JP5544978B2 - 化粧シート - Google Patents

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Description

本発明は、主に住宅向け建材の表面装飾等に用いられる、熱可塑性樹脂を主原料とする化粧シートのうち、特にポリプロピレン系樹脂を主成分とする化粧シートに関するものである。
近年、主に住宅向け建材の表面装飾に使用する化粧シートは、可塑剤の環境ホルモン問題や、焼却処理時のダイオキシン発生の懸念などから、ポリ塩化ビニル系材料を使用したものが敬遠される傾向にあり、ポリオレフィンやポリエチレンテレフタレート(以下PETとする。)、アクリルなどを使用したものが主流となっている。その中でも特にポリプロピレン系樹脂を主成分とした化粧シートは、原材料費を含めた製造コストが安価になる傾向にあり、また耐傷付き性や耐熱性、耐薬品性などの性能が高いなどの特徴から、好適に使用される傾向にある。
一方、ポリプロピレン系樹脂を主成分とした化粧シートには、更に耐候性能や耐傷付き性能などを付与する為に、表面保護層を諸々のコーティング法により設けることが一般的であるが、表面保護層を硬化させる方式として、従来の水酸基を有する主剤とイソシアネート基を有する硬化剤との反応ではなく、紫外線や電子線を照射することで硬化を起こす方式が提案されている。紫外線や電子線の照射により表面保護層を硬化させる場合には、イソシアネートにより硬化する場合と比較して、より硬質な層になりやすい傾向にあり、結果として、耐傷付き性能に優れた化粧シートを得やすいという利点がある。
電子線硬化方式と紫外線硬化方式とを比較した場合には、生産設備の簡便さという点では紫外線硬化方式が優れているが、硬化膜の反応率や材料コスト、紫外線吸収剤選定の自由度などにおいては、電子線硬化方式が優れる場合が多い。
しかしながら電子線硬化方式においては、その照射エネルギーが強力な為、化粧シートの各層の材質にダメージを与えてしまい、材質によっては黄色に変色(黄変)する問題が発生しやすいという問題がある。これらの問題を回避する為に、例えば表面保護層などにおいては、添加する紫外線吸収添加剤をについて、トリアジン骨格を持つものに限定するなどの対策が提案されている(たとえば特許文献1など)。
一方、ポリプロピレン系樹脂中に、トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤を添加したものを、化粧シートに使用する提案もなされている(例えば特許文献2〜4など)。表面保護層を電子線で硬化させる際に、表面保護層を透過してしまう一部の電子線の影響により生ずる、ポリプロピレン系樹脂層の黄変を抑制する施策としても有用性があると思われる。しかし、ポリプロピレン系樹脂とトリアジン骨格を有する紫外線吸収剤とは、お互いの溶解パラメータ(SP値)の乖離が大きい(ポリプロピレンのSP値が8前後であるのに対して、トリアジン系紫外線吸収剤の多くはSP値が10〜12程度)ことから互いに相容しにくく、添加した直後では問題がみられなくとも、経時でブリードアウトしたり白濁したりといった問題を起こすことが多い。それ故に、ポリプロピレン系樹脂へのトリアジン系紫外線吸収剤の添加は、殆ど実用化されていない。
とはいえ、紫外線吸収剤を全く使用しない場合には、該透明ポリプロピレン系樹脂層での紫外線吸収能力が発現しないため、その下のインキ層や積層界面近傍部などを紫外線から保護する能力が失われるだけでなく、透明ポリプロピレン系樹脂層自身の劣化抑制効果を低下させてしまうこともある。このように従来の技術では、上記のような技術的課題を克服する為の具体策が明らかでなかった。
特許第4257810号 特許第4199988号 特開2008−195959 特開2001−181420
本発明は、係る従来技術の欠点に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、ポリオレフィン系樹脂をベースにし、表面保護層を電子線照射により硬化させた化粧シートにおいて、化粧シートとして充分な耐候性能を有しつつ、電子線照射に由来する黄変を抑さえた意匠性の高い化粧シートを提供することであり、その中でも特に、ポリプロピレン系樹脂層の電子線照射に由来する黄変を抑制することである。
本発明はこの課題を解決したものであり、すなわちその請求項1に記載の発明は、
、少なくとも非塩化ビニル系の材料からなる基材シート、隠蔽模様層、2層以上の積層からなる透明ポリプロピレン系樹脂層、電子線の照射による架橋がされている表面保護層が少なくともこの順に積層されてなる化粧シートにおいて、前記2層以上の積層からなる透明ポリプロピレン系樹脂層のうちの少なくとも1つの層には、(化学式1)
Figure 0005544978
で示すヒドロキシルアミン系のラジカル捕捉剤が添加されており、前記透明ポリプロピレン系樹脂層のうち表面保護層に接していない少なくとも1つの層にベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤が添加されており、前記透明ポリプロピレン系樹脂層の、沸騰ヘプタン可溶残分率として規定されるアイソタクチック指数が、50〜90%の範囲内にあり、前記透明ポリプロピレン系樹脂層のうち表面保護層に接してる層にベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤が添加されていないことを特徴とする化粧シートである。
またその請求項2記載の発明は前記(化学式1)で示すヒドロキシルアミン系のラジカル捕捉剤の添加量が、前記2層以上の積層からなる透明ポリプロピレン系樹脂層中の透明ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.05〜1.0重量部の範囲内にあることを特徴とする、請求項1に記載の化粧シートである
またその請求項3記載の発明は前記透明ポリプロピレン系樹脂層のうち表面保護層に接してる層に、ヒンダードアミン系のラジカル捕捉剤が添加されていることを特徴とする、請求項1または2の何れかに記載の化粧シートである。
またその請求項4記載の発明は前記ヒンダードアミン系のラジカル捕捉剤の添加量が、前記透明ポリプロピレン系樹脂層のうち表面保護層に接してる層中の透明ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.1〜1.0重量部の範囲内にあることを特徴とする、請求項3に記載の化粧シートである。
またその請求項5記載の発明は前記2層以上の積層からなる透明ポリプロピレン系樹脂層のそれぞれの積層が、共押出方式により積層されていることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の化粧シートである。
発明により、電子線の照射に由来する、2層以上の積層からなる透明ポリプロピレン系樹脂層の黄変を最小限に抑制できる。電子線が材料の表面保護層側より照射された場合、電子線が届く深度は照射強度などに依存するが、表面保護層の完全な硬化を考えた場合、多くの場合はその意図に反し、電子線の一部が表面保護層を越えて、その下のポリプロピレン系樹脂層にまで達してしまう。そしてその影響で、ポリプロピレン系樹脂層は黄変を起こしてしまう。我々は、透明ポリプロピレン系樹脂の電子線照射による黄変は、ポリプロピレン系樹脂そのものに由来するものなのか、また或いは、諸々の添加剤成分に由来するのか、等々について鋭意検討を行い、その結果、透明ポリプロピレン系樹脂層中のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が、電子線による黄変に、もっとも悪影響を及ぼしていることを見出した。これを踏まえて、電子線の影響を図らずしも受けてしまう、複層からなる透明ポリプロピレン系樹脂層のうち、少なくとも表面保護層に接する層については、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤を未添加とすることにより、黄変抑制が可能になる。
加えて、アイソタクチック指数を50〜90%の範囲内にすることで、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の経時での移行を適切な範囲でコントロールできるようになる。アイソタクチック指数を50%以上とすることで、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を添加している透明ポリプロピレン系樹脂層から未添加の透明ポリプロピレン系樹脂層へと移行してきたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が、更に別の層、或いは別の積層界面に再移行するのを抑制できる。またアイソタクチック指数を90%以下の範囲内とすることで、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を添加している透明ポリプロピレン系樹脂層から未添加の透明ポリプロピレン系樹脂層へのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の移行が、阻害されることなく可能となる。また、ヒンダードアミン系のラジカル捕捉剤を使用した場合には、アイソタクチック指数を50〜90%の範囲内とすることで、ラジカル捕捉剤の移動度がアップする為に、ラジカル捕捉能力が高くなり、電離放射線照射による黄変の抑制に寄与する。
沸騰ヘプタン可溶残分率として規定されるアイソタクチック指数は、ポリプロピレン系樹脂中の結晶化度を調べる指標として有用であり、以下の様な測定方法によって求められる。
試料を沸騰n−ヘプタンで一定時間抽出を行い、抽出されない部分の重量(%)を求めてアイソタクチック指数を算出する。詳しくは円筒濾紙を110±5℃で2時間乾燥し、恒温恒湿の室内で2時間以上放置してから、円筒濾紙中に試料(粉体またはフレーク状)8〜10gを入れ、秤量カップ、ピンセットを用いて精秤する。これをヘプタン約80ccの入った抽出器の上部にセットし、抽出器と冷却器を組み立てる。これをオイルバスまたは電機ヒーターで加熱し、12時間抽出する。加熱は冷却器からの滴下数が1分間130滴以上であるように調節する。抽出残分の入った円筒濾紙を取り出し、真空乾燥器にいれて80℃、100mmHg以下の真空度で5時間乾燥する。乾燥後、恒温恒湿中に2時間放置した後、精秤し、(P/Po)×100によりアイソタクチック指数を算出する。但し、Poは抽出前の試料重量(g)、Pは抽出後の試料重量(g)である。アイソタクチック指数を90%以下にすることで、ポリプロピレン結晶起因によるシート剛性を抑制することができる。アイソタクチック指数を下げる方法としては、非晶質ポリプロピレン成分(アダクチックポリプロピレンなど)を一部に使う方法や、エチレンやα−オレフィンなどのオレフィンモノマーを1種類以上ランダム共重合させる方法、各種ゴム成分、例えばエチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレンープロピレンージエンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)等々の成分を添加する方法などがある。しかし、アイソタクチック指数を下げる方法としては、これらに限定されるものではない。
また、電子線の照射に対しては、トリアジン系の紫外線吸収剤を使用することで、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤を使用した場合よりも、黄変が起き難い傾向にあることが知られているが、ポリプロピレン系樹脂にトリアジン系紫外線吸収剤を添加した組み合わせでは、前記したようにポリプロピレン系樹脂とトリアジン骨格を有する紫外線吸収剤とは、お互いの溶解パラメータ(SP値)の乖離が大きい(ポリプロピレンのSP値が8前後であるのに対して、トリアジン系紫外線吸収剤の多くはSP値が10〜12程度)ことから互いに相容しにくく、添加した直後では問題がみられなくとも、経時でブリードアウトしたり白濁したりといった問題を起こすことが多い。
しかし、本発明の化粧シートでは、透明ポリプロピレン系樹脂層にはトリアジン系の紫外線吸収剤を使用していない為、経時でのブリードアウトの懸念が大きく払拭される。
本発明の化粧シートにおける、表面保護層に接する透明ポリプロピレン系樹脂層の厚みとしては、表面保護層を透過する電子線が、どの程度の深さにまで影響を及ぼすか、などを考慮して適宜決定すればよいが、実際上は10μm以上200μm以下程度までが好適である。10μm以下の場合には、その厚みを超えて電子線が進入してこないように制御することがむずかしく、また200μm以上の場合は、柔軟性などの物性が、化粧シートとしての好適な範囲から外れてしまう。
請求項記載の発明により、透明ポリプロピレン系樹脂の紫外線や熱などによる耐性が向上する。これは、紫外線や熱などにより励起されるフリーラジカルをヒンダードアミン系のラジカル捕捉剤が捕捉する為である。この効果により、より長期間にわたり性能の安定した化粧シートを得ることができる。
請求項記載の発明により、黄変と化粧シートの長期間に渡る物性の安定性とのバランスの取れた化粧シートを得ることができる。ヒンダードアミン系のラジカル捕捉剤の添加量を0.1重量部以上とすることで、化粧シートの性能を長期間に渡り安定化させることができるが、0.1重量部以下では、充分なラジカル捕捉性能が得られない。ヒンダードアミン系のラジカル捕捉剤自体も、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤ほどではないものの、電子線照射による黄変の原因物質のひとつである事、また必要量を越えた添加は経時でのブリードアウトやポリプロピレン樹脂の基本物性に与える影響も懸念される為、添加量を1.0重量部以上の添加は好ましくないが、1.0重量部以下であれば、黄変やブリードアウトも殆ど問題にならないレベルに抑制することができる。
請求項記載の発明により、透明ポリプロピレン系樹脂層の黄変を更に抑制することができる。これは、前記したヒンダードアミン系のラジカル捕捉剤や、ポリプロピレン系樹脂中に必須的に添加されるヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などに起因する電子線照射による黄変を、(化学式1)の構造を有するヒドロキシルアミン系のラジカル捕捉剤が抑制する為である。(化学式1)の化合物はヒンダードアミン系のラジカル捕捉剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などと比較して高活性である為、電子線により励起されたラジカルが、比較的初期の段階で(化学式1)の化合物と反応する為と考えられる。
請求項記載の発明により、電子線由来の黄変を最小限に抑制しつつ、その他所性能とのバランスの良い化粧シートを得ることができる。(化学式1)の化合物の添加量を0.05重量部以上とすることで、充分な黄変抑制効果が得られる。また1.0重量部以下とすることで、ポリプロピレン系樹脂の持つ基本物性に大きく影響を与えずに黄変抑制効果を得ることができる。また経時あるいは負荷の高い環境下における添加剤のブリードアウトに由来する、粉吹きや積層界面の密着力低下などの問題も排除できる。
請求項記載の発明により、黄変を抑制しつつ耐候性能の高い化粧シートを効率良く生産することができる。また共押出方式とすることで、明確な積層界面を作らない為、この近傍での剥離の心配が殆どなくなるだけでなく、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を添加している透明ポリプロピレン系樹脂層から、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を未添加の透明ポリプロピレン系樹脂層へのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の移行を阻害する層を設けなくても良い為、結果として、化粧シートの耐候性能を高い状態に保持することができる。
本発明における化粧シートの一実施例の断面の構造を示す説明図である。
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明するが、本発明の請求の範囲内であれば、必ずしもこの内容に限定されるものではない。本発明におけるもっとも基本的な構成は、図1に示すように、隠蔽模様層2を有する非塩化ビニル系の材料から成る基材シート1の隠蔽模様層2側の表面に、透明ポリプロピレン系樹脂層3−1及び透明ポリプロピレン系樹脂層3−2の2層が積層され、尚且つその最外表層に表面保護層4を積層してなる積層体である。
基材シート1は化粧シートの基材として用いられる。材料としては、ポリ塩化ビニル以外の材料であれば、化粧シートの用途や価格、使い勝手等を勘案して任意に選んでかまわないが、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂が広く一般に用いられている。上記以外では、例えばエチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、ABS、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミド、ナイロン6、ナイロン66、ポリ乳酸、紙、等を用いる場合がある。また必要に応じて、これらの材料を組み合わせて多層にして使用しても良い。
基材シート1の製造方法としてTダイ押出し法を用いる場合には、基材シート1に直接着色し、押出し製膜してこれを隠蔽模様層2として隠蔽の効果を持たせることもできる。着色方法としては、顔料を分散助剤や界面活性剤で処理した微粉末状の着色剤を使用するドライカラー法、樹脂と高濃度の顔料を溶融混連して予備分散したマスターバッチペレットを作製し、押出しホッパー内で着色のされていない通常の樹脂とドライブレンドするマスターバッチ法等があり、特に限定されるものではない。顔料の種類も、通常用いられているもので良いが、特に耐候性、耐熱性を考慮して、酸化チタン、群青、カドミウム顔料、酸化鉄等の無機顔料が望ましい。また有機顔料でもフタロシアニン顔料、キナクリドン顔料等は使用できる。顔料の色や配合比率は隠蔽の度合いや意匠性等を鑑みて任意に決められるものであり、特に制約はない。
隠蔽模様層2は化粧シートに木目柄、石目柄、砂地柄、抽象柄など意匠性を付与するため、あるいはベタ着色で基材シート1を隠蔽するために設けられる。隠蔽模様層2の形成方法としては、基材シート1の表面あるいは裏面あるいはその両方に、グラビア印刷、オフセット印刷、凹版印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、シルク印刷、静電印刷、インクジェット印刷等の公知の印刷技法を用いるのが一般的であるが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば基材シート1の樹脂とは流動特性の異なる樹脂に高濃度の顔料を溶融混連して予備分散したマスターバッチペレット、あるいは木紛、ガラス粉末等を添加して、基材シート1の樹脂と共に押出し製膜して基材シート1を形成することにより、基材シート1に隠蔽模様層2を形成する方法がある。もちろん、前記隠蔽模様層2を形成する方法の複数を併用することも可能である。
また用いられるインキも公知のもの、すなわちビヒクルに染料または顔料等の着色剤、体質顔剤を添加し、さらに可塑剤、ラジカル捕捉剤、ワックス、グリース、乾燥剤、硬化剤、増粘剤、分散剤、充填剤等を任意に添加して溶剤、希釈剤等で充分に希釈、攪拌してなるものでよい。
透明ポリプロピレン系樹脂層3−1及び3−2は、一般的には化粧シートの意匠性向上や隠蔽模様層2の保護、表面の耐磨耗性、耐薬品性、耐傷性及び耐候性等を付与するために設けられる。これらの性能を付与するためであれば、透明ポリプロピレン系樹脂層は1層のみであっても構わないが、本発明の様に、2層以上の複層構造にすることで、表面保護層硬化の為に電子線を照射する場合において、様々な利点が得られる。具体的には、化粧シートは耐久消費材の一部分として使用されることが殆どであり、そのため長期間に渡る使用を考慮して、各種耐候安定剤や耐熱安定剤が添加されるが、耐候安定剤や耐熱安定剤の中には、電子線の照射により黄変の原因物質となってしまうものが少なくない。本発明者らが鋭意検討を行なったところ、耐候安定剤の1種であるベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤が、透明ポリプロピレン系樹脂の黄変に大きな影響を与えることを確認している。しかし一方で耐候性能を保持する為には、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の添加はほぼ必須であった。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系やベンゾエート系のものもあるが、いずれも長期間に渡り効果を持続させる能力には乏しい。トリアジン系の紫外線吸収剤は、紫外線吸収能力を長期間にわたり持続させる能力に優れており、また電子線による黄変も大幅に低減されるが、トリアジン系とポリプロピレン系樹脂とは溶解度パラメータが大きく異なるために相容性に難があり、経時で耐候剤がブリードアウトしてしまいやすい。
本発明者らは、上記問題即ち、耐候性能を保持しながら電子線による紫外線吸収剤起因の黄変色を抑制する為の方法として、透明ポリプロピレン系樹脂層を2層以上の複数層の積層品とし、このうちの表面保護層に接する層にはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を添加せず、それ以外の層にはベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤を添加するようにすることを見出した。
これは、一般的な層構成のオレフィン系化粧シート、即ち最表層から表面保護層4、透明ポリプロピレン系樹脂層3、模様層2、基材シート層1の積層からなるような化粧シートにおいて、電子線硬化型の表面保護層を使用した場合において発生する黄変が、表面保護層を硬化させる為に照射する電子線の一部が、表面保護層を超えて透明ポリプロピレンにまで達してしまい、この電子線によりポリプロピレン系樹脂中で励起されるラジカルがベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と反応を起こすことに起因するからである。それゆえ、ラジカルと反応するベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤を表面保護層に接する透明ポリプロピレン系樹脂層には未添加とすることで、電子線により発生したラジカルとベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と反応を起きないようにできる。
また更に、ヒンダードアミン系のラジカル捕捉剤を添加することで、電子線の照射により発生したラジカルを捕捉する為、他の物質とラジカルとの反応も抑えることが可能になり、より黄味が少なく、且つ耐候性能の高い化粧シートを得ることができる。ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤には、分子量が1000以下の低分子量タイプに分類されるものと、分子量が1000以上の高分子量タイプに分類されるものがあるが、本発明の様なシート状の材料の場合には、高分子量タイプのものが好適である。
ラジカルを捕捉する効果が期待できる添加剤としては、他にリン系のものやヒンダードフェノール系のものなどもあるが、特に(化学式1)の構造を有するヒドロキシルアミン系のものが好適である。(化学式1)の構造を有するヒドロキシルアミン系のラジカル捕捉剤とヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤の併用も、ラジカル捕捉能力向上には有用である。ヒンダードフェノール系の添加剤はラジカル捕捉能力が期待できる反面、電子線による黄変の原因物質にもなり易いので、未添加にするか、あるいは添加する場合も種類や添加量に注意する必要がある。
2層以上の複層からなる透明ポリプロピレン系樹脂層の積層方法としては、共押出方式によりなされていることが望ましい。共押出方式とすることで、明確な積層界面がなくなり、界面剥離を起こす可能性が大幅に低くなる。またドライラミネーションなどによる積層と比較して、より簡便に積層ができるという利点もある。
基材シート1の隠蔽模様層2を設けた側に透明ポリプロピレン系樹脂層3を積層する方法としては、熱及び圧力をかけて貼り合わせる熱ラミネーション法、接着剤を介して貼り合わせるドライラミネーション法およびウェットラミネーション法、基材シート上にポリプロピレン系樹脂をTダイから溶融押出しする押出ラミネーション法の他、ニーラムラミネーション法、サンドラミネーション法などの手法がある。このなかで、押出ラミネーション法がもっとも生産性が良いが、樹脂のメルトフローレートが低い場合には、高速且つ安定した条件で製膜することが困難になることもある。その場合は、ドライラミネーション法やニーラムラミネーション法などの手法が好適である。メルトフローレートが低い樹脂を用いて押出ラミネーション法を用いる場合には、樹脂の溶融温度を高めに設定することで、高速且つ安定した条件で製膜することが可能になることもあるが、その場合でも、溶融温度が300℃を超えてくると、ポリプロピレン系樹脂の酸化劣化がおき易くなるため、注意が必要である。
また押出ラミネーション法を用いて積層する場合には、積層界面の密着力を向上させる為に、隠蔽模様層2の最外表層にアンカーコート層の積層が好適に用いられる(図示しない)。アンカーコート層の材質は特に限定されるものではないが、イソシアネート硬化型あるいは電子線硬化型のポリエステル系のものが好適である。厚みも特に規定は無いが、0.5〜2μm程度が好適である。またラミネート強度の更なる向上を目的として、ラミネート界面へのオゾン処理なども好適に用いられる。
積層方法としてドライラミネーション法やニーラムラミネーション法を用いる場合には、アンカーコート剤の代わりに接着剤層を設けて、貼りあわせた積層界面の密着強度を向上させる方法が好適に用いられる(図示しない)。接着剤層の材質も特に限定されるものではないが、押出ラミネーション時のアンカーコートと同様にイソシアネート硬化型あるいは電子線硬化型のポリエステル系のものや、さらにポリウレタン成分を加えて柔軟性を付与したものが好適に用いられる。
表面保護層4の積層は、ポリプロピレン系樹脂をベースにした化粧シートに対して、耐傷付き性、耐候性、光沢値の調整、などの性能を付与する為に好適に用いられている。表面保護層4の材質は、前記の諸物性に加えて、透明ポリプロピレン層との密着等が充分にあれば、特に規定されるものではないが、多官能アクリレート樹脂を架橋硬化させたものが好適にもちいられる。本発明では、電子線により架橋硬化させたものに限定しているが、一般的な化粧シートの表面保護層としては、湿気硬化型、イソシアネート硬化型、紫外線硬化型などを用いることもある。またこれら複数の硬化方法の併用も好適に用いられる。その他、添加剤として艶消し剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤、熱安定剤、難燃剤、ブロッキング防止剤、等が適宜添加される。
透明ポリプロピレン系樹脂層3−1へ添加するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3、5−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール等が挙げられるが、これに限るものではない。これらは単独使用でも良いし、複数種の併用でも良い。
透明ポリプロピレン系樹脂層3−1及び3−2へ添加するヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤も、所望する紫外線吸収効果を有する範囲内で、かつ化粧シートの耐候性以外の特性に大きな影響を与えない範囲であれば、特にその成分や添加量に制限はない。例えばコハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート等が挙げられるが、これに限るものではない。これらは単独使用でも良いし、複数種の併用でも良い。
透明ポリプロピレン系樹脂層3−1及び3−2へは、その他にも必要に応じて、熱安定剤、難燃剤、ブロッキング防止剤等が添加される。熱安定剤は、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]−プロピオネート、2、4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトに代表される燐系酸化防止剤等の中から1種、あるは1種以上組み合わせて使用可能である。
難燃剤としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機系化合物や燐酸エステル系の難燃剤等があるが、特に成分に限定は無い。但し、環境を考慮した非塩化ビニル製シートであるならば、ハロゲン系の難燃剤の使用は考慮する必要がある。
ブロッキング防止剤は珪酸アルミニウム、酸化珪素、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム等の無機系ブロッキング防止剤、脂肪酸アミドのような有機系ブロッキング防止剤等が任意に添加される。但し、ブロッキング防止剤の使用に関しては、積層界面の密着力を低下させる危険性もある為、注意が必要である。
これら熱安定剤、難燃剤、ブロッキング防止剤等のうち、特に有機系のものは、電子線により黄変の原因物質となる場合がある為、使用に際しては種類や添加量を充分に吟味する必要がある。
また、立体感と表面の艶を調整するため、化粧シートの表層には適宜凹陥模様が設けられる。凹陥模様を施す方法としては、通常の熱圧エンボス加工法でよく、何ら限定されるものではない。また、前記透明ポリプロピレン系樹脂層3の形成方法としてTダイ押出法を用いる場合には、溶融樹脂を冷却固化させるチルロールの表面に、化粧シートに付与したい凹陥模様とは凹凸を正反対にした模様を施しておき、押し出された樹脂をチルロールとプレスロールとの間でエンボスして、透明ポリプロピレン系樹脂層3の表面に凹陥模様を施す方法が一般的である。
そのほかに、本発明の化粧シートと、木質系ボード類や無機系ボード類や金属板等との密着強度を向上させるために、必要に応じて基材シート1の裏面にプライマー層(図示しない)を設けても良い。このプライマー層に関しては、基材との充分な密着強度が得られており、かつ積層時の基材シートと木質系ボード類、無機系ボード類、金属板等との間でのシートの浮き等が発生しなければ、特に規定されるものではないが、ポリエステル系或いはポリウレタン系或いはその混合系を使用するのが好適である。
このようにして得られた化粧シートは、電子線による硬化を採用しつつも、黄味が少なく、かつ耐候性等の基本性能の高いものとなる。
<実施例1〜12>
まず、基材シート1として、エチレンコンテント4重量%のランダムポリプロピレン系樹脂に無機系の酸化チタン及び炭酸カルシウムを溶融混練し、厚み70μmでTダイキャスト製膜により着色シートを得た。得られた着色シートの両面にコロナ処理を施し、その片面に、グラビア印刷法により木目柄の隠蔽模様層2を積層し、40℃環境下で3日間の養生を行った。隠蔽模様層2のインキには、イソシアネート硬化型ポリエステル系インキ「V351」(東洋インキ製造(株)製)を100重量部に対して、イソホロンジイソシアネートを5重量部、溶剤としてメチルエチルケトンを適量添加して濃度を調整し、充分に撹拌を行ったものを用いた。
前記基材シート1の隠蔽絵柄層2を設けた上に、イソシアネート硬化型のポリエステル系アンカーコート剤(「タケラックA3210」(三井化学(株)製)と「タケネートA65」(三井化学(株)製)を10:1で混合)を乾燥後の塗布厚1μmとなるように塗工した。
前記アンカーコート剤を塗布した基材シート1上に、幅600mm、リップ開度0.6mmのストレートマニュホールドタイプのTダイと、3種3層フィードブロック型の共押出ラミネート機を用いて、設定押出温度230℃、ラミネート速度30m/minで、表1に示す3種のポリオレフィン系樹脂を共押出ラミネートした。尚、押出樹脂はフィードブロックにより、スクリュー1をアンカーコート側、スクリュー3を後述の表面保護層側、スクリュー2をその中間となるように積層した。また押出層比は、予め測定しておいた押出吐出量の実績値から、厚み比で スクリュー1/スクリュー2/スクリュー3=10μm/40μm/30μm となるようにスクリュー回転数によって調整した。また、ラミネート積層界面の溶融樹脂層側には、オゾンガスをオゾン濃度10g/m(0℃1気圧換算)、オゾン流量3.0m/時間(0℃1気圧換算)の量で吹き付けた。
・スクリュー1:直径50mm、L/D=28
・スクリュー2:直径65mm、L/D=28
・スクリュー3:直径50mm、L/D=28
Figure 0005544978
表面保護層として、メチルメタクリレート87重量部に対してラジカル捕捉剤としてチヌビン292(BASFジャパン社製)5重量部と紫外線吸収剤としてチヌビン400(BASFジャパン社製)を6重量部とチヌビン479(BASFジャパン社製)を2重量部添加し、メチルエチルケトン溶剤によって希釈して塗工液を作製した。この塗工液を、作製しておいたシートの最外表面に、乾燥後の塗布厚み約6μmで塗布した後に、30KGyで電子線照射して表面保護層を架橋させ、実施例1〜12の化粧シートを作製した。
<実施例1〜12の黄変評価サンプルの作製>
透明ポリプロピレン系樹脂層の電子線による黄変を評価する為に、前記アンカーコート剤を塗布した基材シート1上ではなく、コロナ処理などを施していない2軸延伸ポリエステルフィルム上に実施例1〜12に記載の3層のポリオレフィン系樹脂を共押出ラミネートし、そのうちの一部を、表面保護層を塗布しないままに、30KGyで電子線照射した。その後、電子線照射及び未照射の両方から2軸延伸ポリエステルフィルムを剥離して、実施例1〜12の黄変評価用クリアシートサンプルを作製した。
<比較例1〜3>
表1の代わりに表2に示す3種のポリオレフィン系樹脂とした他は、実施例と同じ方法を用いて、比較例の化粧シートおよび黄変評価用クリアシートサンプルを作成した。
Figure 0005544978
<性能評価1:耐候性評価>
実施例及び比較例にて作製した化粧シートを、厚み4mmの中密度繊維板にエマルジョンタイプの接着剤「ハイボンBA−10L」(中央理化工業株式会社)を介して貼り合わせ、化粧板を作成した。作製した化粧板を、サンシャインウェザーメーター「S−80BBR」(スガ試験機株式会社製)を用いて耐候促進試験を行ない、耐候劣化が起き始めるまでの時間を調査した。その結果を表3に示す。
Figure 0005544978
<性能評価2:黄変評価>
実施例及び比較例にて作製した黄変評価用クリアシートについて、分光側色機「CM−508d」(コニカミノルタ社製)を用い、JIS Z8729(1980)に従ってb値を測定し、電子線照射前後でのb値の変化量である△b値を測定した。△b値の定義から、その数値が大きいほど電子線照射の前後で黄味が増していることを示している。結果を表4に示す。
Figure 0005544978
結果をみて分かるように、表面保護層に接する層にベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤を入れたもの(比較例1及び2)は、耐候性能こそ良好であるが、電子線照射で黄変が目立つ結果となっている。また適量のヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤の添加が、表面保護層に接する層にベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤を未添加としたことによる耐候性の低下を補う役割を果たしている。また適量のヒドロキシルアミン系のラジカル捕捉剤の添加が黄変抑制に効果を発揮していることも分かる。また比較例3の様にアイソタクチック指数が本発明の範囲より高い場合には、紫外線吸収剤の移行やラジカル捕捉剤の移動度が制限される為、本発明の化粧シートと比較すると、耐候性能の低下傾向が見られる。
本発明の化粧シートは主に建築物の内外装の装飾用途に使用可能である。
1…基材シート
2…隠蔽模様層
3…透明ポリプロピレン系樹脂層
4…表面保護層

Claims (5)

  1. 少なくとも非塩化ビニル系の材料からなる基材シート、隠蔽模様層、2層以上の積層からなる透明ポリプロピレン系樹脂層、電子線の照射による架橋がされている表面保護層が少なくともこの順に積層されてなる化粧シートにおいて、
    前記2層以上の積層からなる透明ポリプロピレン系樹脂層のうちの少なくとも1つの層には、(化学式1)
    Figure 0005544978
    で示すヒドロキシルアミン系のラジカル捕捉剤が添加されており、
    記透明ポリプロピレン系樹脂層のうち表面保護層に接していない少なくとも1つの層にベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤が添加されており、
    前記透明ポリプロピレン系樹脂層の、沸騰ヘプタン可溶残分率として規定されるアイソタクチック指数が、50〜90%の範囲内にあり、
    前記透明ポリプロピレン系樹脂層のうち表面保護層に接してる層にベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤が添加されていないことを特徴とする化粧シート。
  2. 前記(化学式1)で示すヒドロキシルアミン系のラジカル捕捉剤の添加量が、前記2層以上の積層からなる透明ポリプロピレン系樹脂層中の透明ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.05〜1.0重量部の範囲内にあることを特徴とする、請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記透明ポリプロピレン系樹脂層のうち表面保護層に接してる層に、ヒンダードアミン系のラジカル捕捉剤が添加されていることを特徴とする、請求項1または2の何れかに記載の化粧シート。
  4. 前記ヒンダードアミン系のラジカル捕捉剤の添加量が、前記透明ポリプロピレン系樹脂層のうち表面保護層に接してる層中の透明ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.1〜1.0重量部の範囲内にあることを特徴とする、請求項3に記載の化粧シート。
  5. 前記2層以上の積層からなる透明ポリプロピレン系樹脂層のそれぞれの積層が、共押出方式により積層されていることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の化粧シート。
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