JP2000336178A - 加飾シート用基材フィルム - Google Patents

加飾シート用基材フィルム

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JP2000336178A
JP2000336178A JP15036599A JP15036599A JP2000336178A JP 2000336178 A JP2000336178 A JP 2000336178A JP 15036599 A JP15036599 A JP 15036599A JP 15036599 A JP15036599 A JP 15036599A JP 2000336178 A JP2000336178 A JP 2000336178A
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ultraviolet absorber
base film
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film
decorative sheet
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JP15036599A
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Katsuhiro Noguchi
克弘 野口
Eiichi Amano
詠一 天野
Tatsuya Urushibara
達也 漆原
Toshiaki Shimizu
利明 清水
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Okura Industrial Co Ltd
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Okura Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐候性に優れ、電子線やγ線等の電離放射線
を照射しても黄変しない加飾シートの基材フィルムを提
供すること。 【解決手段】 熱可塑性樹脂からなる単層、或いは多層
のフィルムであって、少なくとも一層に、2−[2−ヒ
ドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラ−ヒドロフタ
ルイミド−メチル)−5−オクチルフェニル]ベンゾト
リアゾール、及び、2−[4,6−ビス(2,4ジメチ
ルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−
5−(オクチルオキシ)フェノールの少なくとも一方の
紫外線吸収剤を添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加飾シート用基材
フィルムに関する。詳しくは、家具を製造するために用
いられる各種材料や、床や壁等の建築物の内外装に用い
られる各種材料、自動車の内外装に用いられる各種材
料、各種成形品等の美観を向上させる等を目的として、
これらの材料、及び成形品の表面に貼り合わされる加飾
シートの基材フィルムに関する。そして、該基材フィル
ムは、印刷が施されたり、樹脂含浸紙やその他のプラス
チックフィルムと貼り合わされたり、樹脂がコートされ
たりして、加飾シートとなる。
【0002】
【従来の技術】各種材料や成形品には、その美観を向上
させる等を目的として、しばしば表面に加飾シートが貼
り合わされる。そして該加飾シートは、その耐熱性及び
耐候性、或いは耐擦傷性、さらには耐汚染性等を向上さ
せる目的でしばしば表面に樹脂がコートされる。このコ
ート用の樹脂の中には、電子線やγ線等の高エネルギー
によって硬化させるタイプのものがあるが、このような
タイプのものを使用する場合、加飾シートにコート樹脂
を塗布した後、電子線やγ線等の電離放射線を照射し
て、コート樹脂を硬化させなければならない。このと
き、電離放射線が加飾シートの基材フィルムにまで達
し、基材フィルム自身を黄変させることがあった。
【0003】加飾シートの基材フィルム自身が濃色に着
色されたり、或いは基材フィルムの表面に印刷が施され
たりする場合、基材フィルムが黄変する現象はあまり問
題にならない。しかしながら、基材フィルムが薄色に着
色される場合や、基材フィルムの背面に印刷が施される
場合、基材フィルムの黄変現象は加飾シートの印象を大
きく変えてしまうため問題となる。そこで、電離放射線
を照射する加工工程を経ても黄変しない加飾シート用基
材フィルムの開発が求められた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、電子線やγ線等の電離放射線を照射しても
黄変しない加飾シートの基材フィルムを提供することで
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、加飾シー
トの基材フィルムが電子線照射によって黄変する主たる
原因を鋭意検討した結果、基材フィルムに添加した各種
添加剤が、電子線やγ線等の電離放射線を照射されるこ
とによって着色物質と化し、基材フィルムを黄変させる
ものと推測した。そこで、基材フィルムに添加されてい
る紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、或いは
酸化防止剤等の添加剤に関し、その電離放射線照射によ
る影響を検討した。その結果、特定の紫外線吸収剤が電
離放射線照射によって黄変し難いこと知見し、本発明に
至った。
【0006】即ち、本発明によると上記課題を解決する
ための手段として、少なくとも1層に紫外線吸収剤が添
加された、熱可塑性樹脂からなる単層、或いは多層のフ
ィルムであって、該紫外線吸収剤が、2−[2−ヒドロ
キシ−3−(3,4,5,6−テトラ−ヒドロフタルイ
ミド−メチル)−5−オクチルフェニル]ベンゾトリア
ゾール、及び、2−[4,6−ビス(2,4ジメチルフ
ェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−
(オクチルオキシ)フェノールの少なくとも一方である
ことを特徴とする加飾シート用基材フィルムが提供され
る。
【0007】また、合成樹脂材料の耐候性を向上させる
手段の一つとして紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光
安定剤を併用することが提案されており、また実用に供
されている。本発明の加飾シート用基材フィルムにおい
ても上記紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤を
併用することが可能である。そこで本発明者等は、本発
明で限定される紫外線吸収剤と各種ヒンダードアミン系
光安定剤を併用する実験を行い、電離放射線照射時の黄
変具合について鋭意検討を重ねた。その結果、本発明で
限定される紫外線吸収剤に、特定のヒンダードアミン系
光安定剤を併用した場合に、電離放射線照射時の黄変現
象を、特に抑制する効果があることを見出した。
【0008】即ち、本発明によると上記課題を解決する
ための手段として、少なくとも前記紫外線吸収剤が添加
された層に、次の[化2]で示される構造を分子内に有
するヒンダードアミン系光安定剤が添加されていること
を特徴とする前記加飾シート用基材フィルムが提供され
る。
【化2】 (式中Rは水素原子を除く)
【0009】また、本発明者等は本発明で限定される紫
外線吸収剤を用いて加飾シート用の基材フィルムを製造
したが、紫外線吸収剤は非常に揮散しやすく、製造装置
の各種ロールを汚染した。そこで、本発明者らはこのよ
うな問題を解決するための手段として少なくとも三層以
上の多層フィルムであって、両表面層には前記紫外線吸
収剤が添加されず、両表面層以外の少なくとも1層に前
記紫外線吸収剤が添加されていることを特徴とする前記
加飾シート用基材フィルムを提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て更に詳細に説明する。本発明による加飾シート用基材
フィルムは、熱可塑性樹脂からなる単層、或いは多層フ
ィルムの少なくとも1層に、特定の紫外線吸収剤を添加
してなる。本発明における熱可塑性樹脂としては、例え
ばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタ
レート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレー
ト、或いはシクロヘキサンジメタノールを約30モル%
共重合したポリエチレンテレフタレート、脂肪族ポリエ
ステル等のポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ
酢酸ビニル等のポリビニル、熱可塑性ポリウレタン、ア
イオノマー樹脂、スチレン系樹脂、ナイロン系樹脂等、
従来からフィルム、シート等に用いられている樹脂と同
様の樹脂を、特に限定なく用いることができる。
【0011】しかしながら、本発明の黄変を抑制する効
果は該熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂である場合、特
に良好に発揮することができる。オレフィン系樹脂とし
ては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキ
セン、4−メチルペンテン、ヘプテン、オクテンなどの
α―オレフィンの単独あるいは共重合体、これらのα−
オレフィンの過半量と酢酸ビニル等のビニルエステル、
アクリル酸、無水マレイン酸やメタクリル酸メチル等の
不飽和有機酸等との共重合体、これら共重合体を変性処
理したもの等をあげることができる。具体的には、低、
中或いは高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブ
テン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロ
ピレン−ブテン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、
エチレン−4−メチルペンテン共重合体、エチレン−プ
ロピレン−ヘキセン共重合体、エチレン−ビニルアルコ
ール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)
アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリ
ル酸メチル共重合体、プロピレン−ヘキセン−ブテン共
重合体等を例示することができる。
【0012】また、必要に応じて、これらの熱可塑性樹
脂に、ジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴム、オレフィ
ン系エラストマー等の熱可塑性エラストマーを添加し
て、加飾シートの曲げ加工適性、熱成形性、エンボス加
工適性等を改良することもできる。
【0013】次に、紫外線吸収剤であるが、ベンゾトリ
アゾール系の2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニ
ルベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メ
チル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾト
リアゾール、2−(2’ヒドロキシ−5’−t−オクチ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキ
シ−3,5−ビス(α,αジメチルベンジル)フェニ
ル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキ
シ−3−(3,4,5,6−テトラ−ヒドロフタルイミ
ド−メチル)−5−オクチルフェニル]ベンゾトリアゾ
ール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3
−テトラメチルブチル)−6−[(2H−ベンゾトリア
ゾール−2−イル)フェノール]]、トリアジン系の、
2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−
2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノー
ル、2−[4,6−ビス(2,4ジメチルフェニル)−
1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチル
オキシ)フェノール等が知られているが、本発明に於い
ては、ベンゾトリアゾール系の2−[2−ヒドロキシ−
3−(3,4,5,6−テトラ−ヒドロフタルイミド−
メチル)−5−オクチルフェニル]ベンゾトリアゾー
ル、若しくはトリアジン系の2−[4,6−ビス(2,
4ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−
イル]−5−(オクチルオキシ)フェノールを用いる
と、電離放射線の照射による黄変が少ないので、これら
の紫外線吸収剤を用いることとする。前記二種の紫外線
吸収剤は単独で使用しても良いし、混合品を用いること
もできる。
【0014】尚、紫外線吸収剤の添加量は特に限定され
ないが100〜30000ppmが好ましく、特に300
〜10000ppmが好ましい。該範囲よりも少ないと
十分な紫外線吸収効果が期待できず、逆に該範囲を超え
て添加しても、耐候性の向上が期待できないばかりか、
紫外線吸収剤のブリードアウトによる商品価値の低下を
招く場合が生じる。
【0015】また、基材フィルムの耐候性を向上させる
ためには、基材フィルムを形成する熱可塑性樹脂中に、
紫外線吸収剤と共にヒンダードアミン系光安定剤を添加
することが好ましい。中でも、次の[化3]で示される
構造を分子内に有するヒンダードアミン系光安定剤を用
いると、基材フィルムの黄変を、より小さく抑えること
ができる。
【化3】 (式中Rは水素原子を除く)
【0016】ただし、熱可塑性樹脂としてポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシ
クロヘキシレンジメチレンテレフタレート、或いはシク
ロヘキサンジメタノールを約30モル%共重合したポリ
エチレンテレフタレート、脂肪族ポリエステル等のポリ
エステルを用いる場合は、ヒンダードアミン系光安定剤
を添加すると樹脂の加水分解を招く恐れがあるため、紫
外線吸収剤のみを添加することが好ましい。
【0017】上記のヒンダードアミン系光安定剤として
は、例えば、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシ
エチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメ
チルピペリジン重縮合物、N,N’−ビス(3−アミノ
プロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチ
ル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4ピペ
リジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジ
ン縮合物、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6テ
トラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,
2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セ
バケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,
2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、テ
トラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピ
ペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラ
ート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリ
ジル/トリデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカル
ボキシラート、{1,2,2,6,6−ペンタメチル−
4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−
3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ
(5,5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4ブ
タンテトラカルボキシレート、ポリ[(6−モルフォリ
ノ−S−トリアジン−2,4−ジ)[1,2,2,6,
6−ペンタメチル−4−ピペリジル]イミノ]−ヘキサ
メチレン[(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−
ピペリジル)イミノ]]等があげられる。これらのヒン
ダードアミン系光安定剤は単独で使用しても良いし、複
数の混合品も用いることもできる。
【0018】尚、ヒンダードアミン系光安定剤の添加量
は特に限定されないが100〜30000ppmが好まし
く、特に500〜10000ppmが好ましい。ヒンダー
ドアミン系光安定剤の添加量が該範囲よりも少ないと十
分な効果が期待できず、逆に該範囲を超えて添加して
も、耐候性の向上が期待できないばかりか、製品のコス
トが高くなってしまう。
【0019】ところで、上記紫外線吸収剤は、高温にな
ると非常に揮散しやすくなる。そのため、製造時に揮散
して製造装置の各種ロールを汚染する恐れがある。そこ
で本発明では、基材用フィルムを三層以上の多層構成と
し、両表面層以外の少なくとも一層に紫外線吸収剤を添
加することを提案する。尚、紫外線吸収剤が用いられる
目的の一つは、基材フィルムの背面に印刷を行った場合
に、紫外線が該印刷部分まで透過することを抑え、印刷
インクが退色したり、或いは基材フィルムから印刷イン
クが剥がれたりすることを抑制することにある。該目的
は、基材フィルム全層に紫外線吸収剤が添加されていな
くても、少なくとも一層に添加されていれば、達成する
ことができる。
【0020】また、紫外線吸収剤を用いる他の目的とし
ては、基材フィルム自身の耐候性を向上させ、加飾シー
トの耐用時間を長くすることにあるが、より確実に基材
フィルムの劣化を抑えるためには、ヒンダードアミン系
光安定剤を併用することが好ましい。そうして、ヒンダ
ードアミン系光安定剤を併用する場合、紫外線吸収剤を
両表面層以外の層に添加し、ヒンダードアミン系光安定
剤は、少なくとも紫外線吸収剤を添加した層に添加し、
好ましくは基材フィルム全層に添加することが好まし
い。
【0021】次に、本発明の加飾シート用基材フィルム
の製造方法について説明する。熱可塑性樹脂や、本発明
によって特定される紫外線吸収剤、及び必要に応じて加
えられるヒンダードアミン系光安定剤から、本発明の加
飾シート用基材フィルムを製造する方法は特に限定され
ず、一般に用いられる方法をそのまま適用することがで
きる。例えば、2軸混錬押出機やバンバリーミキサー等
の混錬機を用いて、熱可塑性樹脂に所定濃度の紫外線吸
収剤やヒンダードアミン系光安定剤を添加し、混練して
混合組成物を作製し、その後、該混合組成物をインフレ
ーション(共)押出成形法、Tダイ(共)押出成形法等
の公知の製膜技術を用いてフィルム化するとよい。ま
た、予め少量の熱可塑性樹脂に紫外線吸収剤やヒンダー
ドアミン系光安定剤を加えて混練し、マスターバッチを
作製しておき、次に熱可塑性樹脂に対しこれらマスター
バッチを所定量混合し、該混合物を公知の製膜技術を用
いてフィルム化してもよい。
【0022】また、本発明の加飾シート用基材フィルム
に、前述した紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定
剤の他にも、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止
剤、ホスファイト系酸化防止剤等の酸化防止剤を、必要
に応じて加えることができる。更に必要に応じて、本発
明の組成物に重金属不活性化剤、金属石けん、ハイドロ
タルサイト類、可塑剤、エポキシ化合物、発泡剤、帯電
防止剤、難燃剤、滑剤、加工助剤、染料、顔料、充填
剤、ソルビトール類および芳香族リン酸エステル金属塩
などの造核剤等を包含させることもできる。更にまた、
安定剤等、各種添加剤等を加えることもできる。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて、更に詳細
に説明する。
【0024】[実施例1]エチレンを0.5モル%共重
合させたプロピレン−エチレンランダムコポリマー(以
降PPと記述)をベース樹脂とし、ベンゾトリアゾール
系の紫外線吸収剤であるUVA−1の濃度が10重量%
であるUVA−1マスターバッチを2軸混錬押出機で作
製した。前記UVA−1マスターバッチ2.5重量%
と、PP97.5重量%をドライブレンドし、Tダイ押
出成形によって厚み120μm、UVA−1濃度250
0ppmのフィルムを得た。得られたフィルムの色調を
ミノルタ製CR−200測色計(光源D65、CIEL
AB表色系)を用いて測定した後、シートに加速電圧1
75kVで照射線量5Mradの電子線を照射した。電子線照
射後、再度測色し電子線照射前後の色差を求めた。その
結果を表1に示す。尚、PPは酸化防止剤であるAO−
1を500ppm、及びAO−2を1000ppm予め
添加してペレット化されている。
【0025】尚、UVA−1、AO−1、AO−2は下
記に示す化合物を指す。 UVA−1:2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,
5,6−テトラ−ヒドロフタルイミド−メチル)−5−
オクチルフェニル]ベンゾトリアゾール AO−1:ペンタエリスリチル−テトラキス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート] AO−2:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)
ホスファイト
【0026】[比較例1〜2]紫外線吸収剤をUVA−
1から下記に示す化合物、UVA−2、UVA−3に変
更し、実施例1と同様の実験を行なった。実験の結果を
表1に示す。
【0027】ここで、UVA−2、UVA−3は下記の
化合物を指す。 UVA−2:2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス
(α,αジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾ
トリアゾール UVA−3:2,2’−メチレンビス[4−(1,1,
3,3−テトラメチルブチル)−6−[(2H−ベンゾ
トリアゾール−2−イル)フェノール]]
【0028】
【表1】
【0029】紫外線吸収剤として、UVA−1用いた加
飾シート用基材フィルムは、電子線照射前後での色差が
少なかった。尚、通常色差が1.5未満であると、目視
ではほとんど変色を認められない。また色差が1.5〜
3.0の場合、軽微な変色はあるが、通常、製品の美観
を低下させるにまでは至らない。更に視差が3.0を越
えると、変色の度合いが大きく、用途にもよるが製品の
美観を低下させることがある。表1から、紫外線吸収剤
として2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−
テトラ−ヒドロフタルイミド−メチル)−5−オクチル
フェニル]ベンゾトリアゾールを添加した加飾シート用
基材フィルムは、電子線による変色が小さいことが明ら
かである。
【0030】[実施例2、3]実施例1で用いたPPを
ベース樹脂とし、これにヒンダードアミン系光安定剤で
あるHALS−1を、濃度が10重量%となるように添
加し、2軸混練押出機を用いてHALS−1マスターバ
ッチを作成した。また、同様にしてHALS−2を用
い、HALS−2の濃度が10重量%のHALS−2マ
スターバッチを作成した。次に、PPとUVA−1マス
ターバッチ、HALS−1マスターバッチ、HALS−
2マスターバッチを表2に示す配合割合で混合し、厚み
が120μmのフィルムを製膜した。得られたフィルム
に実施例1と同様の実験を行った。実験の結果を表2に
併せて記す。
【0031】尚、ここでHALS−1、HALS−2は
下記の化合物を指す。 HALS−1:コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキ
シエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラ
メチルピペリジン重縮合物 HALS−2:ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラ
メチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,
4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−
ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,
6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]
【0032】
【表2】
【0033】表2の結果から明らかなように、本発明の
加飾シート用基材フィルムは、本発明で特定するヒンダ
ードアミン系光安定剤を用いた方(実施例2)が、他の
光安定剤を用いる(実施例3)よりも、電離放射線照射
による変色を小さく抑えることができる。また、表1に
示す実施例1と、表2に示す実施例2を比較すると、本
発明の加飾シート用基材フィルムは、紫外線吸収剤を単
独で用いる場合よりも、本発明で特定するヒンダードア
ミン系光安定剤を併用した方が、相乗効果によって電離
放射線照射による変色を更に抑制することが分かる。
【0034】[実施例4、5]実施例1で用いたPP、
UVA−1マスターバッチと、実施例2、3で用いたH
ALS−1マスターバッチ、HALS−2マスターバッ
チを表3に示す配合割合で混合し、厚みが120μm、
厚み構成比が表面層:中間層:表面層=1:2:1の三
層構造のフィルムを製膜した。得られたフィルムを用い
て実施例1と同様の実験を行い、その結果を表3に併せ
て示す。
【0035】
【表3】
【0036】実施例4、5のフィルムは、製膜時に両表
面層から紫外線吸収剤が揮散することはなく、製造装置
の各種ロールが汚染されることはなかった。
【0037】
【発明の効果】本発明の加飾シート用基材フィルムは、
紫外線吸収剤或いは、紫外線吸収剤とヒンダードアミン
系光安定剤を含有しており、耐候性に優れる。また、加
飾シートとして基材フィルムの背面に印刷を行う場合に
は、基材フィルムに添加された紫外線吸収剤によって紫
外線の透過を抑え印刷インクの退色、或いは基材フィル
ムからの印刷インクの剥がれを抑止する。加えて、特定
の紫外線吸収剤を使用しており、電離放射線を照射して
も、黄変現象を製品の美観が低下しない程度(色差3.
0以下)に抑えることができる。
【0038】また、ヒンダードアミン系光安定剤として
特定のものを用いると、黄変現象を更に抑制することが
でき、目視では殆ど認められない程度(色差1.5以
下)に抑えることができる。更にまた、該フィルムを多
層構造とし、両表面層には紫外線吸収剤を添加せず、そ
れ以外の少なくとも一層に紫外線吸収剤を添加すると、
製膜時に製造装置の各種ロールが汚染することを防止す
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 利明 香川県丸亀市中津町1515番地 大倉工業株 式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA02 AA20 AC12 AE05 AF34 AF57 AH03 BA01 BB06 BC01 4J002 AA011 BB011 BB031 BB041 BB061 BB071 BB081 BB091 BB121 BB141 BB151 BB171 EU077 EU176 EU186 FD047 FD056 GL01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1層に紫外線吸収剤が添加さ
    れた、熱可塑性樹脂からなる単層、或いは多層のフィル
    ムであって、該紫外線吸収剤が、2−[2−ヒドロキシ
    −3−(3,4,5,6−テトラ−ヒドロフタルイミド
    −メチル)−5−オクチルフェニル]ベンゾトリアゾー
    ル、及び、2−[4,6−ビス(2,4ジメチルフェニ
    ル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オ
    クチルオキシ)フェノールの少なくとも一方であること
    を特徴とする加飾シート用基材フィルム。
  2. 【請求項2】 少なくとも前記紫外線吸収剤が添加され
    た層に、次の[化1]で示される構造を分子内に有する
    ヒンダードアミン系光安定剤が添加されていることを特
    徴とする請求項1記載の加飾シート用基材フィルム。 【化1】 (式中Rは水素原子を除く)
  3. 【請求項3】 少なくとも三層以上の多層フィルムであ
    って、両表面層には前記紫外線吸収剤が添加されず、両
    表面層以外の少なくとも1層に前記紫外線吸収剤が添加
    されていることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか
    に記載の加飾シート用基材フィルム。
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