JP2012097188A - 難燃性樹脂フィルム及びそのフィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】難燃性樹脂フィルムは、フィルム全体として、ポリプロピレン系樹脂と、熱可塑性エラストマーと、NOR型ヒンダードアミン誘導体と、帯電防止剤とを含んでなり、当該フィルムの少なくとも一方の表面の表面抵抗値が1013Ω/□以下であり、引張破断伸びが100%以上であり、かつ、フィルム全体を溶融して得られる樹脂組成物のメルトフローレート(JIS K7210、230℃、2.16kgf)が40g/10分以上である。
【選択図】なし
Description
にある。
性樹脂フィルムを効果的かつ効率的に製造する方法を提供することができる。
本発明において用いられるポリプロピレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、プロピレンの単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレンとエチレンまたは他のα−オレフィンとのランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)、またはブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)、ゴム成分を含むブロック共重合体あるいはグラフト共重合体等を用いることができる。
本発明において用いられる熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されないが、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーが好ましく、例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム及びアクリロニトリル−イソプレンゴム等のジエン系ゴム(エラストマー)、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン非共役ジエンゴム、エチレン−ブタジエン共重合体ゴム、結晶融解熱(ΔH)が100g/J以下である低結晶性プロピレン単独重合体、多段重合法によって得られるポリオレフィン、上記に挙げたゴム(成分)とポリエチレン樹脂及び/またはポリプロピレン樹脂との混合物を動的架橋して得られるポリオレフィン等が挙げられる。
本発明において用いられるNOR型ヒンダードアミン誘導体としては、特に限定されず、ピペリジン環のイミノ基(>N−H)のHがアルコキシル基(−OR)に置換されたヒンダードアミン系化合物の誘導体であればいずれも用いられる。
本発明において用いられる帯電防止剤としては、特に限定されないが、アニオン系帯電防止剤、カチオン系帯電防止剤及び両性帯電防止剤等のイオン系帯電防止剤、非イオン系帯電防止剤、並びにポリマー型帯電防止剤等が挙げられる。
この種の帯電防止剤としては、以下のものが挙げられる。
本発明の難燃性樹脂フィルムは、フィルム全体として、ポリプロピレン系樹脂と、熱可塑性エラストマーと、NOR型ヒンダードアミン誘導体と、帯電防止剤とを含んでなる。ここで、「フィルム全体として・・・含んでなる」、とは、本発明の難燃性樹脂フィルムが積層構成である場合には、フィルムの全層のいずれかにおいて、ポリプロピレン系樹脂、熱可塑性エラストマー、NOR型ヒンダードアミン誘導体、帯電防止剤が含まれていればよいという意味である。従って、例えば表面層と中間層の樹脂組成を変えることにより、各層において一部の要素を欠いていても、全層として見た場合に、ポリプロピレン系樹脂、熱可塑性エラストマー、NOR型ヒンダードアミン誘導体、帯電防止剤を全て含んでいればよい。
本発明の難燃性樹脂フィルムは、フィルム全体としてポリプロピレン系樹脂と、熱可塑性エラストマーと、NOR型ヒンダードアミン誘導体と、帯電防止剤とを含んでなる。ここで、フィルム全体として、ポリプロピレン系樹脂と熱可塑性エラストマーとのブレンドは質量比で95/5〜5/95であることが好ましい。当該範囲内とすることによって、フィルムの機械的強度と柔軟性を兼ね備えることができる。中でもポリプロピレン系樹脂/熱可塑性エラストマー=60/40〜20/80(質量比)の範囲内とすることが好ましい。熱可塑性エラストマーを当該範囲とすることによって、加工性を損なわずに充分な柔軟性を付与することができる。なお、積層構成とする場合には、表面層はポリプロピレン系樹脂のみ、あるいはポリプロピレン系樹脂の割合を多く配合し、中層には熱可塑性エラストマーを多く配合することが好ましい。このように表面層と中層の比率を変えることによって、表面のベタツキを押さえる効果を優位に発揮することができる。
本発明の難燃性樹脂フィルムは、少なくとも一方の表面の表面抵抗値が1013Ω/□以下であることが重要である。表面抵抗値が1013Ω/□以下であれば、他素材との摩擦による静電気の発生を抑えるという効果を優位に発揮することができる。中でも当該難燃性樹脂フィルムを床の養生に使用した際にそのフィルムの上を摩擦させながら移動した際に発生する静電気を抑えるという観点から、5×1012Ω/□以下が好ましい。
本発明の難燃性樹脂フィルムは、引張破断伸び(%)(JIS K7127、23℃、60%R.H.引張速度300mm/分)が100%以上であることが重要である。引張破断伸びが100%以上であれば、機械的強度が充分であり、当該フィルムが引っ張られ伸びた際に破れにくいという点で優位性を発揮することができる。中でも局部的に引っ張られた時の破れにくさという観点から、200%以上が好ましく、特に300%以上であることが好ましい。
本発明の難燃性樹脂フィルムは、酸素指数が26.0以上であることが好ましい。酸素指数が26.0以上であれば、消防法において不燃性または、難燃性を有するものとして取り扱われ、指定可燃物に該当せず、保管方法や保管数量の制約を受けない。
本発明においては、フィルム全体を溶融して得られる樹脂組成物のメルトフローレート(JIS K7210、230℃、2.16kgf)が40g/10分以上であることが重要である。ここで、「フィルム全体を溶融して得られる樹脂組成物」とは、本発明の難燃性樹脂フィルムが積層構成である場合も含めて、最終形態であるフィルム全体を一旦溶融して得られる樹脂組成物のことである。従って、後述のようにフィルムに放射線照射を行う場合には、放射線照射後のフィルムを溶融して得られる樹脂組成物を意味する。
本発明の好ましい態様においては、該難燃性樹脂フィルムの厚みは、0.03〜0.4mmであり、更に好ましくは、0.06〜0.15mmである。0.03mm以上であればフィルムが破れやすくなることはなく、また0.4mm以下であればフィルムの柔軟性が損なわれることがない。
各々表1に記載されている配合に従い、各実施例及び比較例、第1層(表面層)、第2層(中間層)、第3層(表面層)の順で積層された3層構造のフィルムとした。各層に用いられる樹脂及び配合剤は、ペレット状態でドライブレンドし、東芝機械製単軸押出機(50φmm、L/D=32)のホッパーに、ブレンドした原料を投入し、押出機温度をC1:210℃、C2:240℃、C3:240℃、C4:240℃、C5:240℃のように設定し、550mm幅Tダイ(温度設定240℃ リップ開度0.3mm)から押出した。
押出された溶融樹脂は、冷却ロールを備えた巻き取り機(冷却ロール700mm幅×φ350mm、ロール温度30℃)にて冷却固化、巻取りしてフィルムとし、その後、当該フィルムにELECTRO CURTAIN CB170(アイグラフィックス社)を用い加速電圧50kVで電子線照射することで実施例1〜3および比較例1〜5のフィルムを各々得た。
(1)メルトフローレート
電子線照射を行った後のフィルムを一旦溶融して得られた樹脂組成物について、メルトフローレートをJIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に従って測定した。
フィルム成形時の加工性、フィルム外観を確認し、良好なものは○、ひどく劣るもの、フィルム化できないものは×で示した。×は実用に供することができない。
フィルムから試験片(寸法:長さ130mm、幅65mm)を採取し、この試験片をJIS K7201の酸素指数法による高分子材料の燃焼試験方法に準じて燃焼させ、試験片の燃焼時間が3分以上継続して燃焼するか、または着炎後の燃焼長さが50mm以上燃え続けるのに必要な酸素流量とその時の窒素流量を流量計にて測定し、下記式(A)により酸素指数を求め、該酸素指数で難燃性を評価した。なお、酸素指数の値は大きいほど難燃性が高い。
(式中、[O2]は酸素の流量(l/分)、[N2]は窒素の流量(l/分)である。)
(4)帯電防止性
ダイアインスツルメンツ社製ハイレスタUP高抵抗率計(MCP−HT450)により第1層(表面層)の表面抵抗値(Ω/□)を測定した。引加電圧1000V、電極は2重リング法(URSプローブ)を使用し、電圧印加後60秒後の値を測定値として採用した。なお、表面抵抗値が1013Ω/□以下であれば本発明の範囲内である。
JIS K7127に従い、フィルムから採取した試験片を23℃、60%R.H.の雰囲気下、引張試験機にて引張速度300mm/分で引張破断伸び(%)を測定した。なお、引張破断伸びが100%以上であれば本発明の範囲内である。
エラストマー;オレフィン系エラストマー(サンアロマー(株)社製、キャタロイ C200F MFR6g/min)
NOR;NOR型ヒンダードアミン誘導体(BASF社製 FLAMESTAB NOR116FF)
帯電防止剤(A);非イオン系帯電防止剤(花王社製 エレストマスター1215)
帯電防止剤(B);ポリマー型帯電防止剤(三洋化成工業社製 ペレスタットVH230)
Claims (6)
- フィルム全体として、ポリプロピレン系樹脂と、熱可塑性エラストマーと、NOR型ヒンダードアミン誘導体と、帯電防止剤とを含んでなり、当該フィルムの少なくとも一方の表面の表面抵抗値が1013Ω/□以下であり、引張破断伸びが100%以上であり、かつ、フィルム全体を溶融して得られる樹脂組成物のメルトフローレート(JIS K7210、230℃、2.16kgf)が40g/10分以上である難燃性樹脂フィルム。
- 酸素指数が26.0以上である請求項1に記載の難燃性樹脂フィルム。
- 少なくとも表面層と中間層を有する積層構成からなる請求項1又は2に記載の難燃性樹脂フィルム。
- フィルム全体として、ポリプロピレン系樹脂と、熱可塑性エラストマーと、NOR型ヒンダードアミン誘導体と、帯電防止剤とを含んでなるフィルムを製造した後、当該フィルムに放射線を照射することを特徴とする難燃性樹脂フィルムの製造方法。
- 前記放射線が、電子線である請求項4に記載の難燃性樹脂フィルムの製造方法。
- 前記電子線のエネルギーが、30〜500kGyである請求項5に記載の難燃性樹脂フィルムの製造方法。
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