JP2018039134A - ポリプロピレン系積層体、並びにそれを含む成形体及びその製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン系積層体、並びにそれを含む成形体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた透明性及び難燃性を有し、また、リン系難燃剤のブリードアウトを抑制して外観に優れる積層体及びそれを用いた成形体を提供する。【解決手段】少なくとも(B)層、(C)層、及び(B)層を、この順に含み、前記(B)層は、ポリプロピレン系樹脂(a)67〜96.8質量%,酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が25質量%以上であるエチレン酢酸ビニル共重合体(b1)3.0〜30質量%及びNOR型ヒンダードアミン系化合物(c)0.2〜3.0質量%を含み、2つの(B)層は同一でも異なってもよく、前記(C)層は、ポリプロピレン系樹脂(a)16〜95.8質量%,エチレン酢酸ビニル共重合体(b2)1〜40質量%,NOR型ヒンダードアミン系化合物(c)0.2〜4.0質量%及び融点が300℃以下であるリン系難燃剤(d)3.0〜40質量%を含む積層体。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリプロピレン系積層体、並びにそれを含む成形体及びその製造方法に関する。
現在、家電、OA、自動車、産業資材、建築分野等において、透明性が良好で難燃性能がVTM−0を満たすポリカーボネートシートが使用されている。しかしながら、ポリカーボネート自身の耐溶剤性が低いため、耐溶剤性が要求される用途には使用できない。そのため、耐溶剤性が良好なポリプロピレンからなるシートを含む積層体であって、透明性が高く難燃性能VTM−0(厚さ0.2mm)を満たす積層体が望まれている。
特許文献1には、ポリマー性材料に、耐候剤のNOR型ヒンダードアミンを少量配合することにより、繊維、シート及びフィルムに難燃性が発揮されることが開示されているが、透明でVTM−0のポリプロピレンシート・フィルムの記述はない。
特許文献2には、ポリプロピレン/NOR型ヒンダードアミン(1〜1.5質量%)に、リン酸エステル(1質量%)を添加することにより、フィルムの難燃性が向上することが記載されている(実施例1〜4)。しかしながら、難燃性はJISNo.L−1091A4法の垂直燃焼試験方法で合格する程度であり、さらに高度なVTM−0を満たすポリプロピレンフィルムは得られていない。また、リン酸エステルを1%添加しているために、フィルム表面にリン酸エステルがブリードアウトする問題がある。
特許文献3には、A層(表層)/B層(中間層)/C層(表層)の3層構造の難燃シートにおいて、A層にポリエチレン/ランダムポリプロピレン、B層にホモポリプロピレン/ランダムポリプロピレン/NOR型ヒンダードアミン(3質量%)/リン酸エステル(10質量%)、C層にブロックポリプロピレンを用いた難燃シートが開示されているが(実施例3)、難燃性はVTM−2であり、透明でさらに高度なVTM−0を満たすポリプロピレンシートは得られていない。特に、リン酸エステルとポリプロピレンとの相溶性が非常に悪いため、リン酸エステルを10質量%配合すると、シート表面にリン酸エステルがブリードアウトする問題や、リン酸エステルが相分離して白濁し、透明とはならない問題がある。
このような課題に対して、特許文献4には、ポリオレフィン系樹脂(63〜70質量%)及びリン酸エステル等のリン酸系化合物(10〜15質量%)に環状オレフィン系化合物(10〜18質量%)を配合することにより、リン酸系化合物のブリードが抑制され、組成物の透明性が良好で、難燃性がVTM試験で良好である旨が開示されている(実施例1〜6)。しかしながら、シクロオレフィン系樹脂の加工温度は、ポリオレフィン系樹脂の加工温度と比較して非常に高いため、ポリプロピレンの熱分解が懸念され、現実的ではない。また、シクロオレフィン系樹脂はコストが非常に高く、低コストを要求されるポリオレフィン材料とのブレンド材としては現実的でない。
特許文献5には、リン酸誘導体難燃剤のブリードアウトを抑制する方法として、エチレンビニルアルコール(EVOH)等のOH基を含有する高分子と、リン酸又はリン酸塩化合物等のリン酸誘導体難燃剤の脱水反応を行い、共有結合で結合させ、リン酸誘導体難燃剤のブリードアウトを抑制する方法が開示されている。
しかしながら、実施例1では高密度ポリエチレン/EVOH/リン酸第一アンモニウム塩混合物を、反応を伴った溶融混練で製造しているが、未反応成分のブリードアウトが懸念される。予めOH基を含有する高分子とリン酸誘導体難燃剤の化学反応を行い、難燃樹脂成分を製造してからポリオレフィン系樹脂と溶融混練する方法もあるが、工程が増え、コスト高となる。また、VTM−0の高度な難燃性を有する材料は開示されていない。
特許文献6には、ポリプロピレンに、リン酸アミン塩のピロリン酸ピペラジン、及び窒素化合物のメラミンシアヌレートを配合することにより、0.1〜0.3mmのシートで難燃性VTM−0が達成されることが開示されているが、難燃剤が融点がなく、溶融混練時に紛体として存在しているため、透明なシートが得られていない。
即ち、透明性が高く難燃性能VTM−0(厚さ0.2mm)を満たし、リン酸エステル等のリン系難燃剤のブリードアウトを抑制したポリプロピレンからなるシート及びそれを用いた積層体は未だ報告されていない。
特表2002−507238号公報 特開2004−83913号公報 特開2014−139001号公報 特開2011−241368号公報 特開2004−83788号公報 特開2013−124340号公報
本発明の目的は、優れた透明性及び難燃性を有し、また、リン系難燃剤のブリードアウトを抑制して外観に優れる積層体及びそれを用いた成形体を提供することである。
ポリプロピレン系樹脂、リン系難燃剤及びNOR型ヒンダードアミンを含む樹脂組成物からなるシートにおいて、高度な難燃性であるVTM−0を得るためにリン系難燃剤を多量に配合すると、リン系難燃剤とポリプロピレン系樹脂との相溶性が低いため、リン系難燃剤が相分離してシート表面にブリードアウトし、外観が悪くなった。
リン系難燃剤のブリードアウトの原因は、以下のように考えられる。
リン系難燃剤のなかでも、融点を有さないリン酸アミン塩等は、溶融混練時に紛体として存在し、続いてシートに成形した場合でも、紛体として存在しているため、多量に配合してもブリードアウトし難い。しかし特許文献6のように、非常に多量に配合しないと難燃性能VTM−0(厚さ0.2mm)が得られず、また、シート成形体中で紛体として存在しているため、透明なシートが得られない。
一方、リン系難燃剤のなかでも、ポリプロピレン系樹脂の溶融混練温度の範囲(150〜300℃)に融点を有するリン系難燃剤は、溶融混練時に液体で存在する。そのため、シートに成形した場合、シート成形体中では紛体として存在するよりも、非晶体又は樹脂に溶解(相溶又は混和)している成分の方が多く、紛体として存在する成分が少ないため、シート成形体の透明性は良好である。しかしこのようなリン系難燃剤は極性が高いため、非極性のポリプロピレン系樹脂との相溶性が低く、経時的に相分離が起こり、シート表面にブリードアウトする。
リン系難燃剤のブリードアウトを抑制する方法として、一般的に、配合ではポリプロピレン系樹脂とリン系難燃剤の相溶化剤成分の添加、及びシートではサンドウィッチ構造が検討されている。
特許文献4に、シクロオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂とリン酸エステルの相溶化剤として記載されているが、シクロオレフィン系樹脂の融点が高いことから、混練・加工温度が高くなるため、ポリプロピレン系樹脂の熱分解による低分子量化やNOR型ヒンダードアミンの熱分解が発生し、高い難燃性を有する均一で表面外観が良好なシートは得られなかった。
特許文献5に、OH基を含有する高分子がリン酸エステルの相溶化剤として記載されているが、リン酸エステルはエチレンビニルアルコールのOH基と反応しなかった。また、エチレンビニルアルコールとリン酸エステルとの相溶性が低いためリン酸エステルがブリードアウトし、透明性及び高い難燃性を有する均一で表面外観が良好なシートは得られなかった。
特許文献3に、ポリオレフィン系樹脂、リン酸エステル及びNOR型ヒンダードアミンを含む樹脂組成物の層(B層)を、ポリオレフィン系樹脂層(A,C層)で挟み込んだ積層体が記載されているが、シート成形後、リン酸エステルがシート表面からブリードアウトし、透明性及び高い難燃性を有する均一で表面外観が良好なシートは得られなかった。
本発明者らが鋭意検討した結果、ポリプロピレン系樹脂、リン系難燃剤及びNOR型ヒンダードアミンからなる組成物に、ポリプロピレン系樹脂とリン系難燃剤の相溶化剤としてエチレン酢酸ビニル共重合体を特定量配合した組成物の層((C)層)を、ポリプロピレン系樹脂、NOR型ヒンダードアミン及び特定のエチレン酢酸ビニル共重合体からなる組成物の層((B)層)で挟み込んだ積層体とすることにより、リン系難燃剤のシート表面へのブリードアウトが低減可能となることを見出し、本発明を完成した。
本発明によれば、以下の積層体等が提供される。
1.少なくとも(B)層、(C)層、及び(B)層を、この順に含み、
前記(B)層は、下記成分(a),(b1)及び(c)を含み、2つの(B)層は同一でも異なってもよく、
前記(C)層は、下記成分(a),(b2),(c)及び(d)を含む積層体。
(B)層:
(a)ポリプロピレン系樹脂 67〜96.8質量%
(b1)酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が25質量%以上であるエチレン酢酸ビニル共重合体 3.0〜30質量%
(c)NOR型ヒンダードアミン系化合物 0.2〜3.0質量%
(C)層:
(a)ポリプロピレン系樹脂 16〜95.8質量%
(b2)エチレン酢酸ビニル共重合体 1〜40質量%
(c)NOR型ヒンダードアミン系化合物 0.2〜4.0質量%
(d)融点が300℃以下であるリン系難燃剤 3.0〜40質量%
2.さらに、(a)ポリプロピレン系樹脂を含む2つの同一でも異なってもよい(A)層を含み、
少なくとも(A)層、(B)層、(C)層、(B)層、及び(A)層を、この順に含む1に記載の積層体。
3.前記(A)層、(B)層及び前記(C)層から選択される1以上の層の(a)成分であるポリプロピレン系樹脂が、スメチカ晶を含む2に記載の積層体。
4.下記式(1)を満たす1〜3のいずれかに記載の積層体。
X≦3.7225×Y+3・・・(1)
(式中、Xは前記(C)層の(d)成分の含有量(質量%)であり、Yは前記(C)層の(a)〜(d)成分の合計に対する、(b2)成分中の酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量(質量%)である。)
5.前記(C)層の(b2)成分中の酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が10〜90質量%である1〜4のいずれかに記載の積層体。
6.前記(C)層の(b2)成分中の酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が30〜90質量%である1〜5のいずれかに記載の積層体。
7.前記(C)層の(b2)成分と(d)成分との含有量の質量比((b2)/(d))が1以上である1〜6のいずれかに記載の積層体。
8.前記(C)層の(d)成分中のリン含有量が8質量%以上である1〜7のいずれかに記載の積層体。
9.前記(C)層の(d)成分が、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物及びホスホン酸エステル化合物から選ばれる少なくとも1つである1〜8のいずれかに記載の積層体。
10.前記(a)ポリプロピレン系樹脂の130℃での結晶化速度が2.5min−1以下である1〜9のいずれかに記載の積層体。
11.1〜10のいずれかに記載の積層体を含む成形体。
12.前記(a)ポリプロピレン系樹脂の130℃での結晶化速度が2.5min−1以下である11に記載の成形体。
13.1〜10のいずれかに記載の積層体を成形用金型の内面に装着し、成形用樹脂を供給して一体化する11又は12に記載の成形体の製造方法。
14.1〜10のいずれかに記載の積層体を成形用金型の内面に合致するように附形し、得られた附形品を前記成形用金型の面に装着し、成形用樹脂を供給して一体化する11又は12に記載の成形体の製造方法。
15.被覆される芯材を配設したチャンバーボックス内を減圧状態とし、1〜10のいずれかに記載の積層体を加熱軟化させ、前記チャンバーボックス内を加圧して、前記加熱軟化させた前記積層体を前記芯材に押圧して被覆し、一体化する11又は12に記載の成形体の製造方法。
16.基体の少なくとも一部に積層体を設ける積層体の製造方法であって、複数の冷却ロールに巻装された鏡面エンドレスベルトと鏡面冷却ロールとを備え、前記鏡面冷却ロールと前記鏡面エンドレスベルトとの間に、Tダイ押出機により、下記成分(a),(b1)及び(c)を含む(B)層用組成物からなる溶融樹脂と、下記成分(a),(b2),(c)及び(d)を含む(C)層用組成物からなる溶融樹脂を押し出して導入し、圧接してシート状に成形するとともに、毎秒80℃以上の速度で急冷して透明な(B)層と(C)層を含む積層体を製造する方法。
(B)層用組成物:
(a)ポリプロピレン系樹脂 67〜96.8質量%
(b1)酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が25質量%以上であるエチレン酢酸ビニル共重合体 3.0〜30質量%
(c)NOR型ヒンダードアミン系化合物 0.2〜3.0質量%
(C)層用組成物:
(a)ポリプロピレン系樹脂 16〜95.8質量%
(b2)エチレン酢酸ビニル共重合体 1〜40質量%
(c)NOR型ヒンダードアミン系化合物 0.2〜4.0質量%
(d)融点が300℃以下であるリン系難燃剤 3.0〜40質量%
本発明によれば、優れた透明性及び難燃性を有し、また、リン系難燃剤のブリードアウトを抑制して外観に優れる積層体及びそれを用いた成形体が提供できる。
本発明の積層体を製造するための製造装置の一例の概略構成図である。
[積層体]
本発明の積層体は、少なくとも(B)層、(C)層、及び(B)層を、この順に含む。
2つの(B)層は同一でも異なってもよい。(B)層は、下記成分(a),(b1)及び(c)を含む。
(a)ポリプロピレン系樹脂 67〜96.8質量%
(b1)酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が25質量%以上であるエチレン酢酸ビニル共重合体 3.0〜30質量%
(c)NOR型ヒンダードアミン系化合物 0.2〜3.0質量%
(C)層は、下記成分(a),(b2),(c)及び(d)を含む。
(a)ポリプロピレン系樹脂 16〜95.8質量%
(b2)エチレン酢酸ビニル共重合体 1〜40質量%
(c)NOR型ヒンダードアミン系化合物 0.2〜4.0質量%
(d)融点が300℃以下であるリン系難燃剤 3.0〜40質量%
層構成は、(B)層/(C)層/(B)層の順番で積層されていればよく、各層の間に他の層が入っても、(B)層の上に他の層がさらに積層されてもよい。
上記の層構成により、(C)層からのリン系難燃剤の層表面へのブリードアウトを(B)層が抑制できる。
さらに、(B)層/(C)層/(B)層の両側に、(A)層を積層させることが好ましい。2つの(A)層は同一でも異なってもよい。(A)層は好ましくはポリプロピレン系樹脂を含む。
この場合、層構成は、(A)層/(B)層/(C)層/(B)層/(A)層の順番で積層されることとなり、各層の間に他の層が入っても、(A)層の上に他の層がさらに積層されてもよい。(A)層が最外層であることが好ましい。
(A)層/(B)層/(C)層/(B)層/(A)層からなる積層体において、(C)層の(b2)成分のエチレン酢酸ビニル共重合体により、(d)成分のリン系難燃剤のブリードアウトがある程度抑制され、(B)層の(b1)成分のエチレン酢酸ビニル共重合体により、(C)層から移行した(d)成分のリン系難燃剤のブリードアウトがさらに抑制され、(A)層のポリプロピレン系樹脂により、(B)層から移行した(d)成分のリン系難燃剤のブリードアウトがさらにいっそう抑制され、ほとんどブリードアウトがなくなり、外観が良好で透明性な積層体が得られる。
また、積層による難燃性低下を、(B)層の(c)成分のNOR型ヒンダードアミン系安定剤により抑制し、積層体として、従来にない高度な難燃性(0.2mmでVTM−0)が付与される。
さらに、(A)層のポリプロピレン系樹脂により、積層体の硬度を調整できる。(B)層を最外層とすると、積層体の表面が低硬度となり、軟質シートが得られる。また、(A)層を積層し最外層とすると、積層体の表面の硬度が上昇し、硬質シートが得られる。このように、層構成を変更することで、硬度を調整できる。
上記のように構成することにより、優れた難燃性及び透明性を有しつつ、リン系難燃剤のブリードアウトを抑制して外観に優れる積層体が得られる。
以下、各層を形成する成分について説明する。(b1)成分及び(b2)成分を(b)成分と総称する場合がある。
((a)成分)
(A)層、(B)層及び(C)層が、(a)成分を含む。各層の(a)成分は同一でも異なってもよい。
(a)成分のポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン等が挙げられる。(a)成分のポリプロピレン系樹脂の配合により、耐溶剤性を付与することができる。
ホモポリプロピレンはプロピレンの単独重合体である。ブロックポリプロピレンとして、プロピレン以外のα−オレフィン又はエチレンと、プロピレンの共重合体等が挙げられ、例えばエチレンとプロピレンのブロック共重合体である。ランダムポリプロピレンとして、プロピレン以外のα−オレフィン又はエチレンと、プロピレンの共重合体等が挙げられ、例えばエチレンとプロピレンのランダム共重合体であるこれらは従来の公知の方法によって得られるものを用いることができる。また、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アイソタクチックペンタッド分率等で表現される立体規則性、溶融張力及びスウェル比等の溶融特性等は特に限定されない。また、透明性向上のために、結晶核剤等の添加剤を添加してもよい。
(a)成分のポリプロピレン系樹脂のMFR(230℃、2.16kg荷重)は、好ましくは0.5〜30g/10分であり、より好ましくは1〜20g/10分であり、さらに好ましくは2〜10g/10分である。MFRの異なるポリプロピレン系樹脂を混合して用いてもよい。MFRは、JIS K7210の方法に従って、230℃で2.16kgの荷重で測定する。
(B)層及び(C)層で用いる(a)成分のMFRは、0.5g/10分以上であれば、溶融混練時の溶融剪断発熱を防止でき、(c)成分と(d)成分の熱分解が抑制できるため、優れた難燃性を確保できる。また、(b)成分との溶融粘度差が大きく異なること(例えばMFRが0.5未満のポリプロピレン系樹脂と、MFRの高いエチレン酢酸ビニル共重合体の組合せ)がないため、相溶性の低下や溶融混練時の相分離が抑制され、優れた透明性、難燃性、耐溶剤性を確保できる。
MFRが30g/10分以下であれば、問題なくシート成形を行うことができる。また、適度な流動性であるため、難燃性試験時の溶融ドリップ綿発火がなく、優れた難燃性を確保できる。また、(b)成分のエチレン酢酸ビニル共重合体との溶融粘度差が大きく異なること(例えばMFRの低いエチレン酢酸ビニル共重合体と、MFRの高いポリプロピレン系樹脂の組合せ)がないため相溶性の低下や溶融混練時の相分離が抑制され、優れた透明性、難燃性、耐溶剤性を確保できる。
尚、(A)層に(a)成分を用いるとき、(B)層の組成物のMFRとほぼ同等であれば、優れた透明性、難燃性、耐溶剤性、表面硬度を付与、確保できる。
(C)層における(a)成分の含有量(質量%)は16.0〜95.8質量%であり、好ましくは46.0〜91.8質量%であり、より好ましくは61.0〜89.8質量%である。
(B)層における(a)成分の含有量(質量%)は67.0〜96.8質量%であり、好ましくは70.0〜90.0質量%であり、より好ましくは75.0〜87.0質量%である。
ホモポリプロピレンを用いると成形体の強度及び剛性に優れる。また、ホモポリプロピレン又はランダムポリプロピレンを使用すると、シート(層)とした際の透明性に優れる。
(A)層の(a)成分としては、ホモポリプロピレンを使用するのが好ましい。
ホモポリプロピレンとしては、アイソタクチックペンダット分率が85モル%〜99モル%のポリプロピレンであると耐傷付き性の観点から好ましい。アイソタクチックペンタッド分率とは、樹脂組成の分子鎖中のペンタッド単位(プロピレンモノマーが5個連続してアイソタクチック結合したもの)でのアイソタクチック分率である。
ポリプロピレンのアイソタクチックペンダット分率は、85モル%〜99モル%が好ましく、90モル%以上がより好ましい。アイソタクチックペンダット分率が85モル%未満では、表面硬度に劣り、積層体表面に傷が入って外観を損なうおそれがある。
ポリプロピレンのアイソタクチックペンダット分率は以下の方法で測定できる。
ポリプロピレンの13C−NMRスペクトルを評価することでアイソタクチックペンダット分率を測定する。具体的には、アイソタクチックペンダット分率の測定は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,8,687(1975)」で提案されたピークの帰属に従い、下記の装置、条件及び計算式を用いて行う。
[装置・条件]
装置:日本電子(株)製JNM−EX400型13C−NMR装置
方法:プロトン完全デカップリング法
濃度:220mg/ml
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶媒
温度:130℃
パルス幅:45°
パルス繰り返し時間:4秒
積算:10000回
[計算式]
アイソタクチックペンダット分率[mmmm]=m/S×100
S:全プロピレン単位の側鎖メチル炭素原子のシグナル強度
m:メソペンタッド連鎖:21.7〜22.5ppm
ポリプロピレン系樹脂は、成形性の観点から、好ましくは130℃での結晶化速度が2.5min−1以下である。より好ましくは2.0min−1以下である。結晶化速度が、2.5min−1を超えると、附形時に加熱されて軟化した積層体が、最初に金型へ接触した部分が急速に硬化して伸びが悪くなり、無理矢理伸ばされる部分が白化して意匠性が低下するおそれがある。
結晶化速度は、以下の方法で測定できる。
示差走査熱量測定器(DSC)(製品名「Diamond DSC」、パーキンエルマー社製)を用いて、ポリプロピレンの結晶化速度を測定する。具体的には、ポリプロピレンを10℃/minにて50℃から230℃に昇温し、230℃にて5分間保持し、80℃/minで230℃から130℃に冷却し、その後130℃に保持して結晶化を行う。130℃になった時点から熱量変化について測定を開始し、DSC曲線を得る。得られたDSC曲線から、以下の手順(i)〜(iv)により結晶化速度を求める。
(i)測定開始からピークトップまでの時間の10倍の時点から、20倍の時点までの熱量変化を直線で近似したものをベースラインとする。
(ii)ピークの変曲点における傾きを有する接線とベースラインとの交点を求め、結晶化開始及び終了時間を求める。
(iii)得られた結晶化開始時間から、ピークトップまでの時間を結晶化時間として測定する。
(iv)得られた結晶化時間の逆数から、結晶化速度を求める。
ポリプロピレン系樹脂は、造核剤を含まないことが好ましい。
結晶性樹脂であるポリプロピレン系樹脂を透明にするには、例えばポリプロピレン系樹脂を含む層の製造時に80℃/秒以上で冷却し、スメチカ晶を形成する方法と、造核剤を添加して強制的に微細結晶を生成させる方法がある。造核剤は、ポリプロピレンの結晶化速度を2.5min−1を超える速度まで向上させ、結晶を多数発生させて充填することで、物理的に成長するスペースを無くし、結晶のサイズを低減している。しかし、造核剤は、核となる物質が存在するので、透明になっても若干白味を帯びているため、意匠性が低下するおそれがある。
そこで、造核剤を添加しないでポリプロピレン系樹脂の結晶化速度を2.5min−1以下とし、80℃/秒以上で冷却してスメチカ晶を形成することにより、意匠性に優れた積層体を得られる。さらに、赤外線ヒーターで積層体を加熱し、附形した場合は、ポリプロピレン系樹脂がスメチカ晶由来の微細構造を維持したまま、α晶に転移する。この転移により、表面硬度や透明性が造核剤を使用した場合と比較して、さらに向上できる。
ポリプロピレン系樹脂は、スメチカ晶を含むことが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂は結晶性樹脂であり、α晶、β晶、γ晶、スメチカ晶等の結晶形をとることができる。これら結晶形のうちスメチカ晶は、ポリプロピレン系樹脂を溶融状態から、毎秒80℃以上の速度で冷却することで、非晶と結晶の中間体として生成させることができる。スメチカ晶は、結晶の様な規則的構造をとった安定構造ではなく、微細な構造が寄り集まった準安定的な構造である。そのため、分子鎖間の相互作用が弱く、安定構造であるΑ晶等と比較して、加熱すると軟化しやすい性質を有する。
本発明の積層体のポリプロピレン系樹脂は、スメチカ晶を含むポリプロピレン系樹脂からなることで、積層体附形時の応力が低下し、白化を防ぐことができる。従って、本発明の積層体を複雑な三次元形状に成形しても、意匠が損なわれない。ポリプロピレン中のスメチカ晶の割合は、30%以上、50%以上、70%以上、又は90%以上であるとより好ましい。
ポリプロピレン系樹脂が、スメチカ晶を含むことは、以下の結晶形の測定方法で確認できる。
ポリプロピレンの結晶形を、T.Konishiらの用いた方法(Macromolecules、38,8749,2005)を参考にして、広角X線回折(WAXD:Wide−Angle X−ray Diffraction)により確認する。
解析は、X線回折プロファイルについて非晶相、中間相、及び結晶相それぞれのピーク分離を行い、各相に帰属されるピーク面積から存在比率を求める。
尚、例えばポリプロピレン系樹脂がスメチカ晶を含まず、安定構造のα晶を含むポリプロピレン系樹脂からなる場合、積層体を真空成形等で三次元形状へ附形する際に、ポリプロピレン系樹脂中の分子鎖間の相互作用がスメチカ晶の場合と比較して大きくなる。そのため、R部やボス等の絞りが大きい部分では、無理やり伸ばされてポリプロピレン系樹脂が白化し、輝度感と意匠の深みが失われてしまうおそれがある。安定状態のα晶を含むポリプロピレン系樹脂は、加熱温度の他に透明化に造核剤を用いた場合にも生じる。
(その他樹脂及び加工助剤成分)
(A)層、(B)層及び(C)層は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて従来公知の樹脂((A)の場合は成分(a)成分以外の樹脂、(B)層及び(C)層の場合は成分(a),(b)成分以外の樹脂)や加工助剤成分を含むことができる。
耐衝撃性を付与する目的で、必要に応じて、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリオレフィン熱可塑性エラストマー(TPO)又はスチレン系熱可塑性エラストマーを、透明性及び難燃性が低下しない範囲(約5質量%以下)で適量使用することができる。
これら樹脂としては、例えば、SBR[ポリスチレン−ポリブタジエンゴム]、SBS[ポリスチレン−ポリブタジエンブロック−ポリスチレン]、SEBS[ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン]、SIR[ポリスチレン−ポリイソプレンゴム]、SIS[ポリスチレン−ポリイソプレンブロック−ポリスチレン]、SEEPS[ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン]、SEP[ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック]、SEPS[ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン]等が挙げられる。中でも、特に水素化ブタジエンブロック共重合体や、ブロックTPO、SEBS、SEPS等が好適に用いられる。
市販の商品としては、例えば、JSR株式会社製のダイナロン6200、プライムポリマー株式会社製のR−110MP、シェル化学株式会社製のクレイトンG1651等のクレイトンシリーズ、株式会社クラレ製のセプトン2104等のセプトンシリーズ、旭化成ケミカルズ株式会社製のタフテックHシリーズ等が挙げられる。
また、強度及び剛性を高くする目的で、必要に応じて、無水マレイン酸等で変性された、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂、熱可塑性エラストマー等を、透明性及び難燃性が低下しない範囲(約5質量%以下)で適量使用することができる。
また、難燃性を改良する目的で、必要に応じて、難燃性樹脂を適量添加することができる。
難燃性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテルであるSABIC社製のノリルPPO640、ナイロン6であるユニチカ株式会社製A1020LP等が挙げられる。
難燃性樹脂の添加量は、透明性が低下しない範囲(約10質量%以下)が好ましい。
また、加工性の改良及び耐衝撃性を改良する目的で、必要に応じて、鉱物油系軟化剤を、難燃性及び透明性が低下しない範囲(約5質量%以下)で適量添加することができる。
鉱物油系軟化剤は高沸点の石油留分であり、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものはパラフィン系、ナフテン環炭素数が30〜40%のものはナフテン系、芳香族炭素数が30%以上のものは芳香族系鉱物油系軟化剤と呼ばれている。
鉱物油系軟化剤としては、ゴム用として用いられるゴム用鉱物油系軟化剤が好ましい。ゴム用鉱物油系軟化剤は、芳香族環、ナフテン環及びパラフィン鎖の三者が組み合わされた混合物である。このゴム用鉱物油系軟化剤は、芳香族成分が多くなると汚染性が強くなり、また耐候性も低下するので、非芳香族系であるパラフィン系やナフテン系のゴム用鉱物油系軟化剤、特にパラフィン系ゴム用鉱物油系軟化剤が無色透明であるため好ましい。また、鉱物油系軟化剤とともに液状又は低分子量の合成軟化剤を用いることもできる。市販の商品としては、例えば、出光興産株式会社製のプロセスオイルPW90、PW100、PW380等が挙げられる。
((b)成分)
(B)層及び(C)層が、それぞれ(b1)成分及び(b2)成分を含む。(b1)成分及び(b2)成分は同一でも異なってもよい。好ましくは(b1)成分及び(b2)成分は同一である。
(b1)成分及び(b2)成分のエチレン酢酸ビニル共重合体は、エチレンと酢酸ビニルから得られる共重合体であり、(a)成分のポリプロピレン系樹脂と(d)成分のリン系難燃剤との相溶化剤として作用する。(b2)成分は(d)成分のリン系難燃剤を組成物中に均一分散させるため、樹脂組成物(層を構成する樹脂を含む組成物を「樹脂組成物」という)の溶融混練が可能となり、優れた難燃性を得ることができる。また、(C)層における(d)成分のリン系難燃剤のブリードアウトが抑制され、透明性を向上することができる。
(b)成分のエチレン酢酸ビニル共重合体のMFRは、好ましくは0.5〜30g/10分であり、より好ましくは1〜20g/10分であり、さらに好ましくは3〜10g/10分である。(b)成分のMFRは、JIS K 6924−1の方法に従い、190℃で、2.16kg荷重で測定する。
MFRが0.5g/10分以上であれば、溶融混練時の剪断発熱を防止でき(c)成分と(d)成分の熱分解が抑制できるため、優れた難燃性を確保できる。また、(a)成分のポリプロピレン系樹脂との溶融粘度差が大きく異なること(例えばMFRの低いエチレン酢酸ビニル共重合体と、MFRの高いポリプロピレン系樹脂の組合せ)がなく、相溶性の低下や溶融混練時の相分離が抑制され、優れた透明性、難燃性、耐溶剤性を確保できる。
MFRが30g/10分以下であれば、問題なくストランドを引くことができ、押出成形することができる。また、(a)成分のポリプロピレン系樹脂との溶融粘度差が大きく異なること(例えばMFRの高いエチレン酢酸ビニル共重合体と、MFRの低いポリプロピレン系樹脂の組合せ)がなく、相溶性に優れるため、透明性、難燃性及び耐溶剤性に優れる。
樹脂組成物中における(b)成分のエチレン酢酸ビニル共重合体の含有量(質量%)は、(C)層の場合、1〜40質量%であり、好ましくは3〜30質量%、より好ましくは、5〜20質量%である。1質量%以上であれば、極性の高い酢酸ビニル構造単位の成分量が、極性の高い(d)成分のリン系難燃剤の相溶性に適量であり、溶融混練が可能となる。また、40質量%以下であれば、極性の高い酢酸ビニル構造単位が過剰ではなく適量であるため、極性の低い(a)成分のポリプロピレン系樹脂との相溶性が適度に高くなり、溶融混練が可能となる。
(B)層の場合、3.0〜30質量%、好ましくは5〜25質量%、より好ましくは、7〜20質量%である。3.0質量%以上であれば、極性の高い酢酸ビニル構造単位の成分量が(C)層から移行した極性の高い(d)成分のリン系難燃剤を取り込むことができ、シート表面からの(d)成分のリン系難燃剤のブリードアウトを抑制することができる。また、30質量%以下であれば、同様に、極性の高い酢酸ビニル構造単位が過剰ではなく適量であるため、(C)層から移行した極性の高い(d)成分のリン系難燃剤を取り込むことができ、シート表面からの(d)成分のリン系難燃剤のブリードアウトを抑制することができ、難燃性の低下を抑制できる。
(b)成分のエチレン酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量は、(C)層の場合、好ましくは10〜90質量%であり、より好ましくは20〜80質量%であり、より好ましくは30〜70質量%であり、さらに好ましくは40〜60質量%である。以下、「酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量」を、単に「酢酸ビニルの含有量」という場合がある。エチレン酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニルの含有量が10質量%以上であれば、極性の高い酢酸ビニル構造単位の成分量が、極性の高い(d)成分のリン系難燃剤の相溶性に適量であり、溶融混練が容易となる。酢酸ビニルの含有量が90質量%以下であれば、エチレン酢酸ビニル共重合体が塊状物ではないため、連続式の溶融押出機で生産が容易となる。
(B)層の場合、酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が25質量%以上であり、好ましくは25〜90質量%であり、より好ましくは40〜80質量%であり、より好ましくは45〜70質量%であり、さらに好ましくは50〜60質量%である。酢酸ビニルの含有量が25質量%以上であれば、極性の高い酢酸ビニル構造単位の成分量が、(C)層から移行した極性の高い(d)成分のリン系難燃剤を取り込むことができ、シート表面からの(d)成分のリン系難燃剤のブリードアウトを抑制することができる。酢酸ビニルの含有量が90質量%以下であれば、同様に、極性の高い酢酸ビニル構造単位が過剰ではなく適量であるため、(C)層から移行した極性の高い(d)成分のリン系難燃剤を取り込むことができ、シート表面からの(d)成分のリン系難燃剤のブリードアウトを抑制することができる。
(b)成分中の酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量は、JIS K6924−1に従って測定する。
(C)層の場合、また、(b2)成分のエチレン酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有率と、(d)成分のリン系難燃剤の含有量は、式(1)の関係を満たすと好ましい。
X≦3.7225×Y+3・・・(1)
(式中、Xは(C)層における(d)成分の含有割合(質量%)であり、Yは(a)〜(d)成分の合計量中の、前記(b2)成分中の酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量(質量%)である。)
式(1)を満たすと、極性の高い酢酸ビニル構造単位が比較的多いため、極性の高い(d)成分のリン系難燃剤との相溶性が高くなり、その結果、極性の高い(d)成分のリン系難燃剤と極性の低い(a)成分のポリプロピレン系樹脂の相溶性に優れるため、混練性に優れる。
また、(C)層の場合、以下に示すように、(b2)成分の含有量、(b2)成分における酢酸ビニルの含有量、及び(b2)成分/(d)成分の比率等を限定することにより、(d)成分の相溶性をさらに高め、(d)成分のブリードアウトを抑制し、また(a)成分の相溶性をさらに高めることにより、シートの透明性を向上することができる。
具体的に、(b2)成分のエチレン酢酸ビニル共重合体の含有量(質量%)は、好ましくは5〜30質量%であり、より好ましくは7〜25質量%であり、さらに好ましくは10〜20質量%である。5質量%以上であると、極性の高い酢酸ビニル構造単位が比較的多いため、(d)成分のリン系難燃剤の相分離や(d)成分のリン系難燃剤のブリードアウトが少なくなる。即ち、(d)成分のリン系難燃剤がより均一に混合しているため、シートの透明性に優れる。また、30質量%以下であれば、極性の高い酢酸ビニル構造単位が適量であるため、極性の低い(a)成分のポリプロピレン系樹脂との相溶性に優れ、相分離することなく均一に混練することができ、シートの難燃性、透明性及び耐溶剤性に優れる。
また、酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量は、好ましくは30〜70質量%であり、より好ましくは35〜65質量%であり、さらに好ましくは40〜60質量%である。酢酸ビニルの含有量が30質量%以上であると、極性の高い酢酸ビニル構造単位が比較的多いため、極性の高いリン系難燃剤の相分離やリン系難燃剤のブリードアウトが少なくなる。即ち、リン系難燃剤がより均一に混合しているため、シートの透明性に優れる。
70質量%以下であれば、極性の高い酢酸ビニル構造単位が過剰ではなく適量であるため、極性の低い(a)成分のポリプロピレン系樹脂との相溶性に優れ、相分離することなく均一に混練することができる。即ち、成形体の難燃性、透明性及び耐溶剤性に優れる。
また、70質量%以下であれば、加熱成形時に遊離酢酸が発生することがなく、装置の金属部分の腐食や、作業者に健康被害を及ぼすことを防止することができる。また、酢酸が脱離することに起因する架橋反応やゲル化を抑制することができ、製品の品質に悪影響を及ぼすことがない。
また、(b2)成分のエチレン酢酸ビニル共重合体の含有量(質量)と(d)成分のリン系難燃剤の含有量(質量)との比(b2)/(d)は、1以上であることが好ましい。1以上であれば、極性の高い酢酸ビニル構造単位が比較的多いため、(d)成分のリン系難燃剤の相分離や(d)成分のリン系難燃剤のブリードアウトが少なくなる。即ち、(d)成分のリン系難燃剤がより均一に混合しているため、シートの透明性に優れる。(b2)/(d)は、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上である。
(b)のエチレン酢酸ビニル共重合体は、従来公知の方法によって得られるものを用いることができる。(b)成分の市販品としては、例えば、日本合成化学工業株式会社のソアブレン、三井・デュポンポリケミカル株式会社のエバフレックス及びLANXESS社のレバプレン等が使用できる。
(b)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
((c)成分)
(B)層及び(C)層が、(c)成分を含む。各層の(c)成分は同一でも異なってもよい。
(c)成分はNOR(アルコキシイミノ基)型ヒンダードアミン系化合物である。
NOR型ヒンダードアミン系化合物(安定剤)は、光安定化剤として機能するだけでなく、難燃剤としての機能も有する。NOR型ヒンダードアミン系安定剤のアルコキシイミノ基とは、ピペリジン環のイミノ基の部分が、NHのままであるNH型、Hがメチル基で置き換わったNCH型に対して、N−アルコキシル基(>N−OR)の構造のものであり、アルキル・パーオキシラジカル(RO・)を捕捉して容易にラジカルとなり難燃効果を発揮する。NOR型ヒンダードアミン系安定剤ではなく、N−メチル型ヒンダードアミン系安定剤又はN−H型ヒンダードアミン系安定剤の場合、難燃性が低下する。
上記のアルコキシル基(OR)は、アルキル基に酸素が結合したアルコキシル基に限定されず、Rはアルキル基以外に、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基を含む。これらアルコキシル基の具体的なものとしては、メトキシ基、プロポキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基が好ましく、特にプロポキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基等が、分子量が大きくなることで、シートからのブリードアウトを抑制できる点から好ましい。
本発明で用いるNOR型ヒンダードアミン系安定剤としては、N−アルコキシル基(>N−OR)の構造を有する化合物であれば特に限定されない。具体例として、例えば、特表2002−507238、国際公開第2005/082852号、国際公開第2008/003605号等に記載されているNOR型ヒンダードアミン系安定剤等が挙げられる。
(c)成分は、カーボネート結合が含まれる化合物が好ましい。カーボネート結合が含まれると、難燃性と耐ブリード性の点に優れる。
また、具体的な化合物の例として以下の化合物が挙げられる。
(A)1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−オクタデシルアミノピペリジン
(B)ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート
(C)2,4−ビス[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−S−トリアジン
(D)ビス(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジペート
(E)4,4’−ヘキサメチレンビス(アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)と、2−クロロ−4,6−ビス(ジブチルアミノ)−S−トリアジンで末端キャップされた2,4−ジクロロ−6−[(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ]−S−トリアジンとの縮合生成物であるオリゴマー性化合物
(F)4,4’−ヘキサメチレンビス(アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)と、2−クロロ−4,6−ビス(ジブチルアミノ)−S−トリアジンで末端キャップされた2,4−ジクロロ−6−[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ]−S−トリアジンとの縮合性生成物であるオリゴマー性化合物
(G)2,4−ビス[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−ピペリジン−4−イル)−6−クロロ−S−トリアジン
(H)過酸化処理した4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンと、2,4,6−トリクロロ−S−トリアジンと、シクロヘキサンと、N,N’−エタン−1,2−ジイルビス(1,3−プロパンジアミン)との反応生成物(N,N’,N’’’−トリス{2,4−ビス[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)N−ブチルアミノ]−S−トリアジン−6−イル}−3,3’−エチレンジイミノジプロピルアミン)
(I)ビス(1−ウンデカノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カーボネート
(J)1−ウンデシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン
(K)ビス(1−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カーボネート
市販品としては、BASF社製FLAMESTABNOR116FF、TINUVIN NOR371、TINUVIN 123S、TINUVIN XT850FF、TINUVIN XT855FF、株式会社ADEKA製LA−81等を例示することができる。(c)成分のNOR型ヒンダードアミン系安定剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)層の場合、(c)成分のNOR型ヒンダードアミン系安定剤の含有量(質量%)は、0.2〜4質量%であり、好ましくは0.5〜3質量%であり、より好ましくは1〜2質量%である。0.2質量%以上であれば、高度な難燃性のVTM−0が得られる。また、4質量%以下であれば、可塑剤として作用する(d)成分による溶融混練及び成形加工時のペレット及びシートの融着、着色等の問題がなく、良質なペレット及びシートが得られ、また高価なNOR型ヒンダードアミン系安定剤の多量添加によるコスト高を避けることができる。
(B)層の場合、(c)成分のNOR型ヒンダードアミン系安定剤の含有量(質量%)は、0.2〜3質量%であり、好ましくは0.3〜2質量%であり、より好ましくは0.5〜1.5質量%である。0.2質量%以上であれば、高度な難燃性のVTM−0が得られる。また、3質量%以下であれば、(c)成分が可塑剤として作用して(C)層から移行した(d)成分のリン系難燃剤のシート表面へのブリードアウトの問題がなく、表面外観の良好なシートが得られる。
((d)成分)
(C)層は(d)成分を含む。
(d)成分のリン系難燃剤は、融点が300℃以下である、即ち、ポリプロピレン系樹脂との溶融混練時に液体の難燃剤である。通常、ポリプロピレン系樹脂と難燃剤の溶融混練は150℃〜300℃で行う。溶融混錬時に固体である難燃剤(例えば融点を有さない難燃剤)を用いると、溶融混練時に難燃剤が液体状ではないため、(a)成分又は(b2)成分に均一に分散せず、物性低下を起こしたり、難燃性が低下したりするおそれがある。また、透明性が低下する。
(d)成分のリン系難燃剤は、上記の条件を満たしている限り特に制限されず、従来公知の方法によって得られるもの、又は市販品を用いることができる。好ましくは、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、又はホスホン酸エステル化合物であり、その中でも透明性に優れるリン酸エステルが最も好ましい。
リン酸エステル系化合物としては、トリメチルフォスフェート(TMP)、トリエチルフォスフェート(TEP)、トリフェニルフォスフェート(TPP)、トリクレジルフォスフェート(TCP)、トリキシレニルフォスフェート(TXP)、クレジルジフェニルフォスフェート(CDP)等のモノマー型リン酸エステル系化合物、レゾルシノールビス−ジキシレニルフォスフェート、レゾルシノールビス−ジフェニルフォスフェート、ビスフェノールAビス−ジフェニルフォスフェート(BADP)、ビスフェノールAビス−ジクレジルフォスフェート、ビフェノールビス−ジフェニルフォスフェート、ビフェノールビス−ジキシレニルフォスフェート等のオキシ塩化リンと二価のフェノール系化合物、及びフェノール(又はアルキルフェノール)との反応生成物である芳香族縮合リン酸エステル系化合物等が挙げられる。
これらの中で好ましくは、トリフェニルフォスフェート(TPP)、トリクレジルフォスフェート(TCP)、レゾルシノールビス−ジキシレニルフォスフェート、レゾルシノールビス−ジフェニルフォスフェート、ビスフェノールAビス−ジフェニルフォスフェート(BADP)、ビフェノールビス−ジフェニルフォスフェート、ビフェノールビス−ジキシレニルフォスフェートであり、より好ましくは、トリフェニルフォスフェート(TPP)、レゾルシノールビス−ジキシレニルフォスフェート、レゾルシノールビス−ジフェニルフォスフェートであり、さらに好ましくは、レゾルシノールビス−ジキシレニルフォスフェートである。
ホスファゼン化合物としては、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(メトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(エトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(N−プロポキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(イソ−プロポキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(N−ブトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(イソ−ブトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(P−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(M−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(O−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−エチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−N−プロピルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−イソ−プロピルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−T−ブチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−T−オクチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,3−ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,4−ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,5−ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,6−ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(N−プロポキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(イソ−プロポキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(N−ブトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(イソ−ブトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(P−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(M−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(O−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(P−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(M−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(O−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(N−プロポキシ)−1,3,5−トリス(P−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(N−プロポキシ)−1,3,5−トリス(M−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(N−プロポキシ)−1,3,5−トリス(O−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(イソ−プロポキシ)−1,3,5−トリス(P−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(N−ブトキシ)−1,3,5−トリス(P−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(イソ−ブトキシ)−1,3,5−トリス(P−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(4−T−ブチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(4−T−オクチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(N−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−T−ブチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(N−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−T−オクチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン等が挙げられる。
この中で好ましくは、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(メトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(エトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(P−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼンであり、より好ましくは、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(エトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼンであり、さらに好ましくは、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(フェノキシ)シクロトリホスファゼンである。
ホスホン酸エステルとしては、下記式(10)で表されるものが挙げられる。
Figure 2018039134
式(10)中、R〜Rは、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭化水素基であり、R〜Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
炭化水素基としては、鎖状(直鎖及び分岐鎖のいずれでもよい)及び環状(単環、縮合多環、架橋環及びスピロ環のいずれでもよい)のいずれであってもよく、例えば、側鎖を有する環状炭化水素基が挙げられる。また、炭化水素基は、飽和及び不飽和のいずれでもよい。
炭化水素基としては、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基等が挙げられる。
上記式で表されるホスホン酸エステルの具体例としては、下記式(10)−1〜(10)−8で表される化合物が挙げられる。
Figure 2018039134
これらのうち、好ましくは式(10)−1〜(10)−6であり、より好ましくは式(10)−1〜(10)−3であり、さらに好ましくは式(10)−1である。
(d)成分のリン系難燃剤の含有量(質量%)は、3〜40質量%であり、5質量%以上、15質量%以上、20質量%以下、又は10質量%以下としてもよい。(d)成分の含有量(質量%)は、好ましくは5〜35質量%であり、より好ましくは15〜30質量%である。
3質量%以上であれば、VTM−0の高度な難燃性が得られる。40質量%以下であれば、(a)成分のポリプロピレン系樹脂と相溶性が低い(d)成分のリン系難燃剤の含有量が適量であるため、(b2)成分のエチレン酢酸ビニル共重合体が特定量含まれていれば、(d)成分のリン系難燃剤の相分離がなく、均一に溶融混練ができる。
(d)成分のリン系難燃剤は、リン含有量が8質量%以上であると好ましく、9質量%以上、又は10質量%以上であるとより好ましい。リン含有量が8質量%以上であると、難燃性性能を有するリン原子を充分含有するため、難燃性に優れる。
リン含有量は、吸光光度法にて測定する。
(d)成分のリン系難燃剤は、好ましくは下記式(20)で表される。この化合物を用いると、シートの透明性と耐ブリード性に優れる。
Figure 2018039134
式(20)中、R〜Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はハロゲン原子であり、R〜Rは同一でも異なっていてもよい。Nは0〜30の整数であり、好ましくは0〜10の整数である。
アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第2ブチル、第3ブチル、アミル、第3アミル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、N−オクチル、ノニル、デシル等が挙げられる。シクロアルキル基としてはシクロヘキシル等が挙げられる。アリール基としては、フェニル、クレジル、キシリル、2,6−キシリル、2,4,6−トリメチルフェニル、ブチルフェニル、ノニルフェニル等が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
(d)成分のリン系難燃剤は、難燃性と透明性の両立という観点から、下記の化合物No.1、2又は3が好ましく、化合物No.2又は3がより好ましく、化合物No.2がさらに好ましい。
化合物No.1(トリフェニルホスフェート)は、例えば大八化学工業株式会社のTPP、化合物No.2(レゾルシノールビス−ジキシレニルフォスフェート)は、例えば大八化学工業株式会社のPX−200、化合物No.3(レゾルシノールビス−ジフェニルフォスフェート)は、例えば大八化学工業株式会社のCR−733S等が使用できる。
Figure 2018039134
式(20)のリン酸エステル化合物を使用すると、難燃性VTM−0と透明性を両立できる。
式(20)のリン酸エステル化合物の含有量(質量%)は、好ましくは3〜20質量%であり、より好ましくは4〜15質量%、さらに好ましくは5〜10質量%である。3質量%以上であれば、高度な難燃性のVTM−0が得られ、透明性も良好である。また、20質量%以下であれば、(a)成分のポリプロピレン系樹脂と相溶性が低い(d)成分のリン酸エステル化合物の含有量が適量であるため、(d)成分のリン酸エステル化合物の相分離及びブリードアウトが少なく、その結果、透明で高度な難燃性VTM−0が得られる。
(d)成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(その他添加剤成分)
本発明の(A)層、(B)層及び(C)層に、上記(a)〜(d)成分とその他樹脂及び加工助剤成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて従来公知の添加剤等を添加することができる。これら添加剤等としては、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、帯電防止剤、核剤、金属不活性化剤、充填剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系、リン系化合物、チオエーテル系化合物等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第3ブチル−P−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第3ブチル−M−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第3ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第3ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第3ブチル−M−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6―ジ第3ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第3ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第3ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第3ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2−第3ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第3ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、ステアリル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔3−(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル〕メタン、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第3ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2−第3ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第3ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第3ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第3ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2−第3ブチル−4−(3−第3ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第3ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第3ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ第3ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−N−ブチリデンビス(2−第3ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第3ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第3ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2’−メチレンビス(4,6−第3ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−第3ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第3ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第3ブチルジベンゾ〔D,F〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ第3ブチルフェノールのホスファイト等が挙げられる。
チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類、及びペンタエリスリトールテトラ(Β−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
上記の酸化防止剤を2種以上を混合して使用してもよい。
耐候剤としては、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤((B),(C)層は(c)成分以外の安定剤)等を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第3ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第3ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第3オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−第3オクチル−6−(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第3ブチル−5’−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第3ブチルフェニル−3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第3アミルフェニル−3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−Α−シアノ−Β、Β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(P−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第3ブチルフェニル)−S−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−S−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第3ブチルフェニル)−S−トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−S−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第3オクチルアミノ−S−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−S−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−S−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−S−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−S−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。
上記の耐候剤を2種以上を混合して使用してもよい。
滑剤としては、脂肪酸アミド系、脂肪酸エステル系、脂肪酸系、脂肪酸金属塩系等を用いることができる。
脂肪族アミド系滑剤としては、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスラウリル酸アミド等が挙げられる。
脂肪族エステル系滑剤としては、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチル、ベヘニン酸メチル、ラウリル酸ブチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ヤシ脂肪酸オクチルエステル、ステアリン酸オクチル、牛脂脂肪酸オクチルエステル、ラウリル酸ラウリル、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニル、ミリスチン酸セチル、炭素数28〜30の直鎖状で分岐がない飽和モノカルボン酸(以下モンタン酸と略記する)とエチレングリコールのエステル、モンタン酸とグリセリンのエステル、モンタン酸とブチレングリコールのエステル、モンタン酸とトリメチロールエタンのエステル、モンタン酸とトリメチロールプロパンのエステル、モンタン酸とペンタエリスリトールのエステル、グリセリンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンセスクイオレート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等が挙げられる。
脂肪酸系滑剤のうち飽和脂肪酸として、具体的には、ラウリン酸(ドデカン酸)、イソデカン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸(テトラデカン酸)、ペンタデシル酸、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、マルガリン酸(ヘプタデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)、イソステアリン酸、ツベルクロステアリン酸(ノナデカン酸)、2−ヒドロキシステアリン酸、アラキジン酸(イコサン酸)、ベヘン酸(ドコサン酸)、リグノセリン酸(テトラドコサン酸)、セロチン酸(ヘキサドコサン酸)、モンタン酸(オクタドコサン酸)、メリシン酸等が挙げられ、特に、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、12−ヒドロキシステアリン酸及びモンタン酸等が挙げられる。
脂肪酸系滑剤のうち不飽和脂肪酸として、具体的には、ミリストレイン酸(テトラデセン酸)、パルミトレイン酸(ヘキサデセン酸)、オレイン酸(CIS−9−オクタデセン酸)、エライジン酸(TRANS−9−オクタデセン酸)、リシノール酸(オクタデカジエン酸)、バクセン酸(CIS−11−オクタデセン酸)、リノール酸(オクタデカジエン酸)、リノレン酸(9,11,13−オクタデカトリエン酸)、エレステアリン酸(9,11,13−オクタデカトリエン酸)、ガドレイン酸(イコサン酸)、エルカ酸(ドコサン酸)、ネルボン酸(テトラドコサン酸)等が挙げられる。
脂肪酸金属塩系滑剤としては、上記脂肪酸系滑剤の脂肪酸のリチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩及びアルミニウム塩等が挙げられる。
上記の滑剤を2種以上を混合して使用してもよい。
帯電防止剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性系、グリセリン脂肪酸モノエステル等の脂肪酸部分エステル類等を用いることができる。
具体的には、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−(3−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)メチルアンモニウムメソスルフェート、(3−ラウリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムメチルスルフェート、ステアロアミドプロピルジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム硝酸塩、ステアロアミドプロピルジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムリン酸塩、カチオン性ポリマー、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキル硝酸エステル塩、リン酸アルキルエステル塩、アルキルホスフェートアミン塩、ステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ジグリセリン脂肪酸エステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミン脂肪酸モノエステル、アルキルジエタノールアミド、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリエーテルブロックコポリマー、セチルベタイン、ヒドロキシエチルイミダゾリン硫酸エステル等が挙げられる。これらを2種以上を混合して使用してもよい。
核剤としては、ソルビトール類、リン系、ロジン類、石油樹脂類等を用いることができる。
ソルビトール類としてはアルキル置換ベンジリデンソルビトール等があり、例えば、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ−(P−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−O−メチルベンジリデン2,4−P−メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ−(P−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)ソルビトールが挙げられる。リン系としては、リン酸ビス(4−T−ブチルフェニル)ナトリウム、リン酸2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−T−ブチルフェニル)ナトリウム、有機リン酸塩系複合品等が挙げられる。その他、安息香酸ナトリウム、P−T−ブチル安息香酸アルミニウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、酸化アルミニウム、カオリンクレー、タルク、ロジン類、石油樹脂類等が挙げられる。これらを2種以上を混合して使用してもよい。
金属不活性化剤としては、トリアジン類、ホスホン類、エポキシ類、トリアゾール類、ヒドラジド類、オキサミド類等を用いることができる。
具体的には、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−T−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、イソフタル酸ビス(2−フェノキシプロピオニルヒドラジド)、デカンジカルボン酸ジサリチロイルビドラジド、シュウ酸ビスベンジリデンヒドラジド、N,N’−ビス{2−[3−(3,5−ジ−T−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシル]エチル}オキサミド、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4,−トリアゾール、酸アミド系、メラミン、トリス[2−T−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5−T−ブチル)フェニル−5−メチル]ホスファイト等が挙げられる。これらを2種以上を混合して使用してもよい。
充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭素繊維、マイカ、ワラストナイト、ウィスカ等を用いることができる。
その他、ブロッキング防止剤、着色剤、ブルーミング防止剤、表面処理剤、抗菌剤、目ヤニ防止剤(特開2009−120717に記載のシリコーンオイル、高級脂肪族カルボン酸のモノアミド化合物、及び高級脂肪族カルボン酸と1価〜3価のアルコール化合物とを反応させてなるモノエステル化合物等の目ヤニ防止剤)等を添加してもよい。
添加剤及び加工助剤の添加量は、(A)層、(B)層及び(C)層の各層に、通常、0.05〜5質量%である。
(A)層は、実質的に(a)成分及び任意に上記の追加成分のみからなっていてもよい。(B)層は、実質的に(a)成分〜(c)成分及び任意に上記の追加成分のみからなっていてもよい。(C)層は、実質的に(a)成分〜(d)成分及び任意に上記の追加成分のみからなっていてもよい。
「実質的にのみからなる」とは、所定の成分が、層の95質量%以上100質量%以下、98質量%以上100質量%以下又は99質量%以上100質量%以下を占めることである。
(積層体の製造方法)
(A)層、(B)層又は(C)層が複数の成分からなるとき、各層を構成する樹脂組成物(原料混合物)を製造する。具体的には、例えば、層を構成する成分を、任意の方法で溶融混練して、樹脂組成物を製造する。例えば、ヘンシェルミキサーに代表される高速撹拌機、バンバリーミキサーに代表されるバッチ式混練機、単軸又は二軸の連続混練機、ロールミキサー等を単独で又は組み合わせて用いる。
次に、樹脂組成物を成形することによって、積層体を製造することができる。まず、各層を製造してから、これら層を積層させて積層体としてもよいし、各層の形成と積層を同時に行ってもよい。尚、(A)層は、樹脂組成物ではなくポリプロピレン系樹脂単独で製造する場合がある。
成形方法としては、従来公知の成形方法を採用することができ、例えば、射出成形、シート成形、押出成形、異形押出成形、熱プレス成形等が挙げられる。このうち、得られる成形品の外観に優れることや経済性な観点から、溶融押出機を用いて成形する方法が好ましい。成形条件は特に限定されない。
本発明の積層体を共押出し法で製造する際には、各層の材料を溶融し、80℃/秒以上の冷却速度で、積層体の内部温度が結晶化温度以下となるまで冷却することが好ましい。
ポリプロピレンは、溶融状態から80℃/秒以上の速度で冷却されると、スメチカ晶が多数を占める構造となる。スメチカ晶は、準安定状態の中間相であり、一つ一つのドメインサイズが小さいため、透明性に優れる。また、準安定状態であるため、結晶化が進んだα晶と比較して、低い熱量でシートが軟化するため、成形性に優れる特徴がある。
この場合、急冷を表面温度が露点以上50℃以下に保たれた冷却ロールを用いて行うことが好ましい。このようにすることで、積層体の白化をさらに防止することができる。
また、本発明の積層体は、複数の冷却ロールに巻装された鏡面エンドレスベルトと鏡面冷却ロールとを備え、鏡面エンドレスベルトと鏡面冷却ロールの表面温度が露点以上50℃以下に保たれた装置を用いて、製造することができる。
この場合、鏡面冷却ロールと鏡面エンドレスベルトとの間に、Tダイ押出機によって溶融した各層の材料を導入、圧接してシート状に成形し、鏡面エンドレスベルトに当該ベルトの表面温度より低い温度の冷却水を吹き付けて急冷して積層体を製造する。
得られた積層体を非平面状に成形して、基体の少なくとも一部に設けると好ましい。複雑な形状に成形してもシートの白化を防止でき、複雑な形状の成形物でも外観を損なうことなく良好に加飾成形することができる。
図1に、本発明の積層体を製造するための製造装置の一例の概略構成を示す。
図1に示す製造装置は、押出機のTダイ12、第1冷却ロール13、第2冷却ロール14、第3冷却ロール15、第4冷却ロール16、金属製エンドレスベルト17、冷却水吹き付けノズル18、水槽19、吸水ロール20、剥離ロール21を備える。
このように構成された製造装置を用いた急冷による積層シート(積層体)11の製造方法の一例を以下に説明する。
まず、押出機によって溶融混練された各層の樹脂は、フィードブロックにて積層され、Tダイにてシート状に成形されて押し出された積層体の溶融樹脂と直接接触し、これを冷却する金属製エンドレスベルト17及び第4冷却ロール16の表面温度が露点以上、50℃以下、好ましくは30℃以下に保たれるように、予め各冷却ロール13、14、15、16の温度制御を行う。
ここで、第4冷却ロール16及び金属製エンドレスベルト17の表面温度が露点未満では、表面に結露が生じ均一な製膜が困難になる可能性がある。一方、表面温度が50℃より高いと、得られる積層シート11の透明性が低くなるとともに、α晶が多くなり、熱成形しにくいものとなる可能性がある。従って、表面温度は例えば20℃である。
次に、押出機のTダイ12より押し出された溶融樹脂(造核剤を含まない)を第1冷却ロール13上で金属製エンドレスベルト17と、第4冷却ロール16との間に挟み込む。この状態で、溶融樹脂を第1、第4冷却ロール13、16で圧接するとともに、14℃で急冷する。
この際、第1冷却ロール13及び第4冷却ロール16間の押圧力で弾性材22が圧縮されて弾性変形する。
この弾性材22が弾性変形している部分、即ち、第1冷却ロール13の中心角度Θ1に対応する円弧部分で、急冷されたシートは各冷却ロール13、16により面状圧接されている。この際の面圧は、通常0.1MPa以上20MPa以下である。
上述のように圧接され、第4冷却ロール16及び金属製エンドレスベルト17間に挟まれたシートは、続いて、第4冷却ロール16の略下半周に対応する円弧部分で金属製エンドレスベルト17と第4冷却ロール16とに挟まれて面状圧接されるとともに、冷却水吹き付けノズル18による金属製エンドレスベルト17の裏面側への冷却水の吹き付けにより、さらに急冷される。この際の面圧は、通常0.01MPa以上0.5MPa以下であり、また、冷却水の温度は、例えば8℃である。
吹き付けられた冷却水は、水槽19に回収されるとともに、回収された水は排水口19Aより排出される。
このように第4冷却ロール16で面状圧接及び冷却された後、金属製エンドレスベルト17に密着したシートは、金属製エンドレスベルト17の回動とともに第2冷却ロール14上に移動される。ここで、剥離ロール21によりガイドされて第2冷却ロール14側に押圧されたシートは、前述同様、第2冷却ロール14の略上半周に対応する円弧部分で金属製エンドレスベルト17により面状圧接され、再び30℃以下の温度で冷却される。この際の面圧は、通常0.01MPa以上0.5MPa以下である。
尚、金属製エンドレスベルト17の裏面に付着した水は、第4冷却ロール16から第2冷却ロール14への移動途中に設けられている吸水ロール20により除去される。
第2冷却ロール14上で冷却された積層シートは、巻き取りロール(図示省略)により、所定の速度で巻き取られる。
(積層体の用途)
本発明の積層体は、UL94のVTM−0(厚さ0.2mm)に合格する難燃性を有することができる。
積層体は、ポリプロピレンの特徴である耐トラッキング性、電気絶縁性及び耐薬品性等が必要とされる用途に好適に使用することができる。具体的には、積層体のうち、透明薄肉積層体は、例えばデスクトップパソコンやノート型パソコン等のコンピューター部品、携帯電話部品、電気・電子機器、携帯情報端末、家電製品部品、自動車部品、産業資材及び建築材等に用いられることが好ましい。特に、透明薄肉成形体は、ディスプレイフィルム、加飾フィルム、絶縁シート、マスキングシート、及び養生シートとすることが好ましい。さらに近年、透明薄肉積層体の要望が高まっている加飾シート、バッテリーケース、プラスチックフレーム等も好適な用途として挙げることができる。
[成形体]
(成形体の製造)
本発明の積層体を成形することにより本発明の成形体が得られる。
成形方法として、インモールド成形、インサート成形、又は被覆成形を用いると好ましい。
インモールド成形は、金型内に積層体を設置して、金型内に供給される成形用樹脂の圧力で所望の形状に成形して成形体を得る方法である。
インモールド成形として、積層体を金型に装着し、成形用樹脂を供給して一体化して行うことが好ましい。
インサート成形では、金型内に設置する附形体を予備附形しておき、その形状に成形用樹脂を充填することで、成形体を得る方法である。より複雑な形状を出すことができる。
インサート成形として、積層体を金型に合致するよう附形し、附形した積層体を金型に装着し、成形用樹脂を供給して一体化して行うことが好ましい。
金型に合致するようする附形(予備附形)は、真空成型、圧空成型、真空圧空成型、プレス成型、プラグアシスト成形等で行うことが好ましい。
成形用樹脂は、成形可能な熱可塑性樹脂が好ましい。具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、アセチレン−スチレン−ブタジエン共重合体、アクリル重合体等が例示できるが、この限りではない。ファイバーやタルク等の無機フィラーを添加してもよい。
供給は、射出で行うことが好ましく、圧力5MPa以上120MPa以下が好ましい。
金型温度は20℃以上90℃以下であることが好ましい。
被覆成形として、チャンバーボックス内に芯材を配設し、芯材の上方に、積層体を配置し、チャンバーボックス内を減圧し、積層体を加熱軟化し、芯材の上面に、積層体を接触し、加熱軟化させた積層体を芯材に押圧して被覆させることが好ましい。
加熱軟化後、芯材の上面に、積層体を接触させることが好ましい。
押圧は、チャンバーボックス内において、積層体の芯材と接する側を減圧したまま、積層体の芯材の反対側を加圧することが好ましい。
芯材は、凸状でも凹状であってもよく、例えば三次元曲面を有する樹脂、金属、セラミック等が挙げられる。樹脂は、上述の成形に用いる樹脂と同様のものが挙げられる。
具体的な方法として、以下の方法が挙げられる。互いに分離可能な、上下ふたつの成型室から構成されるチャンバーボックスを用いることが好ましい。
まず、下成型室内のテーブル上へ芯材を載せ、セットする。被成型物である積層体を下成型室上面にクランプで固定する。この際、上・下成型室内は大気圧である。
次に上成型室を降下させ、上・下成型室を接合させ、チャンバーボックス内を閉塞状態にする。上・下成型室内の両方を大気圧状態から、真空タンクによって真空吸引状態とする。
上・下成型室内を真空吸引状態にした後、ヒータを点けて加飾シートの加熱を行なう。次に上・下成型室内は真空状態のまま下成型室内のテーブルを上昇させる。
次に、上成型室内の真空を開放し大気圧を入れることによって、被成型物である積層体は芯材へ押し付けられてオーバーレイ(成型)される。尚、上成型室内に圧縮空気を供給することで、より大きな力で被成型物である積層体を芯材へ密着させることも可能である。
オーバーレイが完了した後、ヒータを消灯し、下成型室内の真空も開放して大気圧状態へ戻し、上成型室を上昇させ、加飾印刷された積層体が表皮材として被覆された製品を取り出す。
(変形例)
積層体がインサート成形、インモールド成形、被覆成形された構成に限らず、例えば被覆後に積層体を剥してインキのみを残す転写成形法等、積層体を基体の一部に備えることが可能な各種方法を利用できる。また、積層体は、成形物の表面の一部に1つのみ設けた構成に限らず、複数の成形体を設けてもよい。
透明性が得られることでの意匠性の向上は得られる。さらに、印刷層や蒸着層を設け、積層体を形成して成形体としてインサート成形したり、積層体を形成して得られた成形体に印刷層を設けたりしてもよい。尚、成形物としては、以下に示す層構成としてもよい。
(A)積層体/基体
(B)積層体/印刷層/基体
(C)印刷層/積層体/基体
(D)積層体/印刷層/ポリプロピレン層(基材層)/基体
(E)印刷層/積層体/印刷層/基体
(F)積層体/印刷層/金属薄膜層/基体
(G)積層体/蒸着層/基体
(H)蒸着層/積層体/基体
(I)積層体/蒸着層/ポリプロピレン層(基材層)/基体
(J)印刷層/積層体/印刷層/基体
(K)積層体/易接着層/印刷層/基体
(L)積層体/易接着層/蒸着層/基体
等の構造を挙げることができる。
ここで、本実施形態である(B)の層構成では、表面側に位置する積層体により、印刷層が保護された状態となり、印刷層による良好な意匠性を長期間安定して提供できる。(C)の構成では、印刷層が例えばインサート成形時の熱に弱い場合でも、インサート成形時の熱で変性せず、良好な印刷層を形成できる。(D)の層構成では、基材層を設けているので、インサート成形時の熱で変形せず、良好印刷層を形成でき、積層体が印刷の剥れを防止できることから加飾等の意匠性を向上することが容易にできる。(E)の層構成では、印刷層を複数設けることで、高い意匠性を提供できる。(F)の層構成では、アルミニウム層等の反射特性を有する金属薄膜層を設けることで、高い意匠性を提供できる。(G)の層構成では、表面側に位置する積層体により、蒸着層が保護された状態となり、蒸着層による良好な意匠性を長期間安定して提供できる。(H)の構成では、蒸着層が例えばインサート成形時の熱に弱い場合でも、インサート成形時の熱で変性せず、良好な蒸着層を形成できる。(I)の層構成では、基材層を設けているので、インサート成形時の熱で変形せず、良好蒸着層を形成でき、積層体が蒸着層の剥れを防止できることから加飾等の意匠性を向上することが容易にできる。(J)の層構成では、蒸着層を複数設けることで、高い意匠性を提供できる。(K)の層構成では、積層体と印刷層の間に易接着層を設けているので、印刷層のインキの密着性を向上することができる。(L)の層構成では、積層体と蒸着層の間に易接着層を設けているので、蒸着層の金属又は金属酸化物の密着強度を向上することができる。さらに、上記層構成中に他の層を設けてもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
実施例及び比較例で用いた成分を以下に示す。
[ポリプロピレン系樹脂]
・ホモポリプロピレンA[MFR=3.0g/10分(230℃、2.16kg)、株式会社プライムポリマー製 F−133A]
・ホモポリプロピレンB[MFR=20g/10分(230℃、2.16kg)、株式会社プライムポリマー製 Y−2005GP]
・ホモポリプロピレンC[MFR=10g/10分(230℃、2.16kg)、株式会社プライムポリマー製 H−700]
・ランダムポリプロピレンA[MFR=7.0g/10分(230℃、2.16kg)、株式会社プライムポリマー製 F−744NP]
・ランダムポリプロピレンB[MFR=25g/10分(230℃、2.16kg)、株式会社プライムポリマー製 F329RA]
[その他樹脂]
・ポリエチレンA[MFR=2.3g/10分(190℃、2.16kg)、株式会社プライムポリマー製 SP2020]
[エチレン酢酸ビニル共重合体]
・エチレン酢酸ビニル共重合体A[MFR=1g/10分(190℃、2.16kg)、酢酸ビニル含有量(VA)40質量%、LANXESS社製 レパプレン400]
・エチレン酢酸ビニル共重合体B[MFR=1.7g/10分(190℃、2.16kg)、酢酸ビニル含有量50質量%、LANXESS社製 レパプレン500]
・エチレン酢酸ビニル共重合体C[MFR=3.8g/10分(190℃、2.16kg)、酢酸ビニル含有量70質量%、LANXESS社製 レパプレン700]
・エチレン酢酸ビニル共重合体D[MFR=5.0g/10分(190℃、2.16kg)、酢酸ビニル含有量24質量%、NUC社製 NUC−3195]
[その他相溶化剤]
・シクロオレフィンポリマー[MFR=10g/10分(260℃、2.16kg)、ガラス転移温度123℃、日本ゼオン社製 ZEONEX330R]
・エチレン−ビニルアルコール共重合体[MFR=12g/10分(210℃、2.16kg)、エチレン含有量44mol%、日本合成化学工業社製 ソアノールA4412]
[リン系難燃剤]
・リン酸エステルA(化合物No.1):トリフェニルホスフェート[大八化学工業株式会社製 TPP、融点49℃、リン含有量9.5%]
・リン酸エステルB(化合物No.2):レゾルシノールビス−ジキシレニルフォスフェート[大八化学工業株式会社製 PX−200、融点92℃、リン含有量9.0%]
・リン酸エステルC(化合物No.5):ビスフェノールAビス−ジフェニルフォスフェート[株式会社ADEKA製 FP−600、23℃で液体、リン含有量8.8%]
Figure 2018039134
・ホスファゼン化合物[株式会社伏見製薬所製 ラビトルFP−110、融点109℃、リン含有量13%]
・リン酸アミン塩化合物:ピロリン酸又はポリリン酸とアミン化合物との塩[株式会社ADEKA製 FP−2050、融点なし、リン含有量19%]
[窒素含有化合物]
・NOR型ヒンダードアミン系安定剤A[BASF社製 FlamestabNOR116FF]
・NOR型ヒンダードアミン系安定剤B[株式会社ADEKA製 LA−81]
・N−メチル型ヒンダードアミン系安定剤[株式会社ADEKA製 LA−52]
・N−H型ヒンダードアミン系安定剤[株式会社ADEKA製 LA−57]
[添加剤]
(分散剤・滑剤)
グリセリンモノステアレート[ライオン株式会社製 GS95P]
(フェノール系酸化防止剤)
テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン[株式会社ADEKA製 アデカスタブAO60]
(リン系酸化防止剤)
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト[株式会社ADEKA製 アデカスタブ2112]
実施例1〜16、比較例1〜26
〔1〕各層を製造するためのペレット状樹脂組成物の製造
成分(a)のポリプロピレン系樹脂、成分(b)のエチレン酢酸ビニル共重合体等の相溶化剤、成分(c)のNOR型ヒンダードアミン系安定剤、成分(d)のリン系難燃剤及びその他成分から選択される各層を形成する成分を混合し、2軸押出機により溶融混練し、ペレット状樹脂組成物を得た。以下、各工程を詳細に説明する。
(1)予備混合
層毎に、表1,3〜5に示す各成分を表1,3〜5に示す組成(質量%)で配合し、ヘンシェルミキサーで予備混合した。実施例1〜16及び比較例1〜26の(B)層及び(C)層については、成分(a)、(b)、(c)、(d)及びその他難燃剤・充填剤等表1,3〜5に示す成分の合計量100質量部に対して、添加剤として、GS95Pを0.3質量部、アデカスタブAO60を0.1質量部及びアデカスタブ2112を0.2質量部添加した。
(2)溶融混練
得られた予備混合物を、二軸混練機((株)日本製鋼所製の商品名TEX30α)を用いて180〜230℃で混練して組成物を作製し、ストランドカットを用いてペレット化した。
[2]各シート(層)の成形と積層体の製造
上記の組成物を用いて(A)層/(B層)/(C)層/(B層)/(A)層の構成の積層体を製造した。
(1)実施例1〜13、及び比較例1〜20の(A)、(B)及び(C)層のシートの製造には、東洋精機(株)製ラボプラストミル4M150(フルフライトスクリュー、スクリュー径25mm)に、Tダイとして東洋精機製作所社製T150C(ダイス幅150mm)を備えた押出機を用いる。
押出機のホッパーに、上記溶融混練して得られたペレットを導入し、以下の押出条件でTダイから溶融押出する。押出条件は、押出温度200〜230℃、スクリュー回転数10〜50rpm、リップ開度0.1〜1.0mmとする。押出す樹脂は、冷却ロールを備えた巻取り機にて、冷却固化、巻取りし、所望の厚み(0.005〜0.2mm)の押出シートを得る。巻取り条件は、ロール温度50〜90℃、引取り速度1〜2m/分とする。
その後、各層のシートを、小平製作所社製のプレス成形機PY−50/50Aを用いて、積層して200℃に加熱し、30トンの圧力で1分加圧する。次いで、水冷プレスで30トンの圧力で3分間加圧し、厚み0.2mmの積層体を得る。
尚、比較例1,2,4,7,11は、混練性が悪く、シート成形できない。
(2)実施例14〜16、及び比較例21〜26のシートの製造には、図1に示す製造装置を用いて以下の条件で積層体を製造した。
・(A)層の押出機の直径:50mm
・(B)層の押出機の直径:65mm
・(C)層の押出機の直径:75mm
・Tダイの幅:900mm
・積層シートの引取速度:6m/分
・冷却ロール及び金属製エンドレスベルトの表面温度:20℃
・冷却速度:10,800℃/分
[3]評価
(1)(C)層を形成する組成物の混練性
混練性ついて以下のように評価した。結果を表1,3,4に示す。
TEX30α混練機を使用した。溶融混練時に、ポリプロピレン系樹脂とリン系難燃剤の相溶性が低く、以下のような生産不良現象がある場合を×とした。
・ポリプロピレン系樹脂のペレット又は溶融物が、開放ベント又は真空ベントから噴出する。
・吐出量が不安定になり、サージング現象が起こり、ストランド切れが発生する。
・水槽に、リン系難燃剤が溶出(ブリードアウト)し、排出水を汚染する。
・シクロオレフィンポリマーのような融点の高い樹脂を使用して、280℃と高い温度で混練したとき、難燃剤及びポリプロピレン系樹脂等が分解して激しく着色する。
上記の問題がない場合を○とした。
(2)積層体の難燃性
UL94−VTM試験により評価した。結果を表2〜5に示す。
得られた厚み0.2mmの積層体を、幅50mm、長さ200mmに切出して試料を作製した。Atlas社製のHVULプラスチックUL燃焼テストチャンバーを用いて、作製した試料について、UL94−VTMテスト規格に準じて20mm垂直燃焼試験を行った。5本の試料について、それぞれ1回目と2回目の燃焼時間、及び綿の発火の有無等から、UL94−VTM規格に従って燃焼ランクをつけた。燃焼ランクはVTM−0が最高であり、VTM−1、VTM−2となるに従って難燃性は低下する。但し、VTM−0〜VTM−2のランクのいずれにも該当しないものはnot−VTMとする。
(3)積層体の透明性
透明性は内部ヘイズ値にて評価を行った。内部ヘイズ値が低いほど透明であることを表す。結果を表2〜5に示す。
日本電色工業(株)ヘイズメーターNDH−200を用いて、試験規格JIS K 7136に従って、内部ヘイズ値を測定した。内部ヘイズは、シート表面粗さの影響を除外してシート内部の透明性を測定するため、シート表面にシリコーンを塗布して、両面をガラス板で挟んだ状態でヘイズを測定した。このヘイズ値からガラスのみのヘイズ値を除算することで、内部ヘイズを測定できる。
(4)積層体のブリード試験評価
アズワン(株)定温乾燥器 DO−600FAを用いて、積層体を40℃湿度30〜40%で7日間処理し、ブリード評価を行った。処理後の外観を評価し、変化なしをブリード「無」、白粉があるときブリード「有」とする。結果を表2〜5に示す。
また、処理前と処理後の内部ヘイズ値を測定し、その変化した値で評価を行った。変化値が3.5%を超えるとブリードが多く、変化値が3.5%以下ではブリードが少ないことを表す。結果を表2〜5に示す。
(5)積層体の鉛筆硬度評価
積層体の表面硬度をJIS K5600の鉛筆硬度試験法に準じて、荷重750gにて評価した。
表1〜5から以下が分かる。
1.実施例について
(1)実施例1〜11から明らかなように、(C)層の組成物は、問題なく溶融混練が可能であり、(A)/(B)/(C)/(B)/(A)の積層体では、高い難燃性(VTM−0)を有し、透明性が改善され、ブリードの発生もなく、外観が良好であることが分かる。
(2)実施例12及び13から明らかなように、(A)層の配置により表面硬度が付与されることが分かる。
(3)実施例14〜16から明らかなように、本発明の(A)/(B)/(C)/(B)/(A)の積層体を、急冷ベルト式冷却を備える押出機で製膜した積層体は、従来の公知のエアーナイフ式冷却を備える押出機で製膜したシートを積層してプレス成形したものに比較して、透明性が良好であった。
2.比較例について
(1)比較例1及び2は、それぞれ(C)層のエチレン酢酸ビニル共重合体の組成が少ない又は多いため、リン酸エステルが適度に混じらず、溶融混練が不可能である。
(2)比較例3は、(C)層のリン酸エステルの配合量が少ないために、積層体の難燃性が低下する。
(3)比較例4は、(C)層のリン酸エステルの配合量が多すぎるために、リン酸エステルが溶融混練時に均一に混じらなく、溶融混練が不可能である。
(4)比較例5は、(C)層のリン系難燃剤として、融点のないリン酸アミン塩を配合する場合であり、積層体にリン酸アミン塩が紛体として存在するため、積層体からブリードはないものの、透明性が低下する。またリン酸アミン塩は、燃焼初期に成形品の表面に炭化層を形成して、外部からの熱を遮断して難燃性を発揮するが、この難燃効果を発揮するには、融点が300℃以下のリン酸エステルのようなリン系難燃剤に比較して、リン酸アミン塩を多く配合する必要があり、難燃性が不十分である。
(5)比較例6は、(C)層のNOR型ヒンダードアミン系安定剤が少ないため、積層体の難燃性が低下する。
(6)比較例7は、(C)層のNOR型ヒンダードアミン系安定剤が多いため、溶融混練時にポリプロピレンの可塑剤として作用してペレットのカット不良及び融着現象が起こり、混練が不可能である。
(7)比較例8及び9は、それぞれ(C)層にN−メチル型及びN−H型ヒンダードアミン系安定剤を使用するため、難燃性が低下する。
(8)比較例10は、(C)層に、ポリプロピレンの代わりに、リン酸エステルと相溶性が低いポリエチレンを使用するために、透明性及び耐ブリード性が低下する。また、ポリエチレンの難燃性が低いために、難燃性が低下する。
(9)比較例11は、(C)層に。エチレン酢酸ビニル共重合体の代わりに、シクロオレフィンポリマーを使用する例であるが、シクロオレフィンポリマーの融点が高く、溶融混練温度が高いため、ポリプロピレン系樹脂の熱分解による低分子量化やNOR型ヒンダードアミンの熱分解が発生し、溶融混練が不十分であり、積層体の加工ができない。
(10)比較例12は、(C)層に、エチレン酢酸ビニル共重合体の代わりに、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を使用する例であるが、EVOHとリン酸エステルとの相溶性が低いためリン酸エステルがブリードアウトし、透明性及び高い難燃性を有する均一で表面外観が良好なシートは得られない。
(11)比較例13は、(B)層のエチレン酢酸ビニル共重合体の配合量が少ない場合であり、難燃性は良好であるが、相溶化剤のエチレン酢酸ビニル共重合体が少ないために、(C)層から移行したリン酸エステルを取り込むことができず、リン酸エステルがブリードする。
(12)比較例14は、(B)層のエチレン酢酸ビニル共重合体の配合量が多い場合であり、エチレン酢酸ビニル共重合体が多いため、(C)層から移行したリン酸エステルを取り込むことができるが、エチレン酢酸ビニル共重合体の難燃性が低いために、難燃性が低下する。
(13)比較例15は、(B)層のNOR型ヒンダードアミン系安定剤が少ないため、積層体の難燃性が低下する。
(14)比較例16は、(B)層のNOR型ヒンダードアミン系安定剤が多い場合であり、難燃性は低下しないが、ポリプロピレンの可塑剤として作用するため、ポリプロピレンの結晶化を阻害して、(C)層から移行したリン酸エステルが、(B)層を通過しやすくなり、ブリードし易くなる。
(15)比較例17は、(B)層のエチレン酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量が少ない場合であり、相溶化剤のエチレン酢酸ビニル共重合体が少ないために、(C)層から移行したリン酸エステルを取り込むことができず、リン酸エステルがブリードする。
(16)比較例18は、(B)層のポリプロピレンの代わりに、ポリエチレンを使用した場合であり、リン酸エステルと相溶性が低いポリエチレンを使用するために、(C)層から移行したリン酸エステルが、(B)層を通過しやすくなり、透明性及び耐ブリード性が低下する。また、ポリエチレンの難燃性が低いために、難燃性が低下する。
(17)比較例19は、(B)層を配置せず、(A)/(C)/(A)の積層構造の場合であり、ポリプロピレンの(A)層の厚みが厚いために、リン酸エステルのブリードが少ないが、難燃剤が含まれない(A)層が積層されているため、難燃性が低下する。
(18)比較例20は、(C)層のみの場合であり、難燃性は良好であるが、(B)層がないために、リン酸エステルがブリードする。
(19)比較例21以降は、急冷ベルト製膜品であり、比較例21は、(B)層を配置せず、(A)/(C)/(A)の積層構造の場合であり、ポリプロピレンの(A)層の厚みが厚いために、リン酸エステルのブリードが少ないが、難燃剤が含まれない(A)層が積層されているため、難燃性が低下する。
(20)比較例22は、(B)を配置せず、(A)/(C)/(A)の積層構造の場合であり、ポリプロピレンの(A)層の厚みが、比較例21に比較して薄いために、リン酸エステルのブリードし、難燃剤が含まれない(A)層が積層されているため、難燃性が低下する。
(21)比較例23は、(B)層にエチレン酢酸ビニル共重合体が含まれない場合であり、難燃性は良好であるが、相溶化剤のエチレン酢酸ビニル共重合体がないために、(C)層から移行したリン酸エステルを取り込むことができず、リン酸エステルがブリードする。
(22)比較例24及び25は、(B)層にNOR型ヒンダードアミン系安定剤がないために、積層体の難燃性が低下する。
(23)比較例26は、(B)層のエチレン酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量が少ない場合であり、相溶化剤のエチレン酢酸ビニル共重合体が少ないために、(C)層から移行したリン酸エステルを取り込むことができず、リン酸エステルがブリードする。
Figure 2018039134
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本発明の積層体及び成形体は、デスクトップパソコンやノート型パソコン等のコンピューター部品、携帯電話部品、電気・電子機器、携帯情報端末、家電製品部品、自動車部品、産業資材及び建築材等に使用することができる。
11 シート
12 Tダイ
13 第1冷却ロール
14 第2冷却ロール
15 第3冷却ロール
16 第4冷却ロール
17 金属製エンドレスベルト
18 冷却水吹き付けノズル
19 水槽
19A 排水口
20 吸水ロール
21 剥離ロール
22 弾性材

Claims (16)

  1. 少なくとも(B)層、(C)層、及び(B)層を、この順に含み、
    前記(B)層は、下記成分(a),(b1)及び(c)を含み、2つの(B)層は同一でも異なってもよく、
    前記(C)層は、下記成分(a),(b2),(c)及び(d)を含む積層体。
    (B)層:
    (a)ポリプロピレン系樹脂 67〜96.8質量%
    (b1)酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が25質量%以上であるエチレン酢酸ビニル共重合体 3.0〜30質量%
    (c)NOR型ヒンダードアミン系化合物 0.2〜3.0質量%
    (C)層:
    (a)ポリプロピレン系樹脂 16〜95.8質量%
    (b2)エチレン酢酸ビニル共重合体 1〜40質量%
    (c)NOR型ヒンダードアミン系化合物 0.2〜4.0質量%
    (d)融点が300℃以下であるリン系難燃剤 3.0〜40質量%
  2. さらに、(a)ポリプロピレン系樹脂を含む2つの同一でも異なってもよい(A)層を含み、
    少なくとも(A)層、(B)層、(C)層、(B)層、及び(A)層を、この順に含む請求項1に記載の積層体。
  3. 前記(A)層、(B)層及び前記(C)層から選択される1以上の層の(a)成分であるポリプロピレン系樹脂が、スメチカ晶を含む請求項2に記載の積層体。
  4. 下記式(1)を満たす請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
    X≦3.7225×Y+3・・・(1)
    (式中、Xは前記(C)層の(d)成分の含有量(質量%)であり、Yは前記(C)層の(a)〜(d)成分の合計に対する、(b2)成分中の酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量(質量%)である。)
  5. 前記(C)層の(b2)成分中の酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が10〜90質量%である請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
  6. 前記(C)層の(b2)成分中の酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が30〜90質量%である請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
  7. 前記(C)層の(b2)成分と(d)成分との含有量の質量比((b2)/(d))が1以上である請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
  8. 前記(C)層の(d)成分中のリン含有量が8質量%以上である請求項1〜7のいずれかに記載の積層体。
  9. 前記(C)層の(d)成分が、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物及びホスホン酸エステル化合物から選ばれる少なくとも1つである請求項1〜8のいずれかに記載の積層体。
  10. 前記(a)ポリプロピレン系樹脂の130℃での結晶化速度が2.5min−1以下である請求項1〜9のいずれかに記載の積層体。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の積層体を含む成形体。
  12. 前記(a)ポリプロピレン系樹脂の130℃での結晶化速度が2.5min−1以下である請求項11に記載の成形体。
  13. 請求項1〜10のいずれかに記載の積層体を成形用金型の内面に装着し、成形用樹脂を供給して一体化する請求項11又は12に記載の成形体の製造方法。
  14. 請求項1〜10のいずれかに記載の積層体を成形用金型の内面に合致するように附形し、得られた附形品を前記成形用金型の面に装着し、成形用樹脂を供給して一体化する請求項11又は12に記載の成形体の製造方法。
  15. 被覆される芯材を配設したチャンバーボックス内を減圧状態とし、請求項1〜10のいずれかに記載の積層体を加熱軟化させ、前記チャンバーボックス内を加圧して、前記加熱軟化させた前記積層体を前記芯材に押圧して被覆し、一体化する請求項11又は12に記載の成形体の製造方法。
  16. 基体の少なくとも一部に積層体を設ける積層体の製造方法であって、複数の冷却ロールに巻装された鏡面エンドレスベルトと鏡面冷却ロールとを備え、前記鏡面冷却ロールと前記鏡面エンドレスベルトとの間に、Tダイ押出機により、下記成分(a),(b1)及び(c)を含む(B)層用組成物からなる溶融樹脂と、下記成分(a),(b2),(c)及び(d)を含む(C)層用組成物からなる溶融樹脂を押し出して導入し、圧接してシート状に成形するとともに、毎秒80℃以上の速度で急冷して透明な(B)層と(C)層を含む積層体を製造する方法。
    (B)層用組成物:
    (a)ポリプロピレン系樹脂 67〜96.8質量%
    (b1)酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が25質量%以上であるエチレン酢酸ビニル共重合体 3.0〜30質量%
    (c)NOR型ヒンダードアミン系化合物 0.2〜3.0質量%
    (C)層用組成物:
    (a)ポリプロピレン系樹脂 16〜95.8質量%
    (b2)エチレン酢酸ビニル共重合体 1〜40質量%
    (c)NOR型ヒンダードアミン系化合物 0.2〜4.0質量%
    (d)融点が300℃以下であるリン系難燃剤 3.0〜40質量%
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