JP2012083405A - 光学積層体とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】液晶セル基板1と、ポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向された偏光フィルムを有する偏光板5とが、接着剤層2を介して貼合されており、その接着剤層2は、分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有するエポキシ系化合物を含有し、さらに組成物の固形分100重量部あたり0.1〜20重量部の紫外線吸収剤を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物である光学積層体10が提供される。この光学積層体10は、上記組成物の層が配置された状態で、偏光板5側から活性エネルギー線を照射してその組成物層を硬化させる方法により、製造できる。
【選択図】図1
Description
液晶セル基板1は、もう1枚の基板(図示せず)との間に液晶を挟持して液晶セルを構成するものであり、この液晶セルは、液晶表示装置の中核的部材となる。液晶セル基板1は、ガラスや透明プラスチックシートで構成することができる。ガラスは、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなど、一般に知られている各種のガラス板であることができるが、液晶セルには特に無アルカリガラスが好ましく用いられる。また、透明プラスチックシートも、透明で液晶セル基板となり得るものであれば、各種公知のものを用いることができ、具体例として、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート、エポキシ樹脂など、透明な樹脂からなるフレキシブル基板を挙げることができる。
上記の液晶セル基板1と、偏光フィルムを有する偏光板5とは、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を介して貼合される。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線硬化性化合物、すなわち、活性エネルギー線の照射により硬化し得る化合物を有効成分として含有するものであるが、本発明では、かかる活性エネルギー線硬化性化合物の少なくとも一つとして、分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有するエポキシ系化合物を採用する。ここで、「分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有するエポキシ系化合物」とは、分子内に1個以上のエポキシ基を有し、活性エネルギー線の照射により硬化し得る化合物を意味する。エポキシ系化合物は特に、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有することが好ましい。この組成物は、エポキシ系化合物に加えて、他の活性エネルギー線硬化性化合物、例えば、後述するオキセタン系化合物や(メタ)アクリル系化合物を含有することもできる。
硬化性樹脂組成物を構成するエポキシ系化合物は、耐候性や屈折率、カチオン重合性などの観点から、分子内に芳香環を含まないエポキシ系化合物を主成分とすることが好ましい。分子内に芳香環を含まないエポキシ系化合物として、脂環式環を有するポリオールのグリシジルエーテル、脂肪族エポキシ系化合物、脂環式エポキシ系化合物などが例示できる。このような、硬化性樹脂組成物に配合される好ましいエポキシ系化合物は、先の特許文献1(特許第 4306269号公報)や特許文献2(特許第 4306270号公報)などで詳細に説明されているが、ここでも概略を説明することとする。
B:3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、
C:エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、
D:ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル) アジペート、
E:ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル) アジペート、
F:ジエチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、
G:エチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、
H:2,3,14,15−ジエポキシ−7,11,18,21−テトラオキサトリスピロ[5.2.2.5.2.2]ヘンイコサン、
I:3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−8,9−エポキシ−1,5−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
J:4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、
K:リモネンジオキサイド、
L:ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、
M:ジシクロペンタジエンジオキサイドなど。
本発明に用いる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、上記のエポキシ系化合物に加えて、オキセタン系化合物を含有することもできる。オキセタン系化合物を添加することにより、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の粘度を低くし、硬化速度を速めることができる。
接着剤層の形成に用いる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、エポキシ系化合物やオキセタン系化合物などのカチオン重合性化合物を含む場合、その硬化性樹脂組成物には通常、光カチオン重合開始剤が配合される。光カチオン重合開始剤を使用すると、常温での接着剤層の形成が可能となるため、偏光フィルムの耐熱性や膨張による歪を考慮する必要が減少し、密着性良く液晶セル基板1と偏光板5とを貼合できるようになる。また、光カチオン重合開始剤は光で触媒的に作用するため、これを硬化性樹脂組成物に混合しても、硬化性樹脂組成物は保存安定性や作業性に優れる。
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロボレートなど。
ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
ビス(4−ノニルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェートなど。
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
4,4′−ビス(ジフェニルスルホニオ)ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、
4,4′−ビス〔ビス(β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、
4,4′−ビス〔ビス(β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、
7−〔ビス(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン ヘキサフルオロアンチモネート、
7−〔ビス(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
4−フェニルカルボニル−4′−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロホスフェート、
4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4′−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロアンチモネート、
4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4′−ビス(p−トルイル)スルホニオ−ジフェニルスルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなど。
キシレン−シクロペンタジエニル鉄(II) ヘキサフルオロアンチモネート、
クメン−シクロペンタジエニル鉄(II) ヘキサフルオロホスフェート、
キシレン−シクロペンタジエニル鉄(II) トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタナイドなど。
“BBI-102”、“BBI-103”、“BBI-105”、“TPS-101”、“TPS-102”、“TPS-103”、
“TPS-105”、“MDS-103”、“MDS-105”、“DTS-102”及び“DTS-103”、 ローディア社から販売されている“PI-2074”などを挙げることができる。
本発明では、活性エネルギー線硬化性化合物として少なくとも上で説明したエポキシ系化合物を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に、紫外線吸収剤を含有させる。硬化性樹脂組成物に紫外線吸収剤を配合し、その組成物から形成される層に紫外線吸収能を付与することで、その硬化性樹脂組成物を硬化させるために照射される活性エネルギー線による液晶セルへの影響を抑えることができる。紫外線吸収剤は、波長400nm以下、とりわけ380nm以下の紫外域に吸収能を有する化合物であればよく、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤などがある。これらの中でもベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が代表的であり、本発明においても好ましく用いられる。
2,2′−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、
2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、
2−[2−ヒドロキシ−3−(α,α−ジメチルベンジル)−5−tert−オクチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、
2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、
2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、
2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
2−(3−ドデシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
3−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸のC7〜C9アルキルエステル、
3−[3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸のC7〜C9アルキルエステルなど。
326”、“TINUVIN 328”、“TINUVIN 329”、“TINUVIN 384-2”、“TINUVIN 571”、
“TINUVIN 900”、“TINUVIN 928”、“TINUVIN 1130”などが販売されている。
ベンゾエート系紫外線吸収剤として同社から、“TINUVIN 120”が販売されている。
2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤として同社から、“CHIMASSORB 81”が販売されている。
ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤として同社から、“TINUVIN 400”、
“TINUVIN 405”、“TINUVIN 460”、“TINUVIN 479”、“TINUVIN 1577 FF”などが販売されている。
接着剤層2の形成に用いられる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、上記エポキシ系化合物とともに、あるいはエポキシ系化合物及びオキセタン系化合物とともに、ラジカル重合性である(メタ)アクリル系化合物を含有してもよい。(メタ)アクリル系化合物を併用することにより、接着剤層の硬度や機械的強度を高める効果が期待でき、さらには、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の粘度や硬化速度などの調整をより容易に行うことができるようになる。
テトラヒドロフルフリル (メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシエチル (メタ)アクリレート、
2−又は3−ヒドロキシプロピル (メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシブチル (メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル (メタ)アクリレート、
イソブチル (メタ)アクリレート、
tert−ブチル (メタ)アクリレート、
2−エチルヘキシル (メタ)アクリレート、
シクロヘキシル (メタ)アクリレート、
ジシクロペンテニル (メタ)アクリレート、
ベンジル (メタ)アクリレート、
イソボルニル (メタ)アクリレート、
2−フェノキシエチル (メタ)アクリレート、
ジシクロペンテニルオキシエチル (メタ)アクリレート、
N,N−ジメチルアミノエチル (メタ)アクリレート、
エチルカルビトール (メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパン モノ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトール モノ(メタ)アクリレート、
フェノキシポリエチレングリコール (メタ)アクリレートなど。
2−(メタ)アクリロイルオキシエチル フタル酸、
2−(メタ)アクリロイルオキシエチル ヘキサヒドロフタル酸、
2−カルボキシエチル (メタ)アクリレート、
2−(メタ)アクリロイルオキシエチル コハク酸、
4−(メタ)アクリロイルオキシエチル トリメリット酸など。
エチレングリコール ジ(メタ)アクリレート、
1,3−ブタンジオール ジ(メタ)アクリレート、
1,4−ブタンジオール ジ(メタ)アクリレート、
1,6−ヘキサンジオール ジ(メタ)アクリレート、
1,9−ノナンジオール ジ(メタ)アクリレート、
ネオペンチルグリコール ジ(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパン ジ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトール ジ(メタ)アクリレート、
ジトリメチロールプロパン ジ(メタ)アクリレート、
ジエチレングリコール ジ(メタ)アクリレート、
トリエチレングリコール ジ(メタ)アクリレート、
ジプロピレングリコール ジ(メタ)アクリレート、
トリプロピレングリコール ジ(メタ)アクリレート、
ポリエチレングリコール ジ(メタ)アクリレート、
ポリプロピレングリコール ジ(メタ)アクリレート、
ポリテトラメチレングリコール ジ(メタ)アクリレート、
ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メタ)アクリレート、
2,2−ビス[4−{2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ}フェニル]プロパン、
2,2−ビス[4−{2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ}シクロヘキシル]プロパン、
水添ジシクロペンタジエニル ジ(メタ)アクリレート、
トリシクロデカンジメタノール ジ(メタ)アクリレート、
1,3−ジオキサン−2,5−ジイルジ(メタ)アクリレート〔別名:ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート〕、
ヒドロキシピバルアルデヒドとトリメチロールプロパンとのアセタール化合物〔化学名:2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン〕のジ(メタ)アクリレート、
1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレートなど。
グリセリン トリ(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパン トリ(メタ)アクリレート、
ジトリメチロールプロパン トリ(メタ)アクリレート、
ジトリメチロールプロパン テトラ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトール トリ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトール テトラ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトール テトラ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトール ペンタ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトール ヘキサ(メタ)アクリレートなど。
2−ヒドロキシエチル (メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシプロピル (メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシブチル (メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル (メタ)アクリレート、
グリセリン ジ(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパン ジ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトール トリ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトール ペンタ(メタ)アクリレートなど。
ヘキサメチレンジイソシアネート、
リジンジイソシアネート、
イソホロンジイソシアネート、
ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、
トリレンジイソシアネート、
キシリレンジイソシアネート、
芳香族ジイソシアネート類を水素添加して得られる化合物、例えば、水素添加トリレンジイソシアネートや、水素添加キシリレンジイソシアネート、
トリフェニルメタントリイソシアネート、
ジベンジルベンゼントリイソシアネート、
これらのうちのジイソシアネート類を多量化させて得られるポリイソシアネートなど。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、以上説明した(メタ)アクリル系化合物のようなラジカル重合性化合物を含有する場合には、光ラジカル重合開始剤を配合することが好ましい。光ラジカル重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により、ラジカル重合性化合物の重合を開始できるものであればよく、従来公知のものを使用することができる。光ラジカル重合開始剤の具体例を挙げれば、アセトフェノン、3−メチルアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル−2−モルホリノプロパン−1−オン及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンのようなアセトフェノン系開始剤;ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン及び4,4′−ジアミノベンゾフェノンのようなベンゾフェノン系開始剤;ベンゾインプロピルエーテル及びベンゾインエチルエーテルのようなベンゾインエーテル系開始剤;4−イソプロピルチオキサントンのようなチオキサントン系開始剤;その他、キサントン、フルオレノン、カンファーキノン、ベンズアルデヒド、アントラキノンなどがある。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じてさらに光増感剤を含有することができる。光増感剤を配合することで、カチオン重合及び/又はラジカル重合の反応性が向上し、接着剤層の機械的強度や偏光板と液晶セル基板との間の接着性を向上させることができる。光増感剤は380nmより長い波長に極大吸収を有する化合物であればよく、例えば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾ及びジアゾ化合物、ハロゲン化合物、アントラセン系化合物、光還元性色素などが挙げられる。光増感剤となり得るカルボニル化合物の例を挙げると、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル及びα,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノンのようなベンゾイン誘導体;ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン及び4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンのようなベンゾフェノン系化合物;2−クロロチオキサントン及び2−イソプロピルチオキサントンのようなチオキサントン誘導体;2−クロロアントラキノン及び2−メチルアントラキノンのようなアントラキノン誘導体;N−メチルアクリドン及びN−ブチルアクリドンのようなアクリドン誘導体などがある。アントラセン系化合物は、アントラセンの9−位と10−位にアルコキシ基を有するものが好ましく、光増感剤となり得るアントラセン系化合物の例を挙げると、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、2−メチル−又は2−エチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2−メチル−又は2−エチル−9,10−ジブトキシアントラセンなどがある。これらの光増感剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。光増感剤を配合する場合、その量は、活性エネルギー線硬化性化合物全体を100重量部として、通常 0.1〜20重量部程度である。
接着剤層2は、10μm 以下の厚さとすることが、光学積層体の薄型軽量化の観点から好ましく、5μm以下であるのがより好ましい。接着剤層の厚さが10μm以下であると、偏光板の外観を損ねるおそれも少ない。一方で、その厚さが10μm を超えると、接着剤の硬化不足により、液晶セル基板と偏光板との接着力が十分でなくなるおそれもある。
接着剤層2は、偏光板5側から照射される活性エネルギー線がその接着剤層で大半が吸収・消費され、液晶セル基板1の偏光板5とは反対側にある液晶分子に悪影響を与えないようにする観点から、その波長380nmの光に対する透過率が30%以下となるようにすることが好ましく、さらには20%以下、とりわけ10%以下となるようにすることが一層好ましい。380nmの光に対する透過率が30%より大きいと、紫外線吸収能が十分でなく、液晶セル内の液晶分子に悪影響を及ぼしてしまう可能性が大きくなる。一方、本発明の光学積層体は液晶表示装置に用いられるため、可視光領域の透過率は高いほうが好ましい。そこでこの接着剤層2は、波長500nmの光に対する透過率が75%以上であることが好ましく、さらには80%以上であることがより好ましい。
本発明の光学積層体は、図1を参照して先に説明したように、液晶セル基板1上に、上で説明した接着剤層2を介して貼合された偏光板5を備える。偏光板5は少なくとも、ポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向された偏光フィルムを有する。偏光板5は、光学積層体10、さらに液晶パネルを薄くする観点から、200μm 以下の膜厚を有するもので構成することが好ましく、100μm 以下の膜厚を有するもので構成することがさらに好ましい。上記のような偏光フィルムそれ自体を単独で偏光板5とすることもできるが、偏光フィルム単独では脆いため、その少なくとも片面、特に液晶セル基板1に貼合される面とは反対側の面に透明保護層を設けたものが、好ましく用いられる。
偏光板5を構成する偏光フィルム6は、ポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向されたものである。より具体的には、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向されたものが好適に用いられる。
偏光フィルム6の片面に設けられる透明保護層7、及びその反対面に必要に応じて設けられる樹脂層8は、例えば、酢酸セルロース系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂など、当分野において従来から保護層の形成材料として広く用いられている適宜の熱可塑性樹脂フィルムで構成することができる。また、透明保護層7は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物で構成することもできる。量産性及び接着性の観点からは、これらのなかでも、酢酸セルロース系樹脂、シクロオレフィン系樹脂若しくはポリエステル系樹脂からなるフィルム、又は活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物を透明保護層7とすることが好ましい。透明保護層7及び/又は樹脂層8を熱可塑性樹脂フィルムで構成する場合、その厚さは通常10〜50μm 程度である。一方、透明保護層7を活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物で構成する場合、その厚さは10μm 以下、例えば1〜10μm 程度とすることができる。
透明保護層7が樹脂フィルムである場合、また樹脂層8がフィルムである場合、偏光フィルム6と透明保護層7の貼着、そして偏光フィルム6と樹脂層8の貼着には、接着剤が用いられる。このために用いる接着剤は特に限定されないが、例えば、活性エネルギー線硬化性化合物を含有する硬化性樹脂組成物や、接着剤成分を水に溶解又は分散させた水系の接着剤が挙げられる。これらのなかでも、乾燥工程が不要であることから、活性エネルギー線硬化性化合物を含有する硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。硬化性樹脂組成物を接着剤として用いる場合には、通常、偏光フィルム6と透明保護層7、また必要に応じて偏光フィルム6と樹脂層8とを、硬化性樹脂組成物の層を介して貼合した後、この貼合物に活性エネルギー線を照射して硬化性樹脂組成物層を硬化させる。
以上説明した光学積層体は、以下の(1)硬化性樹脂組成物層形成工程、(2)貼合工程、及び(3)硬化工程を備える方法により、有利に製造することができる。
(2)液晶セル基板1に、上記の硬化性樹脂組成物層形成工程で偏光板5の表面に形成された硬化性樹脂組成物の層を貼り合わせる貼合工程、及び
(3)上記貼合工程で得られる液晶セル基板1/硬化性樹脂組成物層/偏光板5からなる貼合物の偏光板5側から、可視光線、紫外線、X線、又は電子線のような活性エネルギー線を照射し、硬化性樹脂組成物層を硬化させて接着剤層2とする硬化工程。
本発明の光学積層体10〜12は、その液晶セル基板1の偏光板5が貼合されている面とは反対側に、もう一つの液晶セル基板を配置し、両者の間に液晶を挟持することで、液晶セル又は液晶パネルとすることができる。この液晶セル又は液晶パネルを表示素子として、液晶表示装置が構成される。2枚の液晶セル基板間に液晶が封入された状態の液晶セル自体を図1〜3における液晶セル基板1とし、その一方又は双方の表面に、本発明に従って偏光板を貼合し、液晶パネルとすることもできる。本発明の光学積層体は、熱衝撃試験などに対する耐久性に優れるものであることから、上記のようにして作製される液晶表示装置も同様に、熱衝撃試験などに対する耐久性に優れるとともに、薄型軽量化が図られたものとなる。
TINUVIN 384-2 :3−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸のC7〜C9分岐及び直鎖アルキル混合エステル。
TINUVIN 571 : 2−(3−ドデシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール。
TINUVIN 928 : 2−[2−ヒドロキシ−3−(α,α−ジメチルベンジル)−5−
tert−オクチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール。
TINUVIN 1130: 3−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピン酸メチルとポリエチレングリコール300との反応生成物であって、概ね以下の組成を有する。
以下の各成分を混合して、紫外線硬化性接着剤組成物の原液を調製した。
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学(株)製の“セロキサイド 2021P”) 75部
ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル〔東亞合成(株)製の“アロンオキセタン OXT-221〕 25部
4,4′−ビス(ジフェニルスルホニオ)ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート系の光カチオン重合開始剤(ダイセル・サイテック(株)製の“UVACURE
1590”) 2.5部
シリコーン系レベリング剤〔東レ・ダウコーニング(株)製の“SH710 ”) 0.2部
(a)紫外線吸収剤入り接着剤組成物の調製
製造例1で調製した紫外線硬化性接着剤組成物の原液100部に対し、紫外線吸収剤である“TINUVIN 234 ”を5部混合して、紫外線吸収剤入り接着剤組成物を調製した。
ポリエチレンテレフタレートフィルム〔東洋紡績(株)製の“東洋紡エステルフィルム E7002”〕の片面に、バーコーター〔第一理化(株)製〕を用いて、上記(a)で調製した紫外線吸収剤入り接着剤組成物を塗工し、フュージョンUVシステムズ社製の“Dバルブ”により積算光量1,500mJ/cm2で紫外線を照射し、組成物を硬化させた。接着剤組成物の膜厚は、バーコーターの番線の番号を変えて調節し、硬化後の厚さが9μm となるようにした。得られた硬化物をポリエチレンテレフタレートフィルムから剥離し、紫外可視分光光度計〔(株)島津製作所製の“UV2450”〕を用いて、その硬化物フィルムの分光吸収スペクトルを測定した。この分光吸収スペクトルから、波長380nm及び500nmにおける透過率を読み取り、結果を表1にまとめた。
紫外線吸収剤を含有しない厚さ38μm のポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、バーコーター〔第一理化(株)製〕を用いて、製造例1で調製した紫外線硬化性接着剤組成物(紫外線吸収剤が配合される前の原液そのまま)を塗工した。接着剤組成物を塗工したときの膜厚は粘度によって変化するため、バーコーターの番線の番号を変え、硬化後の厚さが約2μm となるように調節した。次に、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向している偏光フィルムの片面に、この紫外線硬化性接着剤組成物の塗膜を有するポリエチレンテレフタレートフィルムを、塗膜面と偏光フィルムが重なるように貼付装置(フジプラ(株)製の“LPA3301 ”)を用いて貼合した。この貼合品のポリエチレンテレフタレートフィルム側から、フュージョンUVシステムズ社製の“Dバルブ”により積算光量1,500mJ/cm2で紫外線を照射して接着剤組成物を硬化させ、ポリビニルアルコール偏光フィルムの片面にポリエチレンテレフタレートフィルムが貼合された偏光板を作製した。
上記(c)で作製した偏光板を8cm×8cmのサイズにカットし、ポリエチレンテレフタレートフィルムが貼合されていないポリビニルアルコール面に、バーコーター(第一理化(株)製)を用いて、上記(a)で調製した紫外線吸収剤入り接着剤組成物を塗工した。接着剤組成物を塗工したときの膜厚は粘度によって変化するため、バーコーターの番線の番号を変え、硬化後の厚さが約2μm となるように調節した。
実施例1の(a)における紫外線吸収剤の種類及び添加量を表1のように変更し、得られた接着剤組成物について、実施例1の(b)と同様の方法でその硬化物の透過率を測定し、その結果を表1にまとめた。また、それぞれの接着剤組成物を用いる以外は、実施例1の(d)と同様にして光学積層体を作製した。
実施例1の(a)において紫外線吸収剤を添加せず、製造例1で調製した紫外線硬化性接着剤組成物の原液をそのまま用いて、実施例1の(b)と同様の方法でその硬化物の透過率を測定し、その結果を表1にまとめた。また、この紫外線硬化性接着剤組成物の原液をそのまま用いる以外は、実施例1の(d)と同様にして光学積層体を作製した。
実施例1の(c)で作製したポリビニルアルコール偏光フィルムの片面にポリエチレンテレフタレートフィルムが貼合されている偏光板を用い、そのポリエチレンテレフタレートフィルムが貼合されていないポリビニルアルコール面に、アクリル系粘着剤層を形成した。得られた粘着剤付き偏光板を8cm×8cmのサイズにカットし、そのアクリル系粘着剤層を実施例1の(c)で用いたのと同じ透明ガラス基板の一方の面に貼合した。この貼合品を、50℃のオートクレーブ中、圧力5kg/cm2(約0.5MPa )で20分間処理して、光学積層体を作製した。
以上の実施例及び比較例で作製した光学積層体に対し、−35℃で1時間保持する過程と70℃で1時間保持する過程を1サイクルとして、これを300回繰り返すヒートショック試験を行った。試験後の偏光板を目視で観察して以下の基準で評価し、結果を表1にまとめた。
○:偏光フィルムに浮きや剥れが全く認められず、割れも認められない。
×:偏光フィルムに浮きや剥がれは認められないが、割れが認められる。
7……透明保護層、 8……樹脂層、 10,11,12……光学積層体。
Claims (6)
- 液晶セル基板と、ポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向された偏光フィルムを有する偏光板とが、接着剤層を介して貼合されており、
前記接着剤層は、分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有するエポキシ系化合物を含有し、さらに組成物の固形分100重量部あたり 0.1〜20重量部の紫外線吸収剤を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする光学積層体。 - 前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、オキセタン系化合物をさらに含有する請求項1に記載の光学積層体。
- 前記接着剤層は、10μm 以下の厚さを有する請求項1又は2に記載の光学積層体。
- 前記偏光板は、200μm 以下の膜厚を有する請求項1〜3のいずれかに記載の光学積層体。
- 前記偏光板は、前記偏光フィルムと、その片面に積層された透明保護層とを有し、その偏光フィルムの前記透明保護層とは反対側の面で、前記接着剤層を介して前記液晶セル基板に貼合されている請求項1〜4のいずれかに記載の光学積層体。
- ポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向された偏光フィルムを有する偏光板の表面に、分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有するエポキシ系化合物を含有し、さらに組成物の固形分100重量部あたり 0.1〜20重量部の紫外線吸収剤を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の層を形成する工程、
液晶セル基板に、前記偏光板の表面に形成された硬化性樹脂組成物の層を貼り合わせる工程、及び
液晶セル基板に貼合された偏光板側から活性エネルギー線を照射し、前記硬化性樹脂組成物の層を硬化させて接着剤層とする工程
を備えることを特徴とする光学積層体の製造方法。
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