JP7315040B2 - 加飾フィルム及びそれを用いた加飾成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
要件:ISO6452に準拠した方法により下記フォギング試験を行った後のガラス板のJIS-K7136に準拠した方法により測定されるヘーズ値の変化量が40以下である。
<フォギング試験>ヒンダードアミン系光安定剤又は紫外線吸収剤1g(±0.01g)をガラス製サンプル瓶に入れて、前記サンプル瓶をガラス板で蓋をして150℃で1時間加熱することにより、前記ガラス板に曇り(フォギング)を発生させる。
要件:ISO6452に準拠した方法により下記フォギング試験を行った後のガラス板のJIS-K7136に準拠した方法により測定されるヘーズ値の変化量が40以下である。フォギング試験後のヘーズ値の変化量は、以下の式から算出される。
フォギング試験後のヘーズ値の変化量 = フォギング試験後のガラス板のヘーズ値 - フォギング試験前のガラス板のヘーズ値
<フォギング試験>ヒンダードアミン系光安定剤又は紫外線吸収剤1g(±0.01g)をガラス製サンプル瓶に入れて、前記サンプル瓶をガラス板で蓋をして150℃で1時間加熱することにより、前記ガラス板に曇り(フォギング)を発生させる。
本発明におけるヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤は、ISO6452に準拠した方法により下記フォギング試験を行った後のガラス板のJIS-K7136に準拠した方法により測定されるヘーズ値の変化量が40以下であることが必要であり、好ましくは35以下、より好ましくは25以下、さらに好ましくは10以下である。
<フォギング試験>ヒンダードアミン系光安定剤又は紫外線吸収剤1g(±0.01g)をガラス製サンプル瓶に入れて、前記サンプル瓶をガラス板で蓋をして150℃で1時間加熱することにより、前記ガラス板に曇り(フォギング)を発生させる。
通常のフォギング試験では、対象の添加剤を含む樹脂組成物サンプルを用いて行われるが、その場合では本発明の加飾フィルム中のヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤の揮発し易さを把握することができない。すなわち、通常の添加剤のブリード現象とは異なることを意味している。ヒンダードアミン系光安定剤又は紫外線吸収剤を直接加熱するフォギング試験によって、本発明の加飾フィルム中のヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤の揮発し易さを把握することができる。
フォギング試験を行った後のガラス板のヘーズ値が前記範囲であると、加飾成形中においてもヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤が揮発しにくいため、耐候性に優れる加飾成形体を得ることができる。また、加飾フィルムの表面(接着面)にヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤が移行し、被加飾体との接着力が低下してしまうことを抑制することができる。さらに、熱成形機のチャンバーボックス内部がヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤によって汚れてしまうことも抑制することができる。
本発明の加飾フィルムは、ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含む少なくとも1つの層を含むものである。加飾フィルムは、上記ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含む層のみから構成されてもよいし、それ以外の層を含む多層構造であってもよい。上記耐候剤を含む層を含むことによって、良好な耐候性の加飾フィルム及び加飾成形体を得ることができる。特に、光による劣化は成形体表面から進行するため、加飾フィルムの樹脂成形体への貼着面とは反対の最表面の層に上記耐候剤が含まれていることがより好ましい。
本発明におけるヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含む層は、成形性、リサイクル性、耐溶剤性等の観点から、ポリオレフィン系樹脂を50重量%以上含有することが好ましい。前記層は、ポリオレフィン系樹脂を60重量%以上含有することがより好ましく、70重量%以上含有することが特に好ましい。本発明において、ポリオレフィン系樹脂とは、オレフィンモノマー由来の重合単位を50mol%以上含んでいる樹脂を指す。また、本発明において、変性ポリオレフィンとは、ポリオレフィン系樹脂を包含する概念であり、オレフィンモノマー由来の重合単位とそれ以外のモノマー由来の重合単位とを任意の割合で含む樹脂を指す。ポリオレフィン系樹脂は、エチレン、プロピレン、ブテン等のαオレフィンの単独重合体及びエチレン、プロピレン等と他のαオレフィンとの共重合体であることが好ましい。具体的には、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン-α-オレフィン共重合体、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレン-α-オレフィン共重合体(ランダムポリプロピレン)、プロピレンブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)等である。ポリオレフィン系樹脂を構成するオレフィンモノマー以外のモノマー成分として、スチレン等の芳香族モノマー;無水マレイン酸、アクリル酸等の極性基含有モノマー等が挙げられるが、ポリオレフィン系樹脂は、極性基含有モノマー由来の重合単位を含まないものであることが好ましい。
これらのうち、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレン-α-オレフィン共重合体(ランダムポリプロピレン)、プロピレンブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)等のポリプロピレン系樹脂が特に好ましく、これらの組み合わせを選択することもできる。ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンモノマー由来の重合単位を50mol%以上含んでいることが好ましい。ポリプロピレン系樹脂は、耐油性、耐溶剤性、耐傷付き性、耐熱性等の観点からホモポリプロピレンが好ましい。また光沢(グロス)や透明性(発色性)の観点からは、プロピレン-α-オレフィン共重合体が好ましい。
本発明の加飾フィルムは、ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含む少なくとも1つの層を含む。すなわち、加飾フィルムは、上記ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含む層のみからなる単層フィルムであっても、上記ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含有する層と他の層からなる多層フィルムであってもよい。また本発明の加飾フィルムは、その表面にシボ、エンボス、印刷、サンドプラスト、スクラッチ等が施されていてもよい。
熱成形性に優れる樹脂として好ましい長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物(X)について説明する。
樹脂組成物(X)は、粘度が低下しすぎると十分な成形安定性は得られないため、樹脂組成物(X)は、一定の粘度を有する必要があり、本発明では、この粘度の指標としてMFR(230℃、2.16kg荷重)を規定する。
(x1)MFR(X)が40g/10分以下である。
(x1′)MFR(X)が20g/10分以下である。
(x1″)MFR(X)が12g/10分以下である。
樹脂組成物(X)のひずみ硬化度λは、以下の要件(x2)を満たすことが好ましく、より好ましくは要件(x2′)を満たし、さらに好ましくは要件(x2″)を満たす。樹脂組成物(X)のひずみ硬化度λを下記の範囲の値にすることにより、加飾熱成形時の成形性が良好で、外観に優れる加飾成形体を得ることができる。
(x2)ひずみ硬化度λが1.1以上であること。
(x2′)ひずみ硬化度λが1.8以上であること。
(x2″)ひずみ硬化度λが2.3以上であること。
λ=ηe(3.5)/{3×η*(0.01)} 式(b-1)
上記式(b-1)において、η*(0.01)は動的周波数掃引実験により測定される、測定温度180℃、角振動数ω=0.01rad/sにおける複素粘性率[単位:Pa・s]であり、複素粘性率η*は、複素弾性率G*[単位:Pa]と角振動数ωから、η*=G*/ωにて計算される。またηe(3.5)は伸長粘度測定により測定される、測定温度180℃、歪速度1.0s-1、ひずみ量3.5における伸長粘度である。
分岐指数g’は、長鎖分岐構造に関する、直接的な指標として知られている。「Developments in Polymer Characterization-4」(J.V. Dawkins ed. Applied Science Publishers, 1983)に詳細な説明があるが、分岐指数g’の定義は、以下の通りである。
分岐指数g’=[η]br/[η]lin
[η]br:長鎖分岐構造を有するポリマー(br)の固有粘度
[η]lin:ポリマー(br)と同じ分子量を有する線状ポリマーの固有粘度
上記定義から明らかな通り、分岐指数g’が1よりも小さな値を取ると、長鎖分岐構造が存在すると判断され、長鎖分岐構造が増えるほど分岐指数g’の値は、小さくなっていく。
{測定方法}
GPC:Alliance GPCV2000(Waters社製)
検出器:接続順に記載
多角度レーザー光散乱検出器(MALLS):DAWN-E(Wyatt Technology社製)
示差屈折計(RI):GPC付属
粘度検出器(Viscometer):GPC付属
移動相溶媒:1,2,4-トリクロロベンゼン(Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)
移動相流量:1mL/分
カラム:東ソー社製 GMHHR-H(S) HTを2本連結
試料注入部温度:140℃
カラム温度:140℃
検出器温度:全て140℃
試料濃度:1mg/mL
注入量(サンプルループ容量):0.2175mL
多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)から得られる絶対分子量(Mabs)、二乗平均慣性半径(Rg)、及び、Viscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行う。
参考文献:
1.「Developments in Polymer Characterization-4」(J.V. Dawkins ed. Applied Science Publishers, 1983. Chapter1.)
2.Polymer, 45, 6495-6505(2004)
3.Macromolecules, 33, 2424-2436(2000)
4.Macromolecules, 33, 6945-6952(2000)
13C―NMRは、短鎖分岐構造と長鎖分岐構造を区別することができる。Macromol.Chem.Phys.2003,vol.204,1738に詳細な説明があるが、その概要は以下の通りである。
なお、本発明における13C-NMRの測定方法については下記の通りである。
試料200mgをo-ジクロロベンゼン/重水素化臭化ベンゼン(C6D5Br)=4/1(体積比)2.4ml及び化学シフトの基準物質であるヘキサメチルジシロキサンと共に内径10mmφのNMR試料管に入れ溶解し、13C-NMR測定を行った。
13C-NMR測定は10mmφのクライオプローブを装着したブルカー・バイオスピン(株)のAV400M型NMR装置を用いて行った。
試料の温度120℃、プロトン完全デカップリング法で測定を実施した。その他の条件は以下の通りである。
パルス角:90°
パルス間隔:4秒
積算回数:20,000回
化学シフトはヘキサメチルジシロキサンのメチル炭素のピークを1.98ppmとして設定し、他の炭素によるピークの化学シフトはこれを基準とした。
44ppm付近のピークを使用して長鎖分岐量を算出することができる。
熱成形性に優れる樹脂として好ましい直鎖状ポリプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物(Y)について説明する。
本発明において、基材層とは、加飾フィルム中の最も厚さが大きい層を指す。加飾フィルムが単層フィルムの場合、その層は基材層となる。本発明の加飾フィルムの基材層を構成する樹脂がポリプロピレン系樹脂である場合、単層フィルムの場合と同様に、基材層が樹脂組成物(X)及び/又は(Y)を含むことが好ましい。これにより、熱成形性が良好となり、外観が良好な加飾成形体を得ることができる。
本発明において、表面層及び表面加飾層は、樹脂成形体への貼着面とは反対の最表面の層を構成する、基材層とは別の層を指す。表面層及び表面加飾層は、基材層上に直接設けられていてもよく、又は基材層上に一層以上の別の層を介在させた後に設けられていてもよい。ここで、表面加飾層は、加飾フィルムの透明性、表面光沢、意匠性等を向上させるために、造核剤、着色剤等を添加した表面層を意味する。
本発明の加飾フィルムの表面層又は表面加飾層を構成する樹脂がポリプロピレン系樹脂である場合、MFR(230℃、2.16kg荷重)が好ましくは2.0g/10分を超え、より好ましくは5.0g/10分以上、さらに好ましくは9.0g/10分以上である。ポリプロピレン系樹脂のMFRを上記の値の範囲にすることにより、加飾フィルムの表面平滑性や光沢の向上する、シボ転写性の向上等の効果が得られ、要求される成形体の表面形状(光沢、非光沢、シボ等)について、良好な外観を有する加飾成形体を得ることができる。また加飾フィルムの製造時及び熱成形時の表面の転写性が向上し、熱成形時に鏡面ロールを用いればより高い光沢を有する加飾フィルムとすることができる。MFRの上限については特に制限はないが、好ましくは100g/10分以下、より好ましくは50g/10分以下である。MFRを上記の値の範囲にすることにより、良好な耐油性、耐溶剤性、耐傷付き性等を発揮することができる。
本発明において、シール層は、樹脂成形体への接着性を改善するための、加飾フィルムの貼着面側の最表面の層を構成する、基材層とは別の層を指す。本発明の加飾フィルムのシール層を構成する樹脂は、一般的な熱可塑性樹脂より選択することができ、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン系エラストマー等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、スチレン系エラストマー、石油樹脂等を用いることができ、またそれらの組み合わせでもよい。変性ポリオレフィンとしては、無水マレイン酸等の極性基含有モノマー由来の重合単位とオレフィンモノマー由来の重合単位とを任意の割合で含む樹脂が挙げられる。例えば、本発明に係るシール層がポリプロピレン系樹脂である場合、樹脂のMFR(230℃、2.16kg荷重)は、接着性の点で、0.1g/10分以上であることが好ましく、より好ましくは0.4g/10分以上、さらに好ましくは2.0g/10分以上である。MFRの上限については特に制限はないが、好ましくは100g/10分以下、より好ましくは50g/10分以下である。MFRを上記の値の範囲にすることにより、良好な接着性を得ることができる。
本発明の加飾フィルムは、公知の様々な成形方法により製造することができる。
例えば、多層フィルムの場合は、共押出成形する方法、あらかじめ押出成形した一方の層の片方の面の上に、他の層を熱及び圧力をかけて貼り合せる熱ラミネーション法、接着剤を介して貼り合せるドライラミネーション法及びウェットラミネーション法、あらかじめ押出成形した一方の層の片方の面の上に、樹脂を溶融押出しする押出ラミネーション法やサンドラミネーション法等が挙げられる。加飾フィルムを形成するための装置としては、公知の共押出Tダイ成形機や、公知のラミネート成形機を用いることができる。この中で、生産性の観点から、共押出Tダイ成形機が好適に用いられる。
本発明において加飾される樹脂成形体(加飾対象)として、好ましくは熱可塑性樹脂、より好ましくはポリオレフィン系樹脂、さらに好ましくはポリプロピレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂組成物からなる各種成形体(以下、「基体」と言うことがある。)を用いることができる。成形体の成形方法は、特に制限されるものでなく、例えば射出成形、ブロー成形、プレス成形、押出成形等を挙げることができる。
本発明の加飾成形体の製造方法は、上述した加飾フィルムを準備するステップ、樹脂成形体を準備するステップ、減圧可能なチャンバーボックス中に、前記樹脂成形体及び前記加飾フィルムをセットするステップ、前記チャンバーボックス内を減圧するステップ、前記加飾フィルムを加熱軟化させるステップ、前記樹脂成形体に前記加飾フィルムを押し当てるステップ、並びに前記減圧したチャンバーボックス内を大気圧に戻す又は加圧するステップを含むことを特徴とする。
より具体的に代表的な成形方法を以下に例示する。
チャンバーボックス11及び12内の減圧は、空気だまりが発生しない程度であればよく、チャンバーボックス内の圧力が10kPa以下、好ましくは3kPa以下、より好ましくは1kPa以下である。
(i)フォギング試験
ISO6452に準拠した方法により下記フォギング試験を行った後のサンプル瓶の口を覆っていたガラス板のヘーズ値(HAZE)をヘーズメーター(NDH5000型、日本電子工業株式会社製)を用いて測定し、フォギング試験前後のヘーズ値の変化量を以下の式から算出した。
フォギング試験後のヘーズ値の変化量 = フォギング試験後のガラス板のヘーズ値 - フォギング試験前のガラス板のヘーズ値
なお、フォギング試験を実施する前のガラス板のヘーズ値は0.23であった。
<フォギング試験>
ヒンダードアミン系光安定剤又は紫外線吸収剤1g(±0.01g)をガラス製サンプル瓶(内径83mm、高さ190mm)に入れて、前記サンプル瓶をガラス板(厚さ3.0mm)で蓋をして150℃で1時間加熱することにより、前記ガラス板に曇り(フォギング)を発生させた。フォギング試験機は、ウィンドスクリーンフォギングテスターWF-2(スガ試験機株式会社製)を用いた。ガラス製サンプル瓶及びガラス板はスガ試験機株式会社提供のものを使用した。
ISO 1133:1997 Conditions Mに準拠して、230℃、2.16kg荷重で測定した。単位はg/10分である。
ひずみ硬化度λの求め方は、前述した方法で行った。このとき、剪断粘度の値として用いるη*(0.01)、伸長粘度の値として用いるηe(3.5)は以下の方法で測定を行った。また、このとき測定に用いた試料は、温度180℃、加圧10MPaの条件で1時間プレスすることで厚さ0.7mm及び2mmの平板に成形したものであり、厚さ0.7mmの試料を伸長粘度測定に、2mmの試料を動的周波数掃引実験に用いた。
Rheometric Scientific社製ARESを用いて、動的周波数掃引実験を行った。測定ジオメトリには直径25mmの平行円板を使用した。装置制御ソフトウェアTA Orchestratorを用い、測定モードDynamic Frequency Sweep Testにて測定を実施した。試料は上記の方法で作製した厚さ2mmのプレス成形体を用いた。測定温度は180℃とした。角振動数ωは0.01~100rad/sの間を、対数スケールで等間隔となるように一桁あたり5点測定した。
試料の低剪断速度での粘度を示す指標として、ω=0.01rad/sにおける複素粘性率η*(0.01)[単位:Pa・s]を採用する。なお、複素粘性率η*は、複素弾性率G*[単位:Pa]とωから、η*=G*/ωにて計算される。
Rheometric Scientific社製ARESの測定治具に、ティーエーインスツルメント社製 Extensional Viscosity Fixtureを使用して伸長粘度測定を行った。装置制御ソフトウェアTA Orchestratorを用い、測定モードExtensional Viscosity Testにて測定を実施した。試料は上記の方法で成形した厚さ0.7mmの試験片を用いた。試験片の幅は10mm、長さ18mmとした。歪速度は1.0s-1、測定温度は180℃である。その他の測定パラメータは以下のように設定した。
Sampling Mode:log
Points Per Zone:200
Solid Density:0.9
Melt Density:0.8
Prestretch Rate:0.05s-1
Relaxation after Prestretch:30sec
本条件で、少なくとも測定開始からの時間3.7秒までのデータを採取する。ソフトウェアにより、伸長粘度の時間依存性データが得られる。得られた伸長粘度カーブの、時間3.5sec(すなわち歪量3.5)の時点での伸長粘度の値をηe(3.5)[単位:Pa・s]とした。
前述した方法に従って、光散乱計と粘度計を検出器に備えたGPCを使用した測定を行い、前述した解析方法に基づき、分岐指数g’を求めた。
前述した方法に従って、13C-NMRを使用した測定を行い、長鎖分岐構造の有無を測定した。
(1)ヒンダードアミン系光安定剤及び紫外線吸収剤
(A-1):ヒンダードアミン系光安定剤(フォギング試験後のヘーズ値の変化量=3.78、分子量=約3000)、BASF株式会社製、商品名「Chimassorb944」
(A-2):ヒンダードアミン系光安定剤(フォギング試験後のヘーズ値の変化量=5.13、分子量=約791)、株式会社ADEKA製、商品名「LA-57」
(A-3):ヒンダードアミン系光安定剤(フォギング試験後のヘーズ値の変化量=3.98、分子量=約1900)、株式会社ADEKA製、商品名「LA-68」
(A-4):ヒンダードアミン系光安定剤(フォギング試験後のヘーズ値の変化量=49.59、分子量=480)、BASF株式会社製、商品名「Tinuvin770」
(A-5):紫外線吸収剤(フォギング試験後のヘーズ値の変化量=22.12、分子量=659)、株式会社ADEKA製、商標名「アデカスタブLA-31G」
以下のポリプロピレン系樹脂を用いた。
(B-1):長鎖分岐を有しないプロピレン単独重合体(MFR=0.4g/10分、ひずみ硬化度λ=1.0)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)EA9」、絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’=1.0、13C-NMRの測定により長鎖分岐構造を有しないことを確認した。
(B-1-1):ポリプロピレン系樹脂(B-1)100重量部に、ヒンダードアミン系光安定剤(A-1)を0.2重量部ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=0.4g/10分)
(B-1-2):ポリプロピレン系樹脂(B-1)100重量部に、ヒンダードアミン系光安定剤(A-2)を0.2重量部ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=0.4g/10分)
(B-1-3):ポリプロピレン系樹脂(B-1)100重量部に、ヒンダードアミン系光安定剤(A-3)を0.2重量部ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=0.4g/10分)
(B-1-4):ポリプロピレン系樹脂(B-1)100重量部に、ヒンダードアミン系光安定剤(A-4)を0.2重量部ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=0.4g/10分)
(B-1-5):ポリプロピレン系樹脂(B-1)100重量部に、ヒンダードアミン系光安定剤(A-1)を0.1重量部、さらに紫外線吸収剤(A-5)を0.2重量部ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=0.4g/10分)
(B-2):マクロマー共重合法により製造された長鎖分岐を有するプロピレン単独重合体、日本ポリプロ(株)製、商品名「WAYMAX(登録商標)MFX8」、MFR=1.0g/10分、ひずみ硬化度λ=9.7、絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’=0.89、13C-NMRの測定により長鎖分岐構造を有することを確認した。
(B-2-1)ポリプロピレン系樹脂(B-2)100重量部に、ヒンダードアミン系光安定剤(A-1)を0.2重量部ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=1.0g/10分)
(B-3):長鎖分岐を有しないプロピレン単独重合体(MFR=10g/10分、ひずみ硬化度λ=1.0)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)FA3KM」、絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’=1.0、13C-NMRの測定により長鎖分岐構造を有しないことを確認した。
(B-3-1)ポリプロピレン系樹脂(B-3)100重量部に、ヒンダードアミン系光安定剤(A-1)を0.2重量部ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=10g/10分)
(B-4):長鎖分岐を有しないプロピレン-α-オレフィン共重合体(MFR=7.0g/10分、ひずみ硬化度λ=1.0)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ウィンテック(登録商標)WFX4M」、絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’=1.0、13C-NMRの測定により長鎖分岐構造を有しないことを確認した。
以下の熱可塑性樹脂を用いた。
(C-1):無水マレイン酸変性ポリオレフィン(MFR=7.0g/10分)、三菱ケミカル(株)製、商品名「モディックAP(登録商標)F534A」
プロピレン単独重合体(D-1)(MFR=40g/10分、Tm=165℃、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)MA04H」)を用い、以下の方法で射出成形体を得た。
射出成形機:東芝機械株式会社製「IS100GN」、型締め圧100トン
シリンダー温度:200℃
金型温度:40℃
射出金型:幅×高さ×厚さ=120mm×120mm×3mmの平板
状態調整:温度23℃、湿度50%RHの恒温恒湿室にて5日間保持
・加飾フィルムの製造
口径40mm(直径)の基材層用押出機-1及び、口径30mm(直径)のシール層用押出機-2が接続されたリップ開度0.8mm、ダイス幅400mmの2種2層Tダイを用いた。基材層用押出機-1にポリプロピレン系樹脂(B-1-1)を、シール層用押出機-2にポリプロピレン系樹脂(B-1)をそれぞれ投入し、樹脂温度240℃、基材層用押出機-1の吐出量を12kg/h、シール層用押出機-2の吐出量を4kg/hの条件で溶融押出を行った。溶融押出されたフィルムを、30℃、3m/minで回転する第1ロールにシール層が接するようにエアナイフで押付けながら冷却固化させ、厚さ150μmの基材層と、厚さ50μmのシール層が積層された2層の未延伸フィルムを得た。
三次元加飾熱成形装置として、布施真空株式会社製「NGF-0406-SW」を用いた。図2~7に示すように、加飾フィルム1を、シール層が基体に対向するとともに長手方向がフィルムのMD方向となるように、幅250mm×長さ350mmで切り出し、開口部のサイズが210mm×300mmのフィルム固定用治具13にセットした。樹脂成形体(基体)5は、フィルム固定用治具13よりも下方に位置するテーブル14上に設置された、高さ20mmのサンプル設置台の上に、ニチバン株式会社製「ナイスタック NW-K15」を介して貼り付けた。フィルム固定用治具13とテーブル14をチャンバーボックス11及び12内に設置し、チャンバーボックスを閉じてチャンバーボックス11及び12内を密閉状態とした。チャンバーボックスは、加飾フィルム1を介して上下に分割されている。上下チャンバーボックス11及び12を真空吸引し、大気圧(101.3kPa)から1.0kPaまで減圧した状態で、上チャンバーボックス11上に設置された遠赤外線ヒータ15を出力80%で始動させて加飾フィルム1を加熱した。加熱中も真空吸引を継続し、最終的に0.1kPaまで減圧した。加飾フィルム1が加熱され一時的にたるみ、その後、張り戻るスプリングバック現象が終了した後、さらに30秒加熱し、下チャンバーボックス12内に設置されたテーブル14を上方に移動させて、樹脂成形体(基体)5を加飾フィルム1に押し付け、直後に上チャンバーボックス11内の圧力が270kPaとなるように圧縮空気を送り込んで樹脂成形体(基体)5と加飾フィルム1を密着させた。このようにして、樹脂成形体(基体)5の上面及び側面に加飾フィルム1が貼着された三次元加飾熱成形品6を得た。
実施例1の加飾フィルムの製造において、基材層に用いたポリプロピレン系樹脂をポリプロピレン系樹脂(B-1-2)に変更した以外は、実施例1と同様に三次元加飾熱成形品を得た。
実施例1の加飾フィルムの製造において、基材層に用いたポリプロピレン系樹脂をポリプロピレン系樹脂(B-1-3)に変更した以外は、実施例1と同様に三次元加飾熱成形品を得た。
実施例1の加飾フィルムの製造において、基材層に用いたポリプロピレン系樹脂をポリプロピレン系樹脂(B-1-5)に変更した以外は、実施例1と同様に三次元加飾熱成形品を得た。
実施例1の加飾フィルムの製造において、基材層に用いたポリプロピレン系樹脂をポリプロピレン系樹脂(B-2-1)に変更した以外は、実施例1と同様に三次元加飾熱成形品を得た。
加飾フィルムの製造において、口径30mmφの表面層用押出機-3、口径40mmφの基材層用押出機-1、及び口径30mmφのシール層用押出機-2が接続された、リップ開度0.8mm、ダイス幅400mmの3種3層Tダイを用いた。表面層用押出機-3にポリプロピレン系樹脂(B-3-1)を、基材層用押出機-1にポリプロピレン系樹脂(B-1-1)を、シール層用押出機-2にポリプロピレン系樹脂(B-1)をそれぞれ投入し、樹脂温度240℃、表面層用押出機-3の吐出量を4kg/h、基材層用押出機-1の吐出量を8kg/h、シール層用押出機-2の吐出量を4kg/hの条件で溶融押出を行った。
溶融押出されたフィルムを、30℃、3m/minで回転する第1ロールにシール層が接するようにエアナイフで押付けながら冷却固化させ、厚さ50μmの表面層と、厚さ100μmの基材層と、厚さ50μmのシール層が積層された3層の未延伸フィルムを得た。
実施例1の加飾フィルムの製造において、シール層に用いたポリプロピレン系樹脂をポリプロピレン系樹脂(B-4)に変更した以外は、実施例1と同様に三次元加飾熱成形品を得た。
実施例1の加飾フィルムの製造において、シール層に用いたポリプロピレン系樹脂を無水マレイン酸変性ポリオレフィン(C-1)に変更した以外は、実施例1と同様に三次元加飾熱成形品を得た。
実施例1の加飾フィルムの製造において、基材層に用いたポリプロピレン系樹脂をポリプロピレン系樹脂(B-1)に変更した以外は、実施例1と同様に三次元加飾熱成形品を得た。
実施例1の加飾フィルムの製造において、基材層に用いたポリプロピレン系樹脂をポリプロピレン系樹脂(B-1-4)に変更した以外は、実施例1と同様に三次元加飾熱成形品を得た。
実施例1~8並びに比較例1及び2で得られた三次元加飾熱成形品について、三次元加飾熱成形後の平板サンプルを、23℃50%RHで48時間保持した後、該平板から縦30mm横70mmに試験片を切り出し、株式会社東洋精機製作所製アトラス試験機Ci65AWにてブラックパネル温度89℃、湿度50%、放射照度100W/m2の条件で504MJのキセノンアークランプ光を、加飾成形体の加飾フィルム側に照射した。三次元加飾成形前の加飾フィルムに対しても、同様の条件で光照射を行った。24時間毎に試験片の表面を顕微鏡にて20倍に拡大して観察し、表面に微細なクラックが生じるまでの時間を「耐候時間」とした。耐候性の低下率を以下の基準で評価した。
○:三次元加飾成形前の加飾フィルムの耐候時間に対して、三次元加飾熱成形後の平板サンプルの耐候時間の低下率が20%未満である。
×:三次元加飾成形前の加飾フィルムの耐候時間に対して、三次元加飾熱成形後の平板サンプルの耐候時間の低下率が20%以上である。
2 基材層(II)
3 シール層(I)
4 表面加飾層(III)
5 樹脂成形体(加飾対象、基体)
6 加飾成形体
11 上チャンバーボックス
12 下チャンバーボックス
13 治具
14 テーブル
15 ヒータ
Claims (7)
- プロピレン単独重合体及び紫外線吸収剤を含む加飾フィルム用樹脂組成物であって、
前記プロピレン単独重合体は、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂であり、該紫外線吸収剤は、以下の要件を満たし、該紫外線吸収剤の添加量は、前記プロピレン単独重合体100重量部に対して、0.001~1.00重量部の範囲であり、
前記樹脂組成物は、メルトフローレート(MFR)(温度230℃、荷重2.16kg)が0.1~40g/10分であり、かつひずみ硬化度λが1.1以上である、樹脂組成物。
要件:ISO6452に準拠した方法により下記フォギング試験を行った後のガラス板のJIS-K7136に準拠した方法により測定されるヘーズ値の変化量が40以下である。
<フォギング試験>紫外線吸収剤1g(±0.01g)をガラス製サンプル瓶に入れて、前記サンプル瓶をガラス板で蓋をして150℃で1時間加熱することにより、前記ガラス板に曇り(フォギング)を発生させる。 - プロピレン単独重合体及び紫外線吸収剤を含む加飾フィルム用樹脂組成物であって、
前記プロピレン単独重合体は、直鎖状ポリプロピレン系樹脂であり、該紫外線吸収剤は、以下の要件を満たし、該紫外線吸収剤の添加量は、前記プロピレン単独重合体100重量部に対して、0.001~1.00重量部の範囲であり、
前記樹脂組成物のMFRが0.1~2.0g/10分である、樹脂組成物。
要件:ISO6452に準拠した方法により下記フォギング試験を行った後のガラス板のJIS-K7136に準拠した方法により測定されるヘーズ値の変化量が40以下である。
<フォギング試験>紫外線吸収剤1g(±0.01g)をガラス製サンプル瓶に入れて、前記サンプル瓶をガラス板で蓋をして150℃で1時間加熱することにより、前記ガラス板に曇り(フォギング)を発生させる。 - 前記紫外線吸収剤の分子量が490g/mol以上である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる層を含む加飾フィルム。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる基材層を含む加飾フィルム。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる表面層を含む加飾フィルム。
- 請求項4~6のいずれか1項に記載の加飾フィルムとプロピレン系樹脂組成物からなる成形体とを三次元加飾熱成形により貼着する加飾成形体の製造方法。
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