本発明の偏光子保護フィルムは、熱可塑性樹脂、波長320〜400nmに吸収極大を持つ紫外線吸収剤(I)(以下、紫外線吸収剤(I)ということがある)および200〜320nmに吸収極大を持つ紫外線吸収剤(II)(以下、紫外線吸収剤(II)ということがある)を含有する。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂としては、従来公知の種々の熱可塑性樹脂を用いることができ、例えば、アクリル系樹脂、環状オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、セルロースジアセテート樹脂、セルローストリアセテート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、シンジオタクティックポリスチレン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂およびナイロン樹脂などが挙げられる。中でも、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ノルボルネン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン系樹脂、ABS系樹脂およびAS系樹脂が好ましく、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂およびアクリル系樹脂がより好ましく、透明性や耐候性に優れることから、アクリル系樹脂が特に好ましい。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
アクリル系樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルなどのアクリル系モノマーの単独重合体または2種以上の共重合体、アクリル系モノマーとその他のモノマーとの共重合体などが挙げられる。なお、本明細書において、用語「(メタ)アクリル」は、「アクリル」または「メタクリル」を意味する。アクリル系樹脂としては、市販品を使用してもよく、例えば、住友化学株式会社製の「スミペックスMH」などが挙げられる。
アクリル系樹脂としては、優れた硬度、耐候性、透明性などを有する点から、メタクリル樹脂を用いることが好ましい。メタクリル樹脂は、メタクリル酸エステルを主体とする単量体を重合して得られる重合体であり、例えば、メタクリル酸エステルの単独重合体(ポリアルキルメタクリレート)、50重量%以上のメタクリル酸エステルと50重量%以下のメタクリル酸エステル以外の単量体との共重合体などが挙げられる。共重合体の場合、単量体総量に対して、好ましくはメタクリル酸エステルが70重量%以上、メタクリル酸エステル以外の単量体が30重量%以下であり、より好ましくはメタクリル酸エステルが90重量%以上、メタクリル酸エステル以外の単量体が10重量%以下である。
メタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ノニル、メタクリル酸イソノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシエチルなどが挙げられる。中でも、炭素数が1〜8のアルキル基を有するメタクリル酸エステルが好ましく、メタクリル酸メチルがより好ましい。メタクリル酸エステルは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
メタクリル酸エステル以外の単量体としては、例えば、アクリル酸エステル、不飽和ニトリル、エチレン性不飽和カルボン酸ヒドロキシアルキルエステル、エチレン性不飽和カルボン酸アミド、エチレン性不飽和酸、エチレン性不飽和スルホン酸エステル、エチレン性不飽和アルコールおよびそのエステル、エチレン性不飽和エーテル、エチレン性不飽和アミン、エチレン性不飽和シラン化合物、脂肪族共役ジエン、スチレン系単量体などが挙げられる。中でも、アクリル酸エステルが好ましい。メタクリル酸エステル以外の単量体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ノニル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチルなどが挙げられる。中でも、炭素数が1〜8のアルキル基を有するアクリル酸エステルが好ましく、アクリル酸メチルがより好ましい。
不飽和ニトリルとしては、例えば、アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−メトキシアクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどが挙げられる。
エチレン性不飽和カルボン酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートなどが挙げられる。
エチレン性不飽和カルボン酸アミドとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシエチルアクリルアミド、N−ブトキシエチルメタクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−n−プロピオキシメチルアクリルアミド、N−n−プロピオキシメチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミドなどが挙げられる。
エチレン性不飽和酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、無水フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、ビニルスルホン酸、イソプレンスルホン酸のようなエチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和スルホン酸などが挙げられる。エチレン性不飽和酸単量体は、例えば、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、アンモニアなどで中和されていてもよい。
エチレン性不飽和スルホン酸エステルとしては、例えば、ビニルスルホン酸アルキル、イソプレンスルホン酸アルキルなどが挙げられる。
エチレン性不飽和アルコールおよびそのエステルとしては、例えば、アリルアルコール、メタリルアルコール、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸アリル、カプロン酸メタリル、ラウリン酸アリル、安息香酸アリル、アルキルスルホン酸ビニル、アルキルスルホン酸アリル、アリールスルホン酸ビニルなどが挙げられる。
エチレン性不飽和エーテルとしては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、メチルアリルエーテル、エチルアリルエーテルなどが挙げられる。
エチレン性不飽和アミンとしては、例えば、ビニルジメチルアミン、ビニルジエチルアミン、ビニルジフェニルアミン、アリルジメチルアミン、メタリルジエチルアミンなどが挙げられる。
エチレン性不飽和シラン化合物としては、例えば、ビニルトリエチルシラン、メチルビニルジクロロシラン、ジメチルアリルクロロシラン、ビニルトリクロロシランなどが挙げられる。
脂肪族共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−ネオペンチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,2ジクロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、2−ブロモ−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、直鎖および側鎖共役ヘキサジエンなどが挙げられる。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、フルオロスチレン、ニトロスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、アセトキシスチレン、p−ジメチルアミノメチルスチレンなどが挙げられる。
また、メタクリル酸エステル以外の単量体としては、多官能単量体でもよい。多官能単量体としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートの如き多価アルコールのポリ不飽和カルボン酸エステル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ケイ皮酸アリルの如き不飽和カルボン酸のアルケニルエステル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートの如き多塩基酸のポリアルケニルエステル、ジビニルベンゼンの如き芳香族ポリアルケニル化合物などが挙げられる。
これらのアクリル系樹脂の中でも、メタクリル酸メチルの単独重合体(ポリメチルメタクリレート)、または50重量%以上99.9重量%以下のメタクリル酸メチルと0.1重量%以上50重量%以下のメタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体が特に好ましい。50重量%以上99.9重量%以下のメタクリル酸メチルと0.1重量%以上50重量%以下のメタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体とは、メタクリル酸メチルと該(メタ)アクリル酸エステルとの合計量に対して、メタクリル酸メチルが50重量%以上99.9重量%以下の割合で含有され、メタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸エステルが0.1重量%以上50重量%以下の割合で含有される単量体混合物を重合させて得られる共重合体である。この単量体混合物中に、メタクリル酸メチルが好ましくは70重量%以上99.9重量%以下の割合で含有され、より好ましくは90重量%以上99.9重量%以下の割合で含有される。
アクリル系樹脂は、上述の単量体を、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、注液重合法(キャスト重合法)などの重合方法に供することによって得られる。重合は、光照射や重合開始剤を用いて行われ、アゾ系開始剤(例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)など)、過酸化物系開始剤(ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなど)、有機過酸化物とアミン類とを組み合わせたレドックス系開始剤などの重合開始剤を用いることが好ましい。重合開始剤は、アクリル系樹脂を構成する単量体100重量部に対して、通常0.01重量部以上1重量部以下、好ましくは0.01重量部以上0.5重量部以下の割合で用いられる。さらに、分子量制御のための連鎖移動剤(メチルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタンのような直鎖または分岐したアルキルメルカプタン化合物など)、架橋剤などを添加してもよい。
熱可塑性樹脂には、必要に応じて、例えば、光拡散剤、艶消剤、染料、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を1種または2種以上を含有させてもよい。添加剤を含有させる場合、その含有量は、単量体総量に対して、0.005重量%以上30重量%以下が好ましい。
アクリル系樹脂には、ゴム粒子を添加してもよい。ここで、ゴム粒子としては、例えば、アクリル系ゴム粒子、ブタジエン系ゴム粒子、スチレン−ブタジエン系ゴム粒子などのものを用いることができるが、中でも、耐候性、耐久性の点から、アクリル系ゴム粒子が好ましく用いられる。ゴム粒子は、単独で用いてもよいし、組成や平均粒子径が異なる2種以上を併用してもよい。
アクリル系ゴム粒子は、ゴム成分としてアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を含有する粒子であり、この弾性重合体のみからなる単層構造の粒子であってもよいし、この弾性重合体の層と、例えば、メタクリル酸エステルを主体とする重合体の層とを有する多層構造の粒子であってもよいが、偏光子保護フィルムの表面硬度の点から多層構造の粒子であることが好ましい。また、この弾性重合体は、アクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、アクリル酸エステル50重量%以上とこれ以外の単量体50重量%以下との共重合体であってもよい。ここで、アクリル酸エステルとしては、通常、アクリル酸のアルキルエステルが用いられる。
アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、アクリル酸アルキルを50重量%以上99.9重量%以下、メタクリル酸アルキルを0重量%以上49.9重量%以下、これら以外の単官能単量体を0重量%以上49.9重量%以下、および多官能単量体を0.1重量%以上10重量%以下である。
ここで、上記弾性重合体におけるアクリル酸アルキルとしては、例えば、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたアクリル酸エステルの例に含まれるものと同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは4〜8である。また、上記弾性重合体におけるメタクリル酸アルキルとしては、例えば、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタリル酸エステルの例に含まれるものと同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
上記弾性重合体におけるアクリル酸アルキルおよびメタクリル酸アルキル以外の単官能単量体としては、例えば、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタクリル酸アルキルおよびアクリル酸アルキル以外の単官能単量体の例と同様である。中でもスチレン系単量体が好ましく用いられる。
上記弾性重合体における多官能単量体としては、例えば、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げた多官能単量体の例と同様であり、中でも、不飽和カルボン酸のアルケニルエステルや、多塩基酸のポリアルケニルエステルが好ましく用いられる。
上記の弾性重合体におけるアクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、これら以外の単官能単量体、および多官能単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
アクリル系ゴム粒子として多層構造のものを使用する場合、その好適な例としては、上述したアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の層の外側に、メタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を有するもの、すなわち、上述したアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を内層とし、メタクリル酸エステルを主体とする重合体を外層とする、少なくとも2層構造のものを挙げることができる。ここで、外層の重合体の単量体成分であるメタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸アルキルが用いられる。また、外層の重合体は、内層の弾性重合体100重量部に対し、通常10重量部以上400重量部以下、好ましくは20重量部以上200重量部以下の割合で形成するのがよい。外層の重合体を、内層の弾性重合体100重量部に対し10重量部以上とすることで、該弾性重合体の凝集が生じ難くなる。
上記外層の重合体の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、メタクリル酸アルキルを50重量%以上100重量%以下、アクリル酸アルキルを0重量%以上50重量%以下、これら以外の単量体を0重量%以上50重量%以下、および多官能単量体を0重量%以上10重量%以下である。
上記外層の重合体におけるメタクリル酸アルキルとしては、例えば、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタクリル酸エステルの例に含まれるものと同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
上記外層の重合体におけるアクリル酸アルキルとしては、例えば、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたアクリル酸エステルの例に含まれるものと同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
上記外層の重合体におけるメタクリル酸アルキルおよびアクリル酸アルキル以外の単量体としては、例えば、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステル以外の単官能単量体の例と同様であり、また、多官能単量体としては、例えば、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げた多官能単量体の例と同様である。
なお、上記の外層の重合体におけるメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、これら以外の単量体、および多官能単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
また、多層構造のアクリル系ゴム粒子の好適な例として、上記2層構造の内層である上述したアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の層の内側に、さらにメタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を有するもの、すなわち、このメタクリル酸エステルを主体とする重合体を内層とし、上述したアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を中間層とし、先のメタクリル酸エステルを主体とする重合体を外層とする、少なくとも3層構造のものを挙げることもできる。ここで、内層の重合体の単量体成分であるメタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸アルキルが用いられる。また、内層の重合体は、中間層の弾性重合体100重量部に対し、通常10重量部以上400重量部以下、好ましくは20重量部以上200重量部以下の割合で形成するのがよい。
上記内層の重合体の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、メタクリル酸アルキルを70重量%以上100重量%以下、アクリル酸アルキルを0重量%以上30重量%以下、これ以外の単量体を0重量%以上30重量%以下、および多官能単量体を0重量%以上10重量%以下である。
上記内層の重合体におけるメタクリル酸アルキルとしては、例えば、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタクリル酸エステルの例に含まれるものと同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。また、上記内層の重合体におけるアクリル酸アルキルとしては、例えば、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたアクリル酸エステルの例に含まれるものと同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
上記内層の重合体におけるメタクリル酸アルキルおよびアクリル酸アルキル以外の単量体としては、例えば、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステル以外の単官能単量体の例と同様であり、また、多官能単量体の例としては、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げた多官能単量体の例と同様である。
なお、上記の内層の重合体におけるメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、これら以外の単量体および多官能単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
アクリル系ゴム粒子は、先に述べたアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の単量体成分を、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させることにより、調製することができる。その際、先に述べた如く、上記弾性重合体の層の外側に、メタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を形成する場合は、この外層の重合体の単量体成分を、上記弾性重合体の存在下に、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させることにより、上記弾性重合体にグラフトさせればよい。
また、先に述べた如く、上記弾性重合体の層の内側に、さらにメタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を形成する場合は、まず、この内層の重合体の単量体成分を、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させ、次いで、得られる重合体の存在下で、上記弾性重合体の単量体成分を、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させることにより、上記内層の重合体にグラフトさせ、さらに、得られる弾性重合体の存在下で、上記外層の重合体の単量体成分を、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させることにより、上記弾性重合体にグラフトさせればよい。なお、各層の重合を、それぞれ2段以上で行う場合、いずれも、各段の単量体組成ではなく、全体としての単量体組成が所定の範囲内にあればよい。
アクリル系ゴム粒子の粒径については、該ゴム粒子中のアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の層の平均粒子径が、0.01μm以上0.4μm以下であるのが好ましく、0.05μm以上0.3μm以下であるのがより好ましく、0.07μm以上0.25μm以下であるのがさらに好ましい。この弾性重合体の層の平均粒子径が0.4μmより大きいと、偏光子保護フィルムの透明性が低下することがある。また、この弾性重合体の層の平均粒子径が0.01μmより小さいと、偏光子保護フィルムの表面硬度が低下することがある。
なお、上記平均粒子径は、アクリル系ゴム粒子をメタクリル樹脂と混合してフィルム化し、その断面において酸化ルテニウムによる上記弾性重合体の層の染色を施し、電子顕微鏡で観察して、染色された部分の直径から求めることができる。
すなわち、アクリル系ゴム粒子をメタクリル樹脂に混合し、その断面を酸化ルテニウムで染色すると、母相のメタクリル樹脂は染色されず、上記弾性重合体の層の外側にメタクリル酸エステルを主体とする重合体の層が存在する場合は、この外層の重合体も染色されず、上記弾性重合体の層のみが染色されるので、こうして染色され、電子顕微鏡でほぼ円形状に観察される部分の直径から、粒子径を求めることができる。上記弾性重合体の層の内側にメタクリル酸エステルを主体とする重合体の層が存在する場合は、この内層の重合体も染色されず、その外側の上記弾性重合体の層が染色された2層構造の状態で観察されることになるが、この場合は、2層構造の外側、すなわち上記弾性重合体の層の外径で考えればよい。
アクリル系樹脂に対するゴム粒子の含有割合は、アクリル系樹脂全体の40重量%以下であり、好ましくは30重量%以下である。ゴム粒子の含有割合がアクリル系樹脂全体の40重量%より大きいと、偏光子保護フィルムの表面硬度が低下して傷が付き易くなることがある。
(紫外線吸収剤(I)および(II))
紫外線吸収剤(I)は、波長320〜400nmに吸収極大を持つ紫外線吸収剤である。紫外線吸収剤(I)としては、波長320〜400nmに吸収極大を持つ紫外線吸収剤であれば特に制限されず、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤などが挙げられる。
紫外線吸収剤(II)は、波長200〜320nmに吸収極大を持つ紫外線吸収剤である。紫外線吸収剤(II)としては、波長200〜320nmに吸収極大を持つ紫外線吸収剤であれば特に制限されず、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤などが挙げられる。以下、具体的化合物の例を示し、説明するが、化合物名の後に続く記号(I)は、当該化合物が波長320〜400nmに吸収極大を持つ紫外線吸収剤(I)であることを意味し、記号(II)は、当該化合物が波長200〜320nmに吸収極大を持つ紫外線吸収剤(II)であることを意味する。
(トリアジン系紫外線吸収剤)
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(II)、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(II)、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(II)、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(II)、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(II)、2,6−ジフェニル−4−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(II)、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(II)、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(II)、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(II)、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ―4―ヘキシロキシ―3―メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(I)、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ―4−N-オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(II)、2―(4,6―ジフェニルー1,3,5−トリアジン―2−イル)−5−(2−(2−エチルヘキサノイロキシ)エトキシ)フェノール(II)などが挙げられる。これらトリアジン系紫外線吸収剤のうち、波長320〜400nmに吸収極大を持つものは紫外線吸収剤(I)として用いることができ、波長200〜320nmに吸収極大を持つものは紫外線吸収剤(II)として用いることができる。
(ベンゾフェノン系紫外線吸収剤)
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン(II)、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン(II)、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン(II)、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン(II)、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン(II)、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン(II)、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシ−ベンゾフェノン(II)、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン(II)、2、2′―ジヒドロキシ―4−メトキシ―ベンゾフェノン(I)などが挙げられる。これらベンゾフェノン系紫外線吸収剤のうち、波長320〜400nmに吸収極大を持つものは紫外線吸収剤(I)として用いることができ、波長200〜320nmに吸収極大を持つものは紫外線吸収剤(II)として用いることができる。
(ベンズトリアゾール系紫外線吸収剤)
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2′−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(I)、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(I)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(I)、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(I)、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(I)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(I)、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(I)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(I)、2,2′−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)(I)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(I)、2(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(I)、(2(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(I)、2(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(I)、(2(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(I)2−(2−ヒドロキシ―3,5−ジ―tert−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール(II)などが挙げられる。これらベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤のうち、波長320〜400nmに吸収極大を持つものは紫外線吸収剤(I)として用いることができ、波長200〜320nmに吸収極大を持つものは紫外線吸収剤(II)として用いることができる。
(ベンゾエート系紫外線吸収剤)
ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート(II)、2,6−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート(II)、n−ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(II)、n−オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(II)などが挙げられる。これらベンゾエート系紫外線吸収剤は、紫外線吸収剤(II)として用いることができる。
(シアノアクリレート系紫外線吸収剤)
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、2′−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(II)、エチル−2−シアノ−3−(3′,4′−メチレンジオキシフェニル)−アクリレート(II)等が挙げられる。これらシアノアクリレート系紫外線吸収剤は紫外線吸収剤(II)として用いることができる。
紫外線吸収剤(I)および(II)としては、それぞれ、上述した紫外線吸収剤を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、紫外線吸収剤(I)および(II)は、互いに同系の紫外線吸収剤であってもよいし、異系の紫外線吸収剤であってもよい。
紫外線吸収剤(I)および(II)としては、市販品を使用してもよく、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤として、ケミプロ化成株式会社製の「Kemisorb102(2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ―4−N-オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン)」、株式会社ADEKA製の「アデカスタブLAF70(2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ―4―ヘキシロキシ―3―メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン)」、「アデカスタブLA46(2―(4,6―ジフェニルー1,3,5−トリアジン―2−イル)−5−(2−(2−エチルヘキサノイロキシ)エトキシ)フェノール)」、BASFジャパン株式会社製の「チヌビン1577(2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン)」、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、株式会社ADEKA製の「アデカスタブLA312,2′−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)」、ケミプロ化成株式会社製の「Kemisorb2792,2′−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)」などが挙げられる。
紫外線吸収剤(I)および(II)に挙げられる市販品を組み合わせて使用してもよく、ケミプロ化成の「Kemisorb102」と、株式会社ADEKA製の「アデカスタブLAF70」と「アデカスタブLA31」の少なくとも一方との組合せ、または株式会社ADEKA製の「アデカスタブLA46」と、「アデカスタブLA31」と「アデカスタブLAF70」の少なくとも一方との組合せ、またはBASFジャパン株式会社製の「チヌビン1577」と、「アデカスタブLAF70」と「アデカスタブLA31」の少なくとも一方との組合せなどが挙げられる。使用できる紫外線吸収剤は例示した限りではない。
紫外線吸収剤(I)および(II)は、それぞれ重量平均分子量が、偏光子保護フィルムの成形過程での発煙を抑制する観点から、500〜1000であることが好ましく、550〜800であることがより好ましい。重量平均分子量があまり小さいと、成形中に発煙しやすく、重量平均分子量があまり大きいと、熱可塑性樹脂との相溶性が低下しやすくなる。
紫外線吸収剤(I)および(II)は、吸収極大の波長におけるモル吸光係数が、偏光子保護フィルムを紫外線吸収能に優れるものとする観点から、10L/mol・cm以上であることが好ましく、15L/mol・cm以上であることがより好ましい。紫外線吸収剤(I)および(II)のモル吸光係数が、それぞれ上記所定の範囲であることで、偏光子保護フィルムの紫外線吸収能はより優れるものとなり、該偏光子保護フィルムへの該紫外線吸収剤(I)および(II)の含有量を少なくすることができる。
偏光子保護フィルムには、必要に応じて他の成分、例えば、ゴム粒子、酸化防止剤、滑剤、有機系染料、無機系染料、顔料、帯電防止剤、界面活性剤などを含有させてもよい。
(ゴム粒子)
ゴム粒子としては、アクリル系樹脂に添加することができるものとして上述したゴム粒子と、同様のものが挙げられる。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物などが挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ヒンダードフェノール系化合物としては、例えば、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−アセテート、n−オクタデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、n−ドデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、ネオ−ドデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ドデシルβ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ジエチルグリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアルアミドN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−ブチルイミノN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,2−プロピレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、グリセリン−l−n−オクタデカノエート−2,3−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス−[3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス−{2−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,1,1−トリメチロールエタン−トリス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ソルビトールヘキサ−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−ヒドロキシエチル7−(3−メチル−5−tブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−ステアロイルオキシエチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,6−n−ヘキサンジオール−ビス[(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)などが挙げられる。フェノール化合物としては、市販品を使用してもよく、例えば、チバ・ジャパン株式会社製の「IRGANOX1076」および「IRGANOX1010」などが挙げられる。
ヒンダードアミン系化合物としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)デカンジオエート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。
また、酸化防止剤は、高分子タイプの化合物でもよく、例えば、N,N′,N″,N″′−テトラキス−[4,6−ビス−〔ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ〕−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジン−N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、1,6−ヘキサンジアミン−N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)とモルフォリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、ポリ[(6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)〔(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕−ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕]等の、ピペリジン環がトリアジン骨格を介して複数結合した高分子量HALS;コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物等の、ピペリジン環がエステル結合を介して結合した化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物等で、数平均分子量(Mn)が2000〜5000のものが好ましい。
上記タイプのヒンダードアミン化合物としては、市販品を使用してもよく、例えば、チバ・ジャパン株式会社製の「TINUVIN144」および「TINUVIN770」、株式会社ADEKA製の「アデカスタブLA52」などが挙げられる。
リン系化合物の具体例としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、トリデシルホスファイト等のモノホスファイト系化合物;4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4′−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)等のジホスファイト系化合物;トリフェニルホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4′−ジイルビスホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4′−ジイルビスホスホナイト等のホスホナイト系化合物;トリフェニルホスフィナイト、2,6−ジメチルフェニルジフェニルホスフィナイト等のホスフィナイト系化合物;トリフェニルホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン等のホスフィン系化合物;などが挙げられる。
上記タイプのリン系化合物は、市販品を使用してもよく、例えば、住友化学株式会社製の「SumilizerGP」、株式会社ADEKA製の「ADK STAB PEP−24G」、「ADK STAB PEP−36」および「ADK STAB3010」、チバ・ジャパン株式会社製の「IRGAFOS P−EPQ」、堺化学工業株式会社製の「GSY−P101」などが挙げられる。
(滑剤)
偏光子保護フィルムには、滑剤を添加してもよく、滑剤を添加することで、フィルム表面のすべり性が向上する。滑剤としては、例えば、ステアリン酸系化合物、アクリル系化合物、エステル系化合物などが挙げられる。中でも、ステアリン酸系化合物が好ましい。これらの滑剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ステアリン酸系化合物としては、例えば、ステアリン酸自体のほか、ステアリン酸メチルやステアリン酸エチル、ステアリン酸モノグリセライドのようなステアリン酸エステル;ステアリン酸アミド;ステアリン酸ナトリウムやステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸リチウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウムのような12−ヒドロキシステアリン酸とその金属塩などが挙げられる。ステアリン系化合物としては、市販品を使用してもよく、例えば、日油株式会社製「NAA−180」、花王株式会社「エキセパールMS」などが挙げられる。
(偏光子保護フィルム)
偏光子保護フィルムは、上述の、熱可塑性樹脂、紫外線吸収剤(I)および紫外線吸収剤(II)を含有するものであり、必要に応じてさらに上述の他の成分を含有するものである。偏光子保護フィルムは、紫外線吸収剤(I)および紫外線吸収剤(II)を含有することで、紫外線吸収能に優れる。
偏光子保護フィルムは、該偏光子保護フィルム1m2あたりに含有される量と同量の紫外線吸収剤(I)および(II)を、TG−DTAにおいて260℃雰囲気下で3時間保持したときの重量減少量が、15mg以下となる紫外線吸収剤(I)および(II)を含む。偏光子保護フィルム1m2あたりに含有される量とは、偏光子保護フィルムを形成する樹脂組成物に含有される熱可塑性樹脂、紫外線吸収剤(I)および(II)の合計重量(a)に対する各紫外線吸収剤の重量(b1:紫外線吸収剤(I)の全重量、b2:紫外線吸収剤(II)の全重量)の割合をf1(=b1/a)、f2(=b2/a)とし、偏光子保護フィルムが熱可塑性樹脂、紫外線吸収剤(I)および紫外線吸収剤(II)から形成され、かつ該偏光子保護フィルムにおけるこれらの重量比率が、前記樹脂組成物における熱可塑性樹脂、紫外線吸収剤(I)および紫外線吸収剤(II)の重量比率と同一であるとした場合の該偏光子保護フィルム1m2あたりの重量をw0とし、w0にf1、f2、をそれぞれ乗ずることで算出される各紫外線吸収剤の重量(w1=w0×f1、w2=w0×f2、)のことである。w0は、典型的には、1g≦w0≦500gを満たす。そして、前記重量減少量は、前記重量(w1、w2)と同量の各紫外線吸収剤を混合して混合物を得、次いで、該混合物を、TG−DTA(Thermo Gravimetry Analyzer、熱重量測定と示差熱分析とを組み合わせて、単一の装置で同時に測定する方法であり、示差熱‐熱重量同時測定をする方法)において260℃雰囲気下で3時間保持したときの重量減少量を測定することで求めることができる。この重量減少量が、15mg以下であることで、偏光子保護フィルムの成形中の発煙が抑制される。重量減少量を少なくするためには、例えば、紫外線吸収剤の含有量を少なくしたり、分子量の大きい紫外線吸収剤を用いたりすればよい。
偏光子保護フィルムにおける紫外線吸収剤(I)および(II)の含有量は、当該フィルムの成形工程での発煙を抑制する観点から、それぞれ熱可塑性樹脂100重量部に対して1重量部未満であることが好ましく、0.95重量部以下であることがより好ましい。紫外線吸収剤(I)および(II)の各紫外線吸収剤のうち、少なくとも1の紫外線吸収剤の含有量が1重量部以上であると、成形中に蒸散物が多量に発生し、発煙、成形ラインの汚染、偏光子保護フィルム中の異物の増加などが起こるおそれがある。紫外線吸収剤(I)および(II)の含有量は、耐光性の観点から、それぞれ熱可塑性樹脂100重量部に対して0.1重量部以上であることが好ましく、0.5重量部以上であることがより好ましい。紫外線吸収剤(I)および(II)は、それぞれ所定の範囲内の含有量であればよく、互いに同じ含有量であってもよいし、異なった含有量であってもよい。偏光子保護フィルムにおける紫外線吸収剤(I)および(II)の含有量を、それぞれ熱可塑性樹脂100重量部に対して1重量部未満とするには、例えば、偏光子保護フィルムを形成する樹脂組成物に含有される紫外線吸収剤(I)および(II)の含有量を、それぞれ熱可塑性樹脂100重量部に対して1重量部未満とすればよい。
偏光子保護フィルムの厚さは、10〜1000μmが好ましく、20〜500μmがより好ましく、30〜300μmがさらに好ましい。
偏光子保護フィルムは、紫外線吸収能を優れたものとする観点から、偏光子保護フィルムの厚み40μmにおける波長380nmでの光線透過率が5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。光線透過率が5%以下とするためには、例えば、吸収極大の波長におけるモル吸光係数が大きい紫外線吸収剤を使用すればよい。
偏光子保護フィルムは、当該フィルムを後述する溶融押出成形法により成形するとき、Tダイから連続的に溶融樹脂をフィルム状に押出しする成形工程中に、パーティクルカウンターを用いて、Tダイの押出口近傍の空気を10秒間吸引し、その10秒間吸引した空気中に含まれる、粒子径が0.5〜1.0μmである粒子の個数(以下、蒸散物量ということがある)が、当該成形工程での発煙を抑制する観点から、30000個以下であることが好ましく、25000個以下であることがより好ましい。蒸散物量を少なくするためには、例えば、紫外線吸収剤の含有量を少なくしたり、分子量の大きい紫外線吸収剤を用いたりすればよい。
偏光子保護フィルムは、熱可塑性樹脂、紫外線吸収剤(I)および紫外線吸収剤(II)を含有する層(A)と、層(A)以外の1以上の他の層とが積層された、多層構成であってもよい。他の層としては、熱可塑性樹脂を含有し、紫外線吸収剤を含有しない層であってもよいし、熱可塑性樹脂と、紫外線吸収剤(I)または紫外線吸収剤(II)のいずれか一方とを含有する層であってもよいし、熱可塑性樹脂、紫外線吸収剤(I)および紫外線吸収剤(II)を含有し、熱可塑性樹脂、紫外線吸収剤(I)および紫外線吸収剤(II)のうち1種以上が、層(A)に含有されるものと種類が異なっているものであってもよいし、種類は同じであるが、含有量が異なるものであってもよい。
また、偏光子保護フィルムは、表面処理を施されてもよく、表面処理としては、例えば、ハードコート処理、防眩処理、防汚処理などが挙げられる。
偏光子保護フィルムを得る方法としては、特に制限されず、例えば、まず、熱可塑性樹脂、紫外線吸収剤(I)および紫外線吸収剤(II)を含有する樹脂組成物を得、次いで、該樹脂組成物を、溶融押出成形法、溶液流延製膜法、熱プレス法などにより成形する方法が挙げられる。中でも、溶融押出成形法が好ましい。
溶融押出成形法としては、例えば、まず、熱可塑性樹脂、紫外線吸収剤(I)および紫外線吸収剤を混合して、必要に応じて、さらに上述の他の成分も混合して、樹脂組成物を得、次いで、得られた樹脂組成物を一軸もしくは二軸の押出機により溶融混練し、そして、Tダイから連続的に溶融樹脂をフィルム状に押出し、さらに、Tダイから連続的に押出されたフィルム状の溶融樹脂を、一対の表面が平滑な金属製のロールの間に挟み込むことで、偏光子保護フィルムが得られる。なお、熱可塑性樹脂、紫外線吸収剤(I)および紫外線吸収剤(II)、必要に応じてさらに他の成分の混合は、特に限定されず、任意の公知の方法を用いればよく、スーパーミキサーやバンバリーミキサーを用いてもよいし、一軸もしくは二軸押出機で溶融混練してもよいし、これらを組み合わせてもよい。Tダイから連続的に溶融樹脂をフィルム状に押出しする成形工程での発煙を抑制する観点から、偏光子保護フィルム1m2あたりに含有される量とそれぞれ同量の紫外線吸収剤(I)および(II)を、TG−DTAにおいてTダイの設定温度雰囲気下で3時間保持したときの重量減少量が、15mg以下であることが好ましい。
偏光子保護フィルムが上述した多層構成である場合には、例えば、複数基の一軸または二軸の押出機を用いて、層(A)を構成する樹脂組成物と、他の層を構成する樹脂組成物とをそれぞれ溶融混練した後、フィードブロックダイやマルチマニホールドダイ等を介して積層する方法などが挙げられる。
偏光子保護フィルムは、縦延伸および/または横延伸によって延伸されてもよい。偏光子保護フィルムは、縦延伸および/または横延伸によって延伸されてなることにより、機械的強度に優れ、生産性や取扱い性が向上する。
上記延伸は、一軸延伸でも良いが、逐次二軸延伸または同時二軸延伸であることが好ましい。延伸倍率は、1.1〜3.0倍であることが好ましい。
偏光子保護フィルムは、偏光子保護の用途以外にも、例えば、窓やカーポート屋根材等の建築用採光部材、窓等の車輌用採光部材、温室等の農業用採光部材、照明部材、前面フィルター等のディスプレイ部材等に積層して用いることができ、また、加飾フィルムとして、家電の筐体、車輌内装部材、内装用建築材料、壁紙、化粧板、玄関ドア、窓枠、巾木等にも積層して用いることができる。
(偏光板)
偏光子の少なくとも一方の面に偏光子保護フィルムを配置して、偏光板とすることができる。偏光子保護フィルムと偏光子は、貼合されていることが好ましい。
偏光子は、公知の方法に従って、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することによりその二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、およびホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造されるものであることができる。こうして得られる偏光子は、前記の一軸延伸された方向に吸収軸を有するものとなる。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとそれに共重合可能な他の単量体との共重合体などが挙げられる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、85〜100モル%であることが好ましく、98モル%以上であることがより好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は、変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども用いることができる。また、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、1000〜10000であることが好ましく、1500〜5000であることがより好ましい。
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光子の原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は特に限定されず、公知の方法が採用される。ポリビニルアルコール系原反フィルムの膜厚は、10〜150μmであることが好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素による染色前、染色と同時、または染色の後で行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前またはホウ酸処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行うこともできる。
一軸延伸は、周速度の異なる離間したロール間を通すことにより行ってもよいし、熱ロールで挟むことにより行ってもよい。また、この一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、水や有機溶剤などの溶剤を用いてポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、3〜8倍であることが好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの二色性色素による染色は、例えば、二色性色素を含有する水溶液にポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する方法によって行うことができる。二色性色素としては、ヨウ素や二色性有機染料が用いられる。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、水100重量部あたり、0.01〜1重量部であることが好ましく、ヨウ化カリウムの含有量は、水100重量部あたり、0.5〜20重量部であることが好ましい。染色に用いる水溶液の温度は、20〜40℃であることが好ましい。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、20〜1800秒であることが好ましい。
一方、二色性色素として二色性有機染料を用いる場合は、通常、水溶性の二色性有機染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性有機染料の含有量は、水100重量部あたり、0.0001〜10重量部であることが好ましく、0.001〜1重量部であることがより好ましい。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を染色助剤として含有してもよい。染色に用いる二色性染料水溶液の温度は、20〜80℃であることが好ましい。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、10〜1800秒であることが好ましい。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬する方法により行うことができる。ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は、水100重量部あたり、2〜15重量部であることが好ましく、5〜12重量部であることがより好ましい。二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、水100重量部あたり、0.1〜15重量部であることが好ましく、5〜12重量部であることがより好ましい。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、60〜1200秒であることが好ましく、150〜600秒であることがより好ましく、200〜400秒であることがさらに好ましい。ホウ酸含有水溶液の温度は、50℃以上であることが好ましく、50〜85℃であることがより好ましく、60〜80℃であることがさらに好ましい。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行われる。水洗処理における水の温度は、5〜40℃であることが好ましい。また浸漬時間は、1〜120秒であることが好ましい。
水洗後は乾燥処理が施されて、偏光子が得られる。乾燥処理は、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行うことができる。乾燥処理の温度は、30〜100℃であることが好ましく、50〜80℃であることがより好ましい。乾燥処理の時間は、60〜600秒であることが好ましく、120〜600秒であることがより好ましい。
乾燥処理により、偏光子の水分率は実用程度にまで低減される。その水分率は、5〜20重量%であることが好ましく、8〜15重量%であることがより好ましい。水分率が5重量%を下回ると、偏光子の可撓性が失われ、偏光子がその乾燥後に損傷したり、破断したりすることがある。一方、水分率が20重量%を超えると、偏光子の熱安定性が不足することがある。
こうして得られる二色性色素が吸着配向している偏光子の厚みは、5〜40μmであることが好ましい。
偏光子の一方の面に偏光子保護フィルムを配置する場合、他方の面には、透明樹脂フィルムを配置してもよい。透明樹脂フィルムと偏光子は、偏光子保護フィルムと偏光子の場合と同様に、貼合されていることが好ましい。透明樹脂フィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロースフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、アクリル系樹脂フィルム、アクリル系樹脂とポリカーボネート系樹脂との積層フィルム、オレフィン系樹脂フィルムなどが挙げられる。
オレフィン系樹脂とは、例えば、エチレンやプロピレンのような鎖状オレフィンモノマー、またはノルボルネンや他のシクロペンタジエン誘導体のような環状オレフィンモノマーを、重合用触媒を用いて重合して得られる樹脂である。
鎖状オレフィンモノマーから得られるオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂が挙げられる。中でも、プロピレンの単独重合体であるポリプロピレン系樹脂が好ましい。また、プロピレンを主体とし、それと共重合可能なコモノマーを、好ましくは1〜20重量%の割合で、より好ましくは3〜10重量%の割合で共重合させたポリプロピレン系共重合樹脂も好ましい。
プロピレンと共重合可能なコモノマーとしては、エチレン、1−ブテンまたは1−ヘキセンが好ましい。中でも、透明性や延伸加工性に比較的優れることから、エチレンが好ましく用いられ、エチレンを1〜20重量%、好ましくは3〜10重量%の割合で共重合させたポリプロピレン系共重合樹脂が、好ましい。エチレンの共重合割合を1重量%以上とすることで、透明性や延伸加工性が向上する。一方、その割合が20重量%を超えると、樹脂の融点が下がり、保護フィルムまたは位相差フィルムに要求される耐熱性が損なわれることがある。
ポリプロピレン系樹脂としては、市販品を使用してもよく、例えば、株式会社プライムポリマー製の「プライムポリプロ」、日本ポリプロ株式会社製の「ノバテック」および「ウィンテック」、住友化学株式会社製の「住友ノーブレン」、サンアロマー株式会社製の「サンアロマー」などが挙げられる。
環状オレフィンモノマーを重合させてなるオレフィン系樹脂は、一般に、環状オレフィン系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、またはノルボルネン系樹脂とも称される。ここでは環状オレフィン系樹脂と称する。
環状オレフィン系樹脂としては、例えば、シクロペンタジエンとオレフィン類とからディールス・アルダー反応によって得られるノルボルネンまたはその誘導体をモノマーとして開環メタセシス重合を行い、それに続く水添によって得られる樹脂;ジシクロペンタジエンと、オレフィン類または(メタ)アクリル酸エステル類とからディールス・アルダー反応によって得られるテトラシクロドデセンまたはその誘導体をモノマーとして開環メタセシス重合を行い、それに続く水添によって得られる樹脂;ノルボルネン、テトラシクロドデセン、それらの誘導体類、またはその他の環状オレフィンモノマーを2種以上用いて同様に開環メタセシス共重合を行い、それに続く水添によって得られる樹脂;前記ノルボルネン、テトラシクロドデセンおよびそれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種の環状オレフィンと、ビニル基を有する脂肪族または芳香族化合物とを付加共重合させて得られる樹脂などが挙げられる。
環状オレフィン系樹脂としては、市販品を使用してもよく、例えば、TOPAS ADVANCED POLYMERS GmbH社製の「TOPAS」、JSR株式会社製の「アートン」、日本ゼオン株式会社製の「ゼオノア」および「ゼオネックス」、三井化学株式会社製の「アペル」などが挙げられる。
鎖状オレフィン系樹脂または環状オレフィン系樹脂を製膜してフィルム化することにより、透明樹脂フィルムとすることができる。フィルム化の方法としては、偏光子保護フィルムを得る方法として上述した方法と同様の方法を採用することができる。
オレフィン系樹脂フィルムとしては、市販品を使用してもよく、例えば、ポリプロピレン系樹脂フィルムであれば、FILMAX社製の「FILMAX CPPフィルム」、サン・トックス株式会社製の「サントックス」、東セロ株式会社製の「トーセロ」、東洋紡績株式会社製の「東洋紡パイレンフィルム」、東レフィルム加工株式会社製の「トレファン」、日本ポリエース株式会社製の「ニホンポリエース」、フタムラ化学株式会社製の「太閤FC」などが挙げられる。また、環状オレフィン系樹脂フィルムであれば、日本ゼオン株式会社製の「ゼオノアフィルム」、JSR株式会社製の「アートンフィルム」などが挙げられる。
透明樹脂フィルムには、その表面に光学機能性フィルムを積層したり、光学機能層をコーティングしたりすることもできる。このような光学機能性フィルムおよび光学機能層としては、例えば、易接着層、導電層、ハードコート層などが挙げられる。
オレフィン系樹脂フィルムは、延伸し、フィルムに屈折率異方性を持たせることにより、位相差フィルムの機能を付与することができる。延伸方法は、必要とされる屈折率異方性に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、例えば、縦一軸延伸、横一軸延伸または縦横逐次二軸延伸が挙げられる。
オレフィン系樹脂は正の屈折率異方性を有し、応力が加えられた方向で最も屈折率が大きくなるので、それが一軸延伸されたフィルムは、通常nx>ny≒nzの屈折率異方性を与える。ここで、nxはフィルムの面内遅相軸方向(面内で屈折率が最大になる方向で、正の屈折率異方性を有する樹脂では延伸方向)の屈折率であり、nyはフィルムの面内進相軸方向(面内で進相軸と直交する方向)の屈折率であり、nzはフィルムの法線方向の屈折率である。オレフィン系樹脂が逐次二軸延伸されたフィルムは、通常nx>ny>nzの屈折率異方性を与える。
また、所望の屈折率特性を付与するために、熱収縮性フィルムを目的とするフィルムに貼合し、延伸加工に代えて、または延伸加工とともにフィルムを収縮させる方法により位相差フィルムを製造することもできる。この操作は通常、屈折率異方性がnx>ny>nzまたはnz>nx≧nyとなる位相差フィルムを得るために行われる。
オレフィン系樹脂からなる位相差フィルムとしては、市販品を使用してもよく、例えば、環状オレフィン系樹脂からなる位相差フィルムであれば、日本ゼオン株式会社製の「ゼオノアフィルム」、JSR株式会社製の「アートンフィルム」、積水化学工業株式会社製の「エスシーナ位相差フィルム」などが挙げられる。
偏光子保護フィルムと偏光子との貼合、および偏光子と透明樹脂フィルムとの貼合には、接着剤を用いることが好ましい。接着剤を用いることで、偏光子保護フィルムと偏光子、および偏光子と透明樹脂フィルムは、接着剤層を介して貼合される。また、貼合に先立って、貼合面のうち、少なくとも一方には、コロナ放電処理、プラズマ照射処理、電子線照射処理、その他の表面活性化処理を施しておくことが好ましい。
接着剤層を形成するための接着剤は、それぞれの部材に対して接着力を発現するものから、任意に選択して用いることができる。典型的には、水系接着剤、すなわち、接着剤成分を水に溶解または接着剤成分を水に分散させたものや、活性エネルギー線の照射により硬化する成分を含む活性エネルギー線硬化性接着剤を挙げることができる。中でも、生産性の観点から、活性エネルギー線硬化性接着剤が好ましい。
水系接着剤としては、例えば、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂やウレタン樹脂を用いた組成物が、好ましい接着剤として挙げられる。
水系接着剤の主成分としてポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合、ポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、部分ケン化ポリビニルアルコールや完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールのような、変性されたポリビニルアルコール系樹脂などが挙げられる。接着剤成分としてポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合、その接着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液として調製されることが多い。接着剤水溶液におけるポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、水100重量部に対して、1〜10重量部であることが好ましく、1〜5重量部であることがより好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水系接着剤には、接着性を向上させるために、グリオキザールや水溶性エポキシ樹脂などの硬化性成分または架橋剤を添加することが好ましい。水溶性エポキシ樹脂としては、例えば、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミンのようなポリアルキレンポリアミンとアジピン酸のようなジカルボン酸との反応で得られるポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂などが挙げられる。ポリアミドポリアミンエポキシ樹脂としては、市販品を使用してもよく、例えば、田岡化学株式会社製の「スミレーズレジン650」および「スミレーズレジン675」、星光PMC株式会社製の「WS−525」などが挙げられる。これら硬化性成分または架橋剤の添加量は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、1〜100重量部であることが好ましく、1〜50重量部であることがより好ましい。その添加量が少ないと、接着性向上効果が小さくなり、一方でその添加量が多いと、接着剤層が脆くなることがある。
水系接着剤の主成分としてウレタン樹脂を用いる場合は、適当な接着剤組成物の例として、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とグリシジルオキシ基を有する化合物との混合物が挙げられる。ここでいうポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂は、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その中に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。アイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好ましい。
活性化エネルギー線硬化性接着剤を用いる場合、それを構成する活性エネルギー線の照射により硬化する成分(以下、単に「硬化性成分」ということがある)としては、エポキシ化合物、オキタセン化合物、アクリル系化合物などが挙げられる。エポキシ化合物やオキタセン化合物のようなカチオン重合性の化合物を用いる場合には、カチオン重合開始剤が配合される。また、アクリル系化合物のようなラジカル重合性化合物を用いる場合にはラジカル重合開始剤が配合される。中でも、エポキシ化合物を硬化性成分の一つとする接着剤が好ましく、飽和炭素環に直接エポキシ基が結合している脂環式エポキシ化合物を硬化性成分の一つとする接着剤がより好ましい。また、それにオキセタン化合物を併用してもよい。
エポキシ化合物としては、市販品を使用してもよく例えば、三菱化学株式会社製の「エピコート」シリーズ、DIC株式会社製の「エピクロン」シリーズ、新日鉄住金株式会社製の「エポトート」シリーズ、株式会社ADEKA製の「アデカレジン」シリーズ、ナガセケムテックス株式会社製の「デナコール」シリーズ、ダウケミカル社製の「ダウエポキシ」シリーズ、日産化学工業株式会社製の「テピック」などが挙げられる。
飽和炭素環に直接エポキシ基が結合している脂環式エポキシ化合物としては、市販品を使用してもよく、例えば、ダイセル化学工業株式会社製の「セロキサイド」シリーズおよび「サイクロマー」シリーズ、ダウケミカル社製の「サイラキュア”」リーズなどが挙げられる。
オキセタン化合物としては、市販品を使用してもよく、例えば、東亞合成株式会社製の「アロンオキセタン」シリーズ、宇部興産株式会社製の「ETERNACOLL」シリーズなどが挙げられる。
カチオン重合開始剤としては、市販品を使用してもよく、例えば、日本化薬株式会社製の「カヤキュア」シリーズ、ダウ・ケミカル社製の「サイラキュア」シリーズ、サンアプロ株式会社製の光酸発生剤である「CPI」シリーズ、ミドリ化学株式会社製の光酸発生剤である「TAZ」、「BBI」および「DTS」、株式会社ADEKA製の「アデカオプトマー」シリーズ、ローディア社製の「RHODORSIL」シリーズなどが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性接着剤は、必要に応じて光増感剤を含有することができる。光増感剤を用いることで、反応性が向上し、硬化物層の機械強度や接着強度をさらに向上させることができる。光増感剤としては、例えば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾおよびジアゾ化合物、アントラセン系化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素などが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性接着剤には、その接着性を損なわない範囲で各種の添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤などが挙げられる。さらに、その接着性を損なわない範囲で、カチオン重合とは別の反応機構で硬化する硬化性成分を配合することもできる。
以上説明した活性エネルギー線硬化性接着剤は、同じ組成であっても、異なる組成であってもよいが、両者を硬化させるための活性エネルギー線の照射は、同時に行うことが好ましい。
活性エネルギー線としては、例えば、X線、紫外線、可視光線などが挙げられる。中でも、利用の容易さ、並びに活性エネルギー線硬化性接着剤の調製の容易さ、安定性および硬化性能の観点から、紫外線が好ましい。紫外線の光源としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて得られる接着剤層の厚さは、1〜50μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。
偏光板は、液晶セルに貼り合わせて、液晶表示装置に用いられる液晶パネルとすることができる。偏光板と液晶セルは、粘着剤を用い、粘着剤層を介して貼合されることが好ましい。この粘着剤層は、アクリル酸エステルを主成分とし、官能基含有アクリル系単量体が共重合されたアクリル樹脂を粘着剤成分とするアクリル系粘着剤によって形成するのが一般的である。液晶セルに粘着剤層を介して偏光板を貼合してなる液晶パネルは、液晶表示装置に使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
まず、住友化学株式会社製のアクリル系樹脂「スミペックスMH」100重量部、株式会社ADEKA製の紫外線吸収剤「LAF70」(吸収極大:波長356nm、モル吸光係数:65.7L/mol・cm、重量平均分子量:700)0.9重量部、ケミプロ化成株式会社製の紫外線吸収剤「Kemisorb102」(吸収極大:波長280nm、モル吸光係数:68.3L/mol・cm、重量平均分子量:509)0.5重量部を混合して樹脂組成物を得、得られた樹脂組成物をスクリュー径65mmベント付き単軸押出機で溶融混練して、溶融樹脂を設定温度260℃のTダイに供給した。次いで、供給された溶融樹脂をTダイから連続的にフィルム状に押出し、さらに、Tダイから連続的に押出されたフィルム状の溶融樹脂を、一対の表面が平滑な金属製のロールの間に挟み込んで成形・冷却して、厚み40μmの偏光子保護フィルムを得た。
(実施例2)
紫外線吸収剤「Kemisorb102」を0.3重量部とした以外は、実施例1と同様にして、厚み40μmの偏光子保護フィルムを得た。
(実施例3)
紫外線吸収剤「LAF70」を0.8重量部とし、さらに、株式会社ADEKA社製の紫外線吸収剤「アデカスタブLA31」(吸収極大:波長350nm、モル吸光係数:18.0L/mol・cm、重量平均分子量:658)0.3重量部を混合した以外は、実施例1と同様にして、厚み40μmの偏光子保護フィルムを得た。
(比較例1)
紫外線吸収剤「LAF70」を1.0重量部とし、紫外線吸収剤「Kemisorb102」を1.0重量部とした以外は、実施例1と同様にして、厚み40μmの偏光子保護フィルムを得た。
各偏光子保護フィルム(実施例1〜3および比較例1)に含有される紫外線吸収剤の重量減少量を、下記の方法によって評価した。また、各偏光子保護フィルムの成形過程での中における発煙および蒸散物量を、それぞれ下記の方法によって評価した。また、得られた各偏光子保護フィルムの光線透過率を、下記の方法によって評価した。
<重量減少量評価>
各偏光子保護フィルム1m2あたりに含有される量とそれぞれ同量の各紫外線吸収剤を混合して混合物を得、次いで、得られた混合物を、セイコーインスツル株式会社製のTG/DTA7200において260℃雰囲気下で3時間保持したときの重量減少量を測定した。測定結果を表1に示す。ここで、偏光子保護フィルム1m2あたりに含有される量は、上述したとおりに算出した。
<発煙評価>
各偏光子保護フィルムの成形中、Tダイの押出口からの発煙の有無を目視で評価した。発煙が確認されなかったものを「○」と評価し、発煙が確認されたものを「×」と評価した。評価結果を表1に示す。
<蒸散物量評価>
リオン株式会社製のパーティクルカウンター測定装置KC−01Bを用いて、各偏光子保護フィルムの成形中、Tダイの押出口近傍の空気を10秒間吸引し、その10秒間吸引した空気中に含まれる、粒子径が0.5〜1.0μmである粒子の個数を測定した。測定した結果を表1に示す。
<光線透過率評価>
得られた各偏光子保護フィルムについて、日立ハイテクフィールディング株式会社製の分光光度計U−4100を用いて、波長380nmでの光線透過率を測定した。測定した結果を表1に示す。