JP6718630B2 - 難燃シートおよび難燃シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、難燃シートおよび難燃シートの製造方法に関する。詳しく述べると本発明は、対環境負荷の少ない素材において高い難燃性を発揮してなり、また万一燃焼しても有毒ガスの発生の虞れが少ない難燃シートおよび難燃シートの製造方法に関する。
屋内外において使用される横断幕や懸垂幕、イベント等に用いられる中大型テント、日除けテント、テント倉庫、農畜産業のハウスなどの幕構造体、建築現場養生シート、建築現場用遮蔽シートなどの産業資材シート等のシート材、いわゆるターポリン(tarpaulin)としては、従来、合成繊維織物の表面を軟質ポリ塩化ビニル樹脂で被覆したものが広く用いられてきた。ポリ塩化ビニル樹脂は性能、加工性、コスト性に優れ、難燃性も高いものではあるが、燃焼時の有毒ガス、有毒残渣発生の問題、また可塑剤として含むフタル酸エステル類の環境ホルモンとしての問題などが、環境保護の立場等から問題視され、ハロゲン元素を含まない樹脂による製品の開発が望まれている。
このような観点から加工性、柔軟性に優れ、燃焼時における有毒ガスの発生の虞れも少ないポリオレフィン系樹脂を用いることが検討されている(例えば、特許文献1〜3)。しかしながら、ポリオレフィン系樹脂は、加工性、柔軟性、機械的強度、コスト等において良好な特性を有する一方で、易燃性のものであり、ポリオレフィン系樹脂に非ハロゲン系の難燃剤にて、ポリ塩化ビニル樹脂並みの難燃性、防炎性を得るには、多量の難燃剤の配合を必要とするため、樹脂物性を大幅に低下させてしまい、上記したような用途のシート材として満足できるレベルのものが得られていないのが実情である。
また、特許文献4においては、ポリオレフィン系樹脂に多量に添加される難燃剤のブルーミングの問題を解消するために、難燃剤として、ポリリン酸アンモニウム粒子の表面を熱硬化性樹脂により被覆したものや、水酸化マグネシウム粒子の表面を高級脂肪酸やその金属塩で被覆したものを用いることが提案されているが、難燃剤の十分な均一分散性が得られるところには至らないものであった。
さらに、特許文献5においては、難燃性ポリオレフィン系樹脂被覆シートにおいて、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、赤りん粒子5〜35重量部を配合してなるメルトフローレート(MFR)0.2〜5.0g/10minのポリオレフィン系樹脂組成物フィルムを、特定の熱可塑性樹脂を紡糸した特定範囲の乾熱収縮率を有するマルチフィラメント糸から製織された繊維布帛の両面に、貼着して作製された難燃シートが開示されており、さらにこの難燃シートの赤りん粒子を含有するポリオレフィン系樹脂組成物フィルム上には保護層としてポリリン酸アンモニウム等の非ハロゲン難燃剤を配合したポリオレフィン系樹脂による保護層を設けることも記載されている。また、特許文献6においては、複数のセルからなるポリプロピレン等のコア層と、コア層の上下両面に配置される一対のスキン層とを備えた樹脂構造体において、前記スキン層は、熱可塑性樹脂と熱可塑性樹脂の可燃性を低下させる難燃剤とを含有する難燃組成物により構成され、難燃組成物は、難燃剤としてハロゲンを含まないリン系難燃剤および窒素含有化合物系難燃剤を含有し、前記リン系難燃剤は、リン酸とジアミンとの塩、リン酸エステル系難燃剤、縮合リン酸エステル系難燃剤、または赤燐であり、前記窒素含有化合物系難燃剤は、リン酸とメラミンとの塩またはポリリン酸アンモニウム化合物であり、熱可塑性樹脂100重量部に対するリン系難燃剤および窒素含有化合物系難燃剤の配合割合は、5〜80重量部である難燃構造体が開示されている。
ここで、特許文献5において、繊維布帛の両面に設けられる難燃層を構成するポリオレフィン系樹脂としては、上記メルトフローレート(MFR)の範囲とするために、エチレン−α−オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、エチレン−メチルメタアクリル酸共重合体、エチレン−メチルメタアクリル酸エステル共重合体、エチレン−エチルアクリル酸共重合体、エチレン−エチルアクリル酸エステル共重合体など、ポリエチレン系樹脂が用いられており、基材となる繊維布帛との密着性はある程度期待できるものの、難燃層自体の耐熱性が十分なものとはならず、また、表面硬度等の低下、表面のスタッキング等の問題が残るものであった。また、基材として繊維布帛を用いた場合には、シート全体としての機械強度は十分なものとなる一方で、シートの質量が増加し、また両面に設けられる難燃層との剥離の問題が生じやすく結果的に安定した難燃性を保障できない虞れがあった。
また、特許文献6においては、コア層の表面に形成されるスキン層を形成する熱可塑性樹脂としてはポリプロピレンが開示され、その他ポリエチレン、ナイロン、ポリスチレン等の開示があるものの、リン系難燃剤および窒素含有化合物系難燃剤を比較的高配合量でポリプロピレンに配合して得られる組成物を用いてスキン層を形成しようとすると、実際上では、その柔軟性に劣り、コア層との密着性が低下する虞れがある。また、比較的高配合量で配合されたリン系難燃剤および窒素含有化合物系難燃剤のスキン層における分散が均一なものとならず、成膜面での問題が生じたり、スキン層からの難燃剤の脱落が生じる虞れもあった。
ところで、環境保護が国際的な問題となって来た現在、上記したような塩化ビニル系樹脂だけではなくポリオレフィン系樹脂等のその他の樹脂に関しても、リサイクル、さらにはアップサイクル可能とする、無毒で焼却できるといった観点や、熱可塑性樹脂消費量を低減することも、別の側面から大いに検討されている。
このような点から、無機物質粉末をポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂中に高充填してなる無機物質粉末配合熱可塑性樹脂組成物が提唱され、実用化されている(例えば、特許文献7参照)。無機物質粉末として、特に、炭酸カルシウムは、自然界に豊富に存在する資源であり、環境保護といった観点からの要望に好ましく答えることができるものである。さらに、無機物質粉末を高充填されているために高い機械的強度を有し得るものである。
特開2006−44155号公報 特開平6−174489号公報 特開2002−86649号公報 特開2001−354815号公報 特開2001−322208号公報 国際公開第WO2012/118030号明細書 国際公開第WO2014/109267号明細書
従って、上記したような無機物質粉末を高充填されてなるポリオレフィン系樹脂組成物よりなるシートに、高い難燃性を付与することができれば、従来知られるターポリンの構成におけるように合成繊維織物といった繊維系基材を必要とせず、所期の機械的強度等の物性をより軽量で簡単な構成によって提供し得るものであると考えられた。
このような観点から、本発明者らは、無機物質粉末を高充填されてなるポリオレフィン系樹脂組成物よりなるシートの難燃化を検討した。しかし、ポリオレフィンの難燃化に通常用いられる非ハロゲン系の難燃剤を、無機物質粉末を高含有するポリオレフィン系樹脂組成物中に均一に配合分散させることは、樹脂中に存在する多量の無機物質粉末の存在により難しく、無機物質粉末と難燃剤が分散不良となり、シート状に成形できなかったり、シートの外観を大きく損なう結果となり、さらなる検討が必要であった。また、難燃剤としてのポリリン酸アンモニウムと無機物質粉末としての炭酸カルシウムを高温で混練すると塩交換反応によるガスの発生が懸念され、炭酸カルシウムが高充填であると発生したガスによる成形不良も懸念された。
本発明は以上の実情に鑑みてなされたものであり、新規な構成の難燃シートおよび難燃シートの製造方法を提供することを課題とする。本発明はまた、対環境負荷の少ない素材にて、高い難燃性を発揮する一方で高い機械的強度、柔軟性等の物性にも優れ、また万一燃焼しても有毒ガスの発生の虞れのない難燃シートおよび難燃シートの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、無機物質粉末を高充填されてなるポリオレフィン系樹脂組成物よりなるシートの難燃性を高めることを、鋭意検討および研究を重ねた結果、ポリオレフィンに炭酸カルシウムを高充填した基材の両面に、非ハロゲン系難燃剤としてのポリリン酸アンモニウムを、ポリプロピレン樹脂と特定の非晶質オレフィン系共重合体とからなるブレンド体中に配合してなる組成を有する表層を設けることで、難燃剤が比較的少量であっても、シート全体として所望の難燃性が得られると共に、機械的特性も良好な非ハロゲン系難燃シートが得られるとの知見を得、本発明に至ったものである。
すなわち、上記課題を解決する本発明は、ポリオレフィン系樹脂と無機物質粉末を50:50〜20:80の質量比で含む基材の両面に、(A)ポリプロピレン樹脂30〜70質量%、(B)エチレンおよび/またはプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体10〜40質量%、並びに(C)非ハロゲン系難燃剤20〜40質量%(但し、前記(A)、(B)および(C)成分の合計量は100質量%となる。)である組成からなる表層を有していることを特徴とする難燃シートである。
本発明に係る難燃シートの一態様においては、前記(A)ポリプロピレン樹脂がプロピレンホモポリマーであり、前記(B)エチレンおよび/またはプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体が、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体であり、前記(C)非ハロゲン系難燃剤がポリリン酸アンモニウム系化合物である難燃シートが示される。
本発明に係る難燃シートの一態様においては、また、前記無機物質粉末が炭酸カルシウム粒子である難燃シートが示される。
本発明に係る難燃シートのさらに別の一態様においては、前記基材が、ポリプロピレン樹脂5〜45質量%、エチレンおよび/またはプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体5〜45質量%、炭酸カルシウムを50〜80質量%(但し、これらの合計量は100質量%となる。)からなるものである難燃シートが示される。
本発明に係る難燃シートのさらに別の一態様においては、前記基材を構成するポリプロピレン樹脂が、ポリプロピレンのホモポリマーである難燃シートが示される。
本発明に係る難燃シートのさらに別の一態様においては、前記基材の厚さと、前記各表層の厚さを合計した厚さとの比率が、5:1〜1:4である難燃シートが示される。
本発明に係る難燃シートのさらに別の一態様においては、前記表層に無機物質粉末が、表層の全質量の50質量%未満含まれているものである難燃シートが示される。
上記課題を解決する本発明は、また、ポリオレフィン系樹脂と無機物質粉末を50:50〜20:80の質量比で含む基材の両面に、(A)ポリプロピレン樹脂30〜70質量%、(B)エチレンおよび/またはプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体10〜40質量%、並びに(C)非ハロゲン系難燃剤20〜40質量%(但し、前記(A)、(B)および(C)成分の合計量は100質量%となる。)である組成からなる表層を、共押出しにより設けるものである難燃シートの製造方法である。
本発明に係る難燃シートの製造方法の一態様においては、共押出しにより形成された積層構造のシートに延伸処理をかけるものである難燃シートの製造方法が示される。
本発明に係る難燃シートの製造方法の一態様においては、前記延伸処理が、二軸方向に120%〜400%の延伸を行うものである難燃シートの製造方法である。
上記課題を解決する本発明は、また、上述したような難燃シートによって構成されたことを特徴とする難燃ターポリンである。
本発明によれば、対環境負荷の少ない素材において高い難燃性を発揮してなり、また万一燃焼しても有毒ガスの発生の虞れがなく、さらに機械的強度等の物性にも優れた難燃シートを提供でき、また従来の難燃シートと比較して軽量化も達成できるものである。さらに、本発明によればシートの難燃化のための表層によって、表面の十分な柔軟性、弾性が付与され、シートを折り曲げた際に折り目がつかず、収納のために折りたたむことが必要とされるターポリン製品の商品性を高めることができる。また、本発明によれば、難燃シートを構成する樹脂を基本的にポリオレフィン、特にポリプロピレン系のもののみにすることが可能であり、製品のリサイクル、さらにはアップサイクルが可能となる。
以下、本発明を実施形態に基づき詳細に説明する。
≪難燃シート≫
本発明に係る難燃シートは、シート状の基材と、基材の両表面に設けられた表層とを有する。なお、本発明に係る難燃シートとしては、少なくとも、基材と、その両表面側に設けられた表層との、三層構成を有する形態のものであれば、その他の構成については特に限定されるものではなく、例えば、基材と表層の間に、なんらかの機能を有する中間層、例えば、基材とコート層との密着性を良くするためのシーラント層、難燃シートに彩色および柄等を与えるための内部印刷層、遮蔽層等や、あるいは表層上へのさらなる保護層、印刷を可能とするための印刷層等を任意で設けることができるものである。
以下、本発明の難燃シートの各構成について詳細に説明する。
(1)表層
本発明に係る難燃シートにおいて、後述するような基材の両表面に設けられる表層は、(A)ポリプロピレン樹脂30〜70質量%、(B)エチレンおよび/またはプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体10〜40質量%、並びに(C)非ハロゲン系難燃剤20〜40質量%(但し、前記(A)、(B)および(C)成分の合計量は100質量%となる。)である組成を有する。
本発明に係る難燃シートが有する表層は、当該表層によって難燃、防炎といった特性を付与するものであるから、前記基材の両面に設けられる必要がある。この表層の厚さとしては、特に限定されるものではないが、例えば、40μm以上300μm以下であることが好ましく、45μm以上200μm以下であることがより好ましく、50μm以上150μm以下であることが特に好ましい。この範囲内の厚さであると、表層が、基材に対して十分に薄いものであり、これゆえ、難燃シート全体としての難燃剤の配合量も少量となるにも係らず、非常に高い難燃、防炎機能し得る一方で、基材の有する高い機械的強度等を維持し得るものであるためである。なお、特に限定されるわけではないが、本発明の難燃シートの好ましい一実施形態においては、基材の厚さと、前記各表層の厚さを合計した厚さとの比率が、5:1〜1:4、特に、4:1〜1:2、さらには、3:1であることが、優れた難燃、防炎性と優れた機械的強度等とのバランスの上で良好なものとなるために望ましい。
次に、表層を構成する各成分について説明する。
(A)ポリプロピレン樹脂
表層を構成する組成物中に含まれる成分としての、ポリプロピレン樹脂としては、、アイソタクティック、シンジオタクティック、アタクチック、ヘミアイソタクチックおよび種々の程度の立体規則性を示す直鎖または分枝状ポリプロピレン等の何れもが包含されるが、特に、アイソタクチックのポリプロピレン若しくはシンジオタクチックのポリプロピレンで、ホモタイプやコモノマーを含むランダムタイプ、若しくは、多段重合によるブロックタイプ等が挙げられる。該ポリプロピレンは、気相重合法、バルク重合法、溶媒重合法および任意にそれらを組み合わせて多段重合を採用することができる、また、かかる重合体の数平均分子量についても特に制限はないが、好ましくは10,000〜1,000,000に調整される。また、前記ポリプロピレン樹脂としては、例えば、プロピレン成分単位が50質量%以上、特に80質量%以上、さらには90質量%以上の樹脂が挙げられ、例えば、プロピレンホモポリマー、またはプロピレンと共重合可能な他のα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。プロピレンと共重合可能な他のα−オレフィンとしては、例えば、エチレンや、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン等の炭素数4〜10のα−オレフィンが例示される。望ましい一実施形態においては、ポリプロピレン樹脂(A)として、特に、プロピレンホモポリマーが好ましく使用され得る。
(B)エチレンおよび/またはプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体
表層を構成する組成物中に含まれる成分としての、オレフィン系共重合体(B)は、エチレンおよび/またはプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンからなる群から選ばれたオレフィンとの共重合体である。なお、当該オレフィン系共重合体(B)としては、上記ポリプロピレン樹脂(A)の範疇に含まれるものを除外する。モノマーとしてエチレンおよび/またはプロピレンを有することで、ポリプロピレン樹脂(A)との高い相溶性を有しつつ、炭素数4〜20のα−オレフィンと組み合わせることで、非晶質となって、前記したポリプロピレン樹脂(A)の柔軟性改質に高い効果を発揮する共重合体となる。また、後述するような非ハロゲン系難燃剤を均一に分散性させることが可能となる。
炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、直鎖状および分岐状のα−オレフィンが含まれ、具体的には、直鎖状のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ナノデセン、1−エイコセン等が例示され、分岐状のα−オレフィンとしては、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、2,2,4−トリメチル−1−ペンテン等が例示される。
オレフィン系共重合体(B)を構成する二種以上のオレフィンの組み合わせの具体例としては、エチレン/1−ブテン、エチレン/1−ヘキセン、エチレン/1−オクテン、エチレン/1−デセン、エチレン/1−オクタデセン、エチレン/4−メチル−1−ペンテン、プロピレン/1−ブテン、プロピレン/1−ヘキセン、プロピレン/1−オクテン、プロピレン/1−デセン、プロピレン/1−オクタデセン、プロピレン/4−メチル−1−ペンテン、エチレン/プロピレン/1−ブテン、エチレン/プロピレン/1−ヘキセン、エチレン/プロピレン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/1−デセン、エチレン/プロピレン/1−オクタデセン、エチレン/プロピレン/4−メチル−1−ペンテン、エチレン/1−ブテン/1−ヘキセン、エチレン/1−ブテン/1−オクテン、エチレン/1−ブテン/1−デセン、エチレン/1−ブテン/1−オクタデセン、エチレン/1−ブテン/4−メチル−1−ペンテン、エチレン/1−ヘキセン/1−オクテン、エチレン/1−ヘキセン/1−デセン、エチレン/1−ヘキセン/1−オクタデセン、エチレン/1−ヘキセン/4−メチル−1−ペンテン、エチレン/1−オクテン/1−デセン、エチレン/1−オクテン/1−オクタデセン、エチレン/1−オクテン/4−メチル−1−ペンテン、エチレン/1−デセン/1−オクタデセン、エチレン/1−デセン/4−メチル−1−ペンテン、エチレン/1−オクタデセン/4−メチル−1−ペンテン、プロピレン/1−ブテン/1−ヘキセン、プロピレン/1−ブテン/1−オクテン、プロピレン/1−ブテン/1−デセン、プロピレン/1−ブテン/1−オクタデセン、プロピレン/1−ブテン/4−メチル−1−ペンテン、プロピレン/1−ヘキセン/1−オクテン、プロピレン/1−ヘキセン/1−デセン、プロピレン/1−ヘキセン/1−オクタデセン、プロピレン/1−ヘキセン/4−メチル−1−ペンテン、プロピレン/1−オクテン/1−デセン、プロピレン/1−オクテン/1−オクタデセン、プロピレン/1−オクテン/4−メチル−1−ペンテン、プロピレン/1−デセン/1−オクタデセン、プロピレン/1−デセン/4−メチル−1−ペンテン、プロピレン/1−オクタデセン/4−メチル−1−ペンテン、1−ブテン/1−ヘキセン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/1−ブテン/1−ヘキセン、エチレン/プロピレン/1−ブテン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/1−ブテン/1−デセン、エチレン/プロピレン/1−ブテン/1−オクタデセン、エチレン/プロピレン/1−ブテン/4−メチル−1−ペンテン、エチレン/1−ブテン/1−ヘキセン/1−オクテン、エチレン/1−ブテン/1−ヘキセン/1−デセン、エチレン/1−ブテン/1−ヘキセン/1−オクタデセン、エチレン/1−ブテン/1−ヘキセン/4−メチル−1−ペンテン、エチレン/プロピレン/1−ヘキセン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/1−ヘキセン/1−デセン、エチレン/プロピレン/1−ヘキセン/1−オクタデセン、エチレン/プロピレン/1−ヘキセン/4−メチル−1−ペンテン等が好ましい。このうち特に好ましくはエチレン/プロピレン/1−ブテンである。
オレフィン系共重合体(B)におけるエチレンの含有量は、表層の柔軟性、耐皺性、透明性改質効果の観点からは、80モル%以下であることが好ましく、より好ましくは70モル%以下であり、さらに好ましくは60モル%以下であり、特に好ましくは50モル%以下である。これよりもエチレン含有量が高いと、オレフィン系共重合体(B)がエチレン由来の結晶を含む虞れが生じ、上記ポリプロピレン樹脂(A)および後述する非ハロゲン系難燃剤(C)に配合して得られる組成物を用いて形成される表層における柔軟性、耐皺性、非ハロゲン系難燃剤(C)の均一分散性が低下する虞れがある。また、オレフィン系共重合体(B)におけるプロピレンの含有量は、表層の硬度、耐衝撃性等の観点からは、90モル%以下であることが好ましく、より好ましくは80モル%以下であり、さらに好ましくは70モル%以下であり、特に好ましくは50モル%以下である。これよりもプロピレン含有量が高いと、オレフィン系共重合体(B)がエチレン由来の結晶を含む虞れが生じ、上記ポリプロピレン樹脂(A)および後述する非ハロゲン系難燃剤(C)に配合した組成物を用いて、表層を形成しようとするしても非ハロゲン系難燃剤(C)の分散性が低下し成膜できない虞れが生じ、また、形成される表層の耐衝撃性が劣る場合がある。
特に限定されるものではないが、上記オレフィン系共重合体(B)のゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)で測定される分子量分布(Mw/Mn)は3以下、特に1以下であることが好ましい。分子量分布が広すぎる場合には、オレフィン系共重合体(B)を前記ポリプロピレン樹脂(A)に配合した場合に、形成される表層の柔軟性、耐皺性が十分なものとならない虞れがある。分子量分布はゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法(例えば、Waters社製、150C/GPC装置)により行う。溶出温度は140℃、使用カラムは、例えば昭和電工社製Shodex Packed ColumnA−80M、分子量標準物質はポリスチレン(例えば、東ソー社製、分子量68−8,400,000)を用いる。得られたポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、さらにこの比(Mw/Mn)を分子量分布とする。測定サンプルは約5mgの重合体を5mlのo−ジクロロベンゼンに溶解し、約1mg/mlの濃度とする。得られたサンプル溶液の400μlをインジェクションし、溶出溶媒流速は1.0ml/minとし、屈折率検出器にて検出する。
さらに、上記オレフィン系共重合体(B)は、示差走査熱量計(DSC)で測定した場合に、結晶の融解に基づく1J/g以上のピークおよび結晶化に基づく1J/g以上のピークのいずれをも有しないことが好ましい。かかるピークを有する場合、形成される表層の柔軟性、耐皺性が十分なものとならない虞れがある。示差走査熱量計は、例えばセイコー電子工業社製DSC220Cを用い、昇温および降温過程のいずれも10℃/minの速度で測定を行う。
上記オレフィン系共重合体(B)の製造方法としては特に限定されるものではなく、公知のチーグラー・ナッタ型触媒またはメタロセン系触媒を用いて製造することができる。高分子量、狭分子量分布、狭組成分布の共重合体が得られる点から、メタロセン系触媒を用いることが好ましい。メタロセン系触媒としては、シクロペンタジエニル骨格を少なくとも1個有する周期表第4A族〜第6A族の遷移金属錯体をあげることができる。メタロセン系触媒の具体例としては、例えば特開平9−12635号公報や特開平9−151205号公報記載のメタロセン系触媒をあげることができる。
特に上記オレフィン系共重合体(B)はプロピレンおよび/または、炭素数4〜20のα−オレフィン側鎖の配列が、アタクチック構造であることが好ましい。アタクチック構造でない場合には、該オレフィン系共重合体(B)を上記ポリプロピレン樹脂(A)に配合した場合に柔軟性が十分とならない虞れがあり、また、後述するような非ハロゲン系難燃剤を均一分散させることが難しくなることがあるためである。
(C)非ハロゲン系難燃剤
非ハロゲン系難燃剤としては、例えば、赤リン、金属リン酸塩、トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウムなどの金属有機リン酸塩、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、リン酸トリアリールイソプロピル化物、クレジルジ2、6−キシレニルホスフェート、芳香族縮合リン酸エステル等のリン酸エステル誘導体、ポリリン酸アンモニウム、およびポリリン酸アンモニウム誘導体化合物などのリン原子含有化合物、含リンポリオール等のリン含有型難燃剤;例えば、(イソ)シアヌレート系化合物、(イソ)シアヌル酸系化合物、グアニジン系化合物、ヒンダードアミン系化合物、尿素系化合物などの窒素含有型難燃剤;その他、ケイ素化合物、アルミニウム三水和物および二水酸化マグネシウムなどの金属水和物、金属水酸化物、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化モリブデン、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属硫酸塩化合物、ホウ酸化合物、および無機系化合物複合体などの無機系化合物などが挙げられ、これらを単独または複数種組合わせて用いることができる。このうち、比較的少量の添加量で高い難燃性効果を発揮できるリン含有型難燃剤が好ましく、特に、上記ポリプロピレン樹脂(A)およびオレフィン系共重合体(B)とに配合した場合の分散性が良好なものとなることから、ポリリン酸アンモニウムないしポリリン酸アンモニウム誘導体が好ましい。ポリリン酸アンモニウム誘導体としては、例えば、ポリリン酸アンモニウムを、メラミン、メラミン樹脂等でコーティングしたものや、シラン化合物等で表面処理したものなどが挙げられる。
本発明の表層を構成する組成物において、(A)ポリプロピレン樹脂、(B)エチレンおよび/またはプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体、並びに(C)非ハロゲン系難燃剤の配合比は、前記したように(A)ポリプロピレン樹脂30〜70質量%、好ましくは、31〜50質量%、さらに好ましくは32〜40質量%、(B)エチレンおよび/またはプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体10〜40質量%、好ましくは、20〜39質量%、さらに好ましくは30〜38質量%、並びに(C)非ハロゲン系難燃剤20〜40質量%、好ましくは、23〜38質量%、さらに好ましくは25〜35質量%(但し、前記(A)、(B)および(C)成分の合計量は100質量%となる。)である。
ポリプロピレン樹脂(A)の配合量が上記範囲内にあると、本発明の難燃シートにおいて、後述する基材と、表層を構成する組成物との密着性が良好であり、かつ表層自体の強度が十分なものとなる。またオレフィン系共重合体(B)の配合量が上記範囲内にあると、難燃性を付与するために比較的高い含有量で配合される(C)非ハロゲン系難燃剤を表層内において均一に分布させて成膜することが可能となり、かつ表面層の柔軟性、耐皺性および耐キンク性、耐引裂性を高めることができ、表面の過度のべた付き感や張付きを起こすこともない。また非ハロゲン系難燃剤(C)の配合量が上記範囲内にあると、本発明の難燃シート全体として所望の難燃性、消炎性を発揮できる一方で、表層に均一かつ安定に分散配合され得るものであって成膜性の点でも良好なものとなる。なお、表層における難燃剤の配合量としては上記したように高いものであるが、このような表層に基材およびその他の任意の層を加えた本発明の難燃シート全体としての、難燃剤の配合量は、少量であって、このような少量の配合によって高い難燃性、消炎性が発揮されることは驚くべきことである。
また、本発明に係る難燃シートにおいて、表層は、(A)ポリプロピレン樹脂、(B)エチレンおよび/またはプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体、並びに(C)非ハロゲン系難燃剤に加え、必要に応じて、その他の添加剤を配合することも可能である。
その他の添加剤としては、特に、後述するような基材が含有するものと同様の炭酸カルシウム等の無機物質粉末を挙げることができ、表層の全質量の50質量%未満、より好ましくは10〜30質量%の範囲内で含有することができる。このように表層側にも炭酸カルシウム等の無機物質粉末を添加することによって、難燃性シートの機械的強度等の物性を高めることができることに加え、より環境対策の面、環境保護の面に寄与できるものとなる。なお、表層における無機物質粉末の添加量を表層の全質量の50質量%未満とするのは、それ以上の添加量であると難燃層として機能する表層における難燃剤の均一配合分散性および成膜性を阻害する虞れがあるためであり、ある意味、難燃剤の均一分散化の上で、このような表層を設けた意味合いもなくなるためである。
また、表層に添加され得るそれ以外の添加剤としては、例えば、色剤、滑剤、カップリング剤、流動性改良材、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、帯電防止剤等が挙げられる。これらの添加剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(2)基材
本発明に係る難燃シートにおいて、上記したような表層がその両面に設けられる基材は、ポリオレフィン系樹脂と無機物質粉末を50:50〜20:80の質量比で含む無機物質粉末高配合ポリオレフィン系樹脂で構成される。
ここで、ポリオレフィン系樹脂とは、オレフィン成分単位を主成分とするポリオレフィン系樹脂であり、具体的には、上記した様にポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂、その他、ポリメチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体等、さらにそれらの2種以上の混合物等が挙げられる。なお、上記「主成分とする」とは、オレフィン成分単位がポリオレフィン系樹脂中に50質量%以上含まれることを意味し、その含有量は好ましくは75質量%以上であり、より好ましくは85質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。なお、本発明に使用されるポリオレフィン系樹脂の製造方法は特に制限はなく、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系触媒、酸素、過酸化物等のラジカル開始剤等を用いる方法等の何れによって得られたものであってもよい。
基材を構成するポリオレフィン系樹脂としては、特に、機械的強度と耐熱性とのバランスに特に優れることから、ポリプロピレン樹脂が好ましく用いられる。基材を構成する組成物中に含まれる成分としてのポリプロピレン樹脂は、前記表層を構成する成分としてのポリプロピレン樹脂(A)において説明したものとほぼ同様のものであるため、重複を避けるために説明を省略する。
また、基材を構成するポリオレフィン系樹脂として用いられ得る、ポリエチレン樹脂としては、エチレン成分単位が50質量%以上の樹脂が挙げられ、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン1共重合体、エチレン−ブテン1共重合体、エチレン−ヘキセン1共重合体、エチレン−4メチルペンテン1共重合体、エチレン−オクテン1共重合体等、さらにそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
また、本発明に係る難燃シートの一実施形態においては、基材を構成するポリオレフィン系樹脂として、上記した表層を構成する成分として挙げた、エチレンおよび/またはプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体(B)をその一部に含有することが望ましく例示できる。この実施形態としては特に、基材が、ポリプロピレン樹脂5〜45質量%、エチレンおよび/またはプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体5〜45質量%、炭酸カルシウムを50〜80質量%(但し、これらの合計量は100質量%となる。)からなるもの組成であることが望ましく例示できる。基材側にも非晶質ポリオレフィン系共重合体を配合することで、難燃シートの全体としての柔軟性、耐引裂性等の特性を高めることが可能である。
(無機物質粉末)
また、基材中に配合され得る無機物質粉末としては、特に限定されず、例えば、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛等の炭酸塩、硫酸塩、珪酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、酸化物、若しくはこれらの水和物の粉末状のものが挙げられ、具体的には、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、カオリン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、リン酸マグネシウム、硫酸バリウム、珪砂、カーボンブラック、ゼオライト、モリブデン、珪藻土、セリサイト、シラス、亜硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、チタン酸カリウム、ベントナイト、黒鉛等が挙げられる。これらは合成のものであっても天然鉱物由来のものであってもよく、また、これらは単独または2種類以上併用して使用され得る。
さらに、無機物質粉末の形状としても、特に限定される訳ではなく、粒子状、フレーク状、顆粒状、繊維状等の何れであってもよい。また、粒子状としても、一般的に合成法により得られる様な球形のものであっても、あるいは、採集した天然鉱物を粉砕にかけることにより得られる様な不定形状のものであっても良い。
これらの無機物質粉末として、好ましくは炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、カオリン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等であり、特に炭酸カルシウムが好ましい。さらに炭酸カルシウムとしては、合成法により調製されたもの、いわゆる軽質炭酸カルシウムと、石灰石等CaCOを主成分とする天然原料を機械的に粉砕分級して得られる、いわゆる重質炭酸カルシウムの何れであっても良く、これらを組合わせることも可能であるが、経済性の観点で、好ましくは、重質炭酸カルシウムである。
ここで、重質炭酸カルシウムとは、天然の石灰石等を機械的に粉砕・加工して得られるものであって、化学的沈殿反応等によって製造される合成炭酸カルシウムとは明確に区別される。なお、粉砕方法には乾式法と湿式法とがあるが、経済性の観点で、乾式法が好ましい。
また、無機物質粉末の分散性または反応性を高めるために、無機物質粉末の表面をあらかじめ常法に従い表面改質しておいてもよい。表面改質法としては、プラズマ処理等の物理的な方法や、カップリング剤や界面活性剤で表面を化学的に表面処理するもの等が例示できる。カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤やチタンカップリング剤等が挙げられる。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性および両性の何れのものであってもよく、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩等が挙げられる。
無機物質粉末は、粒子であることが好ましく平均粒子径は、0.1μm以上50.0μm以下が好ましく、1.0μm以上15.0μm以下がより好ましい。なお、本明細書において述べる無機物質粉末の平均粒子径は、JIS M−8511に準じた空気透過法による比表面積の測定結果から計算した値をいう。測定機器としては、例えば、島津製作所社製の比表面積測定装置SS−100型を好ましく用いることができる。特に、その粒径分布において、粒子径50.0μm以上の粒子を含有しないことが好ましい。他方、粒子が細かくなり過ぎると、前述した熱可塑性樹脂と混練した際に粘度が著しく上昇し、シートの製造が困難になる虞れがある。そのため、その平均粒子径は0.5μm以上とすることが好ましい。
粉末状、フレーク状、または顆粒状である無機物質粉末の平均粒子径は、好ましくは、10.0μm以下であり、より好ましくは5.0μm以下である。
繊維状である無機物質粉末の平均繊維長は、好ましくは、3.0μm以上20.0μm以下である。平均繊維径は、好ましくは、0.2μm以上1.5μm以下である。また、アスペクト比は、通常、10以上30以下である。なお、繊維状である無機物質粉末の平均繊維長および平均繊維径は、電子顕微鏡で測定したものであり、アスペクト比は、平均繊維径に対する平均繊維長の比(平均繊維長/平均繊維径)である。
本発明に係る難燃シートを構成する基材において、これに含まれるポリオレフィン系樹脂と、無機物質粉末との配合比(質量%)としては、前記した様に、50:50〜10:90の比率であることが望ましいが、40:60〜20:80の比率であることがより好ましく、40:60〜25:75の比率であることがさらに好ましい。熱可塑性樹脂と無機物質粉末との配合比において、無機物質粉末の割合が50質量%より低いものであると、無機物質粉末を配合したことによる基材、ひいてはこれを用いた難燃シートの所定の質感、耐衝撃性等の物性が得られないものとなり、一方90質量%よりも高いものであると、基材のシートとしての押出成形、真空成形等による成形加工が困難となるためである。
(その他の添加剤)
また、基材には、その組成中に、必要に応じて、補助剤としてその他の添加剤を配合することも可能である。その他の添加剤としては、例えば、可塑剤、色剤、滑剤、カップリング剤、流動性改良材、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、帯電防止剤、発泡剤等が挙げられる。これらの添加剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
基材の厚さとしては、特に制限はないが、通常200μm以上600μm以下程度、好ましくは300μm以上550μm以下である。そして、前記したように、基材の厚さと、前記各表層の厚さを合計した厚さとの比率が、5:1〜1:4となることが望ましい。
また、前記無機物質粉末配合熱可塑性プラスチックシートからなる基材を用いる場合には、その表面に設けられる表層ないしは任意で設けられる何らかの中間層との密着性を向上させる目的で、所望により片面または両面に、酸化法や凹凸化法等により表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。また、プライマー処理を施すこともできる。
(難燃シートの製造方法)
本発明の難燃シートの製造方法は、特に限定されるものではなく、上記したようなポリオレフィン系樹脂と無機物質粉末を50:50〜20:80の質量比で含む基材の両面に、(A)ポリプロピレン樹脂30〜70質量%、(B)エチレンおよび/またはプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体10〜40質量%、並びに(C)非ハロゲン系難燃剤20〜40質量%(但し、前記(A)、(B)および(C)成分の合計量は100質量%となる。)である組成からなる表層を形成できるものであれば良く、あらかじめシート状に形成した基材の両面に、表層をコーティング、熱融着、接着剤を介した接着等により設けることも可能であるが、好ましくは、基材と表層との良好な密着性を得る上から、基材とその両表面に設けられる表層を共押出しにより設けることが望ましい。
なお、基材および表層のそれぞれを構成する組成物の配合は、通常の方法を使用することができ、成形方法(押出成形、射出成形、真空成形等)に応じて適宜設定してよく、例えば、成形機にホッパーから投入する前にオレフィン系樹脂と無機物質粉末とを混練溶融してもよく、成形機と一体で成形と同時にオレフィン系樹脂と無機物質粉末とを混練溶融してもよい。無機物質粉末以外のその他の添加剤に関しても同様である。また、溶融混練は、オレフィン系樹脂に無機物質粉末を均一に分散させる傍ら、高い剪断応力を作用させて混練することが好ましく、例えば二軸混練機で混練することが好ましい。
さらに、本発明に係る難燃シートの製造方法においては、基材および/または表層を構成する各層に対して、必要に応じて、延伸処理を施すことが可能である。各層の延伸処理は、基材と表層とを積層して積層構造のシート状体とする前に個別に行うことも可能であるが、上記の様にして基材の両表面に表層を設けて積層構造のシート状体とした後、さらに、必要に応じて、この積層構造のシートに延伸処理を施すことが可能である。本発明に係る難燃シートを構成する組成は、前記したようにそのシートとしての成形性、柔軟性を十分付与できるものであるため、このように延伸処理することが可能である。一方、例えば、基材として、無機物質粉末を高含有量で含みかつポリオレフィン樹脂としてポリプロピレン単独重合体を用いることで基材の強度を高めた様な態様においては、基材の剛性を考慮して、表層のみに延伸処理を施すといったことも可能である。そして、延伸処理を施すことによって、シート製品の引張り負荷が加わった際の降伏点の発生を解消することができ、シートの脆性等の機械的強度の改善を図ることができ、併せて延伸によってシートのさらなる軽量化を図ることができる。なお、特に限定されるものではないが、このような延伸処理を行う場合において、延伸度としては、二軸方向に120%〜400%、特に、150%〜300%の延伸処理を行うことが好ましい。
≪難燃ターポリン≫
本発明に係る難燃ターポリンは、上記したような難燃シートによって構成されたことを特徴とするものである。本発明に係る難燃シートが高い難燃特性を、所期の機械的強度等の物性を有しつつ、より軽量で、しかも対環境負荷の少ない素材により提供し得るものであることから、従来のターポリンに代えて、例えば、屋内外において使用される横断幕や懸垂幕、イベント等に用いられる中大型テント、日除けテント、テント倉庫、農畜産業のハウスなどの幕構造体、建築現場養生シート、建築現場用遮蔽シートなどの産業資材シート等の用途に好適に使用され得るものである。
特に限定されるものではないが、本発明に係る難燃ターポリンは、代表的に、JIS L 1091:1999における、A−2法に準じる燃焼試験において、区分3以上、すなわち、燃焼面積が40cm2以下、残炎時間が5秒以下であり、かつ、D法に準じる燃焼試験において区分2以上、すなわち、接炎回数が3回以上という優れた防炎性能を示す。
また、本発明に係る難燃ターポリンは、代表的に、JIS A 1322:1966における30秒加熱、2分加熱の加熱試験においても、防炎2級以上、すなわち、炭化長10cm以下、残炎時間5秒以下、残じん時間が1分後に存在しないという、優れた防炎性能を示すものである。
また、本発明に係る難燃ターポリンは、代表的に、JIS K 6772:1994における、引裂き試験において、引裂き強度が300N以上であるという高い機械的強度を発揮し得るものである。
以下本発明を、実施例に基づきより具体的に説明する。なお、これらの実施例は、本明細書に開示され、また添付の請求の範囲に記載された、本発明の概念および範囲の理解をより容易なものとする上で、特定の態様および実施形態の例示の目的のためにのみ記載するのであって、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(評価方法)
以下の実施例および比較例においての各物性値はそれぞれ以下の方法により評価されたものである。
≪防炎性≫
防炎性評価方法として、以下の評価方法で評価を行い評価した。
JIS L 1091法
実施例、比較例で得られたサンプルは、A−2法(45°メッケルバーナー法 2分加熱・6秒着火)および、膜材料の燃焼性を考慮し、D法(接炎試験)の2種類で評価した。評価基準は以下に示し、A−2法で区分3、D法で区分2を防炎性が良好であるとの判断基準とした。
Figure 0006718630
Figure 0006718630
JIS A 1322法
実施例、比較例で得られたサンプルを用い、JIS A 1322の加熱試験から、30秒加熱、2分加熱を抜粋し評価を実施した。評価基準は以下に示し、防炎1級、2級で防炎性が良好であるとの判断基準とした。
Figure 0006718630
≪機械的強度の測定≫
実施例、比較例で得られたサンプルの引張強度、伸び、引裂き強度の測定は、JIS K 6772:1994に準じて実施した。
(材料)
以下の実施例および比較例において、以下に示す基材および表層の組成を用いて、基材の両表面に表層を設けた三層構造の積層シートを作製した。
・基材
S1:ポリプロピレン単独重合体(融点160℃、メルトフローレート(MFR)0.5g/10min、密度910kg/m)38.0質量部と、無機物質粉末としての平均粒径2.2μm(空気透過法による平均粒径)の重質炭酸カルシウム粒子60.0質量部と、さらに滑剤としてアルカンスルホン酸ナトリウム(アルキル基の炭素数(平均値)=12)2.0質量部を、二軸スクリューを装備した押出成形機(Tダイ押出成形装置φ20mm、L/D=25)に投入し、220℃以下の温度で混練してペレット化した。
S2:ポリプロピレン単独重合体(融点160℃、メルトフローレート(MFR)0.5g/10min、密度910kg/m)68.0質量部と、無機物質粉末としての平均粒径2.2μm(空気透過法による平均粒径)の重質炭酸カルシウム粒子30.0質量部と、さらに滑剤としてアルカンスルホン酸ナトリウム(アルキル基の炭素数(平均値)=12)2.0質量部を、二軸スクリューを装備した押出成形機(Tダイ押出成形装置φ20mm、L/D=25)に投入し、220℃以下の温度で混練してペレット化した。
S3:ポリプロピレン単独重合体(融点160℃、メルトフローレート(MFR)0.5g/10min、密度910kg/m)58.0質量部と、無機物質粉末としての平均粒径2.2μm(空気透過法による平均粒径)の重質炭酸カルシウム粒子40.0質量部と、さらに滑剤としてアルカンスルホン酸ナトリウム(アルキル基の炭素数(平均値)=12)2.0質量部を、二軸スクリューを装備した押出成形機(Tダイ押出成形装置φ20mm、L/D=25)に投入し、220℃以下の温度で混練してペレット化した。
S4:ポリプロピレン単独重合体(融点160℃、メルトフローレート(MFR)0.5g/10min、密度910kg/m)20.0質量部と、エチレン−プロピレン−t−ブテンターポリマー(住友化学株式会社製 商品名「タフセレン」)20.0質量部と、無機物質粉末としての平均粒径2.2μm(空気透過法による平均粒径)の重質炭酸カルシウム粒子60.0質量部を、二軸スクリューを装備した押出成形機(Tダイ押出成形装置φ20mm、L/D=25)に投入し、220℃以下の温度で混練してペレット化した。
S5:ポリプロピレン単独重合体(融点160℃、メルトフローレート(MFR)0.5g/10min、密度910kg/m)30.0質量部と、エチレン−プロピレン−t−ブテンターポリマー(住友化学株式会社製 商品名「タフセレン」)10.0質量部と、無機物質粉末としての平均粒径2.2μm(空気透過法による平均粒径)の重質炭酸カルシウム粒子60.0質量部を、二軸スクリューを装備した押出成形機(Tダイ押出成形装置φ20mm、L/D=25)に投入し、220℃以下の温度で混練してペレット化した。
Sa:ポリプロピレン単独重合体(融点160℃、メルトフローレート(MFR)0.5g/10min、密度910kg/m)48.0質量部と、ポリリン酸アンモニウム20.0質量部と、無機物質粉末としての平均粒径2.2μm(空気透過法による平均粒径)の重質炭酸カルシウム粒子30.0質量部、さらに滑剤としてアルカンスルホン酸ナトリウム(アルキル基の炭素数(平均値)=12)2.0質量部を、二軸スクリューを装備した押出成形機(Tダイ押出成形装置φ20mm、L/D=25)に投入し、220℃以下の温度で混練してペレット化を試みた。
Sb:ポリプロピレン単独重合体(融点160℃、メルトフローレート(MFR)0.5g/10min、密度910kg/m)45.0質量部と、ポリリン酸アンモニウム15.0質量部と、無機物質粉末としての平均粒径2.2μm(空気透過法による平均粒径)の重質炭酸カルシウム粒子40.0質量部を、二軸スクリューを装備した押出成形機(Tダイ押出成形装置φ20mm、L/D=25)に投入し、220℃以下の温度で混練してペレット化を試みた。
・表層
T1: (A)ポリプロピレン単独重合体(融点160℃、メルトフローレート(MFR)0.5g/10min、密度910kg/m)70.0質量部と、(B)エチレン−プロピレン−t−ブテンターポリマー(住友化学株式会社製 商品名「タフセレン」)10.0質量部、並びにポリリン酸アンモニウム20.0質量部を、二軸スクリューを装備した押出成形機(Tダイ押出成形装置φ20mm、L/D=25)に投入し、220℃以下の温度で混練してペレット化した。
T2: (A)ポリプロピレン単独重合体(融点160℃、メルトフローレート(MFR)0.5g/10min、密度910kg/m)60.0質量部と、エチレン−プロピレン−t−ブテンターポリマー(住友化学株式会社製 商品名「タフセレン」)20.0質量部、並びにポリリン酸アンモニウム20.0質量部を、二軸スクリューを装備した押出成形機(Tダイ押出成形装置φ20mm、L/D=25)に投入し、220℃以下の温度で混練してペレット化した。
T3: (A)ポリプロピレン単独重合体(融点160℃、メルトフローレート(MFR)0.5g/10min、密度910kg/m)50.0質量部と、エチレン−プロピレン−t−ブテンターポリマー(住友化学株式会社製 商品名「タフセレン」)30.0質量部、並びにポリリン酸アンモニウム20.0質量部を、二軸スクリューを装備した押出成形機(Tダイ押出成形装置φ20mm、L/D=25)に投入し、220℃以下の温度で混練してペレット化した。
T4: (A)ポリプロピレン単独重合体(融点160℃、メルトフローレート(MFR)0.5g/10min、密度910kg/m)40.0質量部と、エチレン−プロピレン−t−ブテンターポリマー(住友化学株式会社製 商品名「タフセレン」)40.0質量部、並びにポリリン酸アンモニウム20.0質量部を、二軸スクリューを装備した押出成形機(Tダイ押出成形装置φ20mm、L/D=25)に投入し、220℃以下の温度で混練してペレット化した。
T5: (A)ポリプロピレン単独重合体(融点160℃、メルトフローレート(MFR)0.5g/10min、密度910kg/m)50.0質量部と、エチレン−プロピレン−t−ブテンターポリマー(住友化学株式会社製 商品名「タフセレン」)20.0質量部、無機物質粉末としての平均粒径2.2μm(空気透過法による平均粒径)の重質炭酸カルシウム粒子10.0質量部並びにポリリン酸アンモニウム20.0質量部を、二軸スクリューを装備した押出成形機(Tダイ押出成形装置φ20mm、L/D=25)に投入し、220℃以下の温度で混練してペレット化した。
T6: (A)ポリプロピレン単独重合体(融点160℃、メルトフローレート(MFR)0.5g/10min、密度910kg/m)40.0質量部と、エチレン−プロピレン−t−ブテンターポリマー(住友化学株式会社製 商品名「タフセレン」)10.0質量部、無機物質粉末としての平均粒径2.2μm(空気透過法による平均粒径)の重質炭酸カルシウム粒子30.0質量部並びにポリリン酸アンモニウム20.0質量部を、二軸スクリューを装備した押出成形機(Tダイ押出成形装置φ20mm、L/D=25)に投入し、220℃以下の温度で混練してペレット化した。
T7: (A)ポリプロピレン単独重合体(融点160℃、メルトフローレート(MFR)0.5g/10min、密度910kg/m)50.0質量部と、エチレン−プロピレン−t−ブテンターポリマー(住友化学株式会社製 商品名「タフセレン」)25.0質量部、並びにポリリン酸アンモニウム25.0質量部を、二軸スクリューを装備した押出成形機(Tダイ押出成形装置φ20mm、L/D=25)に投入し、220℃以下の温度で混練してペレット化した。
T8: (A)ポリプロピレン単独重合体(融点160℃、メルトフローレート(MFR)0.5g/10min、密度910kg/m)47.0質量部と、エチレン−プロピレン−t−ブテンターポリマー(住友化学株式会社製 商品名「タフセレン」)23.0質量部、並びにポリリン酸アンモニウム30.0質量部を、二軸スクリューを装備した押出成形機(Tダイ押出成形装置φ20mm、L/D=25)に投入し、220℃以下の温度で混練してペレット化した。
Ta: (A)ポリプロピレン単独重合体(融点160℃、メルトフローレート(MFR)0.5g/10min、密度910kg/m)80.0質量部と、ポリリン酸アンモニウム20.0質量部を、二軸スクリューを装備した押出成形機(Tダイ押出成形装置φ20mm、L/D=25)に投入し、220℃以下の温度で混練してペレット化した。
Tb: (A)ポリプロピレン単独重合体(融点160℃、メルトフローレート(MFR)0.5g/10min、密度910kg/m)65.0質量部と、エチレン−プロピレン−t−ブテンターポリマー(住友化学株式会社製 商品名「タフセレン」)25.0質量部、並びにポリリン酸アンモニウム10.0質量部を、二軸スクリューを装備した押出成形機(Tダイ押出成形装置φ20mm、L/D=25)に投入し、220℃以下の温度で混練してペレット化した。
Tc: (A)ポリプロピレン単独重合体(融点160℃、メルトフローレート(MFR)0.5g/10min、密度910kg/m)75.0質量部と、エチレン−プロピレン−t−ブテンターポリマー(住友化学株式会社製 商品名「タフセレン」)20.0質量部、並びにポリリン酸アンモニウム5.0質量部を、二軸スクリューを装備した押出成形機(Tダイ押出成形装置φ20mm、L/D=25)に投入し、220℃以下の温度で混練してペレット化した。
Td: (A)ポリプロピレン単独重合体(融点160℃、メルトフローレート(MFR)0.5g/10min、密度910kg/m)60.0質量部と、エチレン−プロピレン−t−ブテンターポリマー(住友化学株式会社製 商品名「タフセレン」)5.0質量部、並びにポリリン酸アンモニウム35.0質量部を、二軸スクリューを装備した押出成形機(Tダイ押出成形装置φ20mm、L/D=25)に投入し、220℃以下の温度で混練してペレット化した。
Te:ポリプロピレン単独重合体(融点160℃、メルトフローレート(MFR)0.5g/10min、密度910kg/m)25.0質量部と、エチレン−プロピレン−t−ブテンターポリマー(住友化学株式会社製 商品名「タフセレン」)10.0質量部、並びにポリリン酸アンモニウム10.0質量部を、無機物質粉末としての平均粒径2.2μm(空気透過法による平均粒径)の重質炭酸カルシウム粒子55.0質量部と、二軸スクリューを装備した押出成形機(Tダイ押出成形装置φ20mm、L/D=25)に投入し、220℃以下の温度で混練してペレット化した。
実施例1〜19および比較例1〜7
上記したそれぞれの配合の基材用ペレットおよび表層用ペレットを表4に示すように組み合わせ、成形温度220℃で、三色Tダイによりシート成形し、表層−基材−表層の三層構成を有する積層シートを製造することを試みた。なお、シート成形の際、さらに引き取り機で巻き取りながら、表4に示す延伸倍率1.0倍(無延伸)、1.2倍(120%)、1.5倍(150%)、2.0倍(200%)、3.0倍(300%)、および4.0倍(400%)にて二軸延伸した。得られたシートについて、上記した評価方法によって、難燃性(防炎性)および引張強度、伸び、引裂き強度を調べた。得られた結果を表4に示す。なお、一部は、表層を形成せず、基材用ペレットを成形温度220℃で、Tダイによりシート成形して、基材のみからなるシートを製造することを試みた。
なお、上記SaおよびSbの配合のものは、組成の相溶性が悪く、ペレット化が不良となり、シート状にうまく形成することができなかった。特に、Sb配合のものは溶融混練時に組成物中でのガスの発生が見られ成形が不能であった。
Figure 0006718630
Figure 0006718630
表4および表5に示すように、本発明に係る実施例のシートは高い難燃性能を発揮する一方で、機械的特性においても優れたものとなり、特に延伸を加えた実施例13〜19においてはその機械的強度が優れたものとなった。

Claims (11)

  1. ポリオレフィン系樹脂と無機物質粉末を50:50〜20:80の質量比で含む基材の両面に、
    (A)ポリプロピレン樹脂30〜70質量%、(B)エチレンおよび/またはプロピレンと炭素数4〜20のα-オレフィンとの共重合体10〜40質量%、並びに(C)非ハロゲン系難燃剤20〜40質量%(但し、前記(A)、(B)および(C)成分の合計量は100質量%となる。)である組成からなる表層を有していることを特徴とする難燃シート。
  2. 前記(A)ポリプロピレン樹脂がプロピレンホモポリマーであり、前記(B)エチレンおよび/またはプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体が、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体であり、前記(C)非ハロゲン系難燃剤がポリリン酸アンモニウム系化合物である請求項1に記載の難燃シート。
  3. 前記無機物質粉末が炭酸カルシウム粒子である請求項1または2に記載の難燃シート。
  4. 前記基材が、ポリプロピレン樹脂5〜45質量%、エチレンおよび/またはプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体5〜45質量%、炭酸カルシウムを50〜80質量%(但し、これらの合計量は100質量%となる。)からなるものである請求項1〜3のいずれかに記載の難燃シート。
  5. 前記基材を構成するポリプロピレン樹脂が、プロピレンホモポリマーである請求項4に記載の難燃シート。
  6. 前記基材の厚さと、前記各表層の厚さを合計した厚さとの比率が、5:1〜1:4であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の難燃シート。
  7. 前記表層に無機物質粉末が、表層の全質量の50質量%未満含まれているものである請求項6に記載の難燃シート。
  8. ポリオレフィン系樹脂と無機物質粉末を50:50〜20:80の質量比で含む基材の両面に、(A)ポリプロピレン樹脂30〜70質量%、(B)エチレンおよび/またはプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体10〜40質量%、並びに(C)非ハロゲン系難燃剤20〜40質量%(但し、前記(A)、(B)および(C)成分の合計量は100質量%となる。)である組成からなる表層を、共押出しにより設けるものである難燃シートの製造方法。
  9. 共押出しにより形成された積層構造のシートに延伸処理をかけるものである請求項8に記載の難燃シートの製造方法。
  10. 前記延伸処理が、二軸方向に120%〜400%の延伸を行うものである請求項9に記載の難燃シートの製造方法。
  11. 請求項1〜5の難燃シートによって構成されたことを特徴とする難燃ターポリン。
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