JP2022145412A - 光学積層体、その製造方法および画像表示装置 - Google Patents

光学積層体、その製造方法および画像表示装置 Download PDF

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裕史 太田
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Abstract

【課題】高温耐久性に優れる光学積層体、当該光学積層体を備える画像表示装置、及び光学積層体の製造方法を提供すること。【解決手段】第1保護フィルムと、偏光素子と、高位相差フィルムとをこの順に有する光学積層体であって、第1保護フィルムの温度23℃での光弾性係数の絶対値は、8×10-12Pa-1以下であり、偏光素子の含水率は、温度20℃相対湿度20%の平衡含水率以上かつ温度20℃相対湿度48%の平衡含水率以下であり、高位相差フィルムの波長550nmにおける面内位相差値Re[550]は、3000nm以上30000nm以下であり、高位相差フィルムの遅相軸と前記偏光素子の吸収軸とのなす角は40°以上50°以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、光学積層体に関し、さらにはその製造方法および画像表示装置に関する。
車載用画像表示装置において液晶表示装置のバックライトとして白色発光ダイオードを用いるとともに、偏光子の視認者側に、3000~30000nmのリタデーションを有する高分子フィルムを、偏光子の吸収軸と高分子フィルムの遅相軸とのなす角が凡そ45°となるように配して用いる視認性改善方法が記載されている(特許文献1)。
特開2011-81219号公報
車載用途で使用される画像表示装置は、高温環境に曝されることが多く、画像表示装置に用いられる光学積層体もまた高温耐久性が求められている。
本発明の目的は、高温耐久性に優れる光学積層体、当該光学積層体を備える画像表示装置、及び光学積層体の製造方法を提供することである。
本発明は、以下の光学積層体、画像表示装置及び光学積層体の製造方法を提供する。
[1] 第1保護フィルムと、偏光素子と、高位相差フィルムとをこの順に有する光学積層体であって、
前記第1保護フィルムの温度23℃での光弾性係数の絶対値は、8×10-12Pa-1以下であり、
前記偏光素子の含水率は、温度20℃相対湿度20%の平衡含水率以上かつ温度20℃相対湿度48%の平衡含水率以下であり、
前記高位相差フィルムの波長550nmにおける面内位相差値Re[550]は、3000nm以上30000nm以下であり、
前記高位相差フィルムの遅相軸と前記偏光素子の吸収軸とのなす角は40°以上50°以下である、光学積層体。
[2] 第1保護フィルムと、偏光素子と、高位相差フィルムとをこの順に有する光学積層体であって、
前記光学積層体の含水率は、温度20℃相対湿度20%の平衡含水率以上かつ温度20℃相対湿度48%の平衡含水率以下であり、
前記第1保護フィルムの温度23℃での光弾性係数の絶対値は、8×10-12Pa-1以下であり、
前記高位相差フィルムは、波長550nmにおける面内位相差値Re[550]は3000nm以上30000nm以下であり、
前記高位相差フィルムの遅相軸と前記偏光素子の吸収軸とのなす角は40°以上50°以下である、光学積層体。
[3] 前記第1保護フィルムが、環状ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂及びマレイミド系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、[1]又は[2]に記載の光学積層体。
[4] 前記第1保護フィルムは、波長550nmにおける面内位相差値Re[550]が10nm以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の光学積層体。
[5] 前記高位相差フィルムの厚みが、200μm以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の光学積層体。
[6] 前記光学積層体は画像表示装置に用いられ、
前記画像表示装置において、前記光学積層体の両面には空気層以外の層が接して設けられている、[1]~[5]のいずれかに記載の光学積層体。
[7] 画像表示セルと、前記画像表示セルの視認側表面に積層された第1粘着剤層と、前記第1粘着剤層の視認側表面に積層された[1]~[6]のいずれかに記載の光学積層体と、を有する画像表示装置。
[8] 前記光学積層体の視認側表面に積層された第2粘着剤層と、前記第2粘着剤層の視認側表面に積層された透明部材と、をさらに有する、[7]に記載の画像表示装置。
[9] 前記透明部材がガラス板または透明樹脂板である、[8]に記載の画像表示装置。
[10] 前記透明部材がタッチパネルである、[8]に記載の画像表示装置。
[11] [1]に記載の光学積層体の製造方法であって、
前記偏光素子の含水率が温度20℃相対湿度20%の平衡含水率以上、かつ温度20℃相対湿度48%の平衡含水率以下となるように含水率を調整する含水率調整工程を有する、光学積層体の製造方法。
[12] [2]に記載の光学積層体の製造方法であって、
前記光学積層体の含水率が温度20℃相対湿度20%の平衡含水率以上、かつ温度20℃相対湿度48%の平衡含水率以下となるように含水率を調整する含水率調整工程を有する、光学積層体の製造方法。
本発明によれば、高温耐久性に優れる光学積層体、当該光学積層体を備える画像表示装置、及び光学積層体の製造方法を提供することができる。
光学積層体の層構成の一例を示す概略断面図である。 光学積層体の層構成の別の一例を示す概略断面図である。 光学積層体の層構成のさらに別の一例を示す概略断面図である。 画像表示装置の層構成の一例を示す概略断面図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の全ての図面においては、各構成要素を理解し易くするために縮尺を適宜調整して示しており、図面に示される各構成要素の縮尺と実際の構成要素の縮尺とは必ずしも一致しない。
<光学積層体>
[第一態様]
第一態様に係る光学積層体について、図面を参照しながら以下に説明する。図1に示す光学積層体10は、第1保護フィルム11と、偏光素子12と、高位相差フィルム13とをこの順に有し、第1保護フィルム11の温度23℃での光弾性係数の絶対値は、8×10-12Pa-1以下であり、偏光素子12の含水率は、温度20℃相対湿度20%の平衡含水率以上かつ温度20℃相対湿度48%の平衡含水率以下であり、高位相差フィルム13の波長550nmにおける面内位相差値Re[550]は、3000nm以上30000nm以下であり、高位相差フィルム13の遅相軸と偏光素子12の吸収軸とのなす角は40°以上50°以下である。
光学積層体10は、上述した層以外の他の層を更に含んでいてもよい。他の層としては、例えば第2保護フィルム、貼合層等が挙げられる。
[第1保護フィルム]
第1保護フィルム11は、偏光素子12、特に偏光素子12の表面を保護するための層である。図1に示すように、第1保護フィルム11は、偏光素子12の高位相差フィルム13側とは反対側に配置される。第1保護フィルム11は、貼合層のみを介して、または直接的に積層されることができる。
第1保護フィルム11は、温度23℃での光弾性係数の絶対値が8×10-12Pa-1以下である。このような光弾性係数が小さい第1保護フィルム11を用いることで、高温環境下に置かれたときの高位相差フィルム13の収縮応力に伴い発生する第1保護フィルム11の歪により発現する位相差値が小さくなり、その結果、高温環境下に置いた後でも視認性を良好にし易い傾向にある。
第1保護フィルム11としては、特に制限されないが、光弾性係数の絶対値が8×10-12Pa-1以下である透光性を有する(好ましくは光学的に透明な)熱可塑性樹脂、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースのようなセルロース系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;メタクリル酸メチル系樹脂のような(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂;アクリロニトリル・スチレン系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリアセタール系樹脂;変性ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;マレイミド系樹脂等からなるフィルムであることができる。
特に、第1保護フィルム11は、光弾性係数が小さいものを用いることが好ましい。つまり環状ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、及びマレイミド系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むフィルムを用いることが好ましい。
第1保護フィルム11の温度23℃での光弾性係数は、好ましくは0.05×10-12Pa-1以上8.0×10-12Pa-1以下、より好ましくは0.1×10-12Pa-1以上5.0×10-12Pa-1以下であり、さらに好ましくは0.2×10-12Pa-1以上3.0×10-12Pa-1以下である。なお、光弾性係数は後述する実施例に記載の方法で測定された値である。
第1保護フィルム11の面内位相差値Re[550]は、前記の光弾性係数の範囲であれば、10nm以下もしくは50~300nmに調整されたものを用いることが好ましい。特に、好ましくは、10nm以下のフィルムとすることでより高い効果を得ることができる。これは、位相差を持ったフィルムは、高位相差フィルムの斜め方向の応力緩和により、位相差値が変化すると共に、その光学軸も変化することで、黒表示時の光漏れが大きくなるためであると推定される。液晶表示装置などに光学補償フィルムとして位相差フィルムを適用する場合には、対として使用するもう1枚の偏光板に、前記光学補償フィルムを配置することも有用な設計手段となる。
本明細書において面内位相差値Re[λ]は、23℃、波長λ(nm)におけるフィルムの面内の位相差値をいう。例えば面内位相差値Re[550]は、23℃、波長550(nm)におけるフィルムの面内の位相差値を意味する。Re[λ]は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、Re[λ]=(nx-ny)×dによって求められる。また、厚み方向位相差値Rth[λ]は、23℃、波長λ(nm)におけるフィルムの厚み方向の位相差値をいう。Rth[λ]は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、Rth[λ]=((nx+ny)/2-nz)×dによって求められる。「nx」は面内の屈折率が最大となる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、例えば、特開平1-240517号公報、特開平3-14882号公報、特開平3-122137号公報等に記載されている樹脂が挙げられる。環状ポリオレフィン系樹脂の具体例を挙げれば、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレンのような鎖状オレフィンとの共重合体(代表的にはランダム共重合体)、及びこれらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、並びにそれらの水素化物である。中でも、環状オレフィンとしてノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマーのようなノルボルネン系モノマーを用いたノルボルネン系樹脂が好ましく用いられる。
環状オレフィン系樹脂から第1保護フィルム11を製造する方法は、特に制限されず、その樹脂に応じた方法を適宜選択すればよい。例えば、溶媒に溶解させた樹脂を金属製バンド、またはドラムへ流延し、溶媒を乾燥除去してフィルムを得る溶媒キャスト法、および樹脂をその溶融温度以上に加熱・混練してダイより押し出し、冷却ドラムによって冷却することによりフィルムを得る溶融押出法が採用される。中でも、生産性の観点からは溶融押出法が好ましく採用される。
前記環状オレフィン系樹脂フィルムの波長550nmにおける面内位相差値Re[550]は、好ましくは10nm以下であり、より好ましくは7nm以下であり、さらに好ましくは5nm以下であり、特に好ましくは3nm以下であり、最も好ましくは1nm以下である。波長550nmにおける環状オレフィン系樹脂フィルムの厚み方向位相差値Rth[550]は、好ましくは15nm以下であり、より好ましくは10nm以下であり、さらに好ましくは5nm以下であり、特に好ましくは3nm以下であり、最も好ましくは1nm以下である。
次に、前記環状オレフィン系樹脂フィルムの位相差値が上記条件を満たすように制御する方法を説明する。面内位相差値を10nm以下にするためには、面内方向に残留する延伸時のゆがみを極力小さくする必要があり、かつ、厚み方向位相差を本発明所定の値以下とするためには、厚み方向に残留するゆがみを極力小さくする必要がある。
例えば、前記溶媒キャスト法においては、その流延樹脂溶液を乾燥した際に生じる面内方向の残留延伸歪み、および厚み方向の残留収縮歪みを熱処理によって緩和させる方法等が採用される。また、前記溶融押出法においては、樹脂フィルムをダイから押し出し、冷却するまでの間に延伸されることを防ぐため、ダイから冷却ドラムまでの距離を極力縮めるとともに、押し出し量と冷却ドラムの回転速度をフィルムが延伸されないよう制御する方法等が採用される。また、前記溶融押出法と同様に得られたフィルムに残留する歪みを熱処理によって緩和させる方法も採用される。
また、本発明の光弾性係数を満たす範囲で、液晶表示装置の光学補償フィルムとしての機能を持たせた位相差フィルムとしてもよい。このような位相差フィルムは、前記環状オレフィン系樹脂フィルムを延伸し、面内位相差値を付与することで作製することができる。延伸は、公知の縦一軸延伸やテンター横一軸延伸、同時二軸延伸、逐次二軸延伸などで行うことができ、所望とする位相差値が得られるように延伸すればよい。
例えば、インプレーンスイッチングモードの液晶表示装置では、面内位相差を50nm以上300nm以下に調整した位相差フィルムが好ましく用いられる。具体的には、特開2010-20287号公報に記載された位相差フィルムや特許3880996号公報に記載された位相差フィルムなどを用いることができる。
前記環状オレフィン系樹脂フィルムの厚みは、好ましくは10μm以上200μm以下であり、より好ましくは10μm以上100μm以下であり、最も好ましくは10μm以上65μm以下である。厚みが10μm未満であると、強度が低下するおそれがある。厚みが200μmを超えると、透明性が低下するおそれがある。
(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を主な構成モノマーとする樹脂である。(メタ)アクリル系樹脂の具体例は、例えば、ポリメタクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸エステル;メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸共重合体;メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸エステル共重合体;メタクリル酸メチル-アクリル酸エステル-(メタ)アクリル酸共重合体;(メタ)アクリル酸メチル-スチレン共重合体(MS樹脂等);メタクリル酸メチルと脂環族炭化水素基を有する化合物との共重合体(例えば、メタクリル酸メチル-メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体等)を含む。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸C1-6アルキルエステルを主成分とする重合体が用いられ、より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50~100質量%、好ましくは70~100質量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が用いられる。
前記(メタ)アクリル系樹脂フィルムの波長550nmにおける面内位相差値Re[550]は、好ましくは10nm以下であり、より好ましくは7nm以下であり、さらに好ましくは5nm以下であり、特に好ましくは3nm以下であり、最も好ましくは1nm以下である。波長550nmにおける(メタ)アクリル系樹脂フィルムの厚み方向位相差値Rth[550]は、好ましくは15nm以下であり、より好ましくは10nm以下であり、さらに好ましくは5nm以下であり、特に好ましくは3nm以下であり、最も好ましくは1nm以下である。面内位相差および厚み方向位相差をこのような範囲とするためには、例えば、後述のグルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を用いて得ることができる。
前記(メタ)アクリル系樹脂は、さらに別の構造単位を有していてもよい。別の構造単位としては、例えば、ラクトン環、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、酢酸セルロース、ポリエステル、ポリアリレート、ポリイミド、ポリオレフィン等を構成する構造単位、後述の一般式(1)で示される構造単位が挙げられる。負の複屈折を発現する構造単位としては、例えば、スチレン系モノマー、マレイミド系モノマー等を由来とする構造単位、ポリメチルメタクリレートの構造単位、後述の一般式(3)で示される構造単位等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル系樹脂として、ラクトン環構造またはグルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が好ましく用いられる。ラクトン環構造またはグルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は耐熱性に優れる。より好ましくは、グルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂である。グルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を用いれば、上記のように、低透湿、かつ、位相差および紫外線透過率の小さい(メタ)アクリル系樹脂フィルムを得ることができる。グルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂(以下、グルタルイミド樹脂とも称する)は、例えば、特開2006-309033号公報、特開2006-317560号公報、特開2006-328329号公報、特開2006-328334号公報、特開2006-337491号公報、特開2006-337492号公報、特開2006-337493号公報、特開2006-337569号公報、特開2007-009182号公報、特開2009-161744号公報に記載されている。これらの記載は、本明細書に参考として援用される。
好ましくは、上記グルタルイミド樹脂は、下記一般式(1)で表される構造単位(以下、グルタルイミド単位とも称する)と、下記一般式(2)で表される構造単位(以下、(メタ)アクリル酸エステル単位とも称する)とを含む。
Figure 2022145412000001
式(1)において、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数1~8のアルキル基であり、Rは、水素、炭素数1~18のアルキル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、または炭素数5~15の芳香環を含む置換基である。式(2)において、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数1~8のアルキル基であり、Rは、水素、炭素数1~18のアルキル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、または炭素数5~15の芳香環を含む置換基である。
グルタルイミド樹脂は、必要に応じて、下記一般式(3)で表される構造単位(以下、芳香族ビニル単位とも称する)をさらに含んでいてもよい。
Figure 2022145412000002
式(3)において、Rは、水素または炭素数1~8のアルキル基であり、Rは、炭素数6~10のアリール基である。
上記一般式(1)において、好ましくは、RおよびRは、それぞれ独立して、水素またはメチル基であり、Rは水素、メチル基、ブチル基、またはシクロヘキシル基であり、さらに好ましくは、Rはメチル基であり、Rは水素であり、Rはメチル基である。
上記グルタルイミド樹脂は、グルタルイミド単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、上記一般式(1)におけるR、R、およびRが異なる複数の種類を含んでいてもよい。
グルタルイミド単位は、上記一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル単位をイミド化することにより、形成することができる。また、グルタルイミド単位は、無水マレイン酸等の酸無水物、または、このような酸無水物と炭素数1~20の直鎖または分岐のアルコールとのハーフエステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸等のα,β-エチレン性不飽和カルボン酸等をイミド化することによっても、形成することができる。
上記一般式(2)において、好ましくは、RおよびRは、それぞれ独立して、水素またはメチル基であり、Rは水素またはメチル基であり、さらに好ましくは、Rは水素であり、Rはメチル基であり、Rはメチル基である。
上記グルタルイミド樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、上記一般式(2)におけるR、R、およびRが異なる複数の種類を含んでいてもよい。
上記グルタルイミド樹脂は、上記一般式(3)で表される芳香族ビニル単位として、好ましくはスチレン、α-メチルスチレン等を含み、さらに好ましくはスチレンを含む。このような芳香族ビニル単位を有することにより、グルタルイミド構造の正の複屈折性を低減し、より低位相差の(メタ)アクリル系樹脂フィルムを得ることができる。
上記グルタルイミド樹脂は、芳香族ビニル単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、RおよびRが異なる複数の種類を含んでいてもよい。
上記グルタルイミド樹脂における上記グルタルイミド単位の含有量は、例えばRの構造等に依存して変化させることが好ましい。グルタルイミド単位の含有量は、グルタルイミド樹脂の総構造単位を基準として、好ましくは1質量%~80質量%であり、より好ましくは1質量%~70質量%であり、さらに好ましくは1質量%~60質量%であり、特に好ましくは1質量%~50質量%である。グルタルイミド単位の含有量がこのような範囲であれば、耐熱性に優れた低位相差の(メタ)アクリル系樹脂フィルムが得られ得る。
上記グルタルイミド樹脂における上記芳香族ビニル単位の含有量は、目的や所望の特性に応じて適切に設定され得る。用途によっては、芳香族ビニル単位の含有量は0であってもよい。芳香族ビニル単位が含まれる場合、その含有量は、グルタルイミド樹脂のグルタルイミド単位を基準として、好ましくは10質量%~80質量%であり、より好ましくは20質量%~80質量%であり、さらに好ましくは20質量%~60質量%であり、特に好ましくは20質量%~50質量%である。芳香族ビニル単位の含有量がこのような範囲であれば、低位相差、かつ、耐熱性および機械的強度に優れた(メタ)アクリル系樹脂フィルムが得られ得る。
上記グルタルイミド樹脂には、必要に応じて、グルタルイミド単位、(メタ)アクリル酸エステル単位、および芳香族ビニル単位以外のその他の構造単位がさらに共重合されていてもよい。その他の構造単位としては、例えば、アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のニトリル系単量体、マレイミド、N-メチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体から構成される構造単位が挙げられる。これらのその他の構造単位は、上記グルタルイミド樹脂中に、直接共重合していてもよいし、グラフト共重合していてもよい。
上記(メタ)アクリル系樹脂フィルムは、目的に応じて任意の適切な添加剤を含有し得る。添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;耐光安定剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤;ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤等の帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;可塑剤;滑剤;位相差低減剤等が挙げられる。含有される添加剤の種類、組み合わせ、含有量等は、目的や所望の特性に応じて適切に設定され得る。
上記(メタ)アクリル系樹脂フィルムの製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル系樹脂と、紫外線吸収剤と、必要に応じてその他の重合体や添加剤等とを、任意の適切な混合方法で充分に混合し、予め熱可塑性樹脂組成物としてから、これをフィルム成形することができる。あるいは、(メタ)アクリル系樹脂と、紫外線吸収剤と、必要に応じてその他の重合体や添加剤等とを、それぞれ別々の溶液にしてから混合して均一な混合液とした後、フィルム成形してもよい。
上記熱可塑性樹脂組成物を製造するには、例えば、オムニミキサー等、任意の適切な混合機で上記のフィルム原料をプレブレンドした後、得られた混合物を押出混練する。この場合、押出混練に用いられる混合機は、特に限定されるものではなく、例えば、単軸押出機、二軸押出機等の押出機や加圧ニーダー等、任意の適切な混合機を用いることができる。
上記フィルム成形の方法としては、例えば、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法等、任意の適切なフィルム成形法が挙げられる。溶融押出法が好ましい。溶融押出法は溶剤を使用しないので、製造コストや溶剤による地球環境や作業環境への負荷を低減することができる。
上記溶融押出法としては、例えば、Tダイ法、インフレーション法等が挙げられる。成形温度は、好ましくは150~350℃、より好ましくは200~300℃である。
上記Tダイ法でフィルム成形する場合は、公知の単軸押出機や二軸押出機の先端部にTダイを取り付け、フィルム状に押出されたフィルムを巻取って、ロール状のフィルムを得ることができる。この際、巻取りロールの温度を適宜調整して、押出方向に延伸を加えることで、1軸延伸することも可能である。また、押出方向と垂直な方向にフィルムを延伸することにより、同時2軸延伸、逐次2軸延伸等を行うこともできる。
上記(メタ)アクリル系樹脂フィルムは、上記所望の位相差が得られる限りにおいて、未延伸フィルムまたは延伸フィルムのいずれでもよい。延伸フィルムである場合は、1軸延伸フィルムまたは2軸延伸フィルムのいずれでもよい。2軸延伸フィルムである場合は、同時2軸延伸フィルムまたは逐次2軸延伸フィルムのいずれでもよい。
上記延伸温度は、フィルム原料である熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度近傍であることが好ましく、具体的には、好ましくは(ガラス転移温度-30℃)~(ガラス転移温度+30℃)、より好ましくは(ガラス転移温度-20℃)~(ガラス転移温度+20℃)の範囲内である。延伸温度が(ガラス転移温度-30℃)未満であると、得られるフィルムのヘイズが大きくなり、あるいは、フィルムが裂けたり、割れたりして所定の延伸倍率が得られないおそれがある。逆に、延伸温度が(ガラス転移温度+30℃)を超えると、得られるフィルムの厚みムラが大きくなったり、伸び率、引裂伝播強度、および耐揉疲労等の力学的性質が十分に改善できなかったりする傾向がある。さらに、フィルムがロールに粘着するといったトラブルが発生しやすくなる傾向がある。
上記延伸倍率は、好ましくは1.1~3倍、より好ましくは1.3~2.5倍である。延伸倍率がこのような範囲であれば、フィルムの伸び率、引裂伝播強度、および耐揉疲労等の力学的性質を大幅に改善することができる。結果として、厚みムラが小さく、複屈折が実質的にゼロであり(したがって、位相差が小さく)、さらに、ヘイズが小さいフィルムを製造することができる。
上記(メタ)アクリル系樹脂フィルムは、その光学的等方性や機械的特性を安定化させるために、延伸処理後に熱処理(アニーリング)等を行うことができる。熱処理の条件は、任意の適切な条件を採用し得る。
上記(メタ)アクリル系樹脂フィルムの厚みは、好ましくは10μm~200μmであり、より好ましくは15μm~100μmであり、最も好ましくは15μm~65μmである。厚みが10μm未満であると、強度が低下するおそれがある。厚みが200μmを超えると、透明性が低下するおそれがある。
第1保護フィルム11は、その外面(偏光素子12とは反対側の面)に、後述のハードコート層や、防眩層、反射防止層、光拡散層、帯電防止層、防汚層、導電層のような機能層を有するものであってよい。第1保護フィルム11がハードコート層や機能層を有する場合、第1保護フィルム11の厚みは、ハードコート層や機能層の厚みを含んだものである。
[ハードコート層]
ハードコート層は、硬化性樹脂の硬化物を含む層である。硬化性樹脂としては、例えば熱硬化性樹脂や活性エネルギー線硬化性樹脂等が挙げられる。硬化性樹脂の硬化物は、硬化性樹脂を含む硬化樹脂層形成用組成物から形成することができる。硬化樹脂層形成用組成物は、例えば熱硬化性組成物、カチオン硬化性組成物、ラジカル硬化性組成物等であってよい。硬化樹脂層形成用組成物は、例えば重合性モノマー、重合開始剤、添加剤、溶剤等を含むことができる。添加剤としては、例えば可塑剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、顔料や染料のような着色剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、界面活性剤等が挙げられる。
第1保護フィルム11がハードコート層を有する場合、偏光素子12又は第1保護フィルム11の硬度及び耐スクラッチ性を向上させ易くすることができる。第1保護フィルム11がハードコート層を備える熱可塑性樹脂フィルムである場合、例えば第1保護フィルム11を形成する熱可塑性樹脂フィルム上に、ハードコート層形成用組成物を塗布して硬化させ、ハードコート形成用組成物の硬化物を形成することによりハードコート層を備えた熱可塑性樹脂フィルムを作製し、次いで接着剤層を介して偏光素子12と貼合することができる。市販の硬化樹脂層を備えた熱可塑性樹脂フィルムを第1保護フィルム11として用いることもできる。
ハードコート層は、活性エネルギー線硬化型樹脂を含むハードコート層形成用組成物の硬化物から形成することができる。活性エネルギー線硬化型樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。ハードコート層は、強度を向上させるために、添加剤を含んでいてもよい。添加剤は限定されることはなく、無機系微粒子、有機系微粒子、又はこれらの混合物が挙げられる。ハードコート層は好ましくは紫外線吸収剤を含む。
ハードコート層の厚みは、例えば10μm以下であってよく、好ましくは8μm以下である。ハードコート層の厚みは、通常0.5μm以上である。
[偏光素子]
偏光素子12は、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」とも称す。)系樹脂を含む層(本明細書において、「PVA系樹脂層」とも称す。)に二色性色素を吸着配向させてなる偏光素子を用いることができる。このような偏光素子としては、PVA系樹脂フィルムを用いて、このPVA系樹脂フィルムを二色性色素で染色し、一軸延伸することによって形成したものや、PVA系樹脂を含む塗布液を基材フィルム上に塗布して得られた積層フィルムを用いて、この積層フィルムの塗布層であるPVA系樹脂層を二色性色素で染色し、積層フィルムを一軸延伸することによって形成したものが挙げられる。
偏光素子12は、ポリ酢酸ビニル系樹脂を鹸化して得られるPVA系樹脂から形成される。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体が挙げられる。共重合可能な他の単量体としては、例えば不飽和カルボン酸類、エチレン等のオレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などが挙げられる。
PVA系樹脂の鹸化度は、好ましくは約85モル%以上、より好ましくは約90モル%以上、さらに好ましくは約99モル%~100モル%である。PVA系樹脂の重合度としては、1000~10000、好ましくは1500~5000である。このPVA系樹脂は変性されていてもよく、たとえば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどでもよい。
偏光素子12の厚みは5μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上40μm以下がより好ましく、8μm以上30μm以下がさらに好ましい。偏光素子12の厚みが50μm以下であることにより、高温環境下でPVA系樹脂のポリエン化が光学特性の低下に与える影響を抑制することができ、また偏光素子12の厚みが5μm以上であることにより所望の光学特性を達成する構成とすることが容易となる。
偏光素子12の含水率は、温度20℃相対湿度20%の平衡含水率以上であり、かつ温度20℃相対湿度48%の平衡含水率以下である。好ましくは温度20℃相対湿度30%の平衡含水率以上であり、かつ温度20℃相対湿度45%の平衡含水率以下である。より好ましくは、温度20℃相対湿度42%の平衡含水率以下であり、さらに好ましくは、温度20℃相対湿度40%の平衡含水率以下であり、最も好ましくは、温度20℃相対湿度38%の平衡含水率以下である。温度20℃相対湿度20%の平衡含水率を下回ると、偏光素子12のハンドリング性が低下し、割れやすくなる。温度20℃相対湿度48%の平衡含水率以下であることにより、高温耐久性に優れた光学積層体を提供することができる。偏光素子12の上記含水率は、偏光板中における偏光素子の含水率である。
偏光素子12の製造方法は特に限定されないが、予めロール状に巻かれたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを送り出して延伸、染色、架橋などを行って作製する方法(以下、「製造方法1」とする。)やポリビニルアルコール系樹脂を含む塗布液を基材フィルム上に塗布して塗布層であるポリビニルアルコール系樹脂層を形成して得られた積層体を延伸する工程を含む方法(以下、「製造方法2」とする。)が典型的である。
製造方法1は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムをヨウ素等の二色性色素で染色することにより、その二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、及びホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造することができる。
膨潤工程は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、膨潤浴中に浸漬する処理工程であり、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの表面の汚れやブロッキング剤等を除去でき、また、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させることで染色ムラを抑制できる。膨潤浴は、通常、水、蒸留水、純水等の水を主成分とする媒体が用いられる。膨潤浴は、常法に従って、界面活性剤、アルコール等が適宜に添加されていてもよい。
膨潤浴の温度は、10~60℃程度であることが好ましく、15~45℃程度であることがより好ましく、18~30℃程度であることがさらに好ましい。また、膨潤浴への浸漬時間は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの膨潤の程度が膨潤浴の温度の影響を受けるため一概に決定できないが、5~300秒間程度であることが好ましく、10~200秒間程度であることがより好ましく、20~100秒間程度であることがさらに好ましい。膨潤工程は1回だけ実施されてもよく、必要に応じて複数回実施されてもよい。
染色工程は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、染色浴(ヨウ素溶液)に浸漬する処理工程であり、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、ヨウ素または二色性染料等の二色性物質を吸着・配向させることができる。ヨウ素溶液は、通常、ヨウ素水溶液であることが好ましく、ヨウ素および溶解助剤としてヨウ化物を含有する。なお、ヨウ化物としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。これらの中でも、偏光素子中のカリウムの含有率を制御する観点から、ヨウ化カリウムが好適である。
染色浴中、ヨウ素の濃度は、0.01~1質量%程度であることが好ましく、0.02~0.5質量%程度であることがより好ましい。染色浴中、ヨウ化物の濃度は、0.01~10質量%程度であることが好ましく、0.05~5質量%程度であることがより好ましく、0.1~3質量%程度であることがさらに好ましい。
染色浴の温度は、10~50℃程度であることが好ましく、15~45℃程度であることがより好ましく、18~30℃程度であることがさらに好ましい。また、染色浴への浸漬時間は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの染色の程度が染色浴の温度の影響を受けるため一概に決定できないが、10~300秒間程度であることが好ましく、20~240秒間程度であることがより好ましい。染色工程は1回だけ実施されてもよく、必要に応じて複数回実施されてもよい。
架橋工程は、染色工程にて染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ホウ素化合物を含む処理浴(架橋浴)中に浸漬する処理工程であり、ホウ素化合物によりポリビニルアルコール系樹脂フィルムが架橋して、ヨウ素分子または染料分子が当該架橋構造に吸着できる。ホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸、ホウ酸塩、ホウ砂等が挙げられる。架橋浴は、水溶液が一般的であるが、例えば、水との混和性のある有機溶媒および水の混合溶液であってもよい。また、架橋浴は、偏光素子中のカリウムの含有率を制御する観点から、ヨウ化カリウムを含むことが好ましい。
架橋浴中、ホウ素化合物の濃度は、1~15質量%程度であることが好ましく、1.5~10質量%程度であることがより好ましく、2~5質量%程度であることがより好ましい。また、架橋浴にヨウ化カリウムを使用する場合、架橋浴中、ヨウ化カリウムの濃度は、1~15質量%程度であることが好ましく、1.5~10質量%程度であることがより好ましく、2~5質量%程度であることがより好ましい。
架橋浴の温度は、20~70℃程度であることが好ましく、30~60℃程度であることがより好ましい。また、架橋浴への浸漬時間は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの架橋の程度が架橋浴の温度の影響を受けるため一概に決定できないが、5~300秒間程度であることが好ましく、10~200秒間程度であることがより好ましい。架橋工程は1回だけ実施されてもよく、必要に応じて複数回実施されてもよい。
延伸工程は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、少なくとも一方向に所定の倍率に延伸する処理工程である。一般には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、搬送方向(長手方向)に1軸延伸する。延伸の方法は特に制限されず、湿潤延伸法と乾式延伸法のいずれも採用できる。延伸工程は1回だけ実施されてもよく、必要に応じて複数回実施されてもよい。延伸工程は、偏光素子の製造において、いずれの段階で行われてもよい。
湿潤延伸法における処理浴(延伸浴)は、通常、水、または水との混和性のある有機溶媒および水の混合溶液等の溶媒を用いることができる。延伸浴は、偏光素子中のカリウムの含有率を制御する観点から、ヨウ化カリウムを含むことが好ましい。延伸浴にヨウ化カリウムを使用する場合、当該延伸浴中、ヨウ化カリウムの濃度は、1~15質量%程度であることが好ましく、2~10質量%程度であることがより好ましく、3~6質量%程度であることがより好ましい。また、処理浴(延伸浴)には、延伸中のフィルム破断を抑制する観点から、ホウ素化合物を含むことができ、この場合、当該延伸浴中、ホウ素化合物の濃度は、1~15質量%程度であることが好ましく、1.5~10質量%程度であることがより好ましく、2~5質量%程度であることがより好ましい。
延伸浴の温度は、25~80℃程度であることが好ましく、40~75℃程度であることがより好ましく、50~70℃程度であることがさらに好ましい。また、延伸浴への浸漬時間は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの延伸の程度が延伸浴の温度の影響を受けるため一概に決定できないが、10~800秒間程度であることが好ましく、30~500秒間程度であることがより好ましい。なお、湿潤延伸法における延伸処理は、膨潤工程、染色工程、架橋工程、および洗浄工程のいずれか1つ以上の処理工程とともに施してもよい。
乾式延伸法としては、例えば、ロール間延伸方法、加熱ロール延伸方法、圧縮延伸方法等が挙げられる。なお、乾式延伸法は、乾燥工程とともに施してもよい。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに施される総延伸倍率(累積の延伸倍率)は、目的に応じ適宜設定できるが、2~7倍程度であることが好ましく、3~6.8倍程度であることがより好ましく、3.5~6.5倍程度であることがさらに好ましい。
洗浄工程は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、洗浄浴中に浸漬する処理工程であり、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの表面等に残存する異物を除去できる。洗浄浴は、通常、水、蒸留水、純水等の水を主成分とする媒体が用いられる。また、偏光素子中のカリウムの含有率を制御する観点から、洗浄浴にヨウ化カリウムを使用することが好ましく、この場合、洗浄浴中、ヨウ化カリウムの濃度は、1~10質量%程度であることが好ましく、1.5~4質量%程度であることがより好ましく、1.8~3.8質量%程度であることがさらに好ましい。
洗浄浴の温度は、5~50℃程度であることが好ましく、10~40℃程度であることがより好ましく、15~30℃程度であることがさらに好ましい。また、洗浄浴への浸漬時間は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの洗浄の程度が洗浄浴の温度の影響を受けるため一概に決定できないが、1~100秒間程度であることが好ましく、2~50秒間程度であることがより好ましく、3~20秒間程度であることがさらに好ましい。洗浄工程は1回だけ実施されてもよく、必要に応じて複数回実施されてもよい。
乾燥工程は、洗浄工程にて洗浄されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、乾燥して偏光素子を得る工程である。乾燥は、任意の適切な方法で行われ、例えば、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥が挙げられる。
製造方法2は、上記ポリビニルアルコール系樹脂を含む塗布液を基材フィルム上に塗布する工程、得られた積層フィルムを一軸延伸する工程、一軸延伸された積層フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色することにより、その二色性色素を吸着させて偏光素子とする工程、二色性色素が吸着されたフィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、及びホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造することができる。偏光素子を形成するために用いる基材フィルムは、偏光素子の保護層として用いてもよい。必要に応じて、基材フィルムを偏光素子から剥離除去してもよい。
[高位相差フィルム]
高位相差フィルム13を有する。本明細書において、高位相差フィルムは、波長550nmにおける面内位相差値が3000nm以上であるフィルムを意味する。光学積層体10が高位相差フィルム13を有することにより、光学積層体を配置した液晶表示装置を偏光サングラス越しに視認したときに観察され得る色相変化(虹ムラ)を抑制し易くすることができる。高位相差フィルム13は、複屈折性を有する透明な熱可塑性樹脂フィルムからなる。高位相差フィルム13の波長550nmにおける面内位相差値Re[550]は、好ましくは3000nm以上であり、さらに好ましくは5000nm以上であり、特に好ましくは7000nm以上である。高位相差フィルム13の面内位相差Re[550]の上限値は、30000nmである。
高位相差フィルム13は、例えば、熱可塑性樹脂フィルムを延伸することで得られる。具体的な熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ノルボルネン系ポリマーなどの環状ポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸系樹脂;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース及びセルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステル系樹脂;ポリビニルアルコール及びポリ酢酸ビニルなどのビニルアルコール系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルケトン系樹脂;ポリフェニレンスルフィド系樹脂;ポリフェニレンオキシド系樹脂、及びこれらの混合物、共重合物等を挙げることができる。入手のしやすさや透明性の観点から、ポリエチレンテレフタレート、セルロースエステル、環状オレフィン系樹脂またはポリカーボネートが好ましい。
これらの熱可塑性樹脂に対して一軸又は二軸の熱延伸処理を行うことで所望の位相差値を持つフィルムとすればよい。延伸の倍率は、通常1.1~6倍であり、好ましくは1.1~4倍である。
また、ロールツーロールで製造することができるように、斜め方向に延伸する方法も好ましく用いられる。斜め方向に延伸する方法としては、連続的に配向軸を所望の角度に傾斜させることができるものであれば、特に限定されず、公知の延伸方法が採用できる。このような延伸方法は例えば、特開昭50-83482号公報や特開平2-113920号公報に記載された方法を挙げることができる。延伸することでフィルムに位相差性を付与する場合、延伸後の厚みは、延伸前の厚みや延伸倍率によって決定される。
高位相差フィルム13の遅相軸と偏光素子12の吸収軸とのなす角度は、40°以上50°以下であり、より好ましくは42°以上48°以下であり、特に好ましくは約45°である。これにより、偏光サングラス越しに液晶表示装置を視認した場合に正面輝度の低下を抑制することができる。
高位相差フィルム13の厚みは、好ましくは200μm以下であり、より好ましくは150μm以下であり、特に好ましくは100μm以下である。高位相差フィルム13の厚みを200μm以下とすることにより、光学積層体10のカールを抑制することができ、液晶表示装置への貼合時に気泡が入るなどの不具合を抑制することができる。
高位相差フィルム13の透湿度は、例えば100g/m・day以下であり、50g/m・day以下であることができる。高位相差フィルム13の透湿度は、例えば0g/m・day以上であり、1g/m・day以上であることができる。高位相差フィルム13の透湿度が低い場合であっても、光学積層体10は、高温環境下で透過率が低下しにくく、高温耐久性に優れる。透湿度は、JISK7129:2008 附属書Bに準じて、温度40℃相対湿度90%の雰囲気中で測定することができる。
光学積層体10を液晶表示装置の液晶セルの視認者側に設けることによって、他に高位相差のフィルムを必要とすることなく、偏光サングラスを通して液晶表示装置を視認した場合の視認性の低下を抑制することができる。具体的には、正面輝度の低下、および視野角に応じた色相の変化(カラーシフト)を抑制することができる。高位相差フィルム13には必要に応じてハードコート層や防眩層を積層しても構わない。
[第2保護フィルム]
光学積層体10は、偏光素子12の高位相差フィルム13側に第2保護フィルムを有していてもよい。第2保護フィルムは、偏光素子12と高位相差フィルム13との間に配置されることができる。第2保護フィルムとしては、第1の保護フィルム11として用いることができるフィルムとして記載した上述の樹脂フィルムを用いてもよいし、その他の樹脂フィルムを用いてもよい。光学積層体10が第2保護フィルムを有する場合、第2保護フィルムは、第1保護フィルム11と同種であってもよいし異種であってもよい。光学積層体10は、第2保護フィルムを有さなくてもよい。すなわち、光学積層体10は、偏光素子12の一方の面にのみ保護フィルム(第1保護フィルム11)を有してもよい。
第2保護フィルムとしては、例えばセルロースアシレート系フィルム、鎖状オレフィン系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂からなるフィルム、ノルボルネンなどシクロオレフィン系樹脂からなるフィルム、(メタ)アクリル系重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂系フィルムなどのフィルムを用いることができる。鎖状ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂(エチレンの単独重合体であるポリエチレン樹脂や、エチレンを主体とする共重合体)、ポリプロピレン樹脂(プロピレンの単独重合体であるポリプロピレン樹脂や、プロピレンを主体とする共重合体)のような鎖状オレフィンの単独重合体の他、2種以上の鎖状オレフィンからなる共重合体を挙げることができる。
第2保護フィルムの厚みは通常1μm以上100μm以下であるが、強度や取扱性等の観点から5μm以上60μm以下であることが好ましく、10μm以上55μm以下であることがより好ましく、15μm以上50μm以下であることがさらに好ましい。
第2保護フィルムは、その外面(偏光素子とは反対側の面)に、ハードコート層、防眩層、光拡散層、反射防止層、低屈折率層、帯電防止層、防汚層のような表面処理層(コーティング層)を備えるものであってもよい。なお、第2保護フィルムの厚みは、表面処理層の厚みを含んだものである。
[貼合層]
光学積層体10において、各層を貼合するために貼合層が用いられる。貼合層としては、接着剤層または粘着剤層が挙げられる。
(接着剤層)
接着剤層は、例えば、偏光素子12への第1保護フィルム11および第2保護フィルムの貼合に用いることができる。接着剤層を構成する接着剤は、任意の適切な接着剤を用いることができる。接着剤は、水系接着剤、溶剤系接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤などを用いることができるが、水系接着剤であることが好ましい。
接着剤の塗布時の厚みは、任意の適切な値に設定され得る。例えば、硬化後または加熱(乾燥)後に、所望の厚みを有する接着剤層が得られるように設定する。接着剤層の厚みは、好ましくは0.01μm以上7μm以下であり、より好ましくは0.01μm以上5μm以下であり、さらに好ましくは0.01μm以上2μm以下であり、最も好ましくは0.01μm以上1μm以下である。
(水系接着剤)
水系接着剤としては、任意の適切な水系接着剤が採用され得る。中でも、PVA系樹脂を含む水系接着剤(PVA系接着剤)が好ましく用いられる。水系接着剤に含まれるPVA系樹脂の平均重合度は、接着性の点から、好ましくは100~5500程度、さらに好ましくは1000~4500である。平均鹸化度は、接着性の点から、好ましくは85モル%~100モル%程度であり、さらに好ましくは90モル%~100モル%である。
上記水系接着剤に含まれるPVA系樹脂としては、アセトアセチル基を含有するものが好ましく、その理由は、PVA系樹脂層と保護フィルムとの密着性に優れ、耐久性に優れているからである。アセトアセチル基含有PVA系樹脂は、例えば、PVA系樹脂とジケテンとを任意の方法で反応させることにより得られる。アセトアセチル基含有PVA系樹脂のアセトアセチル基変性度は、代表的には0.1モル%以上であり、好ましくは0.1モル%~20モル%程度である。
上記水系接着剤の樹脂濃度は、好ましくは0.1質量%以上15質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以上10質量%以下である。
水系接着剤には架橋剤を含有させることもできる。架橋剤としては公知の架橋剤を用いることができる。例えば、水溶性エポキシ化合物、ジアルデヒド、イソシアネートなどが挙げられる。
PVA系樹脂がアセトアセチル基含有PVA系樹脂である場合は、架橋剤としてグリオキサール、グリオキシル酸塩、メチロールメラミンのうちの何れかであることが好ましく、グリオキサール、グリオキシル酸塩の何れかであることが好ましく、グリオキサールであることが特に好ましい。
水系接着剤は有機溶剤を含有することもできる。有機溶剤は、水と混和性を有する点でアルコール類が好ましく、アルコール類の中でもメタノールまたはエタノールであることがより好ましい。尿素系化合物の一部は水に対する溶解度が低い反面、アルコールに対する溶解度は十分なものがある。その場合は、尿素系化合物をアルコールに溶解し、尿素系化合物のアルコール溶液を調製した後、尿素系化合物のアルコール溶液をPVA水溶液に添加し、接着剤を調製することも好ましい態様の一つである。
水系接着剤のメタノールの濃度は、好ましくは10質量%以上70質量%以下、より好ましくは15質量%以上60質量%以下、さらに好ましくは20質量%以上60質量%以下である。メタノールの濃度が10質量%以上であることにより、高温環境下でのポリエン化をより抑制しやすくなる。また、メタノールの含有率が70質量%以下であることにより、色相の悪化を抑制することができる。
(活性エネルギー線硬化型接着剤)
活性エネルギー線硬化型接着剤は、紫外線等の活性エネルギー線を照射することによって硬化する接着剤であり、例えば重合性化合物及び光重合性開始剤を含む接着剤、光反応性樹脂を含む接着剤、バインダー樹脂及び光反応性架橋剤を含む接着剤等を挙げることができる。上記重合性化合物としては、光硬化性エポキシ系モノマー、光硬化性アクリル系モノマー、光硬化性ウレタン系モノマー等の光重合性モノマー、及びこれらモノマーに由来するオリゴマー等を挙げることができる。上記光重合開始剤としては、紫外線等の活性エネルギー線を照射して中性ラジカル、アニオンラジカル、カチオンラジカルといった活性種を発生する物質を含む化合物を挙げることができる。
(粘着剤層)
粘着剤層は、例えば、偏光素子12への高位相差フィルム13の貼合に使用することができる。
粘着剤層は、(メタ)アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ウレタン系樹脂、エステル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂のような樹脂を主成分とする粘着剤組成物で構成することができる。中でも、透明性、耐候性、耐熱性等に優れる(メタ)アクリル系樹脂をベースポリマーとする粘着剤組成物が好適である。粘着剤組成物は、活性エネルギー線硬化型、熱硬化型であってもよい。粘着剤層の厚みは、通常3μm以上30μm以下であり、好ましくは3μm以上25μm以下である。
粘着剤組成物に用いられる(メタ)アクリル系樹脂(ベースポリマー)としては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステルの1種又は2種以上をモノマーとする重合体又は共重合体が好適に用いられる。ベースポリマーには、極性モノマーを共重合させることが好ましい。極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートのような、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基等を有するモノマーを挙げることができる。
粘着剤組成物は、上記ベースポリマーのみを含むものであってもよいが、通常は架橋剤をさらに含有する。架橋剤としては、2価以上の金属イオンであって、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成するもの;ポリアミン化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するもの;ポリエポキシ化合物やポリオールであって、カルボキシル基との間でエステル結合を形成するもの;ポリイソシアネート化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するものが例示される。中でも、ポリイソシアネート化合物が好ましい。
粘着剤層の厚みは、1μm以上200μm以下が好ましく、2μm以上100μm以下がより好ましく、2μm以上80μm以下が更に好ましく、3μm以上50μm以下が特に好ましい。
[第二態様]
第二態様に係る光学積層体について、図面を参照しながら以下に説明する。図2に示す光学積層体20は、第1保護フィルム21と、偏光素子22と、高位相差フィルム23とをこの順に有し、光学積層体20は、含水率が、温度20℃相対湿度20%の平衡含水率以上かつ温度20℃相対湿度48%の平衡含水率以下であり、第1保護フィルム21の温度23℃での光弾性係数の絶対値は、8×10-12Pa-1以下であり、高位相差フィルム23は、波長550nmにおける面内位相差値Re[550]が3000nm以上30000nm以下であり、高位相差フィルム23の遅相軸と偏光素子22の吸収軸とのなす角は40°以上50°以下である。
光学積層体20の含水率は、温度20℃相対湿度20%の平衡含水率以上であり、かつ温度20℃相対湿度48%の平衡含水率以下である。好ましくは温度20℃相対湿度30%の平衡含水率以上であり、かつ温度20℃相対湿度45%の平衡含水率以下である。より好ましくは、温度20℃相対湿度42%の平衡含水率以下であり、さらに好ましくは、温度20℃相対湿度40%の平衡含水率以下であり、最も好ましくは、温度20℃相対湿度38%の平衡含水率以下である。温度20℃相対湿度20%の平衡含水率を下回ると、光学積層体20のハンドリング性が低下し、割れやすくなる。光学積層体20の含水率が温度20℃相対湿度48%の平衡含水率以下であることにより、高温耐久性に優れた光学積層体を提供することができる。
光学積層体20は、他の層として例えば第2保護フィルム、貼合層等を備えることができる。
第1保護フィルム21、偏光素子22、高位相差フィルム23、第2保護フィルム及び貼合層についての例示および好ましい範囲はそれぞれ、上述の光学積層体10における第1保護フィルム11、偏光素子12、高位相差フィルム13、第2保護フィルム及び貼合層の説明において述べた例示および好ましい範囲が適用される。
[高温耐久性]
光学積層体は、高温耐久性に優れる。本明細書において高温耐久性は、後述の実施例の欄において説明する方法に従って評価することができる。光学積層体は、例えば温度23℃、相対湿度55%の環境下で24時間放置した後に測定した透過率に対し、さらに温度95℃の加熱環境下に評価用サンプルを保管したときに測定した透過率の低下量が5%に達する時間が240時間以上であってよく、好ましくは480時間以上、より好ましくは720時間以上、さらに好ましくは960時間以上である。
[用途]
上記の光学積層体は、液晶表示装置や有機EL表示装置等の画像表示装置に用いることができる。光学積層体は、画像表示装置の視認側(前面側)に配置されることもできるし、背面側に配置されることもできる。光学積層体は、画像表示装置に配置される場合、視認側から高位相差フィルム、偏光素子、第1保護フィルムの順となるように配置されることが好ましい。光学積層体は、画像表示装置に用いられる場合、画像表示装置において、光学積層体の両面には空気層以外の層が接して設けられていてよい。空気層以外の層としては、例えば粘着剤層、透明部材等が挙げられる。粘着剤層は、上述の光学積層体において述べた粘着剤層の説明が適用される。透明部材については後述する。
図3は、高位相差フィルム33、偏光素子32及び保護フィルム31をこの順に備える光学積層体30に透明部材34およびタッチパネル37が配置された積層体の構成を示す断面図である。図3に示すように、透明部材34およびタッチパネル37は、貼合層35、36を介して積層されることができる。図3に示す積層体は、例えば透明部材34側が視認側となるように画像表示装置等に配置されることができる。
[透明部材]
画像表示装置の視認側に配置される透明部材としては、前面板(ウインドウ層)やタッチパネル等が挙げられる。前面板としては、適宜の機械強度および厚みを有する前面板が用いられる。このような前面板としては、例えばポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂のような透明樹脂板、あるいはガラス板等が挙げられる。前面板の視認側には反射防止層などの機能層が積層されていても構わない。また、前面板が透明樹脂板の場合は、物理強度を上げるためにハードコート層や、透湿度を下げるために低透湿層が積層されていても構わない。
タッチパネルとしては、抵抗膜方式、静電容量方式、光学方式、超音波方式等の各種タッチパネルや、タッチセンサー機能を備えるガラス板や透明樹脂板等が用いられる。透明部材として静電容量方式のタッチパネルが用いられる場合、タッチパネルよりもさらに視認側に、ガラスや透明樹脂板からなる前面板が設けられることが好ましい。
光学積層体と透明部材との貼り合せには、粘着剤または活性エネルギー線硬化型接着剤が好適に用いられる。粘着剤が用いられる場合、粘着剤の付設は適宜な方式で行い得る。具体的な付設方法としては、例えば、前述の画像表示セルと光学積層体の貼り合せで用いた粘着剤層の付設方法が挙げられる。
活性エネルギー線硬化型接着剤を用いる場合、硬化前の接着剤溶液の広がりを防止する目的で、画像表示パネル上の周縁部を囲むようにダム材が設けられ、ダム材上に透明部材を載置して、接着剤溶液を注入する方法が好適に用いられる。接着剤溶液の注入後は、必要に応じて位置合わせおよび脱泡が行われた後、活性エネルギー線が照射されて硬化が行われる。
<画像表示装置>
本実施形態にかかる画像表示装置は、画像表示セルと、画像表示セルの視認側表面に積層された第1粘着剤層と、第1粘着剤層の視認側表面に積層された光学積層体とを有することができる。画像表示装置は、光学積層体の視認側表面に積層された第2粘着剤層と、第2粘着剤層の視認側表面に積層された透明部材とをさらに有することができる。
図4は、画像表示装置の層構成の一例を示す。図4に示す画像表示装置100は、高位相差フィルム43、偏光素子42及び保護フィルム41をこの順に備える光学積層体40が第1粘着剤層46を介して画像表示セル47上に積層され、光学積層体40の視認側表面に第2粘着剤層45を介して透明部材44が積層されている。
<光学積層体の製造方法>
[第一態様に係る光学積層体の製造方法]
第一態様に係る光学積層体の製造方法は、偏光素子の含水率が温度20℃相対湿度20%の平衡含水率以上、かつ温度20℃相対湿度48%の平衡含水率以下となるように調整する含水率調整工程を有する。また、好ましくは、偏光素子の片側に第1保護フィルムを積層する第1積層工程をさらに有する。含水率調整工程及び第1積層工程の順番は限定されることはなく、また含水率調整工程と第1積層工程とが並行して行われてもよい。本実施形態の光学積層体の製造方法は、偏光板の片側に高位相差フィルムを積層する第2積層工程をさらに有することができる。
本実施形態の含水率調整工程では、偏光素子の含水率が温度20℃相対湿度20%の平衡含水率以上、かつ温度20℃相対湿度48%の平衡含水率以下となるように偏光素子の含水率を調整する。このような含水率の偏光素子を準備する方法としては、特に限定されないが、例えば、偏光素子を前記温度と前記相対湿度の範囲に調整された環境に、10分~3時間保管して調整する方法や、30℃~90℃で加熱処理する方法で調整することができる。
また、別の好ましい方法としては、第1積層工程により得られた偏光板を、前記温度と前記相対湿度の範囲に調整された環境に、10分~120時間保管する方法や、30℃~90℃で加熱処理する方法で調整することが可能である。含水率調整工程は、第1積層工程前に行ってもよいし、第1積層工程後に行ってもよい。
[第二態様に係る光学積層体の製造方法]
第二態様に係る光学積層体の製造方法は、光学積層体の含水率が温度20℃相対湿度20%の平衡含水率以上、かつ温度20℃相対湿度48%の平衡含水率以下となるように調整する含水率調整工程を有する。また、好ましくは、偏光素子の片側に第1保護フィルムを積層する第1積層工程、及び偏光板の片側に高位相差フィルムを積層する第2積層工程をさらに有することができる。
本実施形態の含水率調整工程では、光学積層体の含水率が温度20℃相対湿度20%の平衡含水率以上、かつ温度20℃相対湿度48%の平衡含水率以下となるように光学積層体の含水率を調整する。このような含水率の光学積層体を準備する方法としては、特に限定されないが、例えば、光学積層体を前記温度と前記相対湿度の範囲に調整された環境に、10分~3時間保管して調整する方法や、30℃~90℃で加熱処理する方法で調整することができる。
偏光素子および光学積層体の含水率が温度20℃相対湿度20%の平衡含水率以上、温度20℃相対湿度48%の平衡含水率以下の範囲内であるかを確認する方法として、前記温度と前記相対湿度の範囲に調整された環境で偏光素子又は光学積層体を一定時間保管し、質量の変化がないことを確認する方法、または前記温度と前記相対湿度の範囲に調整された環境の偏光素子または光学積層体の平衡含水率を予め計算し、偏光素子または光学積層体の含水率と予め計算した平衡含水率とを対比する方法が挙げられる。一定時間偏光素子又は光学積層体を保管し、その質量に変化がない場合は、保管環境において含水率が平衡に達したとみなすことができる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す部及び%は、特記のないかぎり質量基準である。なお、以下の例における各物性の測定は、次の方法で行った。
(1)フィルム厚みの測定方法
株式会社ニコン製のデジタルマイクロメーターであるMH-15Mを用いて測定した。
(2)位相差値の測定方法
位相差測定装置KOBRA-WPR(王子計測機器株式会社製)を用いて測定した。
(3)光弾性係数の測定方法
位相差測定装置KOBRA-WPR(王子計測機器株式会社製)を用いて、サンプル(サイズ1.5cm×6cm)の両端を挟持して応力(0.5N~8N)をかけながら、サンプル中央の位相差値(23℃/波長550nm)を測定し、応力と位相差値の関数の傾きから算出した。
(4)輝度の測定方法:
株式会社トプコン製の分光放射輝度計SR-UL1を用いて測定した。なお、測定は、2°視野で行った。
[偏光素子の作製]
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上であるポリビニルアルコールからなる厚さ40μmのポリビニルアルコールフィルムを準備した。このポリビニルアルコールフィルムを、乾式で約5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、60℃の純水に1分間浸漬した。その後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の質量比が0.05/5/100の水溶液に28℃で60秒間、ポリビニルアルコールフィルムを浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が8.5/8.5/100の水溶液に72℃で300秒間、ポリビニルアルコールフィルムを浸漬した。引き続きポリビニルアルコールフィルムを26℃の純水で20秒間洗浄した後、65℃で乾燥した。このようにしてポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向した厚み15μmの偏光素子を得た。
[保護フィルムの準備]
保護フィルムA(第2保護フィルム):
(ハードコート層形成用組成物1の調製)
以下に示す成分を混合し、ハードコート層形成用組成物1を調製した。
PET30 97.0質量部
イルガキュア907 3.0質量部
MEK 81.8質量部
使用した材料を以下に示す。
・PET30:ペンタエリスリトールテトラアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
・イルガキュア907:光重合開始剤[BASF社製]
・MEK:メチルエチルケトン
<ハードコートフィルムの作製>
市販のセルロースアシレートフィルムTD40(富士フイルム(株)製、幅1,340mm、膜厚40μm)をロール形態から巻き出して、上記ハードコート層形成用組成物1を、スロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥させた。
その後、更に窒素パージ下、酸素濃度約0.1%で出力160W/cmの空冷メタハライドランプ(アイグラフィック(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量120mJ/cmの紫外線を照射して塗布層(ハードコート層)を硬化させ、ハードコートフィルムを巻き取った。ハードコート層の膜厚は7μmになるよう塗布層の厚みを調整した。こうして、保護フィルムAを得た。
上記で作製した保護フィルムAを、55℃に保った1.5mol/LのNaOH水溶液(鹸化液)に2分間浸漬した後、フィルムを水洗した。その後、25℃の0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬した後、さらに水洗浴を30秒流水下に通して、フィルムを中性の状態にした。そして、エアナイフによる水切りを3回繰り返して水を落とした後に、70℃の乾燥ゾーンに15秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理した。
保護フィルムB(第1保護フィルム):
特開2010-284840号公報の製造例1に記載のイミド化MS樹脂ペレット(重量平均分子量:105,000)100質量部を、100.5kPa、100℃で12時間乾燥させ、単軸の押出機にてダイス温度270℃でTダイから押出してフィルム状に成形した(厚み160μm)。さらに当該フィルムを、その搬送方向に150℃の雰囲気下に延伸し(厚み80μm)、次いでフィルム搬送方向と直交する方向に150℃の雰囲気下に延伸して、厚み40μmの保護フィルムB((メタ)アクリル系樹脂フィルム)を得た。保護フィルムBの波長550nmにおける面内の位相差値Reは0.5nm、厚み方向の位相差値Rthは0.82nmであった。得られたフィルムの光弾性係数は、2.0×10-12Pa-1であった。
[接着剤の調製]
アセトアセチル基を含有する変性PVA系樹脂(三菱ケミカル(株)製:ゴーセネックスZ-410)50gを950gの純水に溶解し、90℃で2時間加熱後常温に冷却し、PVA溶液を得た。
次いで、夫々の化合物が下記の濃度になるように前記PVA溶液、マレイン酸、グリオキサール、純水を配合しPVA系接着剤を調製した。
PVA濃度 3.0 質量%
マレイン酸 0.01質量%
グリオキサール 0.15質量%
[高位相差フィルムの準備]
東洋紡株式会社製のコスモシャインSRF(Super Retardation Film)(厚み80μm)を使用した。面内位相差値Re(550)は8400nmであった。温度40℃相対湿度90%での透湿度は、10g/m・dayであった。
[粘着剤の準備]
粘着剤A:厚み15μmのシート状アクリル粘着剤(リンテック株式会社製の「P-3132-15μ」)
粘着剤B:厚み25μmのシート状アクリル粘着剤(リンテック株式会社製の「P-3132」)
[実施例1]
偏光素子の一方の面に接着剤で保護フィルムAを貼り合わせ、偏光素子のもう一方の面に接着剤で保護フィルムBを貼り合わせた。その後、80℃で5分間乾燥させて偏光板1を得た。なお、保護フィルムBを貼りあわせる際には、保護フィルムBの貼合面にコロナ処理を実施した。
(平衡含水率の測定)
上記で得られた偏光板1を温度20℃で、相対湿度30%、35%、40%、45%、又は50%の条件で、72時間保管し、保管66時間、69時間、及び72時間でカールフィッシャー法を用いて、含水率を測定した。何れの湿度条件でも、保管66時間、69時間、72時間で含水率の値が変わらなかった。したがって、偏光板1の含水率は、保管環境の平衡含水率と同じになっているとみなすことができる。偏光板の含水率が、ある保管温度で平衡に達したときは、偏光板中の偏光素子の含水率も同様に、その保管温度で平衡に達しているとみなすことができる。また、偏光板中の偏光素子の含水率が、ある保管環境で平衡に達したときは、偏光板の含水率も同様に、その保管環境で平衡に達したとみなすことができる。
上記で得られた偏光板1の乾燥直後の含水率をカールフィッシャー法で測定し、上記の平衡含水率と比較した。偏光板1の含水率は、温度20℃相対湿度30%の含水率と同等であった。偏光板1を、さらに温度20℃相対湿度30%の条件で72時間保管した。
(偏光板2~5の作製)
偏光板1に対し、夫々、含水率が、表1に記載の平衡含水率と同等となるように、乾燥温度または時間を変更し、その後、温度20℃相対湿度35%、40%、45%、又は50%の条件で72時間保管した。
次いで、得られた偏光板1~5の保護フィルムB面に粘着剤Bを貼合した。なお、これらの材料の貼りあわせの際には、各材料の貼合面にコロナ処理を実施した。
高位相差フィルムの片面に、粘着剤Aを貼合した。なお、これらの材料の貼りあわせの際には、各材料の貼合面にコロナ処理を実施した。
こうして作製した偏光板1~5の保護フィルムAの面と高位相差フィルムの粘着剤面とを、偏光板の吸収軸と高位相差フィルムの遅相軸とのなす角度が45°となるように貼合し、光学積層体1~5を作製した。なお、これらの材料の貼りあわせの際には、各材料の貼合面にコロナ処理を実施した。
(偏光板6の作製)
先に得られた偏光素子の一方の面に、保護フィルムBを接着剤で貼り合わせ、偏光素子の片面にのみ保護フィルムを有する偏光板6を作成した。なお、保護フィルムBを貼りあわせる際には、保護フィルムBの貼合面にコロナ処理を実施した。
(平衡含水率の測定)
上記で得られた偏光板6を温度20℃で、相対湿度30%、35%、40%、45%、又は50%の条件で、72時間保管し、保管66時間、69時間、及び72時間でカールフィッシャー法を用いて、含水率を測定した。何れの湿度条件でも、保管66時間、69時間、72時間で含水率の値が変わらなかった。したがって、偏光板6の含水率は、保管環境の平衡含水率と同じになっているとみなすことができる。偏光板の含水率が、ある保管温度で平衡に達したときは、偏光板中の偏光素子の含水率も同様に、その保管温度で平衡に達しているとみなすことができる。また、偏光板中の偏光素子の含水率が、ある保管環境で平衡に達したときは、偏光板の含水率も同様に、その保管環境で平衡に達したとみなすことができる。
上記で得られた偏光板6の乾燥直後の含水率をカールフィッシャー法で測定し、上記の平衡含水率と比較した。偏光板6の含水率は、温度20℃相対湿度30%の含水率と同等であった。偏光板6を、さらに温度20℃相対湿度30%の条件で72時間保管した。
(偏光板7~10の作製)
偏光板6に対し、夫々、含水率が、表1に記載の平衡含水率と同等となるように、乾燥温度または時間を変更し、その後、温度20℃相対湿度35%、40%、45%、又は50%の条件で72時間保管した。
次いで、得られた偏光板6~10の保護フィルムB面に粘着剤Bを貼合した。なお、これらの材料の貼りあわせの際には、各材料の貼合面にコロナ処理を実施した。
高位相差フィルムの片面に、粘着剤Aを貼合した。なお、これらの材料の貼りあわせの際には、各材料の貼合面にコロナ処理を実施した。
こうして作製した偏光板6~10の偏光素子面(保護フィルムBが貼合されていない面)と高位相差フィルムの粘着剤面とを、偏光板の吸収軸と高位相差フィルムの遅相軸とのなす角度が45°となるように貼合し、光学積層体6~10を作製した。なお、これらの材料の貼りあわせの際には、各材料の貼合面にコロナ処理を実施した。
得られた光学積層体について、これを構成するために用いた偏光板の含水率と同等となるように、偏光板を72時間保管した条件と同じ条件で72時間保管して光学積層体の含水率を調整した。光学積層体についても72時間保管することにより、その保管環境で平衡に達しているとみなすことができ、光学積層体中の偏光板及び偏光素子の含水率も同様に、その保管環境で平衡に達しているとみなすことができる。また、光学積層体中の偏光板または偏光素子の含水率が、ある保管環境で平衡に達したときは、光学積層体の含水率も同様に、その保管環境で平衡に達したとみなすことができる。
(黒輝度変化の評価)
(評価用サンプル1Aの作製)
厚さ0.7mm、300mm×300mmの大きさの無アルカリガラスを用意した。光学積層体1を、200mm×200mmの大きさに裁断し、粘着剤Bを介して無アルカリガラスの一方の面に貼合した。粘着剤B付き偏光板1(高位相差フィルム貼合なし)を200mm×200mmの大きさに裁断し、無アルカリガラスの他方の面に、偏光板の吸収軸が互いにクロスニコルになるように、粘着剤Bを介して貼合し、評価用サンプル1を作製した。
(評価用サンプル2A~10Aの作製)
評価用サンプル1の作製において、光学積層体1を、光学積層体2~10にそれぞれ代えたこと以外は同様にして評価用サンプル2A~10Aを作製した。
上記で作製した評価用サンプル1A~10Aの粘着剤B付き偏光板1(高位相差フィルム貼合なし)を貼合した側を20000cd/mの輝度の白色バックライトモジュールの照射面に置き、光学積層体側(高位相差フィルム)側から輝度を測定した(黒輝度1)。評価用サンプルを温度95℃の加熱環境下に240時間保管後、常温まで冷却し、再び輝度を測定した(黒輝度2)。黒輝度1に対する黒輝度2の変化率(%)を算出し、黒輝度変化とした。結果、すべての評価サンプルの黒輝度変化量は+1%であった。
(透過率変化の評価)
光学積層体1~10を、それぞれ、50mm×100mmの大きさに裁断した。剥離フィルムを剥がして露出した粘着剤層Bを無アルカリガラス〔商品名“EAGLE XG”、コーニング社製〕に貼合することによって、評価用サンプル1B~10Bを作製した。この評価用サンプルに、温度50℃、圧力5kgf/cm(490.3kPa)で1時間オートクレーブ処理を施した。温度23℃、相対湿度55%の環境下で24時間放置した後、透過率を測定した(初期値)。その後、温度95℃の加熱環境下に評価用サンプルを保管し、120時間経過時、及び240~960時間においては240時間おきに、透過率を測定した。初期値に対し透過率低下量が5%以上に達した時間を基に以下の基準で評価を行った。得られた結果を表1に示す。評価用サンプルの高位相差フィルム側に、粘着剤を介してさらに無アルカリガラスを貼合した場合であっても、同様の結果が得られた。
A:960時間経過時の透過率の低下が5%未満
B:720時間経過時又は960時間経過時の透過率の低下が5%以上
C:480時間経過時の透過率の低下が5%以上
D:240時間経過時の透過率の低下が5%以上
E:120時間経過時の透過率の低下が5%以上
Figure 2022145412000003
10,20,30,40 光学積層体、11,21,31,41 保護フィルム、12,22,32,42 偏光素子、13,23,33,43 高位相差フィルム、34,44 透明部材、35,36 貼合層、37 タッチパネル、45 第2粘着剤層、46 第1粘着剤層、47 画像表示セル、100 画像表示装置

Claims (12)

  1. 第1保護フィルムと、偏光素子と、高位相差フィルムとをこの順に有する光学積層体であって、
    前記第1保護フィルムの温度23℃での光弾性係数の絶対値は、8×10-12Pa-1以下であり、
    前記偏光素子の含水率は、温度20℃相対湿度20%の平衡含水率以上かつ温度20℃相対湿度48%の平衡含水率以下であり、
    前記高位相差フィルムの波長550nmにおける面内位相差値Re[550]は、3000nm以上30000nm以下であり、
    前記高位相差フィルムの遅相軸と前記偏光素子の吸収軸とのなす角は40°以上50°以下である、光学積層体。
  2. 第1保護フィルムと、偏光素子と、高位相差フィルムとをこの順に有する光学積層体であって、
    前記光学積層体の含水率は、温度20℃相対湿度20%の平衡含水率以上かつ温度20℃相対湿度48%の平衡含水率以下であり、
    前記第1保護フィルムの温度23℃での光弾性係数の絶対値は、8×10-12Pa-1以下であり、
    前記高位相差フィルムは、波長550nmにおける面内位相差値Re[550]は3000nm以上30000nm以下であり、
    前記高位相差フィルムの遅相軸と前記偏光素子の吸収軸とのなす角は40°以上50°以下である、光学積層体。
  3. 前記第1保護フィルムが、環状ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂及びマレイミド系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1又は2に記載の光学積層体。
  4. 前記第1保護フィルムは、波長550nmにおける面内位相差値Re[550]が10nm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の光学積層体。
  5. 前記高位相差フィルムの厚みが、200μm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の光学積層体。
  6. 前記光学積層体は画像表示装置に用いられ、
    前記画像表示装置において、前記光学積層体の両面には空気層以外の層が接して設けられている、請求項1~5のいずれか1項に記載の光学積層体。
  7. 画像表示セルと、前記画像表示セルの視認側表面に積層された第1粘着剤層と、前記第1粘着剤層の視認側表面に積層された請求項1~6のいずれか1項に記載の光学積層体と、を有する画像表示装置。
  8. 前記光学積層体の視認側表面に積層された第2粘着剤層と、前記第2粘着剤層の視認側表面に積層された透明部材と、をさらに有する、請求項7に記載の画像表示装置。
  9. 前記透明部材がガラス板または透明樹脂板である、請求項8に記載の画像表示装置。
  10. 前記透明部材がタッチパネルである、請求項8に記載の画像表示装置。
  11. 請求項1に記載の光学積層体の製造方法であって、
    前記偏光素子の含水率が温度20℃相対湿度20%の平衡含水率以上、かつ温度20℃相対湿度48%の平衡含水率以下となるように含水率を調整する含水率調整工程を有する、光学積層体の製造方法。
  12. 請求項2に記載の光学積層体の製造方法であって、
    前記光学積層体の含水率が温度20℃相対湿度20%の平衡含水率以上、かつ温度20℃相対湿度48%の平衡含水率以下となるように含水率を調整する含水率調整工程を有する、光学積層体の製造方法。
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