JP2010254874A - プロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた照明カバー - Google Patents
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Abstract
【課題】透明性に優れたプロピレン系樹脂組成物及びそれを用いた照明カバーの提供。
【解決手段】荷重たわみ温度が70℃から140℃のプロピレン系重合体100重量部に対し、下記化学構造式(1)で示される透明化核剤(A)を0.01〜2.0重量部配合することを特徴とするプロピレン系樹脂組成物。
【化1】
【選択図】なし
【解決手段】荷重たわみ温度が70℃から140℃のプロピレン系重合体100重量部に対し、下記化学構造式(1)で示される透明化核剤(A)を0.01〜2.0重量部配合することを特徴とするプロピレン系樹脂組成物。
【化1】
【選択図】なし
Description
本発明は、荷重たわみ温度が70℃から140℃である透明性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物及びそれを用いた照明カバーに関するものである。
従来から、各種電気機器や各種車両に備えられる照明装置等に用いられる照明カバーには、(メタ)アクリル系樹脂(PMMA)、アクリロニトリル・スチレン系樹脂(AS)、ポリカーボネート系樹脂(PC)、ポリプロピレン系樹脂(PP)等の成形材料が用いられている。
PMMAやASを樹脂成分とする樹脂組成物からなる照明カバーは耐熱温度が低く、通常60℃以下程度の環境でしか連続使用することができなかった。
プロピレン系樹脂は、成形加工性、剛性に優れ、またリサイクル性や耐熱性、経済性にも優れていることから、各種の方法で成形加工され、例えば自動車室内の照明用のカバー部品やトランク・ドア等に備えられる照明用のカバー部品に用いられている。これらの特徴の中でも、近年は、成形時の消費エネルギーの削減による環境負荷の低減、成形サイクルの短縮による生産性の向上、熱劣化により発生する分解物の削減による臭気等の改良といった観点から、他の樹脂よりも比較的低温で成形できるというプロピレン系樹脂の特徴に対して期待が高まっている。
プロピレン系重合体には、単独重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体があるが、剛性や耐熱性、ガスバリヤー性の点ではプロピレン単独重合体が、透明性や耐衝撃性の点ではエチレン、ブテン−1等とプロピレンとのランダム共重合体が、耐熱性、耐衝撃性ではエチレン、ブテン等とプロピレンとのブロック共重合体が好適であり、状況に応じて適宜選択的に用いられている。
しかし、ブロック共重合体は、透明性の点において十分な性能を発揮させることが困難であり、プロピレン単独重合体は、ブロック共重合体ほどではないにしろ、透明性に劣り、耐衝撃性の点で十分な性能を発揮させることが困難であり、ランダム共重合体は、透明性には優れているものの、結晶化温度の低下に伴う成形加工性の悪化が見られる傾向がある。
しかし、ブロック共重合体は、透明性の点において十分な性能を発揮させることが困難であり、プロピレン単独重合体は、ブロック共重合体ほどではないにしろ、透明性に劣り、耐衝撃性の点で十分な性能を発揮させることが困難であり、ランダム共重合体は、透明性には優れているものの、結晶化温度の低下に伴う成形加工性の悪化が見られる傾向がある。
このため、プロピレン系重合体の改質だけではなく、プロピレン系重合体への透明化核剤の添加による透明性の改良が幅広く試みられてきた。透明化核剤としては、ジメチルベンジリデンソルビトール系核剤(例えば、特許文献1参照。)が最も一般的に使用されている。
しかしながら、ポリプロピレン系樹脂組成物を用いた照明カバーは、公知の透明化核剤を使用しても、透明性の改良幅は必ずしも十分ではなく、ポリスチレン等の他の樹脂の透明性には及ばない。
さらに、上記何れの照明カバーにおいても、光源の直下では比較的明るく、その周辺部では暗くなるという照度の不均一さが生じるという問題があった。この問題を解決するために、従来から照明カバーの表面に微細なシボ形状や凹凸形状を設けることにより、光を乱反射・散乱させる方法が採用されている。しかし、既存の技術では、このような凹凸形状では光源の照度が低下してしまうという問題がある為、光源の照度を低下させない光の透過性に優れた照明カバーが求められていた。
また、照明カバーは、照明から照射される紫外線や赤外線による劣化や、ランプの発熱によって変形してしまうという問題があった。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、透明性に優れたプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた照明カバーを提供する。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、プロピレン系重合体に対し、特定の透明化核剤を用いることにより、透明性に優れた特定の用途に供した場合に優れた機能を有するプロピレン系樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、荷重たわみ温度が70℃から140℃のプロピレン系重合体100重量部に対し、下記化学構造式(1)で示される透明化核剤(A)を0.01〜2.0重量部配合することを特徴とする照明カバー用プロピレン系樹脂組成物が提供される。
[但し、nは、0〜2の整数であり、R1〜R5は、同一または異なって、それぞれ水素原子もしくは炭素数が1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、カルボニル基、ハロゲン基およびフェニル基であり、R6は、炭素数が1〜20のアルキル基である。]
本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、透明化核剤(A)が下記化学構造式(1)で示されることを特徴とする照明カバー用プロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は第2のいずれかの発明のプロピレン系樹脂組成物を用いることを特徴とする照明カバーが提供される。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体に対し、前記化学構造式(1)に示される新規な透明化核剤を配合したポリプロピレン系樹脂組成物であり、このような新規な核剤を使用することにより、従来のプロピレン系樹脂組成物では実現し得なかった優れた透明性を得ることができる。このようなプロピレン系樹脂組成物から成形される各種照明用カバーは、優れた透明性を有するために、光透過性が卓越しており、照明の光源の明るさが非常に効率よく透過する。しかも、成形された照明カバーの全体にわたり均一な微細結晶が発達する為に、カバーの一部分に、或いはカバーの各所に大きな結晶が発達して偏在するとか、カバーの部分に屈折率の違いより光の屈折が発生すると言うような現象もないので、照明の目的に適応するような光学的な特性を備えている。
本発明は、プロピレン系重合体100重量部に対し、前記化学構造式(1)で示される透明化核剤(A)を0.01〜2.0重量部配合したプロピレン系樹脂組成物、および前記プロピレン系樹脂組成物を各種手法にて成形して得られる成形品である。以下、プロピレン系樹脂組成物を構成する成分、プロピレン系樹脂組成物の製造方法、および照明カバーのような成形品について詳細に説明する。
[1]プロピレン系樹脂組成物を構成する成分
(1)プロピレン系重合体
本発明のプロピレン系樹脂組成物で用いられるプロピレン系重合体は、プロピレン単独重合体であっても、プロピレン系共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体)であっても、あるいはこれらの混合物であってもよい。共重合体とする場合には、エチレンもしくはプロピレン以外のα−オレフィンからなる群から選ばれる1種もしくは2種以上をコモノマーとして使用するのが一般的であるが、これに限定されるものではない。
ただし、優れた透明性を発現させるためには、プロピレン単独重合体、プロピレンランダム共重合体、もしくはコモノマー含量が10重量%以下のプロピレンブロック共重合体が好ましく、プロピレンランダム共重合体がより好ましい。
具体的なプロピレン系重合体の例を挙げると、プロピレン単独重合体は勿論のこと、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1のような、α−オレフインの共単量体を0.1〜10重量%、好ましくは、1〜6重量%程度含む、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ペンテン共重合体、プロピレン−オクテン共重合体のような各種二元共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ヘキセン共重合体のような各種三元共重合体などが挙げられる。共重合体は、ランダム共重合体が適しているが、前段で予めプロピレン重合セグメントを重合し、後段でプロピレン−エチレンセグメントを重合したプロピレン系ブロック共重合体なども使用できる。
(1)プロピレン系重合体
本発明のプロピレン系樹脂組成物で用いられるプロピレン系重合体は、プロピレン単独重合体であっても、プロピレン系共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体)であっても、あるいはこれらの混合物であってもよい。共重合体とする場合には、エチレンもしくはプロピレン以外のα−オレフィンからなる群から選ばれる1種もしくは2種以上をコモノマーとして使用するのが一般的であるが、これに限定されるものではない。
ただし、優れた透明性を発現させるためには、プロピレン単独重合体、プロピレンランダム共重合体、もしくはコモノマー含量が10重量%以下のプロピレンブロック共重合体が好ましく、プロピレンランダム共重合体がより好ましい。
具体的なプロピレン系重合体の例を挙げると、プロピレン単独重合体は勿論のこと、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1のような、α−オレフインの共単量体を0.1〜10重量%、好ましくは、1〜6重量%程度含む、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ペンテン共重合体、プロピレン−オクテン共重合体のような各種二元共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ヘキセン共重合体のような各種三元共重合体などが挙げられる。共重合体は、ランダム共重合体が適しているが、前段で予めプロピレン重合セグメントを重合し、後段でプロピレン−エチレンセグメントを重合したプロピレン系ブロック共重合体なども使用できる。
また、本発明で用いられるプロピレン系重合体は、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレートが0.3〜100g/10分であるものが好ましい。メルトフローレートが0.3g/10分を著しく下回ると、押出成形時の押出負荷が増大し、表面の平滑性が損なわれ、成形品の外観が悪化する恐れがあり、逆に、100g/10分を著しく上回ると、透明化核剤のプロピレン系重合体への均一分散性が悪化して透明性が発現しにくくなる恐れがある。
本発明で用いられるプロピレン系組成物は、JIS K7207:1995に準拠した荷重たわみ温度が70〜140℃であるものが好ましい。荷重たわみ温度が70℃を下回ると、照明の熱により、成形品が変形する恐れがある。また、荷重たわみ温度が140℃を上回るプロピレン系組成物では、成形品の透明性が悪化する恐れがある。
本発明で用いられるプロピレン系組成物は、JIS K7105:1981に準拠したHAZEにおいて、肉厚を増したときの透明性の悪化が少ないことが好ましい。肉厚を増したときの透明性の悪化が大きいとき、ランプカバー表面の凹凸形状により、光が十分透過しない恐れがある。
本発明の照明カバーは、紫外線の照射されない車内照明、室内照明への使用や、光源から紫外線や赤外線を照射しないLEDランプへの使用が好ましい。紫外線照射を受ける環境での使用は、紫外線吸収剤を添加していても劣化する恐れがある。
照明カバーの大きさ、形状または構造は、光源の規模、状態およびデザインに応じて任意にその寸法は規定できる。照明器具の光源は、常用の蛍光灯、白熱灯、発光ダイオード(LED)、水銀灯、ハロゲンランプのような、家庭用、工業用、機器類の各種光源に適用できる。通常、波長200〜1200nm程度の通常の照明器具を対象としている。例えば、室内照明に多い、市販の長尺の蛍光灯、短い蛍光灯の単品の比較的小型のカバーは勿論のこと、その蛍光灯を複数集合した、例えば2〜4m程度の丸型、角型の大型照明器具のカバーとして使用できる。一方、室内の丸型蛍光灯のカバーのように、比較的コンパクトな照明カバーとしても適している。照明カバーの厚さも、0.01〜15mmの範囲で、任意設計できる。さらに、裸電球、LEDのような光源を等間隔で覆うような丸型カバーとしても使用できる。また、家庭、工場、自動車、列車、飛行機のような乗り物のなどの各種照明カバーとして使用できる。また、電子機器類、街灯、浴槽のような環境に対応できる照明カバーとしても適している。照明用カバーとしての、寸法のような大きさおよび厚さ、平型、箱型、丸型、半円球型、板状方、円錐型、筒型のような形態、スポットライトのようなレンズ機能、装飾機能の刻印、などを付加した舞台、劇場、インテリヤのような特殊照明カバーなど、任意に成形できる。
照明カバーの大きさ、形状または構造は、光源の規模、状態およびデザインに応じて任意にその寸法は規定できる。照明器具の光源は、常用の蛍光灯、白熱灯、発光ダイオード(LED)、水銀灯、ハロゲンランプのような、家庭用、工業用、機器類の各種光源に適用できる。通常、波長200〜1200nm程度の通常の照明器具を対象としている。例えば、室内照明に多い、市販の長尺の蛍光灯、短い蛍光灯の単品の比較的小型のカバーは勿論のこと、その蛍光灯を複数集合した、例えば2〜4m程度の丸型、角型の大型照明器具のカバーとして使用できる。一方、室内の丸型蛍光灯のカバーのように、比較的コンパクトな照明カバーとしても適している。照明カバーの厚さも、0.01〜15mmの範囲で、任意設計できる。さらに、裸電球、LEDのような光源を等間隔で覆うような丸型カバーとしても使用できる。また、家庭、工場、自動車、列車、飛行機のような乗り物のなどの各種照明カバーとして使用できる。また、電子機器類、街灯、浴槽のような環境に対応できる照明カバーとしても適している。照明用カバーとしての、寸法のような大きさおよび厚さ、平型、箱型、丸型、半円球型、板状方、円錐型、筒型のような形態、スポットライトのようなレンズ機能、装飾機能の刻印、などを付加した舞台、劇場、インテリヤのような特殊照明カバーなど、任意に成形できる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物が照明用カバー材料に適している理由を挙げると、軽量で、ヘーズ(%)を下げるために、0.05〜2mm程度、具体的には0.1〜0.15mm程度の薄型シートによる、大きさ1.5m四方の箱型照明用カバーの例で説明をする。ヘーズを均等に下げるためには、カバーに補強用リブなどを設けることは好ましくない。本発明の組成物から成形されるカバーは、大型でも均一な透明性を持った材料となる。これは、本発明の透明化核剤(A)は、球晶サイズが、1μm程度の透明化する性質があるからである。そして、熱変形温度(℃)も、例えば、未添加ポリプロピレン系樹脂が110℃とすれば、115〜120℃まで上昇するので、光源による過度の熱により、変形が少ないことが挙げられる。剛性、曲げ弾性率(kg/cm2)の向上は、温度変化や、外部からの物理的な力に対して、照明カバーの形状安定性を高くすることができる。
光源の外部からの襲撃からの保護機能を持たせる為に、やや重厚な照明用保護カバーの例で説明をすれば、厚さ1〜5mm程度のものの場合には、比較的薄い場合には、金型に接する成形品の面は、冷却が早く、微細な結晶構造になるが、成形品の内部が結晶化温度以下に冷却するまで、若干の冷却時間を要することになり、結晶発達の違いに基づく、結晶構造に不均一という状態発生することが予測されます。しかしながら、本願発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、そのような結晶構造の違いに基づく、光線透過率、光散乱、光屈折などの影響が非常に少ないので、照明器具用カバー材料としての特徴を備えている。さらに、インテリヤ、デザイン、舞台装置、などの特殊機能を備えた、各種装飾機能を待たせた、照明器具用保護カバーの場合には、保護カバーに装飾用のリブ、図形、模様の刻印、保護カバー自体の形態が変化した照明器具用の保護カバーもあります。このような場合には、保護カバー製品の肉厚が均一でない場合があります。このような、いわゆる変形保護カバーでも、照明用光線が透過することを前提にしているから、カバーの厚みのある部分および薄い部分、凹凸部分などの結晶構造が均一であることが推奨されます。本発明の照明保護カバーは、成形上の問題およびカバー構造、形状に起因する問題点に過度に左右されることなく、カバーに必要な性能上の条件を満たしており、照明光線の光線透過率の低下、屈折、全反射、偏光などにより、照明用保護カバーの機能が低下するということが少ない。また、装飾の為に、カバーの表面に深さ約50〜300μm程度のシボ加工、エンボス加工をしても、カバーとしての機能が低下することがない。
このように、本発明のプロピレン系樹脂組成物は、照明器具用保護カバー、照明カバーとしての材料として、例えば、ヘーズ10〜50%というような性能をもたせる為に適用できる性質を備えている。
このように、本発明のプロピレン系樹脂組成物は、照明器具用保護カバー、照明カバーとしての材料として、例えば、ヘーズ10〜50%というような性能をもたせる為に適用できる性質を備えている。
本発明で用いられるプロピレン系重合体を得るために用いられる触媒は、特に限定されるものではなく、公知の触媒が使用可能である。例えば、チタン化合物と有機アルミニウムを組み合わせた、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒、あるいは、メタロセン触媒(例えば、特開平5−295022号公報等に記載)が使用できる。
なかでも、メタロセン触媒を用いた場合には、透明性や、融点見合いでの耐熱性が良好であり、揮発分も少なく臭気が良好となることから、より好ましい。
なかでも、メタロセン触媒を用いた場合には、透明性や、融点見合いでの耐熱性が良好であり、揮発分も少なく臭気が良好となることから、より好ましい。
本発明で用いられるプロピレン系重合体を得るために用いられる重合プロセスは、特に限定されるものではなく、公知の重合プロセスが使用可能である。例えば、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等が使用できる。また、これらの重合法の1種または2種以上を組み合わせて多段重合を行って重合することもできる。さらには、2種以上のプロピレン系重合体を機械的に溶融混練することによっても製造することができる。
(2)透明化核剤(A)
本発明のプロピレン系樹脂組成物に用いられる透明化核剤(A)は、下記化学構造式(1)で示される透明化核剤である。
本発明のプロピレン系樹脂組成物に用いられる透明化核剤(A)は、下記化学構造式(1)で示される透明化核剤である。
化学構造式(1)において、nは、0〜2の整数であり、R1〜R5は、同一または異なって、それぞれ水素原子もしくは炭素数が1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、カルボニル基、ハロゲン基およびフェニル基であり、R6は、炭素数が1〜20のアルキル基である。
好ましくは、化学構造式(1)において、nは、0〜2の整数であり、R1、R2、R4およびR5は、それぞれ水素原子であり、R3およびR6は、同一または異なって、それぞれ炭素数が1〜20のアルキル基である。
さらに好ましくは、化学構造式(1)において、nは、0〜2の整数であり、R1、R2、R4およびR5は、それぞれ水素原子であり、R3は、−CH3、−CH2CH3、−CH2CH2CH3、−CH2CH2CH2CH3、−CH2CH=CH2、−CH(CH3)CH=CH2、−CH2CH−X1−CH2−X2、−CH2CH−X3−CH2CH3、−CH2CH−X4−CH2OHもしくは−CH2OH−CH(OH)−CH2OHであり(但し、X1〜X4は、それぞれ独立したハロゲン基である。)、R6は、炭素数が1〜20のアルキル基である。
本発明に用いられる透明化核剤(A)は、得られる成形品に、従来の透明化核剤では実現が不可能なほどの非常に優れた透明性を与えることができる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物に用いられる透明化核剤(A)の配合量は、プロピレン系重合体100重量部に対し、0.01〜2.0重量部であり、好ましくは0.2〜0.6重量部である。0.01重量部未満では十分な効果が得られ難い。2.0重量部を超えると核剤の凝集が発生して透明性が低下する可能性があるため望ましくない。
本発明に用いられる透明化核剤(A)の製造方法としては、WO2005/111134号公報等に記載の方法を挙げることができる。市販品としても、容易に入手することができ、例えば、ミラッドNX8000(ミリケン・アンド・カンパニー社製)を挙げることができる。
また、本発明のプロピレン系樹脂組成物においては、透明化核剤(A)以外に他の核剤の少なくとも1種類を併用してもよい。これにより透明性や剛性、成形加工性等をさらに向上させることができる。ここで用いられる核剤としては、特に限定されるものではなく、公知の核剤が使用できる。例えば、ソルビトール系透明化核剤、有機リン酸塩系透明化核剤および芳香族リン酸エステル類、タルクなど既知の透明化核剤を本発明の効果を大きく阻害しない範囲で添加することができる。
(3)その他の添加剤
本発明のプロピレン系樹脂組成物においては、プロピレン系重合体および透明化核剤(A)に加えて、プロピレン系重合体の安定剤などとして使用されている各種酸化防止剤、中和剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を配合することができる。
また、紫外線などの影響により劣化が生じる屋外の使用においては、酸化防止剤を0.01〜1.0重量部、紫外線吸収剤を0.01〜1.0重量部、光安定剤を0.01〜1.0重量部併用することが好ましい。1.0重量部を超えると添加剤の凝集が発生して透明性が低下する可能性があるため望ましくない。
本発明のプロピレン系樹脂組成物においては、プロピレン系重合体および透明化核剤(A)に加えて、プロピレン系重合体の安定剤などとして使用されている各種酸化防止剤、中和剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を配合することができる。
また、紫外線などの影響により劣化が生じる屋外の使用においては、酸化防止剤を0.01〜1.0重量部、紫外線吸収剤を0.01〜1.0重量部、光安定剤を0.01〜1.0重量部併用することが好ましい。1.0重量部を超えると添加剤の凝集が発生して透明性が低下する可能性があるため望ましくない。
具体的には、酸化防止剤としては、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ジ−ステアリル−ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト等のリン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系酸化防止剤、ジ−ステアリル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ラウリル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート等のチオ系酸化防止剤等が挙げられる。
中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの金属脂肪酸塩、ハイドロタルサイト(商品名:協和化学工業(株)の下記一般式(2)で表されるマグネシウムアルミニウム複合水酸化物塩)、ミズカラック(下記一般式(3)で表されるリチウムアルミニウム複合水酸化物塩)などが挙げられる。
Mg1−xAlx(OH)2(CO3)x/2・mH2O …(2)
[式中、xは、0<x≦0.5であり、mは3以下の数である。]
[Al2Li(OH)6]nX・mH2O …(3)
[式中、Xは、無機または有機のアニオンであり、nはアニオン(X)の価数であり、mは3以下である。]
[式中、xは、0<x≦0.5であり、mは3以下の数である。]
[Al2Li(OH)6]nX・mH2O …(3)
[式中、Xは、無機または有機のアニオンであり、nはアニオン(X)の価数であり、mは3以下である。]
滑剤の具体例としては、既知の滑剤が挙げられるが、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸ブチル、シリコーンオイル等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
光安定剤としては、n−ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−2−(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジル)エタノール縮合物、ポリ{[6−〔(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ〕−1,3,5−トリアジン−2,4ジイル]〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕}、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等の光安定剤を挙げることができる。
さらに、下記化学構造式(3)や下記一般式(4)で表されるアミン系酸化防止剤、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジ−メチル−フェニル)−3H−ベンゾフラン−2−ワン等のラクトン系酸化防止剤、下記化学構造式(5)等のビタミンE系酸化防止剤を挙げることができる。
さらに、その他に、帯電防止剤、脂肪酸金属塩等の分散剤、有機化酸化物、顔料や染料などの着色剤、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、オレフィン系エラストマー、非オレフィン系エラストマー等を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。特に、染料、顔料、着色剤、の添加、およびニース、塗料などのよるカバーの表面処理は、照明光に色の機能を付加することになり、照明用カバーの装飾、インテリヤとしての機能、用途を高めることができる。また、硫酸バリウムのような光拡散剤を添加して、カバーの光学的な機能を調節することができる。
[2]プロピレン樹脂組成物の製造方法
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体、透明化核剤(A)および必要に応じて用いる他の添加剤を、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、リボンブレンダー等に投入して混合した後、通常の単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、ロール等で170〜280℃の温度範囲で溶融混練することにより得ることができる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体、透明化核剤(A)および必要に応じて用いる他の添加剤を、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、リボンブレンダー等に投入して混合した後、通常の単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、ロール等で170〜280℃の温度範囲で溶融混練することにより得ることができる。
[3]成形品
本発明の成形品は、上記のプロピレン系樹脂組成物を、公知の射出成形機、押出成形機、ブロー成形機により成形することにより得られる照明カバー(自動車室内照明カバー、室内照明カバー、LEDランプカバー等)であり、非常に高い透明性を特徴とする。
本発明の成形品は、上記のプロピレン系樹脂組成物を、公知の射出成形機、押出成形機、ブロー成形機により成形することにより得られる照明カバー(自動車室内照明カバー、室内照明カバー、LEDランプカバー等)であり、非常に高い透明性を特徴とする。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの記載により何ら限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例において、用いた物性測定は以下の方法で行い、プロピレン系重合体、透明化核剤及び他の添加剤(酸化防止剤、中和剤など)としては以下のものを使用した。
1.試験方法
(1)エチレン含量
13C−NMRにより、エチレン含有量、およびブテン−1含有量を測定した。その測定条件は以下の通りである。
機種:日本電子(株)製GSX−400
溶媒:o−ジクロルベンゼン:重ベンゼン=4:1(体積比)
濃度:100mg/ml
温度:130℃
パルス角:90°
パルス間隔:15秒
積算回数:5,000回以上
(1)エチレン含量
13C−NMRにより、エチレン含有量、およびブテン−1含有量を測定した。その測定条件は以下の通りである。
機種:日本電子(株)製GSX−400
溶媒:o−ジクロルベンゼン:重ベンゼン=4:1(体積比)
濃度:100mg/ml
温度:130℃
パルス角:90°
パルス間隔:15秒
積算回数:5,000回以上
(2)メルトフローレート(MFR)
JIS K7120:1999、230℃ 2.16kg荷重に準拠して測定した。
JIS K7120:1999、230℃ 2.16kg荷重に準拠して測定した。
(3)ヘーズ
東芝機械製EC100射出成形機により、成形温度220℃、金型温度40℃で厚さ1.5mmt、2.0mmt、2.5mmt、3.0mmt、4.0mmtのシート状試験片を作成し、JIS K7105:1981に準拠して測定した。この値が小さいほど透明であることを意味し、一般には高透明・高光沢な成形品としての外観意匠性が高いことになる。
東芝機械製EC100射出成形機により、成形温度220℃、金型温度40℃で厚さ1.5mmt、2.0mmt、2.5mmt、3.0mmt、4.0mmtのシート状試験片を作成し、JIS K7105:1981に準拠して測定した。この値が小さいほど透明であることを意味し、一般には高透明・高光沢な成形品としての外観意匠性が高いことになる。
(4)融解終了温度
JIS K6921:1987に準拠して示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製DSC6200)を用いて、10℃/分にて補外融解終了温度を求め、融解終了温度の指標とした。この温度以上に加熱しなければ樹脂が完全には溶融しないため、この温度が低ければ低いほど、低温でも成形可能であることを表す。
JIS K6921:1987に準拠して示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製DSC6200)を用いて、10℃/分にて補外融解終了温度を求め、融解終了温度の指標とした。この温度以上に加熱しなければ樹脂が完全には溶融しないため、この温度が低ければ低いほど、低温でも成形可能であることを表す。
(5)荷重たわみ温度
東芝機械製EC100射出成形機により、成形温度220℃、金型温度40℃で厚さ4mm、幅12.7mm、長さ110mmの試験片を作成し、JIS K7207:1995に準拠して測定した。この温度以上の条件では、成形品が容易に変形してしまうことを示し、この温度が高ければ高いほど、耐熱性が高いことを表す。
東芝機械製EC100射出成形機により、成形温度220℃、金型温度40℃で厚さ4mm、幅12.7mm、長さ110mmの試験片を作成し、JIS K7207:1995に準拠して測定した。この温度以上の条件では、成形品が容易に変形してしまうことを示し、この温度が高ければ高いほど、耐熱性が高いことを表す。
(6)光ムラ
東芝機械製EC100射出成形機により、成形温度220℃、金型温度40℃で厚さ2.5mmtの表面シボ加工したシートを作成し、光の透過性を目視にて確認した。
東芝機械製EC100射出成形機により、成形温度220℃、金型温度40℃で厚さ2.5mmtの表面シボ加工したシートを作成し、光の透過性を目視にて確認した。
2.プロピレン系重合体、透明化核剤及び他の添加剤
(1)プロピレン系重合体
(i)プロピレン単独重合体−1(HPP−1):ノバテックMA1Q(日本ポリプロ社製)。チーグラー・ナッタ触媒、エチレン濃度0重量%、MFR22g/10分
(ii)エチレン・プロピレンランダム共重合体−1(RPP−1):ノバテックMG03BQ(日本ポリプロ社製)。チーグラー・ナッタ触媒、エチレン濃度2.2重量%、MFR30g/10分
(iii)エチレン・プロピレンランダム共重合体−2(RPP−2):ウィンテックWMG03P(日本ポリプロ社製)。メタロセン触媒、エチレン濃度0.9重量%、MFR25g/10分
(iv)エチレン・プロピレンランダム共重合体−3(RPP−3):ウェルネクスXY1010RP(日本ポリプロ社製)。メタロセン触媒、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン含量5.4重量%、MFR20g/10分
(1)プロピレン系重合体
(i)プロピレン単独重合体−1(HPP−1):ノバテックMA1Q(日本ポリプロ社製)。チーグラー・ナッタ触媒、エチレン濃度0重量%、MFR22g/10分
(ii)エチレン・プロピレンランダム共重合体−1(RPP−1):ノバテックMG03BQ(日本ポリプロ社製)。チーグラー・ナッタ触媒、エチレン濃度2.2重量%、MFR30g/10分
(iii)エチレン・プロピレンランダム共重合体−2(RPP−2):ウィンテックWMG03P(日本ポリプロ社製)。メタロセン触媒、エチレン濃度0.9重量%、MFR25g/10分
(iv)エチレン・プロピレンランダム共重合体−3(RPP−3):ウェルネクスXY1010RP(日本ポリプロ社製)。メタロセン触媒、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン含量5.4重量%、MFR20g/10分
(2)透明化核剤
(i)ミラッドNX8000(ミリケン・アンド・カンパニー社製):透明化核剤(A)相当品で、下記化学構造式(6)で表される化合物
(i)ミラッドNX8000(ミリケン・アンド・カンパニー社製):透明化核剤(A)相当品で、下記化学構造式(6)で表される化合物
(ii)アデカスタブNA21((株)ADEKA社製):有機リン酸金属塩化合物系透明化核剤:透明化核剤(A)に相当しない透明化核剤
(iii)ゲルオールMD(新日本理化(株)社製):ジメチルベンジリデンソルビトール系透明化核剤:透明化核剤(A)に相当しない透明化核剤
(iii)ゲルオールMD(新日本理化(株)社製):ジメチルベンジリデンソルビトール系透明化核剤:透明化核剤(A)に相当しない透明化核剤
(3)酸化防止剤
(i)ヒンダードフェノール系酸化防止剤:イルガノックス1010(IR1010;チバ社製);テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシルフェニル)プロピオネート]メタン
(ii)リン系酸化防止剤:イルガフォス168(IF168;チバ社製);トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェノール)フォスファイト
(i)ヒンダードフェノール系酸化防止剤:イルガノックス1010(IR1010;チバ社製);テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシルフェニル)プロピオネート]メタン
(ii)リン系酸化防止剤:イルガフォス168(IF168;チバ社製);トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェノール)フォスファイト
(4)中和剤
(i)ステアリン酸カルシウム(CAST;日本油脂(株)社製)
(i)ステアリン酸カルシウム(CAST;日本油脂(株)社製)
(実施例1〜3、比較例1〜7)
プロピレン系重合体、透明化核剤及び他の添加剤(酸化防止剤、中和剤)を表1に記載の配合割合(重量部)で準備し、スーパーミキサーでドライブレンドした後、東芝機械製二軸押出機TEM35を用いて溶融混練した。ダイ出口部温度200℃でダイから押し出しペレット化し、得られたペレットを用いて物性を測定した。その結果を表1に示す。
プロピレン系重合体、透明化核剤及び他の添加剤(酸化防止剤、中和剤)を表1に記載の配合割合(重量部)で準備し、スーパーミキサーでドライブレンドした後、東芝機械製二軸押出機TEM35を用いて溶融混練した。ダイ出口部温度200℃でダイから押し出しペレット化し、得られたペレットを用いて物性を測定した。その結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1は、プロピレン単独重合体−1の100重量部に対して、当該透明化核剤(A)を0.3重量部配合したもので、公知の透明化核剤を添加した比較例1及び4に比べて透明性が優れている。特に、実施例1の成形品肉厚を1.5mmtから2.5mmtに増した時の透明性の悪化は、比較例1及び4の成形品肉厚を1.5mmtから2.0mmtに増した時の透明性の悪化に比べて低いことが分かる。
実施例2は、プロピレン系重合体としてプロピレン・エチレンランダム共重合体−1を用い、それに当該透明化核剤(A)を0.3重量部配合したものであり、プロピレン単独重合体を用いた場合よりも透明性がさらに優れていることが分かる。また、同じプロピレン系重合体に公知の透明化核剤を添加した比較例2、5と比べて、透明性が良好である。特に、成形品肉厚を1.5mmtから3.0mmtに増した時の透明性の悪化は、比較例1及び4の成形品肉厚を1.5mmtから2.5mmtに増した時の透明性の悪化と同等であり、比較例2の透明性の悪化が著しく低いことが分かる。
実施例3は、メタロセン触媒で重合されたプロピレン・エチレンランダム共重合体−2を用いたものであるが、他のチーグラー・ナッタ触媒により重合されたプロピレン系重合体を用いた場合よりも、さらに透明性が向上することが分かる。また、同じプロピレン系重合体に公知の透明化核剤を添加した比較例3、6と比べて、透明性が良好である。特に、実施例3の成形品肉厚を増した時の透明性の悪化は、他の例と比べて著しく低いことが分かる。
実施例2は、プロピレン系重合体としてプロピレン・エチレンランダム共重合体−1を用い、それに当該透明化核剤(A)を0.3重量部配合したものであり、プロピレン単独重合体を用いた場合よりも透明性がさらに優れていることが分かる。また、同じプロピレン系重合体に公知の透明化核剤を添加した比較例2、5と比べて、透明性が良好である。特に、成形品肉厚を1.5mmtから3.0mmtに増した時の透明性の悪化は、比較例1及び4の成形品肉厚を1.5mmtから2.5mmtに増した時の透明性の悪化と同等であり、比較例2の透明性の悪化が著しく低いことが分かる。
実施例3は、メタロセン触媒で重合されたプロピレン・エチレンランダム共重合体−2を用いたものであるが、他のチーグラー・ナッタ触媒により重合されたプロピレン系重合体を用いた場合よりも、さらに透明性が向上することが分かる。また、同じプロピレン系重合体に公知の透明化核剤を添加した比較例3、6と比べて、透明性が良好である。特に、実施例3の成形品肉厚を増した時の透明性の悪化は、他の例と比べて著しく低いことが分かる。
また、実施例3はメタロセン触媒により重合されたプロピレン系重合体を用いたものであるが、チーグラー・ナッタ触媒により重合されたプロピレン系重合体を用いた実施例2と比べて、融解ピーク温度は低いが、荷重たわみ温度が高く、更に透明性も高いことが分かる。但し、比較例7はメタロセン触媒により重合されたプロピレン系重合体であっても、エチレン含量が高いため、荷重たわみ温度が本発明の範囲である70℃〜140℃を下回っており、照明の発熱による熱変形を受け易いため、照明カバーには望ましくない。
(実施例4、比較例8、9)
プロピレン系重合体、透明化核剤及び他の添加剤(酸化防止剤、中和剤)を表1に記載の配合割合(重量部)で準備し、スーパーミキサーでドライブレンドした後、東芝機械製二軸押出機TEM35を用いて溶融混練した。ダイ出口部温度200℃でダイから押し出しペレット化し、得られたペレットを用いて物性を測定した。その結果を表2に示す。
プロピレン系重合体、透明化核剤及び他の添加剤(酸化防止剤、中和剤)を表1に記載の配合割合(重量部)で準備し、スーパーミキサーでドライブレンドした後、東芝機械製二軸押出機TEM35を用いて溶融混練した。ダイ出口部温度200℃でダイから押し出しペレット化し、得られたペレットを用いて物性を測定した。その結果を表2に示す。
実施例7は、プロピレン系重合体としてプロピレン・エチレンランダム共重合体−2を用い、それに当該透明化核剤(A)を0.3重量部配合したものであり、同じプロピレン系重合体に公知の透明化核剤を添加した比較例8、9と比べて、シボ金型の光ムラが良好である。
本発明のプロピレン系樹脂組成物及びその成形品は、従来の透明化核剤では達成ができなかった優れた透明性を有しているため、公知の成形方法によって、容易に透明性の優れる成形品を提供することができる。また、本発明のプロピレン系樹脂組成物及びその成形品は、成形品肉厚を増しても透明性の悪化は極めて小さく、照明カバーの表面に微細なシボ形状や凹凸形状を施しても光透過のムラが少なくなり、高い光透過性を実現することが可能である。これにより、光源の照度を下げることが可能となり、エネルギー消費量を削減することが可能である。更に、メタロセン触媒により重合されたプロピレン系重合体を用いることにより、高い耐熱性、透明性を発現することが可能であり、より好ましい。これらの特徴から、照明カバーの用途に極めて有用である。
Claims (6)
- プロピレン系重合体100重量部に対し、透明化核剤(A)を0.01〜2.0重量部配合することを特徴とする照明カバー用プロピレン系樹脂組成物。
- 透明化核剤(A)が下記化学構造式(1)で示されることを特徴とする請求項1記載のプロピレン系樹脂組成物。
[但し、nは、0〜2の整数であり、R1〜R5は、同一または異なって、それぞれ水素原子もしくは炭素数が1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、カルボニル基、ハロゲン基およびフェニル基であり、R6は、炭素数が1〜20のアルキル基である。] - 透明化核剤(A)が下記化学構造式(2)で示されることを特徴とする請求項1記載のプロピレン系樹脂組成物。
- プロピレン系重合体がメタロセン触媒によって重合されたものであることを特徴とする請求項1〜3に記載のプロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜3に記載のプロピレン系樹脂組成物で、荷重たわみ温度が70℃から140℃であるプロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜5に記載のプロピレン系樹脂組成物を用いることを特徴とする照明カバー。
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JP2009108717A JP2010254874A (ja) | 2009-04-28 | 2009-04-28 | プロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた照明カバー |
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2009
- 2009-04-28 JP JP2009108717A patent/JP2010254874A/ja active Pending
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