JP6379446B2 - 偏光板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムと、熱可塑性樹脂からなる保護フィルムとが、活性エネルギー線硬化性化合物を含有する硬化性組成物からなる接着剤を介して貼合されている偏光板、及びその製造方法に関するものである。
偏光板は、液晶表示装置を構成する光学部品の一つとして有用である。偏光板は通常、偏光フィルムの両面に保護フィルムが積層された構造を有し、液晶表示装置に組み込まれる。偏光フィルムの片面にのみ保護フィルムを設けることも知られているが、もう一方の面には多くの場合、単なる保護フィルムとしてではなく、別の光学機能を有するフィルムが、保護フィルムの機能を兼ねて貼合される。
偏光フィルムの製造方法として、二色性色素により染色された一軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸処理し、水洗後、乾燥する方法が広く採用されている。こうして得られる偏光フィルムは、物理的な強度が弱く、加工方向に裂けやすいなどの問題があるため、上述のとおり、その少なくとも片面、通常は両面に、接着剤を介して保護フィルムが貼合される。このための接着剤として、伝統的にポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる水系の接着剤が使用されてきた。また、保護フィルムとして伝統的には、厚さが30〜100μm のトリアセチルセルロースフィルムが使用されてきた。
トリアセチルセルロースは、透明性に優れ、各種の表面処理層や光学機能層を形成しやすく、また透湿度が大きく、上記のような水系接着剤を用いて偏光フィルムに貼合した後の乾燥がスムーズに行えるといった、保護フィルムとして優れた利点を有するため、現在でも広く使用されている。一方で、透湿度が大きいことに起因して、トリアセチルセルロースからなる保護フィルムが貼合された偏光板は、湿熱下、例えば、温度70℃、相対湿度90%といった条件下では劣化を引き起こしやすいなどの問題があった。そこで、かかる問題が顕在化しやすい用途には、トリアセチルセルロースよりも透湿度の小さい、例えば、ノルボルネン系樹脂を代表例とする非晶性ポリオレフィン系樹脂を保護フィルムとして貼合することも、近年では広く行われている。
透湿度の小さい樹脂からなる保護フィルムをポリビニルアルコール系偏光フィルムに貼合する場合、従来からポリビニルアルコール系偏光フィルムとトリアセチルセルロースフィルムとの貼合に一般に用いられているポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を接着剤とすると、接着強度が十分でなかったり、得られる偏光板の外観が不良になったりする問題があった。これは、透湿度の小さい樹脂フィルムは一般的に疎水性であることや、透湿度が低いために溶媒である水を十分に乾燥できないことなどの理由による。一方で、偏光フィルムの両面に異なる種類の保護フィルムを貼合することも知られている。例えば、偏光フィルムの一方の面には非晶性ポリオレフィン系樹脂などの透湿度の小さい樹脂からなる保護フィルムを貼合し、偏光フィルムの他方の面にはトリアセチルセルロースをはじめとするセルロース系樹脂などの透湿度の大きい樹脂からなる保護フィルムを貼合する提案もある。
そこで、透湿度の小さい樹脂からなる保護フィルムとポリビニルアルコール系偏光フィルムとの間で高い接着力を与えるとともに、セルロース系樹脂などの透湿度の大きい樹脂からなる保護フィルムとポリビニルアルコール系偏光フィルムとの間でも高い接着力を与える接着剤として、光硬化性接着剤を用いる試みがある。例えば、特許第 4306270号公報(特許文献1)には、芳香環を含まないエポキシ化合物を主成分とする接着剤が開示されており、活性エネルギー線の照射、具体的には紫外線の照射によるカチオン重合でこの接着剤を硬化させ、偏光フィルムと保護フィルムとを接着することが提案されている。また特開2008-257199 号公報(特許文献2)には、脂環式エポキシ化合物と脂環式エポキシ基を有さないエポキシ化合物とを組み合わせ、さらに光カチオン重合開始剤を配合した光硬化性接着剤を、偏光フィルムと保護フィルムとの接着に用いる技術が開示されている。
特許第4306270号公報(特開2004−245925号公報) 特開2008−257199号公報
これら公知の光硬化性接着剤は、偏光フィルムと保護フィルムを適度の接着力で接着するものの、その接着力は必ずしも十分とはいえず、例えば、その光硬化性接着剤を用いて偏光フィルムと保護フィルムとを貼合することにより得られる偏光板は、液晶表示装置に適用するため所定サイズに裁断した状態で、その端部を研磨すると、その端部で偏光フィルムから保護フィルムが剥離することがあった。
本発明の目的は、二色性色素が吸着配向しているポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムに、活性エネルギー線硬化性化合物を含有する硬化性組成物からなる接着剤を介して熱可塑性樹脂からなる保護フィルムが貼合されている偏光板において、偏光フィルムと熱可塑性樹脂からなる保護フィルムとの間の接着力を高めることにある。
研究の結果、二色性色素が吸着配向しているポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの少なくとも片面に、活性エネルギー線硬化性化合物を含有する硬化性組成物からなる接着剤を介して熱可塑性樹脂からなる保護フィルムが貼合されている偏光板において、偏光フィルムと接着剤の界面に、ポリビニルアルコール系樹脂を含有するプライマー層を設けることで、偏光フィルムと保護フィルムとの接着力が高まることを見出した。
すなわち本発明によれば、ポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向している偏光フィルムと、その表面に積層された熱可塑性樹脂からなる保護フィルムとを備え、両者の界面には偏光フィルム側から順に、ポリビニルアルコール系樹脂を含有するプライマー層、及び活性エネルギー線硬化性化合物を含有する硬化性組成物の硬化物からなる接着剤層が介在する偏光板が提供される。
上記のプライマー層は、ポリビニルアルコール系樹脂とともに架橋剤を含有する水溶液から形成されていることが好ましい。このプライマー層は、その膜厚が1μm 以下であることが好ましい。
また本発明によれば、ポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向している偏光フィルムに、活性エネルギー線硬化性化合物を含有する硬化性組成物からなる接着剤を介して熱可塑性樹脂からなる保護フィルムを貼合し、偏光板を製造する方法であって、その偏光フィルムの表面に、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶液を塗工してプライマー層を形成するプライマー層形成工程、そのプライマー層が形成された面に、上記の接着剤を介して上記の保護フィルムを積層する積層工程、及び、積層工程で得られる積層体に活性エネルギー線を照射して上記の接着剤を硬化させる硬化工程を備える偏光板の製造方法も提供される。
本発明の偏光板は、二色性色素が吸着配向しているポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの少なくとも片面に、活性エネルギー線硬化性化合物を含有する硬化性組成物からなる接着剤を介して熱可塑性樹脂からなる保護フィルムが貼合されている偏光板において、偏光フィルムと接着剤の界面に、ポリビニルアルコール系樹脂を含有するプライマー層を有する構成であり、特にそのプライマー層の存在によって、偏光フィルムと熱可塑性樹脂からなる保護フィルムとの接着力が高められたものとなる。また本発明の製造方法によれば、偏光フィルムと熱可塑性樹脂からなる保護フィルムとの接着力が高められた偏光板を有利に製造することができる。
本発明に係る偏光板の基本的な層構成を示す断面模式図である。 本発明に係る偏光板の好ましい層構成の例を示す断面模式図である。
本発明の偏光板は、図1を参照して、ポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向している偏光フィルム1に、熱可塑性樹脂からなる保護フィルム2が積層されたものである。そして両者の界面には、偏光フィルム1側から順に、ポリビニルアルコール系樹脂を含有するプライマー層4及び活性エネルギー線硬化性化合物を含有する硬化性組成物の硬化物からなる接着剤層6が介在する。熱可塑性樹脂からなる保護フィルム2は、偏光フィルム1の少なくとも片面に貼合すればよく、もちろん偏光フィルム1の両面に貼合してもよい。
偏光フィルムの両面に保護フィルムを貼合する場合は、図2に示すように、偏光フィルム1の一方の保護フィルム2が貼合された面と反対側の面に、熱可塑性樹脂からなるもう一つの保護フィルム3が貼合される。その場合も、偏光フィルム1と保護フィルム3の界面には、偏光フィルム1側から順に、ポリビニルアルコール系樹脂を含有するもう一つのプライマー層5及び活性エネルギー線硬化性化合物を含有する硬化性組成物の硬化物からなるもう一つの接着剤層7を介在させることが好ましい。図2に示すように、偏光フィルム1の両面に熱可塑性樹脂からなる保護フィルム2,3を貼合する場合、二つの保護フィルム2及び3は、同じであっても異なっていてもよく、プライマー層4及び5は、同じ組成でも異なる組成でもよく、また接着剤層6及び7は、同じ接着剤から形成しても異なる接着剤から形成してもよい。
まず、本発明に係る偏光板の各構成部材について説明する。
[偏光フィルム]
本発明に用いられる偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向しているものである。二色性色素の吸着前、吸着中、又は吸着後に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸することにより、その二色性色素を延伸方向に配向させることができる。ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、不飽和スルホン酸類、上記エチレンをはじめとするオレフィン類、ビニルエーテル類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%であり、好ましくは98モル%以上である。このポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなども使用し得る。また、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000の範囲内、好ましくは1,500〜5,000の範囲内である。
かかるポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものでなく、従来公知の適宜の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルムの膜厚は特に限定されないが、例えば10〜150μm 程度である。
偏光フィルムは、通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色してその二色性色素を吸着させる工程(染色処理工程)、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程(ホウ酸処理工程)、及び、このホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程(水洗処理工程)を経て、製造される。
また、偏光フィルムの製造に際し、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは一軸延伸されるが、この一軸延伸は、染色処理工程の前に行ってもよいし、染色処理工程中に行ってもよいし、染色処理工程の後で行ってもよい。一軸延伸を染色処理工程の後で行う場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理工程の前に行ってもよいし、ホウ酸処理工程中に行ってもよい。もちろん、これら複数の段階で一軸延伸を行うことも可能である。一軸延伸は、周速の異なる離間したロール間を通すことにより行ってもよいし、熱ロールで挟む方式で行ってもよい。また、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤にて膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常3倍〜8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの二色性色素による染色は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、二色性色素を含有する水溶液に浸漬することによって行われる。二色性色素としては、例えば、ヨウ素や二色性有機染料などが用いられる。二色性有機染料には、例えば、 C.I. DIRECT RED 39 などのジスアゾ化合物からなる二色性直接染料、トリスアゾ、テトラキスアゾなどの化合物からなる二色性直接染料が包含される。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、水100重量部あたり、通常 0.01〜1重量部であり、ヨウ化カリウムの含有量は、水100重量部あたり、通常 0.5〜20重量部である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、染色に供される水溶液の温度は、通常20〜40℃であり、またこの水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常 20〜1,800秒間である。
一方、二色性色素として二色性有機染料を用いる場合は、通常、水溶性の二色性有機染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性有機染料の含有量は、水100重量部あたり、通常1×10-4〜10重量部、好ましくは1×10-3〜1重量部であり、さらに好ましくは1×10-3〜1×10-2重量部である。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を染色助剤として含有していてもよい。二色性色素として二色性有機染料を用いる場合、染色に供される染料水溶液の温度は、通常20〜80℃であり、またこの水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常 10〜1,800秒間である。
ホウ酸処理工程は、二色性色素により染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬することにより行われる。ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は、水100重量部あたり、通常2〜15重量部、好ましくは5〜12重量部である。上述した染色処理工程における二色性色素としてヨウ素を用いた場合には、このホウ酸処理工程で用いる水溶液は、ホウ酸に加えてヨウ化カリウムを含有することが好ましい。この場合、ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの含有量は、水100重量部あたり、通常 0.1〜15重量部、好ましくは5〜12重量部である。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常 60〜1,200秒間、好ましくは150〜600秒間、さらに好ましくは200〜400秒間である。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃、より好ましくは60〜80℃である。
続く水洗処理工程では、上述したホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、例えば水に浸漬することによって水洗処理する。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃であり、浸漬時間は、通常1〜120秒間である。水洗処理後は通常、乾燥処理が施されて、偏光フィルムが得られる。乾燥処理は、例えば、熱風乾燥機や遠赤外線ヒータなどを用いて行うことができる。乾燥処理の温度は、通常30〜100℃、好ましくは50〜80℃である。乾燥処理の時間は、通常60〜600秒間、好ましくは120〜600秒間である。
以上のようにして、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向している偏光フィルムを作製することができる。この偏光フィルムの厚みは、5〜40μm 程度とすることができる。
[プライマー層]
偏光フィルム1と熱可塑性樹脂からなる保護フィルム2の界面には、偏光フィルム1側から順に、ポリビニルアルコール系樹脂を含有するプライマー層4及び活性エネルギー線硬化性化合物を含有する硬化性組成物の硬化物からなる接着剤層6が介在する。このように、保護フィルム2と接着剤層6の間にプライマー層4を介在させることにより、偏光フィルム1と保護フィルム2の接着性が向上する。
プライマー層4は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶液(以下、「プライマー用塗工液」とも称する)を偏光フィルム1上に塗工した後、乾燥処理を施すことにより形成することができる。
ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとそれに共重合可能な他の単量体との共重合体などが例示される。酢酸ビニルに共重合される他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、不飽和スルホン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。プライマー用塗工液に用いるポリビニルアルコール系樹脂は、適度の重合度を有していることが好ましい。例えば、4重量%濃度の水溶液としたとき、25℃において、4〜1,000mPa・sec の範囲内、さらには6〜500mPa・secの範囲内、とりわけ10〜300mPa・secの範囲内の粘度を示すようにすることが好ましい。
プライマー用塗工液に用いるポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、特に制限されないが、一般には80モル%以上であることが好ましく、さらには90モル%以上であることがより好ましい。プライマー用塗工液に用いるポリビニルアルコール系樹脂のケン化度が低いと、得られるプライマー層の耐水性が不十分になりやすい傾向にある。
プライマー用塗工液には、変性されたポリビニルアルコール系樹脂が好ましく用いられる。好適な変性ポリビニルアルコール系樹脂として、アセトアセチル基変性されたポリビニルアルコール系樹脂、アニオン変性されたポリビニルアルコール系樹脂、カチオン変性されたポリビニルアルコール系樹脂などが挙げられる。このような変性されたポリビニルアルコール系樹脂を用いれば、プライマー層の耐水性を向上させる効果が得られやすい。
アセトアセチル基変性されたポリビニルアルコール系樹脂は、ポリビニルアルコール骨格を構成する水酸基のほかに、アセトアセチル基(CH3COCH2CO−)を有するものであり、その他の基、例えばアセチル基などを有していてもよい。このアセトアセチル基は、典型的にはポリビニルアルコールを構成する水酸基の水素原子が置換された状態で存在する。アセトアセチル基変性されたポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、ポリビニルアルコールをジケテンと反応させる方法により、製造することができる。アセトアセチル基変性されたポリビニルアルコール系樹脂は、反応性の高い官能基であるアセトアセチル基を有することから、プライマー層の耐久性を向上させるうえで好ましい。
アセトアセチル基変性されたポリビニルアルコール系樹脂におけるアセトアセチル基の含有量は、 0.1モル%以上であれば特に制限はない。ここでいうアセトアセチル基の含有量とは、ポリビニルアルコール系樹脂における水酸基、アセトアセチル基、及びその他のエステル基(アセチル基など)の合計量に対するアセトアセチル基のモル分率を%で表示した値であり、「アセトアセチル化度」と呼ぶことがある。ポリビニルアルコール系樹脂におけるアセトアセチル化度が 0.1モル%を下回ると、プライマー層の耐水性を向上させる効果が必ずしも十分でなくなる。ポリビニルアルコール系樹脂におけるアセトアセチル化度は、 0.1〜40モル%程度、さらには1〜20モル%、とりわけ2〜7モル%であることが好ましい。アセトアセチル化度が40モル%を超えると、耐水性の向上効果が小さくなる。
アニオン変性されたポリビニルアルコール系樹脂は、ポリビニルアルコール骨格を構成する水酸基のほかに、アニオン性基、典型的にはカルボキシル基(−COOH)又はその塩を含有するものであり、そのほかの基、例えばアセチル基などを有していてもよい。アニオン変性されたポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、アニオン性基(典型的にはカルボキシル基)を有する不飽和単量体を酢酸ビニルに共重合させ、次いでケン化する方法により、製造することができる。一方、カチオン変性されたポリビニルアルコール系樹脂は、ポリビニルアルコール骨格を構成する水酸基のほかに、カチオン性基、典型的には3級アミノ基又は4級アンモニウム基を含有するものであり、そのほかの基、例えばアセチル基などを有していてもよい。カチオン変性されたポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、カチオン性基(典型的には3級アミノ基又は4級アンモニウム基)を有する不飽和単量体を酢酸ビニルに共重合させ、次いでケン化する方法により、製造することができる。
本発明に用いられるプライマー用塗工液はもちろん、上述した変性ポリビニルアルコール系樹脂を2種以上含むものであってもよく、また、未変性のポリビニルアルコール系樹脂(具体的には、ポリ酢酸ビニルの完全又は部分ケン化物)及び上述した変性ポリビニルアルコール系樹脂の両方を含むものであってもよい。
プライマー用塗工液を構成するポリビニルアルコール系樹脂は、市販品の中から適宜選択して使用することができる。具体的には、例えば、高いケン化度を有するポリビニルアルコールであって、(株)クラレから販売されている“PVA-117H”や、日本合成化学工業(株)から販売されている“ゴーセノール NH-20”、アセトアセチル基変性されたポリビニルアルコールであって、日本合成化学工業(株)から販売されている“ゴーセファイマーZ”シリーズ、アニオン変性されたポリビニルアルコールであって、(株)クラレから販売されている“KL-318”及び“KM-118”や、日本合成化学工業(株)から販売されている“ゴーセナール T-330”、カチオン変性されたポリビニルアルコールであって、(株)クラレから販売されている“CM-318”や、日本合成化学工業(株)から販売されている
“ゴーセファイマー K-210”などを挙げることができる。
プライマー用塗工液に用いられる水は、純水、超純水、水道水などであることができ、特に制限されないが、形成されるプライマー層の均一性及び透明性を保持する観点から、純水又は超純水が好ましい。また、メタノールやエタノール等のアルコールをプライマー用塗工液に加えることもできる。
ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とするプライマー用塗工液には、架橋剤を含有させることができる。架橋剤は、ポリビニルアルコール系樹脂に対して反応性を有する官能基を有する化合物であればよく、従来からポリビニルアルコール系接着剤において用いられているものを特に制限なく使用することができる。架橋剤となりうる化合物を官能基別に掲げると、イソシアナト基(−NCO)を分子内に少なくとも2個有するイソシアネート化合物;エポキシ基(橋かけの−O−)を分子内に少なくとも2個有するエポキシ化合物;モノ−又はジ−アルデヒド類;有機チタン化合物;マグネシウム、カルシウム、鉄、ニッケル、亜鉛、及びアルミニウムのような二価又は三価金属の無機塩;グリオキシル酸の金属塩;メチロールメラミンなどがある。
架橋剤となるイソシアネート化合物の具体例としては、トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとのアダクト体、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、これらのケトオキシムブロック物又はフェノールブロック物などが挙げられる。
架橋剤となるエポキシ化合物の具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンのジ−又はトリ−グリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン、ポリアルキレンポリアミンとジカルボン酸との反応物であるポリアミドポリアミンにエピクロロヒドリンを反応させて得られる水溶性のポリアミドエポキシ樹脂などが挙げられる。
架橋剤となるモノアルデヒド類の具体例としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒドなどが挙げられ、ジアルデヒド類の具体例としては、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、フタルジアルデヒドなどが挙げられる。
架橋剤となる有機チタン化合物は、マツモトファインケミカル(株)から各種のものが販売されている。同社の有機チタン化合物に係るホームページ(インターネット <URL : http://www.m-chem.co.jp/products/products1.html>、平成23年01月25日検索)から、本発明に好適に用いられる水溶性有機チタン化合物を、その示性式、同社がいう化学名、同社の商品名の順に掲げると、次のようなものがある。
[(CH3)2CHO]2Ti[OCH2CH2N(CH2CH2OH)2]2 :同社がいう化学名「チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)」、同社の商品名“オルガチックス TC-400”、
(HO)2Ti[OCH(CH3)COO-]2 (NH4 +)2:同社がいう化学名「チタンラクテートアンモニウム塩」、同社の商品名“オルガチックス TC-300”、
(HO)2Ti[OCH(CH3)COOH]2 :同社がいう化学名「チタンラクテート」、同社の商品名“オルガチックス TC-310”及び“オルガチックス TC-315”。
また、グリオキシル酸の金属塩は、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩であるのが好ましく、例えば、グリオキシル酸ナトリウム、グリオキシル酸カリウム、グリオキシル酸マグネシウム、グリオキシル酸カルシウムなどが挙げられる。
これらの架橋剤のなかでも、上述した水溶性のポリアミドエポキシ樹脂をはじめとするエポキシ化合物や、アルデヒド類、メチロールメラミン、グリオキシル酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩などが好適に用いられる。
架橋剤は、ポリビニルアルコール系樹脂とともに水に溶解してプライマー層を形成していることが好ましい。ただ、以下に述べるとおり、水溶液中での架橋剤量はわずかでよいので、水に対して例えば、少なくとも 0.1重量%程度の溶解度を有するものであれば、架橋剤として使用できる。もちろん、一般に水溶性と呼ばれる程度の水に対する溶解度を有する化合物のほうが、本発明に用いる架橋剤としては好適である。
架橋剤の配合量は、ポリビニルアルコール系樹脂の種類などに応じて適宜設計されるものであるが、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、通常5〜60重量部程度、好ましくは10〜50重量部である。この範囲で架橋剤を配合することにより、良好な接着性が得られる。先述のとおり、プライマー層の耐久性を向上させるためには、アセトアセチル基変性されたポリビニルアルコール系樹脂が好ましく用いられるが、この場合にも、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、架橋剤を5〜60重量部、さらには10〜50重量部の割合で配合することが好ましい。架橋剤の配合量が多くなりすぎると、架橋剤の反応が短時間で進行し、プライマー用塗工液が早期にゲル化する傾向にあり、その結果、ポットライフが極端に短くなって工業的な使用が困難になる。
プライマー用塗工液には、本発明の効果を阻害しない範囲で、例えば、シランカップリング剤、可塑剤、帯電防止剤、微粒子など、従来公知の適宜の添加剤を配合することもできる。
プライマー層4は、それが存在しない場合に比べて偏光フィルム1と保護フィルム2の間の接着力が高まるように存在すればよく、その膜厚の下限に特別な制限はなく、例えば0.01μm以上であればよい。一方でプライマー層4が厚すぎると、偏光板の薄型軽量化の効果が小さくなる。そこで、プライマー層4の膜厚は、5μm 以下であることが好ましく、さらには2μm以下、とりわけ1μm以下であることが一層好ましい。プライマー用塗工液の塗工及びその後の乾燥によって得られるプライマー層4の厚みは、塗工法の選択、塗工に用いるコーターの選択、プライマー用塗工液の濃度の選択などにより調整できる。
偏光フィルム1と保護フィルム2を貼着するための接着剤層6は、活性エネルギー線硬化性化合物を含有する硬化性組成物から形成される。接着剤を用いてこれらのフィルムを貼着する際、接着性を向上させるために、偏光フィルム1に形成されたプライマー層4の接着面及び/又はそれに貼合される熱可塑性樹脂からなる保護フィルム2の接着面に、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理、溶剤処理などの表面処理を適宜施してもよい。以下、偏光フィルムと熱可塑性樹脂からなる保護フィルムとの貼着に用いられる接着剤について説明する。
[活性エネルギー線硬化性化合物を含有する硬化性組成物からなる接着剤]
偏光フィルム1と熱可塑性樹脂からなる保護フィルム2との貼着には、活性エネルギー線硬化性化合物を含有する硬化性組成物からなる接着剤が用いられる。
活性エネルギー線硬化性化合物とは、活性エネルギー線の照射により硬化し得る化合物を意味する。活性エネルギー線硬化性化合物は、カチオン重合性のものでもよいし、ラジカル重合性のものでもよい。カチオン重合性化合物の例として、分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有するエポキシ化合物、分子内に少なくとも1個のオキセタン環を有するオキセタン化合物などを挙げることができる。また、ラジカル重合性化合物の例として、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリル系化合物などを挙げることができる。なお、「(メタ)アクリロイルオキシ基」とは、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を意味する。
この貼着に用いる活性エネルギー線硬化性化合物は、少なくともエポキシ化合物を含むことが好ましく、これにより、偏光フィルム1と熱可塑性樹脂からなる保護フィルム2との間で良好な密着性を示すようになる。
エポキシ化合物としては、耐候性や屈折率、カチオン重合性などの観点から、分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物を主成分として用いることが好ましい。分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物として、脂環式環を有するポリオールのグリシジルエーテル、脂肪族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物などが例示できる。このような硬化性接着剤に好適に用いられるエポキシ化合物は、例えば、先の特許文献1(特許第 4306270号公報)で詳細に説明されているが、ここでも概略を説明することとする。
脂環式環を有するポリオールのグリシジルエーテルは、芳香族ポリオールを触媒の存在下、加圧下で芳香環に選択的に水素化反応を行うことにより得られる核水添ポリヒドロキシ化合物を、グリシジルエーテル化したものであることができる。芳香族ポリオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェールF、及びビスフェノールSのようなビスフェノール型化合物;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、及びヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラック樹脂のようなノボラック型樹脂;テトラヒドロキシジフェニルメタン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、及びポリビニルフェノールのような多官能型の化合物などが挙げられる。これら芳香族ポリオールの芳香環に水素化反応を行って得られる脂環式ポリオールに、エピクロロヒドリンを反応させることにより、グリシジルエーテルとすることができる。このような脂環式環を有するポリオールのグリシジルエーテルのなかでも好ましいものとして、水素化されたビスフェノールAのジグリシジルエーテルが挙げられる。
脂肪族エポキシ化合物は、脂肪族炭素原子に結合するオキシラン環(3員の環状エーテル)を分子内に少なくとも1個有する化合物である。例えば、ブチルグリシジルエーテルや2−エチルヘキシルグリシジルエーテルのような単官能のエポキシ化合物、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルやペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルのような3官能以上のエポキシ化合物、また、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイドやリモネンジオキサイドのような、脂環式環に直接結合するエポキシ基1個と、脂肪族炭素原子に結合するオキシラン環を有するエポキシ化合物もこれに該当するが、典型的には、脂肪族炭素原子に結合するオキシラン環を分子内に2個有する脂肪族ジエポキシ化合物が好ましい。かかる好適な脂肪族ジエポキシ化合物は、例えば、次式(I)で表すことができる。
Figure 0006379446
式中のYは、炭素数2〜9のアルキレン基、間にエーテル結合を有する総炭素数4〜9のアルキレン基、又は脂環構造を有する炭素数6〜18の2価の炭化水素基である。
上記式(I)で示される脂肪族ジエポキシ化合物は、具体的には、アルカンジオールのジグリシジルエーテル、繰り返し数4程度までのオリゴアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、又は脂環式ジオールのジグリシジルエーテルである。
式(I)で示される脂肪族ジエポキシ化合物となり得るジオール(グリコール)の具体例を、以下に掲げる。アルカンジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、3,5−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオールなどがある。オリゴアルキレングリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどがある。 脂環式ジオールとしては、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールFなどがある。
脂環式エポキシ化合物は、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に少なくとも1個有する化合物である。ここで、「脂環式環に結合したエポキシ基」とは、下式(II)で示される構造における橋かけの酸素原子−O−を意味し、この式において、mは2〜5の整数である。
Figure 0006379446
式(II)における (CH2)m 中の1個又は複数個の水素原子を取り除いた形の基が他の化学構造に結合している化合物が、脂環式エポキシ化合物となり得る。また、脂環式環を形成する (CH2)m 中の1個又は複数個の水素原子は、メチル基やエチル基のような直鎖状アルキル基で適宜置換されていてもよい。
以上のようなエポキシ化合物のなかでも、脂環式エポキシ化合物、すなわち、エポキシ基の少なくとも1個が脂環式環に結合している化合物が好ましく、とりわけ、オキサビシクロヘキサン環〔上記式(II)において、m=3のもの〕や、オキサビシクロヘプタン環〔上記式(II)において、m=4のもの〕を有するエポキシ化合物は、硬化物の弾性率が高く、偏光フィルムと保護フィルムの間で良好な接着性を与えることから、より好ましく用いられる。以下に、脂環式エポキシ化合物の具体的な例を掲げる。ここでは、まず化合物名を挙げ、その後、それぞれに対応する化学式を示すこととし、化合物名とそれに対応する化学式には同じ符号を付す。
A:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、
B:3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、
C:エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、
D:ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル) アジペート、
E:ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル) アジペート、
F:ジエチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、
G:エチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、
H:2,3,14,15−ジエポキシ−7,11,18,21−テトラオキサトリスピロ[5.2.2.5.2.2]ヘンイコサン、
I:3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−8,9−エポキシ−1,5−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
J:4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、
K:リモネンジオキサイド、
L:ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、
M:ジシクロペンタジエンジオキサイドなど。
Figure 0006379446
Figure 0006379446
硬化性接着剤において、エポキシ化合物は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、硬化性接着剤は、上記エポキシ化合物に加え、オキセタン化合物を含有してもよい。オキセタン化合物を添加することにより、硬化性接着剤の粘度を低くし、硬化速度を速めることができる。
オキセタン化合物は、分子内に少なくとも1個のオキセタン環(4員環エーテル)を有する化合物であって、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル〕ベンゼン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ〔(3−エチル−3−オキセタニル)メチル〕エーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、フェノールノボラックオキセタンなどが挙げられる。これらのオキセタン化合物は、市販品を容易に入手することが可能であり、例えば、いずれも東亞合成(株)から販売されている商品名で、“アロンオキセタン OXT-101”、“アロンオキセタン OXT-121”、 “アロンオキセタン OXT-211”、“アロンオキセタン OXT-221”、“アロンオキセタン OXT-212” などを挙げることができる。オキセタン化合物の配合量は特に限定されないが、活性エネルギー線硬化性化合物全体を基準に、通常50重量%以下、好ましくは10〜40重量%である。
硬化性接着剤が、エポキシ化合物やオキセタン化合物などのカチオン重合性化合物を含む場合、その硬化性接着剤には通常、光カチオン重合開始剤が配合される。光カチオン重合開始剤を使用すると、常温での接着剤層の形成が可能となるため、偏光フィルムの耐熱性や膨張による歪を考慮する必要が減少し、密着性良く偏光フィルムと保護フィルムを貼合できる。また、光カチオン重合開始剤は、光で触媒的に作用するため、これを硬化性接着剤に混合しても、硬化性接着剤は保存安定性や作業性に優れる。
光カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、又は電子線のような活性エネルギー線の照射によりカチオン種又はルイス酸を発生し、カチオン重合性化合物の重合反応を開始させるものである。光カチオン重合開始剤は、いずれのタイプのものであってもよいが、具体例を挙げれば、芳香族ジアゾニウム塩;芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩;鉄−アレーン錯体などがある。
芳香族ジアゾニウム塩としては、例えば次のような化合物が挙げられる。
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロボレートなど。
芳香族ヨードニウム塩としては、例えば次のような化合物が挙げられる。
ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
ジ(4−ノニルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェートなど。
芳香族スルホニウム塩としては、例えば次のような化合物が挙げられる。
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
4,4′−ビス〔ジフェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、
4,4′−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、
4,4′−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、
7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン ヘキサフルオロアンチモネート、
7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
4−フェニルカルボニル−4′−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロホスフェート、
4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4′−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロアンチモネート、
4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4′−ジ(p−トルイル)スルホニオ−ジフェニルスルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなど。
また、鉄−アレーン錯体としては、例えば次のような化合物が挙げられる。
キシレン−シクロペンタジエニル鉄(II) ヘキサフルオロアンチモネート、
クメン−シクロペンタジエニル鉄(II) ヘキサフルオロホスフェート、
キシレン−シクロペンタジエニル鉄(II) トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタナイドなど。
これらの光カチオン重合開始剤は市販品を容易に入手することが可能であり、例えばそれぞれ商品名で、日本化薬(株)から販売されている“カヤラッド PCI-220”及び“カヤラッド PCI-620”、ユニオンカーバイド社から販売されている“UVI-6990”、ダイセル・サイテック(株)から販売されている“UVACURE 1590”、(株)ADEKAから販売されている“アデカオプトマー SP-150”及び“アデカオプトマー SP-170”、日本曹達(株)から販売されている“CI-5102”、“CIT-1370”、“CIT-1682”、“CIP-1866S”、
“CIP-2048S”及び“CIP-2064S”、 みどり化学(株)から販売されている“DPI-101”、“DPI-102”、“DPI-103”、“DPI-105”、“MPI-103”、“MPI-105”、“BBI-101”、
“BBI-102”、“BBI-103”、“BBI-105”、“TPS-101”、“TPS-102”、“TPS-103”、
“TPS-105”、“MDS-103”、“MDS-105”、“DTS-102”及び“DTS-103”、 ローディア社から販売されている“PI-2074”などを挙げることができる。
これらの光カチオン重合開始剤は、それぞれ単独で使用してもよいし、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。これらのなかでも、特に芳香族スルホニウム塩は、300nm以上の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ、良好な機械的強度を与え、また偏光フィルムと保護フィルムの間の良好な密着性を有する硬化物を与えることができるため、好ましく用いられる。
光カチオン重合開始剤の配合量は、エポキシ化合物やオキセタン化合物を包含するカチオン重合性化合物の合計100重量部に対して、通常 0.5〜20重量部であり、好ましくは1〜6重量部である。光カチオン重合開始剤の配合量が少ないと、硬化が不十分になり、機械的強度や偏光フィルムと保護フィルムの間の接着性を低下させる傾向にある。一方、光カチオン重合開始剤の配合量が多すぎると、硬化物中のイオン性物質が増加することで硬化物の吸湿性が高くなり、得られる接着剤層の耐久性能が低下する可能性がある。
また、硬化性接着剤は、上記エポキシ化合物とともに、あるいはエポキシ化合物及びオキセタン化合物とともに、ラジカル重合性である(メタ)アクリル系化合物を含有してもよい。(メタ)アクリル系化合物を併用することにより、接着剤層の硬度や機械的強度を高める効果が期待でき、さらには硬化性接着剤の粘度や硬化速度などの調整がより一層容易に行えるようになる。
(メタ)アクリル系化合物としては、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマーや、官能基含有化合物を2種以上反応させて得られ、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーなどの(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物を挙げることができる。これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上併用する場合、(メタ)アクリレートモノマーが2種以上であってもよいし、(メタ)アクリレートオリゴマーが2種以上であってもよいし、もちろん、(メタ)アクリレートモノマーの1種以上と(メタ)アクリレートオリゴマーの1種以上とを併用してもよい。なお、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
上記の(メタ)アクリレートモノマーには、分子内に1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマー、分子内に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する2官能(メタ)アクリレートモノマー、及び分子内に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーがある。
単官能(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−又は3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
単官能(メタ)アクリレートモノマーとして、カルボキシル基含有の(メタ)アクリレートモノマーを用いてもよい。 カルボキシル基含有の単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、N−(メタ)アクリロイルオキシ−N′,N′−ジカルボキシメチル−p−フェニレンジアミン、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸などが挙げられる。
2官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、ポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、ハロゲン置換アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、脂肪族ポリオールのジ(メタ)アクリレート類、水添ジシクロペンタジエン又はトリシクロデカンジアルカノールのジ(メタ)アクリレート類、ジオキサングリコール又はジオキサンジアルカノールのジ(メタ)アクリレート類、 ビスフェノールA又はビスフェノールFのアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート類、ビスフェノールA又はビスフェノールFのエポキシジ(メタ)アクリレート類などが代表的である。
2官能(メタ)アクリレートモノマーのより具体的な例を挙げれば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシシクロヘキシル]プロパン、水添ジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルジ(メタ)アクリレート〔別名:ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート〕、ヒドロキシピバルアルデヒドとトリメチロールプロパンとのアセタール化合物〔化学名:2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン〕のジ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレートなどがある。
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の脂肪族ポリオールのポリ(メタ)アクリレートが代表的なものであり、その他、3官能以上のハロゲン置換ポリオールのポリ(メタ)アクリレート、グリセリンのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリス[(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ]プロパン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
一方、(メタ)アクリレートオリゴマーには、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーなどがある。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとは、分子内にウレタン結合(−NHCOO−)及び少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。具体的には、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基及び少なくとも1個の水酸基をそれぞれ有する水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーとポリイソシアネートとのウレタン化反応生成物や、ポリオール類をポリイソシアネートと反応させて得られる末端イソシアナト基含有ウレタン化合物と、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基及び少なくとも1個の水酸基をそれぞれ有する(メタ)アクリレートモノマーとのウレタン化反応生成物などであり得る。
上記ウレタン化反応に用いられる水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
かかる水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーとのウレタン化反応に供されるポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらジイソシアネートのうち芳香族のイソシアネート類を水素添加して得られるジイソシアネート(例えば、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネートなど)、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジベンジルベンゼントリイソシアネート等のジ−又はトリ−イソシアネート、及び、上記のジイソシアネートを多量化させて得られるポリイソシアネートなどが挙げられる。
また、ポリイソシアネートとの反応により末端イソシアナト基含有ウレタン化合物とするために用いられるポリオール類としては、芳香族、脂肪族及び脂環式のポリオールのほか、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなどを使用することができる。脂肪族及び脂環式のポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジメチロールヘプタン、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、グリセリン、水添ビスフェノールAなどが挙げられる。
ポリエステルポリオールは、上記したポリオール類と多塩基性カルボン酸又はその無水物との脱水縮合反応により得られるものである。多塩基性カルボン酸又はその無水物の例を、無水物でありうるものに「(無水)」を付して表すと、(無水)コハク酸、アジピン酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸などがある。
ポリエーテルポリオールは、ポリアルキレングリコールのほか、上記したポリオール類又はジヒドロキシベンゼン類とアルキレンオキサイドとの反応により得られるポリオキシアルキレン変性ポリオールなどであり得る。
ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとは、分子内にエステル結合と少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する化合物である。具体的には、(メタ)アクリル酸、多塩基性カルボン酸又はその無水物、及びポリオールを用いた脱水縮合反応により得ることができる。脱水縮合反応に用いられる多塩基性カルボン酸又はその無水物の例を、無水物でありうるものに「(無水)」を付して表すと、(無水)コハク酸、アジピン酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などがある。また、脱水縮合反応に用いられるポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジメチロールヘプタン、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、グリセリン、水添ビスフェノールAなどが挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との付加反応により得ることができ、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有している。付加反応に用いられるポリグリシジルエーテルとしては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
硬化性接着剤に(メタ)アクリル系化合物を配合する場合、その量は、活性エネルギー線硬化性化合物全体の量を基準に、20重量%以下、さらには10重量%以下とすることが好ましい。(メタ)アクリル系化合物の配合量が多くなると、偏光フィルムと保護フィルムとの間の密着性を低下させる傾向にある。
硬化性接着剤が上記の如き(メタ)アクリル系化合物などのラジカル重合性化合物を含有する場合は、光ラジカル重合開始剤が配合されることが好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、活性エネルギー線の照射により、(メタ)アクリル系化合物などのラジカル重合性化合物の重合を開始できるものであればよく、従来公知のものを用いることができる。光ラジカル重合開始剤の具体例を挙げれば、アセトフェノン、3−メチルアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のアセトフェノン系開始剤;ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系開始剤;ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインエーテル系開始剤;4−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系開始剤;その他、キサントン、フルオレノン、カンファーキノン、ベンズアルデヒド、アントラキノンなどがある。
光ラジカル重合開始剤の配合量は、(メタ)アクリル系化合物などのラジカル重合性化合物100重量部に対して、通常 0.5〜20重量部であり、好ましくは1〜6重量部である。光ラジカル重合開始剤の量が少ないと、硬化が不十分になり、機械的強度や偏光フィルムと保護フィルムとの接着性が低下する傾向にある。また、光ラジカル重合開始剤の量が多すぎると、硬化性接着剤中の活性エネルギー線硬化性化合物(エポキシ化合物を含むカチオン重合性の硬化性化合物及び(メタ)アクリル系化合物などのラジカル重合性化合物)が相対的に少なくなり、得られる接着剤層の耐久性能が低下する可能性がある。
硬化性接着剤は、必要に応じてさらに光増感剤を含有することができる。光増感剤を配合することで、カチオン重合及び/又はラジカル重合の反応性が向上し、接着剤層の機械的強度や偏光フィルムと保護フィルムとの間の接着性を向上させることができる。光増感剤としては、例えば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾ及びジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素などが挙げられる。光増感剤のより具体的な例を挙げると、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、及びα,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノンのようなベンゾイン誘導体;ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、及び4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンのようなベンゾフェノン誘導体;2−クロロチオキサントン、及び2−イソプロピルチオキサントンのようなチオキサントン誘導体;2−クロロアントラキノン、及び2−メチルアントラキノンのようなアントラキノン誘導体;N−メチルアクリドン、及びN−ブチルアクリドンのようなアクリドン誘導体;その他、α,α−ジエトキシアセトフェノン、ベンジル、フルオレノン、キサントン、ウラニル化合物、ハロゲン化合物などが挙げられる。これらの光増感剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。光増感剤は、活性エネルギー線硬化性化合物全体を100重量部として、 0.1〜20重量部の割合で配合するのが好ましい。
硬化性接着剤には、高分子に通常使用されている公知の高分子添加剤を添加することもできる。例えば、フェノール系やアミン系のような一次酸化防止剤、イオウ系の二次酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、又はベンゾエート系のような紫外線吸収剤などが挙げられる。
さらに硬化性接着剤は、必要に応じて溶剤を含んでもよい。溶剤は、硬化性接着剤を構成する成分の溶解性を考慮して、適宜選択される。一般に用いられる溶剤としては、n−ヘキサンやシクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;トルエンやキシレンのような芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、及びn−ブタノールのようなアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及びシクロヘキサノンのようなケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、及び酢酸ブチルのようなエステル類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、及びブチルセロソルブのようなセロソルブ類;塩化メチレンやクロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類などが挙げられる。溶剤の配合割合は、成膜性などの加工上の目的による粘度調整などの観点から適宜決定される。また、塗布したときの平滑性を上げるため、レベリング剤を配合するのも有効である。
[熱可塑性樹脂からなる保護フィルム]
熱可塑性樹脂からなる保護フィルムは、上で説明したポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムが、先述のとおり物理的な強度に乏しいことから、それを補う目的で、偏光フィルムの表面に設けられる。偏光フィルムに、先に説明した活性エネルギー線硬化性化合物を含有する硬化性接着剤を介して熱可塑性樹脂からなる保護フィルムを貼合し、硬化性接着剤を硬化させて偏光板とする。熱可塑性樹脂からなる保護フィルムは、従来から偏光板の保護フィルムとして最も広く用いられているトリアセチルセルロースをはじめとするアセチルセルロース系樹脂フィルムや、トリアセチルセルロースよりも透湿度の低い樹脂フィルムで構成することができる。なお、トリアセチルセルロースの透湿度は、概ね400g/m2/24hr程度である。
本発明の一つの好ましい形態では、偏光フィルムの少なくとも一方の面に貼合される熱可塑性樹脂からなる保護フィルムがアセチルセルロース系樹脂フィルムで構成される。アセチルセルロース系樹脂は、セルロースにおける水酸基の少なくとも一部が酢酸エステル化されている樹脂であり、一部が酢酸エステル化され、一部が他の酸でエステル化されている混合エステルであってもよい。アセチルセルロース系樹脂として、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどを挙げることができる。
アセチルセルロース系樹脂には、紫外線吸収剤が配合されていてもよい。偏光フィルムの一方の面、具体的には、液晶セルに貼合される偏光板の液晶セルから遠い側となる面、すなわち視認側又はバックライト側となる面には、紫外線吸収剤が配合された樹脂フィルムを保護フィルムとして貼合することが多い。紫外線吸収剤として、サリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが知られている。
偏光フィルムの一方の面に、紫外線吸収剤が配合されているアセチルセルロース系樹脂からなる熱可塑性樹脂を貼合し、偏光フィルムの他方の面には、紫外線吸収剤が配合されていないアセチルセルロース系樹脂からなり、位相差が付与された位相差フィルムを貼合する形態も有効である。
本発明の別の好ましい形態では、偏光フィルムの少なくとも一方の面に貼合される熱可塑性樹脂が、トリアセチルセルロースより透湿度の低い樹脂フィルムで構成される。このような樹脂フィルムとして、例えば、透湿度が300g/m2/24hr以下の樹脂フィルムを挙げることができ、具体的には、非晶性ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、鎖状ポリオレフィン系樹脂などが、これに該当する。
非晶性ポリオレフィン系樹脂は、ノルボルネンやテトラシクロドデセン(別名ジメタノオクタヒドロナフタレン)、あるいはそれらに置換基が結合した化合物の如き、環状オレフィンの重合単位を有する重合体であり、環状オレフィンに鎖状ポリオレフィン及び/又は芳香族ビニル化合物を共重合させた共重合体であってもよい。環状オレフィンの単独重合体あるいは2種以上の環状オレフィンの共重合体の場合は、開環重合によって二重結合が残るので、そこに水素添加されたものが、非晶性ポリオレフィン系樹脂として一般的に用いられる。なかでも、熱可塑性ノルボルネン系樹脂が代表的である。
ポリエステル系樹脂は、二塩基酸と二価アルコールとの縮合重合によって得られる重合体であり、ポリエチレンテレフタレートが代表的である。
アクリル系樹脂は、メタクリル酸メチルを主な単量体とする重合体であり、メタクリル酸メチルの単独重合体のほか、メタクリル酸メチルと、アクリル酸メチルのようなアクリル酸エステルや芳香族ビニル化合物などとの共重合体であってもよい。
ポリカーボネート系樹脂は、主鎖にカーボネート結合(−O−CO−O−)を持つ重合体であり、ビスフェノールAとホスゲンとの縮合重合によって得られるものが代表的である。
鎖状ポリオレフィン系樹脂は、エチレンやプロピレンの如き鎖状ポリオレフィンを主な単量体とする重合体であり、単独重合体や共重合体であることができる。なかでも、プロピレンの単独重合体や、プロピレンに少量のエチレンが共重合されている共重合体が代表的である。
本発明のもう一つの好ましい形態では、偏光フィルムの一方の面に前記接着剤層を介して、アセチルセルロース系樹脂からなる熱可塑性樹脂が貼合され、偏光フィルムの他方の面に同じく前記接着剤層を介して、上記のような透湿度の低い透明な熱可塑性樹脂からなる保護フィルムが貼合される。
熱可塑性樹脂からなる保護フィルムは、薄いほうが好ましいものの、薄すぎると強度が低下し、加工性に劣る傾向にあり、一方で厚すぎると、透明性が低下したり偏光板の重量が大きくなったりする傾向にある。このような観点からすると、保護フィルムの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは10〜150μm、より好ましくは15μm〜100μmである。
これらの熱可塑性樹脂からなる保護フィルムは、偏光フィルムに貼合される面とは反対側の面に、ハードコート処理、反射防止処理、防眩処理、帯電防止処理、又は防汚処理のような各種の表面処理を施すことができる。
[偏光板の製造方法]
次に、本発明に係る偏光板の製造方法について説明する。先述のとおり本発明では、偏光フィルム1に、活性エネルギー線硬化性化合物を含有する硬化性組成物からなる接着剤を介して熱可塑性樹脂からなる保護フィルム2を積層し、活性エネルギー線を照射して上記接着剤の硬化物からなる接着剤層6を形成し、この接着剤層6を介して偏光フィルム1と保護フィルム2とが貼合された偏光板を製造する。その際、偏光フィルム1と接着剤層6の間には、ポリビニルアルコール系樹脂からなるプライマー層4を介在させる。所望なら、偏光フィルム1の片面に保護フィルム2を貼合し、偏光フィルム1の他面には、熱可塑性樹脂からなる別の保護フィルム3を、やはり接着剤を介して貼合することができる。
そこでこの偏光板は、以下の(i)〜(iv)の工程を経て製造することができる。偏光フィルム1の片面に熱可塑性樹脂からなる保護フィルム2を貼合し、偏光フィルム1の他面には、熱可塑性樹脂からなる別の保護フィルム3を貼合する場合には、(i)〜(iv)の工程を繰り返ししても良いし、同時に実施しても良い。
(i) 偏光フィルム1の表面に、プライマー用塗工液を塗工してプライマー層4を形成するプライマー層形成工程、
(ii) 偏光フィルム1のプライマー層4が形成された面に、活性エネルギー線硬化性化合物を含有する硬化性組成物からなる接着剤を介して、熱可塑性樹脂からなる保護フィルム2を積層する積層工程、及び
(iii) 上の積層工程(iii) で得られる積層体に活性エネルギー線を照射して上記の接着剤を硬化させる硬化工程。
上記のプライマー層形成工程(i)においては、先述のプライマー用塗工液が、偏光フィルム1の表面に塗工される。そのために用いる塗工法は、流延法、マイヤーバーコート法、グラビアコート法、カンマコート法、ドクターブレード法、ダイコート法、ディップコート法、噴霧法など、公知の方法が採用できる。プライマー層を形成する面は、偏光フィルム1の片面であっても両面であってもよいが、保護フィルム2に貼合される面には、この処理が施されるようにする。また、プライマー用塗工液の塗工に先立って、偏光フィルムの表面に、先述の表面処理を施し、濡れ性を向上させてもよい。
プライマー層形成工程(i)で用いるプライマー用塗工液は、適切な厚みで均一なプライマー層4が得られる程度の濃度及び粘度とすればよい。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂の濃度が1〜10重量%程度となるように、また25℃における粘度が 1,000mPa・sec以下となるようにするのが適当である。
塗工後は、プライマー用塗工液に含まれる水分を乾燥させる。この乾燥は、自然乾燥でも構わないが、熱をかけて乾燥させる場合は、フィルムの変形を防ぐ観点から、偏光フィルム1のガラス転移点以下の温度で乾燥することが好ましい。この乾燥は、例えば、塗工時に、プライマー用塗工液が塗布された面に風を当てながら乾燥するといったように、塗工と並行して行うこともできる。
上記の積層工程(ii)においては、偏光フィルム1のプライマー層4が形成された面に接着剤を介して保護フィルム2を積層する。接着剤の塗布には、例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーターなど、種々の塗工方式が利用できる。また、偏光フィルム1のプライマー層4形成面と保護フィルムの接着面が向き合うように連続的に供給しながら、その間に接着剤を流延させる方式を採用することもできる。各塗工方式には、それぞれ最適な粘度範囲があるため、溶剤を用いて接着剤の粘度調整を行うことも有用な技術である。このための溶剤には、偏光フィルムの光学性能を低下させることなく、接着剤を良好に溶解するものが用いられるが、その種類に特別な限定はない。例えば、トルエンに代表される炭化水素類、酢酸エチルに代表されるエステル類などの有機溶剤が使用できる。接着剤層6の厚さは、通常20μm 以下、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下、とりわけ好ましくは2μm 以下である。接着剤層が厚くなると、接着剤の反応率が低下し、偏光板の耐湿熱性が悪化する傾向にある。接着剤を塗布した後、偏光フィルム1と保護フィルム2をニップロールなどにより挟んで、貼り合わせる。フィルム間に接着剤を滴下した後、ロールなどで加圧して均一に押し広げる方法を採用する場合、用いるロールの材質は金属やゴムなどであることができ、2本のロールの間を通すときに用いる各ロールは、同じ材質であっても異なる材質であってもよい。
上記の硬化工程(iii) においては、偏光フィルム1のプライマー層4に接着剤を介して熱可塑性樹脂からなる保護フィルム2が積層された積層体に、活性エネルギー線を照射して接着剤を硬化させる。適用される活性エネルギー線は、紫外線、電子線、X線、可視光線などであることができるが、特に波長400nm以下に発光分布を有する光源を用いることが好ましく、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどが、光源として好適に用いられる。
接着剤への活性エネルギー線の照射強度は、目的とする組成物毎に決定されるものであって特に限定されないが、光重合開始剤の活性化に有効な波長領域の光照射強度が 0.1〜100mW/cm2 となるようにすることが好ましい。光照射強度が小さすぎると、反応時間が長くなりすぎ、一方で光照射強度が大きすぎると、ランプから輻射される熱及び接着剤の重合時の発熱により、接着剤の黄変や偏光フィルムの劣化を生じる可能性がある。接着剤への光照射時間も、用いる組成物毎に制御されるものであって、やはり特に限定されないが、光照射強度と光照射時間の積として表される積算光量が10〜5,000mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。積算光量が小さすぎると、開始剤由来の活性種の発生が十分でなく、得られる接着剤層の硬化が不十分となる可能性があり、一方でその積算光量が大きすぎると、光照射時間が非常に長くなって生産性向上には不利になりやすい。
偏光フィルム1の両面に保護フィルム2,3を積層し、その状態で活性エネルギー線を照射する場合、活性エネルギー線の照射はどちらの保護フィルム側から行ってもよい。例えば、一方の保護フィルムが紫外線吸収剤を含有し、他方の保護フィルムが紫外線吸収剤を含有しない場合には、紫外線吸収剤を含有しない保護フィルム側から活性エネルギー線を照射することが好ましい。このように照射することで、照射される活性エネルギー線を有効に利用し、硬化速度を高めることができる。
[積層光学部材]
本発明の偏光板は、偏光板以外の光学機能を有する光学層を積層して、積層光学部材とすることができる。典型的には、偏光板の保護フィルムに、接着剤や粘着剤を介して光学層を積層貼着することにより、積層光学部材とされるが、その他、例えば、偏光フィルムの一方の面に本発明に従って光硬化性接着剤を介して保護フィルムを貼合し、偏光フィルムの他方の面に接着剤又は粘着剤を介して光学層を積層貼着することもできる。
偏光板に積層される光学層の例を挙げると、液晶セルの背面側に配置される偏光板に対しては、その偏光板の液晶セルに面する側とは反対側に積層される、集光板、輝度向上フィルム、反射層、半透過反射層、光拡散層などがある。また、液晶セルの前面側に配置される偏光板及び液晶セルの背面側に配置される偏光板のいずれに対しても、その偏光板の液晶セルに面する側に積層される位相差フィルムなどがある。
集光板は、光路制御等を目的に用いられるもので、プリズムアレイシートやレンズアレイシート、あるいはドット付設シートなどであってもよい。
輝度向上フィルムは、液晶表示装置における輝度の向上を目的に用いられる。具体的には、屈折率の異方性が互いに異なる薄膜フィルムを複数枚積層して反射率に異方性が生じるように設計された反射型偏光分離シート、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持した円偏光分離シートなどが挙げられる。
反射層、半透過反射層、又は光拡散層は、偏光板を反射型の光学部材、半透過型の光学部材、又は拡散型の光学部材とするためにそれぞれ設けられる。偏光板を含む反射型の光学部材は、視認側からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置に用いられ、バックライト等の光源を省略できるため、液晶表示装置を薄型化しやすい。偏光板を含む半透過型の光学部材は、明所では反射型として、暗所ではバックライトからの光で表示するタイプの液晶表示装置に用いられる。また、偏光板を含む拡散型の光学部材は、光拡散性を付与してモアレ等の表示不良を抑制した液晶表示装置に用いられる。
これらの反射層、半透過反射層及び光拡散層の形成方法について説明する。反射型の光学部材を構成する反射層は、例えば、偏光フィルム上の保護フィルムに、アルミニウム等の金属からなる箔や蒸着膜を付設することにより形成することができる。半透過型の光学部材を構成する半透過反射層は、前記の反射層をハーフミラーとしたり、パール顔料などを含有して光透過性を示す反射板を偏光板に接着したりすることで形成できる。また、拡散型の光学部材を構成する光拡散層は、例えば、偏光板上の保護フィルムにマット処理を施す方法、微粒子含有の樹脂を塗布する方法、微粒子含有のフィルムを接着する方法などにより、微細凹凸構造を有する表面層として形成できる。微粒子を含有した樹脂層やフィルムは、入射光及びその反射光が微粒子含有層を透過する際に拡散され、明暗ムラを抑制しうるなどの利点を有する。表面微細凹凸構造を形成するために配合する微粒子は、例えば、平均粒径が0.1〜30μmであるシリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモンの如き無機系微粒子、架橋又は非架橋のポリマーの如き有機系微粒子などであることができる。
積層光学部材は、反射拡散両用の偏光板であってもよい。反射拡散両用の偏光板は、例えば、偏光板を含む上記した拡散型光学部材の微細凹凸構造面に、その凹凸構造が反映された反射層を設けるなどの方法により作製できる。微細凹凸構造を有する反射層は、入射光を乱反射により拡散させ、指向性やギラツキを防止し、明暗のムラを抑制しうるなどの利点を有する。表面微細凹凸構造を反映させた反射層は、例えば、真空蒸着、イオンプレーティング、又はスパッタリングの如き蒸着やメッキなどの方法により、金属を微細凹凸構造の表面に直接付設することで形成できる。
光学層として作用する位相差フィルムは、液晶セルによる位相差の補償等を目的として使用される。位相差板の例としては、各種プラスチックの延伸フィルム等からなる複屈折性フィルム、ディスコティック液晶やネマチック液晶が配向固定されたフィルム、基材フィルム上に上記の液晶層が形成されたものなどが挙げられる。基材フィルム上に液晶層を形成する場合、基材フィルムとして、トリアセチルセルロースなどのセルロースアセテート系樹脂フィルムが好ましく用いられる。
複屈折性フィルムを形成するプラスチックとしては、例えば、非晶性ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリプロピレンのような鎖状ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリアミドなどが挙げられる。延伸フィルムは、一軸や二軸等の適宜な方式で処理したものであることができる。なお、位相差フィルムは、広帯域化など光学特性の制御を目的として、2枚以上を組み合わせて使用してもよい。
積層光学部材は、偏光板以外の光学層として位相差フィルムを液晶表示装置に適用したとき、有効に光学補償が行えることから、好ましい。位相差フィルムの位相差値(面内及び厚み方向)は、適用される液晶セルに応じて、最適なものを選べばよい。
積層光学部材は、偏光板と、上述した各種の光学層から使用目的に応じて選択される1層又は2層以上とを組み合わせ、2層又は3層以上の積層体とすることができる。その場合、積層光学部材を形成する各種光学層は、接着剤や粘着剤を用いて偏光板と一体化されるが、そのために用いる接着剤や粘着剤は、接着剤層や粘着剤層が良好に形成されるものであれば特に限定はない。接着作業の簡便性や光学歪の発生防止などの観点から、粘着剤(感圧接着剤とも呼ばれる)を使用することが好ましい。積層光学部材の液晶セルに貼合される面にも、通常は粘着剤層が設けられる。
上記の各種光学層と偏光板を一体化させる粘着剤には、アクリル系重合体や、シリコーン系重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルなどをベースポリマーとするものを用いることができる。なかでも、アクリル系粘着剤のように、透明性に優れ、適度な濡れ性や凝集力を保持し、基材との接着性にも優れ、さらに耐候性や耐熱性などを有し、加熱や加湿の条件下で浮きや剥がれ等のはく離問題を生じないものを選択して用いることが好ましい。アクリル系粘着剤においては、メチル基やエチル基やブチル基等の炭素数が20以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルと、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどからなる官能基含有アクリル系モノマーとを、ガラス転移温度が好ましくは25℃以下、さらに好ましくは0℃以下となるように配合した、重量平均分子量が10万以上のアクリル系共重合体が、ベースポリマーとして有用である。
偏光板又は積層光学部材への粘着剤層の形成は、例えば、トルエンや酢酸エチルなどの有機溶媒に粘着剤組成物を溶解又は分散させて10〜40重量%の溶液を調製し、これを目的のフィルム(偏光板又は積層光学部材)の対象面に直接塗工する方式や、予めプロテクトフィルム上に粘着剤層を形成しておき、それを目的のフィルム(偏光板又は積層光学部材)の対象面に移着する方式などにより、行うことができる。粘着剤層の厚さは、その接着力などに応じて決定されるが、1〜50μm 程度の範囲が適当である。
また、粘着剤層には必要に応じて、ガラス繊維やガラスビーズ、樹脂ビーズ、金属粉やその他の無機粉末などからなる充填剤、顔料や着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などが配合されていてもよい。紫外線吸収剤には、サリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などがある。
積層光学部材は、液晶セルの片側又は両側に、上記した粘着剤層を介して配置することができる。用いる液晶セルは任意であり、例えば、薄膜トランジスタ型に代表されるアクティブマトリクス駆動型のもの、スーパーツイステッドネマチック型に代表される単純マトリクス駆動型のものなど、種々の液晶セルを使用して液晶表示装置を形成することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、使用量ないし含有量を表す%及び部は、特に断りのない限り重量基準である。
[製造例1]偏光フィルムの作製
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上で厚さ75μm のポリビニルアルコールフィルムを、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.02/2/100 の水溶液に30℃で浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が12/5/100の水溶液に 56.5℃で浸漬した。引き続き、8℃の純水で洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している厚さ約30μm の偏光フィルムを得た。延伸は、主に、ヨウ素染色及びホウ酸処理の工程で行い、トータル延伸倍率は5.3倍であった。
[製造例2]紫外線硬化性接着剤の調製
以下の各成分を混合して、紫外線硬化性接着剤を調製した。なお、光カチオン重合開始剤として用いた“UVACURE 1590”は、プロピレンカーボネート溶液の形で販売元のダイセル・サイテック(株)から入手したものであるが、以下ではその有効成分量で表示した。
(紫外線硬化性接着剤)
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート〔ダイセル化学(株)製の“セロキサイド 2021P”〕 75部
ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル〔東亞合成(株)製の“アロンオキセタン OXT-221〕 25部
4,4′−ビス(ジフェニルスルホニオ)ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート系の光カチオン重合開始剤〔ダイセル・サイテック(株)製の“UVACURE
1590”〕 2.5部
シリコーン系レベリング剤〔東レ・ダウコーニング(株)製の“SH710”〕 0.2部
[製造例3]プライマー用塗工液の調製
日本合成化学工業(株)製のアセトアセチル基変性ポリビニルアルコール〔商品名“ゴーセファイマー Z-200”、4%水溶液の粘度=12.4mPa・sec、ケン化度=99.1モル%〕を純水に溶解し、10%濃度の水溶液を調製した。このアセトアセチル基変性ポリビニルアルコール水溶液と、架橋剤となるグリオキシル酸ナトリウムとを、前者:後者の固形分重量比が 1:0.1となるように混合し、さらに水100部に対してアセトアセチル基変性ポリビニルアルコールが3部となるように純水で希釈して、プライマー用塗工液1を調製した。
[製造例4]プライマー用塗工液の調製
製造例3において、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール水溶液と、架橋剤となるグリオキシル酸ナトリウムとを、前者:後者の固形分重量比が 1:0.1となるように混合するまでは同様に行い、その後、水100部に対してアセトアセチル基変性ポリビニルアルコールが6部となるように純水で希釈して、プライマー用塗工液2を調製した。
[実施例1]
(A)偏光フィルムへのプライマー層の形成
製造例1で作製した偏光フィルムの片面に、バーコーターを用いて、製造例3で調製したプライマー用塗工液1を塗工し、自然乾燥してそのプライマー用塗工液に含まれる水分を除去した。そして膜厚測定器〔(株)ニコン製の“ZC-101”〕を用いて、プライマー層形成後の偏光フィルムの膜厚を測定し、その値とプライマー層形成前のフィルム膜厚との差をプライマー層の膜厚とした。その結果を表1に示した。
(B)熱可塑性樹脂からなる保護フィルム
コニカミノルタアドバンストレイヤー(株)から入手したアセチルセルロース系樹脂からなる厚さ40μmの位相差フィルム〔商品名“N-TAC KC4FR-1”〕の表面にコロナ放電処理を施し、偏光フィルムの一方の面に貼合する保護フィルムとした。また、コニカミノルタアドバンストレイヤー(株)から入手した紫外線吸収剤を含む厚さ80μm のトリアセチルセルロースフィルム(商品名“コニカタック KC8UX2MW”) の表面にコロナ放電処理を施し、偏光フィルムのもう一方の面に貼合する保護フィルムとした。
(C)偏光板の作製
上記(B)で用意した位相差フィルム及びトリアセチルセルロースフィルムのそれぞれコロナ放電処理面に、製造例2で調製した紫外線硬化性接着剤を塗布した。そして、上記(A)で作製した偏光フィルムのプライマー層を形成した面に、上記位相差フィルムの接着剤塗布面を、偏光フィルムのもう一方のプライマー層が形成されていない面には上記トリアセチルセルロースフィルムの接着剤塗布面を、それぞれ貼り合わせ、位相差フィルム側から、ベルトコンベア付き紫外線照射装置(ランプはフュージョンUVシステムズ社製の“Dバルブ”使用)を用いて積算光量が250mJ/cm2 となるように紫外線を照射し、接着剤を硬化させた。こうして、偏光フィルムの両面に保護フィルムが貼合された偏光板を作製した。
(D)接着力の評価
上記(C)で作製した偏光板のアセチルセルロース系樹脂からなる位相差フィルム表面にコロナ放電処理を施した後、そのコロナ放電処理面にアクリル系粘着剤シートを貼合した。得られた粘着剤付き偏光板から、幅25mm、長さ約200mmの試験片を裁断した。その試験片の粘着剤面をソーダガラスに貼合した後、オートクレーブ中、圧力5kgf/cm2、温度50℃で20分間の加圧処理を行い、さらに温度23℃、相対湿度60%の雰囲気下で1日放置した。この状態で、万能引張り試験機〔(株)島津製作所製の“AG-1”〕を用い、試験片の長さ方向一端(幅25mmの一辺)にあるトリアセチルセルロースフィルムと偏光フィルムをつかみ、温度23℃、相対湿度55%の雰囲気中にて、JIS K6854-2:1999「接着剤−はく離接着強さ試験方法−第2部:180度はく離」に準じて、つかみ移動速度300mm/分で180度はく離試験を行い、偏光フィルムと位相差フィルムとの間の接着力を評価した。結果を表1に示した。
[実施例2]
プライマー用塗工液を塗工するときに用いるバーコーターの番手を変更する以外は、実施例1の(A)と同様にして偏光フィルムの片面にプライマー層を形成した。その後は実施例1の(B)〜(D)と同様にして偏光板を作製し、評価した。プライマー層の膜厚及び得られた偏光板の偏光フィルムと位相差フィルムとの間の接着力を表1にまとめた。
[実施例3]
プライマー用塗工液を、製造例4で調製したプライマー用塗工液2に変更する以外は、実施例1の(A)と同様にして偏光フィルムの片面にプライマー層を形成した。その後は実施例1の(B)〜(D)と同様にして偏光板を作製し、評価した。プライマー層の膜厚及び得られた偏光板の偏光フィルムと位相差フィルムとの間の接着力を表1にまとめた。
[実施例4]
プライマー用塗工液を、製造例4で調製したプライマー用塗工液2に変更し、そのプライマー用塗工液を塗工するときに用いるバーコーターの番手を変更する以外は、実施例1の(A)と同様にして偏光フィルムの片面にプライマー層を形成した。その後は実施例1の(B)〜(D)と同様にして偏光板を作製し、評価した。プライマー層の膜厚及び得られた偏光板の偏光フィルムと位相差フィルムとの間の接着力を表1にまとめた。
[実施例5]
プライマー用塗工液を、製造例4で調製したプライマー用塗工液2に変更し、そのプライマー用塗工液を塗工するときに用いるバーコーターの番手をさらに変更する以外は、実施例1の(A)と同様にして偏光フィルムの片面にプライマー層を形成した。その後は実施例1の(B)〜(D)と同様にして偏光板を作製し、評価した。プライマー層の膜厚及び得られた偏光板の偏光フィルムと位相差フィルムとの間の接着力を表1にまとめた。
[比較例1]
プライマー層を形成していない製造例1で作製した偏光フィルムを用いた以外は、実施例1の(B)〜(D)と同様にして偏光板を作製し、評価した。得られた偏光板の偏光フィルムと位相差フィルムとの間の接着力を表1にまとめた。
Figure 0006379446
表1からわかるように、プライマー層を形成していない偏光フィルムを用いた比較例1では、偏光フィルムとアセチルセルロース系樹脂からなる位相差フィルムの間の接着力が低い。これに対し、偏光フィルムの表面に、ポリビニルアルコール系樹脂からなるプライマー層を形成し、そこに接着剤を介してアセチルセルロース系位相差フィルムを貼合した実施例1〜5では、偏光フィルムと位相差フィルムの間の接着力が格段に高まっている。
1……偏光フィルム、
2,3……熱可塑性樹脂からなる保護フィルム、
4,5……プライマー層、
6,7……接着剤層。

Claims (10)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向している偏光フィルムと、その表面に積層された熱可塑性樹脂からなる保護フィルムとを備え、
    両者の界面には前記偏光フィルム側から順に、ポリビニルアルコール系樹脂を含有するプライマー層、及び活性エネルギー線硬化性化合物を含有する硬化性組成物の硬化物からなる接着剤層が介在し、
    前記プライマー層は、ポリビニルアルコール系樹脂とともに架橋剤を含有する水溶液から形成されており、
    架橋剤は、アルデヒド類、メチロールメラミン、グリオキシル酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩である
    ことを特徴とする偏光板。
  2. 前記プライマー層は、ポリビニルアルコール系樹脂とともに架橋剤を含有する水溶液1種類から形成されている請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記ポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶液が、25℃において、4重量%濃度の際に4〜1000mPa・secの粘度を示すポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶液である請求項1又は2に記載の偏光板。
  4. 前記ポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶液が、変性されたポリビニルアルコール系樹脂を含む水溶液である請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板。
  5. 前記プライマー層は、1μm 以下の膜厚を有する請求項1〜4のいずれかに記載の偏光板。
  6. 偏光フィルムが、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる原反フィルムを5.3〜8倍に延伸した偏光フィルムである請求項1〜5に記載の偏光板。
  7. 前記保護フィルムが、アセチルセルロース系樹脂フィルムで構成されるフィルムである請求項1〜6のいずれかに記載の偏光板。
  8. 前記接着剤層は、分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有するエポキシ化合物を含有する硬化性組成物の硬化物からなる接着剤層である請求項1〜7のいずれかに記載の偏光板。
  9. 分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有するエポキシ化合物が、脂環式エポキシ化合物である請求項8に記載の偏光板。
  10. ポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向している偏光フィルムに、活性エネルギー線硬化性化合物を含有する硬化性組成物からなる接着剤を介して熱可塑性樹脂からなる保護フィルムを貼合し、偏光板を製造する方法であって、
    前記偏光フィルムの表面に、ポリビニルアルコール系樹脂とともに架橋剤を含有する水溶液を塗工してプライマー層を形成するプライマー層形成工程、
    そのプライマー層が形成された面に、前記接着剤を介して前記保護フィルムを積層する積層工程、及び
    積層工程で得られる積層体に活性エネルギー線を照射して前記接着剤を硬化させる硬化工程
    を備え、
    架橋剤は、アルデヒド類、メチロールメラミン、グリオキシル酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩であることを特徴とする偏光板の製造方法。
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