JP6227494B2 - 半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム - Google Patents

半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム Download PDF

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Description

本発明は半導体製造工程で使用する粘着フィルムにおいて使用される基材フィルムに関し、さらに詳しくは、耐汚染性、柔軟性、復元性に優れ、さらにレーザー加工等に適した耐熱性を有する基材フィルム、及びそれを用いてなる半導体製造工程用の粘着フィルムに関する。
半導体を製造する工程には、様々な工程があるが、たとえば、シリコンやガリウム砒素等の半導体ウェハの製造工程において、半導体ウェハを個々のチップに切断分離するダイシングが行われる。この際、ウェハを固定するために粘着フィルムを貼り付けて切断し、その後に粘着フィルムを放射状にエキスパンドして個々のチップをピックアップするなどの工程がある。
このような半導体ウェハは、近年の電子機器の小型化に伴い薄型化が進んでおり、ウェハの強度が低下しているため、製造工程において破損しやすくなっている。このため、エキスパンド時やピックアップ時に発生する半導体ウェハへの負荷を軽減しチップの破損を防止するため、粘着フィルムには柔軟性や応力緩和性が求められている。
柔軟な粘着フィルムを得るため、オレフィン系熱可塑性エラストマー等を粘着フィルムの基材フィルムとして用いる方法が知られている。
例えば、特許文献1には、基材フィルムの少なくとも片面に粘着剤層が設けられてなり、当該基材フィルムが、プロピレン並びにエチレンおよび/または炭素数4〜8のα−オレフィンを重合成分として含有し、かつ融解ピーク温度が120℃以上であるオレフィン系熱可塑性エラストマーを含有してなるダイシング用粘着シートが開示されている。
また、特許文献2には、密度0.910〜0.935の直鎖状低密度ポリエチレンからなる層と、特定の融点、重量平均分子量(Mw)、及びクロス分別法による一定の範囲の組成を有するポリプロピレン系樹脂組成物からなる層を積層させた粘着フィルム基材が開示されている。
このような柔軟な樹脂フィルムの材料として用いられるオレフィン系熱可塑性エラストマーは、一般的に低分子量成分を多く含むことによりフィルムに柔軟性を付与している。
しかしながら、特許文献1または2に開示されたオレフィン系熱可塑性エラストマーは、低温における樹脂溶出量、すなわち低分子量成分が多いことにより良好な柔軟性を付与できるものの、このような成分はフィルム表面へ滲出しやすいため製品の保管中にブロッキングを引き起こすといった不具合が生じるという問題がある。更に、保管中に樹脂が溶出することにより基材フィルムが硬くなり、エキスパンド時の伸び性が悪くなるほか、ピックアップもしにくくなるという問題がある。
また、近年においては、レーザーダイシングを用いた技術やダイシングフィルムに高機能層を設ける技術が活用されている。
レーザーダイシングは、ブレードダイシングに比べてウェハの切削幅が小さく、より高精度の加工が可能である上、ウェハへのダメージが小さい等の利点がある。一方、レーザー照射時に発生する熱によりダイシングフィルムの基材が溶融し、チャックテーブルに融着するなどの問題があるため、基材フィルムに耐熱性を付与することが要望されている。
ダイシングフィルム上に様々な高機能層を形成する多機能ダイシングフィルムにおいては、機能層を形成するための工程で加熱処理される場合があるため、基材には柔軟性や応力緩和性に加えて耐熱性が求められている。
これらレーザーダイシングを用いた技術やダイシングフィルムに高機能層を形成する技術の要望によって、基材フィルムには耐熱性の要求が高まりつつある。
例えば、特許文献3には、基材フィルムの裏面に金属層を形成し、溶融保護層とすることで基材フィルムが熱により溶融することを防止する技術が開示されている。
また、特許文献4には、エキスパンドが可能で基材が耐熱性を備えた保護膜形成付ダイシングシートが開示され、基材フィルムにポリプロピレンフィルムまたはポリブチレンテレフタレートフィルムを使用し、この基材フィルムは、融点が130℃を超えるか、もしくは融点を持たない、かつMD方向およびTD方向の破断伸度が100%以上、25%応力が100MPa以下である基材フィルムが開示されている。
しかしながら、特許文献3の方法では、基材の柔軟性や応力緩和性が損なわれるためダイシング後にエキスパンドを行えないおそれがある。また、特許文献4の方法では、基材フィルムは耐熱性を有しているものの、基材フィルムの強度が高いため、エキスパンド性能が不十分であるという問題がある。
特開2003―7654号公報 特開2005−297247号公報 特開2008−49346号公報 特許第5363662号公報
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであり、柔軟性や復元性を保持しつつも低分子量成分の滲出による種々の不具合を低減し、さらに耐熱性にも優れた半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルムを提供することにある。
本発明は、以下のダイシングフィルム基材用樹脂フィルムである。
[1]ポリオレフィン系樹脂(A)を含有し、引張弾性率が200MPa以下であるフィルムであって、前記ポリオレフィン系樹脂(A)は、少なくとも140〜170℃の間に融解ピーク温度(Tm)を有し、結晶融解熱量(ΔHm)が25J/g以下であることを特徴とする半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム。
[2]前記ポリオレフィン系樹脂(A)は、分子量分布(Mw/Mn)が3以下であることを特徴とする[1]に記載の半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム。
[3]復元率が72%以上であることを特徴とする[1]または[2]に記載の半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム。
[4]前記ポリオレフィン系樹脂(A)は、基材フィルム全体に対して50質量%以上含有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム。
[5]前記ポリオレフィン系樹脂(A)は、プロピレン成分とエチレン成分のモル分率の比が4:1〜19:1であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム。
[6][1]〜[5]のいずれか1項に記載の基材フィルムを少なくとも1つ備える、半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム。
[7][1]〜[6]のいずれか1項に記載の基材フィルムの少なくとも片面側に、粘着剤層を積層してなる半導体製造工程用粘着フィルム。
[8][1]〜[6]のいずれか1項に記載の基材フィルムの少なくとも片面側に、粘着剤層を積層してなるダイシング用粘着フィルム。
本発明によれば、柔軟性や復元性を保持しつつも低分子量成分の滲出による種々の不具合を低減し、耐熱性にも優れた半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルムを提供することが出来る。
本発明の半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルムは、ポリオレフィン系樹脂(A)を含有し、引張弾性率が200MPa以下であるフィルムであり、前記ポリオレフィン系樹脂(A)は、少なくとも140〜170℃の間に融解ピーク温度(Tm)を有することが重要であり、145〜170℃の間に融解ピーク温度(Tm)を有することが好ましく、145〜165℃の間に融解ピーク温度(Tm)を有することがより好ましい。ポリオレフィン系樹脂(A)の融解ピーク温度(Tm)を140℃以上とすることで、レーザー光を用いたダイシング加工において、基材フィルムが溶融しチャックテーブルへ融着することを抑制することができる。また、基材フィルムに接着剤層や熱硬化性樹脂等の機能層を加熱硬化する工程においても、基材フィルムが溶融や融着を起こすことを抑制することができる。
また、融解ピーク温度(Tm)を170℃以下とすることで、基材フィルムの成形加工性が好ましくなる。
また、本発明に使用するポリオレフィン系樹脂(A)は、融解ピーク温度(Tm)が複数個存在しても良く、少なくとも140〜170℃の間に融解ピーク温度(Tm)が一つ存在すればよく、前記ポリオレフィン系樹脂(A)の最も高い温度の融解ピーク温度(Tm)が、140〜170℃の間に存在することが好ましい。
なお、本発明における融解ピーク温度(Tm)は、示差走査熱量計(DSC)を用い、試料5mgを230℃まで昇温した後、25℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、再度10℃/分の昇温速度で融解させたときに描かれるDSCチャート(溶融曲線)のピークが現れる位置の温度のことをいう。
本発明に使用するポリオレフィン系樹脂(A)は、結晶融解熱量(ΔHm)が25J/g以下であることが重要であり、20J/g以下であることが好ましい。結晶融解熱量を25J/g以下とすることで、結晶化度が高くなり過ぎることなく、基材フィルムに柔軟性を持たせることができ、エキスパンド工程において不具合を生じるおそれを抑制することができる。
なお、本発明における結晶融解熱量(ΔHm)は、示差走査熱量計(DSC)を用い、試料5mgを230℃まで昇温した後、25℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、再度10℃/分の昇温速度で融解させたときに描かれるDSCチャート(溶融曲線)から求めることができる。すなわち、DSCチャートの吸熱開始温度と吸熱終了温度を直線で結んだベースラインと、溶融曲線とに囲まれた部分の面積により決定される。
結晶融解熱量(ΔHm)が上記範囲を満たすようなポリオレフィン系樹脂(A)は、プロピレンとエチレンの重合条件を適宜設定し、ポリオレフィンの結晶性を低下させることで得ることができる。例えば、重合温度を高くする、重合圧力を低くする、適当な触媒を選択する等の公知の方法を用いることができる。また、重合体としてホモポリプロピレンを選択することによって、融解ピーク温度(Tm)を上記範囲とすることが可能である。この結果、融解ピーク温度(Tm)と結晶融解熱量(ΔHm)がともに上記範囲を満たすポリオレフィン系樹脂(A)を得ることができる。このようなポリオレフィン系樹脂(A)を用いることにより、本発明の半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルムは、ダイシングなどの加工の際に必要な耐熱性と柔軟性の両方に優れたフィルムを得ることができる。
本発明に使用するポリオレフィン系樹脂(A)は、分子量分布(Mw/Mn)が3以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましい。分子量分布を3以下とすることで、低分子量成分の滲出が抑制され、フィルムの成形時に冷却ロールが低分子量成分で汚染されたりすることを抑制し成形性に優れる。さらに、低分子量成分の滲出によって引き起こされる保管中の不具合、たとえば、基材フィルムをロール状に巻き取った後に低分子量成分の滲出によって起こるブロッキングや基材フィルムの巻出し不良、フィルムに粘着剤を塗布しダイシングフィルムとした際に低分子量成分が粘着剤に移行することで起こる粘着剤汚染や半導体ウェハへの糊残りなど、種々の不具合を抑制することができるため長期保管性にも優れる。
本発明に使用するポリオレフィン系樹脂(A)は、プロピレン成分とエチレン成分のモル分率の比が4:1〜19:1であることが好ましく、5:1〜14:1であることがより好ましい。プロピレン成分とエチレン成分のモル分率の比を上記とすることで柔軟性が低下するおそれを抑制することができ、また耐熱性が好ましいものとなる。
本発明に使用するポリオレフィン系樹脂(A)は、基材フィルム全体に対して50質量%以上含有することが好ましく、55質量%以上含有することがより好ましく、60質量%以上含有することが更に好ましい。ポリオレフィン系樹脂(A)を50質量%以上とすることで、耐汚染性、柔軟性、復元性に優れ、さらには耐熱性にすぐれた基材フィルムとすることができる。
[他の成分]
本発明の基材フィルムは、前記ポリオレフィン系樹脂(A)の他に、必要に応じて他の樹脂や各種添加剤を含有することができる。このような樹脂としては、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、エチレン・ビニルアルコール共重合体、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーなどが挙げられる。また、添加剤としては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、アンチブロッキング剤及び着色剤等が挙げられる。
[ポリマー型帯電防止剤]
本発明の基材フィルムに帯電防止性を付与する場合は、ポリマー型帯電防止剤を添加することもできる。ポリマー型帯電防止剤は、一般的な低分子型帯電防止剤に比べてブリードアウトが発生しにくいことで知られているが、中でもポリエーテル−ポリオレフィン共重合体を構成成分とするポリマー型帯電防止剤はオレフィン系樹脂との相溶性がよく、本発明の基材フィルムから帯電防止剤がブリードアウトしにくくなる。したがって、本発明の特徴である耐ブロッキング性および粘着剤非汚染性を損なうことなく優れた帯電防止性能を持たせることができる。
また前記ポリマー型帯電防止剤のMFR(JIS K7210、190℃、2.16kgf)は10以上であることが好ましい。より好ましくは15以上である。ポリマー型帯電防止剤は成型時のせん断により筋状に配向することによって導電ネットワークを形成するが、この際、成型温度が低すぎると導電ネットワークが上手く配向しないため、帯電防止性能を十分に発揮できない。しかしながら、ポリマー型帯電防止剤はオレフィン系熱可塑性エラストマーやスチレン系熱可塑性エラストマーに比べて熱安定性が劣るため、成型温度が高すぎると熱劣化による炭化異物が発生しやすくなる。MFRが10以上のポリマー型帯電防止剤を用いることによって、熱劣化の生じない低温成型においても導電ネットワークを上手く配向させることができる。
ポリマー型帯電防止剤を添加する場合は、フィルムの全質量に対して、ポリマー型帯電防止剤を5〜30質量%含有することが好ましい。より好ましくは10〜25質量%である。含有量を5質量%以上とすることで、ピックアップ時における静電気障害を効果的に抑制することができる。また、30質量%以下とすることで、フィルムの製膜時に厚み精度不良などの不具合の発生を抑制することができ、生産性が良好となる。
本発明の半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルムは、引張弾性率が200MPa以下であることが重要であり、150MPa以下が好ましく、120MPa以下が更に好ましく、105MPa以下であることが特に好ましい。引張弾性率を200MPa以下とすることで、柔軟性が必要とされる半導体の製造工程において好適に使用することができ、例えば、ウェハ表面にパターン面を形成する工程ではパターン面への追従性が良好であり、また、ダイシング工程においてはエキスパンド性に優れる。
また、本発明の半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルムの復元率は、72%以上であることが好ましく、75%以上がより好ましく、79%以上が更に好ましい。復元率を75%以上とすることで、復元性が必要とされる半導体の製造工程において、エキスパンドされた後も弛んだままになることなく形状が復元しやすく、カセット回収性に優れるなど、好適に使用することができる。
[基材フィルムの層構成]
本発明の半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルムは、単層フィルムでも多層フィルムでもよい。多層フィルムとする場合は、少なくとも1層が前記ポリオレフィン系樹脂(A)を含有し、引張弾性率が200MPa以下であるフィルムを用いていればよく、表裏層からなる2種2層の積層フィルムおよび/または表裏層と中間層からなる2種3層の積層フィルムとすることもできる。
本発明の基材フィルムは、上記の単層フィルム又は多層フィルムを少なくとも1つ備えていればよい。また、本発明の基材フィルムには、上記の単層フィルム又は多層フィルムが2以上積層されたフィルムも含まれる。単層フィルム又は多層フィルムが2以上積層されている場合は、各フィルムの間に接着剤層を備えることができる。
[フィルムの厚み]
本発明の好ましい態様においては、基材フィルムの厚みは、30μm〜500μmであり、更に好ましくは、50μm〜300μmである。上記の値の範囲内であれば、柔軟性を保持しつつも半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルムとして十分な強度を保ち、また成形加工性にも優れる。
[基材フィルムの製法]
本発明の基材フィルムを製造する工程においては、Tダイ押出し成形法等の押出し成形法、インフレーション成形法及びカレンダー成形法等の一般的なポリオレフィン系樹脂フィルムの成形方法が用いられるが、特に本発明においては押出し成形法が適している。尚、押出しの際の樹脂組成物のメルトフローレートは、1〜20g/10分、好ましくは、5〜15g/10分である。樹脂組成物のメルトフローレートが1g/10分以上であれば溶融粘度が高くなり過ぎることがなく押出加工性が良好であり、20g/10分以下であれば溶融粘度が低くなり過ぎることがなく流動性が良好で加工性に優れる。
[粘着フィルム]
本発明の粘着フィルムは、本発明で得られる単層または多層の基材フィルムが少なくとも1つ含まれていればよい。本発明の粘着フィルムは、基材フィルムの少なくとも片面側に、粘着剤層を積層してなる。
粘着剤層として用いられる粘着剤は特に限定されないが、例えば、天然ゴム系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂等の各種粘着剤が用いられる。また粘着剤層の上にさらに接着剤層や熱硬化性樹脂層等の機能層を設けても良い。
本発明の基材フィルムの少なくとも片面側は、プラズマ処理やコロナ処理、オゾン処理および火炎処理等の方法により表面処理されてもよい。また、基材フィルムと粘着層の間には、必要によりプライマー層を設けてもよい。また、本発明の目的を損ねない限り、基材フィルムの粘着層が設けられた側の反対面に更に樹脂層を設けても良い。
本発明の半導体製造工程用粘着フィルムは、シリコンやガリウム砒素等の半導体の他、ガラスおよび水晶、BGAやQFN等のパッケージ基板をダイシングする際に用いることもできる。ダイシングの方法としては特に限定されないが、特にレーザーダイシングに好適に用いることができる。
以下、本発明の実施形態について実施例を用いて詳述するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例に使用した各ポリオレフィン系樹脂の分析方法は以下の通りである。
[融解ピーク温度(Tm)、結晶融解熱量(ΔHm)]
示差走査熱量測定装置(メトラー・トレド製 DSC823e)を用い、試料約5mgを、昇温速度10℃/分で25℃から230℃まで昇温した後、冷却速度10℃/分で25℃まで降温し、再度、昇温速度10℃/分で230℃まで昇温した際に測定されたDSCチャートから、融解ピーク温度(Tm)および結晶融解熱量(ΔHm)を求めた。
[分子量分布(Mw/Mn)]
高温GPC装置(日本ウォーターズ製 AllianceGPCV−2000)を用い、o−ジクロロベンゼンを溶媒として、測定温度140℃にて重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
[モル分率]
核磁気共鳴装置(ブルカー・バイオスピン製 AVANCE400)を用い、試料70mgに対しo−ジクロロベンゼン1mlおよび重ベンゼン0.2mlの割合で調製した溶液を、測定温度130℃にて13C−NMRスペクトルを測定した。得られたピークを帰属し、ピークの積分値から各成分およびトリアッドのモル分率を算出し、プロピレン成分とエチレン成分の比を求めた。
[使用した材料]
・樹脂A−1:ポリプロピレン系熱可塑性エラストマー(A−1)
(Tm:159℃、ΔHm:6J/g、Mw/Mn:2.1、プロピレン成分/エチレン成分:89/11)
・樹脂A−2:ポリプロピレン系熱可塑性エラストマー(A−2)
(Tm:152℃、ΔHm:19J/g、Mw/Mn:2.1、プロピレン成分/エチレン成分:91/9)
・樹脂B:日本ポリプロ社製「ウェルネクスRFG4VA」
(Tm:129℃、ΔHm:28J/g、Mw/Mn:2.2、プロピレン成分/エチレン成分:94/6)
・樹脂C:プライムポリマー社製「F3900」
(Tm:160℃、ΔHm:43J/g、Mw/Mn:3.3、プロピレン成分/エチレン成分:100/0)
・樹脂D:三菱化学社製「ゼラス5053」
(Tm:161℃、ΔHm:36J/g、Mw/Mn:3.7、プロピレン成分/エチレン成分:79/21)
[基材フィルムの作製]
ポリオレフィン系樹脂を表1に記載する配合にて、単軸押出機(東洋精機製作所製D2020)を使用し、Tダイ(東洋精機製作所製T120C)を用いて押出成形した。押出した溶融樹脂をフィルム引取装置(東洋精機製作所製FT2W20)にて、押出し条件をC1温度:210℃、C2温度:230℃、C3温度:230℃、Tダイ温度:230℃、冷却ロール温度:23℃、スクリュ回転数:20rpmとし、巻取速度1.5〜1.7m/分で巻取り、厚み80μmの単層の基材フィルムを得た。
得られた各フィルムについて、以下の評価項目について評価を行った。結果を表1に示す。
[耐汚染性]
各フィルムの成形の際、冷却ロールに汚染が認められなかったものを○、油膜状のロール汚染が発生したものを×とした。
[耐熱性]
得られた基材フィルムを使用し、5cm×5cmの試験片を採取し、試験片の上下をステンレス板(SUS304BA)にて挟み、東洋精機製ギアオーブンSTD60−Pを使用し180℃下で15分間加熱した。加熱後ギアオーブンから取り出し、ステンレス板から基材フィルムを剥がした際、フィルムに破損が認められなかったものを○、フィルムに破損が発生したものを×とした。
[柔軟性(引張弾性率)]
得られた基材フィルムを使用し、JISK7127に準拠し、1号ダンベル試験片を採取し、23℃・60%RHの雰囲気下、島津製作所製オートグラフAGS−Xを用いて、引張速度50mm/分にて引張弾性率を測定した。
[復元性]
得られた基材フィルムを使用し、JISK7127の1号ダンベル試験片の形状で採取し、23℃・60%RHの雰囲気下、島津製作所製オートグラフAGS−Xを用いて、引張速度50mm/分にて50%延伸し1分間保持した後、試験機から外して5分間放置して復元させ、下記の計算式により復元率を測定した。
復元率(%)=(引張直後の長さ−復元後の長さ)÷(引張直後の長さ−引張前の長さ)×100
なお、引張直後の長さとは、オートグラフで50%延伸した状態の長さを言う。
[総合評価]
耐汚染性、柔軟性、復元性を勘案し、総合的な実用性を以下の基準で評価した。
A:特に好ましい
B:好ましい
C:実用上使用可能な範囲
D:劣る
評価結果を表2に示した。
Figure 0006227494
表1から、実施例1〜6の半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルムは耐汚染性、柔軟性、復元性に優れており、更に耐熱性にも優れることが認められる。特に、実施例1〜3は、柔軟性、復元性の観点から優れており、特に好ましい性能を有している結果が得られた。
この結果から、本発明の半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルムによれば、特にダイシング工程におけるエキスパンド時やピックアップ時に必要な柔軟性および復元性に優れ、さらには生産時のロール汚染やフィルム巻出し時のブロッキング、および粘着剤の凝集力低下といった低分子量成分の滲出による不具合を防止できるダイシング用粘着フィルムを提供できる。
更に、本発明の半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルムをレーザーダイシング用に使用した場合は、基材フィルムが溶融しチャックテーブルへ融着する事態を防ぐことができる。また、ダイシングフィルム用の粘着フィルム上に接着剤層や熱硬化性樹脂等の機能層を加熱硬化する工程においても、基材フィルムが溶融や融着を起こす等の不具合を抑制するダイシング用粘着フィルムを提供できる。

Claims (8)

  1. ポリオレフィン系樹脂(A)を含有し、引張弾性率が200MPa以下であるフィルムであって、前記ポリオレフィン系樹脂(A)は、少なくとも140〜170℃の間に融解ピーク温度(Tm)を有し、結晶融解熱量(ΔHm)が25J/g以下であることを特徴とする半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム。
  2. 前記ポリオレフィン系樹脂(A)は、分子量分布(Mw/Mn)が3以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム。
  3. 復元率が72%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム。
  4. 前記ポリオレフィン系樹脂(A)は、基材フィルム全体に対して50質量%以上含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム。
  5. 前記ポリオレフィン系樹脂(A)は、プロピレン成分とエチレン成分のモル分率の比が4:1〜19:1であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の基材フィルムを少なくとも1つ備える、半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の基材フィルムの少なくとも片面側に、粘着剤層を積層してなる半導体製造工程用粘着フィルム。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の基材フィルムの少なくとも片面側に、粘着剤層を積層してなるダイシング用粘着フィルム。
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