JP2004238482A - 自己消火性シートおよび原子力発電所用養生シート - Google Patents

自己消火性シートおよび原子力発電所用養生シート Download PDF

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智司 宮本
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Abstract

【課題】自己消火性と強度とを備え、透明性に優れ、生産性も良好であり、かつ、焼却処分で灰分の発生や焼却施設の損傷や焼却炉フィルターの目詰まりを起こさない自己消火性シートおよび養生シートを得る。
【解決手段】自己消火性シートを、ポリプロピレンホモポリマー樹脂に難燃剤としてNOR型光安定剤を配合してなる構成とする。これにより、難燃剤の添加量を極めて少量としながら、実用上充分なレベルの自己消火性を引き出すことができ、高い透明性をも得ることができる。リン系、ハロゲン系の化合物、金属水和物、金属酸化物などの一般的な難燃剤を使用しないので、焼却時の灰分がゼロであり、焼却施設の損傷や焼却炉フィルターの目詰まりを来さない。従来のエチレン−酢酸ビニール樹脂製のシートに比較して極めて耐熱性が高く、またポリウレタン主体のシートに比較して極めて低コストであり、加工の際にも特殊な加工機を要さず簡単に成膜出来るなど、生産性も非常に高い。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自己消火性シートおよび原子力発電所用養生シートに関し、特に自己消火性を備えるのみならず、透明性に優れ、使用後の焼却処分で灰分の発生が殆どない自己消火性シートおよび原子力発電所用養生シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、原子力発電所の格納容器及びその周辺の区域で実施される定期点検や修理の際には、機器、床、壁等を被覆したり、特定のエリアを仕切るためにシート類が使用されている。使用済みのシート類は放射性物質により汚染されている懸念があるため、密閉容器に詰めて保管したり、焼却して減容化している。焼却は容易に減容可能な方法であり、現状では有効な手段となっている。
【0003】
減容化のためにはシート類を基本的に酸素、炭素、窒素、水素の4元素で構成するのが望ましいのであるが、これらの元素は燃え易いため、使用時における難燃性を付与するために難燃剤、一般にはハロゲン系化合物、三酸化アンチモン、金属水和物などが添加されている。
【0004】
しかしこれらの難燃剤は何れも焼却によって多量の灰を発生し、塩素系化合物などである場合には焼却設備の損傷の問題も発生する。そこで、酸素、炭素、窒素、水素の4元素で構成された化合物の化合物特性によって難燃化を図る技術や、新しいタイプの難燃剤を用いる技術が提案されている。
【0005】
たとえば、原子力発電所の定期修理時などに使用される養生シートとして、ポリウレタン樹脂を主体とし、エチレン−酢酸ビニール共重合体を加えた樹脂100重量部に対し、ジシアンジアミド、ヒドラゾジカルボンアミド、メラミンシアヌレート等を5〜80重量部配合した自己消火性シートが提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
ポリオレフィンとポリウレタンをそれぞれ分散させたディスパージョンの混合物100質量部にジシアンジアミドを20〜200質量部配合した自己消火性シートも提案されている(特許文献2参照)。ディスパージョンとすることで異質の樹脂をミクロ分散させ、ポリマーアロイを可能にした点に特徴がある。
【0007】
また、極性基を持ったエチレン共重合体に燐酸塩系化合物を30〜200部添加したものや(特許文献3参照)、酢酸ビニールを8〜28重量%含んだエチレン−酢酸ビニール共重合体100重量部に対し、赤燐3〜10部と硫酸メラミン7〜25部を配合したもの(特許文献4参照)が提案されている。
【0008】
エチレン含有率が65〜95質量%のエチレン−酢酸ビニール共重合体100重量部に対し、メラミンシアヌレートを20〜100質量部、白色コーティングした赤燐を赤燐成分量で2〜10質量部加えた材料で層を形成し、その一方の面にエチレンまたはポリプロピレンの層を設けた養生シート(特許文献5参照)も提案されている。エチレンまたはポリプロピレン等の層を設ける理由は機械強度の向上にある。
【0009】
さらに、ポリプロピレンにNOR型光安定剤(ヒンダードアミン系安定剤(N−alkoxy hindered amine))と燐系酸化防止剤とを配合した難燃性フィルム(特許文献6参照)が提案されている。
【0010】
NOR型光安定剤は本来、耐候助剤として用いられるものであるが、紫外線によって発生するラジカルをトラップする作用を有することが知られており、その難燃効果については、ポリオレフィンのための難燃剤として臭素系難燃剤との併用で画期的相乗効果を示し、またリン系難燃剤との併用で凝縮相での反応を促進してチャーの生成を助ける等の記述が見られる(非特許文献1参照)。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−226702号公報
【0012】
【特許文献2】
特開2001−47567号公報
【0013】
【特許文献3】
特開2000−53836号公報
【0014】
【特許文献4】
特開平10−182895号公報
【0015】
【特許文献5】
特開2002−127323号公報
【0016】
【特許文献6】
特開2002−121333号公報
【0017】
【非特許文献1】
西沢 仁、武田 邦彦著、「難燃化技術の現状と今後の展望−2.2.3 相乗効果を生かした難燃化技術」、難燃材料活用便覧、テクノネット社、2002年5月25日、第1巻、p14−15
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
原子力発電所の定期修理時などに用いられる養生シートは、自己消火性を有すること、強度があること、が最低条件である。事後の焼却処分で灰分を発生しないこと、焼却施設や焼却炉フィルターに障害を起こさないこと、また使い捨てであるためコストも重要な条件である。さらに、汚染エリアの仕切や放射性物質の付着を防ぐ目的で機器、床、壁等を被覆するものであるため、一般的な建築工事現場などで使用される養生シートや養生メッシュシートが目隠しを目的の一つとするのとは逆に、透明性が非常に重要な条件である。
【0019】
不透明な養生シートで機器を被覆した場合、作業者には機器の大きさが認識しにくく、作業中に工具などをぶつけてしまう等の不都合が起きやすい。床を被覆した場合には、床面の凹凸が分かり難く、作業者が躓きやすい。うっかり工具などの上に養生シートを被せた場合には、工具がどこにあるのかわからなくなる。最も重大なことは、汚染度の高いエリアを仕切るために養生シートを用いる場合に、不透明であれば中の作業の様子が分かりにくく、万一の事故や作業者の急病などの発見が遅れてしまう恐れがあることである。
【0020】
しかし上記した条件を全て満たすシート類はまだ無いのが現状である。たとえば、特許文献1に記載された養生シートでは、主体となるポリウレタン樹脂は汎用プラスチックの中でも摩耗性、伸度、柔らかさに優れているものの、樹脂価格が高い問題がある。Tダイ法、インフレーション法などにより成膜する場合には、最適条件を設定するまでに多量の樹脂吐出ロスが発生し、結果的に製品価格が高くなってしまう。カレンダー法による成膜では、厚みを薄くする事が困難であり、必然的に製品価格が高くなってしまう。
【0021】
特許文献2に記載された養生シートは、ディスパージョンを用いるため、成膜に当たり分散媒である水を取り除く必要があり、そのための乾燥工程を必要とするのであるが、その乾燥工程において非常に乾燥しにくく、且つ乾燥された膜(シート)には水の抜けた跡がミクロの気泡として残り、密度の低い、強度の低いものとなる。透明性も不充分となる。
【0022】
特許文献3,特許文献4,特許文献5,特許文献6に記載されたシートあるいはフィルムは、燐成分を含んでいるため、焼却炉フィルターの目詰まりを来たす。また燐成分や硫酸メラミンにより着色されて不透明となる。特許文献5に記載された養生シートでは赤燐による強い赤みの着色を抑えるために白色のコーティングを行う手法が採られているのであるが、やはり透明性が無くなる。
【0023】
このため、自己消火性と強度とを備え、透明性に優れ、生産性も良好であり、かつ、焼却処分で灰分の発生や焼却施設の損傷や焼却炉フィルターの目詰まりを起こさない自己消火性シート、養生シートが課題となっている。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく、金属系、ハロゲン系、リン系の難燃剤の使用を排除して、透明で自己消火性のある材料の検討を行ない、リン系、臭素系難燃剤との併用で自己消火性が期待されるとの記述が見られたNOR型光安定剤に着目して、NOR型光安定剤を単独で各種樹脂に添加した場合の効果について研究した。
【0025】
各種樹脂についての処方および自己消火性の評価結果を以下の表1および表2に示す。
表1,表2中、各種樹脂およびNOR型光安定剤を略号で記載し、その詳細は表3に示した。表1,表2中、「簡易燃焼性」が自己消火性の評価結果を表わし、燃焼継続するものを×、僅かながら自己消火性が見受けられる物を△、自己消火性が認められる物を○で示した。
【0026】
自己消火性の評価は、表1,表2に記載した各処方にて厚み50μmのシートを作成し、シートから切り出した幅2cm、長さ10cmの切片を試験片として、ピンセットで摘んでほぼ垂直に保持して下端にライターにて着火し、燃焼が継続するか若しくは停止するかを確認することにより、簡易に判定した。
【0027】
試験時の空気中の酸素濃度は23.2wt%であり、自己消火性有りと判定された場合は、限界酸素指数(limited oxygen index:以下LOI値と記す)が23.2以上であることの目安となる。
【0028】
【表1】
Figure 2004238482
【0029】
【表2】
Figure 2004238482
【0030】
【表3】
Figure 2004238482
表1,表2からわかるように、NOR型光安定剤(NOR116)の添加によってポリプロピレン樹脂(PP1,PP2,PP3)の一部のものに難燃性が認められた。しかしPP1,PP2は自己消火性と言えるレベルのものではなく、PP3のみが弱い自己消火性を示したと言える。
【0031】
ポリマー構造から見ると、ポリプロピレンブロックポリマー及びポリプロピレンランダムポリマー(PP1,PP2)は極僅かの難燃性を示したものの自己消火性にはほど遠いレベルであり、ポリプロピレンホモポリマー(PP3)は弱い自己消火性を示した。
【0032】
そこで本発明者らはポリプロピレンホモポリマーに着目してさらに検討を加え、ポリプロピレンホモポリマーにおいてNOR型光安定剤によるラジカルトラップ作用が顕著に現れること、またそのNOR型光安定剤の添加部数も他の難燃剤とは異なって効果発現のピークを持ち、極めて少ない添加量で実用上充分なレベルの自己消火性を引き出すことができ、透明性をも満足させることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0033】
すなわち本発明は、ポリプロピレンホモポリマー樹脂にNOR型光安定剤を配合してなる自己消火性シートを提供する。
一般に、オレフィン系樹脂はLOI値が19〜20程度であり、通常の空気中の酸素濃度と比較して低い濃度で燃焼可能で、非常に燃えやすい材料と言える。
【0034】
ポリプロピレンホモポリマー樹脂を主体とする本発明の自己消火性シートあるいは原子力発電所用養生シートでも、炎が接触するとポリプロピレンからラジカルが発生し、燃焼開始しようとする。しかしシート中に含まれるNOR型光安定剤がラジカルトラップ作用を発揮し、燃焼を一時的に抑える。
【0035】
熱によるラジカル発生とNOR型光安定剤によるラジカルトラップとを繰り返すのであるが、その間に次第に温度が上昇して炎の近傍で溶融玉ができ、その溶融玉が速やかに落下する結果、燃焼が停止する。つまり、ラジカルが発生した部位が速やかにシートから切り離されることで難燃性(自己消火性)が発揮される原理である。
【0036】
本発明に使用するポリプロピレンホモポリマー樹脂は、成膜容易性の観点からマルトフローレート(以下、MFRと記す)が1〜20の範囲のものが適当である。このような範囲のものであれば、インフレーション法、カレンダー法、Tダイ法等によって容易に成膜することができ、特に、オレフィン樹脂の成膜方法として一般に用いられるインフレーション、Tダイ法を好適に実施できる。MFRが大きい材料にはTダイ法等が用いられるが、MFRが20を越すとダイスからの流れが大きくなりすぎ、成膜困難となる。
【0037】
一方で、MFRの大きい樹脂の方が上記した溶融玉の落下が素早くなり、MFRの大きい樹脂では着火とほぼ同時に溶融物が落下し延焼が止まるのに対し、MFRの小さい樹脂では着火後の溶融物の落下が遅く、その間に上に向かって延焼する傾向がある。MFR3以上であるのが望ましい。
【0038】
MFRが3〜20のポリプロピレンホモポリマー樹脂100質量部に対し、NOR型光安定剤0.2質量部から1.6質量部を配合するのが好ましい。
NOR型光安定剤の添加量が0.2質量部未満では、実機加工の際に分散が不均一になると限界酸素指数(LOI値)が安定せず、必要な限界酸素指数が得られず、安定した燃焼抑制効果が発揮されない。1.6質量部を越えると限界酸素指数は殆ど上昇せず、効果は飽和すると言える。
【0039】
NOR型光安定剤は価格が高く、樹脂価格のほぼ80〜100倍近い物であるため、たとえば2質量部添加するだけで配合物の単価は2.5倍から3倍近くなってしまう。自己消火性を確保しながらコストを抑えるためには、0.6質量部〜1.0質量部の添加がより好ましい。MFRは7〜10の範囲がより好ましい。
【0040】
燃焼抑制効果はシートの厚みとも関連している。厚みが大きいと、溶融が遅れ、燃焼が広がる傾向がある。原子力発電所用養生シートの場合、ワンウェイでの用途であり、厚みが大きいとそれだけ廃棄物量も増えるので好ましくない。このため原子力発電所用養生シートとしては、厚みの上限は100ミクロン程度とするのが適当である。厚みが小さいと、強度を確保できず、破れやすくなるので、下限は30ミクロン程度とするのが適当である。厚み40〜70ミクロン程度が柔らかさと強度のバランスの上で好ましい。
【0041】
原子力発電所用養生シートは、実使用時には水平方向に配置するだけでなく、部分的にあるいは全体をほぼ垂直方向に配置することも多く、垂直方向のシートに着火した場合には当然ながらより延焼し易い。このような状況を想定して、難燃性の指標である限界酸素指数が28以上となるように調整する。この限界酸素指数の値は試験的に求めたものであるが、シートを垂直に保持して下端に着火させた時に、限界酸素指数が28以上であれば燃焼は途中で停止し、限界酸素指数が28未満であれば上向きに延焼する傾向が大きい。
【0042】
また透明性を確保するために、透明度の指標であるJIS K6714で測定される曇価が40以下となるように調整する。このような曇価を有するシートであれば、機器や床等の汚染を防ぐための被覆に用いたり、特別なエリアを仕切るために用いたときに、シートの背面側を遠くまでも見ることができ、作業中の転倒等の防止や万一の場合の早急な対応が可能となる。このような高い透明性を難燃性と併せ持つことは、本発明の原子力発電所用養生シートで初めて可能になったものである。
【0043】
しかしながら、透明性に優れているがゆえに一般のポリエチレンシートなどと混同してしまう恐れがあるので、透明性を阻害しない範囲で適度な着色を行ってもよい。必ずしも透明性が要求されない場所での使用のためには、表面に凹凸を加えるなどによって、意匠性を持たせたり、逆に隠蔽性を持たせるようにしてもよい。
【0044】
難燃性(自己消火性)および透明性を阻害しない範囲で、風合いの調整の為に他のポリマーをアロイ化したり、あるいはブレンドしてもよい。また、製品の取り扱い容易性、耐久性、加工性を向上するために、スリップ剤、耐候助剤、酸化防止剤、帯電防止剤などの樹脂添加剤を加えてもよい。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を具体的な実施例および比較例を挙げて説明する。
(実施例1〜18)
ポリプロピレンホモポリマー樹脂ペレットと難燃剤としてのNOR型光安定剤とを表4に示す処方で混合し、Tダイ押し出し機(二軸押し出し機(池貝PCM−30押出機、池貝鉄工所(株)製)を用いて、ダイス温度240℃、樹脂吐出温度220℃、シリンダー温度200℃の成膜条件でシートを作成した。厚みは引っ張り調整で50μmとした。
【0046】
得られたシートの難燃性を評価するために、JIS−K 7201に示された試験方法にしたがって限界酸素指数(LOI値)を測定した。
簡略に説明すると、試験片を各種酸素濃度の雰囲気下に置き、その一端に点火器を近づけ、着火後に連続燃焼する際の酸素濃度を求めた。試験片区分はB・1号(幅2cm、長さ10cm)とし、LOI値の決定は50mm以上燃焼し続けた時とし、点火器の熱源として天然ガスを用いた。測定は(財)日本化学繊維検査協会にて行った。結果を表4に併せて示した。
【0047】
なお、表4ではポリプロピレンホモポリマー樹脂およびNOR型光安定剤を略号で示した。各略号に対応するポリプロピレン樹脂,NOR型光安定剤は次の通りである。
【0048】
PP3:日本ポリケム社製ノバテックFY6C(MFR2.4)/PP4:三井住友ポリオレフィン社製WF836DG3(MFR7.0)/PP5:日本ポリケム社製ノバテックMA2H(MFR16)/PP6:三井住友ポリオレフィン社製J108M(MFR40)/NOR116:チバガイギー社製フレームスタブNOR116。
【0049】
【表4】
Figure 2004238482
【0050】
表4からわかるように、実施例1〜18の全てで25以上のLOI値が得られており、難燃性が高く、自己消火性を備えたものと言える。MFRが大きくなるにしたがって、つまりPP3,PP4,PP5,PP6の順にLOI値が向上する傾向も見られる。
【0051】
LOI値28以上は、MFR7.0のPP4,MFR16のPP5,MFR40のPP6を用い、NOR116を少なくとも0.2質量部添加した実施例4〜9、実施例11〜18で得られている。PP4,PP5,PP6を用いた実施例7〜9,14〜18で、NOR116の添加量が1.0質量部程度になるとLOI値が安定し、1.6質量部程度で効果が飽和することもわかる。
(実施例19)
ポリプロピレンホモポリマー樹脂(日本ポリケム社製ノバテックMA2H)90質量部と特殊ポリプロピレン樹脂(住友化学製タフセレン2135)10質量部とをブレンドし、NOR116を0.6質量部添加して、上記した各実施例と同様にして成膜した。ブレンドの目的は風合いを柔らかくするためであり、ここで使用した特殊ポリプロピレン樹脂は特に柔軟性を持つものである。
【0052】
上記した各実施例と同様にしてLOI値を測定したところ、30.3という良好な結果が得られた。
<透明性>
実施例7のシート、実施例9の処方で厚みを変えて作成した実施例20,21のシートについて、透明性の指標としての曇価を測定した。また原子力発電所に於いて現在使用されているA,B,C社製の自己消火性シートをそれぞれ比較例1〜3として、ヘーズ(曇価)を測定した。結果を表5に示した。
【0053】
曇価(ヘーズ)はJIS K7105 6.4において次のように規定されている。曇価が小さいほど曇りがない。
H=Td/Ti×100
ここで、Hはヘーズ(%)、Tdは拡散透過率%、Tiは全光線透過率%である。
【0054】
測定には、日本電色工業(株)のNDH2000濁度計(曇り度計)TURBIDIMETERを用いた。
【0055】
【表5】
Figure 2004238482
比較例1〜3のシートは何れもヘーズ90程度で、透明と言うにはほど遠く、視界を遮り、背面側の物体を視認することはできなかった。これに対し、実施例7,20,21のシートは何れもヘーズ35程度までであり、比較例1〜3に比べて格段に透明性が高く、樹脂単体よりなるシートとほぼ同等の外観である。厚みが最も大きい実施例21のシートでも、背面側の物体の視認性は100m先でも良好であり、透明性が高いことが確認された。
【0056】
記載を省略するが、実施例7のシートと原子力発電所で使用されている同等厚みの従来の自己消化性シートとについて、引っ張り強度、破断時伸度、引き裂き強度を測定したところ、実施例7のシートは従来品に比べて、引っ張り強度及び引き裂き強度は若干低めであるが、破断時伸度は極めて高く、凹凸のある各種機材などの保護ラッピングの際にも伸度が高いため追従性がよく、使用に十分な強度と使い易さとを兼ね備えたものであることが確認された。
【0057】
この結果は、NOR型光安定剤の添加量が従来のシート類での難燃剤の添加量(10部以上)に比較して極めて少量であることからも容易に推察される。リンあるいはリン系、ハロゲン系の化合物、金属水和物、金属酸化物などの一般的な難燃剤を使用して透明性を確保することはこれまで殆ど不可能であった。これら以外の難燃剤として窒素系難燃剤があるが、その何れもが樹脂に添加した時には曇りを生じ、尿素系の難燃剤の一部が若干透明性に優れるものの、多量の添加を要するため充分な透明性を得ることができない。
<焼却の容易さについて>
実施例4のシート2gを試料として坩堝に入れ、ブンゼンバーナーで10分間の加熱した。坩堝内の試料は温度が上昇するにしたがって溶融し、完全に透明な液体となり、その後に燃え出した。炎は煤のない明るいオレンジ色であり、あたかもプロパノールを燃やしたような燃焼を続けた。
【0058】
加熱前後の重量変化を以下の表6に示す。燃焼後に0.01gの増量が見られるが、これは坩堝に付着したブンゼンバーナーの煤と見られ、坩堝内には残渣は見られなかった。
【0059】
【表6】
Figure 2004238482
【0060】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ポリプロピレンホモポリマー樹脂に難燃剤としてNOR型光安定剤を配合することで、難燃剤の添加量を極めて少量としながら、実用上充分なレベルの自己消火性を引き出すことができ、高い透明性をも得ることができる。
【0061】
リン系、ハロゲン系の化合物、金属水和物、金属酸化物などの一般的な難燃剤を使用する従来のシート類に比べて、灰分がゼロであり、焼却施設の損傷や焼却炉フィルターの目詰まりを来さないという利点もある。
【0062】
従来のエチレン−酢酸ビニール樹脂製のシートに比較して極めて耐熱性が高く、またポリウレタン主体のシートに比較して極めて低コストであり、加工の際にも特殊な加工機を要さず簡単に成膜出来るなど、生産性も非常に高い。

Claims (4)

  1. ポリプロピレンホモポリマー樹脂にNOR型光安定剤を配合してなる自己消火性シート。
  2. メルトフローレートが3〜20のポリプロピレンホモポリマー樹脂100質量部に対し、NOR型光安定剤0.2質量部から1.6質量部を配合してなる請求項1記載の自己消火性シート。
  3. メルトフローレートが3〜20のポリプロピレンホモポリマー樹脂100質量部に対し、NOR型光安定剤0.2質量部から1.6質量部を配合してなり、難燃性の指標である限界酸素指数が28以上であり、厚みが30μm〜100μmである原子力発電所用養生シート。
  4. 透明度の指標であるJIS K6714で測定される曇価が40以下である請求項3記載の原子力発電所用養生シート。
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