JP4701808B2 - 化粧シート - Google Patents

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本発明は、戸建て住宅やマンション、アパート、オフィスビル、店舗等の建築物における床面や内装壁面、建具や家電品の表面材、および自動車や電車などの内装材等として木質系ボード類、無機系ボード類、金属板等の表面に接着剤で貼合する化粧シートに関するものであり、特には低発煙性と難燃性を付与した化粧シートに関するものである。
従来、化粧板の用途に用いられる化粧シートとしては、塩化ビニル系樹脂製シートが最も一般的であり、それは塩化ビニル樹脂自体が難燃性に優れることによるものでもあった。しかし近年になって、塩化ビニル樹脂は火災時には塩化水素ガスによる中毒や窒息の危険があり、また焼却時に酸性雨の原因となる塩化水素ガスや環境ホルモン物質であるダイオキシンの発生の要因となり環境衛生上問題視されるようになってきている。また、燃焼時には発煙量が多いという問題もあった。そこで、塩化ビニル樹脂に替わる樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、エチレンビニルアルコール、アクリル等の樹脂および共重合体を使用した化粧シートが提案されている。
これらのうち、オレフィン系樹脂に難燃性を付与するために、ハロゲン化合物やアルミニウム、マグネシウム系の金属水酸化物、或は赤燐、カーボンブラック、シリコーン樹脂やオイル、さらにメラミン樹脂等の含窒素化合物等が難燃化材料(難燃剤)として使用されている。
しかしながら、ハロゲン化合物はハロゲン化水素ガス等の有毒物質の発生や多量の黒煙が発生するので問題があり、金属水酸化物は多量に添加しないと難燃性は得られず、多量に添加すると化粧シートの柔軟性や腰強度が悪くなる。又、シリコーン樹脂やオイルを添加すると耐汚染性が悪くなり、さらに赤燐やカーボンブラックはシートが着色されてしまう為に意匠性、デザイン性に劣るといった問題があった。これらの難燃剤を組み合わせることにより自消性、ノンドリップ性を有するものが得られるが、上記の様な問題により化粧シートとしては使用することが難しかった。
本発明は前記問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、塩化ビニル樹脂などのハロゲン含有材料を用ずに、意匠性に優れ難燃性と低発煙性に優れ、耐傷性、耐薬品性、後加工性及び耐熱性能を有する優れた化粧シートを提供することにある。
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その請求項1に記載の発明は、基材樹脂層上に意匠絵柄層と透明樹脂層とを少なくともこの順に設けてなる化粧シートにおいて、前記基材樹脂層が難燃化材料として熱膨張性黒鉛を含有し、前記基材樹脂層の意匠絵柄層とは反対側に設けた層が難燃化材料として燐化合物、窒素化合物もしくは金属水酸化物のうち少なくとも1つを含有してなり、且つ化粧シート全体の層厚の40%以上の層が難燃化材料を含有したものであることを特徴とする化粧シートである。
また、請求項2に記載の発明は、基材樹脂層上に意匠絵柄層と透明樹脂層とを少なくともこの順に設けてなる化粧シートにおいて、前記基材樹脂層が難燃化材料として燐化合物、窒素化合物もしくは金属水酸化物のうち少なくとも1つを含有し、前記基材樹脂層の意匠絵柄層とは反対側に設けた層が難燃化材料として熱膨張性黒鉛を含有してなり、且つ化粧シート全体の層厚の40%以上の層が難燃化材料を含有したものであることを特徴とする化粧シートである。
また、請求項3に記載の発明は、前記透明樹脂層が少なくとも2層以上からなり、前記意匠絵柄層に接する透明樹脂層が難燃化材料を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化粧シートである。
また、請求項4に記載の発明は、前記透明樹脂層に含有された難燃化材料が金属水酸化物であることを特徴とする請求項3に記載の化粧シートである。
また、請求項5に記載の発明は、前記基材樹脂層および透明樹脂層の少なくとも一方がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の化粧シートである。
請求項1、2に記載の発明は、表面側の層により意匠性、耐傷性、耐薬品性、後加工性及び耐熱性に優れたものとしつつ、基材側の層に熱膨張性黒鉛を含む難燃化材料を含有したことで、火災などでの燃焼時に熱膨張性黒鉛が膨張して断熱性を有する層となり、その膨張した部分の難燃化材料を含有する層の表面積が拡大して、難燃性に優れ、低発煙性に優れるものとなる。
また、請求項1、2に記載の発明は、難燃性に優れる材料もしくは安価な材料を選択することで比較的安価で、さらに熱膨張性黒鉛との相互作用により効率的に難燃性および低発煙性を得ることができる化粧シートを提供することが可能となる。
また、請求項3に記載の発明は、前記意匠絵柄層側の透明樹脂層にも難燃化材を含有させることにより、さらに難燃性と低発煙性に優れる化粧シートを提供することが可能となる。
また、請求項4に記載の発明は、意匠絵柄層側の透明樹脂層に含有する難燃化材を透明性を有する金属水酸化物からなる難燃化材とすることで、透明性を損なうことなく難燃性と低発煙性に優れる化粧シートを提供することが可能となる。
また、請求項5に記載の発明は、前記基材樹脂層および透明樹脂層の少なくとも一方がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とすることにより、印刷などの意匠性や柔軟性をはじめとする後加工性に優れ、難燃性と低発煙性に優れる化粧シートを提供することが可能となる。
以下に本発明の化粧シートを図面に基づき詳細に説明する。図1に本発明の化粧シートの一実施例の断面の構造を示す。本実施例における化粧シートは、基材樹脂層1の上に意匠絵柄層2、透明樹脂層3がこの順に積層してなり、基材樹脂層1及び/または基材樹脂層1の意匠絵柄層とは反対側に設けた層4に、熱膨張性黒鉛を含む難燃化材料が配されている。
本発明における基材樹脂層1としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ピニル、ポリ乳酸をはじめとする生分解性樹脂等から適官選択が可能であるが、燃焼時や焼却時の黒煙の発生やダイオキシン物質の発生を考慮するとポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂および生分解性樹脂が好適である。
また基材樹脂層1には熱安定剤、紫外線吸収剤及び光安定剤を添加してもよい。熱安定剤としては、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]−プロピオネート、2、4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトに代表される燐系酸化防止剤等の中から1種、あるは1種以上組み合わせて使用可能である。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3、5−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等のトリアジン系紫外線吸収剤、酸化セリウム、酸化チタン等の無機系紫外線吸収剤等の中から1種あるいは1種以上を任意に組み合わせて添加することが可能である。
光安定剤としては、例えば、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート等のヒンダードアミン系光安定剤、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系光安定剤、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルキシ)−4−ピペリジニル)エステル等のアミノエーテル型の光安定剤等の中から1種あるいは1種以上を任意に組み合わせて使用することが可能である。また特開平9−278835号公報に記載されているような、紫外線吸収剤あるいは光安定剤とポリプロピレンを架橋したグラフトポリマーを耐候マスターバッチとして添加することも可能である。
本発明の化粧シートには、意匠性付与を主な目的として意匠絵柄層2、透明樹脂層3が設けられる。意匠絵柄層2は通常のグラビア印刷等により所定の印刷インキにて設けることが可能である。
最も一般的な方法は、ウレタン系のインキでイソシアネートで硬化させる方法である。これらバインダー以外には通常のインキに含まれている顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、各種添加剤が添加されている。特によく用いられる顔料には縮合アゾ、
不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等がある。
透明樹脂層3を設ける方法としては、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、エクストルージョンラミネート法、熱ラミネート法、コーティング法などによって積層貼合することができ、基材樹脂層1の材質や表面形状、表面保護層の材質や厚みにより任意の方法から適宜選択が可能である。特に好ましくは、ドライラミネート法、エクスとルージョンラミネート法、コーティング法によるもので、平面での積層貼合だけでなく、表面エンボスなどの立体形状での積層貼合が可能であり、透明樹脂層3で被覆することができる。
透明樹脂層2にも基材樹脂層1と同様の熱安定剤、紫外線吸収剤及び光安定剤を添加してもよく、前述の熱安定剤、紫外線吸収剤及び光安定剤などから適宜使用可能である。
基材樹脂層1及び/または基材樹脂層1の意匠絵柄層とは反対側に設けた層4(以下、反対側に設けた層4とする。)に配する膨張性黒鉛としては、例えば、鱗片状黒鉛を硫酸や硝酸或は燐酸等で酸化処理したものであり、黒鉛−硫酸層間化合物等である。これらの膨張性黒鉛のうち300〜400℃の温度で膨張し始めて50倍以上に膨脹するのものが好ましい。これらの膨張性黒鉛は体積比率で5%以上添加するのが好ましい。基材樹脂層1に添加する場合には体積比率で5%以上を添加し、反対側に設けた層4に添加する場合には、基材樹脂層1との合計の体積比率で2%以上を添加することが好ましい。
積層構造の基材樹脂層1及び/または反対側に設けた層4のうち、膨張性黒鉛およびその他の難燃化材料が添加された層の厚みが、添加されていない層の厚に対して一定以上の割合を持っていることで本発明の効果が発現するものとなり、本発明では全体の層の厚みの40%以上が難燃化材料が添加された層の厚みとする。本発明者らは熱膨張性黒鉛からなる難燃化材料を含む層が化粧シートの裏面側に上記割合で設けられていれば、化粧シートの表面側に難燃剤が添加されていなくても化粧シートを難燃化させることが可能であることを見出した。
本発明において用いる熱膨張性黒鉛の膨張倍率は、2%以上であれば添加部数に制限はないが、30%以上添加してもそれ以上の難燃効果は得られないので、コスト的観点から体積比率で5〜20%の範囲で使用するのが特に好ましい。火災などの燃焼時にこの難燃化材料としての熱膨張性黒鉛が発泡膨張して化粧シート全体を包含するために、熱膨張性黒鉛を化粧シートの裏面側に設ける本発明の場合、熱膨張性黒鉛を含有する層の厚みは化粧シート全体の40%以上とする。
本発明においてその他の難燃化材料としては、燐化合物、窒素化合物もしくは金属水酸化物のうち少なくとも1つからなる難燃化材料を配することにより、難燃性に優れる材料もしくは安価な材料を選択することができるため比較的安価で、さらに熱膨張性黒鉛との相互作用により効率的に難燃性および低発煙性を得ることができる。
また、基材樹脂層1に熱膨張性黒鉛が配されている場合、反対側に設けた層4に燐化合物、窒素化合物もしくは金属水酸化物のうち少なくとも1つを含有するものとすると、反対側に設けた層4自体が難燃層あるいは不燃層となり、難燃性を基材樹脂層1の熱膨張性黒鉛の膨張に依存する層はより上に積層された意匠絵柄層2、透明樹脂層3となり、相対的に難燃効果の向上ができる。つまり熱膨張性黒鉛やその他の難燃剤の添加量を減量することができるので、好適である。
また一方、基材樹脂層1に熱膨張性黒鉛が含有されず、燐化合物、窒素化合物もしくは金属水酸化物のうち少なくとも1つを含有し、その反対側に設けた層4に熱膨張性黒鉛を含有する場合、反対側に設けた層4の熱膨張によりその上にある基材樹脂層1の難燃化材料が熱膨張層表面に展開されるため、燃焼層が小さくなることにより消火までの燃焼による難燃剤消費が小さくなり難燃効果が向上できる。したがって熱膨張性黒鉛やその他の難燃剤の添加量を減量することができるので、好適である。
さらに、基材樹脂層1あるいは反対側に設けた層4の一方もしくは両方に熱膨張性黒鉛と燐化合物、窒素化合物もしくは金属水酸化物の難燃化材料うち少なくとも1つの共に含有される場合、熱膨張性黒鉛の熱膨張によりにもう一方の難燃化材料が展開されるため、燃焼層が小さくなることにより消火までの燃焼による難燃剤消費が小さくなり難燃性効果が向上できる。したがって熱膨張性黒鉛やその他の難燃剤の添加量を減量することができるので最も好ましい。
燐化合物、窒素化合物もしくは金属水酸化物としては、一般に市販されているものを使用することができ、例えば、樹脂等で表面をコーティングした赤燐やポリ燐酸アンモニウム等のポリ燐酸塩の他、燐酸エステル系可塑剤、硫酸メラミン、メラミンシアヌレート、ポリ燐酸メラミン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、等が挙げられる。黒煙発生を抑えるには、ハロゲン元素を含まないものがさらに好ましい。
燐化合物、窒素化合物もしくは金属水酸化物の難燃化材料の難燃機構発現温度は熱膨張黒鉛の膨張開始温度より高いものを選択することが好ましく、例えば難燃性発現機構としての水分子放出開始温度が230℃の水酸化アルミニウムと熱膨張開始温度が300℃の膨張性黒鉛では前述のような効果が期待できないので使用する組み合わせに注意する。
また、透明樹脂層3が少なくとも31と32の2層以上からなり、前記意匠絵柄層2に接する透明樹脂層31が難燃化材料を含有することを特徴とすることにより、さらに難燃効果を向上できる。前記透明樹脂層31に添加する難燃化材料としては一次粒子径が0.1μm以下の金属水酸化物が好ましい。化粧シートに求められている意匠性にもよるが、透明樹脂層2に高い透明性が求められる場合には一次粒子径が0.05μm以下の金属水酸化物を使用することがさらに好ましい。また最表層となる透明樹脂層32は意匠性や耐傷性、耐摩耗性、耐汚染性、耐熱性など化粧シートの表面機能が求められ、それらの物性が損なわれないよう難燃化材料を含まない透明樹脂層を設けるが、この透明樹脂層32は透明樹脂層2全体の20%以下にすることが好ましい。
また基材樹脂層1に添加される難燃化材料としても金属水酸化物が特に好ましい。金属水酸化物は汎用樹脂よりも安価であり充填材としても使用されるものであり、また金属水酸化物の難燃性発現のためにはその添加量を多くする必要がある。また耐熱性や耐候性の面でも有機系の難燃化材料は変色を起こしたり脆化を起こすものもある。これに対して金属水酸化物は添加量を多くしても安定しており基材樹脂層1や透明樹脂層3の樹脂層に添加しても経時劣化は著しく小さいものである。
また、基材樹脂層1および透明樹脂層3の少なくとも一方がポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。ここで用いられるポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体や、これらを接着性の向上の目的で酸変性したもの、あるいはアイオノマー等から適宜選択が可能で、単一でも複数種の混合でも構わない。
透明樹脂層3をエクストルージョンラミネート法により基材樹脂層1に積層する場合には接着性を有するオレフィン系樹脂を介して透明樹脂層3を積層するのが好ましい。さらに透明樹脂層3をオレフィン系樹脂とすることにより、カレンダ成形法によりシート成形する場合や、エクストルーションラミネート法により基材樹脂層1上に積層する場合には、同時に木質表現としての導管エンボス加工などができる。
一般的に化粧シートには耐候性が求められるため、透明樹脂層3には紫外線吸収剤及び光安定剤を適宜添加する。その他にも必要に応じて熱安定剤、難燃剤、ブロッキング防止剤等が添加される。紫外線吸収剤や光安定剤としては、前述のようなものが挙げられるが、所望の効果を有する範囲内で、かつ化粧シートの耐候性以外の特性に大きな影響を与えない範囲であれば、特にその成分や添加量に制限はない。
熱安定剤としては、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]−プロピオネート、2、4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトに代表される燐系酸化防止剤等の中から1種、あるは1種以上組み合わせて使用可能である。
ブロッキング防止剤としては、珪酸アルミニウム、酸化珪素、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム等の無機系ブロッキング防止剤、脂肪酸アミドのような有機系ブロッキング防止剤等が任意に添加される。
また、いずれの化粧シートにおいても合板や鋼板などの基材に貼り合わせのためのプライマーコートや表面保護や艶調整のためのトップコート、エンボス法やグロスマット法等による導管表現等が施されていても構わない。
下記の配合および層構成による化粧シートを作成した。
表面ウレタン樹脂層 10μm
透明樹脂層 80μm
ポリプロピレン樹脂 70重量部
水酸化マグネシウム 30重量部
透明ポリプロピレン系接着性樹脂層 10μm
意匠絵柄層
基材シート 70μm
着色ポリプロピレン 70重量部
ポリリン酸エステル系難燃剤 20重量部
膨張性黒鉛 10重量部
下記の配合および層構成による化粧シートを作成した。
表面ウレタン樹脂層 10μm
透明樹脂層 80μm
ポリプロピレン樹脂 70重量部
水酸化マグネシウム 30重量部
透明ポリプロピレン系接着性樹脂層 10μm
意匠絵柄層
基材シート 70μm
着色ポリプロピレン 80重量部
ポリリン酸エステル系難燃剤 20重量部
膨張黒鉛含有難燃層 30μm
ポリプロピレン樹脂 60重量部
熱膨張性黒鉛 40重量部
下記の配合および層構成による化粧シートを作成した。
表面ウレタン樹脂層 10μm
透明樹脂層 80μm
ポリエチレン樹脂 100重量部
ドライラミネート接着剤層 10μm
意匠絵柄層
基材シート 70μm
着色ポリエチレン 70重量部
ポリリン酸アンモニウム系難燃剤 20重量部
熱膨張性黒鉛 10重量部
膨張黒鉛含有難燃層 30μm
ポリエチレン樹脂 60重量部
熱膨張性黒鉛 40重量部
<比較例1>
下記の配合および層構成による化粧シートを作成した。
表面ウレタン樹脂層 10μm
透明樹脂層 80μm
ポリプロピレン樹脂 70重量部
透明ポリプロピレン系接着性樹脂 10μm
意匠絵柄層
基材シート 70μm
着色ポリプロピレン 80重量部
ポリリン酸エステル系難燃剤 20重量部
<比較例2>
下記の配合および層構成による化粧シートを作成した。
表面ウレタン樹脂層 10μm
透明樹脂層 80μ
ポリプロピレン樹脂 50重量部
水酸化マグネシウム 50重量部
透明ポリプロピレン系接着性樹脂 10μm
意匠絵柄層
基材シート 70μm
着色ポリプロピレン 100重量部
<比較例3>
下記の配合および層構成による化粧シートを作成した。
表面ウレタン樹脂層 10μm
透明樹脂層 80μm
ポリプロピレン樹脂 100重量部
透明ドライラミネート接着剤層 5μm
意匠絵柄層
基材シート 70μm
着色ポリプロピレン 100重量部
膨張黒鉛含有難燃層 30μm
ポリプロピレン樹脂 80重量部
熱膨張性黒鉛 20重量部
上記で成形した化粧シートを厚さ3mmの難燃パーチクルボードに貼合し燃焼試験を実施した。燃焼試験の方法は、UL94規格の垂直燃焼試験方法による。試験結果を表1に示した。
Figure 0004701808
本発明の化粧シートの一実施例の断面の構造を示す説明図である。
符号の説明
1…基材樹脂層
2…意匠絵柄層
3、31、32…透明樹脂層
4…基材樹脂層の意匠絵柄層とは反対側に設けた層

Claims (5)

  1. 基材樹脂層上に意匠絵柄層と透明樹脂層とを少なくともこの順に設けてなる化粧シートにおいて、前記基材樹脂層が難燃化材料として熱膨張性黒鉛を含有し、前記基材樹脂層の意匠絵柄層とは反対側に設けた層が難燃化材料として燐化合物、窒素化合物もしくは金属水酸化物のうち少なくとも1つを含有してなり、且つ化粧シート全体の層厚の40%以上の層が難燃化材料を含有したものであることを特徴とする化粧シート。
  2. 基材樹脂層上に意匠絵柄層と透明樹脂層とを少なくともこの順に設けてなる化粧シートにおいて、前記基材樹脂層が難燃化材料として燐化合物、窒素化合物もしくは金属水酸化物のうち少なくとも1つを含有し、前記基材樹脂層の意匠絵柄層とは反対側に設けた層が難燃化材料として熱膨張性黒鉛を含有してなり、且つ化粧シート全体の層厚の40%以上の層が難燃化材料を含有したものであることを特徴とする化粧シート。
  3. 前記透明樹脂層が少なくとも2層以上からなり、前記意匠絵柄層に接する透明樹脂層が難燃化材料を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化粧シート。
  4. 前記透明樹脂層に含有された難燃化材料が金属水酸化物であることを特徴とする請求項3に記載の化粧シート。
  5. 前記基材樹脂層および透明樹脂層の少なくとも一方がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の化粧シート。
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