JP6933103B2 - 加飾フィルムおよびそれを用いた加飾成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
また、真空圧空成形および真空成形による加飾熱成形は、射出成形等の工程で成形された基体と加飾フィルムとの一体性が高い成形品が得られる利点がある一方、加飾フィルムが基体の表面についた傷を拾ってしまい、加飾成形体の表面に基体表面についた傷の影響による外観不良が生じやすい問題がある。
[1] 樹脂成形体上に熱成形によって貼着するための加飾フィルムであって、
該加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)およびエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)を主成分として含み、ポリプロピレン系樹脂(A)とエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)との重量比率は97:3〜5:95である樹脂組成物からなるシール層(I)、アクリル系樹脂(C)からなる層(II)、並びにシール層(I)と層(II)との間に接着性樹脂(D)からなる接着層(III)を含み、
前記ポリプロピレン系樹脂(A)は下記要件(a1)を満たし、
前記エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)は下記要件(b1)〜(b3)を満たすことを特徴とする加飾フィルム。
(a1)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(A))は、0.5g/10分を超える。
(b1)エチレン含量[E(B)]は、65重量%以上である。
(b2)密度は、0.850〜0.950g/cm3である。
(b3)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(B))は、0.1〜100g/10分である。
[2] 前記エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)は、下記要件(b4)を満たすことを特徴とする[1]に記載の加飾フィルム。
(b4)融解ピーク温度(Tm(B))は、30〜130℃である
[3] 前記エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)は、下記要件(b5)を満たすことを特徴とする[1]または[2]に記載の加飾フィルム。
(b5)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体である。
[4] 前記接着性樹脂(D)は、少なくとも1種のヘテロ原子を含む極性官能基を有するポリオレフィン樹脂であって、そのMFR(230℃、2.16kg荷重)(MFR(D))が100g/10分以下であるポリオレフィン樹脂であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の加飾フィルム。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の加飾フィルムを準備するステップ、樹脂成形体を準備するステップ、減圧可能なチャンバーボックス中に、前記樹脂成形体及び前記加飾フィルムをセットするステップ、前記チャンバーボックス内を減圧するステップ、前記加飾フィルムを加熱軟化させるステップ、前記樹脂成形体に前記加飾フィルムを押し当てるステップ、前記減圧したチャンバーボックス内を大気圧に戻す又は加圧するステップを含むことを特徴とする加飾成形体の製造方法。
[6] 前記樹脂成形体は、プロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とする[5]に記載の加飾成形体の製造方法。
該加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)およびエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)を主成分として含み、ポリプロピレン系樹脂(A)とエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)との重量比率は97:3〜5:95である樹脂組成物からなるシール層(I)、アクリル系樹脂(C)からなる層(II)、並びにシール層(I)と層(II)との間に接着性樹脂(D)からなる接着層(III)を含み、
前記ポリプロピレン系樹脂(A)は下記要件(a1)を満たし、
前記エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)は下記要件(b1)〜(b3)を満たすことを特徴とする加飾フィルムである。
(a1)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(A))は、0.5g/10分を超える。
(b1)エチレン含量[E(B)]は、65重量%以上である。
(b2)密度は、0.850〜0.950g/cm3である。
(b3)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(B))は、0.1〜100g/10分である。
本発明の加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)およびエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)から構成される樹脂組成物からなるシール層(I)を含むものである。シール層(I)は、三次元加飾熱成形の際に、樹脂成形体(基体)と接する層である。シール層(I)を設けることにより、三次元加飾熱成形時のフィルム加熱時間が短くても十分な接着強度が発現し、さらに基体表面についた傷を目立ちにくくすることができる。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂(A)は、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレン−α−オレフィン共重合体(ランダムポリプロピレン)、プロピレンブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)等の様々なタイプのプロピレン系重合体、又はそれらの組み合わせを選択することができる。プロピレン系重合体は、プロピレンモノマー由来の重合単位を50mol%以上含んでいることが好ましい。プロピレン系重合体は、極性基含有モノマー由来の重合単位を含まないものであることが好ましい。
シール層(I)に含まれるポリプロピレン系樹脂(A)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)MFR(A)は、0.5g/10分を超えることが必要であり、好ましくは1g/10分以上、より好ましくは2g/10分以上である。前記の範囲であると、三次元加飾熱成形時の緩和が十分に進行し十分な接着強度を発揮することができると共に、基体についた傷が目立ちにくくなる。MFR(A)の上限に制限はないが、100g/10分以下であることが好ましい。前記の範囲であると、物性低下による接着強度の悪化が生じることがない。
ポリプロピレン系樹脂(A)の融解ピーク温度(DSC融解ピーク温度、本明細書においては「融点」と称する場合もある)(Tm(A))は、110℃以上であることが好ましく、115℃以上であることがより好ましく、120℃以上であることがさらに好ましい。前記の範囲であると、三次元加飾熱成形時の成形性が良好である。融解ピーク温度の上限に制限はないが、170℃以下であることが好ましく、前記の範囲であると、十分な接着強度を発揮することができる。
本発明のシール層(I)で必須成分として用いられるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)は、下記の特性(b1)〜(b3)、好ましくはさらに(b4)及び/又は(b5)を有するものである。
本発明のエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)のエチレン含量[E(B)]は、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)全量に対して、65重量%以上であることが必要であり、好ましくは68重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。前記の範囲であると、三次元加飾熱成形時に十分な接着強度を発揮し、フィルムの加熱時間を短くすることができる。エチレン含量[E(B)]の上限は特に制限されないが、95重量%以下であることが好ましい。
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)のエチレン含量[E(B)]は13C−NMR測定で得られる積分強度から求めることができる。
初めに、二種の繰り返し単位から構成される二元系共重合体におけるエチレン含量[E(B)]の算出方法について説明する。この場合、エチレン−α−オレフィン二元系共重合体のエチレン含量は(式−1−1)及び(式−1−2)で求めることができる。
エチレン含量(mol%)=IE×100/(IE+IX) ・・・(式−1−1)
エチレン含量[E(B)](重量%)=[エチレン含量(mol%)×エチレンの分子量]×100/[エチレン含量(mol%)×エチレンの分子量+α−オレフィン含量(mol%)×α−オレフィンの分子量] ・・・(式−1−2)
IE=(Iββ+Iγγ+Iβδ+Iγδ+Iδδ)/2+(Iαγ+Iαδ)/4 ・・・(式−2)
IX=Iαα+(Iαγ+Iαδ)/2 ・・・(式−3)
ここで、右辺のIの下つきの記号は、下記構造式(a)〜(d)に記載の炭素を示す。例えばααはα−オレフィン連鎖に基づくメチレン炭素を示し、Iααはα−オレフィン連鎖に基づくメチレン炭素のシグナルの積分強度を表す。
α−オレフィンがプロピレンの場合、(式−2)、(式−3)に以下の積分強度の値を代入し、エチレン含量[E(B)]を求める。
Iββ=I25.0−24.2
Iγγ=I30.8−30.6
Iβδ=I27.8−26.8
Iγδ=I30.6−30.2
Iδδ=I30.2−28.0
Iαα=I48.0−43.9
Iαγ+Iαδ=I39.0−36.2
化学シフトはヘキサメチルジシロキサンの13Cシグナルを1.98ppmに設定し、他の13Cによるシグナルの化学シフトはこれを基準とする。エチレン−プロピレン共重合体と同様に、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、及びエチレン−1−オクテン共重合体についても下記する。
α−オレフィンが1−ブテンの場合、(式−2)、(式−3)に以下の積分強度の値を代入し、エチレン含量[E(B)]を求める。
Iββ=I24.6−24.4
Iγγ=I30.9−30.7
Iβδ=I27.8−26.8
Iγδ=I30.5−30.2
Iδδ=I30.2−28.0
Iαα=I39.3−38.1
Iαγ+Iαδ=I34.5−33.8
α−オレフィンが1−ヘキセンの場合、(式−2)、(式−3)に以下の積分強度の値を代入し、エチレン含量[E(B)]を求める。
Iββ=I24.5−24.4
Iγγ=I31.0−30.8
Iβδ=I27.5−27.0
Iγδ=I30.6−30.2
Iδδ=I30.2−28.0
Iαα=I40.0−39.0
Iαγ+Iαδ=I35.0−34.0
α−オレフィンが1−オクテンの場合、βδシグナルとαγ+αδシグナルに1−オクテンに基づくヘキシル分岐のメチレン炭素が重なる(以下の構造式の5B6、6B6)。
Iβδ+I5B6=I27.6−26.7
Iαγ+Iαδ+I6B6=I35.0−34.0
そこで、5B6、6B6の重なりを補正したIβδと、Iαγ+Iαδを代用し、以下に示される積分強度を(式−2)、(式−3)に代入し、エチレン含量[E(B)]を求める。
Iββ=I24.7−24.2
Iγγ+Iγδ+Iδδ=I32.0−28.0
Iβδ=2/3×I27.6−26.7
Iαα=I40.8−39.6
Iαγ+Iαδ=Iβδ+2×Iββ
次に、三種の繰り返し単位から構成される三元系共重合体におけるエチレン含量[E(B)]の算出方法について説明する。例えば、エチレン−プロピレン−ブテン三元系共重合体のエチレン含量は、下記(式−4−1)及び(式−4−2)で求めることができる。
エチレン含量(mol%)=IE×100/(IE+IP+IB)・・・(式−4−1)
エチレン含量[E(B)](重量%)=[エチレン含量(mol%)×エチレンの分子量]×100/[エチレン含量(mol%)×エチレンの分子量+プロピレン含量(mol%)×プロピレンの分子量+ブテン含量(mol%)×ブテンの分子量]・・・(式−4−2)
ここで、IE、IP、IBはそれぞれ、エチレン、プロピレン、ブテンについての積分強度であり、(式−5)、(式−6)、(式−7)で求めることができる。
IE=(Iββ+Iγγ+Iβδ+Iγδ+Iδδ)/2+(Iαγ(P)+Iαδ(P)+Iαγ(B)+Iαδ(B))/4 ・・・(式−5)
IP=1/3×〔ICH3(P)+ICH(P)+Iαα(PP)+1/2×(Iαα(PB)+Iαγ(P)+Iαδ(P))〕 ・・・(式−6)
IB=1/4×〔(ICH3(B)+ICH(B)+I2B2+Iαα(BB))+1/2×(Iαα(PB)+Iαγ(B)+Iαδ(B))〕 ・・・(式−7)
ここで、添え字の(P)は、プロピレン由来のメチル基分岐に基づくシグナルであることを意味し、同様に(B)はブテン由来のエチル基分岐に基づくシグナルであることを意味する。
また、αα(PP)は、プロピレン連鎖に基づくメチレン炭素のシグナルを意味し、同様にαα(BB)はブテン連鎖に基づくメチレン炭素のシグナルを、αα(PB)はプロピレン−ブテン連鎖に基づくメチレン炭素のシグナルを意味する。
γγシグナルはエチレン連鎖が2個の構造式(c)で現れ、エチレン由来のγγの積分強度と構造式(c)のβδの積分強度には(式−8)が成り立つ。
Iβδ(構造式(c))=2×Iγγ・・・(式−8)
また、βδは、エチレン連鎖が3個以上の構造式(d)で現れ、構造式(d)のβδの積分強度はγδの積分強度と等しく(式−9)が成り立つ。
Iβδ(構造式(d))=Iγδ・・・(式−9)
よって、構造式(c)と構造式(d)に基づくβδは(式−10)で求まる。
Iβδ=Iβδ(構造式(c))+Iβδ(構造式(d))=2×Iγγ+Iγδ・・・(式−10)
すなわち、Iγγ=(Iβδ−Iγδ)/2・・・(式−10’)
よって、(式−10’)を(式−5)に代入すると、IEは(式−11)に置き換えることができる。
IE=(Iββ+Iδδ)/2+(Iαγ(P)+Iαδ(P)+Iαγ(B)+Iαδ(B)+3×Iβδ+Iγδ)/4・・・(式−11)
ここで、βδシグナルは1−ブテンに基づくエチル分岐の重なりを補正し、(式−12)となる。
Iβδ=Iαγ(P)+Iαδ(P)+Iαγ(B)+Iαδ(B)−2×Iββ・・・(式−12)
(式−11)、(式−12)より、IEは(式−13)となる。
IE=Iδδ/2+Iγδ/4−Iββ+Iαγ(P)+Iαδ(P)+Iαγ(B)+Iαδ(B)・・・(式−13)
(式−13)、(式−6)、(式−7)に以下を代入し、エチレン含量を求める。
Iββ=I25.2−23.8
Iγδ=I30.4−30.2
Iδδ=I30.2−29.8
Iαγ(P)+Iαδ(P)=I39.5−37.3
Iαγ(B)+Iαδ(B)=I34.6−33.9
ICH3(P)=I22.6−19.0
ICH(P)=I29.5−27.6+I31.2−30.4+I33.4−32.8
Iαα(PP)=I48.0−45.0
ICH3(B)=I11.4−10.0
ICH(B)=I35.5−34.7+I37.4−36.8+I39.7−39.6
Iαα(BB)=I40.3−40.0
Iαα(PB)=I44.2−42.0
I2B2=I26.7−26.4
Macromolecules,Vol.10,NO.4,1977、
Macromolecules,Vol.36,No.11,2003、
Analytical Chemistry,Vol.76,No.19,2004、
Macromolecules,2001,34,4757−4767、
Macromolecules,Vol.25,No.1,1992
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)の密度は、0.850〜0.950g/cm3であることが必要であり、好ましくは0.855〜0.900g/cm3、さらに好ましくは0.86〜0.890g/cm3である。前記の範囲であると、三次元加飾熱成形時に十分な接着強度を発揮し、さらにフィルム成形性も良好である。
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)MFR(B)は、0.1〜100g/10分であることが必要であり、好ましくは0.5〜50g/10分、さらに好ましくは1〜30g/10分である。前記の範囲であると、基体についた傷を目立ちにくくする効果が高い。
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)の融解温度ピーク(DSC融解ピーク温度)Tm(B)は、30〜130℃であることが好ましく、より好ましくは35〜120℃、さらに好ましくは40〜110℃である。前記の範囲であると、三次元加飾熱成形時に十分な接着強度を発揮することができる。
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であることが好ましい。上記炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。これらの中では、特にプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく用いられる。
このようなエチレン−α−オレフィンランダム共重合体の市販品として、日本ポリエチレン(株)製のカーネルシリーズ、三井化学(株)製のタフマーPシリーズ、タフマーAシリーズ、デュポンダウ社製エンゲージEGシリーズなどが挙げられる。
シール層(I)を構成する樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂(A)およびエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)を主成分として含むものであり、ポリプロピレン系樹脂(A)とエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)との混合物又は溶融混練物であってもよく、ポリプロピレン系樹脂(A)とエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)との逐次重合物であってもよい。
本発明の加飾フィルムは、アクリル系樹脂(C)からなる層(II)を含むものである。アクリル系樹脂(C)からなる層(II)を含むことで、アクリル樹脂の、透明性、耐傷付き性、耐候性、印刷のしやすさといった優れた特性を活かした、優れた意匠性を有する加飾成形体を得ることが出来る。
本発明におけるアクリル系樹脂(C)としては、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタアクリレート、メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体等のアクリル樹脂などが挙げられる。さらには、前記したアクリル系樹脂と熱可塑性ポリウレタン樹脂との混合樹脂、または前記したアクリル系樹脂とアクリルゴムとの混合樹脂などを用いることができる。
本発明の加飾フィルムは、接着性樹脂(D)からなる接着層(III)を含むものである。接着性樹脂(D)からなる接着層を設けることにより、アクリル系樹脂からなる層(II)と、ポリプロピレン系樹脂(A)およびエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)からなるシール層(I)とを有機溶剤を用いずに接着することが出来る。
接着性樹脂(D)は、前記ポリプロピレン系樹脂(A)とエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)からなる樹脂組成物及び前記アクリル系樹脂(C)の両方に接着性を示す樹脂であれば、特に制限はないが、ヘテロ原子を含む極性官能基を有するポリオレフィン樹脂であることが好ましい。
接着性樹脂(D)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)MFR(D)は、好ましく100g/10分以下、より好ましくは50g/10分以下、さらに好ましくは20g/10分以下である。MFR(D)を上記の値以下にすることにより、シール層(I)に押出成形法により接着性樹脂(D)からなる接着層(III)を積層する事が可能となる。MFR(D)は、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.3g/10分以上である。MFR(D)を上記の値以上にすることにより、ポリプロピレン系樹脂(A)とエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)からなる樹脂組成物と接着性樹脂(D)との共押出成形において、積層界面での界面荒れが発生したり、接着性樹脂(D)がフィルム端部まで積層されないといった問題が生じることを抑制することが出来る。
本発明における加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)とエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)からなる樹脂組成物を含むシール層(I)、アクリル系樹脂(C)からなる層(II)及び接着性樹脂(D)からなる接着層(III)を、シール層(I)/接着層(III)/層(II)の順に含む。加飾フィルムは、シール層(I)、接着層(III)、層(II)の他に様々な構成を取ることが可能である。すなわち、加飾フィルムは、シール層(I)、接着層(III)および層(II)からなる三層フィルムであっても、シール層(I)、接着層(III)および層(II)と他の層からなる四層以上の多層フィルムであってもよい。なお、シール層(I)は、樹脂成形体(基体)に沿って貼着する。また、加飾フィルムは、その表面にシボ、エンボス、印刷、サンドプラスト、スクラッチ等が施されていてもよい。
本発明の加飾フィルムは、公知の様々な成形方法により製造することが出来る。
例えば、ポリプロピレン系樹脂(A)とエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)からなる樹脂組成物を含むシール層(I)、接着性樹脂(D)からなる接着層(III)とアクリル系樹脂(C)からなる層(II)を(さらに他の層と)共押出成形する方法、シール層(I)および接着層(III)とさらに他の層とを共押出成形し、あらかじめ押出成形したアクリル系樹脂(C)からなる層(II)の面の上に、層(II)と接着層(III)とが接するように熱及び圧力をかけて貼り合せる熱ラミネーション法、あらかじめ押出成形したアクリル系樹脂(C)からなる層(II)と、あらかじめ押出成形したポリプロピレン系樹脂(A)とエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)からなる樹脂組成物を含むシール層(I)とを、接着層(III)を介して貼り合せるドライラミネーション法及びウェットラミネーション法、あらかじめ押出成形したアクリル系樹脂(C)からなる層(II)の面の上に、接着層(III)とポリプロピレン系樹脂(A)とエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)からなる樹脂組成物を含むシール層(I)とを溶融押出しする押出ラミネーション法やあらかじめ押出成形したアクリル系樹脂(C)からなる層(II)と、あらかじめ押出成形したポリプロピレン系樹脂(A)とエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)からなる樹脂組成物を含むシール層(I)とを、溶融押出された接着層(III)で接着させるサンドラミネーション法などが挙げられる。加飾フィルムを形成するための装置としては、公知の共押出Tダイ成形機や、公知のラミネート成形機を用いることができる。
本発明において加飾される成形体(加飾対象)として、好ましくはポリプロピレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂組成物からなる各種成形体(以下、「基体」と言うことがある。)を用いることが出来る。成形体の成形方法は、特に制限されるものでなく、例えば射出成形、ブロー成形、プレス成形、押出成形等を挙げることができる。
本発明の加飾成形体の製造方法は、上述した加飾フィルムを準備するステップ、樹脂成形体を準備するステップ、減圧可能なチャンバーボックス中に、前記樹脂成形体及び前記加飾フィルムをセットするステップ、前記チャンバーボックス内を減圧するステップ、前記加飾フィルムを加熱軟化させるステップ、前記樹脂成形体に前記加飾フィルムを押し当てるステップ、前記減圧したチャンバーボックス内を大気圧に戻す又は加圧するステップを含むことを特徴とする。
より具体的に代表的な成形方法を以下に例示する。
チャンバーボックス11,12内の減圧は、空気だまりが発生しない程度であれば良く、チャンバーボックス11,12内の圧力が10kPa以下、好ましくは3kPa、より好ましくは1kPa以下である。
すなわち、ヒータによって加熱された加飾フィルムは、固体状態から加熱されることで熱膨張し結晶溶融に伴い一度たるみ、結晶融解が全体に進行すると分子が緩和することで一時的に張り戻るスプリングバックが観察され、その後、自重によって垂れ下がるという挙動を示すが、スプリングバック後には、フィルムは完全に結晶が融解しており、分子の緩和が十分であるため、十分な接着強度が得られる。
さらに、本発明の加飾フィルムは、驚くべきことに張り戻りが終了する前に加飾熱成形しても基体と強く接着することが可能であり、シボ戻りの抑制にも大きな効果がある。
(i)メルトフローレート(MFR)
ISO 1133:1997 Conditions Mに準拠して、230℃、2.16kg荷重で測定した。単位はg/10分である。
示差走査熱量計(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて10分間保持した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度を融解ピーク温度(融点)とした。単位は℃である。
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)の密度は、JIS K7112:1999年の密度勾配管法に従って、測定した。
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)のエチレン含量[E(B)]は、上述したような方法に基づき、13C−NMR測定で得られた積分強度から求めた。試料の調製と測定条件は以下の通りである。
試料であるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)200mgをo−ジクロロベンゼン/重水素化臭化ベンゼン(C6D5Br)=4/1(体積比)2.4mlおよび化学シフトの基準物質であるヘキサメチルジシロキサンと共に内径10mmφのNMR試料管に入れ溶解した。
NMR測定は10mmφのクライオプローブを装着したブルカー・バイオスピン(株)製のAV400型NMR装置を用いて行った。
13C−NMR測定条件は、試料の温度120℃、パルス角を90°、パルス間隔を20秒、積算回数を512回とし、ブロードバンドデカップリング法で実施した。
(1)ポリプロピレン系樹脂
以下のポリプロピレン系樹脂を使用した。
(A−1):プロピレン−α−オレフィン共重合体(MFR(A)=7g/10分、Tm(A)=146℃)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)FW3GT」
(A−2):プロピレン単独重合体(MFR(A)=10g/10分、Tm(A)=161℃)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)FA3KM」
以下のエチレン−α−オレフィンランダム共重合体を用いた。
(B−1):エチレン−ブテンランダム共重合体(MFR(B)=6.8g/10分、Tm(B)=66℃、密度=0.885g/cm3、エチレン含量[E(B)]=84重量%): 三井化学(株)製、商品名「タフマーA4085S」
(B−2):エチレン−ブテンランダム共重合体(MFR(B)=7.0g/10分、Tm(B)=47℃、密度=0.860g/cm3、エチレン含量[E(B)]=73重量%): 三井化学(株)製、商品名「タフマーA4050S」
(B−3):エチレン−オクテンランダム共重合体(MFR(B)=2.0g/10分、Tm(B)=77℃、密度=0.885g/cm3、エチレン含量[E(B)]=85重量%):デュポンダウ社製、商品名「エンゲージEG8003」
(B−4):エチレン−オクテンランダム共重合体(MFR(B)=2.0g/10分、Tm(B)=38℃、密度=0.860g/cm3、エチレン含量[E(B)]=75重量%):デュポンダウ社製、商品名「エンゲージEG8842」
(B−5):エチレン−ヘキセンランダム共重合体(MFR(B)=3.5g/10分、Tm(B)=60℃、密度=0.880g/cm3、エチレン含量[E(B)]=76重量%):日本ポリエチレン(株)製、商品名「カーネルKS340T」
(B−6):エチレン−プロピレンランダム共重合体(MFR(B)=7.0g/10分、Tm(B)=38℃、密度=0.860g/cm3、エチレン含量[E(B)]=73重量%): 三井化学(株)製、商品名「タフマーP0280」
(C−1):ポリメチルメタクリレート樹脂フィルム、三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリプレン(登録商標)HBS010P、膜厚さ75μm」
(D−1):無水マレイン酸変性ポリオレフィン(MFR(D)=7g/10分)、三菱化学(株)製、商品名「モディックAP(登録商標)F534A」
(D−2):無水マレイン酸変性ポリオレフィン(MFR(D)=1.6g/10分)、三菱化学(株)製、商品名「モディックAP(登録商標)F532」
以下のポリプロピレン系樹脂(X−1)〜(X−3)を用い、以下の方法で射出成形体を得た。
(X−1):プロピレン単独重合体(MFR=40g/10分、Tm=165℃)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)MA04H」
(X−2):プロピレンエチレンブロック共重合体(MFR=30g/10分、Tm=164℃)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)NBC03HR」
(X−3):ポリプロピレン系樹脂(X−2)60重量%に、MFR=1.0のEBR(三井化学(株)製 タフマー(登録商標)A0550S)を20重量%、無機フィラー(日本タルク(株)製 タルクP−6、平均粒径4.0μm)20重量%ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物
射出成形機:東芝機械株式会社製「IS100GN」、型締め圧100トン
シリンダー温度:200℃
金型温度:40℃
射出金型:幅×高さ×厚さ=120mm×120mm×3mmの平板
状態調整:温度23℃、湿度50%RHの恒温恒湿室にて5日間保持
・加飾フィルムの製造
口径30mm(直径)のシール層用押出機−1及び口径40mm(直径)の接着層用押出機−2が接続された、リップ開度0.8mm、ダイス幅400mmの2種2層Tダイを用いた。シール層用押出機−1にポリプロピレン系樹脂(A−1)とエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B−1)とを重量比が85:15となるようにブレンドしたものを、接着層用押出機−2に接着性系樹脂(D−1)をそれぞれ投入し、樹脂温度240℃、シール層用押出機−1の吐出量を4kg/h、接着層用押出機−2の吐出量を8kg/hの条件で溶融押出を行った。溶融押出されたフィルムを、80℃の3m/minで回転する第1ロールにエアナイフでシール層が接するように押付けながら冷却固化させ、厚さ50μmのシール層と、厚さ100μmの接着層が積層された2層の未延伸フィルムを得た。
得られた未延伸フィルムと、アクリル系樹脂(C)からなるフィルム(C−1)とを、長手方向がフィルムのMD方向となるように、それぞれ幅250mm×長さ1000mmで切り出した。切り出したアクリルフィルムと、切出した未延伸フィルムの接着層とが接する様に重ね、熱ラミネート機を用いて以下の条件にて一体化して加飾フィルムを得た。熱ラミネート条件を下記する。
熱ラミネート機:テスター産業(株)社製「小型卓上ラミネーター」
加熱条件:アクリルフィルム接触面、130℃
シール層接触面、23℃
加圧条件:1.5kgf/m
ライン速度:0.5m/min
樹脂成形体(基体)5として、上記により得られたポリプロピレン系樹脂(X−1)からなる射出成形体を用いた。
三次元加飾熱成形装置として、布施真空株式会社製「NGF−0406−SW」を用いた。図2〜7に示すように、加飾フィルム1を、シール層が基体に対向するように、開口部のサイズが210mm×300mmのフィルム固定用治具13にセットした。樹脂成形体(基体)5は、フィルム固定用治具13よりも下方に位置するテーブル14上に設置された、高さ20mmのサンプル設置台の上に、ニチバン株式会社製「ナイスタック NW−K15」を介して貼り付けた。フィルム固定治具13とテーブル14をチャンバーボックス11,12内に設置し、チャンバーボックスを閉じてチャンバーボックス11,12内を密閉状態とした。チャンバーボックスは、加飾フィルム1を介して上下に分割されている。上下ボックスを真空吸引し、大気圧(101.3kPa)から1.0kPaまで減圧した状態で、上チャンバーボックス11上に設置された遠赤外線ヒータ15を出力80%で始動させて加飾フィルム1を加熱した。加熱中も真空吸引を継続し、最終的に0.1kPaまで減圧した。加飾フィルム1、が加熱され一時的にたるみ、その後、張り戻るスプリングバック現象が終了してから25秒後に、下チャンバーボックス12内に設置されたテーブル14を上方に移動させて、樹脂成形体(基体)5を加飾フィルム1に押し付け、直後に上チャンバーボックス11内の圧力が270kPaとなるように圧縮空気を送り込んで樹脂成形体(基体)5と加飾フィルム1を密着させた。このようにして、樹脂成形体(基体)5の上面及び側面に加飾フィルム1が貼着された三次元加飾熱成形品6を得た。
(1)熱成形性の評価(加飾成形体の外観)
三次元加飾熱成形時の加飾フィルムのドローダウン状態、ならびに基体に加飾フィルムを貼着した加飾成形体の加飾フィルムの貼着状態を目視にて観察し、以下に示した基準で評価した。
○:三次元加飾熱成形時に、加飾フィルムがドローダウンせずに基体と加飾フィルムとの接触が接触面全面にて同時に行われたため、接触ムラが発生せず、均一に貼着されている。
×:三次元加飾熱成形時に、加飾フィルムがドローダウンしたため、基体全面に接触ムラが発生。
株式会社ニトムズ社製「クラフト粘着テープ No.712N」を幅75mm、長さ120mmに切り出し、樹脂成形体(基体)の端部より75mm×120mmの範囲で樹脂成形体(基体)に貼り付けてマスキング処理を施した(基体表面露出部は幅45mm、長さ120mm)。樹脂成形体(基体)のマスキング面が加飾フィルムと接触するように三次元加飾熱成形装置NGF−0406−SWに設置し、三次元加飾熱成形を行った。
加飾フィルムが貼着された加飾成形体の中央付近の光沢(グロス)を日本電色工業(株)社製GLOSS計Gloss Meter VG2000を用いて、入射角60°で測定した。測定方法はJIS K7105−1981に準拠した。
実施例1の加飾フィルムの製造において、シール層に用いたエチレン−α−オレフィンランダム共重合体を(B−2)に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。得られた加飾成形体は外観および接着力に優れるものであった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、シール層に用いたエチレン−α−オレフィンランダム共重合体を(B−3)に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。得られた加飾成形体は外観および接着力に優れるものであった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、シール層に用いたエチレン−α−オレフィンランダム共重合体を(B−4)に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。得られた加飾成形体は外観および接着力に優れるものであった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、シール層に用いたエチレン−α−オレフィンランダム共重合体を(B−5)に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。得られた加飾成形体は外観および接着力に優れるものであった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、シール層に用いたエチレン−α−オレフィンランダム共重合体を(B−6)に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。得られた加飾成形体は外観および接着力に優れるものであった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(A−1)とエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B−1)との配合比を70:30としたこと以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。得られた加飾成形体は外観および接着力に優れるものであった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(A−1)とエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B−1)との配合比を30:70としたこと以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。得られた加飾成形体は外観および接着力に優れるものであった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、接着層に用いた接着性樹脂を(D−2)に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。得られた加飾成形体は外観および接着力に優れるものであった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、シール層に用いたポリプロピレン系樹脂を(A−2)に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。得られた加飾成形体は外観および接着力に優れるものであった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、シール層にエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)を配合せず、ポリプロピレン系樹脂(A−1)のみ用いたこと以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
シール層にエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)が含まれていないため、接着力に劣るものであった。
比較例1の三次元加飾熱成形において、スプリングバック後の加熱時間を25秒から40秒に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
加熱時間が長いため、加飾フィルムが自重により垂れ下がった状態で基体と接触したため、加飾成形体全体に接触ムラが発生し、外観に劣るものであった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、アクリルフィルム(C−1)のみとした以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
加飾フィルムに接着層が積層されていないため、基体と接着しなかった。
実施例1の三次元加飾熱成形において、基体を樹脂(X−2)を用いた射出成形体に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。得られた結果を表1に示す。
得られた加飾成形体は外観および接着力に優れるものであった。
実施例1の三次元加飾熱成形において、基体を樹脂(X−3)を用いた射出成形体に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。得られた結果を表1に示す。
得られた加飾成形体は外観および接着力に優れるものであった。
2 層(II)
3 シール層(I)
4 印刷層(IV)
5 樹脂成形体(加飾対象、基体)
6 加飾成形体
7 接着層(III)
11 上チャンバーボックス
12 下チャンバーボックス
13 治具
14 テーブル
15 ヒータ
Claims (6)
- 樹脂成形体上に熱成形によって貼着するための加飾フィルムであって、
該加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)およびエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)を含む樹脂組成物を含むシール層(I)であって、樹脂組成物に対するポリプロピレン系樹脂(A)およびエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)の合計の含有割合が50重量%以上であり、ポリプロピレン系樹脂(A)とエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)との重量比率は97:3〜5:95である樹脂組成物を含むシール層(I)、アクリル系樹脂(C)を含む層(II)、並びにシール層(I)と層(II)との間に接着性樹脂(D)を含む接着層(III)を含み、
前記ポリプロピレン系樹脂(A)は下記要件(a0)および(a1)を満たし、
前記エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)は下記要件(b1)〜(b3)を満たすことを特徴とする加飾フィルム。
(a0)ポリプロピレン系樹脂(A)は、プロピレンモノマー由来の重合単位を50mol%以上含む。
(a1)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(A))は、2g/10分以上である。
(b1)エチレン含量[E(B)]は、65重量%以上である。
(b2)密度は、0.850〜0.950g/cm3である。
(b3)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(B))は、0.1〜100g/10分である。 - 前記エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)は、下記要件(b4)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の加飾フィルム。
(b4)融解ピーク温度(Tm(B))は、30〜130℃である。 - 前記エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(B)は、下記要件(b5)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の加飾フィルム。
(b5)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体である。 - 前記接着性樹脂(D)は、少なくとも1種のヘテロ原子を含む極性官能基を有するポリオレフィン樹脂であって、そのMFR(230℃、2.16kg荷重)(MFR(D))が100g/10分以下であるポリオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加飾フィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の加飾フィルムを準備するステップ、樹脂成形体を準備するステップ、減圧可能なチャンバーボックス中に、前記樹脂成形体及び前記加飾フィルムをセットするステップ、前記チャンバーボックス内を減圧するステップ、前記加飾フィルムを加熱軟化させるステップ、前記樹脂成形体に前記加飾フィルムを押し当てるステップ、前記減圧したチャンバーボックス内を大気圧に戻す又は加圧するステップを含むことを特徴とする加飾成形体の製造方法。
- 前記樹脂成形体は、プロピレン系樹脂組成物を含むことを特徴とする請求項5に記載の加飾成形体の製造方法。
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