JP2019093582A - 加飾フィルム、加飾成形品及び加飾成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐熱性に優れた加飾フィルムを提供する。【解決手段】 第一のポリ塩化ビニル、第一の可塑剤及び第一の熱収縮防止剤を含有するトップフィルムと、第二のポリ塩化ビニル、第二の可塑剤及び第二の熱収縮防止剤を含有するベースフィルムとが積層されてなり、上記第一のポリ塩化ビニル100重量部に対する上記第一の可塑剤の配合量と上記第二のポリ塩化ビニル100重量部に対する上記第二の可塑剤の配合量との比は、0.85〜1.15であり、上記第一の熱収縮防止剤は、上記第一のポリ塩化ビニル100重量部に対して5重量部以上配合され、かつ、上記第二の熱収縮防止剤は、上記第二のポリ塩化ビニル100重量部に対して5重量部以上配合されている加飾フィルム。【選択図】 図1
Description
本発明は、加飾フィルム、加飾成形品及び加飾成形品の製造方法に関する。
基材(被着体)に意匠性を付与する方法として、加飾フィルムを基材に貼り付ける方法が従来から用いられている。
特許文献1では、塩化ビニル系重合体100重量部について、可塑剤5〜20重量部とメタクリル酸メチル−アクリル酸アルキル共重合体、α−メチルスチレン−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル−マレイミド共重合体及びポリメタクリル酸メチルから選ばれる少なくとも1種のアクリル系樹脂0〜20重量部とを含有する塩化ビニル系樹脂組成物からなり、かつ、その柔軟温度を45〜65℃としたフィルムに絞付けし、このフィルムを温度60〜70℃にて基材に真空成形にて貼り合わせることを特徴とする化粧板の製造方法が開示されている。
特許文献2では、塩化ビニル系重合体100重量部について、可塑剤5〜20重量部を含有する塩化ビニル系樹脂組成物からなるフィルムに絞付けし、その絞付けした表面に紫外線硬化性塗料を塗布し、硬化させ、このフィルムを温度60〜85℃にて基材に真空成形にて貼り合わせることを特徴とする化粧板の製造方法が開示されている。
特許文献3では、塩素含有ビニル系重合体及びエチレン−酢酸ビニル系共重合体からなる群から選択される少なくとも1種のビニル系重合体と、熱伝導性金属化合物、炭素繊維、黒鉛繊維及びカーボンブラックよりなる群から選択される少なくとも1種の熱伝導性材料とを含むビニル系樹脂組成物からなり、熱伝導率が0.5W/m・K以上であることを特徴とするビニル系樹脂組成物成形体が開示されている。
特許文献4では、転写箔と透明熱可塑性樹脂フィルムとを、透明熱可塑性樹脂フィルムの一方の表面において押出ラミネートする工程と、透明熱可塑性樹脂フィルムの他方の表面に、スクリーン印刷により、二種以上の異なる模様を印刷し熱可塑性樹脂化粧シートを製造する工程と、略矩形立体形状をなす木質基材の表面部及び木口部を熱可塑性樹脂化粧シートによって被覆する三次元ラミネート工程と、から少なくとも構成されていることを特徴とする扉部材の製造方法が開示されている。
加飾フィルムを基材に貼り付けて形成される加飾成形品においては、高温環境下(例えば、直射日光が当たる環境下)に曝されると、加飾フィルムの熱収縮力によって、加飾フィルムが基材から剥がれてしまい、結果的に、意匠性が失われてしまうことがあった。特に、加飾フィルムを基材に貼り付ける際に真空圧空成形、メンブレンプレス成形等のラミネート成形を利用すると、加飾フィルムが引き伸ばされた状態で基材に貼り付けられるため、加飾フィルムには収縮力がより強く働いている。そのため、この状態で高温環境下に曝されると、加飾フィルムに働く収縮力が増大することによって、加飾フィルムが基材から剥がれやすくなってしまうことがあった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、耐熱性に優れた加飾フィルムと、上記加飾フィルムを用いた加飾成形品と、その加飾成形品の製造方法とを提供することを目的とするものである。
本発明者は、加飾フィルムの構成部材として、ポリ塩化ビニル、可塑剤及び熱収縮防止剤を含有する2種類のフィルムを利用した上で、両方のフィルム中の可塑剤及び熱収縮防止剤の配合量を所定の範囲とすれば、熱収縮性が抑制され、結果的に、耐熱性が高まることを見出し、本発明を完成した。
本発明の加飾フィルムは、第一のポリ塩化ビニル、第一の可塑剤及び第一の熱収縮防止剤を含有するトップフィルムと、第二のポリ塩化ビニル、第二の可塑剤及び第二の熱収縮防止剤を含有するベースフィルムとが積層されてなり、上記第一のポリ塩化ビニル100重量部に対する上記第一の可塑剤の配合量と上記第二のポリ塩化ビニル100重量部に対する上記第二の可塑剤の配合量との比は、0.85〜1.15であり、上記第一の熱収縮防止剤は、上記第一のポリ塩化ビニル100重量部に対して5重量部以上配合され、かつ、上記第二の熱収縮防止剤は、上記第二のポリ塩化ビニル100重量部に対して5重量部以上配合されていることを特徴とする。
上記第一の可塑剤及び上記第二の可塑剤のうちの少なくとも一方は、エポキシ化大豆油を含むことが好ましい。
上記第一の可塑剤は、上記第一のポリ塩化ビニル100重量部に対して10重量部以下配合されている、及び/又は、上記第二の可塑剤は、上記第二のポリ塩化ビニル100重量部に対して10重量部以下配合されていることが好ましい。
上記第一の熱収縮防止剤及び上記第二の熱収縮防止剤のうちの少なくとも一方は、メタクリル酸メチル−アクリル酸アルキル共重合体を含むことが好ましい。
上記第一の熱収縮防止剤は、上記第一のポリ塩化ビニル100重量部に対して10〜15重量部配合されている、及び/又は、上記第二の熱収縮防止剤は、上記第二のポリ塩化ビニル100重量部に対して10〜15重量部配合されていることが好ましい。
本発明の加飾成形品は、本発明の加飾フィルムと、基材とを備え、上記加飾フィルムは、上記ベースフィルム側が上記基材に貼り付けられていることを特徴とする。
本発明の加飾成形品の製造方法は、上記トップフィルム及び上記ベースフィルムを形成するカレンダー成形工程と、上記トップフィルム及び上記ベースフィルムを貼り合わせて、上記加飾フィルムを形成するラミネート工程と、上記加飾フィルムを、上記ベースフィルム側から上記基材に貼り付けるラミネート成形工程とを含むことを特徴とする。
本発明の加飾フィルムによれば、耐熱性に優れた加飾フィルムを実現することができる。そのため、基材に貼り付けて用いられる場合、高温環境下であっても、意匠性が長期間保持される。
本発明の加飾成形品によれば、耐熱性に優れた加飾フィルムを用いた加飾成形品を実現することができる。そのため、高温環境下であっても、意匠性を長期間保持することができる。
本発明の加飾成形品の製造方法によれば、耐熱性に優れた加飾フィルムを用いた加飾成形品を製造することができる。そのため、高温環境下であっても、意匠性が長期間保持される加飾成形品を製造することができる。
本発明の加飾成形品によれば、耐熱性に優れた加飾フィルムを用いた加飾成形品を実現することができる。そのため、高温環境下であっても、意匠性を長期間保持することができる。
本発明の加飾成形品の製造方法によれば、耐熱性に優れた加飾フィルムを用いた加飾成形品を製造することができる。そのため、高温環境下であっても、意匠性が長期間保持される加飾成形品を製造することができる。
[加飾フィルム]
本発明の加飾フィルムは、第一のポリ塩化ビニル、第一の可塑剤及び第一の熱収縮防止剤を含有するトップフィルムと、第二のポリ塩化ビニル、第二の可塑剤及び第二の熱収縮防止剤を含有するベースフィルムとが積層されてなり、上記第一のポリ塩化ビニル100重量部に対する上記第一の可塑剤の配合量と上記第二のポリ塩化ビニル100重量部に対する上記第二の可塑剤の配合量との比は、0.85〜1.15であり、上記第一の熱収縮防止剤は、上記第一のポリ塩化ビニル100重量部に対して5重量部以上配合され、かつ、上記第二の熱収縮防止剤は、上記第二のポリ塩化ビニル100重量部に対して5重量部以上配合されていることを特徴とする。
本発明の加飾フィルムは、第一のポリ塩化ビニル、第一の可塑剤及び第一の熱収縮防止剤を含有するトップフィルムと、第二のポリ塩化ビニル、第二の可塑剤及び第二の熱収縮防止剤を含有するベースフィルムとが積層されてなり、上記第一のポリ塩化ビニル100重量部に対する上記第一の可塑剤の配合量と上記第二のポリ塩化ビニル100重量部に対する上記第二の可塑剤の配合量との比は、0.85〜1.15であり、上記第一の熱収縮防止剤は、上記第一のポリ塩化ビニル100重量部に対して5重量部以上配合され、かつ、上記第二の熱収縮防止剤は、上記第二のポリ塩化ビニル100重量部に対して5重量部以上配合されていることを特徴とする。
本明細書中、「フィルム」は「シート」と同義であり、厚みによって両者を区別しない。
本明細書中、「X〜Y」は、「X以上、Y以下」を意味する。
図1は、本発明の加飾フィルムの一例を示す断面模式図である。図1に示すように、加飾フィルム1は、トップフィルム2とベースフィルム3とが積層されてなる。本明細書中、「トップフィルムとベースフィルムとが積層されてなる」とは、トップフィルムとベースフィルムとが接する場合の他に、トップフィルムとベースフィルムとの間に別の層が配置されている場合も含む。加飾フィルム1をこのような積層構造とすることによって、貼り付け対象である基材の色が透けて見えにくくなるため、加飾フィルム1による所望の意匠性が得られやすくなる。
(トップフィルム)
トップフィルム2は、第一のポリ塩化ビニル、第一の可塑剤及び第一の熱収縮防止剤を含有するものである。
トップフィルム2は、第一のポリ塩化ビニル、第一の可塑剤及び第一の熱収縮防止剤を含有するものである。
トップフィルム2によれば、第一の可塑剤及び第一の熱収縮防止剤による熱収縮性の抑制効果が得られる。更に、第一のポリ塩化ビニルによれば、トップフィルム2が伸びやすく、破断しにくくなるため、加飾フィルム1を基材に貼り付ける際、加飾フィルム1が基材の表面形状に追従しやすくなる。更に、トップフィルム2は、ポリ塩化ビニル以外の樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート)を含有するフィルムと比較して、低温(例えば、130℃以下の温度(80℃程度))で成形可能であるため、良好な成形性が得られる。
<第一のポリ塩化ビニル>
第一のポリ塩化ビニルとしては、例えば、塩化ビニルの単独重合体、塩化ビニルと他の単量体との共重合体等が挙げられる。中でも、寸法安定性の観点から、塩化ビニルの単独重合体が好ましい。
第一のポリ塩化ビニルとしては、例えば、塩化ビニルの単独重合体、塩化ビニルと他の単量体との共重合体等が挙げられる。中でも、寸法安定性の観点から、塩化ビニルの単独重合体が好ましい。
第一のポリ塩化ビニルが、塩化ビニルと他の単量体との共重合体である場合、他の単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;エチレン、プロピレン、スチレン等のオレフィン;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル;マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル等のマレイン酸ジエステル;フマル酸ジブチル、フマル酸ジエチル等のフマル酸ジエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;塩化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル、等が挙げられる。これらの単量体は、1種のみの単独で用いられてもよいし、2種以上で併用されてもよい。
第一のポリ塩化ビニルが、塩化ビニルと他の単量体との共重合体である場合、共重合体中の他の単量体の含有量は、通常、50重量%以下であり、好ましくは10重量%以下である。他の単量体の含有量が50重量%よりも多い場合、トップフィルム2の耐屈曲性が低下することがある。
第一のポリ塩化ビニルの平均重合度は、トップフィルム2の所望の硬さ、その硬さの調整に用いられる第一の可塑剤の量等に応じて適宜調整されるものであるが、加工性の観点から、好ましくは800〜1300である。なお、本明細書中、「ポリ塩化ビニルの平均重合度」は、JIS K6721「塩化ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定された平均重合度を意味する。
<第一の可塑剤>
第一の可塑剤としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ樹脂等のエポキシ系可塑剤;高分子ポリエステル可塑剤;フタル酸オクチル(ジ−2−エチルヘキシルフタレート)、フタル酸ジブチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル等のフタル酸ジエステル;アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル等の脂肪族二塩基酸ジエステル;トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸トリエステル、等が挙げられる。これらの可塑剤は、1種のみの単独で用いられてもよいし、2種以上で併用されてもよい。
第一の可塑剤としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ樹脂等のエポキシ系可塑剤;高分子ポリエステル可塑剤;フタル酸オクチル(ジ−2−エチルヘキシルフタレート)、フタル酸ジブチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル等のフタル酸ジエステル;アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル等の脂肪族二塩基酸ジエステル;トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸トリエステル、等が挙げられる。これらの可塑剤は、1種のみの単独で用いられてもよいし、2種以上で併用されてもよい。
高分子ポリエステル可塑剤としては、例えば、フタル酸の、ポリエチレングリコールジエステル、ポリプロピレングリコールジエステル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールジエステル等のポリアルキレングリコールジエステル;アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族二塩基酸の、ポリエチレングリコールジエステル、ポリプロピレングリコールジエステル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールジエステル等のポリアルキレングリコールジエステル、等が挙げられる。これらの高分子ポリエステル可塑剤は、1種のみの単独で用いられてもよいし、2種以上で併用されてもよい。
第一の可塑剤は、エポキシ化大豆油を含むことが好ましい。これにより、トップフィルム2を、例えば、カレンダー成形によって形成する際の耐熱性が充分に確保される。
第一の可塑剤の数平均分子量は、好ましくは350〜3000である。第一の可塑剤の数平均分子量が350よりも小さい場合、第一の可塑剤がトップフィルム2の表面にブリードしやすくなる。第一の可塑剤の数平均分子量が3000よりも大きい場合、第一の可塑剤によって充分な柔軟性が付与されず、トップフィルム2が硬くなり過ぎるため、加工性が低下することがある。
第一の可塑剤は、第一のポリ塩化ビニル100重量部に対して、10重量部以下配合されていることが好ましく、8重量部以下配合されていることがより好ましい。第一の可塑剤の配合量が10重量部よりも多い場合、トップフィルム2の熱収縮性が充分に抑制されず、結果的に、加飾フィルム1の耐熱性が充分に高まらないことがある。一方、第一の可塑剤の配合量が少な過ぎる場合、トップフィルム2を、例えば、カレンダー成形によって形成する際の加工性が低下することがある。このような観点から、第一の可塑剤は、第一のポリ塩化ビニル100重量部に対して、5重量部よりも多く配合されていることが好ましい。
<第一の熱収縮防止剤>
第一の熱収縮防止剤としては、例えば、メタクリル酸メチル−アクリル酸アルキル共重合体、α−メチルスチレン−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル−マレイミド共重合体、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂が挙げられる。これらの熱収縮防止剤は、1種のみの単独で用いられてもよいし、2種以上で併用されてもよい。
第一の熱収縮防止剤としては、例えば、メタクリル酸メチル−アクリル酸アルキル共重合体、α−メチルスチレン−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル−マレイミド共重合体、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂が挙げられる。これらの熱収縮防止剤は、1種のみの単独で用いられてもよいし、2種以上で併用されてもよい。
第一の熱収縮防止剤は、メタクリル酸メチル−アクリル酸アルキル共重合体を含むことが好ましい。これにより、トップフィルム2の熱収縮性が充分に抑制され、結果的に、加飾フィルム1の耐熱性が充分に高まる。
第一の熱収縮防止剤は、第一のポリ塩化ビニル100重量部に対して5重量部以上配合され、10〜15重量部配合されていることが好ましい。第一の熱収縮防止剤の配合量が5重量部よりも少ない場合、トップフィルム2の熱収縮性が抑制されず、結果的に、加飾フィルム1の耐熱性が低下する。一方、熱収縮性を抑制する観点からは、第一の熱収縮防止剤の配合量を多くすることが望ましい。しかしながら、第一の熱収縮防止剤の配合量が多過ぎる、例えば、第一の熱収縮防止剤の配合量が15重量部よりも多い場合、トップフィルム2を、例えば、カレンダー成形によって形成する際に、プレートアウト等の加工上の問題が発生することがある。
トップフィルム2は、安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、発泡剤、滑剤、改質剤、充填剤、希釈剤等の添加剤を更に含有していてもよい。これらの添加剤としては、ポリ塩化ビニルに対して一般的に配合されるものを使用可能である。
トップフィルム2の厚みは、好ましくは60μm〜200μmである。トップフィルム2の厚みが60μmよりも小さい場合、トップフィルム2が柔軟になり過ぎてしまい、加工性が低下することがある。トップフィルム2の厚みが200μmよりも大きい場合、トップフィルム2が硬くなり過ぎてしまい、加工性が低下することがある。
トップフィルム2のベースフィルム3とは反対側の表面には、エンボス加工等の表面加工が施されていてもよい。トップフィルム2のベースフィルム3とは反対側の表面にエンボス加工が施されて、エンボス形状(凹凸形状)が付与されると、そのエンボス形状によって質感が向上するため、加飾フィルム1の意匠性が顕著に高まる。
(ベースフィルム)
ベースフィルム3は、第二のポリ塩化ビニル、第二の可塑剤及び第二の熱収縮防止剤を含有するものである。
ベースフィルム3は、第二のポリ塩化ビニル、第二の可塑剤及び第二の熱収縮防止剤を含有するものである。
ベースフィルム3によれば、第二の可塑剤及び第二の熱収縮防止剤による熱収縮性の抑制効果が得られる。更に、第二のポリ塩化ビニルによれば、ベースフィルム3が伸びやすく、破断しにくくなるため、加飾フィルム1を基材に貼り付ける際、加飾フィルム1が基材の表面形状に追従しやすくなる。更に、ベースフィルム3は、ポリ塩化ビニル以外の樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート)を含有するフィルムと比較して、低温(例えば、130℃以下の温度(80℃程度))で成形可能であるため、良好な成形性が得られる。
ベースフィルム3は、意匠性を付与するための図柄等に対応する印刷層が形成される下地としての役割を有していてもよい。すなわち、トップフィルム2とベースフィルム3との間には、印刷層が更に配置されていてもよい。
印刷層は、ベースフィルム3の表面を全体的に覆うものであってもよいし、部分的に覆うものであってもよい。例えば、印刷層が任意の図柄等に対応する平面形状を有する場合、印刷層はベースフィルム3の表面を部分的に覆うことになる。
<第二のポリ塩化ビニル>
第二のポリ塩化ビニルは、組成及び平均重合度等の点で、第一のポリ塩化ビニルと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第二のポリ塩化ビニルは、組成及び平均重合度等の点で、第一のポリ塩化ビニルと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
<第二の可塑剤>
第二の可塑剤は、組成、数平均分子量及び配合量等の点で、第一の可塑剤と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第二の可塑剤は、組成、数平均分子量及び配合量等の点で、第一の可塑剤と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第二の可塑剤は、エポキシ化大豆油を含むことが好ましい。これにより、ベースフィルム3を、例えば、カレンダー成形によって形成する際の耐熱性が充分に確保される。
第二の可塑剤は、第二のポリ塩化ビニル100重量部に対して、10重量部以下配合されていることが好ましく、8重量部以下配合されていることがより好ましい。第二の可塑剤の配合量が10重量部よりも多い場合、ベースフィルム3の熱収縮性が充分に抑制されず、結果的に、加飾フィルム1の耐熱性が充分に高まらないことがある。一方、第二の可塑剤の配合量が少な過ぎる場合、ベースフィルム3を、例えば、カレンダー成形によって形成する際の加工性が低下することがある。このような観点から、第二の可塑剤は、第二のポリ塩化ビニル100重量部に対して、5重量部よりも多く配合されていることが好ましい。
<第二の熱収縮防止剤>
第二の熱収縮防止剤は、組成、数平均分子量及び配合量等の点で、第一の熱収縮防止剤と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第二の熱収縮防止剤は、組成、数平均分子量及び配合量等の点で、第一の熱収縮防止剤と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第二の熱収縮防止剤は、メタクリル酸メチル−アクリル酸アルキル共重合体を含むことが好ましい。これにより、ベースフィルム3の熱収縮性が充分に抑制され、結果的に、加飾フィルム1の耐熱性が充分に高まる。
第二の熱収縮防止剤は、第二のポリ塩化ビニル100重量部に対して5重量部以上配合され、10〜15重量部配合されていることが好ましい。第二の熱収縮防止剤の配合量が5重量部よりも少ない場合、ベースフィルム3の熱収縮性が抑制されず、結果的に、加飾フィルム1の耐熱性が低下する。一方、熱収縮性を抑制する観点からは、第二の熱収縮防止剤の配合量を多くすることが望ましい。しかしながら、第二の熱収縮防止剤の配合量が多過ぎる、例えば、第二の熱収縮防止剤の配合量が15重量部よりも多い場合、ベースフィルム3を、例えば、カレンダー成形によって形成する際に、プレートアウト等の加工上の問題が発生することがある。
ベースフィルム3は、安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、発泡剤、滑剤、改質剤、充填剤、希釈剤等の添加剤を更に含有していてもよい。これらの添加剤としては、ポリ塩化ビニルに対して一般的に配合されるものを使用可能であり、トップフィルム2中の添加剤と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
ベースフィルム3の厚みは、好ましくは100μm〜200μmである。ベースフィルム3の厚みが100μmよりも小さい場合、加飾フィルム1(ベースフィルム3)の貼り付け対象である基材の色が透けて見えやすくなり、加飾フィルム1による所望の意匠性が得られにくくなることがある。また、ベースフィルム3が柔軟になり過ぎてしまい、加工性が低下することがある。ベースフィルム3の厚みが200μmよりも大きい場合、ベースフィルム3が硬くなり過ぎてしまい、加工性が低下することがある。
加飾フィルム1において、トップフィルム2中の第一のポリ塩化ビニル100重量部に対する第一の可塑剤の配合量(A)とベースフィルム3中の第二のポリ塩化ビニル100重量部に対する第二の可塑剤の配合量(B)との比(A/B)は、0.85〜1.15であり、好ましくは1である。上記の配合量の比が0.85よりも小さい場合、加飾フィルム1の熱収縮性が抑制されず、結果的に、耐熱性が低下する。上記の配合量の比が1.15よりも大きい場合、加飾フィルム1の熱収縮性が抑制されず、結果的に、耐熱性が低下する。
加飾フィルム1によれば、第一の可塑剤及び第二の可塑剤(配合量の比が所定の範囲)による熱収縮性の抑制効果と、第一の熱収縮防止剤及び第二の熱収縮防止剤(配合量が所定の範囲)による熱収縮性の抑制効果とが相乗されるため、耐熱性が顕著に高まる。よって、加飾フィルム1が基材に貼り付けて用いられる場合、高温環境下であっても、加飾フィルム1が基材から剥がれにくく、意匠性が長期間保持される。
加飾フィルム1は、ベースフィルム3のトップフィルム2とは反対側の表面上に、粘着剤層を更に有していてもよい。これにより、加飾フィルム1を基材に容易に貼り付けることができる。
粘着剤層は、粘着機能(感圧接着性)を有するものであれば特に限定されない。
粘着剤層の材料としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤等が挙げられる。中でも、粘着性、加工性、耐熱老化性、耐湿老化性、及び、耐候性に優れるとともに、比較的安価である点から、アクリル系粘着剤が好ましい。
粘着剤層の厚みは、好ましくは10〜60μm、より好ましくは20〜50μmである。粘着剤層の厚みが10μmよりも小さい場合、充分な粘着性が得られないことがある。粘着剤層の厚みが60μmよりも大きい場合、加飾フィルム1の柔軟性が低下し過ぎてしまい、加工性が低下することがある。
加飾フィルム1は、粘着剤層のベースフィルム3とは反対側の表面上に、セパレーターを更に有していてもよい。これにより、加飾フィルム1の製造、運搬、保存中に粘着剤層が露出しないようになるため、粘着剤層の劣化を防止したり、加飾フィルム1の取り扱い性を高めたりすることができる。セパレーターは、加飾フィルム1を基材に貼り付ける直前に剥離されればよい。
セパレーターとしては、フィルムの分野で通常用いられるものを使用可能であり、例えば、離型フィルム、離型紙等が挙げられる。
離型フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等の樹脂フィルムの粘着剤層に貼り付けられる側の表面に、シリコン系剥離剤、アルキド系剥離剤、フッ素系剥離剤等の塗布による離型処理が施されたものが挙げられる。
離型紙としては、例えば、上質紙の粘着剤層に貼り付けられる側の表面に、シリコン系剥離剤、アルキド系剥離剤、フッ素系剥離剤等の塗布による離型処理が施されたものが挙げられる。
加飾フィルム1において、トップフィルム2とベースフィルム3との間には、別のフィルムが少なくとも1つ配置されていてもよく、例えば、トップフィルム2と同じ成分を含有するフィルムが少なくとも1つ配置されていてもよい。このような構成において、例えば、トップフィルム2中の顔料の配合量と、トップフィルム2と同じ成分を含有するフィルム中の顔料の配合量と、を異ならせれば、両者の色合いを異ならせることができ、加飾フィルム1の意匠性に奥行き感(深み)を付与することができる。
加飾フィルム1は、その用途が特に限定されず、例えば、自動車等の車両分野、家具等の建築分野、スマートフォン等の電子端末分野、等で用いられる。加飾フィルム1が、建築分野において、例えば、台所、トイレ、浴室等の住宅設備で用いられる場合、加飾フィルム1は中密度繊維板(MDF)に貼り付けられることがある。
[加飾成形品]
本発明の加飾成形品は、本発明の加飾フィルムと、基材とを備え、上記加飾フィルムは、上記ベースフィルム側が上記基材に貼り付けられていることを特徴とする。
本発明の加飾成形品は、本発明の加飾フィルムと、基材とを備え、上記加飾フィルムは、上記ベースフィルム側が上記基材に貼り付けられていることを特徴とする。
図2は、本発明の加飾成形品の一例を示す断面模式図である。図2に示すように、加飾成形品10は、加飾フィルム1と、接着剤層11と、基材12とを順に有している。加飾フィルム1は、ベースフィルム3側が接着剤層11を介して基材12に貼り付けられている。
(基材)
基材12としては、例えば、自転車、バイク、自動車、バス、電車等の車両;船;飛行機、ヘリコプター等の航空機;ヘルメット;家具、家電製品等の家庭用品;壁面、床面、天井、屋根、柱、看板、ドア、門等の建造物;スマートフォン、タブレット等の電子端末;キャビネット、事務机、パソコン等のオフィス用品;建築現場の建築材料;これらの構成部品、等が挙げられる。
基材12としては、例えば、自転車、バイク、自動車、バス、電車等の車両;船;飛行機、ヘリコプター等の航空機;ヘルメット;家具、家電製品等の家庭用品;壁面、床面、天井、屋根、柱、看板、ドア、門等の建造物;スマートフォン、タブレット等の電子端末;キャビネット、事務机、パソコン等のオフィス用品;建築現場の建築材料;これらの構成部品、等が挙げられる。
基材12の材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)等の樹脂;鉄、銅、アルミニウム等の金属又はこれらの合金、等が挙げられる。
(接着剤層)
接着剤層11の材料(接着剤)としては、例えば、湿気硬化型ウレタン接着剤、水系ウレタン接着剤等が挙げられる。
接着剤層11の材料(接着剤)としては、例えば、湿気硬化型ウレタン接着剤、水系ウレタン接着剤等が挙げられる。
図2において、加飾フィルム1は、ベースフィルム3側が接着剤層11を介して基材12に貼り付けられているが、ベースフィルム3側が上述した粘着剤層を介して基材12に貼り付けられていてもよい。
加飾成形品10によれば、耐熱性に優れた加飾フィルム1が用いられているため、高温環境下であっても、加飾フィルム1が基材12から剥がれにくく、意匠性が長期間保持される。
[加飾成形品の製造方法]
本発明の加飾成形品の製造方法は、上記トップフィルム及び上記ベースフィルムを形成するカレンダー成形工程と、上記トップフィルム及び上記ベースフィルムを貼り合わせて、上記加飾フィルムを形成するラミネート工程と、上記加飾フィルムを、上記ベースフィルム側から上記基材に貼り付けるラミネート成形工程とを含むことを特徴とする。
本発明の加飾成形品の製造方法は、上記トップフィルム及び上記ベースフィルムを形成するカレンダー成形工程と、上記トップフィルム及び上記ベースフィルムを貼り合わせて、上記加飾フィルムを形成するラミネート工程と、上記加飾フィルムを、上記ベースフィルム側から上記基材に貼り付けるラミネート成形工程とを含むことを特徴とする。
図1に示すような加飾フィルム1を用いて、図2に示すような加飾成形品10を製造する方法について、以下に説明する。
(カレンダー成形工程)
まず、カレンダー成形によって、トップフィルム2及びベースフィルム3を形成する。
まず、カレンダー成形によって、トップフィルム2及びベースフィルム3を形成する。
カレンダー成形時に用いられるカレンダー形式としては、例えば、逆L型、Z型、直立2本型、L型、傾斜3本型等が挙げられる。
(ラミネート工程)
次に、トップフィルム2及びベースフィルム3をラミネート法によって貼り合わせて、加飾フィルム1を形成する。
次に、トップフィルム2及びベースフィルム3をラミネート法によって貼り合わせて、加飾フィルム1を形成する。
ラミネート法としては、例えば、熱ラミネート法等が挙げられる。
ベースフィルム3のトップフィルム2側の表面上には、意匠性を付与するための図柄等に対応する印刷層を予め形成してもよい。印刷層を形成する際の印刷方法としては、例えば、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法等が挙げられる。例えば、インクジェット印刷法を用いて印刷層を形成する場合、インクジェット装置から紫外線硬化型インクをベースフィルム3の表面上に吐出した後、ベースフィルム3の表面上の紫外線硬化型インクに対して紫外線を照射し、紫外線硬化型インクを硬化させることによって印刷層を形成してもよい。このような印刷方法によれば、ベースフィルム3がインク受容層を有していなくても、ベースフィルム3に直接印刷することができる。更に、印刷層がベースフィルム3の表面上に短時間で定着するため、加工性がより高まる。
(ラミネート成形工程)
次に、接着剤層11の材料(接着剤)を基材12の表面上に塗布し、接着剤層11を形成する。この際、接着剤がスプレー塗布可能な低粘度のもの(例えば、溶剤を多く含有するもの)であり、この接着剤を中密度繊維板に塗布する場合、接着剤を2回塗布する、具体的には、塗布、乾燥(薄膜形成)、塗布、及び、乾燥(接着機能を有する膜形成)を順に行い、接着剤層11を形成してもよい。その後、加飾フィルム1を、真空圧空成形、メンブレンプレス成形等のラミネート成形によって、ベースフィルム3側から接着剤層11を介して基材12に貼り付ける。その結果、加飾成形品10が完成する。
次に、接着剤層11の材料(接着剤)を基材12の表面上に塗布し、接着剤層11を形成する。この際、接着剤がスプレー塗布可能な低粘度のもの(例えば、溶剤を多く含有するもの)であり、この接着剤を中密度繊維板に塗布する場合、接着剤を2回塗布する、具体的には、塗布、乾燥(薄膜形成)、塗布、及び、乾燥(接着機能を有する膜形成)を順に行い、接着剤層11を形成してもよい。その後、加飾フィルム1を、真空圧空成形、メンブレンプレス成形等のラミネート成形によって、ベースフィルム3側から接着剤層11を介して基材12に貼り付ける。その結果、加飾成形品10が完成する。
ラミネート成形の一例である真空圧空成形は、例えば、TOM成形機を用いて以下のように行われる。まず、加飾フィルム1及び基材12(接着剤層11付き)を、大気圧状態の成形室内にセットする。次に、成形室を気密状態とした後、真空タンクで吸引し、成形室内を真空状態とする。続いて、その真空状態を維持したまま、ヒーターを用いて所望の成形温度まで加熱し、加飾フィルム1を軟化させる。そして、基材12を、接着剤層11を介して軟化させた加飾フィルム1に押し付けた後、成形室内を大気圧状態とし、更に、圧空タンクから圧縮空気を成形室内に供給する。これにより、加飾フィルム1が基材12に押圧され、ベースフィルム3側から接着剤層11を介して基材12の表面形状に沿って貼り付けられる。その後、必要に応じて、基材12からはみ出した加飾フィルム1(接着剤層11)の余剰部分をトリミングする。
ラミネート成形工程においては、加飾フィルム1を、上述したようにベースフィルム3側から接着剤層11を介して基材12に貼り付けてもよいが、ベースフィルム3側から粘着剤層を介して基材12に貼り付けてもよい。
粘着剤層は、加飾フィルム1において、ベースフィルム3のトップフィルム2とは反対側の表面上に予め形成されていてもよい。このように粘着剤層を形成する方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。まず、粘着剤をセパレーターの表面上に塗布し、乾燥させることによって、粘着剤層をセパレーターの表面上に一旦形成する。その後、セパレーターを粘着剤層側からベースフィルム3に貼り付けると、粘着剤層がベースフィルム3のトップフィルム2とは反対側の表面上に形成される。なお、加飾フィルム1を基材12に貼り付ける際は、セパレーターを剥離すればよい。また、粘着剤層を形成する別の方法として、粘着剤をベースフィルム3のトップフィルム2とは反対側の表面上に直接塗布してもよい。
加飾成形品10の製造方法によれば、耐熱性に優れた加飾フィルム1が用いられているため、高温環境下であっても、加飾フィルム1が基材12から剥がれにくく、意匠性が長期間保持される加飾成形品10を製造することができる。加飾フィルムを基材に貼り付ける際、真空圧空成形、メンブレンプレス成形等のラミネート成形を利用すると、加飾フィルムが引き伸ばされた状態で基材に貼り付けられるため、加飾フィルムには収縮力が働いている。この状態で高温環境下に曝されると、加飾フィルムに働く収縮力が増大するため、従来では、加飾フィルムが基材から剥がれてしまい、結果的に、意匠性が失われてしまうことがあった。これに対して、上述した加飾成形品10の製造方法によれば、真空圧空成形、メンブレンプレス成形等のラミネート成形を利用しているにもかかわらず、意匠性が長期間保持される加飾成形品10を製造することができる。
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
第一のポリ塩化ビニルとしての平均重合度800のポリ塩化ビニル100重量部に対して、第一の可塑剤としてのエポキシ化大豆油(DIC社製の「エポサイザー(登録商標)W−100−EL」)6重量部及びフタル酸ジイソノニル2重量部の合計8重量部と、第一の熱収縮防止剤としてのメタクリル酸メチル−アクリル酸アルキル共重合体(三菱ケミカル社製の「メタブレン(登録商標)H−602」)10重量部とを添加し、ポリ塩化ビニル系組成物を作製した。そして、得られたポリ塩化ビニル系組成物をバンバリーミキサーで溶融混練した後、カレンダー成形によって、トップフィルムを形成した。トップフィルムの厚みは、150μmであった。
第一のポリ塩化ビニルとしての平均重合度800のポリ塩化ビニル100重量部に対して、第一の可塑剤としてのエポキシ化大豆油(DIC社製の「エポサイザー(登録商標)W−100−EL」)6重量部及びフタル酸ジイソノニル2重量部の合計8重量部と、第一の熱収縮防止剤としてのメタクリル酸メチル−アクリル酸アルキル共重合体(三菱ケミカル社製の「メタブレン(登録商標)H−602」)10重量部とを添加し、ポリ塩化ビニル系組成物を作製した。そして、得られたポリ塩化ビニル系組成物をバンバリーミキサーで溶融混練した後、カレンダー成形によって、トップフィルムを形成した。トップフィルムの厚みは、150μmであった。
第二のポリ塩化ビニルとしての平均重合度800のポリ塩化ビニル100重量部に対して、第二の可塑剤としてのエポキシ化大豆油(DIC社製の「エポサイザーW−100−EL」)6重量部及びフタル酸ジイソノニル2重量部の合計8重量部と、第二の熱収縮防止剤としてのメタクリル酸メチル−アクリル酸アルキル共重合体(三菱ケミカル社製の「メタブレンH−602」)10重量部とを添加し、ポリ塩化ビニル系組成物を作製した。そして、得られたポリ塩化ビニル系組成物をバンバリーミキサーで溶融混練した後、カレンダー成形によって、ベースフィルムを形成した。ベースフィルムの厚みは、150μmであった。
次に、トップフィルム及びベースフィルムを熱ラミネート法によって貼り合わせた。その結果、実施例1の加飾フィルムが形成された。
次に、湿気硬化型ウレタン接着剤を、中密度繊維板(厚み:18mm)の表面上にスプレー塗布(2回塗布)し、接着剤層を形成した。その後、TOM成形機を用いた真空圧空成形によって、加飾フィルムを、ベースフィルム側から接着剤層を介して中密度繊維板に貼り付けた。この際、加飾フィルムの端部は中密度繊維板の側面に位置していた。真空圧空成形の条件については、成形温度を90℃、圧空圧力を0.35MPa、圧空時間を90秒とした。以上の結果、実施例1の加飾成形品が完成した。
(実施例2〜5、及び、比較例1、2)
トップフィルム及びベースフィルムの組成を表1、2に示すように変更したこと以外、実施例1と同様にして、各例の加飾フィルム及び加飾成形品を製造した。
トップフィルム及びベースフィルムの組成を表1、2に示すように変更したこと以外、実施例1と同様にして、各例の加飾フィルム及び加飾成形品を製造した。
[評価]
各例の加飾フィルム及び加飾成形品について、以下の評価を行った。結果を表1、2に示す。
各例の加飾フィルム及び加飾成形品について、以下の評価を行った。結果を表1、2に示す。
(熱収縮性)
まず、加飾フィルムを流れ方向(MD)に沿って裁断し、長さ80mmの短冊状の試験片を作製した。次に、60℃の環境下で、試験片を長手方向(流れ方向に相当)に引っ張り、100%伸長させた(長さを160mmとした)後、1分間放置した。そして、試験片を室温(約23℃)で5分間放置した後、試験片の長さLを測定し、下記式(F)により熱収縮率を算出した。
「熱収縮率(%)」=100×(160−「試験片の長さL(mm)」)/160 (F)
判定基準は下記の通りとし、熱収縮率が低いほど熱収縮性が抑制されている(すなわち、耐熱性が高い)と判断した。
◎:熱収縮率が1%以下であった。
○:熱収縮率が1%よりも高く、1.6%以下であった。
△:熱収縮率が1.6%よりも高く、2%以下であった。
×:熱収縮率が2%よりも高かった。
まず、加飾フィルムを流れ方向(MD)に沿って裁断し、長さ80mmの短冊状の試験片を作製した。次に、60℃の環境下で、試験片を長手方向(流れ方向に相当)に引っ張り、100%伸長させた(長さを160mmとした)後、1分間放置した。そして、試験片を室温(約23℃)で5分間放置した後、試験片の長さLを測定し、下記式(F)により熱収縮率を算出した。
「熱収縮率(%)」=100×(160−「試験片の長さL(mm)」)/160 (F)
判定基準は下記の通りとし、熱収縮率が低いほど熱収縮性が抑制されている(すなわち、耐熱性が高い)と判断した。
◎:熱収縮率が1%以下であった。
○:熱収縮率が1%よりも高く、1.6%以下であった。
△:熱収縮率が1.6%よりも高く、2%以下であった。
×:熱収縮率が2%よりも高かった。
(接着安定性)
加飾成形品を温度80℃の環境下で24時間放置し、加飾フィルムの端部の放置開始時の位置(ゼロ点)からの収縮移動量を測定した。本測定は中密度繊維板の4つの側面(中央部)に対して行われ、得られた4つの測定値の平均値を本評価時の「収縮移動量」とした。判定基準は下記の通りとし、収縮移動量が小さいほど接着安定性が高いと判断した。
◎:収縮移動量が100μm以下であった。
○:収縮移動量が100μmよりも大きく、200μm以下であった。
△:収縮移動量が200μmよりも大きく、300μm以下であった。
×:収縮移動量が300μmよりも大きかった。
加飾成形品を温度80℃の環境下で24時間放置し、加飾フィルムの端部の放置開始時の位置(ゼロ点)からの収縮移動量を測定した。本測定は中密度繊維板の4つの側面(中央部)に対して行われ、得られた4つの測定値の平均値を本評価時の「収縮移動量」とした。判定基準は下記の通りとし、収縮移動量が小さいほど接着安定性が高いと判断した。
◎:収縮移動量が100μm以下であった。
○:収縮移動量が100μmよりも大きく、200μm以下であった。
△:収縮移動量が200μmよりも大きく、300μm以下であった。
×:収縮移動量が300μmよりも大きかった。
実施例1〜5では、熱収縮性が抑制されており、接着安定性が高かった。中でも、実施例1、4では、下記の理由(1)〜(3)により、熱収縮性が実施例2、3、5よりも抑制されていた。
(1)トップフィルム中の第一のポリ塩化ビニル100重量部に対する第一の可塑剤の配合量と、ベースフィルム中の第二のポリ塩化ビニル100重量部に対する第二の可塑剤の配合量との比が1であった。
(2)トップフィルムにおいて、第一のポリ塩化ビニル100重量部に対して第一の可塑剤が8重量部以下配合されており、ベースフィルムにおいて、第二のポリ塩化ビニル100重量部に対して第二の可塑剤が8重量部以下配合されていた。
(3)トップフィルムにおいて、第一のポリ塩化ビニル100重量部に対して第一の熱収縮防止剤が10〜15重量部配合されており、ベースフィルムにおいて、第二のポリ塩化ビニル100重量部に対して第二の熱収縮防止剤が10〜15重量部配合されていた。
(1)トップフィルム中の第一のポリ塩化ビニル100重量部に対する第一の可塑剤の配合量と、ベースフィルム中の第二のポリ塩化ビニル100重量部に対する第二の可塑剤の配合量との比が1であった。
(2)トップフィルムにおいて、第一のポリ塩化ビニル100重量部に対して第一の可塑剤が8重量部以下配合されており、ベースフィルムにおいて、第二のポリ塩化ビニル100重量部に対して第二の可塑剤が8重量部以下配合されていた。
(3)トップフィルムにおいて、第一のポリ塩化ビニル100重量部に対して第一の熱収縮防止剤が10〜15重量部配合されており、ベースフィルムにおいて、第二のポリ塩化ビニル100重量部に対して第二の熱収縮防止剤が10〜15重量部配合されていた。
比較例1では、トップフィルム中の第一のポリ塩化ビニル100重量部に対する第一の可塑剤の配合量と、ベースフィルム中の第二のポリ塩化ビニル100重量部に対する第二の可塑剤の配合量との比が0.85〜1.15の範囲外であったため、熱収縮性が抑制されておらず、接着安定性も低かった。
比較例2では、トップフィルムにおいて、第一のポリ塩化ビニル100重量部に対して第一の熱収縮防止剤が5重量部以上配合されておらず、ベースフィルムにおいて、第二のポリ塩化ビニル100重量部に対して第二の熱収縮防止剤が5重量部以上配合されていないため、熱収縮性が抑制されておらず、接着安定性も低かった。
1:加飾フィルム
2:トップフィルム
3:ベースフィルム
10:加飾成形品
11:接着剤層
12:基材
2:トップフィルム
3:ベースフィルム
10:加飾成形品
11:接着剤層
12:基材
Claims (7)
- 第一のポリ塩化ビニル、第一の可塑剤及び第一の熱収縮防止剤を含有するトップフィルムと、
第二のポリ塩化ビニル、第二の可塑剤及び第二の熱収縮防止剤を含有するベースフィルムとが積層されてなり、
前記第一のポリ塩化ビニル100重量部に対する前記第一の可塑剤の配合量と前記第二のポリ塩化ビニル100重量部に対する前記第二の可塑剤の配合量との比は、0.85〜1.15であり、
前記第一の熱収縮防止剤は、前記第一のポリ塩化ビニル100重量部に対して5重量部以上配合され、かつ、前記第二の熱収縮防止剤は、前記第二のポリ塩化ビニル100重量部に対して5重量部以上配合されていることを特徴とする加飾フィルム。 - 前記第一の可塑剤及び前記第二の可塑剤のうちの少なくとも一方は、エポキシ化大豆油を含むことを特徴とする請求項1に記載の加飾フィルム。
- 前記第一の可塑剤は、前記第一のポリ塩化ビニル100重量部に対して10重量部以下配合されている、及び/又は、前記第二の可塑剤は、前記第二のポリ塩化ビニル100重量部に対して10重量部以下配合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の加飾フィルム。
- 前記第一の熱収縮防止剤及び前記第二の熱収縮防止剤のうちの少なくとも一方は、メタクリル酸メチル−アクリル酸アルキル共重合体を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加飾フィルム。
- 前記第一の熱収縮防止剤は、前記第一のポリ塩化ビニル100重量部に対して10〜15重量部配合されている、及び/又は、前記第二の熱収縮防止剤は、前記第二のポリ塩化ビニル100重量部に対して10〜15重量部配合されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の加飾フィルム。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の加飾フィルムと、基材とを備え、
前記加飾フィルムは、前記ベースフィルム側が前記基材に貼り付けられていることを特徴とする加飾成形品。 - 請求項6に記載の加飾成形品の製造方法であって、
前記トップフィルム及び前記ベースフィルムを形成するカレンダー成形工程と、
前記トップフィルム及び前記ベースフィルムを貼り合わせて、前記加飾フィルムを形成するラミネート工程と、
前記加飾フィルムを、前記ベースフィルム側から前記基材に貼り付けるラミネート成形工程とを含むことを特徴とする加飾成形品の製造方法。
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- 2017-11-20 JP JP2017222888A patent/JP2019093582A/ja active Pending
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