JP2011219590A - 接着性樹脂組成物並びにこれを用いた積層体及びフレキシブル印刷配線板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 難燃性、剥離強度、フレキシブル性といった、本来、フレキシブル印刷配線板用難燃性接着剤組成物に要求されている特性を維持しつつ、さらに吸湿後の半田耐熱性、フロー特性に関する要求を充足する組成物を提供する。
【解決手段】 (A)リン含有フェノキシ樹脂、(B)ビスフェノールS型フェノキシ樹脂、(C)前記(A)成分及び(B)成分以外の熱可塑性樹脂、及び(D)前記フェノキシ樹脂中のエポキシ基及び/又は水酸基と反応する硬化剤を含有する接着性樹脂組成物であって、(A)リン含有フェノキシ樹脂と(B)ビスフェノールS型フェノキシ樹脂の含有重量比率(A/B)は、80/20〜65/35である。
【選択図】 なし
【解決手段】 (A)リン含有フェノキシ樹脂、(B)ビスフェノールS型フェノキシ樹脂、(C)前記(A)成分及び(B)成分以外の熱可塑性樹脂、及び(D)前記フェノキシ樹脂中のエポキシ基及び/又は水酸基と反応する硬化剤を含有する接着性樹脂組成物であって、(A)リン含有フェノキシ樹脂と(B)ビスフェノールS型フェノキシ樹脂の含有重量比率(A/B)は、80/20〜65/35である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、フレキシブル銅張り積層板等のフレキシブル印刷配線板に好適に用いられる接着性樹脂組成物、及びそれを用いたフレキシブル印刷配線板、並びに接着シート、カバーレイフィルム等の積層体に関する。
一般に、フレキシブル印刷配線板(フレキシブルプリント配線板)用に使用されるカバーレイフィルムは、ポリイミドフィルム等の耐熱性フィルムからなる絶縁フィルムを基材とし、この絶縁フィルムの片面に、接着剤を貼り合せた構造を基本とするものである。このような接着剤としては、従来より、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂とアクリル、ポリアミド、ポリエステル等の熱可塑性樹脂とのブレンド樹脂に難燃剤を配合した接着剤が用いられている。
難燃剤としては、従来、ハロゲン系難燃剤が用いられていたが、近年、環境汚染の問題から、ハロゲン系難燃剤に代えて、リン系難燃剤が用いられるようになっている。しかしながら、これらのリン系難燃剤だけで、UL−94規格においてVTM−0クラス、V−0クラスの高い難燃性を満足するためには、ハロゲン系難燃剤を用いる場合よりも大量に配合させる必要があり、リン系難燃剤の配合量が増大するに従って、接着性が低下するという問題がある。
このような問題を解決するために、近年、リンの難燃効果を利用した樹脂を用いることで、リン系難燃剤の配合量を抑制することが提案されている。例えば、特許文献1(特許4109863号公報)では、リン含有エポキシ樹脂を使用し、さらに熱可塑性樹脂の一部として、リン含有フェノキシ樹脂を使用したフレキシブル印刷配線板用難燃性接着剤組成物が提案されている。
上記特許文献1に開示されている組成物は、いずれも硬化後のガラス転移温度が96℃以下であり、半田耐熱性は260℃での半田浴に60秒間浸漬して、接着剤層の膨れ、剥がれ等の外観異常がないことが確認されているだけである。しかし、近年、耐熱性に関する要求が厳しくなり、接着後、高湿度下で放置された後の半田耐熱性も要求されるようになっている。また、端子形成用の穴を設けたカバーレイフィルムを金属層に熱プレスで貼り合わせる際に接着剤が軟化、流動化し穴内に染み出すと電気的接続に支障をきたしてしまうため、接着剤としては、熱プレス時に流れたりしないこと、すなわちフロー特性が優れていることが必要であるが、近年の高密度実装の要請で、この端子径は小さくなる傾向にあり、端子径が小さくなる程、穴内への染み出しによる電気的接続への影響が大きくなるため、より優れたフロー特性を有することが求められている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、難燃性、剥離強度、フレキシブル性といった、本来、フレキシブル印刷配線板用難燃性接着剤組成物に要求されている特性を維持しつつ、さらに吸湿後の半田耐熱性、フロー特性に関する要求を充足する組成物を提供することにある。
エポキシ樹脂は、一般に樹脂中にエポキシ基、水酸基を有しているため、吸湿しやすい性質がある。また、エポキシ樹脂は、熱硬化性樹脂に属し、比較的高分子量である熱可塑性樹脂と比べて粘度が低いことから、フロー特性向上の支障となる傾向にある。
このため、リン含有エポキシ樹脂の含有量を減らして、これよりも吸湿性が低いポリアミド樹脂の含有量を増やすことが考えられる。しかしながら、ポリアミド樹脂は、柔軟性を付与するという役割から、ガラス転移点が低いため、ポリアミド樹脂の含有量が増えすぎると、本来必要とされる250℃以上の半田耐熱性を確保することも困難になる。
このため、リン含有エポキシ樹脂の含有量を減らして、これよりも吸湿性が低いポリアミド樹脂の含有量を増やすことが考えられる。しかしながら、ポリアミド樹脂は、柔軟性を付与するという役割から、ガラス転移点が低いため、ポリアミド樹脂の含有量が増えすぎると、本来必要とされる250℃以上の半田耐熱性を確保することも困難になる。
本発明者らは、リン含有エポキシ樹脂に代えて、エポキシ樹脂よりも高分子量で熱可塑性を有するフェノキシ樹脂に置き換えることにより、フロー特性、剥離強度を確保することについて検討し、さらに、置き換えにあたっては、コストの見地から、高ガラス転移点のリン含有フェノキシ樹脂及びこれと相溶性を有する樹脂を用いることにも着目した。
以上のような見地から、検討を進めた結果、本発明に到達した。すなわち、本発明の接着性樹脂組成物は、(A)リン含有フェノキシ樹脂、(B)ビスフェノールS型フェノキシ樹脂、(C)前記(A)成分及び(B)成分以外の熱可塑性樹脂、及び(D)前記フェノキシ樹脂中のエポキシ基及び/又は水酸基と反応する硬化剤を含有する接着性樹脂組成物であって、(A)リン含有フェノキシ樹脂と(B)ビスフェノールS型フェノキシ樹脂の含有重量比率(A/B)は、80/20〜65/35である。
(A)成分及び(B)成分の含有総量と(C)成分の含有量比率は、1.5:1〜2.5:1であることが好ましく、(A)成分及び(B)成分の含有総量100重量部に対して、(D)硬化剤10〜30重量部含有されることが好ましい。
前記(C)成分は、ポリアミド樹脂であることが好ましく、リン含有率が2.5〜4重量%であることが好ましい。また、硬化後のガラス転移温度が100℃以上となるように調製されていることが好ましい。
本発明の積層体は、基材フィルム上に、上記本発明のいずれかの接着性樹脂組成物からなる接着層を有するもので、当該積層体を含むフレキシブル印刷配線板も本発明の範囲である。
本発明の接着性樹脂組成物は、リン含有エポキシ樹脂に代えて、リン含有フェノキシ樹脂を用いることにより、フロー特性、剥離強度、半田耐熱性を改善し、さらにフェノキシ樹脂の一部として、ビスフェノールS型フェノキシ樹脂を用いることにより、フレキシブル印刷配線板として要求される特性を損なうことなく、コストアップの抑制も図ることができる。
以下に本発明の実施の形態を説明するが、今回、開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
〔接着性樹脂組成物〕
はじめに、本発明の接着性樹脂組成物について説明する。
本発明の接着性樹脂組成物は、(A)リン含有フェノキシ樹脂、(B)ビスフェノールS型フェノキシ樹脂、(C)前記(A)成分及び(B)成分以外の熱可塑性樹脂、及び(D)前記フェノキシ樹脂中のエポキシと反応する硬化剤を含有する接着性樹脂組成物であって、(A)成分及び(B)成分を所定比率で含有している。
以下、各成分について順に説明する。
はじめに、本発明の接着性樹脂組成物について説明する。
本発明の接着性樹脂組成物は、(A)リン含有フェノキシ樹脂、(B)ビスフェノールS型フェノキシ樹脂、(C)前記(A)成分及び(B)成分以外の熱可塑性樹脂、及び(D)前記フェノキシ樹脂中のエポキシと反応する硬化剤を含有する接着性樹脂組成物であって、(A)成分及び(B)成分を所定比率で含有している。
以下、各成分について順に説明する。
(A)リン含有フェノキシ樹脂
本発明で用いられるリン含有フェノキシ樹脂は、分子骨格の主体がフェノキシ樹脂からなるもので、且つリン元素を含有しているものであり、フェノキシ樹脂に有機リン化合物を反応させて得ることができる。具体的には、ビスフェノール型フェノキシ樹脂を20重量%以上含有するフェノキシ樹脂と、リン原子に結合した1個の活性水素を有する有機リン化合物類とキノン化合物とを所定割合(有機リン化合物類に対するキノン化合物のモル比が0より大きく1未満となる割合)で反応させて得られた化合物とを用意し、これらを反応させることにより得ることができる。
上記「リン原子に結合した1個の活性水素を有する有機リン化合物類」の一例としては、下記一般式(1)や一般式(2)に示される化合物があげられる。そして、下記一般式(1)で示されるリン化合物の具体例としては、HCA(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、三光化学社製)があげられる。また、下記一般式(2)で示されるリン化合物の具体例としては、ジフェニルホスフィンオキシドが挙げられる。
本発明で用いられるリン含有フェノキシ樹脂は、分子骨格の主体がフェノキシ樹脂からなるもので、且つリン元素を含有しているものであり、フェノキシ樹脂に有機リン化合物を反応させて得ることができる。具体的には、ビスフェノール型フェノキシ樹脂を20重量%以上含有するフェノキシ樹脂と、リン原子に結合した1個の活性水素を有する有機リン化合物類とキノン化合物とを所定割合(有機リン化合物類に対するキノン化合物のモル比が0より大きく1未満となる割合)で反応させて得られた化合物とを用意し、これらを反応させることにより得ることができる。
上記「リン原子に結合した1個の活性水素を有する有機リン化合物類」の一例としては、下記一般式(1)や一般式(2)に示される化合物があげられる。そして、下記一般式(1)で示されるリン化合物の具体例としては、HCA(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、三光化学社製)があげられる。また、下記一般式(2)で示されるリン化合物の具体例としては、ジフェニルホスフィンオキシドが挙げられる。
リン含有フェノキシ樹脂は、以上のような化学構造を有し、且つ重合度が大きい(通常nが100以上で熱可塑性を示す)エポキシ樹脂に該当する。重量平均分子量(GPCによる測定)は、通常1万〜10万であり、好ましくは2万〜8万であり、より好ましくは3万〜7万である。
リン含有フェノキシ樹脂を構成するフェノキシ樹脂としては、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、グリシジルエーテル型フェノキシ樹脂、グリシジルエステル型フェノキシ樹脂、グリシジルアミン型フェノキシ樹脂、ノボラック型フェノキシ樹脂、クレゾールノボラック型フェノキシ樹脂等が挙げられる。
リン含有フェノキシ樹脂を構成するフェノキシ樹脂としては、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、グリシジルエーテル型フェノキシ樹脂、グリシジルエステル型フェノキシ樹脂、グリシジルアミン型フェノキシ樹脂、ノボラック型フェノキシ樹脂、クレゾールノボラック型フェノキシ樹脂等が挙げられる。
このようなリン含有フェノキシ樹脂としては、市販品を用いてもよく、例えば、東都化成製のERF001、大日本インキ化学工業株式会社製のエピクロンEXA9710などが挙げられる。上記のようなリン含有フェノキシ樹脂は、1種類だけ用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
(B)ビスフェノールS型フェノキシ樹脂
ビスフェノールS型フェノキシ樹脂とは、ビスフェノールS骨格を有するフェノキシ樹脂で、ビスフェノールAとビスフェノールSとの共重合体を主鎖とする樹脂が挙げられる。ビスフェノールS骨格の剛直性により、リンや硫黄原子が含有されていないフェノキシ樹脂(以下、リンや硫黄原子が含有されていないフェノキシ樹脂を、「未変性フェノキシ樹脂」と称する)と比べてガラス転移温度が一般に高く、難燃性をそれほど低下させることなく、耐熱性を付与することができる。しかも、硫黄原子により、リン原子ほどではないにしても難燃性を付与できることから、リン含有エポキシ樹脂の代替として用いても、組成物の難燃化達成のために、接着強度等の機械的特性に影響を及ぼすほどにまで、リン系難燃剤の配合量を増量しなくても済む。
ビスフェノールS型フェノキシ樹脂とは、ビスフェノールS骨格を有するフェノキシ樹脂で、ビスフェノールAとビスフェノールSとの共重合体を主鎖とする樹脂が挙げられる。ビスフェノールS骨格の剛直性により、リンや硫黄原子が含有されていないフェノキシ樹脂(以下、リンや硫黄原子が含有されていないフェノキシ樹脂を、「未変性フェノキシ樹脂」と称する)と比べてガラス転移温度が一般に高く、難燃性をそれほど低下させることなく、耐熱性を付与することができる。しかも、硫黄原子により、リン原子ほどではないにしても難燃性を付与できることから、リン含有エポキシ樹脂の代替として用いても、組成物の難燃化達成のために、接着強度等の機械的特性に影響を及ぼすほどにまで、リン系難燃剤の配合量を増量しなくても済む。
さらに、ビスフェノールS型フェノキシ樹脂は、未変性フェノキシ樹脂と比べて、リン含有フェノキシ樹脂との相溶性に優れるという利点があるので、所望の特性に応じて、混合比率を広範囲から選択することが可能である。
ビスフェノールS型フェノキシ樹脂の重量分子量は、リン含有フェノキシ樹脂と同様に、1万〜10万、好ましくは2万〜8万、より好ましくは3万〜7万程度である。
ビスフェノールS型フェノキシ樹脂のガラス転移点は、重合度、ビスフェノールSの含有割合などにも依存するが、通常、上記分子量範囲内では、120〜140℃程度であり、未変性フェノキシ樹脂(ガラス転移点70〜90℃程度)よりも高く、リン含有エポキシ樹脂(ガラス転移温度130〜150℃程度)と比べても、それほど低くない。
このようなビスフェノールS型フェノキシ樹脂としては、市販品を用いてもよく、例えば、東都化成社製のYPS007A30、ジャパンエポキシレジン株式会社製のYL6746H30、YX8100などを用いることができる。
(A)リン含有フェノキシ樹脂と(B)ビスフェノールS型フェノキシ樹脂との含有重量比(A:B)は、80:20〜65:35である。リン含有フェノキシ樹脂とビスフェノールS型フェノキシ樹脂との含有比が1:1に近づくと、両者が相分離してしまう。一方、ビスフェノールS型フェノキシ樹脂の含有比を高めることで、再び相溶するが、相対的にリン含有率が少なくなりすぎると、難燃性の要件を充足するために、難燃剤の含有量を増やす必要があり、ひいては接着性低下をもたらすことになる。
(C)熱可塑性樹脂
(C)成分としての熱可塑性樹脂は、(A)成分及び(B)成分以外の熱可塑性樹脂であり、具体的には、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂(ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリフェニレンスルフィドスルホン等)、ポリスルホン樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等)、ポリエーテルイミド樹脂(ポリ−N−ホルミルエチレンイミン樹脂等)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等、ポリアセタール樹脂(ポリオキシメチレン樹脂等)、ケトン樹脂(脂肪族ポリケトン樹脂、アセトンホルムアルデヒド樹脂、アセトンフルフラール樹脂、環状ケトン樹脂等)等があげられ、これらのうち、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリビニル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられ、より好ましくはポリアミド系樹脂であり、特にフェノキシ樹脂中の反応基であるエポキシ基との反応可能なポリアミド樹脂が、フロー特性の点から好ましく用いられる。
(C)成分としての熱可塑性樹脂は、(A)成分及び(B)成分以外の熱可塑性樹脂であり、具体的には、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂(ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリフェニレンスルフィドスルホン等)、ポリスルホン樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等)、ポリエーテルイミド樹脂(ポリ−N−ホルミルエチレンイミン樹脂等)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等、ポリアセタール樹脂(ポリオキシメチレン樹脂等)、ケトン樹脂(脂肪族ポリケトン樹脂、アセトンホルムアルデヒド樹脂、アセトンフルフラール樹脂、環状ケトン樹脂等)等があげられ、これらのうち、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリビニル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられ、より好ましくはポリアミド系樹脂であり、特にフェノキシ樹脂中の反応基であるエポキシ基との反応可能なポリアミド樹脂が、フロー特性の点から好ましく用いられる。
ポリアミド樹脂はジカルボン酸、ジアミン、アミノカルボン酸、ラクタム等の反応により合成することができ、1種類のジカルボン酸とジアミンとの反応に限らず、複数のジカルボン酸と複数のジアミンを用いて合成してもよい。
ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸(1,5−、2,5−、2,6−および2,7−体)、ビフェニルジカルボン酸(2,2′−、3,3′−および4,4′−体)、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4′−ジカルボン酸、2,5−アントラセンジカルボン酸(2,5−および2,6−体)、フェニレンジアセティック酸(o−、m−およびp−体)、フェニレンジプロピオン酸(o−、m−およびp−体)、フェニルマロン酸、フェニルグルタル酸およびジフェニルコハク酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマール酸およびイタコン酸、1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−ジカルボキシメチルシクロヘキサン、1,4−ジカルボキシメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシル−4,4′−ジカルボン酸およびダイマー酸等があげられる。
また、上記ジアミンとしては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、p−ジ−アミノメチルシクロヘキサン、ビス(p−アミンシクロヘキシル)メタン、m−キシレンジアミン、1,4−ビス(3−アミノプロポキシ)シクロヘキサン、ピペラジン、イソホロンジアミン等があげられる。
上記アミノカルボン酸としては、例えば、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、4−アミノメチル安息香酸、4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸、7−アミノエナント酸、9−アミノノナン酸等があげられる。
上記ラクタムとしては、例えば、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン等があげられる。
これらのうち特にダイマー酸を構成成分に含むポリアミドは、常法のダイマー酸とジアミンの重縮合により得られるが、この際にダイマー酸以外のアジピン酸、アゼライン酸またはセバシン酸などのジカルボン酸を共重合成分として含有してもよい。
ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸(1,5−、2,5−、2,6−および2,7−体)、ビフェニルジカルボン酸(2,2′−、3,3′−および4,4′−体)、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4′−ジカルボン酸、2,5−アントラセンジカルボン酸(2,5−および2,6−体)、フェニレンジアセティック酸(o−、m−およびp−体)、フェニレンジプロピオン酸(o−、m−およびp−体)、フェニルマロン酸、フェニルグルタル酸およびジフェニルコハク酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマール酸およびイタコン酸、1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−ジカルボキシメチルシクロヘキサン、1,4−ジカルボキシメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシル−4,4′−ジカルボン酸およびダイマー酸等があげられる。
また、上記ジアミンとしては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、p−ジ−アミノメチルシクロヘキサン、ビス(p−アミンシクロヘキシル)メタン、m−キシレンジアミン、1,4−ビス(3−アミノプロポキシ)シクロヘキサン、ピペラジン、イソホロンジアミン等があげられる。
上記アミノカルボン酸としては、例えば、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、4−アミノメチル安息香酸、4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸、7−アミノエナント酸、9−アミノノナン酸等があげられる。
上記ラクタムとしては、例えば、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン等があげられる。
これらのうち特にダイマー酸を構成成分に含むポリアミドは、常法のダイマー酸とジアミンの重縮合により得られるが、この際にダイマー酸以外のアジピン酸、アゼライン酸またはセバシン酸などのジカルボン酸を共重合成分として含有してもよい。
以上のような熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が70℃以下、好ましくは50℃以下、特に好ましくは室温以下の熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。ガラス転移温度が高すぎると、柔軟な接着層が得られず、接着シートやカバーレイ等の積層体の取り扱い性が低下するからである。また、ガラス転移温度が70℃以下の熱可塑性樹脂は、フェノキシ樹脂との反応性、柔軟性に優れ、低吸湿性で半田耐熱性、絶縁性に優れることから好ましい。
接着性組成物における上記フェノキシ樹脂((A)リン含有フェノキシ樹脂及び(B)ビスフェノールS型フェノキシ樹脂)の合計含有量と上記(C)成分としての熱可塑性樹脂との含有重量比率は、1.5:1〜2.5:1であることが好ましく、より好ましくは1.8:1〜2.2:1、さらに好ましくは1.9:1〜2.1:1である。
熱可塑性樹脂に対するフェノキシ樹脂の含有割合が少なくなりすぎると、樹脂分における熱可塑性樹脂の含有割合が相対的に高くなるため、耐熱性、機械的強度を満足できない。逆に、フェノキシ樹脂(A)(B)の含有比率が高くなりすぎると、相対的に熱可塑性樹脂の含有割合が少なくなるため、柔軟性が低下し、曲げに対する機械的強度が不足する傾向がみられる。また、耐熱性、銅に対する接着力(剥離強度)が低下する。
熱可塑性樹脂に対するフェノキシ樹脂の含有割合が少なくなりすぎると、樹脂分における熱可塑性樹脂の含有割合が相対的に高くなるため、耐熱性、機械的強度を満足できない。逆に、フェノキシ樹脂(A)(B)の含有比率が高くなりすぎると、相対的に熱可塑性樹脂の含有割合が少なくなるため、柔軟性が低下し、曲げに対する機械的強度が不足する傾向がみられる。また、耐熱性、銅に対する接着力(剥離強度)が低下する。
(D)硬化剤
硬化剤は、(A)成分及び(B)成分であるフェノキシ樹脂中のエポキシ基、水酸基と反応する硬化剤で、未変性フェノキシ樹脂の硬化剤として公知であるものを用いることができる。具体的には、ポリアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、三フッ化ホウ素アミン錯塩、イミダゾール系硬化剤、芳香族ジアミン系硬化剤、カルボン酸系硬化剤、フェノール樹脂、メラミン樹脂等を用いることができる。これらは、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
硬化剤は、(A)成分及び(B)成分であるフェノキシ樹脂中のエポキシ基、水酸基と反応する硬化剤で、未変性フェノキシ樹脂の硬化剤として公知であるものを用いることができる。具体的には、ポリアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、三フッ化ホウ素アミン錯塩、イミダゾール系硬化剤、芳香族ジアミン系硬化剤、カルボン酸系硬化剤、フェノール樹脂、メラミン樹脂等を用いることができる。これらは、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ポリアミン系硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン、テトラエチレンテトラミン等の脂肪族アミン系硬化剤;イソホロンジアミン等の脂環式アミン系硬化剤;ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミン等の芳香族アミン系硬化剤;ジシアンジアミド等;メラミン樹脂などが挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、ピロメリト酸無水物、トリメリト酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
イミダゾール系硬化剤としては、メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールなどが挙げられる。
硬化剤の配合量は、フェノキシ樹脂のエポキシ当量に応じて適宜決めればよいが、好ましくは、(A)成分及び(B)成分の含有総量100重量部に対して、(D)硬化剤10〜30重量部とすることが好ましく、より好ましくは硬化剤15〜25重量部である。
(E)その他
本発明の樹脂組成物は、上記(A)リン含有フェノキシ樹脂、(B)ビスフェノールS型フェノキシ樹脂、(C)上記フェノキシ樹脂(A)(B)以外の熱可塑性樹脂、(D)硬化剤の他、さらに、難燃性確保のために、非ハロゲン系難燃剤、好ましくは、リン酸エステル、リン酸エステルアミド、ホスファゼン、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキシドなどのリン系化合物であり、より好ましくはリン濃度及び溶剤との溶解性の観点からホスファゼンが好ましい。ホスファゼンとは、リンと窒素を構成元素とする二重結合をもつ化合物群の慣用名で、分子中にホスファゼン構造をもつ化合物であれば特に限定しない。環状構造のシクロホスファゼン、それを開環重合して得られる鎖状ポリマー、オリゴマーであってもよい。
本発明の樹脂組成物は、上記(A)リン含有フェノキシ樹脂、(B)ビスフェノールS型フェノキシ樹脂、(C)上記フェノキシ樹脂(A)(B)以外の熱可塑性樹脂、(D)硬化剤の他、さらに、難燃性確保のために、非ハロゲン系難燃剤、好ましくは、リン酸エステル、リン酸エステルアミド、ホスファゼン、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキシドなどのリン系化合物であり、より好ましくはリン濃度及び溶剤との溶解性の観点からホスファゼンが好ましい。ホスファゼンとは、リンと窒素を構成元素とする二重結合をもつ化合物群の慣用名で、分子中にホスファゼン構造をもつ化合物であれば特に限定しない。環状構造のシクロホスファゼン、それを開環重合して得られる鎖状ポリマー、オリゴマーであってもよい。
また、本発明の目的を損なわない範囲、例えば、相分離などを起こさせない範囲内であれば、(A)(B)以外のフェノキシ樹脂が含有されていてもよいし、吸湿後半田耐熱性などを損なわない範囲であれば、リン含有エポキシ樹脂が含有されていてもよい。
非ハロゲン系難燃剤を含有させる場合、含有率が増大するにしたがって接着性が低下するので、最大でも樹脂分100重量部あたり30重量部以下とすることが好ましい。なお、非ハロゲン系難燃剤として、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物(無機フィラー)は接着性の低下の原因となるので、含有させないことが好ましい。
さらに、必要に応じて、硬化促進剤、シランカップリング剤、レべリング剤、消泡剤、界面活性剤などを適宜配合してもよい。ただし、無機充填剤の添加は、接着性、マイグレーション特性を低下させる傾向にあるので、配合しない方がよい。
〔接着性樹脂組成物の調製〕
本発明の接着性組成物は、以上のような(A)〜(D)成分、さらに必要に応じて添加される、非ハロゲン系難燃剤等の添加剤を配合して調製される。
樹脂組成物中のリン含有率が2.5〜4重量%となるように調製することが好ましい。
本発明の接着性組成物は、以上のような(A)〜(D)成分、さらに必要に応じて添加される、非ハロゲン系難燃剤等の添加剤を配合して調製される。
樹脂組成物中のリン含有率が2.5〜4重量%となるように調製することが好ましい。
本発明の接着性樹脂組成物は、通常、有機溶剤に溶解し、接着剤溶液として用いられる。有機溶剤としては、トルエン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、ジオキソラン、ヘキサン、トリエチルアミン、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、セロソルブ、エチレングリコール、ジメチルホルムアミド(DMF)、キシレン、N−メチルピロリドンなどを用いることができる。
以上のような組成を有する本発明の接着性樹脂組成物は、フレキシブルプリント配線板用接着剤として求められる接着強度、フレキシブル性、難燃性を有し、またフロー特性、半田耐熱性、特に吸湿後の半田耐熱性にも優れている。
本発明の接着剤組成物は、硬化後のガラス転移点が100℃以上であり、高温での屈曲性、半田耐熱性にも優れている。
〔用途〕
以上のような構成を有する本発明の接着性樹脂組成物は、UL−94規格のV−0クラス、VTM−0クラスの難燃性を充足し、高い接着強度を示し、可とう性に優れている。従って、接着シート、カバーレイなどの積層体やフレキシブル印刷配線板などの接着層に好適に用いることができる。
以上のような構成を有する本発明の接着性樹脂組成物は、UL−94規格のV−0クラス、VTM−0クラスの難燃性を充足し、高い接着強度を示し、可とう性に優れている。従って、接着シート、カバーレイなどの積層体やフレキシブル印刷配線板などの接着層に好適に用いることができる。
また、本発明の接着性樹脂組成物は、基材フィルム上に上記本発明の接着性樹脂組成物からなる接着剤層を形成し、該接着剤層上に金属箔を積層して、160℃、3MPa/cm2で40分間加熱・加圧したときに、前記金属箔が積層される積層面と直交する外周側端面のうち少なくとも一部からの前記接着性樹脂組成物のはみ出しが0.2mm以下、好ましくは0.1mm以下、より好ましくは0.05mm以下とすることができる。従って、熱プレスにより硬化したときの接着剤のはみ出しが問題となるような場合、例えば電気的接続端子を形成したり、接着剤のホールへの流出が厳しく制限されるスルーホールを形成する場合に好適に用いることができる。
ここで、フレキシブル印刷配線板は、絶縁フィルムと金属箔とが、上記本発明の接着性樹脂組成物の硬化物により複数層に貼着されたものである。すなわち絶縁フィルム上に本発明の接着性樹脂組成物を塗布、乾燥(半硬化状態)し、さらに金属箔を積層した後、加熱硬化することにより作製したもの(所謂、三層基板);絶縁フィルム上に本発明の接着性樹脂組成物を塗布、乾燥(半硬化状態)し、接着層の露出面をセパレータと呼ばれる絶縁フィルムで覆ったもの(所謂、カバーレイ);セパレータ上もしくは基材フィルム上に本発明の接着性樹脂組成物を塗布、乾燥(半硬化状態)し、露出面をセパレータで覆ったもの(所謂、接着シート)等を積層し、加熱硬化することにより、フレキシブル印刷配線板を形成することができる。なお、セパレータは積層時に除去される。
ここで、半硬化状態とは、接着性を有する状態で、本発明の接着性樹脂組成物を、例えば100〜180℃で数分〜数時間加熱、さらに必要に応じて加圧することにより形成され、フェノキシ樹脂が硬化剤と加熱反応して硬化したものと、未硬化ものとが混在した状態をいう。好適な加熱時間は、その接着剤の構成成分、用途(例えば基板、カバーレイ、あるいはボンディングフィルムなど)によって異なる。
本発明の三層基板は、絶縁フィルムの少なくとも片面に、金属箔が貼着されていればよく、絶縁性フィルム、接着層、金属箔層とからなる3層構造(所謂、三層片面基板)の他、金属箔、接着層、電機絶縁性フィルム、接着層、金属箔層からなる5層構造(所謂、三層両面基板)であってもよい。
絶縁フィルムとしては、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルムなどが挙げられる。
金属箔としては、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられるが、銅箔が好適に用いられる。
金属箔としては、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられるが、銅箔が好適に用いられる。
カバーレイフィルムとは、フレキシブル銅張り積層板の銅箔を加工して配線パターンを形成した後に、その配線を保護するために、その配線パターン形成面を被覆する材料として用いられる積層体で、絶縁フィルム上に本発明の接着性樹脂組成物からなる半硬化状態の接着層が積層されたものである。通常、接着層上には、離型性を有するセパレータが貼付されている。
接着シートとは、セパレータと、場合によっては、基材フィルムと本発明の接着性樹脂組成物からなる半硬化状態の接着層を積層したものであり、基板の積層や、補強板の貼付に使われる。上記基材フィルムとしては、用途に応じて、ポリイミドフィルム等の耐熱性、絶縁性フィルムや、ガラス繊維強化樹脂シート、不織布などを基材としたプリプレグシートであってもよい。
本発明を実施するための最良の形態を実施例により説明する。実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
〔接着性樹脂組成物の調製及び評価〕
表1に示す成分を、表1に示す重量割合で配合し、さらに有機溶剤に溶解して固形分濃度30重量%の接着剤溶液No.1〜11を調製した。ここで、エポキシ系ベース樹脂については、表2に示すような割合(重量%)で、リン含有エポキシ樹脂、硫黄含有フェノキシ樹脂、未変性フェノキシ樹脂、又はリン含有エポキシ樹脂を配合した。
表1に示す成分を、表1に示す重量割合で配合し、さらに有機溶剤に溶解して固形分濃度30重量%の接着剤溶液No.1〜11を調製した。ここで、エポキシ系ベース樹脂については、表2に示すような割合(重量%)で、リン含有エポキシ樹脂、硫黄含有フェノキシ樹脂、未変性フェノキシ樹脂、又はリン含有エポキシ樹脂を配合した。
リン含有フェノキシ樹脂としては、東都化成株式会社製の「ERF001−M30」(重量平均分子量35000〜50000、ガラス転移点146℃、25℃における溶液粘度500〜2000mPa・s)、ビスフェノールS型フェノキシ樹脂としては、東都化成株式会社製の「YPS007A30」(ビスフェノールAとビスフェノールSの共重合型、25℃における溶液粘度6000〜20000mPa・s、重量平均分子量35000〜45000、ガラス転移点130℃)、未変性フェノキシ樹脂としては、東都化成株式会社製の「YP−50EK35」(25℃における溶液粘度1500〜3500mPa・s、ガラス転移点84℃、エポキシ当量87600g/ep、重量平均分子量44100)、リン含有エポキシ樹脂としては、FX−289BEK75(25℃における溶液粘度2000〜4000mPa・s)を用いた。
調製した接着剤溶液について、下記特性を測定評価した。測定結果を表2に示す。
(1)外観
調製した接着剤溶液を目視で観察し、溶液が分離していない場合を「○」、2層に分離していた場合を「×」とした。
(1)外観
調製した接着剤溶液を目視で観察し、溶液が分離していない場合を「○」、2層に分離していた場合を「×」とした。
(2)フロー特性(μm)
外観評価で、「○」と評価されたものについて、以下のようにして測定評価した。
図1は、熱プレス後の銅張り積層板の孔1a周辺を示す概要図である。ポリイミドフィルム1上に接着剤層2が形成され、この接着剤層2上に、銅箔3が貼着されている。尚、接着剤層2は、接着剤溶液を、乾燥後20〜30μmの厚みとなるように塗布し、150℃で2分間乾燥させて、半硬化状態の接着剤層を形成し、この半硬化状態の接着剤層上に、銅箔3を積層した後、熱プレスにて3MPaの圧力下、160℃で40分間加熱を行うことにより、形成した。
孔部分1aでの接着剤2のはみ出しを観察し、ポリイミドフィルム1の穴端から銅箔への接着剤の流出が最大部分の距離d(μm)を測定した。フロー穴直径1.5mmで、流出距離200μm未満であることが求められる。
外観評価で、「○」と評価されたものについて、以下のようにして測定評価した。
図1は、熱プレス後の銅張り積層板の孔1a周辺を示す概要図である。ポリイミドフィルム1上に接着剤層2が形成され、この接着剤層2上に、銅箔3が貼着されている。尚、接着剤層2は、接着剤溶液を、乾燥後20〜30μmの厚みとなるように塗布し、150℃で2分間乾燥させて、半硬化状態の接着剤層を形成し、この半硬化状態の接着剤層上に、銅箔3を積層した後、熱プレスにて3MPaの圧力下、160℃で40分間加熱を行うことにより、形成した。
孔部分1aでの接着剤2のはみ出しを観察し、ポリイミドフィルム1の穴端から銅箔への接着剤の流出が最大部分の距離d(μm)を測定した。フロー穴直径1.5mmで、流出距離200μm未満であることが求められる。
(3)室温弾性率(GPa)
外観が「○」と評価された接着剤溶液を、厚み25μmの離型PETフィルム表面に、乾燥後20〜30μmの厚みとなるように塗布し、150℃で2分間乾燥させて、半硬化状態の接着層を形成した。この半硬化状態の接着層をはがし、160℃で40分間加熱硬化して、測定用フィルムとした。
この測定用フィルムについて、JIS−C−6481に準拠して、弾性率を測定した。
外観が「○」と評価された接着剤溶液を、厚み25μmの離型PETフィルム表面に、乾燥後20〜30μmの厚みとなるように塗布し、150℃で2分間乾燥させて、半硬化状態の接着層を形成した。この半硬化状態の接着層をはがし、160℃で40分間加熱硬化して、測定用フィルムとした。
この測定用フィルムについて、JIS−C−6481に準拠して、弾性率を測定した。
(4)室温伸び(%)
(3)で作成した測定用フィルムを用いて、JIS−C−6481に準拠して、伸びを測定した。
(3)で作成した測定用フィルムを用いて、JIS−C−6481に準拠して、伸びを測定した。
(5)ガラス転移温度(℃)
(3)で作成した測定用フィルムを用いて、DSC法(10℃/min)によりガラス転移温度(Tg)を測定した。
(3)で作成した測定用フィルムを用いて、DSC法(10℃/min)によりガラス転移温度(Tg)を測定した。
以上の測定結果を、表2に示す。
〔フレキシブル印刷配線板の作製及び評価〕
上記で調製した接着溶液No.1〜4,7,11を用いて、以下のようにしてフレキシブル印刷配線板を作製した。厚み25μmのポリイミドフィルム表面に、上記接着剤溶液を、乾燥後20〜30μmの厚みとなるように塗布し、150℃で2分間乾燥させて、半硬化状態の接着層を形成した。この半硬化状態の接着層上に、径1.5mmの孔1aを穿孔し、厚み18μmの圧延銅箔を積層した後、熱プレスにて3MPaの圧力下、160℃で40分間加熱を行い、フレキシブル印刷配線板を作成した。
作製したフレキシブル印刷配線板について、以下の評価方法により測定評価した。結果を表2に示す。
上記で調製した接着溶液No.1〜4,7,11を用いて、以下のようにしてフレキシブル印刷配線板を作製した。厚み25μmのポリイミドフィルム表面に、上記接着剤溶液を、乾燥後20〜30μmの厚みとなるように塗布し、150℃で2分間乾燥させて、半硬化状態の接着層を形成した。この半硬化状態の接着層上に、径1.5mmの孔1aを穿孔し、厚み18μmの圧延銅箔を積層した後、熱プレスにて3MPaの圧力下、160℃で40分間加熱を行い、フレキシブル印刷配線板を作成した。
作製したフレキシブル印刷配線板について、以下の評価方法により測定評価した。結果を表2に示す。
(6)接着性(N/cm)
JIS−C−6481に準拠して、23℃において、銅箔側から引張り、ポリイミドフィルムから剥がすときの剥離強度(N/cm)を測定した。
JIS−C−6481に準拠して、23℃において、銅箔側から引張り、ポリイミドフィルムから剥がすときの剥離強度(N/cm)を測定した。
(7)半田耐熱性(℃)
JIS C 6471に準じ、下記の条件で試験を行った。
半田浴温度:280℃から10℃ずつ昇温
浸漬時間 :60秒間
半田浴の温度を、280℃から10℃ずつ昇温していき、接着層の膨れ等の外観異常の有無を目視により観察した。膨れ等の外観異常が確認されるときの温度を、半田耐熱温度とした。
JIS C 6471に準じ、下記の条件で試験を行った。
半田浴温度:280℃から10℃ずつ昇温
浸漬時間 :60秒間
半田浴の温度を、280℃から10℃ずつ昇温していき、接着層の膨れ等の外観異常の有無を目視により観察した。膨れ等の外観異常が確認されるときの温度を、半田耐熱温度とした。
(8)吸湿後半田耐熱性(℃)
45℃、85%湿度条件下、24時間保管後に、(7)の方法に従って半田耐熱温度を測定した。
45℃、85%湿度条件下、24時間保管後に、(7)の方法に従って半田耐熱温度を測定した。
(9)難燃性
(1)で作製したポリイミドフィルムと半硬化状態の接着層との積層物を、銅箔を積層せず、圧力をかけずに160℃で40分加熱したものを用いて、UL−94に準拠して難燃性の評価試験を行った。そして、上記規格に合格(V−0クラス)のものを「○」、不合格のものを「×」とした。
(1)で作製したポリイミドフィルムと半硬化状態の接着層との積層物を、銅箔を積層せず、圧力をかけずに160℃で40分加熱したものを用いて、UL−94に準拠して難燃性の評価試験を行った。そして、上記規格に合格(V−0クラス)のものを「○」、不合格のものを「×」とした。
表2からわかるように、リン含有フェノキシ樹脂に対するビスフェノールS型フェノキシ樹脂の含有量比率(ビスフェノールS型フェノキシ樹脂/リン含有フェノキシ樹脂)が35/65以下では相溶性があり、高い剥離強度、フロー特性、半田耐熱性、吸湿後の半田耐熱性、弾性率、伸び、難燃性のいずれも満足できた(No.1〜4)。
この点、ビスフェノールS型フェノキシ樹脂に代えて、未変性フェノキシ樹脂を用いた場合(No.8〜10)、両者は相溶性せず、リン含有フェノキシ樹脂に対する未変性フェノキシ樹脂の含有量比率(未変性フェノキシ樹脂/リン含有フェノキシ樹脂)が10/90であっても均質な接着剤溶液を得ることはできなかった(No.8)。
この点、ビスフェノールS型フェノキシ樹脂に代えて、未変性フェノキシ樹脂を用いた場合(No.8〜10)、両者は相溶性せず、リン含有フェノキシ樹脂に対する未変性フェノキシ樹脂の含有量比率(未変性フェノキシ樹脂/リン含有フェノキシ樹脂)が10/90であっても均質な接着剤溶液を得ることはできなかった(No.8)。
リン含有フェノキシ樹脂とビスフェノールS型フェノキシ樹脂との含有量が等量近くになると、相分離を示すようになったが(No.5,6)、ビスフェノールS型フェノキシ樹脂を主成分とすることにより、再び相溶性を示すようになった(No.7)。しかしながら、リン含有フェノキシ樹脂量が不十分であったためと思われるが、難燃性V0、高Tgを達成できなかった。
リン含有フェノキシ樹脂の代わりに、リン含有エポキシ樹脂を用いた場合には(No11)、剥離強度、フロー特性を充足することができなかった。また、作製された接着フィルムはもろく、室温弾性率、室温伸び、難燃性を測定できなかった。
本発明の接着性樹脂組成物は、可とう性、接着性、難燃性に優れ、しかも保存安定性に優れた接着剤層を提供でき、さらに、高温加圧時による硬化時の接着剤の流出が少ないので、フレキシブル印刷配線板、カバーレイ、各種接着シートの接着層はもちろん、スルーホールを有するカバーレイ、接着シートなどに、特に有用である。
Claims (8)
- (A)リン含有フェノキシ樹脂、(B)ビスフェノールS型フェノキシ樹脂、(C)前記(A)成分及び(B)成分以外の熱可塑性樹脂、及び(D)前記フェノキシ樹脂中のエポキシ基及び/又は水酸基と反応する硬化剤を含有する接着性樹脂組成物であって、
(A)リン含有フェノキシ樹脂と(B)ビスフェノールS型フェノキシ樹脂の含有重量比率(A/B)は、80/20〜65/35である接着性樹脂組成物。 - (A)成分及び(B)成分の含有総量と(C)成分の含有量比率は、1.5:1〜2.5:1である請求項1に記載の接着性樹脂組成物。
- (A)成分及び(B)成分の含有総量100重量部に対して、(D)硬化剤10〜30重量部含有される請求項1又は2に記載の接着性樹脂組成物。
- 硬化後のガラス転移温度が100℃以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の接着性樹脂組成物。
- 前記(C)成分は、ポリアミド樹脂である請求項1〜4のいずれか1項に記載の接着性樹脂組成物。
- リン含有率が2.5〜4重量%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の接着性樹脂組成物。
- 基材フィルム上に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の接着性樹脂組成物からなる接着層を有する積層体。
- 請求項7に記載の積層体を含むフレキシブル印刷配線板。
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