JP7162428B2 - 不燃性化粧シート - Google Patents
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Description
不燃性化粧シート10は、シートの最表面にコーティング層1を有してもよい。コーティング層1は、不燃性化粧シート10の表面に光沢を付与する役割を有するものである。コーティング層1は、例えば、コーティング組成物を後述するベースフィルム層2上に塗工して塗膜を形成した後、加熱乾燥、紫外線照射等により該塗膜を硬化させる方法によって形成できる。
トップフィルム層2は、塩化ビニル樹脂を含有する。すなわち、トップフィルム層2は、ポリ塩化ビニルフィルム(PVCフィルム)と一般に呼ばれるものであってもよい。トップフィルム層2は、インキ層2の表面を保護する役割を有するものである。トップフィルム層2にPVCフィルムを用いることにより、高い透明性を得ることができる。高い透明性は、インキ層2によって得られる意匠性をより高めるために求められる。不燃性化粧シート10は、トップフィルム層2及び後述するベースフィルム層4の両方に、難燃性に優れる塩化ビニル樹脂を含有すフィルムを用いることで、総発熱量の上昇を抑制することができる。
インキ層3は、染料又は顔料を含有する加飾層である。インキ層3を配置することで、不燃性化粧シート10の意匠性を高めることができる。インキ層3は、樹脂組成物に染料又は顔料を添加した有色フィルムであってもよいし、樹脂組成物からなるフィルムの表面の少なくとも一部に文字、図柄等が印刷された印刷層であってもよい。上記染料又は上記顔料は、特に限定されず、不燃性化粧シートの分野において通常使用されるものを用いることができる。
不燃性化粧シート10の支持体としての役割を有するものであり、インキ層の下地材としての役割も有する。ベースフィルム層4は、塩化ビニル樹脂を含有する。PVCフィルムは、難燃性が高いため、不燃性化粧シート10の支持体として用いることで、総発熱量の上昇を抑制することができる。
粘着剤層5は、粘着剤と、難燃剤として臭素系難燃剤及び三酸化アンチモンを含有する。粘着剤層5は、インキ層3よりも下層に配置されるため、粘着剤層5に臭素系難燃剤及び三酸化アンチモンを添加しても、これらの難燃剤に起因する不燃性化粧シート10の色調変化が視認され難い。粘着剤層5は、ベースフィルム層4よりも更に下層に配置されているため、ベースフィルム層4よりも、粘着剤層5に臭素系難燃剤及び三酸化アンチモンを添加する方が、色調変化が視認され難い。
Sb2O3 + HBr → 2SbOBr + H2O (a)
更に、臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとを併用することで、臭化アンチモン(SbOBr)が生成し、ベースフィルム層の表面に被膜を形成する。上記臭化アンチモンは、下記式(b)~(d)の反応を繰り返し、最終的にSb2O3になるため、燃焼を効果的に抑制することができる。
5SbOBr → Sb4O5Br2 + SbBr3 (b)
4Sb4O5Br2 → 5Sb3O4Br + SbBr3 (c)
3Sb3O4Br → 4Sb2O3 + SbBr3 (d)
不燃性化粧シート10は、粘着剤層5のベースフィルム層4と反対側にセパレーターを設けてもよい。上記セパレーターを設けることにより、本発明の不燃性化粧シートの製造、運搬、保存中に粘着剤層5が露出しないようにして、粘着剤層5の劣化防止や、本発明の不燃性化粧シートの取扱い性向上が可能となる。セパレーターは、基材への貼付の直前に剥離すればよい。
<実施例>
実施例では、コーティング層、トップフィルム層、インキ層、ベースフィルム層、及び、粘着剤層の順で積層された化粧シートを作製した。
トップフィルム層として、平均重合度1000のポリ塩化ビニル(PVC)100重量部に対して、可塑剤としてフタル酸ジイソノニル(DINP)を27重量部添加し、PVCコンパウンドを得た。得られたPVCコンパウンドを、バンバリーミキサーで溶融混練した後、逆L字型カレンダーにてシート状に成形し、厚さ80μmのPVCフィルムを作製した。
粘着層における、臭素系難燃剤及び/又は三酸化アンチモンの含有量を変更した点以外は、実施例1と同様にして実施例2、3、及び、比較例2~5に係る不燃性化粧シートを作製した。また、ベースフィルム層及び粘着剤層に、臭素系難燃剤及び三酸化アンチモンを添加しなかった点以外は、実施例1と同様にして比較例1に係る不燃性化粧シートを作製した。実施例及び比較例について、ベースフィルム層の構成、粘着剤層の構成、不燃性化粧シートの総有機質量、及び、総厚を下記表1に示した。
実施例及び比較例で作製した不燃性化粧シートについて、下記の方法により、(1)総発熱量、(2)ブルームの発生、及び、(3)色調変化を評価した。結果を下記表1に示した。
厚さ12.5mmの石膏ボートに不燃性化粧シートを張り付けた後、(財)建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」及び「防火材料の発熱性試験装置(コーンカロリーメーター)」に基づきコーンカロリーメーター燃焼試験を行い、総発熱量(MJ/m2)を測定した。実施例及び比較例では、総発熱量の目標値を7.2MJ/m2以下とした。
測定方法60℃、常湿で1週間放置する試験と、測定方法50℃、湿度95%で1週間放置する試験とを行った。それぞれのサンプルについて、粘着剤層に添加した難燃剤が表面に吹き出していないかを、不燃性化粧シートを粘着剤層側から目視にて観察し、吹き出しが確認されなければ○、吹き出しが確認されれば×とした。
不燃性化粧シートを上層側から目視にて観察し、白濁が確認されなければ○、白濁が確認されれば×とした。
2:トップフィルム層
3:インキ層
4:ベースフィルム層
5:粘着剤層
10:不燃性化粧シート
Claims (3)
- トップフィルム層、インキ層、ベースフィルム層、及び、粘着剤層の順に積層され、
前記トップフィルム層及び前記ベースフィルム層は、塩化ビニル樹脂を含有し、
前記ベースフィルム層は、前記塩化ビニル樹脂100重量部に対して、臭素系難燃剤を0~15重量部、三酸化アンチモンを0~10重量部含有し、
前記粘着剤層は、粘着剤100重量部に対して、前記臭素系難燃剤を2~15重量部、前記三酸化アンチモンを2~15重量部含有し、
前記トップフィルム層は、前記臭素系難燃剤及び前記三酸化アンチモンを含有しないことを特徴とする不燃性化粧シート。 - 前記臭素系難燃剤は、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌル酸を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の不燃性化粧シート。
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