリコールモノメチルエーテル:427.4gを入れ、115℃で4時間反応した後、130℃まで昇温して常圧濃縮し、酸性置換基と芳香族アゾメチン基を有する変性イミド樹脂(K−1)含有溶液(樹脂成分:60質量%)を得た。この変性イミド樹脂(K−1)は、分子構造中に芳香族アゾメチン基を有するアミノ変性シロキサン化合物(I)と分子構造中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)とを配合して得られたものである。
熱可塑性エラストマー(f)
(f−1)タフテックH1043:水添スチレン−ブタジエン共重合樹脂〔旭化成ケミ カルズ(株)製〕
(f−2)エポフレンドCT−310:エポキシ変性スチレン−ブタジエン共重合樹脂〔ダイセル化学工業(株)製〕
(f−3)M1913:カルボン酸変性水添スチレン−ブタジエン共重合樹脂〔旭化成ケミカルズ(株)製〕
熱硬化性樹脂(g)
(g−1)α−ナフトール/クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
〔日本化薬(株)製;商品名:NC−7000L〕
(g−2)ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂
〔日本化薬(株)製;商品名:NC−3000H〕
硬化促進剤(h)
(h−1)1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール
〔四国化成(株)製;商品名:2MZ−CN〕
(h−2)2−フェニル−イミダゾール
〔四国化成(株)製;商品名:2PZ〕
無機充填材:溶融球状シリカ((株)アドマテックス製:商品名:SC2050−KNK)
Figure 0006299433
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表1〜4から明らかなように、本発明の実施例では、樹脂板の収縮率が小さく低収縮性に優れ、また、積層板の特性においても、熱膨張率、銅箔接着性、弾性率、誘電特性に優れている。
一方、比較例は、樹脂板の収縮率が大きく、また、積層板の特性においても、熱膨張率、銅箔接着性、弾性率、誘電特性において実施例と比較し、いずれかの特性に劣っている。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を、基材に含浸、又は塗工して得たプリプレグ、支持体に塗工して得た樹脂付フィルム、及び該プリプレグを積層成形することにより製造した積層板は、特に低収縮性、低熱膨張性、銅箔接着性、高弾性率、優れた誘電特性を有し、高集積化された半導体パッケージや電子機器用多層プリント配線板として有用である。

Claims (11)

  1. 第三級ホスフィンとキノン類との付加物(a)、
    1分子中に少なくとも1個のアルデヒド基を有する芳香族アゾメチン化合物(b)と、分子末端に少なくとも2個の一級アミノ基を有するシロキサン化合物(c)とを反応させ得られる、分子構造中に芳香族アゾメチン基を有するアミノ変性シロキサン化合物(I)、及び
    分子構造中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)を配合してなることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  2. 下記一般式(1)に示す酸性置換基を有するアミン化合物(e)をさらに配合してなる請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
    Figure 0006299433
    (式(1)中、R1は各々独立に、酸性置換基である水酸基、カルボキシル基又はスルホン酸基を、R2は各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、xは1〜5の整数、yは0〜4の整数で、かつxとyの和は5である。)
  3. 熱可塑性エラストマー(f)をさらに配合してなる請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 他の熱硬化性樹脂(g)をさらに配合してなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 無機充填材をさらに配合してなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を用いてなるプリプレグ。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を支持体上に層形成してなる樹脂付フィルム。
  8. 請求項6に記載のプリプレグを積層成形し得られる積層板。
  9. 請求項7に記載の樹脂付フィルムを積層成形して得られる積層板。
  10. 請求項8又は9に記載の積層板を用いて製造された多層プリント配線板。
  11. 請求項10に記載の多層プリント配線板に半導体を搭載してなる半導体パッケージ。
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