JP2019147939A - 加飾フィルム及びそれを用いた加飾成形体の製造方法 - Google Patents

加飾フィルム及びそれを用いた加飾成形体の製造方法 Download PDF

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【課題】加飾成形後の耐候性の低下が抑えられた三次元加飾熱成形に用いることができる加飾フィルム及びそれを用いた加飾成形体の製造方法を提供する。【解決手段】三次元形状の樹脂成形体上に熱成形によって貼着するためのヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含む加飾フィルムであって、該ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤は、以下の要件を満たす加飾フィルム。要件:ISO6452に準拠した方法により下記フォギング試験を行った後のガラス板のJIS−K7136に準拠した方法により測定されるヘーズ値の変化量が40以下である。<フォギング試験>ヒンダードアミン系光安定剤又は紫外線吸収剤1g(±0.01g)をガラス製サンプル瓶に入れて、前記サンプル瓶をガラス板で蓋をして150℃で1時間加熱することにより、前記ガラス板に曇り(フォギング)を発生させる。【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂成形体上に熱成形によって貼着するための加飾フィルム及びその加飾フィルムを用いた加飾成形体の製造方法に関する。詳しくは、加飾成形前後の耐候性に優れる、樹脂成形体上に熱成形によって貼着するための加飾フィルム及びその加飾フィルムを用いる加飾成形体の製造方法に関する。
近年、VOC(揮発性有機化合物)削減要求等で塗装に代わる加飾技術への要求が高まっており、様々な加飾技術の提案が成されている。
なかでも塗膜に代わる加飾フィルムを真空圧空成形又は真空成形により成形体に適用して、加飾フィルム及び成形体が一体化された装飾成形品を形成する技術が提案され(例えば特許文献1参照)、近年、特に注目されるようになっている。
真空圧空成形及び真空成形による加飾成形は、インサート成形に代表される他の加飾成形に比べ、形状の自由度が大きく、加飾フィルムの端面が加飾対象の裏側まで巻き込まれることで継ぎ目が生じないため外観に優れ、さらに、比較的低温、低圧で熱成形することができることから、加飾フィルム表面に施されたシボ等のテクスチャーの再現性に優れるといった利点を有する。
特開2002−67137号公報
加飾フィルムに耐候性を付与するために、ヒンダードアミン系光安定剤や紫外線吸収剤が添加されることがある。しかし、そのようなヒンダードアミン系光安定剤や紫外線吸収剤を含む加飾フィルムは、加飾成形後において耐候性が著しく損なわれるという問題があった。
従来の技術では、真空圧空成形及び真空成形による加飾成形後でも耐候性の低下が抑えられた加飾フィルムはいまだ達成されていない。本発明の課題は、加飾成形後の耐候性の低下が抑えられた三次元加飾熱成形に用いることができる加飾フィルム及びそれを用いた加飾成形体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、加飾成形条件、すなわち真空下において加飾フィルムを加熱するという工程において、耐候性を付与するために樹脂に添加したヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤が著しく揮発していることをつきとめた。一方で、特定のヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含む加飾フィルムは、真空下の加熱によってもヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤が揮発しにくく、加飾成形後であっても耐候性の低下を抑えることができることを見出した。
すなわち、本発明は以下を包含する。
(1)三次元形状の樹脂成形体上に熱成形によって貼着するためのヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含む加飾フィルムであって、該ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤は、以下の要件を満たす加飾フィルム。
要件:ISO6452に準拠した方法により下記フォギング試験を行った後のガラス板のJIS−K7136に準拠した方法により測定されるヘーズ値の変化量が40以下である。
<フォギング試験>ヒンダードアミン系光安定剤又は紫外線吸収剤1g(±0.01g)をガラス製サンプル瓶に入れて、前記サンプル瓶をガラス板で蓋をして150℃で1時間加熱することにより、前記ガラス板に曇り(フォギング)を発生させる。
(2)前記ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤の分子量が490g/mol以上である、(1)に記載の加飾フィルム。
(3)前記加飾フィルムは、前記ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含む少なくとも1つの層を含み、前記層はポリオレフィン系樹脂を50重量%以上含有する、(1)又は(2)に記載の加飾フィルム。
(4)前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂である、(3)に記載の加飾フィルム。
(5)前記加飾フィルムの樹脂成形体への貼着面とは反対の最表面の層が、前記ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含む、(1)〜(4)のいずれか1つに記載の加飾フィルム。
(6)(1)〜(5)のいずれか1つに記載の加飾フィルムを準備するステップ、樹脂成形体を準備するステップ、減圧可能なチャンバーボックス中に、前記樹脂成形体及び前記加飾フィルムをセットするステップ、前記チャンバーボックス内を減圧するステップ、前記加飾フィルムを加熱軟化させるステップ、前記樹脂成形体に前記加飾フィルムを押し当てるステップ、並びに前記減圧したチャンバーボックス内を大気圧に戻す又は加圧するステップを含む、加飾成形体の製造方法。
(7)前記樹脂成形体は、ポリプロピレン系樹脂組成物からなる、(6)に記載の加飾成形体の製造方法。
本発明の加飾フィルムによれば、加飾成形後の耐候性の低下が抑えられた三次元加飾熱成形に用いることができる加飾フィルム及びそれを用いた加飾成形体の製造方法を提供できる。
本発明の加飾フィルムの層構成の例を示す図である。 本発明の加飾成形体の製造方法に用いる装置の概要を説明する模式的断面図である。 図2の装置内に樹脂成形体及び加飾フィルムをセットした様子を説明する模式的断面図である。 図2の装置内を加熱及び減圧する様子を説明する模式的断面図である。 図2の装置内で樹脂成形体に加飾フィルムを押し当てる様子を説明する模式的断面図である。 図2の装置内を大気圧に戻す又は加圧する様子を説明する模式的断面図である。 得られた加飾成形体において、不要な加飾フィルムのエッジがトリミングされた様子を説明する模式的断面図である。 得られた加飾成形体の層構成の例を示す図である。
本明細書において、加飾フィルムとは、成形体を装飾するためのフィルムをいう。加飾成形とは、加飾フィルムと成形体とを貼着させる成形をいう。三次元加飾熱成形とは、加飾フィルムと成形体とを貼着させる成形であって、加飾フィルムを成形体の貼着面に沿って熱成形すると同時に貼着させる工程を有し、該工程が、加飾フィルムと成形体との間に空気が巻き込まれるのを抑制するために、減圧(真空)下で熱成形を行い、加熱した加飾フィルムを成形体に貼着させ、圧力解放(加圧)により、密着させる工程である、成形をいう。以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
本発明の加飾フィルムは、三次元形状の樹脂成形体上に熱成形によって貼着するためのヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含む加飾フィルムであって、該ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤は、以下の要件を満たすことを特徴とする。
要件:ISO6452に準拠した方法により下記フォギング試験を行った後のガラス板のJIS−K7136に準拠した方法により測定されるヘーズ値の変化量が40以下である。フォギング試験後のヘーズ値の変化量は、以下の式から算出される。
フォギング試験後のヘーズ値の変化量 = フォギング試験後のガラス板のヘーズ値 − フォギング試験前のガラス板のヘーズ値
<フォギング試験>ヒンダードアミン系光安定剤又は紫外線吸収剤1g(±0.01g)をガラス製サンプル瓶に入れて、前記サンプル瓶をガラス板で蓋をして150℃で1時間加熱することにより、前記ガラス板に曇り(フォギング)を発生させる。
[ヒンダードアミン系光安定剤及び紫外線吸収剤]
本発明におけるヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤は、ISO6452に準拠した方法により下記フォギング試験を行った後のガラス板のJIS−K7136に準拠した方法により測定されるヘーズ値の変化量が40以下であることが必要であり、好ましくは35以下、より好ましくは25以下、さらに好ましくは10以下である。
<フォギング試験>ヒンダードアミン系光安定剤又は紫外線吸収剤1g(±0.01g)をガラス製サンプル瓶に入れて、前記サンプル瓶をガラス板で蓋をして150℃で1時間加熱することにより、前記ガラス板に曇り(フォギング)を発生させる。
通常のフォギング試験では、対象の添加剤を含む樹脂組成物サンプルを用いて行われるが、その場合では本発明の加飾フィルム中のヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤の揮発し易さを把握することができない。すなわち、通常の添加剤のブリード現象とは異なることを意味している。ヒンダードアミン系光安定剤又は紫外線吸収剤を直接加熱するフォギング試験によって、本発明の加飾フィルム中のヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤の揮発し易さを把握することができる。
フォギング試験を行った後のガラス板のヘーズ値が前記範囲であると、加飾成形中においてもヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤が揮発しにくいため、耐候性に優れる加飾成形体を得ることができる。また、加飾フィルムの表面(接着面)にヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤が移行し、被加飾体との接着力が低下してしまうことを抑制することができる。さらに、熱成形機のチャンバーボックス内部がヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤によって汚れてしまうことも抑制することができる。
本発明におけるヒンダードアミン系光安定剤又は紫外線吸収剤(添加剤であるが、他の添加剤と区別するため、以下の記載において、特に両者を「耐候剤」と称する場合がある)は、前記条件を満たす限り特に制限はしないが、前記ヒンダードアミン系光安定剤又は紫外線吸収剤の分子量が490g/mol以上であることが好ましく、より好ましくは、510g/mol以上、さらに好ましくは550g/mol以上である。分子量を前記範囲にすることにより、加飾成形条件下でもヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤が揮発しにくい。分子量の上限については特に制限しないが、10,000g/mol以下であることが実用的に好ましい。
本発明に使用するヒンダードアミン系光安定剤の具体例としては、例えば、ポリ{[6−〔(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ〕−1,3,5−トリアジン−2,4ジイル]〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕}、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,5,8,12−テトラキス〔4,6−ビス{N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジメチル縮合物、2−第三オクチルアミノ−4,6−ジクロロ−s−トリアジン/N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン縮合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン/ジブロモエタン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−オキシルピペリジン)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−オキシルピペリジル)ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−(トリス(2,2,6,6−テトラメチル−N−オキシルピペリジル−4−オキシカルボニル)ブチルカルボニルオキシ)エチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等が挙げられる。この中で特に好ましいのは、ポリ{[6−〔(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ〕−1,3,5−トリアジン−2,4ジイル]〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕}、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートである。
市販品としては例えば、株式会社ADEKA製のLA−68(登録商標)やLA−57(登録商標)、BASF株式会社製のChimassorb944(登録商標)やTinuvin622(登録商標)等が挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤は、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
ヒンダードアミン系光安定剤の添加量は、該光安定剤を含む層を構成する樹脂100重量部に対して、0.001〜1.00重量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.005〜0.50重量部である。添加量が上記範囲であると、良好な耐候性の加飾フィルム及び加飾成形体を得ることができる。
本発明に使用する紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、2,2’−メチレンビス(4−t−オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[2−(2−エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
市販品としては例えば、株式会社ADEKA製のLA−31G(登録商標)、LA−46(登録商標)、LA−F70(登録商標)等が挙げられる。
紫外線吸収剤は、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
紫外線吸収剤の添加量は、該紫外線吸収剤を含む層を構成する樹脂100重量部に対して、0.001〜1.00重量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.005〜0.50重量部である。添加量が上記範囲であると、良好な耐候性の加飾フィルム及び加飾成形体を得ることができる。
また、ヒンダードアミン系光安定剤と紫外線吸収剤の両方が含まれていてもよく、その場合は両耐候剤の合計量が、該耐候剤を含む層を構成する樹脂100重量部に対して、0.002〜2.00重量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.01〜1.00重量部である。
ヒンダードアミン系光安定剤及び紫外線吸収剤の含有比率を特定の範囲にすることにより、より高い効果を発揮することができる。両耐候剤の配合比率は、ヒンダードアミン系光安定剤/紫外線吸収剤の=1/5〜5/1が好ましく、より好ましくは1/4〜4/1である。両耐候剤が含まれることで、耐候剤同士の相乗効果により、より良好な耐候性の加飾フィルム及び加飾成形体を得ることができる。
[ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含む層]
本発明の加飾フィルムは、ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含む少なくとも1つの層を含むものである。加飾フィルムは、上記ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含む層のみから構成されてもよいし、それ以外の層を含む多層構造であってもよい。上記耐候剤を含む層を含むことによって、良好な耐候性の加飾フィルム及び加飾成形体を得ることができる。特に、光による劣化は成形体表面から進行するため、加飾フィルムの樹脂成形体への貼着面とは反対の最表面の層に上記耐候剤が含まれていることがより好ましい。
[ポリオレフィン系樹脂]
本発明におけるヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含む層は、成形性、リサイクル性、耐溶剤性等の観点から、ポリオレフィン系樹脂を50重量%以上含有することが好ましい。前記層は、ポリオレフィン系樹脂を60重量%以上含有することがより好ましく、70重量%以上含有することが特に好ましい。本発明において、ポリオレフィン系樹脂とは、オレフィンモノマー由来の重合単位を50mol%以上含んでいる樹脂を指す。また、本発明において、変性ポリオレフィンとは、ポリオレフィン系樹脂を包含する概念であり、オレフィンモノマー由来の重合単位とそれ以外のモノマー由来の重合単位とを任意の割合で含む樹脂を指す。ポリオレフィン系樹脂は、エチレン、プロピレン、ブテン等のαオレフィンの単独重合体及びエチレン、プロピレン等と他のαオレフィンとの共重合体であることが好ましい。具体的には、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレン−α−オレフィン共重合体(ランダムポリプロピレン)、プロピレンブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)等である。ポリオレフィン系樹脂を構成するオレフィンモノマー以外のモノマー成分として、スチレン等の芳香族モノマー;無水マレイン酸、アクリル酸等の極性基含有モノマー等が挙げられるが、ポリオレフィン系樹脂は、極性基含有モノマー由来の重合単位を含まないものであることが好ましい。
これらのうち、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレン−α−オレフィン共重合体(ランダムポリプロピレン)、プロピレンブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)等のポリプロピレン系樹脂が特に好ましく、これらの組み合わせを選択することもできる。ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンモノマー由来の重合単位を50mol%以上含んでいることが好ましい。ポリプロピレン系樹脂は、耐油性、耐溶剤性、耐傷付き性、耐熱性等の観点からホモポリプロピレンが好ましい。また光沢(グロス)や透明性(発色性)の観点からは、プロピレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂は、チーグラー触媒、メタロセン触媒等により重合される樹脂であることができる。すなわち、ポリプロピレン系樹脂は、チーグラー触媒系プロピレン重合体、メタロセン触媒系プロピレン重合体であることができる。
ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含む層を構成する樹脂には、本発明の効果を損なわない限り、上記耐候剤以外の他の添加剤、フィラー、その他の樹脂成分等が含まれていてもよい。ただし、他の添加剤、フィラー、その他の樹脂成分等の総量は、樹脂組成物に対して50重量%以下であることが好ましい。
他の添加剤としては、酸化防止剤、中和剤、ブロッキング防止剤、滑剤、帯電防止剤、金属不活性剤、造核剤等の公知の各種添加剤を配合することができる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオ系酸化防止剤等を例示することができる。中和剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸塩類等を例示することができる。
滑剤としては、ステアリン酸アマイド等の高級脂肪酸アマイド類等を例示することができる。帯電防止剤としては、グリセリン脂肪酸モノエステル等の脂肪酸部分エステル類等を例示することができる。金属不活性剤としては、トリアジン類、フォスフォン類、エポキシ類、トリアゾール類、ヒドラジド類、オキサミド類等を例示することができる。
造核剤は、加飾フィルムに透明性や表面光沢等を付与するために添加される成分である。造核剤としては、芳香族カルボン酸金属塩、芳香族リン酸金属塩、ソルビトール系誘導体、ノニトール誘導体、アミド系化合物、ロジンの金属塩等を挙げることができる。これらの造核剤の中では、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム、リン酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム、リン酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)アルミニウム、ビス(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−6−ヒドロキシ−12H−ジベンゾ[d,g][1,2,3]ジオキサホスホシン−6−オキシド)水酸化アルミニウム塩と有機化合物の複合体、p−メチル−ベンジリデンソルビトール、p−エチル−ベンジリデンソルビトール、1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−[(4−プロピルフェニル)メチレン]−ノニトール、ロジンのナトリウム塩等を例示することができる。
フィラーとしては、無機充填剤、有機充填剤等の各種充填剤を配合することができる。無機充填剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、ハイドロタルサイト、ゼオライト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ガラスファイバー、カーボンファイバー等を例示することができる。また有機充填剤としては、架橋ゴム微粒子、熱硬化性樹脂微粒子、熱硬化性樹脂中空微粒子、等を例示することができる。
その他の樹脂成分としては、スチレン系エラストマー、オレフィンモノマー由来の重合単位が50mol%未満である変性ポリオレフィン樹脂、石油樹脂、その他の熱可塑性樹脂等を例示することができる。
また、意匠性を付与するために着色することも可能であり、着色には無機顔料、有機顔料、染料等の各種着色剤を用いることができる。また、アルミフレークや酸化チタンフレーク、(合成)マイカ等の光輝材を使用することもできる。
本発明に係る加飾成形体が、着色された成形体として成形される場合、加飾フィルムにのみ着色剤を用いればよいため、樹脂成形体全体に着色する場合と比べ、高価な着色剤の使用を抑制することが可能である。また着色剤を配合することに伴う物性変化を抑制することができる。
本発明において、ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含む樹脂組成物は、樹脂と、ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤、その他の添加剤、フィラー、その他の樹脂成分等とを溶融混練する方法、樹脂とその他の添加剤、フィラー、その他の樹脂成分等を溶融混練したものに、ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤をドライブレンドする方法、樹脂にヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤、その他の添加剤、フィラー、その他の樹脂組成物等をキャリアレジンに高濃度で分散させたマスターバッチをドライブレンドする方法等によって製造することができる。
[加飾フィルム]
本発明の加飾フィルムは、ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含む少なくとも1つの層を含む。すなわち、加飾フィルムは、上記ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含む層のみからなる単層フィルムであっても、上記ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含有する層と他の層からなる多層フィルムであってもよい。また本発明の加飾フィルムは、その表面にシボ、エンボス、印刷、サンドプラスト、スクラッチ等が施されていてもよい。
三次元加飾熱成形は、加飾対象の形状の自由度が高く、加飾フィルムの端面が加飾対象の裏側まで巻き込まれることで継ぎ目が生じないため外観に優れ、さらに、加飾フィルムの表面にシボ等を付与することで様々なテクスチャーを表現できる。例えば樹脂成形体にエンボス等のテクスチャーを付与する場合、エンボスの付与された加飾フィルムを用いて三次元加飾熱成形を行えばよい。このため、エンボスを付与する成形体金型で成形する場合の課題、すなわちエンボスパターン毎に成形体金型が必要であること、曲面の金型に複雑なエンボスを施すことは非常に困難で高価であること、といった課題が解決でき、様々なパターンのエンボスを容易に付与した加飾成形体を得ることができる。
加飾フィルムの好ましい態様として、単層フィルムである場合、熱成形性に優れる樹脂を含むことが好ましい。例えば、フィルムを構成している樹脂がポリプロピレン系樹脂である場合、(i)長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物(X)であって、樹脂組成物(X)は、メルトフローレート(MFR)(温度230℃、荷重2.16kg)が0.1〜40g/10分であり、かつひずみ硬化度λが1.1以上である、及び/又は(ii)直鎖状ポリプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物(Y)であって、樹脂組成物(Y)のMFRが0.1〜2.0g/10分であることが好ましい。樹脂組成物(X)及び/又は(Y)を用いることで、外観が良好な加飾成形体を得ることができる。
長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物(X)
熱成形性に優れる樹脂として好ましい長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物(X)について説明する。
(X1)メルトフローレート(MFR(X))
樹脂組成物(X)は、粘度が低下しすぎると十分な成形安定性は得られないため、樹脂組成物(X)は、一定の粘度を有する必要があり、本発明では、この粘度の指標としてMFR(230℃、2.16kg荷重)を規定する。
本明細書において、樹脂組成物(X)のMFR(230℃、2.16kg荷重)をMFR(X)とする。MFR(X)は、以下の要件(x1)を満たすことが好ましく、より好ましくは要件(x1′)を満たし、さらに好ましくは要件(x1″)を満たす。樹脂組成物(X)のMFR(X)を下記の値以下にすることにより、外観が良好な加飾成形体を得ることができる。
(x1)MFR(X)が40g/10分以下である。
(x1′)MFR(X)が20g/10分以下である。
(x1″)MFR(X)が12g/10分以下である。
樹脂組成物(X)のMFR(X)の下限については特に制限はないが、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.3g/10分以上である。MFR(X)を上記の値以上にすることにより、加飾フィルムの製造時の成形性が向上して、フィルム表面にシャークスキンや界面荒れと呼ばれる外観不良が発生することを抑制できる。
本発明において、ポリプロピレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂組成物のMFRの測定は、ISO 1133:1997 Conditions Mに準拠し、230℃、2.16kg荷重の条件で測定した。単位はg/10分である。
(X2)ひずみ硬化度λ
樹脂組成物(X)のひずみ硬化度λは、以下の要件(x2)を満たすことが好ましく、より好ましくは要件(x2′)を満たし、さらに好ましくは要件(x2″)を満たす。樹脂組成物(X)のひずみ硬化度λを下記の範囲の値にすることにより、加飾熱成形時の成形性が良好で、外観に優れる加飾成形体を得ることができる。
(x2)ひずみ硬化度λが1.1以上であること。
(x2′)ひずみ硬化度λが1.8以上であること。
(x2″)ひずみ硬化度λが2.3以上であること。
樹脂組成物(X)のひずみ硬化度λの上限については特に制限はないが、好ましくは50以下、より好ましくは20以下である。ひずみ硬化度λを上記範囲の値にすることにより、加飾フィルムの外観を良好にすることができる。
ポリプロピレン系樹脂及び樹脂組成物(X)のひずみ硬化度λは、伸長粘度測定におけるひずみ硬化性の測定に基づき求められる。伸長粘度のひずみ硬化性(非線形性)については「講座・レオロジー」日本レオロジー学会編、高分子刊行会、1992、pp.221−222に記載されており、本明細書では、同書の図7−20に図示された求め方に準じた方法でひずみ硬化度λを算出するものとし、剪断粘度の値としてη(0.01)を、伸長粘度の値としてηe(3.5)を採用し、ひずみ硬化度λを下記式(b−1)で定義する。
λ=ηe(3.5)/{3×η(0.01)} 式(b−1)
上記式(b−1)において、η(0.01)は動的周波数掃引実験により測定される、測定温度180℃、角振動数ω=0.01rad/sにおける複素粘性率[単位:Pa・s]であり、複素粘性率ηは、複素弾性率G[単位:Pa]と角振動数ωから、η=G/ωにて計算される。またηe(3.5)は伸長粘度測定により測定される、測定温度180℃、歪速度1.0s−1、ひずみ量3.5における伸長粘度である。
通常、これらの粘弾性測定で得られるデータは、離散的な各振動数あるいは測定時間間隔での弾性率や粘度等の数値の集まりとなる。従って、本発明で使用したものと異なる装置や条件で測定を実施した場合に、必ずしも角振動数ω=0.01rad/sでの複素粘性率η(0.01)やひずみ量3.5での伸長粘度ηe(3.5)のデータが存在しない場合があり得るが、その場合はその前後のデータを使用して線形補間、スプライン補間等の内挿を行う事で該当の値を推定することは許される。補間を行う際には、応力や時間のスケールは対数スケールとすることが常法である。
このとき、伸長粘度にひずみ硬化性(非線形性)を有さない試料であれば、ひずみ硬化度λは約1(例えば、0.9以上1.1未満)又はより小さい値を示し、ひずみ硬化性(非線形性)が強くなるほどひずみ硬化度λの値は大きくなる。
一般の結晶性ポリプロピレンは直鎖状高分子であり、通常ひずみ硬化性を有さない。これに対し、本発明に好適に用いられるポリプロピレン系樹脂は、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(X−L)であることが好ましく、これにより、樹脂組成物(X)が良好なひずみ硬化性を発現することができる。
本発明における長鎖分岐構造とは、分岐を構成する炭素骨格(分岐の主鎖)の炭素数が数十以上、分子量では数百以上からなる分子鎖による分岐構造を言う。この長鎖分岐構造は、1−ブテン等のα−オレフィンと共重合を行うことにより形成される短鎖分岐とは区別される。
ポリプロピレン系樹脂に長鎖分岐構造を導入する方法には、長鎖分岐構造を有さないポリプロピレンに高エネルギーイオン化放射線を照射する方法(特開昭62−121704号公報)や、長鎖分岐構造を有さないポリプロピレンに有機過酸化物を反応させる方法(特表2001−524565号公報)や、末端不飽和結合を有するマクロモノマーを製造し、それをプロピレンと共重合する方法(特表2001−525460号公報)等が挙げられるが、いずれの方法を用いて製造された場合でも、ポリプロピレン系樹脂のひずみ硬化度λを大きくすることができる。
長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(X−L)は、長鎖分岐構造を有している限り特に限定されるものではないが、架橋法以外の方法により製造されたポリプロピレン系樹脂であることが好ましく、櫛型鎖構造を有し、重合時に長鎖分岐構造が形成されるマクロマー共重合法を用いる方法で得られたものが好ましい。このような方法の例としては、例えば、特表2001−525460号公報や、特開平10−338717号公報、特表2002−523575号公報、特開2009−57542号公報、特許5027353号公報、特開平10−338717号公報に開示される方法が挙げられる。特に特開2009−57542号公報のマクロマー共重合法はゲルの発生が無く長鎖分岐含有ポリプロピレン系樹脂(X−L)を得ることができ、本発明に好適である。
ポリプロピレン中に長鎖分岐構造を有することは、樹脂のレオロジー特性による方法、分子量と粘度との関係を用いて分岐指数g’を算出する方法、13C−NMRを用いる方法等によって定義される。本発明においては、下記に示すように分岐指数g’及び/又は13C−NMRによって長鎖分岐構造を定義する。
{分岐指数g’}
分岐指数g’は、長鎖分岐構造に関する、直接的な指標として知られている。「Developments in Polymer Characterization−4」(J.V. Dawkins ed. Applied Science Publishers, 1983)に詳細な説明があるが、分岐指数g’の定義は、以下の通りである。
分岐指数g’=[η]br/[η]lin
[η]br:長鎖分岐構造を有するポリマー(br)の固有粘度
[η]lin:ポリマー(br)と同じ分子量を有する線状ポリマーの固有粘度
上記定義から明らかな通り、分岐指数g’が1よりも小さな値を取ると、長鎖分岐構造が存在すると判断され、長鎖分岐構造が増えるほど分岐指数g’の値は、小さくなっていく。
分岐指数g’は、光散乱計と粘度計を検出器に備えたGPCを使用することによって、絶対分子量Mabsの関数として得ることができる。本発明における分岐指数g’の測定方法については特開2015−40213号公報に詳細が記載されているが、下記の通りである。
{測定方法}
GPC:Alliance GPCV2000(Waters社製)
検出器:接続順に記載
多角度レーザー光散乱検出器(MALLS):DAWN−E(Wyatt Technology社製)
示差屈折計(RI):GPC付属
粘度検出器(Viscometer):GPC付属
移動相溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン(Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)
移動相流量:1mL/分
カラム:東ソー社製 GMHHR−H(S) HTを2本連結
試料注入部温度:140℃
カラム温度:140℃
検出器温度:全て140℃
試料濃度:1mg/mL
注入量(サンプルループ容量):0.2175mL
{解析方法}
多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)から得られる絶対分子量(Mabs)、二乗平均慣性半径(Rg)、及び、Viscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行う。
参考文献:
1.「Developments in Polymer Characterization−4」(J.V. Dawkins ed. Applied Science Publishers, 1983. Chapter1.)
2.Polymer, 45, 6495−6505(2004)
3.Macromolecules, 33, 2424−2436(2000)
4.Macromolecules, 33, 6945−6952(2000)
本発明の加飾フィルムにおいて、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂又は樹脂組成物(X)がゲルを含有していると、フィルム外観が悪化することから、ゲルが含有されていないポリプロピレン系樹脂又は樹脂組成物(X)を用いることが好ましい。とりわけ前述の長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(X−L)として、特定の構造を有するメタロセン触媒を用いて末端不飽和結合を有するマクロモノマーを製造し、それをプロピレンと共重合することによって長鎖分岐構造を形成する方法を用いて製造されたものが好ましい。特に、下記に記載する、絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’が0.3以上1.0未満を満たすものが好ましく、より好ましくは0.55以上0.98以下、さらに好ましくは0.75以上0.96以下、最も好ましくは0.78以上0.95以下である。本発明において「ゲルの少ない」とは、絶対分子量Mabsが100万におけるポリプロピレン系樹脂の分岐指数g’が上記範囲内にあることをいう。分岐指数g’がこの範囲にあると、高度に架橋した成分が形成されておらず、ゲルの生成が無い、あるいは非常に少ない為、特にポリプロピレン系樹脂(X−L)を含む層が製品の表面を構成する場合に外観を悪化させない。
13C−NMR}
13C―NMRは、短鎖分岐構造と長鎖分岐構造を区別することができる。Macromol.Chem.Phys.2003,vol.204,1738に詳細な説明があるが、その概要は以下の通りである。
長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂は、下記構造式(1)に示すような特定の分岐構造を有する。構造式(1)において、C、C及びCは、分岐炭素に隣接するメチレン炭素を示し、Cbrは、分岐鎖の根元のメチン炭素を示し、P、P及びPは、プロピレン系重合体残基を示す。
プロピレン系重合体残基P、P及びPは、それ自体の中に、構造式(1)に記載されたCbrとは、別の分岐炭素(Cbr)を含有することもあり得る。
このような分岐構造は、13C−NMR分析により同定される。各ピークの帰属は、Macromolecules,Vol.35、No.10.2002年、3839−3842頁の記載を参考にすることができる。すなわち、43.9〜44.1ppm,44.5〜44.7ppm及び44.7〜44.9ppmに、それぞれ1つ、合計3つのメチレン炭素(C、C及びC)が観測され、31.5〜31.7ppmにメチン炭素(Cbr)が観測される。上記の31.5〜31.7ppmに観測されるメチン炭素を、以下、分岐メチン炭素(Cbr)と略称することがある。
長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の13C−NMRのスペクトルは、分岐メチン炭素Cbrに近接する3つのメチレン炭素が、ジアステレオトピックに非等価に3本に分かれて観測されることが特徴である。
13C−NMRで帰属されるこのような分岐鎖は、ポリプロピレン系樹脂の主鎖から分岐した炭素数5以上のプロピレン系重合体残基を示し、それと炭素数4以下の分岐とは、分岐炭素のピーク位置が異なることにより、区別できるので、本発明においては、この分岐メチン炭素のピークが確認されることにより、長鎖分岐構造の有無を判断することができる。
なお、本発明における13C−NMRの測定方法については下記の通りである。
13C−NMR測定方法}
試料200mgをo−ジクロロベンゼン/重水素化臭化ベンゼン(CBr)=4/1(体積比)2.4ml及び化学シフトの基準物質であるヘキサメチルジシロキサンと共に内径10mmφのNMR試料管に入れ溶解し、13C−NMR測定を行った。
13C−NMR測定は10mmφのクライオプローブを装着したブルカー・バイオスピン(株)のAV400M型NMR装置を用いて行った。
試料の温度120℃、プロトン完全デカップリング法で測定を実施した。その他の条件は以下の通りである。
パルス角:90°
パルス間隔:4秒
積算回数:20,000回
化学シフトはヘキサメチルジシロキサンのメチル炭素のピークを1.98ppmとして設定し、他の炭素によるピークの化学シフトはこれを基準とした。
44ppm付近のピークを使用して長鎖分岐量を算出することができる。
長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(X−L)の13C−NMRスペクトルは、44ppm付近のピークから定量された長鎖分岐量が0.01個/1000トータルプロピレン以上であることが好ましく、より好ましくは0.03個/1000トータルプロピレン以上、さらに好ましくは0.05個/1000トータルプロピレン以上である。この値が大きすぎると、ゲル・フィッシュアイ等の外観不良の原因となるため、好ましくは1.00個/1000トータルプロピレン以下、より好ましくは0.50個/1000トータルプロピレン以下、さらに好ましくは0.30個/1000トータルプロピレン以下である。
このような長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(X−L)は、樹脂組成物(X)中に、ひずみ硬化性が付与されるのに十分な量含まれていればよい。長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(X−L)は、樹脂組成物(X)100重量%中、好ましくは1〜100重量%、より好適には5重量%以上含まれる。
本発明における長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(X−L)は、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレン−α−オレフィン共重合体(ランダムポリプロピレン)、プロピレンブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)等の様々なタイプのプロピレン系重合体、又はそれらの組み合わせを選択することができる。ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンモノマー由来の重合単位を50mol%以上含んでいることが好ましい。
直鎖状ポリプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物(Y)
熱成形性に優れる樹脂として好ましい直鎖状ポリプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物(Y)について説明する。
本発明に好適な直鎖状ポリプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物(Y)は、MFR(230℃、2.16kg荷重)が好ましくは2.0g/10分以下、より好ましくは1.5g/10分以下、さらに好ましくは1.0g/10分以下である。樹脂組成物(Y)のMFRを上記の値以下にすることにより、外観が良好な加飾成形体を得ることができる。
樹脂組成物(Y)のMFRの下限については特に制限はないが、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.3g/10分以上である。MFRを上記の値以上にすることにより、加飾フィルムの製造時の成形性が向上して、フィルム表面にシャークスキンや界面荒れと呼ばれる外観不良が発生することを抑制できる。
加飾フィルムの好ましい別の態様として、多層フィルムである場合、表面層、表面加飾層、印刷層、遮光層、着色層、基材層、シール層、バリア層、これらの層間に設けることができるタイレイヤー層等を含めることができる。本発明のヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含む層は、多層フィルムを構成するいずれの層であってもかまわない。また、複数の層が上記耐候剤を含んでいてもよく、全ての層が上記耐候剤を含んでいてもよい。中でも、光による劣化は成形体表面から進行するため、加飾フィルムの樹脂成形体への貼着面とは反対の最表面の層に上記耐候剤が含まれていることがより好ましい。
多層フィルムにおいて、上記ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含む層以外の層は、好ましくは熱可塑性樹脂からなる層であり、より好ましくはポリプロピレン系樹脂からなる層である。ポリプロピレン系樹脂の場合、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレン−α−オレフィン共重合体(ランダムポリプロピレン)、プロピレンブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)等の様々なタイプのプロピレン系重合体、又はそれらの組み合わせを選択することができる。各層は熱硬化性樹脂を含まない層であることが好ましい。熱可塑性樹脂を用いることにより、リサイクル性が向上する。さらにポリプロピレン系樹脂を用いることにより、層構成の複雑化を抑制することができ、共押出し性やリサイクル性がより向上する。
例えば加飾フィルムが、二層構成の多層フィルムである場合には、加飾成形体の表面となる表面層及び成形体と貼着する基材層の二層、又は加飾成形体の表面となる基材層及び成形体と貼着するシール層の二層からなることができる。さらに三層構成の多層フィルムである場合には、加飾成形体の表面となる表面層、成形体と貼着するシール層、表面層とシール層の中間に介在する基材層の三層からなることができる。さらに複雑な層構成の多層フィルムであってもよく、多層フィルムを構成する少なくとも1つの層が、ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含む。
加飾フィルムは、樹脂成形体への貼着面とは反対の最表面の層が、ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含むことが好ましい。例えば、加飾フィルムが表面層及び基材層の二層からなる場合には表面層が、基材層及びシール層の二層からなる場合には基材層が、並びに表面層、基材層及びシール層の三層からなる場合には表面層が、それぞれヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含むことが好ましい。
[基材層]
本発明において、基材層とは、加飾フィルム中の最も厚さが大きい層を指す。加飾フィルムが単層フィルムの場合、その層は基材層となる。本発明の加飾フィルムの基材層を構成する樹脂がポリプロピレン系樹脂である場合、単層フィルムの場合と同様に、基材層が樹脂組成物(X)及び/又は(Y)を含むことが好ましい。これにより、熱成形性が良好となり、外観が良好な加飾成形体を得ることができる。
[表面層及び表面加飾層]
本発明において、表面層及び表面加飾層は、樹脂成形体への貼着面とは反対の最表面の層を構成する、基材層とは別の層を指す。表面層及び表面加飾層は、基材層上に直接設けられていてもよく、又は基材層上に一層以上の別の層を介在させた後に設けられていてもよい。ここで、表面加飾層は、加飾フィルムの透明性、表面光沢、意匠性等を向上させるために、造核剤、着色剤等を添加した表面層を意味する。
本発明の加飾フィルムの表面層又は表面加飾層を構成する樹脂がポリプロピレン系樹脂である場合、MFR(230℃、2.16kg荷重)が好ましくは2.0g/10分を超え、より好ましくは5.0g/10分以上、さらに好ましくは9.0g/10分以上である。ポリプロピレン系樹脂のMFRを上記の値の範囲にすることにより、加飾フィルムの表面平滑性や光沢の向上する、シボ転写性の向上等の効果が得られ、要求される成形体の表面形状(光沢、非光沢、シボ等)について、良好な外観を有する加飾成形体を得ることができる。また加飾フィルムの製造時及び熱成形時の表面の転写性が向上し、熱成形時に鏡面ロールを用いればより高い光沢を有する加飾フィルムとすることができる。MFRの上限については特に制限はないが、好ましくは100g/10分以下、より好ましくは50g/10分以下である。MFRを上記の値の範囲にすることにより、良好な耐油性、耐溶剤性、耐傷付き性等を発揮することができる。
[シール層]
本発明において、シール層は、樹脂成形体への接着性を改善するための、加飾フィルムの貼着面側の最表面の層を構成する、基材層とは別の層を指す。本発明の加飾フィルムのシール層を構成する樹脂は、一般的な熱可塑性樹脂より選択することができ、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン系エラストマー等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、スチレン系エラストマー、石油樹脂等を用いることができ、またそれらの組み合わせでもよい。変性ポリオレフィンとしては、無水マレイン酸等の極性基含有モノマー由来の重合単位とオレフィンモノマー由来の重合単位とを任意の割合で含む樹脂が挙げられる。例えば、本発明に係るシール層がポリプロピレン系樹脂である場合、樹脂のMFR(230℃、2.16kg荷重)は、接着性の点で、0.1g/10分以上であることが好ましく、より好ましくは0.4g/10分以上、さらに好ましくは2.0g/10分以上である。MFRの上限については特に制限はないが、好ましくは100g/10分以下、より好ましくは50g/10分以下である。MFRを上記の値の範囲にすることにより、良好な接着性を得ることができる。
図8(a)〜(c)は、樹脂成形体に貼着した加飾フィルムの実施形態の断面を模式的に例示する説明図である。図8(a)〜(c)において、理解を容易にするため、シール層(I)及び基材層(II)の配置を特定して説明するが、加飾フィルムの層構成はこれら例示に限定して解釈されるものではない。本明細書において、図面の符号1は加飾フィルム、符号2は基材層(II)、符号3はシール層(I)、符号4は表面加飾層(III)、符号5は樹脂成形体を示す。図8(a)は、加飾フィルム1が二層フィルムからなる例であり、樹脂成形体5にシール層(I)3が貼着し、シール層(I)3の上に基材層(II)2が積層する。図8(b)の加飾フィルム1はシール層(I)3、基材層(II)2及び表面層からなり、樹脂成形体5の表面にシール層(I)3が貼着し、シール層(I)3の上に基材層(II)2及び表面層がこの順に積層する。図8(c)の加飾フィルム1はシール層(I)3、基材層(II)2及び表面加飾層(III)4からなり、樹脂成形体5の表面にシール層(I)3が貼着し、シール層(I)3の上に基材層(II)2及び表面加飾層(III)4がこの順に積層する。
各層には、ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤以外の他の添加剤、フィラー、着色剤、その他の樹脂成分等が含まれていてもよい。他の添加剤、フィラー、着色剤、その他の樹脂成分等の総量は、樹脂組成物に対して50重量%以下であることが好ましい。他の添加剤としては、前記の添加剤等を使用することができる。
各層を構成する樹脂組成物は、樹脂と耐候剤、その他の添加剤、フィラー、着色剤、その他の樹脂成分等を溶融混練する方法、樹脂と耐候剤、その他の添加剤、フィラー、着色剤等を溶融混練したものにその他の樹脂成分をドライブレンドする方法、樹脂とその他の樹脂成分に加え、耐候剤、その他の添加剤、フィラー、着色剤等をキャリアレジンに高濃度で分散させたマスターバッチをドライブレンドする方法等によって製造することができる。
本発明の加飾フィルムは、厚さが、好ましくは約20μm以上、より好ましくは約50μm以上、さらに好ましくは約80μm以上である。加飾フィルムの厚さをこのような値以上にすることにより、意匠性を付与する効果が向上し、成形時の安定性も向上し、より良好な加飾成形体を得ることが可能となる。一方、加飾フィルムの厚さは、好ましくは約2mm以下、より好ましくは約1.2mm以下、さらに好ましくは約0.8mm以下である。加飾フィルムの厚さをこのような値以下にすることにより、熱成形時の加熱に要する時間が短縮することで生産性が向上し、不要な部分をトリミングすることが容易になる。
[加飾フィルムの製造]
本発明の加飾フィルムは、公知の様々な成形方法により製造することができる。
例えば、多層フィルムの場合は、共押出成形する方法、あらかじめ押出成形した一方の層の片方の面の上に、他の層を熱及び圧力をかけて貼り合せる熱ラミネーション法、接着剤を介して貼り合せるドライラミネーション法及びウェットラミネーション法、あらかじめ押出成形した一方の層の片方の面の上に、樹脂を溶融押出しする押出ラミネーション法やサンドラミネーション法等が挙げられる。加飾フィルムを形成するための装置としては、公知の共押出Tダイ成形機や、公知のラミネート成形機を用いることができる。この中で、生産性の観点から、共押出Tダイ成形機が好適に用いられる。
ダイスより押出された溶融状の加飾フィルムを冷却する方法としては、一本の冷却ロールにエアナイフユニットやエアチャンバーユニットより排出された空気を介して溶融状の加飾フィルムを接触させる方法や、複数の冷却ロールで圧着して冷却する方法が挙げられる。
本発明の加飾フィルムに光沢を付与する場合には、加飾フィルムの、製品の意匠面に鏡面状の冷却ロールを面転写して鏡面加工を施す方法が用いられる。
さらに、本発明の加飾フィルムの表面にシボ形状を有していてもよい。このような加飾フィルムは、ダイスより押出された溶融状態の樹脂を、凹凸形状を施したロールと平滑なロールとで直接圧着して凹凸形状を面転写する方法、平滑なフィルムを、凹凸形状を施した加熱ロールと平滑な冷却ロールとで圧接して面転写する方法等により製造することができる。シボ形状としては梨地調、獣皮調、ヘアライン調、カーボン調等が例示される。
本発明の加飾フィルムは、成膜後に熱処理してもよい。熱処理の方法としては、熱ロールで加熱する方法、加熱炉や遠赤外線ヒータで加熱する方法、熱風を吹き付ける方法等が挙げられる。
[加飾成形体]
本発明において加飾される樹脂成形体(加飾対象)として、好ましくは熱可塑性樹脂、より好ましくはポリオレフィン系樹脂、さらに好ましくはポリプロピレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂組成物からなる各種成形体(以下、「基体」と言うことがある。)を用いることができる。成形体の成形方法は、特に制限されるものでなく、例えば射出成形、ブロー成形、プレス成形、押出成形等を挙げることができる。
加飾対象である樹脂成形体のポリプロピレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂組成物のベース樹脂としては、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレン−α−オレフィン共重合体、あるいは、プロピレンブロック共重合体等の公知の様々なプロピレンモノマーを主原料とする様々なタイプのものを選択することができる。また、本発明の効果を損なわない限り、剛性付与のためにタルク等のフィラーや、耐衝撃性付与のためにエラストマー等を含んでいてもよい。また、上述した加飾フィルムを構成し得るポリプロピレン系樹脂組成物と同様に、耐候剤を含む添加剤成分やその他の樹脂成分を含んでもよい。
本発明における加飾フィルムを、三次元形状に形成された各種成形体に貼着した加飾成形体は、塗装や接着剤に含まれるVOCが大きく削減されるため、自動車部材、家電製品、車輌(鉄道等)、建材、日用品等として好適に使用することができる。
[加飾成形体の製造]
本発明の加飾成形体の製造方法は、上述した加飾フィルムを準備するステップ、樹脂成形体を準備するステップ、減圧可能なチャンバーボックス中に、前記樹脂成形体及び前記加飾フィルムをセットするステップ、前記チャンバーボックス内を減圧するステップ、前記加飾フィルムを加熱軟化させるステップ、前記樹脂成形体に前記加飾フィルムを押し当てるステップ、並びに前記減圧したチャンバーボックス内を大気圧に戻す又は加圧するステップを含むことを特徴とする。
本発明の加飾成形体の製造方法によれば、加飾フィルムと樹脂成形体の間に空気の巻き込みが無く、シボ等のテクスチャーの再現性が良好な美麗な加飾成形体を得ることができる。
三次元加飾熱成形は、減圧可能なチャンバーボックス中に、樹脂成形体と加飾フィルムをセットし、チャンバーボックス内を減圧した状態でフィルムを加熱軟化させ、樹脂成形体にフィルムを押し当て、チャンバーボックス内を大気圧に戻す、あるいは、加圧することで、加飾フィルムを樹脂成形体の表面に貼り付ける、という基本的な工程を有し、減圧下でフィルムの貼り付けを行う。これにより空気だまりが生じない、きれいな加飾成形体を得ることができる。本発明の製造方法において、三次元加飾熱成形に相応しい装置、条件であれば公知のあらゆる技術を用いることができる。
すなわち、チャンバーボックスは、樹脂成形体と加飾フィルム、及び、それを押し当てるための機構、加飾フィルムを加熱するための装置等の全てを一つに納めるものでもよいし、加飾フィルムによって分割された複数のものでもよい。
また、樹脂成形体と加飾フィルムを押し当てるための機構は、樹脂成形体を移動させるもの、加飾フィルムを移動させるもの、両者を移動させるもの、いずれのタイプでもかまわない。
より具体的に代表的な成形方法を以下に例示する。
以下、図を参照しながら、三次元加飾熱成形機を用いて加飾フィルムを樹脂成形体に貼着する方法について例示的に説明する。
図2に示すように、この実施形態の三次元加飾熱成形機は上下にチャンバーボックス11及び12を具備すると共に、前記2つのチャンバーボックス11及び12内で加飾フィルム1の熱成形を行なうようにしている。上下のチャンバーボックス11及び12には、真空回路(図示せず)と空気回路(図示せず)がそれぞれ配管されている。
また、上下のチャンバーボックス11及び12の間には、加飾フィルム1を固定する治具13が備えられている。また、下チャンバーボックス12には、上昇・下降が可能なテーブル14が設置されており、樹脂成形体(加飾対象)5はこのテーブル14上に(治具等を介して又は直接)セットされる。上チャンバーボックス11内にはヒータ15が組み込まれており、このヒータ15により加飾フィルム1は加熱される。
このような三次元加飾熱成形機としては、市販の成形機(例えば布施真空株式会社製NGFシリーズ)を使用することができる。
図3に示すように、まず上下チャンバーボックス11及び12が開放された状態で、下チャンバーボックス12内のテーブル14上に樹脂成形体5を設置し、テーブル14を下降した状態にする。続いて、上下チャンバーボックス11及び12間のフィルム固定用の治具13に加飾フィルム1を貼着面が樹脂成形体5に対抗するようにセットする。
図4に示すように、上チャンバーボックス11を降下させ、上下チャンバーボックス11及び12を接合させ前記ボックス内を閉塞状態とした後、それぞれのチャンバーボックス11及び12内を真空吸引状態にし、ヒータ15により加飾フィルム1の加熱を行う。
加飾フィルム1を加熱軟化した後、図5に示すように、上下チャンバーボックス11及び12内を真空吸引状態のまま下チャンバーボックス12内のテーブル14を上昇させる。加飾フィルム1は樹脂成形体5に押し付けられて、樹脂成形体5を被覆する。さらに図6に示すように、上チャンバーボックス11を大気圧下に開放又は圧空タンクより圧縮空気を供給することにより、さらに大きな力で加飾フィルム1を樹脂成形体5に密着させる。
続いて、上下チャンバーボックス11及び12内を大気圧下に開放し、加飾成形体6を下チャンバーボックス12から取り出す。最後に、図7に例示するように加飾成形体6の周囲にある不要な加飾フィルム1のエッジをトリミングする。
[成形条件]
チャンバーボックス11及び12内の減圧は、空気だまりが発生しない程度であればよく、チャンバーボックス内の圧力が10kPa以下、好ましくは3kPa以下、より好ましくは1kPa以下である。
また、加飾フィルム1により上下に分割された二つのチャンバーボックス11及び12においては、樹脂成形体5と加飾フィルム1が貼り付けられる側のチャンバーボックス内圧力が本範囲であれば良く、上下のチャンバーボックス11及び12の圧力を変えることで加飾フィルム1のドローダウンを抑制することもできる。
加飾フィルム1の加熱はヒータ温度(出力)と加熱時間によって制御される。また、フィルムの表面温度を放射温度計等の温度計により測定し適切な条件の目安とすることも可能である。
本発明において、樹脂成形体5に加飾フィルム1を貼着させるには、樹脂成形体5表面及び加飾フィルム1が十分に軟化又は融解することが必要である。
そのために、ヒータ温度は樹脂成形体5を構成する樹脂と加飾フィルム1を構成する樹脂の融解温度よりも高いことが必要である。ポリプロピレン系加飾フィルムの場合、ヒータ温度は、好ましくは160℃以上、より好ましくは180℃以上、最も好ましくは200℃以上である。
ヒータ温度が高いほど加熱に要する時間は短縮されるが、加飾フィルム1の内部(あるいはヒータが片側にのみ設置させる場合にはヒータと反対の面)が十分に加熱されるまでに、ヒータ側の温度が高くなりすぎることで成形性の悪化を招くばかりでなく樹脂が熱劣化してしまうため、ヒータ温度は500℃以下であることが好ましく、より好ましくは450℃以下、最も好ましくは400℃以下である。
適切な加熱時間はヒータ温度によって異なるが、加飾フィルムが十分に軟化又は融解することが必要である。ポリプロピレン系加飾フィルムの場合、少なくとも加飾フィルムが加熱されスプリングバックと呼ばれる張り戻りが開始するまで加熱されることが好ましい。すなわち、ヒータによって加熱されたポリプロピレン系加飾フィルムは、固体状態から加熱されることで熱膨張し結晶溶融に伴い一度たるみ、結晶融解が全体に進行すると分子が緩和することで一時的に張り戻るスプリングバックが観察され、その後、自重によって垂れ下がるという挙動を示すが、スプリングバック後には、フィルムは完全に結晶が融解しており、分子の緩和が十分であるため、熱成形性が良好であり、また十分な接着強度が得られる。
一方、加熱時間が長くなりすぎると、フィルムは自重によって垂れ下がったり、上下チャンバーボックスの圧力差により変形してしまったりするので、スプリングバック終了後、120秒未満の加熱時間であることが好ましい。
凹凸を有する複雑な形状の成形体を加飾する場合や、より高い接着力を達成する場合には、加飾フィルムを基体に密着させる際に、圧縮空気を供給することが好ましい。圧縮空気を導入した際の上チャンバーボックス内の圧力は、150kPa以上、好ましくは200kPa以上、より好ましくは250kPa以上である。上限については特に制限しないが、圧力が高すぎると機器を損傷するおそれがあるため、450kPa以下、好ましくは400kPa以下がよい。
以下、実施例として、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
1.諸物性の測定方法
(i)フォギング試験
ISO6452に準拠した方法により下記フォギング試験を行った後のサンプル瓶の口を覆っていたガラス板のヘーズ値(HAZE)をヘーズメーター(NDH5000型、日本電子工業株式会社製)を用いて測定し、フォギング試験前後のヘーズ値の変化量を以下の式から算出した。
フォギング試験後のヘーズ値の変化量 = フォギング試験後のガラス板のヘーズ値 − フォギング試験前のガラス板のヘーズ値
なお、フォギング試験を実施する前のガラス板のヘーズ値は0.23であった。
<フォギング試験>
ヒンダードアミン系光安定剤又は紫外線吸収剤1g(±0.01g)をガラス製サンプル瓶(内径83mm、高さ190mm)に入れて、前記サンプル瓶をガラス板(厚さ3.0mm)で蓋をして150℃で1時間加熱することにより、前記ガラス板に曇り(フォギング)を発生させた。フォギング試験機は、ウィンドスクリーンフォギングテスターWF−2(スガ試験機株式会社製)を用いた。ガラス製サンプル瓶及びガラス板はスガ試験機株式会社提供のものを使用した。
(ii)メルトフローレート(MFR)
ISO 1133:1997 Conditions Mに準拠して、230℃、2.16kg荷重で測定した。単位はg/10分である。
(iii)ひずみ硬化度λ
ひずみ硬化度λの求め方は、前述した方法で行った。このとき、剪断粘度の値として用いるη*(0.01)、伸長粘度の値として用いるηe(3.5)は以下の方法で測定を行った。また、このとき測定に用いた試料は、温度180℃、加圧10MPaの条件で1時間プレスすることで厚さ0.7mm及び2mmの平板に成形したものであり、厚さ0.7mmの試料を伸長粘度測定に、2mmの試料を動的周波数掃引実験に用いた。
(iii−1)剪断粘度η*(0.01)
Rheometric Scientific社製ARESを用いて、動的周波数掃引実験を行った。測定ジオメトリには直径25mmの平行円板を使用した。装置制御ソフトウェアTA Orchestratorを用い、測定モードDynamic Frequency Sweep Testにて測定を実施した。試料は上記の方法で作製した厚さ2mmのプレス成形体を用いた。測定温度は180℃とした。角振動数ωは0.01〜100rad/sの間を、対数スケールで等間隔となるように一桁あたり5点測定した。
試料の低剪断速度での粘度を示す指標として、ω=0.01rad/sにおける複素粘性率η*(0.01)[単位:Pa・s]を採用する。なお、複素粘性率η*は、複素弾性率G*[単位:Pa]とωから、η*=G*/ωにて計算される。
(iii−2)伸長粘度ηe(3.5)
Rheometric Scientific社製ARESの測定治具に、ティーエーインスツルメント社製 Extensional Viscosity Fixtureを使用して伸長粘度測定を行った。装置制御ソフトウェアTA Orchestratorを用い、測定モードExtensional Viscosity Testにて測定を実施した。試料は上記の方法で成形した厚さ0.7mmの試験片を用いた。試験片の幅は10mm、長さ18mmとした。歪速度は1.0s−1、測定温度は180℃である。その他の測定パラメータは以下のように設定した。
Sampling Mode:log
Points Per Zone:200
Solid Density:0.9
Melt Density:0.8
Prestretch Rate:0.05s−1
Relaxation after Prestretch:30sec
本条件で、少なくとも測定開始からの時間3.7秒までのデータを採取する。ソフトウェアにより、伸長粘度の時間依存性データが得られる。得られた伸長粘度カーブの、時間3.5sec(すなわち歪量3.5)の時点での伸長粘度の値をηe(3.5)[単位:Pa・s]とした。
(iv)絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’の測定:
前述した方法に従って、光散乱計と粘度計を検出器に備えたGPCを使用した測定を行い、前述した解析方法に基づき、分岐指数g’を求めた。
(v)13C−NMRを用いた長鎖分岐構造の検出:
前述した方法に従って、13C−NMRを使用した測定を行い、長鎖分岐構造の有無を測定した。
2.使用材料
(1)ヒンダードアミン系光安定剤及び紫外線吸収剤
(A−1):ヒンダードアミン系光安定剤(フォギング試験後のヘーズ値の変化量=3.78、分子量=約3000)、BASF株式会社製、商品名「Chimassorb944」
(A−2):ヒンダードアミン系光安定剤(フォギング試験後のヘーズ値の変化量=5.13、分子量=約791)、株式会社ADEKA製、商品名「LA−57」
(A−3):ヒンダードアミン系光安定剤(フォギング試験後のヘーズ値の変化量=3.98、分子量=約1900)、株式会社ADEKA製、商品名「LA−68」
(A−4):ヒンダードアミン系光安定剤(フォギング試験後のヘーズ値の変化量=49.59、分子量=480)、BASF株式会社製、商品名「Tinuvin770」
(A−5):紫外線吸収剤(フォギング試験後のヘーズ値の変化量=22.12、分子量=659)、株式会社ADEKA製、商標名「アデカスタブLA−31G」
(2)ポリプロピレン系樹脂
以下のポリプロピレン系樹脂を用いた。
(B−1):長鎖分岐を有しないプロピレン単独重合体(MFR=0.4g/10分、ひずみ硬化度λ=1.0)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)EA9」、絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’=1.0、13C−NMRの測定により長鎖分岐構造を有しないことを確認した。
(B−1−1):ポリプロピレン系樹脂(B−1)100重量部に、ヒンダードアミン系光安定剤(A−1)を0.2重量部ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=0.4g/10分)
(B−1−2):ポリプロピレン系樹脂(B−1)100重量部に、ヒンダードアミン系光安定剤(A−2)を0.2重量部ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=0.4g/10分)
(B−1−3):ポリプロピレン系樹脂(B−1)100重量部に、ヒンダードアミン系光安定剤(A−3)を0.2重量部ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=0.4g/10分)
(B−1−4):ポリプロピレン系樹脂(B−1)100重量部に、ヒンダードアミン系光安定剤(A−4)を0.2重量部ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=0.4g/10分)
(B−1−5):ポリプロピレン系樹脂(B−1)100重量部に、ヒンダードアミン系光安定剤(A−1)を0.1重量部、さらに紫外線吸収剤(A−5)を0.2重量部ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=0.4g/10分)
(B−2):マクロマー共重合法により製造された長鎖分岐を有するプロピレン単独重合体、日本ポリプロ(株)製、商品名「WAYMAX(登録商標)MFX8」、MFR=1.0g/10分、ひずみ硬化度λ=9.7、絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’=0.89、13C−NMRの測定により長鎖分岐構造を有することを確認した。
(B−2−1)ポリプロピレン系樹脂(B−2)100重量部に、ヒンダードアミン系光安定剤(A−1)を0.2重量部ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=1.0g/10分)
(B−3):長鎖分岐を有しないプロピレン単独重合体(MFR=10g/10分、ひずみ硬化度λ=1.0)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)FA3KM」、絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’=1.0、13C−NMRの測定により長鎖分岐構造を有しないことを確認した。
(B−3−1)ポリプロピレン系樹脂(B−3)100重量部に、ヒンダードアミン系光安定剤(A−1)を0.2重量部ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=10g/10分)
(B−4):長鎖分岐を有しないプロピレン−α−オレフィン共重合体(MFR=7.0g/10分、ひずみ硬化度λ=1.0)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ウィンテック(登録商標)WFX4M」、絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’=1.0、13C−NMRの測定により長鎖分岐構造を有しないことを確認した。
(3)その他の熱可塑性樹脂
以下の熱可塑性樹脂を用いた。
(C−1):無水マレイン酸変性ポリオレフィン(MFR=7.0g/10分)、三菱ケミカル(株)製、商品名「モディックAP(登録商標)F534A」
3.樹脂成形体(基体)の製造
プロピレン単独重合体(D−1)(MFR=40g/10分、Tm=165℃、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)MA04H」)を用い、以下の方法で射出成形体を得た。
射出成形機:東芝機械株式会社製「IS100GN」、型締め圧100トン
シリンダー温度:200℃
金型温度:40℃
射出金型:幅×高さ×厚さ=120mm×120mm×3mmの平板
状態調整:温度23℃、湿度50%RHの恒温恒湿室にて5日間保持
実施例1
・加飾フィルムの製造
口径40mm(直径)の基材層用押出機−1及び、口径30mm(直径)のシール層用押出機−2が接続されたリップ開度0.8mm、ダイス幅400mmの2種2層Tダイを用いた。基材層用押出機−1にポリプロピレン系樹脂(B−1−1)を、シール層用押出機−2にポリプロピレン系樹脂(B−1)をそれぞれ投入し、樹脂温度240℃、基材層用押出機−1の吐出量を12kg/h、シール層用押出機−2の吐出量を4kg/hの条件で溶融押出を行った。溶融押出されたフィルムを、30℃、3m/minで回転する第1ロールにシール層が接するようにエアナイフで押付けながら冷却固化させ、厚さ150μmの基材層と、厚さ50μmのシール層が積層された2層の未延伸フィルムを得た。
・三次元加飾熱成形
三次元加飾熱成形装置として、布施真空株式会社製「NGF−0406−SW」を用いた。図2〜7に示すように、加飾フィルム1を、シール層が基体に対向するとともに長手方向がフィルムのMD方向となるように、幅250mm×長さ350mmで切り出し、開口部のサイズが210mm×300mmのフィルム固定用治具13にセットした。樹脂成形体(基体)5は、フィルム固定用治具13よりも下方に位置するテーブル14上に設置された、高さ20mmのサンプル設置台の上に、ニチバン株式会社製「ナイスタック NW−K15」を介して貼り付けた。フィルム固定用治具13とテーブル14をチャンバーボックス11及び12内に設置し、チャンバーボックスを閉じてチャンバーボックス11及び12内を密閉状態とした。チャンバーボックスは、加飾フィルム1を介して上下に分割されている。上下チャンバーボックス11及び12を真空吸引し、大気圧(101.3kPa)から1.0kPaまで減圧した状態で、上チャンバーボックス11上に設置された遠赤外線ヒータ15を出力80%で始動させて加飾フィルム1を加熱した。加熱中も真空吸引を継続し、最終的に0.1kPaまで減圧した。加飾フィルム1が加熱され一時的にたるみ、その後、張り戻るスプリングバック現象が終了した後、さらに30秒加熱し、下チャンバーボックス12内に設置されたテーブル14を上方に移動させて、樹脂成形体(基体)5を加飾フィルム1に押し付け、直後に上チャンバーボックス11内の圧力が270kPaとなるように圧縮空気を送り込んで樹脂成形体(基体)5と加飾フィルム1を密着させた。このようにして、樹脂成形体(基体)5の上面及び側面に加飾フィルム1が貼着された三次元加飾熱成形品6を得た。
実施例2
実施例1の加飾フィルムの製造において、基材層に用いたポリプロピレン系樹脂をポリプロピレン系樹脂(B−1−2)に変更した以外は、実施例1と同様に三次元加飾熱成形品を得た。
実施例3
実施例1の加飾フィルムの製造において、基材層に用いたポリプロピレン系樹脂をポリプロピレン系樹脂(B−1−3)に変更した以外は、実施例1と同様に三次元加飾熱成形品を得た。
実施例4
実施例1の加飾フィルムの製造において、基材層に用いたポリプロピレン系樹脂をポリプロピレン系樹脂(B−1−5)に変更した以外は、実施例1と同様に三次元加飾熱成形品を得た。
実施例5
実施例1の加飾フィルムの製造において、基材層に用いたポリプロピレン系樹脂をポリプロピレン系樹脂(B−2−1)に変更した以外は、実施例1と同様に三次元加飾熱成形品を得た。
実施例6
加飾フィルムの製造において、口径30mmφの表面層用押出機−3、口径40mmφの基材層用押出機−1、及び口径30mmφのシール層用押出機−2が接続された、リップ開度0.8mm、ダイス幅400mmの3種3層Tダイを用いた。表面層用押出機−3にポリプロピレン系樹脂(B−3−1)を、基材層用押出機−1にポリプロピレン系樹脂(B−1−1)を、シール層用押出機−2にポリプロピレン系樹脂(B−1)をそれぞれ投入し、樹脂温度240℃、表面層用押出機−3の吐出量を4kg/h、基材層用押出機−1の吐出量を8kg/h、シール層用押出機−2の吐出量を4kg/hの条件で溶融押出を行った。
溶融押出されたフィルムを、30℃、3m/minで回転する第1ロールにシール層が接するようにエアナイフで押付けながら冷却固化させ、厚さ50μmの表面層と、厚さ100μmの基材層と、厚さ50μmのシール層が積層された3層の未延伸フィルムを得た。
上記の加飾フィルムの製造で得られた未延伸フィルムを用いた以外は、実施例1と同様に三次元加飾熱成形品を得た。
実施例7
実施例1の加飾フィルムの製造において、シール層に用いたポリプロピレン系樹脂をポリプロピレン系樹脂(B−4)に変更した以外は、実施例1と同様に三次元加飾熱成形品を得た。
実施例8
実施例1の加飾フィルムの製造において、シール層に用いたポリプロピレン系樹脂を無水マレイン酸変性ポリオレフィン(C−1)に変更した以外は、実施例1と同様に三次元加飾熱成形品を得た。
比較例1
実施例1の加飾フィルムの製造において、基材層に用いたポリプロピレン系樹脂をポリプロピレン系樹脂(B−1)に変更した以外は、実施例1と同様に三次元加飾熱成形品を得た。
比較例2
実施例1の加飾フィルムの製造において、基材層に用いたポリプロピレン系樹脂をポリプロピレン系樹脂(B−1−4)に変更した以外は、実施例1と同様に三次元加飾熱成形品を得た。
[耐候性評価]
実施例1〜8並びに比較例1及び2で得られた三次元加飾熱成形品について、三次元加飾熱成形後の平板サンプルを、23℃50%RHで48時間保持した後、該平板から縦30mm横70mmに試験片を切り出し、株式会社東洋精機製作所製アトラス試験機Ci65AWにてブラックパネル温度89℃、湿度50%、放射照度100W/mの条件で504MJのキセノンアークランプ光を、加飾成形体の加飾フィルム側に照射した。三次元加飾成形前の加飾フィルムに対しても、同様の条件で光照射を行った。24時間毎に試験片の表面を顕微鏡にて20倍に拡大して観察し、表面に微細なクラックが生じるまでの時間を「耐候時間」とした。耐候性の低下率を以下の基準で評価した。
○:三次元加飾成形前の加飾フィルムの耐候時間に対して、三次元加飾熱成形後の平板サンプルの耐候時間の低下率が20%未満である。
×:三次元加飾成形前の加飾フィルムの耐候時間に対して、三次元加飾熱成形後の平板サンプルの耐候時間の低下率が20%以上である。
実施例1〜8並びに比較例1及び2の加飾フィルムの層構成及び耐候性の評価結果を表1に示す。
実施例1〜8の加飾フィルムから得られた加飾成形体は、使用したヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤について、ISO6452に準拠した方法によりフォギング試験を行った後のガラス板のJIS−K7136に準拠した方法により測定されるヘーズ値の変化量が40以下であるため、加飾成形中に加飾フィルムからヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤が揮発せず、得られた加飾成形体は耐候性を維持していた。
一方、いずれの層もヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含んでいない比較例1の加飾フィルムは、加飾フィルム及び加飾成形体の耐候性に劣るものであった。使用したヒンダードアミン系光安定剤について、ISO6452に準拠した方法によりフォギング試験を行った後のガラス板のJIS−K7136に準拠した方法により測定されるヘーズ値の変化量が40を超える比較例2の加飾フィルムは、加飾成形中にヒンダードアミン系光安定剤が揮発してしまい、得られた加飾成形体は耐候性の低下が著しかった。
本発明の加飾フィルム及びそれを用いた加飾成形体の製造方法は、三次元加飾成形体及びその製造に使用することができる。
1 加飾フィルム
2 基材層(II)
3 シール層(I)
4 表面加飾層(III)
5 樹脂成形体(加飾対象、基体)
6 加飾成形体
11 上チャンバーボックス
12 下チャンバーボックス
13 治具
14 テーブル
15 ヒータ

Claims (7)

  1. 三次元形状の樹脂成形体上に熱成形によって貼着するためのヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含む加飾フィルムであって、該ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤は、以下の要件を満たす加飾フィルム。
    要件:ISO6452に準拠した方法により下記フォギング試験を行った後のガラス板のJIS−K7136に準拠した方法により測定されるヘーズ値の変化量が40以下である。
    <フォギング試験>ヒンダードアミン系光安定剤又は紫外線吸収剤1g(±0.01g)をガラス製サンプル瓶に入れて、前記サンプル瓶をガラス板で蓋をして150℃で1時間加熱することにより、前記ガラス板に曇り(フォギング)を発生させる。
  2. 前記ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤の分子量が490g/mol以上である、請求項1に記載の加飾フィルム。
  3. 前記加飾フィルムは、前記ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含む少なくとも1つの層を含み、前記層はポリオレフィン系樹脂を50重量%以上含有する、請求項1又は2に記載の加飾フィルム。
  4. 前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂である、請求項3に記載の加飾フィルム。
  5. 前記加飾フィルムの樹脂成形体への貼着面とは反対の最表面の層が、前記ヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の加飾フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の加飾フィルムを準備するステップ、樹脂成形体を準備するステップ、減圧可能なチャンバーボックス中に、前記樹脂成形体及び前記加飾フィルムをセットするステップ、前記チャンバーボックス内を減圧するステップ、前記加飾フィルムを加熱軟化させるステップ、前記樹脂成形体に前記加飾フィルムを押し当てるステップ、並びに前記減圧したチャンバーボックス内を大気圧に戻す又は加圧するステップを含む、加飾成形体の製造方法。
  7. 前記樹脂成形体は、ポリプロピレン系樹脂組成物からなる、請求項6に記載の加飾成形体の製造方法。
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