JP2012097188A - 難燃性樹脂フィルム及びそのフィルムの製造方法 - Google Patents

難燃性樹脂フィルム及びそのフィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高度な難燃性を有する難燃性樹脂フィルム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】難燃性樹脂フィルムは、フィルム全体として、ポリプロピレン系樹脂と、熱可塑性エラストマーと、NOR型ヒンダードアミン誘導体と、帯電防止剤とを含んでなり、当該フィルムの少なくとも一方の表面の表面抵抗値が1013Ω/□以下であり、引張破断伸びが100%以上であり、かつ、フィルム全体を溶融して得られる樹脂組成物のメルトフローレート(JIS K7210、230℃、2.16kgf)が40g/10分以上である。
【選択図】なし

Description

本発明は、高度な難燃性を有する樹脂フィルム及びその製造方法に関する。
従来、合成樹脂は可燃性であるため、電気・電子製品、自動車、建築部材等の難燃性や強度を要求される分野においては、基材として比較的燃焼性が低く機械的特性に優れるポリ塩化ビニル系樹脂が用いられ、また、添加剤としてハロゲン化合物等の難燃剤が用いられてきた。
しかし、近年の環境意識の高まりの中で、ポリ塩化ビニル系樹脂やハロゲンを含まないポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂を難燃フィルム基材として用いることが検討されている。
例えば、下記特許文献1には、難燃成分含有繊維より形成された難燃性布帛の少なくとも一方の面に、オレフィン系樹脂100質量部に対して、NOR型光安定剤とメラミンシアヌレートと燐酸エステル化合物とである難燃剤を6質量部から65質量部を混合した樹脂混合物より形成された難燃性フィルムを積層してなる難燃性積層体が記載されている。
また、下記特許文献2には、リン酸エステル系難燃剤を0.5重量%以上及びNOR型ヒンダードアミン系安定剤を0.4重量%以上含有するポリオレフィン系フィルム層と、ポリオレフィン系繊維基布層とを含んでなることを特徴とする難燃性ポリオレフィン系複合シートが記載されている。
特開2004−174869号公報 特開2002−337284号公報
しかしながら、上記特許文献1,2に記載された技術を用いても、電気・電子製品、自動車、建築部材等の高度な難燃性を要求される分野において用いられるべく、十分な難燃性を付与された樹脂フィルムを製造することはできなかった。
すなわち、本発明の目的は、高度な難燃性を有する難燃性樹脂フィルムを提供すること
にある。
本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)フィルム全体として、ポリプロピレン系樹脂と、熱可塑性エラストマーと、NOR型ヒンダードアミン誘導体と、帯電防止剤とを含んでなり、当該フィルムの少なくとも一方の表面の表面抵抗値が1013Ω/□以下であり、引張破断伸びが100%以上であり、かつ、フィルム全体を溶融して得られる樹脂組成物のメルトフローレート(JIS K7210、230℃、2.16kgf)が40g/10分以上である難燃性樹脂フィルム。
(2)酸素指数が26.0以上である(1)に記載の難燃性樹脂フィルム。
(3)少なくとも表面層と中間層を有する積層構成からなる(1)又は(2)に記載の難燃性樹脂フィルム。
また、本発明の別の要旨は、以下の通りである。
(4)フィルム全体として、ポリプロピレン系樹脂と、熱可塑性エラストマーと、NOR型ヒンダードアミン誘導体と、帯電防止剤とを含んでなるフィルムを製造した後、当該フィルムに放射線を照射することを特徴とする難燃性樹脂フィルムの製造方法。
(5)前記放射線が、電子線である(4)に記載の難燃性樹脂フィルムの製造方法。
(6)前記電子線のエネルギーが、30〜500kGyである(5)に記載の難燃性樹脂フィルムの製造方法。
本発明の難燃性樹脂フィルムによれば、高度な難燃性を有し、かつ帯電防止性及び機械強度に優れる難燃性樹脂フィルムを提供することができる。
また、本発明の難燃性樹脂フィルムの製造方法によれば、高度な難燃性を有する該難燃
性樹脂フィルムを効果的かつ効率的に製造する方法を提供することができる。
[ポリプロピレン系樹脂]
本発明において用いられるポリプロピレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、プロピレンの単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレンとエチレンまたは他のα−オレフィンとのランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)、またはブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)、ゴム成分を含むブロック共重合体あるいはグラフト共重合体等を用いることができる。
[熱可塑性エラストマー]
本発明において用いられる熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されないが、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーが好ましく、例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム及びアクリロニトリル−イソプレンゴム等のジエン系ゴム(エラストマー)、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン非共役ジエンゴム、エチレン−ブタジエン共重合体ゴム、結晶融解熱(ΔH)が100g/J以下である低結晶性プロピレン単独重合体、多段重合法によって得られるポリオレフィン、上記に挙げたゴム(成分)とポリエチレン樹脂及び/またはポリプロピレン樹脂との混合物を動的架橋して得られるポリオレフィン等が挙げられる。
なお、前記結晶融解熱(ΔH)とは、示差走査熱量計(DSC)を用いて、10℃/分の速度で溶解したときの融解ピーク面積より計算した値のことであり、また、前記の多段重合法によって得られるポリオレフィンとは、反応器中で(i)ハードセグメントと、(ii)ソフトセグメントとが2段階以上で多段重合されてなる共重合体である。(i)ハードセグメントとしては、プロピレン単独重合体ブロック、あるいはプロピレンとα−オレフィンとの共重合体ブロック、例えば、プロピレン/エチレン、プロピレン/1−ブテン、プロピレン/エチレン/1−ブテン等の2元又は3元共重合体ブロックが挙げられる。 また、(ii)ソフトセグメントとしては、エチレン単独重合体ブロック、あるいはエチレンとα−オレフィンとの共重合体ブロック、例えば、エチレン/プロピレン、エチレン/1−ブテン、エチレン/プロピレン/1−ブテン等の2元又は3元共重合体ブロックが挙げられる。
[NOR型ヒンダードアミン誘導体]
本発明において用いられるNOR型ヒンダードアミン誘導体としては、特に限定されず、ピペリジン環のイミノ基(>N−H)のHがアルコキシル基(−OR)に置換されたヒンダードアミン系化合物の誘導体であればいずれも用いられる。
[帯電防止剤]
本発明において用いられる帯電防止剤としては、特に限定されないが、アニオン系帯電防止剤、カチオン系帯電防止剤及び両性帯電防止剤等のイオン系帯電防止剤、非イオン系帯電防止剤、並びにポリマー型帯電防止剤等が挙げられる。
この種の帯電防止剤としては、以下のものが挙げられる。
カチオン性帯電防止剤としては第4級アンモニウム塩型スチレン系重合体(ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等)、第4級アンモニウム塩型アミノアルキル(メタ)アクリレート重合体(ポリジメチルアミノエチルメタクリレート4級アンモニウム塩化合物等)、第4級アンモニウム塩型ジアリルアミン重合体(ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド等)等の第4級アンモニウム塩を有する化合物が挙げられる。
アニオン系帯電防止剤としてはアルキルスルホネート、スルホン酸塩型スチレン系重合体(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム等)等のスルホン酸塩を有する化合物が挙げられる。両性帯電防止剤としてはアルキルベタイン型、アルキルイミダゾリン型、アルキルアラニン型化合物が挙げられる。
非イオン系帯電防止剤としてはアルキレンオキサイド単独重合体、アルキレンオキサイド共重合体、脂肪族アルコール・アルキレンオキサイド付加物、長鎖脂肪族置換フェノール・アルキレンオキサイド付加重合物、多価アルコール脂肪族エステルが挙げられる。
ポリマー型帯電防止剤としては、例えば、ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体を構成成分とするポリマー型帯電防止剤を挙げることができる。当該帯電防止剤は、ポリオレフィン(a)のブロックと、体積固有抵抗値が10〜1011Ω・cmの親水性ポリマー(b)のブロックとが、繰り返し交互に結合した構造を有することを特徴とするポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体を構成成分とし、帯電防止性能を有し、溶融加工可能なものである。
このようなポリマー型帯電防止剤は、一般的には、高濃度のポリエーテルブロックを含む種々の高分子物質であり、ポリエーテルに沿ったイオン導電により、10〜1013Ω/□の表面固有抵抗を生じる。このようなイオン導電性のポリマー型帯電防止剤のイオン種としては、ナトリウム、リチウム、カリウムなどがある。
その他の帯電防止剤としては、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムなどのリチウム塩化合物、酸化錫インジウム、アンチモンドープ酸化錫、アンチモン酸亜鉛、酸化アンチモン等の金属酸化物、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリピロ−ル、ポリチオフェン、ポリビニルカルバゾ−ル等の導電性高分子、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、鉛、チタン、モリブデン、タンタル、ニオブ、金、白金等の金属フィラー、界面活性剤、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等が挙げられる。これらの帯電防止材は1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
[積層構成]
本発明の難燃性樹脂フィルムは、フィルム全体として、ポリプロピレン系樹脂と、熱可塑性エラストマーと、NOR型ヒンダードアミン誘導体と、帯電防止剤とを含んでなる。ここで、「フィルム全体として・・・含んでなる」、とは、本発明の難燃性樹脂フィルムが積層構成である場合には、フィルムの全層のいずれかにおいて、ポリプロピレン系樹脂、熱可塑性エラストマー、NOR型ヒンダードアミン誘導体、帯電防止剤が含まれていればよいという意味である。従って、例えば表面層と中間層の樹脂組成を変えることにより、各層において一部の要素を欠いていても、全層として見た場合に、ポリプロピレン系樹脂、熱可塑性エラストマー、NOR型ヒンダードアミン誘導体、帯電防止剤を全て含んでいればよい。
本発明の難燃性樹脂フィルムを積層構成とすることにより、難燃性や機械特性等のフィルム全体としての特性と、帯電防止性等の表面特性とをバランスよく設計することができる。このような積層構成とする場合、樹脂成分としては、表面のベタツキを押さえるという観点から、表面層はポリプロピレン系樹脂を主成分として構成し、中間層はポリプロピレン系樹脂と熱可塑性エラストマーとのブレンドを主成分として構成することが好ましい。また、帯電防止剤としては、帯電防止効果を効率よく発揮させる観点から、表面層に多く含むように構成することが好ましい。
本発明において、上述のポリプロピレン系樹脂と、熱可塑性エラストマーと、NOR型ヒンダードアミン誘導体と、帯電防止剤の4成分の合計含有量は、難燃性樹脂フィルム全体の80〜100質量%であることが好ましい。
本発明の難燃性樹脂フィルムには、上述の成分の他に、必要に応じて、他の合成樹脂や各種添加剤を含有することができ、例えば熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、アンチブロッキング剤及び着色剤等を使用することができる。
前記他の合成樹脂としては、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)やスチレン−ブタジエンブロック共重合体等のスチレン−ブタジエン系熱可塑性エラストマー及びスチレン−イソプレン共重合ゴム等のスチレン系熱可塑性エラストマー(これらの水素添加物を含む)が挙げられる。
[組成比]
本発明の難燃性樹脂フィルムは、フィルム全体としてポリプロピレン系樹脂と、熱可塑性エラストマーと、NOR型ヒンダードアミン誘導体と、帯電防止剤とを含んでなる。ここで、フィルム全体として、ポリプロピレン系樹脂と熱可塑性エラストマーとのブレンドは質量比で95/5〜5/95であることが好ましい。当該範囲内とすることによって、フィルムの機械的強度と柔軟性を兼ね備えることができる。中でもポリプロピレン系樹脂/熱可塑性エラストマー=60/40〜20/80(質量比)の範囲内とすることが好ましい。熱可塑性エラストマーを当該範囲とすることによって、加工性を損なわずに充分な柔軟性を付与することができる。なお、積層構成とする場合には、表面層はポリプロピレン系樹脂のみ、あるいはポリプロピレン系樹脂の割合を多く配合し、中層には熱可塑性エラストマーを多く配合することが好ましい。このように表面層と中層の比率を変えることによって、表面のベタツキを押さえる効果を優位に発揮することができる。
またフィルム全体として、ポリプロピレン系樹脂と熱可塑性エラストマーの計100質量部に対して、NOR型ヒンダードアミン誘導体は0.5〜3.0質量部含有することが好ましい。当該範囲内とすることによって、フィルムの難燃性を優位に発揮することができる。中でも、好ましくは0.5〜2重量部、特に好ましくは0.5〜1.5重量部である。当該範囲内とすることによって、フィルムの加工性を損なわずに充分な難燃性を付与することができる。なお、積層構成とする場合には、難燃性を的確に発揮する観点からNOR型ヒンダードアミン誘導体は全層に含まれるように配合することが好ましい。
本発明の難燃性樹脂フィルムとして、ポリ塩化ビニル系樹脂や、ハロゲン化合物等の難燃剤を含有しないように設計すれば、廃棄時の有害ガス発生を抑えることができる。
[フィルムの表面抵抗値]
本発明の難燃性樹脂フィルムは、少なくとも一方の表面の表面抵抗値が1013Ω/□以下であることが重要である。表面抵抗値が1013Ω/□以下であれば、他素材との摩擦による静電気の発生を抑えるという効果を優位に発揮することができる。中でも当該難燃性樹脂フィルムを床の養生に使用した際にそのフィルムの上を摩擦させながら移動した際に発生する静電気を抑えるという観点から、5×1012Ω/□以下が好ましい。
[引張破断伸び]
本発明の難燃性樹脂フィルムは、引張破断伸び(%)(JIS K7127、23℃、60%R.H.引張速度300mm/分)が100%以上であることが重要である。引張破断伸びが100%以上であれば、機械的強度が充分であり、当該フィルムが引っ張られ伸びた際に破れにくいという点で優位性を発揮することができる。中でも局部的に引っ張られた時の破れにくさという観点から、200%以上が好ましく、特に300%以上であることが好ましい。
[酸素指数]
本発明の難燃性樹脂フィルムは、酸素指数が26.0以上であることが好ましい。酸素指数が26.0以上であれば、消防法において不燃性または、難燃性を有するものとして取り扱われ、指定可燃物に該当せず、保管方法や保管数量の制約を受けない。
[メルトフローレート]
本発明においては、フィルム全体を溶融して得られる樹脂組成物のメルトフローレート(JIS K7210、230℃、2.16kgf)が40g/10分以上であることが重要である。ここで、「フィルム全体を溶融して得られる樹脂組成物」とは、本発明の難燃性樹脂フィルムが積層構成である場合も含めて、最終形態であるフィルム全体を一旦溶融して得られる樹脂組成物のことである。従って、後述のようにフィルムに放射線照射を行う場合には、放射線照射後のフィルムを溶融して得られる樹脂組成物を意味する。
当該樹脂組成物のメルトフローレートが40g/10分以上であれば難燃性を充分に発揮できる。また上限としては特に制限はないが、好ましくは200g/10分以下である。200g/10分以下であれば分子量が小さ過ぎることがなく、フィルム強度が充分な値に設計できる。
[フィルムの厚み]
本発明の好ましい態様においては、該難燃性樹脂フィルムの厚みは、0.03〜0.4mmであり、更に好ましくは、0.06〜0.15mmである。0.03mm以上であればフィルムが破れやすくなることはなく、また0.4mm以下であればフィルムの柔軟性が損なわれることがない。
次に、本発明の難燃性樹脂フィルムの製造方法を説明する。
本発明の難燃性樹脂フィルムの製造方法は、フィルム全体として、ポリプロピレン系樹脂と、熱可塑性エラストマーと、NOR型ヒンダードアミン誘導体と、帯電防止剤とを含んでなるフィルムを製造する工程と、得られたフィルムに放射線を照射する工程とを有する。
前記フィルムを製造する工程においては、Tダイ押出し成形法等の押出し成形法、インフレーション成形法及びカレンダー成形法等の一般的なポリオレフィン系樹脂フィルムの成形方法が用いられるが、特に本発明で用いるポリオレフィン系樹脂は押出し成形機が適している。尚、押出しの際の樹脂組成物のメルトフローレートは、1〜20g/10分、好ましくは、5〜15g/10分である。樹脂組成物のメルトフローレートが1g/10分以上であれば溶融粘度が高くなり過ぎることがなく押出加工性が良好であり、20g/10分以下であれば溶融粘度が低くなり過ぎることがなく流動性が良好で加工性に優れるためである。
前記フィルムに放射線を照射する工程においては、照射方法は特に限定されず、公知の照射装置を用いることができるが、効果的にポリプロピレン系樹脂、オレフィン系エラストマーの分子鎖を切断し、分子量を低下させMFRを上げることができるという観点から、前記放射線が電子線であることが好ましい。
また、電子線照射を行う場合の電子線のエネルギーは、30〜500kGyであることが好ましい。前記電気線のエネルギーを30kGy以上とすることによってポリプロピレン系樹脂、オレフィン系エラストマーの分子鎖が切断され分子量が低下し、樹脂組成物のMFRが40g/10分以上となり、優位に難燃性を発揮できるようになる。また500kGy以下であれば充分なフィルム強度が得られる。
前記電子線照射装置としては、例えば、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の電子線照射装置を用いることができる。
こうして得られる本発明の難燃性樹脂フィルムは、帯電防止性、機械的強度及び柔軟性に優れ、且つフィルム表面のベタ付き感がない。また、高度な難燃性を兼ね添えるものであることから、特に、電気・電子製品、自動車、建築部材等の高度な難燃性を要求する分野において好ましく用いられる。
以下、本発明の実施形態を実施例を用いて詳述するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1〜3、比較例1〜5>
各々表1に記載されている配合に従い、各実施例及び比較例、第1層(表面層)、第2層(中間層)、第3層(表面層)の順で積層された3層構造のフィルムとした。各層に用いられる樹脂及び配合剤は、ペレット状態でドライブレンドし、東芝機械製単軸押出機(50φmm、L/D=32)のホッパーに、ブレンドした原料を投入し、押出機温度をC1:210℃、C2:240℃、C3:240℃、C4:240℃、C5:240℃のように設定し、550mm幅Tダイ(温度設定240℃ リップ開度0.3mm)から押出した。
押出された溶融樹脂は、冷却ロールを備えた巻き取り機(冷却ロール700mm幅×φ350mm、ロール温度30℃)にて冷却固化、巻取りしてフィルムとし、その後、当該フィルムにELECTRO CURTAIN CB170(アイグラフィックス社)を用い加速電圧50kVで電子線照射することで実施例1〜3および比較例1〜5のフィルムを各々得た。
評価項目は、得られた各フィルムについて、以下の要領で評価を行った。
<評価>
(1)メルトフローレート
電子線照射を行った後のフィルムを一旦溶融して得られた樹脂組成物について、メルトフローレートをJIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に従って測定した。
(2)フィルム成形性
フィルム成形時の加工性、フィルム外観を確認し、良好なものは○、ひどく劣るもの、フィルム化できないものは×で示した。×は実用に供することができない。
(3)難燃性(酸素指数)
フィルムから試験片(寸法:長さ130mm、幅65mm)を採取し、この試験片をJIS K7201の酸素指数法による高分子材料の燃焼試験方法に準じて燃焼させ、試験片の燃焼時間が3分以上継続して燃焼するか、または着炎後の燃焼長さが50mm以上燃え続けるのに必要な酸素流量とその時の窒素流量を流量計にて測定し、下記式(A)により酸素指数を求め、該酸素指数で難燃性を評価した。なお、酸素指数の値は大きいほど難燃性が高い。
酸素指数(O.I.)={[O2]/([O2]+[N2])}×100 ・・・(A)
(式中、[O2]は酸素の流量(l/分)、[N2]は窒素の流量(l/分)である。)
(4)帯電防止性
ダイアインスツルメンツ社製ハイレスタUP高抵抗率計(MCP−HT450)により第1層(表面層)の表面抵抗値(Ω/□)を測定した。引加電圧1000V、電極は2重リング法(URSプローブ)を使用し、電圧印加後60秒後の値を測定値として採用した。なお、表面抵抗値が1013Ω/□以下であれば本発明の範囲内である。
(5)強度(引張破断伸び)
JIS K7127に従い、フィルムから採取した試験片を23℃、60%R.H.の雰囲気下、引張試験機にて引張速度300mm/分で引張破断伸び(%)を測定した。なお、引張破断伸びが100%以上であれば本発明の範囲内である。
Figure 2012097188
尚、実施例、比較例において各樹脂および配合剤は、具体的にはそれぞれ次の通りである。
PP;ホモPP(日本ポリプロ(株)社製、ノバテックPP MA3U MFR15.5g/min)
エラストマー;オレフィン系エラストマー(サンアロマー(株)社製、キャタロイ C200F MFR6g/min)
NOR;NOR型ヒンダードアミン誘導体(BASF社製 FLAMESTAB NOR116FF)
帯電防止剤(A);非イオン系帯電防止剤(花王社製 エレストマスター1215)
帯電防止剤(B);ポリマー型帯電防止剤(三洋化成工業社製 ペレスタットVH230)
本発明に係る樹脂組成物は押出成形により外観の良好なフィルムを作成することができ、得られた本発明のフィルムは、難燃性、帯電防止性及び強度に優れるものであった(実施例1〜3)。
これに対し、比較例1のフィルムは、帯電防止性に劣るものであった。比較例2、4のフィルムは、強度は優れるものの、難燃性が劣るものであった。比較例3のフィルムは、難燃性は優れるものの、強度が劣るものであった。比較例5は加工性が悪く、外観の良いフィルムが得られなかった。

Claims (6)

  1. フィルム全体として、ポリプロピレン系樹脂と、熱可塑性エラストマーと、NOR型ヒンダードアミン誘導体と、帯電防止剤とを含んでなり、当該フィルムの少なくとも一方の表面の表面抵抗値が1013Ω/□以下であり、引張破断伸びが100%以上であり、かつ、フィルム全体を溶融して得られる樹脂組成物のメルトフローレート(JIS K7210、230℃、2.16kgf)が40g/10分以上である難燃性樹脂フィルム。
  2. 酸素指数が26.0以上である請求項1に記載の難燃性樹脂フィルム。
  3. 少なくとも表面層と中間層を有する積層構成からなる請求項1又は2に記載の難燃性樹脂フィルム。
  4. フィルム全体として、ポリプロピレン系樹脂と、熱可塑性エラストマーと、NOR型ヒンダードアミン誘導体と、帯電防止剤とを含んでなるフィルムを製造した後、当該フィルムに放射線を照射することを特徴とする難燃性樹脂フィルムの製造方法。
  5. 前記放射線が、電子線である請求項4に記載の難燃性樹脂フィルムの製造方法。
  6. 前記電子線のエネルギーが、30〜500kGyである請求項5に記載の難燃性樹脂フィルムの製造方法。
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