JP7000715B2 - 加飾フィルムおよびそれを用いた加飾成形体の製造方法 - Google Patents
加飾フィルムおよびそれを用いた加飾成形体の製造方法 Download PDFInfo
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Description
さらに、驚くべきことにこのような加飾フィルムは傷を目立たなくする効果が高く、前記課題を解決しうることを見出し本発明を完成するに至った。
[1] 樹脂成形体上に熱成形によって貼着するための加飾フィルムであって、該加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)からなるシール層(I)およびポリプロピレン系樹脂(B)からなる層(II)を含み、
前記ポリプロピレン系樹脂(A)は、下記要件(a1)~(a4)を満たし、前記ポリプロピレン系樹脂(B)は、下記要件(b1)~(b2)を満たすことを特徴とする加飾フィルム。
(a1)メタロセン触媒により重合されたプロピレン系重合体である
(a2)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(A))は、0.5g/10分を超える
(a3)融解ピーク温度(Tm(A))は、150℃未満である
(a4)GPC測定により得られる分子量分布(Mw/Mn(A))は、1.5~3.5である
(b1)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(B))とMFR(A)とは、関係式(b-1)を満たす
MFR(B)<MFR(A) ・・・ 式(b-1)、
(b2)融解ピーク温度(Tm(B))とTm(A)とは、関係式(b-2)を満たす
Tm(B)>Tm(A) ・・・ 式(b-2)
[2] 前記ポリプロピレン系樹脂(A)は、プロピレン・α-オレフィン共重合体であることを特徴とする[1]に記載の加飾フィルム。
[3] Tm(A)は、140℃以下であることを特徴とする[1]または[2]に記載の加飾フィルム。
[4] [1]~[3]のいずれかに記載の加飾フィルムを準備するステップ、樹脂成形体を準備するステップ、減圧可能なチャンバーボックス中に、前記樹脂成形体及び前記加飾フィルムをセットするステップ、前記チャンバーボックス内を減圧するステップ、前記加飾フィルムを加熱軟化させるステップ、前記樹脂成形体に前記加飾フィルムを押し当てるステップ、前記減圧したチャンバーボックス内を大気圧に戻す又は加圧するステップを含むことを特徴とする加飾成形体の製造方法。
[5] 前記樹脂成形体は、プロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とする[4]に記載の加飾成形体の製造方法。
前記ポリプロピレン系樹脂(A)は、下記要件(a1)~(a4)を満たし、前記ポリプロピレン系樹脂(B)は、下記要件(b1)~(b2)を満たすことを特徴とする。
(a1)メタロセン触媒により重合されたプロピレン系重合体である
(a2)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(A))は、0.5g/10分を超える
(a3)融解ピーク温度(Tm(A))は、150℃未満である
(a4)GPC測定により得られる分子量分布(Mw/Mn(A))は、1.5~3.5である
(b1)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(B))とMFR(A)とは、関係式(b-1)を満たす
MFR(B)<MFR(A) ・・・ 式(b-1)、
(b2)融解ピーク温度(Tm(B))とTm(A)とは、関係式(b-2)を満たす
Tm(B)>Tm(A) ・・・ 式(b-2)。
本発明の加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)からなるシール層(I)を含むものである。シール層(I)は、三次元加飾熱成形の際に、樹脂成形体(基体)と接する層である。ポリプロピレン系樹脂(A)は、溶融・緩和しやすい樹脂であることが好ましい。シール層(I)を設けることにより、加飾成形体の表面に穴、しわ、空気の巻き込み等の発生が抑えられ、基体表面についた傷を目立ちにくくすることができる。
なお、Mn、Mwは、「高分子化学の基礎」(高分子学会編、東京化学同人、1978)等に記載されており、GPCによる分子量分布曲線から計算される値である。
α-オレフィンとしては、エチレン及び炭素数が3~8のα-オレフィンから選ばれる一種または二種以上の組み合わせ等を用いることが出来る。
本発明の加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(B)からなる層(II)を含むものである。ポリプロピレン系樹脂(B)は、前記のポリプロピレン系樹脂(A)よりも、溶融・緩和しにくい樹脂であることが好ましい。層(II)を設けることにより、熱成形時にフィルムが破断したり暴れたりすることによる外観不良の発生を抑制することが出来る。これにより、加飾フィルムが、熱成形性を改良するため、熱成形性に優れる熱硬化性樹脂層を含まなくてもよい。
Tm(B)は、前記の範囲であれば特に制限はないが、好ましくは150℃以上、より好ましくは155℃以上である。前記の範囲であると、耐熱性、耐傷つき性、耐溶剤性が良好となる。
ポリプロピレン系樹脂(B)は、メタロセン触媒系プロピレン系重合体、チーグラー・ナッタ触媒系プロピレン系重合体等から選ぶことができる。チーグラー・ナッタ触媒系プロピレン系重合体が好ましい。
本発明における加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)からなるシール層(I)およびポリプロピレン系樹脂(B)からなる層(II)を含む。加飾フィルムは、シール層(I)、層(II)の他に様々な構成を取ることが可能である。すなわち、加飾フィルムは、シール層(I)および層(II)からなる二層フィルムであっても、シール層(I)および層(II)と他の層からなる三層以上の多層フィルムであってもよい。なお、シール層(I)は、樹脂成形体(基体)に沿って貼着する。また、加飾フィルムは、その表面にシボ、エンボス、印刷、サンドプラスト、スクラッチ等が施されていてもよい。
脂成分等を溶融混練する方法、プロピレン系重合体と添加剤、フィラー等を溶融混練した
ものにその他の樹脂成分をドライブレンドする方法、プロピレン系重合体とその他の樹脂
成分に加え添加剤、フィラー等をキャリアレジンに高濃度で分散させたマスターバッチを
ドライブレンドする方法等によって製造することができる。
本発明の加飾フィルムは、公知の様々な成形方法により製造することが出来る。
例えば、ポリプロピレン系樹脂(A)からなるシール層(I)とポリプロピレン系樹脂(B)からなる層(II)を共押出成形する方法、シール層(I)および層(II)とさらに他の層とを共押出成形する方法、あらかじめ押出成形した一方の層の片方の面の上に、他の層を熱及び圧力をかけて貼り合せる熱ラミネーション法、接着剤を介して貼り合せるドライラミネーション法及びウェットラミネーション法、あらかじめ押出成形した一方の層の片方の面の上に、ポリプロピレン系樹脂を溶融押出しする押出ラミネーション法やサンドラミネーション法などが挙げられる。加飾フィルムを形成するための装置としては、公知の共押出Tダイ成形機や、公知のラミネート成形機を用いることができる。この中で、生産性の観点から、共押出Tダイ成形機が好適に用いられる。
本発明において加飾される成形体(加飾対象)として、好ましくはポリプロピレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂組成物からなる各種成形体(以下、「基体」と言うことがある。)を用いることが出来る。成形体の成形方法は、特に制限されるものでなく、例えば射出成形、ブロー成形、プレス成形、押出成形等を挙げることができる。
より具体的に代表的な成形方法を以下に例示する。
チャンバーボックス11,12内の減圧は、空気だまりが発生しない程度であれば良く、チャンバーボックス内の圧力が10KPa以下、好ましくは3KPa、より好ましくは1KPa以下である。
(i)MFR
ISO 1133:1997 Conditions Mに準拠して、230℃、2.16kg荷重で測定した。単位はg/10分である。
示差操作熱量計(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて10分間保持した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度を融点とした。単位は℃である。
以下の装置と条件でGPC測定をおこないMw/Mnの算出をおこなった。
・装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
・検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
・カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
・移動相溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
・測定温度:140℃
・流速:1.0ml/min
・注入量:0.2ml
・試料の調製:試料は、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して、較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
なお、分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10-4、α=0.7
PP:K=1.03×10-4、α=0.78
(1)ポリプロピレン系樹脂
以下のポリプロピレン系樹脂を用いた。
(A-1):メタロセン触媒によるプロピレン-α-オレフィン共重合体(MFR=7g/10分、Tm=125℃、Mw/Mn=2.5)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ウィンテック(登録商標)WFX4M」
(A-2):メタロセン触媒によるプロピレン-α-オレフィン共重合体(MFR=25g/10分、Tm=125℃、Mw/Mn=2.4)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ウィンテック(登録商標)WSX03」
(A-3):メタロセン触媒によるプロピレン-α-オレフィン共重合体(MFR=7g/10分、Tm=135℃、Mw/Mn=2.3)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ウィンテック(登録商標)WFW4M」
(A-4):メタロセン触媒によるプロピレン-α-オレフィン共重合体(MFR=30g/10分、Tm=145℃、Mw/Mn=2.4)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ウィンテック(登録商標)WMG03」
(A-5):チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン-α-オレフィン共重合体(MFR=7g/10分、Tm=145℃、Mw/Mn=4.0)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)FW3GT」
(B-1):チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン単独重合体(MFR=2.4g/10分、Tm=161℃)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)FY6」
(B-2):チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン単独重合体(MFR=0.4g/10分、Tm=161℃)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)EA9」
(B-3)ポリプロピレン系樹脂(B-1)96重量%に黒色顔料MB(ポリコール興業(株)社製 EPP-K-120601)を4重量%ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=2.4g/10分、Tm=161℃)
(C-1):プロピレン単独重合体(MFR=10g/10分、Tm=161℃)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)FA3KM」
(C-2):ポリプロピレン系樹脂(C-1)100重量部に、造核剤(ミリケン・ジャパン(株)社製、商標名「Millad NX8000J」)を0.4重量部ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=10g/10分、Tm=164℃)
(C-3):ポリプロピレン系樹脂(A-1)100重量部に、造核剤(ミリケン・ジャパン(株)社製、商標名「Millad NX8000J」)0.4重量部ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=7g/10分、Tm=127℃)
(C-4):ポリプロピレン系樹脂(C-1)96重量%にMFR=11g/10分の白色顔料MB(ポリコール興業(株)社製 EPP-W-59578、酸化チタン含有量80重量%)を4重量%ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=10g/10分、Tm=161℃)
(C-5):ポリプロピレン系樹脂(C-1)96重量%に銀色顔料MB(トーヨーカラー(株)社製 PPCM913Y-42 SILVER21X)を4重量%ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=10g/10分、Tm=161℃)
以下のポリプロピレン系樹脂を用いた。
(X-1):プロピレン単独重合体(MFR=40g/10分、Tm=165℃)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)MA04H」
(X-2):プロピレンエチレンブロック共重合体(MFR=30g/10分、Tm=164℃)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)NBC03HR」
(X-3):ポリプロピレン系樹脂(X-2)60重量%に、MFR=1.0のEBR(三井化学(株)社製 タフマー(登録商標)A0550S)を20%、無機フィラー(日本タルク(株)社製 タルクP-6、平均粒径4.0μm)20重量%ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物
ポリプロピレン系樹脂(X-1)~(X-3)を用い、以下の方法で射出成形体を得た。また得られた射出成形体に以下の方法により、引掻き傷を付け樹脂成形体(基体)とした。
射出成形機:東芝機械株式会社製「IS100GN」、型締め圧100トン
シリンダー温度:200℃
金型温度:40℃
射出金型:幅×高さ×厚さ=120mm×120mm×3mmの平板
状態調整:温度23℃、湿度50%RHの恒温恒湿室にて5日間保持
傷評価用加工:温度23℃、湿度50%RHの恒温恒湿室で引掻試験器(ROCKWOOD SYSTEMS AND EQUIPMENT社製「SCRATCH&MAR TESTER」)を用い、15Nの荷重にて、形状(曲率半径0.5mm、ボール状)加工を施した引掻先端にて、引掻速度=100mm/分にて引掻き、上記射出成形体に引掻き傷を付けた。
・加飾フィルムの製造
口径30mm(直径)のシール層用押出機-1及び口径40mm(直径)の押出機-2が接続された、リップ開度0.8mm、ダイス幅400mmの2種2層Tダイを用いた。シール層用押出機-1にポリプロピレン系樹脂(A-1)を、押出機-2にポリプロピレン系樹脂(B-1)をそれぞれ投入し、樹脂温度240℃、シール層用押出機-1の吐出量を4kg/h、押出機-2の吐出量を12kg/hの条件で溶融押出を行った。溶融押出されたフィルムを、シール層が外側になるように80℃の3m/minで回転する第1ロールにエアナイフで押付けながら冷却固化させ、厚さ50μmのシール層と、厚さ150μmの層が積層された2層の未延伸フィルムを得た。
樹脂成形体(基体)5として、上記により得られた極性樹脂(X-1)からなる射出成形体を用いた。
三次元加飾熱成形装置として、布施真空株式会社製「NGF-0406-SW」を用いた。図2~7に示すように、加飾フィルム1を、シール層が基体に対向するとともに長手方向がフィルムのMD方向となるように、幅250mm×長さ350mmで切り出し、開口部のサイズが210mm×300mmのフィルム固定用治具13にセットした。樹脂成形体(基体)5は、フィルム固定用治具13よりも下方に位置するテーブル14上に設置された、高さ20mmのサンプル設置台の上に、ニチバン株式会社製「ナイスタック NW-K15」を介して貼り付けた。フィルム固定治具13とテーブル14をチャンバーボックス11,12内に設置し、チャンバーボックスを閉じてチャンバーボックス11,12内を密閉状態とした。チャンバーボックスは、加飾フィルム1を介して上下に分割されている。上下ボックスを真空吸引し、大気圧(101.3kPa)から1.0kPaまで減圧した状態で、上チャンバーボックス11上に設置された遠赤外線ヒータ15を出力80%で始動させて加飾フィルム1を加熱した。加熱中も真空吸引を継続し、最終的に0.1kPaまで減圧した。加飾フィルム1、が加熱され一時的にたるみ、その後、張り戻るスプリングバック現象が終了してから5秒後に、下チャンバーボックス12内に設置されたテーブル14を上方に移動させて、樹脂成形体(基体)5を加飾フィルム1に押し付け、直後に上チャンバーボックス11内の圧力が270kPaとなるように圧縮空気を送り込んで樹脂成形体(基体)5と加飾フィルム1を密着させた。このようにして、樹脂成形体(基体)5の上面及び側面に加飾フィルム1が貼着された三次元加飾熱成形品6を得た。
(1)熱成形性の評価
三次元加飾熱成形時の加飾フィルムのドローダウン状態、ならびに基体に加飾フィルムを貼着した加飾成形体の加飾フィルムの貼着状態を目視にて観察し、以下に示した基準で評価した。
○:三次元加飾熱成形時に、加飾フィルムがドローダウンせずに基体と加飾フィルムとの接触が接触面全面にて同時に行われたため、接触ムラが発生せず、均一に貼着されている。
△:三次元加飾熱成形時に、加飾フィルムが若干ドローダウンしたため、基体中心から加飾フィルムと接触し、基体上面端部に接触ムラが発生。
×:三次元加飾熱成形時に、加飾フィルムが大きくドローダウンしたため、基体全面に接触ムラが発生。
株式会社ニトムズ社製「クラフト粘着テープ No.712N」を幅75mm、長さ120mmに切り出し、樹脂成形体(基体)の端部より75mm×120mmの範囲で樹脂成形体(基体)に貼り付けてマスキング処理を施した(基体表面露出部は幅45mm、長さ120mm)。樹脂成形体(基体)のマスキング面が加飾フィルムと接触するように三次元加飾熱成形装置NGF-0406-SWに設置し、三次元加飾熱成形を行った。
15Nの荷重で傷をつけた成形体(基体)の三次元加飾熱成形品の引掻き傷があった部位の傷の深さを形状測定レーザマイクロスコープ(KEYENCE社製 「VX-X200」)で測定した。測定の回数はn=5とし、その平均値を傷深さ(μm)とした。
また、白化外観として、15Nの荷重で傷をつけた成形体(基体)の白化傷が、加飾フィルムによって目立たなくなっているかを以下の基準で目視にて判定し、評価した。
○:白化傷の痕跡が目立たず、外観に優れている。
△:白化傷が部分的に残り、外観が悪い。
×:白化傷が全体的に残り、外観が悪い。
加飾フィルムが貼着された加飾成形体の中央付近の光沢(グロス)を日本電色工業(株)社製GLOSS計Gloss Meter VG2000を用いて、入射角60°で測定した。測定方法はJIS K7105-1981に準拠した。
得られた加飾成形体を粉砕し、樹脂成形体(基体)の製造と同様に射出成形によりリサイクル成形体を得、外観を目視で評価した。
ポリプロピレン樹脂(A)およびポリプロピレン樹脂(B)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、シール層に用いたポリプロピレン系樹脂を(A-2)に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
ポリプロピレン樹脂(A)およびポリプロピレン樹脂(B)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、シール層に用いたポリプロピレン系樹脂を(A-3)に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
ポリプロピレン樹脂(A)およびポリプロピレン樹脂(B)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、リサイクル成形体は外観に優れるものであった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、シール層に用いたポリプロピレン系樹脂を(A-4)に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
ポリプロピレン樹脂(A)およびポリプロピレン樹脂(B)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、リサイクル成形体は外観に優れるものであった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、層(II)に用いたポリプロピレン系樹脂を(B-2)に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
ポリプロピレン樹脂(A)およびポリプロピレン樹脂(B)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、リサイクル成形体は外観に優れるものであった。
実施例5の加飾フィルムの製造において、シール層に用いたポリプロピレン系樹脂を(A-2)に変更した以外は、実施例5と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
ポリプロピレン樹脂(A)およびポリプロピレン樹脂(B)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、リサイクル成形体は外観に優れるものであった。
実施例5の加飾フィルムの製造において、シール層に用いたポリプロピレン系樹脂を(A-3)に変更した以外は、実施例5と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
ポリプロピレン樹脂(A)およびポリプロピレン樹脂(B)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、リサイクル成形体は外観に優れるものであった。
実施例5の加飾フィルムの製造において、シール層に用いたポリプロピレン系樹脂を(A-4)に変更した以外は、実施例5と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
ポリプロピレン樹脂(A)およびポリプロピレン樹脂(B)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、リサイクル成形体は外観に優れるものであった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、シール層に用いたポリプロピレン系樹脂を(A-5)に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
ポリプロピレン樹脂組成物(A-5)はMw/Mnが4.0と高いため、接着力が小さく、また傷の浮き出しを十分に抑制することが出来ず、外観に劣るものであった。
実施例1の三次元加飾熱成形において、基体を樹脂(X-2)を用いた射出成形体に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。得られた結果を表1に示す。
ポリプロピレン樹脂(A)およびポリプロピレン樹脂(B)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例1の三次元加飾熱成形において、基体を樹脂(X-3)を用いた射出成形体に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。得られた結果を表1に示す。
ポリプロピレン樹脂(A)およびポリプロピレン樹脂(B)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、口径30mm(直径)のシール層用押出機-1、及び口径40mm(直径)の中間層用押出機-2、及び口径30mm(直径)の表面層用押出機-3が接続された、リップ開度0.8mm、ダイス幅400mmの3種3層Tダイを用いた。シール層用押出機-1にポリプロピレン系樹脂(A-3)を、中間層用押出機-2にポリプロピレン系樹脂(B-1)を、表面層用押出機-3にポリプロピレン系樹脂(A-3)をそれぞれ投入し、樹脂温度240℃、シール層用押出機-1の吐出量を4kg/h、中間層用押出機-2の吐出量を8kg/h、表面層用押出機-3の吐出量を4kg/hの条件で溶融押出を行った。
ポリプロピレン樹脂(A)およびポリプロピレン樹脂(B)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、ポリプロピレン系樹脂(A-3)が表面加飾層(III)として最表面側に積層されたことで、光沢に優れる結果であった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例11の加飾フィルムの製造において、表面加飾層に用いたポリプロピレン系樹脂(A-3)をポリプロピレン系樹脂(C-1)に変更した以外は、実施例11と同様に評価を行った。得られた結果を表1に示す。
ポリプロピレン樹脂(A)およびポリプロピレン樹脂(B)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、ポリプロピレン系樹脂(C-1)が表面加飾層(III)として最表面側に積層されたことで、光沢に優れる結果であった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例11の加飾フィルムの製造において、表面加飾層に用いたポリプロピレン系樹脂(A-3)をポリプロピレン系樹脂(C-2)に変更した以外は、実施例11と同様に評価を行った。得られた結果を表1に示す。
ポリプロピレン樹脂(A)およびポリプロピレン樹脂(B)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、造核剤が添加されたポリプロピレン系樹脂(C-2)が表面加飾層(III)として最表面側に積層されたことで、光沢に優れる結果であった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例11の加飾フィルムの製造において、表面加飾層に用いたポリプロピレン系樹脂(A-3)をポリプロピレン系樹脂(A-1)に変更した以外は、実施例11と同様に評価を行った。得られた結果を表1に示す。
ポリプロピレン樹脂(A)およびポリプロピレン樹脂(B)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、ポリプロピレン系樹脂(A-1)が表面加飾層(III)として最表面側に積層されたことで、光沢に優れる結果であった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例11の加飾フィルムの製造において、表面加飾層に用いたポリプロピレン系樹脂(A-3)をポリプロピレン系樹脂(C-3)に変更した以外は、実施例11と同様に評価を行った。得られた結果を表1に示す。
ポリプロピレン樹脂(A)およびポリプロピレン樹脂(B)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、造核剤が添加されたポリプロピレン系樹脂(C-3)が表面加飾層(III)として最表面側に積層されたことで、光沢に優れる結果であった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例11の加飾フィルムの製造において、表面加飾層に用いたポリプロピレン系樹脂(A-3)をポリプロピレン系樹脂(C-4)に変更した以外は、実施例11と同様に評価を行った。得られた結果を表1に示す。
ポリプロピレン樹脂(A)およびポリプロピレン樹脂(B)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れていた。また、白色に着色された加飾フィルムが貼着されことも相俟って、傷つけた箇所を特定できないほど十分に傷が隠蔽された。そのため、傷深さを測定しなかった。また、光沢に優れる表面加飾層(III)が白色に着色されているため、外観に優れるものであった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例12の加飾フィルムの製造において、中間層に用いたポリプロピレン系樹脂(B-1)をポリプロピレン系樹脂(B-3)に変更した以外は、実施例11と同様に評価を行った。得られた結果を表1に示す。
ポリプロピレン樹脂(A)およびポリプロピレン樹脂(B)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れていた。また、黒色に着色された加飾フィルムが貼着されことも相俟って、傷つけた箇所を特定できないほど十分に傷が隠蔽された。そのため、傷深さを測定しなかった。また、層(II)が黒色に着色されているため、外観に優れるものであった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例17の加飾フィルムの製造において、表面加飾層に用いたポリプロピレン系樹脂(C-1)をポリプロピレン系樹脂(C-5)に変更した以外は、実施例17と同様に評価を行った。得られた結果を表1に示す。
ポリプロピレン樹脂(A)およびポリプロピレン樹脂(B)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れていた。また、着色された加飾フィルムが貼着されことも相俟って、傷つけた箇所を特定できないほど十分に傷が隠蔽された。そのため、傷深さを測定しなかった。また、層(II)が黒色に、層(III)が銀色に着色されているため、金属調のフィルムとなり、外観に優れるものであった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
2 層(II)
3 シール層(I)
5 樹脂成形体(加飾対象、基体)
6 加飾成形体
11 上チャンバーボックス
12 下チャンバーボックス
13 治具
14 テーブル
15 ヒータ
Claims (5)
- 樹脂成形体上に熱成形によって貼着するための加飾フィルムであって、該加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)からなるシール層(I)およびポリプロピレン系樹脂(B)からなる層(II)を含む未延伸フィルムであり、
前記ポリプロピレン系樹脂(A)は、下記要件(a1)~(a4)を満たし、前記ポリプロピレン系樹脂(B)は、下記要件(b1)~(b2)を満たすことを特徴とする加飾フィルム。
(a1)メタロセン触媒系プロピレン系重合体である
(a2)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(A))は、0.5g/10分を超える
(a3)融解ピーク温度(Tm(A))は、125℃以上150℃未満である
(a4)GPC測定により得られる分子量分布(Mw/Mn(A))は、1.5~3.5である
(b1)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(B))とMFR(A)とは、関係式(b-1)を満たす
MFR(B)<MFR(A) ・・・ 式(b-1)、
(b2)融解ピーク温度(Tm(B))とTm(A)とは、関係式(b-2)を満たす
Tm(B)>Tm(A) ・・・ 式(b-2) - 前記ポリプロピレン系樹脂(A)は、プロピレン・α-オレフィン共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の加飾フィルム。
- Tm(A)は、140℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の加飾フィルム。
- 請求項1~3のいずれかに記載の加飾フィルムを準備するステップ、樹脂成形体を準備するステップ、減圧可能なチャンバーボックス中に、前記樹脂成形体及び前記加飾フィルムをセットするステップ、前記チャンバーボックス内を減圧するステップ、前記加飾フィルムを加熱軟化させるステップ、前記樹脂成形体に前記加飾フィルムを押し当てるステップ、前記減圧したチャンバーボックス内を大気圧に戻す又は加圧するステップを含むことを特徴とする加飾成形体の製造方法。
- 前記樹脂成形体は、プロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とする請求項4に記載の加飾成形体の製造方法。
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