JP5487634B2 - フレキシブル印刷配線板用難燃性接着剤組成物及びそれを用いたフレキシブル印刷配線板 - Google Patents

フレキシブル印刷配線板用難燃性接着剤組成物及びそれを用いたフレキシブル印刷配線板 Download PDF

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Description

本発明は、ノンハロゲンであるとともに難燃性に優れ、かつ、ハンダ耐熱特性に優れたフレキシブル印刷配線板用難燃性接着剤組成物及びそれを用いたフレキシブル印刷配線板に関するものである。
近年、電子機器の小型化、高密度化等の多様化に伴い、フレキシブル印刷配線板の需要が増大している。それに伴いフレキシブル印刷配線板に繰り返し摺動屈曲に充分耐えうる性能が要望されている。また、フレキシブル印刷配線板の加工を行う際にはハンダ処理工程があるが、作業環境によっては基材が吸湿した状態でハンダ付け処理を行うことがあり、ハンダ処理前に基材の加熱乾燥を行うことなく効率よく作業を進めるためには、吸湿状態での高いハンダ耐熱特性が要求されている。また、民生機器においては、特に安全性の立場より、難燃性の要求が強く、上記のような摺動屈曲性とともに、難燃性に関しても満足のいくフレキシブル印刷配線板が求められている。
上記フレキシブル印刷配線板は、例えばポリイミドフィルム(基材)の上に銅箔を貼着し、エッチング等により銅箔表面に回路を形成した後、上記銅箔表面を被覆するようにカバーレイフィルムを貼着することにより形成される。上記カバーレイフィルムは、ポリイミド樹脂等からなる樹脂フィルムの一面に接着剤の層が形成されてなるものである。また、上記基材と銅箔との貼着にも、適宜接着剤が用いられる。
このようなフレキシブル印刷配線板に用いられている接着剤においても、先に述べたように高い難燃性が要求されており、具体的にはUL−94規格においてVTM−0クラスの高い難燃性が要求されている。このような高い難燃性を満足させるために、従来ではハロゲン系化合物、アンチモン系化合物等の難燃剤を接着剤組成物中に含有させてきたが、近年、環境問題への関心が高まっている中、ハロゲン系化合物は燃焼時にダイオキシン類等の有害物質を発生させる要因となり、また、アンチモン化合物も発ガン性が指摘されていることから、これらを使用しない難燃性接着剤が要求されている。このような事情から、例えば特許文献1には、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドから誘導されるエポキシ樹脂を用いて、ハロゲンを含有せずに難燃性を達成する技術が記載されている。
また、特許文献2には、特定の熱可塑性樹脂、リン含有フェノキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂及び硬化剤を含有する難燃性接着剤組成物が開示されている。当該接着剤組成物は、ポリイミド樹脂フィルムに対して充分な接着性を有し、かつ、難燃性、摺動屈曲性及びノンハロゲン化を満たすことが記載されている。
特開2000−336253号公報 特開2003−176470号公報
しかしながら、特許文献1に開示される樹脂組成物は、ポリイミド樹脂フィルムとの密着性が充分得られず、従来のハロゲン系難燃剤を配合した接着剤を用いた場合と比べると接着力が明らかに劣っていた。その結果、ポリイミド樹脂フィルムと銅箔との間で剥離が生じやすくなるという問題があった。
また、特許文献2に開示される接着剤組成物は、基材が吸湿した状態でのハンダ耐熱性が不十分であり、ハンダ処理工程時において接着層の剥がれが生じてしまうという問題があった。
なお、本発明において吸湿条件下におけるハンダ耐熱性を「吸湿ハンダ耐熱性」という。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、ノンハロゲンであり、高い難燃性を有するとともに、摺動屈曲性、接着性及びハンダ耐熱特性に優れたフレキシブル印刷配線板用難燃性接着剤組成物並びにそれを用いたフレキシブル印刷配線板の提供をその目的とする。
上記の目的と達成するため、本発明は、下記の(A)〜(E)を必須成分とするフレキシブル印刷配線板用難燃性接着剤組成物を第一の要旨とし、上記フレキシブル印刷配線板用難燃性接着剤組成物を用いてなるフレキシブル印刷配線板を第2の要旨とする。本発明者らは、前記課題を解決するため一連の研究を重ねた結果、フレキシブル印刷配線板用接着剤組成物として、熱可塑性樹脂、リン含有フェノキシ樹脂、ハロゲンを含まないエポキシ樹脂、特定の構造を有するノボラック樹脂及び難燃剤を必須成分とすることにより、難燃性、摺動屈曲性、基材に対する接着性及びハンダ耐熱特性(吸湿した状態でも高いハンダ耐熱特性を発現すること)が得られるようになることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明に係るフレキシブル印刷配線板用難燃性接着剤組成物は、下記の(A)〜(E)を必須成分とすることを特徴とする。
(A)熱可塑性樹脂
(B)リン含有フェノキシ樹脂
(C)ハロゲンを含まないエポキシ樹脂
(D)下記一般式(1)で示される構造を有するノボラック樹脂
(E)難燃剤
Figure 0005487634
[式(1)におけるXはメラミン構造又はグアナミン構造であり、Yは水素原子又はメチル基である。また、nは1〜10の整数である。]
上記(A)の熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアセタ−ル樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びポリビニル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1つの熱可塑性樹脂であることが好ましい。
上記(A)の熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂であることが好ましい。
上記接着剤組成物中の(A)〜(E)の含有割合が、(A)100質量部に対し、(B)が50〜500質量部、(C)が20〜200質量部、(D)が3〜70質量部、(E)が1〜100質量部の範囲にそれぞれ設定されていることが好ましい。
上記接着剤組成物中のリン含有率が、2質量%以上に設定されていることが好ましい。
上記接着剤の硬化物のガラス転移温度が、70〜170℃の範囲に設定されていることが好ましい。
上記のいずれかに記載のフレキシブル印刷配線板用難燃性接着剤組成物を用いてなることを特徴とするフレキシブル印刷配線板。
以上のように、本発明のフレキシブル印刷配線板用難燃性接着剤組成物は、熱可塑性樹脂、ハロゲンを含まないエポキシ樹脂及び特定構造のノボラック樹脂を用い、難燃性成分としてリン含有フェノキシ樹脂及び難燃剤を用いている。そのため、これを用いてフレキシブル印刷配線板の接着剤層を形成すると、難燃性、摺動屈曲性、ポリイミド樹脂等に対する強固な接着性が得られるのに加えて、高いハンダ耐熱特性が得られ、吸湿した基材においてハンダ処理を行っても接着層の剥がれが生じたりしない。また、上記接着剤組成物中には、ハロゲン系化合物やアンチモン化合物が含まれておらず、環境に悪影響を与えることもない。
特に、上記接着剤組成物中の熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂であると、ポリイミドに対しより強固な接着性を得ることができる。
また、上記接着剤組成物中において、熱可塑性樹脂に対するリン系含有フェノキシ樹脂、ハロゲンを含まないエポキシ樹脂、特定の構造を有するノボラック樹脂及び難燃剤の含有割合が特定の範囲に設定されていると、ポリイミドに対する強固な接着性や高いハンダ耐熱特性を得ることができる。
さらに、上記接着剤組成物中におけるリン含有率が特定の範囲に設定されていると、UL−94−VTM−0クラスの高い難燃性を得ることができる。
また、上記接着剤組成物の硬化物のガラス転移温度が特定の範囲に設定されていると、高温条件下であっても、高い摺動屈曲性を得ることができる。
そして、上記接着剤組成物を用いてなる本発明のフレキシブル印刷配線板は、難燃性が高いうえ、ハロゲン系化合物やアンチモン化合物を含んでいないため、燃焼時にダイオキシン等の有害物質を発生させることがなく、安全性が極めて高い。
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明のフレキシブル印刷配線板用難燃性接着剤組成物(以下、単に「接着剤組成物」という。)は、熱可塑性樹脂(A成分)、リン含有フェノキシ樹脂(B成分)、ハロゲンを含まないエポキシ樹脂(C成分)、一般式(1)で示される構造を有するノボラック樹脂(D成分)及び難燃剤(E成分)を用いて得ることができる。
上記熱可塑性樹脂(A成分)としては、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアセタ−ル樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びポリビニル系樹脂が挙げられ、単独若しくは2種以上併せて用いられる。これらの熱可塑性樹脂の中では、ポリイミドフィルムへの接着性から、ポリアミド樹脂が好ましく用いられ、25℃で固体のアルコ−ル可溶性ポリアミド樹脂がより好ましい。
ここで、上記の「25℃で固体のアルコ−ル可溶性ポリアミド樹脂」とは、アルコ−ル系溶媒に可溶なポリアミド樹脂であって、二塩基酸やジアミンを共重合して得られる共重合ポリアミド樹脂や、分子中のポリアミド結合にN−アルコキシメチル基を導入したポリアミド樹脂等のことである。
上記共重合ポリアミド樹脂は、モノマ−として2種類以上の二塩基酸及び2種類以上のジアミンを用いて得られる。上記二塩基酸としては、具体的には、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ダイマ−酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム等が挙げられる。また、ジアミンとしては、具体的には、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、p−ジアミノメチルシクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン、m−キシレンジアミン、ピペラジン、イソホロンジアミン等が挙げられる。そして上記共重合ポリアミド樹脂が、特に、脂肪族二塩基酸と脂環式ジアミンとを共重合して得られたものである場合、溶媒への溶解性に優れ、長期間保存しても粘度の上昇がほとんどなく、また、広範囲な被着材に対しての良好な接着性を示すため、好ましい。
また、上記共重合ポリアミド樹脂の製造には、その調製時にアミノカルボン酸等を適宜配合してもよい。具体的には、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、4−アミノメチル安息香酸、4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸や、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン等のラクタム等が挙げられる。
また、上記共重合ポリアミド樹脂の製造には、柔軟性を付与させる目的でポリアルキレングリコールを適宜配合してもよい。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキ
サイドとのブロックまたはランダム共重合体、エチレンオキサイドとテトラヒドロフランとのブロックまたはランダム共重合体及びこれらの混合物等が挙げられる。
このようにして得られる共重合ポリアミド樹脂は、例えば、6/66、6/6−10、6/66/6−10、6/66/11、6/66/12、6/6−10/6−11、6/11/イソホロンジアミン、6/66/6、6/6−10/12等の構成を有する。
前記の、分子中のポリアミド結合にN−アルコキシメチル基を導入したポリアミド樹脂とは、ポリアミド結合にホルムアルデヒドとアルコ−ルとを付加させ、N−アルコキシメチル基を導入することによってアルコ−ル可溶性ナイロン樹脂としたものである。具体的には、6−ナイロン、66−ナイロン等をアルコキシメチル化したものが挙げられる。そして、上記N−アルコキシメチル基の導入は、融点の低下、可とう性の増大、溶解性の向上に寄与するものであり、目的に応じて導入率が適宜設定される。
本発明の接着剤組成物においては、熱可塑性樹脂として共重合ポリアミド樹脂を用いた場合には、ポリアミド樹脂のアミノ基とエポキシ樹脂のエポキシ基とが反応することにより、高い接着強度と耐熱性を得ることができる。一般にポリアミド樹脂のアミン価が高いと、アミノ基とエポキシ基との反応が早く、短い時間での加熱処理で良好な硬化性が得られるが、その一方で常温でも反応が進行するため、混合直後から徐々に反応が進み、液粘度が大幅に上昇したりゲル化してしまったりする。そのため、硬化性と安定性を両立できる適切なアミン価に設定することが好ましく、その範囲は1〜6(mgKOH/g)である。
このような樹脂からなる本発明の熱可塑性樹脂(A成分)の融点は、50〜220℃の範囲であるものが好ましく、より好ましくは70〜180℃の範囲である。すなわち、上記融点が50℃未満であると、接着剤硬化物が耐熱性に劣るようになり、逆に、220℃を超えると、溶剤に対する溶解性に欠け、本発明において好ましくないためである。なお、上記融点の測定は、顕微鏡式法によりなされる。
また、上記熱可塑性樹脂(A成分)は、25℃で固体であることが好ましい。すなわち、25℃で液状であると、エポキシ樹脂と配合したときに反応が速くなり過ぎ、ゲル化し、溶液中で析出したり、著しく増粘したりしてしまうおそれがあるためである。
上記熱可塑性樹脂(A成分)とともに、本発明の必須成分となるリン含有フェノキシ樹脂(B成分)は、分子骨格の主体がフェノキシ樹脂からなるもので、かつ、リン元素を、例えばリン含有フェノキシ樹脂1モル中に数個(1〜5個程度)含有しているものである。ここで、主体とは、上記リン元素を除いた全体がフェノキシ樹脂からなる場合も含める趣旨である。そして、上記リン含有フェノキシ樹脂としては、具体的には、東都化成社製のERF−001M30等が挙げられる。
また、上記熱可塑性樹脂(A成分)及びリン系フェノキシ樹脂(B成分)とともに、本発明の必須成分となるハロゲンを含まないエポキシ樹脂(C成分)の例としては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びそのオリゴマー、オルトフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−ヒドロキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステル等のグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、テトラフェニルグリシジルエーテルエタン、トリフェニルグリシジルエーテルエタン、ソルビトールのポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールのポリグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類が挙げられるが、これらに限定するものではない。また、フェノールノボラックエポキシ樹脂、o−クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂を用いることができる。
本発明で用いられる接着剤においては、高い耐熱性を発現させるために、エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有するものを用いるのが好ましい。エポキシ基が2個のエポキシ樹脂を用いた場合、ナイロン樹脂との架橋度が低いために十分なハンダ耐熱性が得られない場合がある。
本発明で用いられる必須となるD成分は、下記一般式(1)で示される構造を有するノボラック樹脂である。
Figure 0005487634
[式(1)におけるXはメラミン構造又はグアナミン構造であり、Yは水素原子又はメチル基である。また、nは1〜10の整数である。]
本発明で使用される一般式(1)で示されるノボラック樹脂のXとしては、メラミン構造又はグアナミン構造である。例えば、グアナミン構造として、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンなどが挙げられる。
本発明で用いられる特定の構造を有するノボラック樹脂は、エポキシ樹脂を硬化させる架橋剤及び銅との接着性向上の役割を担っている。
本発明で使用されるノボラック樹脂中のメラミン構造又はグアナミン構造の含有量は、窒素含有量として示すことができ、好ましい窒素含有量は5〜30質量%、より好ましくは、6〜25質量%である。メラミン構造又はグアナミン構造を有するノボラック樹脂の窒素含有量が5質量%未満である場合、銅との接着性が弱くなり、ハンダリフロー炉等の高温処理が施された場合、接着剤が銅界面より剥離して、絶縁信頼性が悪くなる。さらに、メラミン構造又はグアナミン構造を有するノボラック樹脂の窒素含有量が30質量%を超える場合には、エポキシ樹脂とアミノ基との反応が起こり易くなり、溶液保管時での粘度上昇及びゲル化が進行しやすく実用に耐えない。
なお、ノボラック樹脂中の窒素含有量は、ガスクロマトグラフ法又は差動法により、定量することができる。
本発明で使用される特定の構造を有するノボラック樹脂は、広く市販されている。例えば、DIC社製の商品名「フェノライトLA−7052」、「フェノライトLA−7054」、「フェノライトLA−7751」、「フェノライトLA−1356」、「フェノライトLA−1398」等が挙げられる。また、ジャパンエポキシレジン社製の商品名「YLH−969」等が挙げられる。
本発明で使用される特定の構造を有するノボラック樹脂の含有量が、下記計算式で示される範囲であることが好ましい。
水酸基当量/エポキシ当量 =
{(ノボラック樹脂の含有量)÷(ノボラック樹脂の水酸基当量)}÷
{(エポキシ樹脂の含有量)÷(エポキシ樹脂のエポキシ基当量)}
= 0.2〜1.5
特定の構造を有するノボラック樹脂の含有量を示す[水酸基当量/エポキシ当量]が、0.2より少ない場合は、銅との接着性が弱くなり、ハンダリフロー炉などの高温処理が施された場合、接着剤が銅界面より剥離して、絶縁信頼性が悪くなる。また、[水酸基当量/エポキシ当量]が、1.5を超える場合には、エポキシ樹脂とアミノ基との反応が起こり易くなり、溶液保管時での粘度上昇及びゲル化が進行しやすく実用に耐えない。
本発明で用いられる必須となる難燃剤(E成分)のうち、リン系難燃剤としては、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート等の芳香族リン酸エステル系難燃剤、1,3−フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、1,3−フェニレンビス(ジキシレニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等の芳香族縮合リン酸エステル、赤リン等の赤リン系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、ホスファゼン等の含窒素リン系難燃剤等が挙げられる。メラミン誘導体の難燃剤としては、メラミンシアヌレート、メチロール化メラミン、硫酸メラミン等が挙げられる。また、その他には水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機系難燃剤、シリコン系難燃剤、ホウ素系難燃剤等が挙げられる。これらの難燃剤のうち、少量の配合量で高い難燃性を発現するには、リン系難燃剤を用いるのが好ましい。
本発明の接着剤組成物において、各成分の割合は、熱可塑性樹脂(A成分)100質量部(以下「部」と略す)に対し、リン含有フェノキシ樹脂(B成分)50〜500部、ハロゲンを含まないエポキシ樹脂(C成分)20〜200部、ノボラック樹脂(D成分)3〜70部、難燃剤(E成分)1〜100部の範囲にそれぞれ設定することが好ましく、より好ましくはA成分100部に対し、B成分100〜300部、C成分30〜150部、D成分5〜50部、E成分5〜50部の範囲である。すなわち、このような含有割合になっていれば、ポリイミドに対する接着性がより強くなり、かつ、高いハンダ耐熱特性を発現するからである。そして、上記A成分に対するB成分の割合が50部未満であると、接着剤組成物全体のリン含有率が低くなるために難燃性に劣る傾向が見られ、逆に500部を超えると、接着剤硬化物に柔軟性が無くなり割れやすくなったり、接着強度が充分に得られない等の傾向が見られるからである。また、上記A成分に対するC成分の割合が20部未満であると、架橋密度が充分でないためか、耐熱性及び接着強度が充分に得られず、逆に200部を超えると、硬化物が硬くなりすぎて接着強度が充分に得られない傾向が見られるからである。さらに、上記A成分に対するD成分の割合が3部未満であると、架橋密度が充分でなく耐熱性及び接着強度が充分得られない傾向が見られる。また、銅への密着性が充分でないためか、ハンダ耐熱特性も充分に得られない。逆に70部を超えると、接着剤の安定性が悪くなり、経時で増粘又はゲル化し、ポットライフが短くなる等の傾向が見られるからである。さらに、上記A成分に対するE成分の割合が1部未満であると、難燃性が充分得られない傾向が見られる。逆に100部を超えると、接着強度が充分に得られない傾向が見られるからである。
なお、本接着剤組成物には、上記A〜E成分に加えて、D成分以外のアミン系硬化剤、硬化促進剤、シランカップリング剤、熱老化防止剤、レベリング剤、消泡剤、無機質充填剤等の添加剤を適宜配合することができる。
上記アミン系硬化剤としては、具体的にはメチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のメラミン樹脂、ジシアンジアミド、4,4’−ジフェニルジアミノスルホン等が挙げられる。
上記硬化促進剤としては、特に限定は無く、例えば、イミダゾ−ル系化合物、芳香族カルボン酸、ブロックイソシアネ−ト系化合物、ブロックスルホン酸系化合物等が挙げられる。特に、イミダゾ−ル化合物と芳香族カルボン酸とを併用して用いることが好ましい。
上記イミダゾ−ル化合物としては、具体的には、2−メチルイミダゾ−ル、2−エチル−4−メチルイミダゾ−ル、2−ウンデシルイミダゾ−ル、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾ−ル、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾ−ル、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾ−ル、2,4−ジアミノ−6−(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)−1,3,5,−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2−エチル−4−メチル−1−イミダゾリルエチル)−1,3,5,−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2−ウンデシル−1−イミダゾリルエチル)−1,3,5,−トリアジン等が挙げられる。これらは単独で若しくは2種以上併せて用いられる。
上記芳香族カルボン酸としては、具体的には、安息香酸、1,2−ベンゼンジカルボン酸、1,3−ベンゼンジカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸:TMA)1,3,5−ベンゼントリカルボン酸等が挙げられる。これらは単独で若しくは2種以上併せて用いられる。これらの中でも、硬化体の架橋度を高めて耐湿熱性をさらに向上させることができるという点から、多官能であるベンゼンジカルボン酸、ベンゼントリカルボン酸が好適に用いられる。
上記カップリング剤としては、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトシキシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネ−トプロピルトリエトキシシラン、イミダゾールシラン等のシラン系カップリング剤、チタネ−ト系カップリング剤、アルミネ−ト系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは単独で若しくは2種以上併せて用いられる。
上記熱老化防止剤としては、具体的には、2、6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノ−ル、n−オクタデシル−3−(3’、5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、テトラキス〔メチレン−3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト〕メタン等のフェノ−ル系酸化防止剤、ジラウリル−3、3’−チオジプロピオネ−ト、ジミリスチル−3、3’−ジチオプロピオネ−ト等のイオウ系酸化防止剤、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2、4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。これらは単独で若しくは2種以上併せて用いられる。
上記充填剤としては、具体的には、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウム、カ−ボンブラック、シリカ、銅粉、アルミニウム粉、銀粉等が挙げられる。
ここで、本発明の接着剤組成物中におけるリン含有率は2質量%以上に設定されていることが好ましく、より好ましくは2.3〜3.5質量%の範囲である。すなわち、上記リン含有率を2質量%に設定することにより、UL−94−VTM−0クラスの高い難燃性を付与させることができるためである。
本発明の接着剤組成物は、先に述べた各成分を攪拌・混合することにより得られる。そして、上記接着剤組成物は、通常、溶剤に溶解して用いられる。上記溶剤としては、先に述べた各成分を溶解するようなものが好ましく用いられ、具体的には、メタノール、エタノール、i−プロピルアルコール、n−プロピルアルコール、i−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン等の芳香族系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテ−ト、3―メトキシブチルアセテート等のエステル系溶剤、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、トリクロロエチレン等の塩素系溶剤が挙げられる。これらは単独で若しくは2種以上併せて用いられる。
そして、上記のように、本発明の接着剤組成物を溶剤に溶解して用いる際、その樹脂固形分濃度とは、3〜80質量%に設定されていることが好ましく、より好ましくは10〜50質量%の範囲である。すなわち、上記濃度が80質量%を超えると、溶液粘度が高くなりすぎるため、樹脂フィルム面に対し均一に塗工しにくく、逆に、3質量%未満であると、所望する厚みの塗膜を形成するのが困難だからである。
ところで、本発明のフレキシブル印刷配線板は、例えば、銅箔回路基板とカバーレイフィルムとが貼り合わされてなるものである。上記カバーレイフィルムは、樹脂フィルムの一面に接着剤層が形成されてなるものであり、その接着剤層として、本発明の上記接着剤組成物が用いられている。
上記銅箔回路基板は、可とう性フィルムと銅箔とを適当な接着剤を用い、ロール圧着や熱プレス等の方法により貼り合わせた後、所定の回路パターンを形成するように銅箔層をエッチングしたものである。なお、上記接着剤として、適宜、本発明の接着剤組成物を用いてもよい。
上記カバーレイフィルムを構成する樹脂フィルムとしては、上記可とう性フィルムと同様の、電気絶縁性を有するフィルムが用いられる。例えば、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、アラミド、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン等からなる耐熱性フィルムが好適に用いられる。その厚みは、特に限定はないが、通常、10〜75μmのものが用いられる。なお、上記樹脂フィルムの少なくとも一面には、コロナ放電処理、低温プラズマ処理、サンドブラスト処理等の表面処理を適宜行ってもよい。
本発明のフレキシブル印刷配線板は、例えば、つぎのようにして製造される。
すなわち、まず、本発明の接着剤組成物を先に述べたように溶剤に溶かし(樹脂固形分濃度が20〜50重量%)、接着剤溶液を調製する。
そして、ポリイミド樹脂等からなるフィルムの一面に対し、上記接着剤溶液を塗工し、その後乾燥することにより、カバーレイフィルムを作製する。上記カバーレイフィルムにおける接着剤層の厚みは、好ましくは1〜100μmの範囲に設定され、より好ましくは10〜50μmの範囲である。また、上記乾燥は、熱風乾燥、遠赤外線加熱、高周波誘導加熱等がなされる炉を通過させることにより行われ、通常40〜250℃の温度、好ましくは70〜180℃で2〜10分間程度の乾燥処理がなされる。このようにして得られたカバーレイフィルムの接着剤塗工面には、保管等のため、一時的に離型性フィルムを積層してもよい。なお、上記離型性フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、シリコーン離型処理紙、ポリオレフィン樹脂コート紙、TPXフィルム、フッ素系樹脂フィルム等の公知の物が用いられる。
一方、ポリイミド樹脂フィルムを用いた銅箔回路基板を従来公知の方法により準備する。そして、先のようにして得られたカバーレイフィルム(離型性フィルムが積層されている場合は、これを剥がし)の接着剤塗工面を、回路基板の銅箔回路面(印刷配線のパタ−ン形成がなされた面)に重ね合わせ、気泡が入らないように加熱ロ−ルによるラミネ−トを行い、その後に加熱プレスを行うか、あるいは真空プレス機にて減圧状態のまま加熱(60〜250℃の温度、好ましくは100〜200℃で1〜20分間)を行って接着を行う。その後に加熱炉等により100〜200℃で30〜120分間アフタ−キュアさせる。このようにして、目的とするフレキシブル印刷配線板を得ることができる。
このようにして得られたフレキシブル印刷配線板において、硬化後の接着剤層のガラス転移温度が70〜170℃の範囲に設定されていることが好ましく、90〜140℃であることがより好ましい。すなわち、上記ガラス転移温度が70℃未満であると、高温条件下での摺動屈曲性が充分でなく、逆に、170℃を超えると、基材等に対する接着剤層の接着力が低下するため、層間剥離を引き起こすおそれがあるためである。なお、上記硬化後の硬化物のガラス転移温度は、動的粘弾性測定装置により測定することができる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
まず、実施例及び比較例に先立ち、下記に示す材料を準備した。
[熱可塑性樹脂(A成分)]
[アルコール可溶性ポリアミド樹脂Aの合成]
攪拌機、還流脱水装置及び蒸留管を備えたフラスコに、アゼライン酸65質量部、ドデカン二酸190質量部、ピペラジン100質量部、蒸留水120質量部を仕込んだ。温度を120℃に昇温して水を留出させた後に、20℃/時間の割合で240℃にまで昇温し、3時間反応を継続してナイロン樹脂Aを得た。当該ナイロン樹脂Aのアミン価は4.5mgKOH/gであり、融点は110℃であった。
[リン含有フェノキシ樹脂(B成分)]
東都化成社製 商品名「ERF−001M30」(リン含有率4.6質量%)
[ハロゲンを含まないエポキシ樹脂(C成分)]
c1:DIC社製 商品名「EPICLON N−665」[o−クレゾールノボラックエポキシ樹脂](1分子中のエポキシ基;4.6個、エポキシ当量205g/当量)
c2:ジャパンエポキシレジン社製 商品名「JER157S70」[ビスフェノールAノボラックエポキシ樹脂](1分子中のエポキシ基;7.9個、エポキシ当量210g/当量)
c3:ジャパンエポキシレジン社製 商品名「JER1001」[ビスフェノールA型エポキシ樹脂](1分子中のエポキシ基;2.0個、エポキシ当量475g/当量)
[ノボラック樹脂(D成分)]
d1:DIC社製 商品名「フェノライトLA−1356」[式(2)に示すメラミン構造含有フェノールノボラック樹脂、窒素含有量19%、水酸基当量146g/当量]
d2:ジャパンエポキシレジン社製 商品名「YLH−969」[式(2)に示すメラミン構造含有フェノールノボラック樹脂、窒素含有量15%、水酸基当量148g/当量]
Figure 0005487634
[式(2)におけるnは1〜10の整数である。]
[難燃剤(E成分)]
e1:大八化学社製 商品名「PX−200」(芳香族縮合リン酸エステル、リン含有率 9.0質量%)
e2:伏見製薬所社製 商品名「FP−100」(ホスファゼン、リン含有率13.4質量%)
[硬化剤]
三和ケミカル社製 商品名「MX−750」(メチル化メラミン樹脂)
[硬化促進剤]
1:四国化成社製 商品名「キュアゾ−ルC11Z」(2−ウンデシルイミダゾ−ル)
2:松垣薬品工業社製 商品名「F−TMA」(1,2,4−ベンゼントリカルボン酸)
表1に示す各成分を同表に示す割合になるようにトルエン及びメタノ−ルを含む溶媒に添加し、攪拌溶解及び分散し、固形分濃度30質量%のフレキシブル印刷配線板用接着剤組成物溶液を調製した。なお、表1には、接着剤組成物中のリン含有率も併せて示した。
ついで、厚み25μmポリイミドフィルムを用意し、その表面に、上記接着剤組成物溶液を、乾燥後25μmの厚みとなるようロ−ル塗布し、140℃で2分間乾燥させて、ポリイミドフィルム表面に接着剤層を形成した。さらに、厚み35μmの圧延銅箔を用意し、これを上記接着剤層形成面に対し接触するように重ね合わせ、150℃、0.3MPa、1m/分の条件でラミネ−トを行った。更にこのポリイミドフィルム/接着剤層/銅箔の積層体を150℃、3MPaの条件で5分間加熱圧着した後、さらにオ−ブンにて160℃で2時間のアフタ−キュアを行うことにより、フレキシブル印刷配線板(試料)を作製した。
Figure 0005487634
このようにして得られた実施例品及び比較例品の接着剤組成物及びフレキシブル印刷配線板について、各特性を下記の基準に従い測定及び比較評価した。そして、これらの結果を表2に併せて示した。
[硬化後のガラス転移温度]
動的粘弾性測定装置EXSTAR DMS6100(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)により、昇温速度2℃/分、測定周波数10Hzの条件にて引張りモードで測定したときに得られた曲線の損失正接の最大値を読み取った。
[はく離接着強さ]
JIS C 6481に準じ、上記方法で作製した試料を10mm幅に裁断し、23℃において、ポリイミドフィルムを銅箔から剥がすときのはく離接着強さ(単位;N/mm)を測定した。引張速度は、50mm/分とした。
[ハンダ耐熱性]
JIS C 6481に準拠し、下記の条件で試験を行った。
試験片サイズ:上記方法で作製した試料を25mm四方に裁断
ポリイミドフィルムの面を上にして、260℃で溶融したハンダ浴に60秒間浮かべて、試験片表面の発泡状態を観察した。
○:試験前の状態と全く変化無し
×:試験片表面に膨れ(接着層の剥がれ)が発生
[吸湿ハンダ耐熱性]
上記方法で作製した試料を25mm四方に裁断し、40℃、80%RHの恒温恒湿機に72時間放置した後、ポリイミドフィルムの面を上にして、260℃で溶融したハンダ浴に60秒間浮かべて、試験片表面の発泡状態を観察した。
○:試験前の状態と全く変化無し
×:試験片表面に膨れ(接着層の剥がれ)が発生
[難燃性]
各フレキシブル印刷配線板を用いて、UL−94に準拠して難燃性の評価試験を行った。そして、上記規格に合格(VTM−0クラス)のものを○、不合格のものを×として評価した。
[高温摺動屈曲性]
JIS C 6481に準じ、各フレキシブル印刷配線板を、フレキシブル印刷配線用高速屈曲試験機にて振動数1500cpm、ストロ−ク20mm、曲率半径2.5mm、温度条件80℃で屈曲試験を行い、各試料に亀裂が生じることによる抵抗値上昇が初期値の20%以上に達するまでの屈曲回数を測定した。その結果、2×106回以上のものを○、2×106回未満のものを×して表示した。
Figure 0005487634
上記表1及び2の結果から、実施例品はいずれも全ての特性において優れたものとなった。これに対して、比較例1ではメラミン樹脂を使用しているために、吸湿ハンダ特性が欠けていることがわかる。また、比較例2ではE成分が含まれておらず、難燃性試験において満足のいく結果が得られていない。また、比較例3ではA成分が含まれておらず、はく離接着強さにおいて満足のいく結果が得られていない。また、ハンダ耐熱性にも欠けていることがわかる。
本発明の難燃性接着剤組成物は、フレキシブル印刷配線板用の接着剤として使用することができる。特に、可とう性樹脂フィルムと銅箔の接着等に有用である。

Claims (3)

  1. 下記の(A)〜(E)を必須成分とする接着剤組成物であり、(A)〜(E)の含有割合は、(A)100質量部に対し、(B)が50〜500質量部、(C)が20〜200質量部、(D)が3〜70質量部及び(E)が1〜100質量部の範囲であり、硬化後の硬化物のガラス転移温度が、98〜140℃の範囲であることを特徴とするフレキシブル印刷配線板用難燃性接着剤組成物。
    (A)ポリアミド樹脂
    (B)リン含有フェノキシ樹脂
    (C)ハロゲンを含まないエポキシ樹脂
    (D)下記一般式(1)で示される構造を有するノボラック樹脂
    (E)難燃剤
    Figure 0005487634
    [式(1)におけるXはメラミン構造又はグアナミン構造であり、Yは水素原子又はメチル基である。また、nは1〜10の整数である。]
  2. 上記接着剤組成物中のリン含有率が、2質量%以上に設定されている請求項に記載のフレキシブル印刷配線板用難燃性接着剤組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のフレキシブル印刷配線板用難燃性接着剤組成物を用いてなることを特徴とするフレキシブル印刷配線板。

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