JP2012188597A - フィルム、前記フィルムの製造方法及びそれを用いたダイシング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
高い耐熱性とネッキングしにくい高く均一な拡張性とを併せ持つフィルムを提供する。
【解決手段】
4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と熱可塑性エラストマー(B)とを含む拡張性基材フィルムであって、前記(B)の含有量が(A)と(B)の合計100重量部に対して3〜50重量部であり、かつ前記フィルムについて示差走査熱量計(DSC)により測定される前記(B)に由来する融点TmB2が100℃以下または前記融点TmB2が実質的に観測されない拡張性基材フィルム。
【選択図】 図1A

Description

本発明は、拡張性フィルムおよび該拡張性フィルムを含むダイシングフィルムに関する。ダイシングフィルムは、半導体ウエハを素子小片(チップ)に切断・分割し、素子をピックアップ方式で自動回収する工程においてウエハの裏面に貼り付けする固定支持用粘着シートとして有用である。また、本発明は該ダイシングフィルムを用いた半導体装置の製造方法、及び該製造方法によって得られる半導体装置に関する。
半導体装置の製造工程において、所定の回路パターンが形成されたシリコンウエハは回転する丸刃(ブレード)によって素子小片に切断分離(ダイシング)される。このダイシング工程と呼ばれる工程では、まずシリコンウエハをダイシングフィルムと呼ばれる比較的硬い基材層と粘着力のある粘着層とを含むフィルムに、前記粘着層を介して貼り付ける。次にシリコンウエハを小片状に切断し、フィルムを縦横ともに延伸し、素子の間隔を拡げてピックアップする方法が一般的に用いられている(特許文献1〜3参照)。また近年のウエハの薄化によるダイシング時のデバイス破壊を防ぐため、高精細の加工が可能んなレーザー光の光吸収アブレーションによる半導体基板のダイシング方法(レーザーアブレーションダイシング)(特許文献4参照)、ステルスダイシング、プラズマダイシングなどが考案されているが、前記ダイシングフィルムを用いて素子の間隔を広げる工程は共通する。
このためダイシングフィルムには、ダイシング方法によらず延伸の際、ネッキングを起こさないで全体がある程度、均一に伸びることが要求される。これは、ネッキングが生じると、フィルムの周辺部だけが伸び、フィルムの中心部が十分に伸びず、中央部の素子が個片化されない問題が発生しやすいからである。このため、ダイシング用拡張性基材層として、ネッキングが生じにくい軟質塩化ビニル(特許文献5参照)やポリ酢酸ビニルとオレフィン系樹脂の混合物(特許文献6参照)が一般的に用いられている。
近年、半導体の高集積化に応じてウエハを薄化しているため、ダイシング時に発生する熱がダイシングフィルムまで及ぶようになっている。このため、軟質塩化ビニルを用いたダイシングフィルムでは、加熱により前記塩化ビニルに含まれる可塑剤などが脱離し半導体素子が汚染される恐れがある。またポリ酢酸ビニルとオレフィン系樹脂の混合物は耐熱性が低く、ダイシング時にフィルムが変形しウエハの割れや均一な拡張ができなくなる恐れがある。
また、従来のダイシング後にベーキングなどを行なう製法に対して、ウエハにダイシングフィルムを貼り付けた後、ダイシングする前に半導体ウエハ上に形成された回路の配線、電極形成(ボンディング)、樹脂封止(ベーキング)まで行ない、その後、ダイシングを行なうWLP(ウエハレベルパッケージ)という製造方法が開発され、注目されている(特許文献7など)。WLPでは、従来の製法に比べて、パッケージのサイズを小さくすることができ、半導体装置の小型化・軽量化を図ることができるが、ダイシングフィルムには、樹脂封止(ベーキング)に要する温度でもダイシングフィルムが変形等しないなどの高い耐熱性が必要とされる。このため、WLPに使用できる高い耐熱性と拡張性を併せ持つダイシングフィルムが求められていた。
特開平2−215528号公報 特開2008−4836号公報 特開2009−267389号公報 特開2002−343747号公報 特開2002−235055号公報 特開2004−303999号公報 特開2008−16539号公報
本発明は、従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、高い耐熱性とネッキングしにくい高く均一な拡張性とを併せ持つフィルムを提供することにある。
本発明の第一は拡張性基材フィルムに関する。
[1]4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と熱可塑性エラストマー(B)とを含む拡張性基材フィルムであって、前記(B)の含有量が(A)と(B)の合計100重量部に対して3〜50重量部であり、かつ前記フィルムについて示差走査熱量計(DSC)により測定される前記(B)に由来する融点TmB2が100℃以下または前記融点TmB2が実質的に観測されない拡張性基材フィルム。
[2]4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と熱可塑性エラストマー(B)とを含む拡張性基材フィルムであって、前記(B)の含有量が(A)と(B)の合計100重量部に対して3〜50重量部であり、かつ前記(B)の示差走査熱量計(DSC)により測定される融点TmB1が100℃以下または前記融点TmB1が実質的に観測されない拡張性基材フィルム。
[3]4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)のASTM−0638準拠にして測定される23℃における引張弾性率が500〜2000MPaである、[1]または[2]に記載の拡張性基材フィルム。
[4]熱可塑性エラストマー(B)のJIS K7113‐2に準拠して測定される23℃における引張弾性率が1〜50MPaである、[1]ないし[3]のいずれか一項に記載の拡張性基材フィルム。
[5]熱可塑性エラストマー(B)が、オレフィン系エラストマーおよび/またはスチレン系エラストマーからなる、[1]ないし[4]のいずれか一項に記載の拡張性基材フィルム。
[6]熱可塑性エラストマー(B)の密度が850〜980kg/mである、[1]ないし[5]のいずれか一項に記載の拡張性基材フィルム。
[7]4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と熱可塑性エラストマー(B)とプロピレン(共)重合体(C)との合計100重量部に対して0.3〜40重量部のプロピレン(共)重合体(C)を含む、[1]ないし[6]のいずれか一項に記載の拡張性基材フィルム。
[8]さらに、プロピレン(共)重合体(C)を含む請求項1に記載のフィルムであって、前記フィルムについて示差走査熱量計(DSC)により測定される前記(C)に由来する融点TmC2が110〜175℃の範囲内にある、[7]に記載の拡張性基材フィルム。
[9]基材の主面に垂直な切断面のTEM像(撮像範囲のフィルム厚さ方向の距離は15μm、かつ撮像面積は45μm)で、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)から実質的に構成される相と、熱可塑性エラストマー(B)から実質的に構成される相の相分散構造が観察される、[1]ないし[8]のいずれか一項に記載の拡張性基材フィルム。
[10]120℃における線膨張係数(1/K)が1.0×10−4〜2.0×10−3である、[1]ないし[9]のいずれか一項に記載の拡張性基材フィルム。
本発明の第二は拡張性粘着フィルムに関する。
[11][1]ないし[10]のいずれか一項に記載の拡張性基材フィルムからなる基材層と、粘着層とを含む、拡張性粘着フィルム。
[12]粘着層の25℃における引張弾性率が50MPa以下である、[11]に記載の拡張性粘着フィルム。
[13]粘着層の昇温速度2℃/min.で室温から200℃まで昇温した際の熱重量減少率が2%未満である、[11]または[12]に記載の拡張性粘着フィルム。
[14]粘着層を最表面に有する[11]ないし[13]のいずれか一項に記載の拡張性粘着フィルム。
[15]前記基材層以外の層の25℃における引張弾性率が、前記基材層の25℃の引張弾性率未満である、[11]ないし[14]のいずれか一項に記載の拡張性粘着フィルム。
[16][1]ないし[15]のいずれか一項に記載のフィルムを含んでなる、半導体用ダイシングフィルム。
本発明の第三は拡張性基材フィルムの製造方法に関する。
[17]4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と、示差走査熱量計(DSC)で得られる融点TmB1が100℃以下または前記融点TmB1が実質的に観測されない熱可塑性エラストマー(B)とを含んでなり、前記(B)の含有量が(A)と(B)の合計100重量部に対して3〜50重量部の溶融混練物を成形する工程を含む、[1]ないし[10]のいずれか一項に記載の拡張性基材フィルムの製造方法。
本発明の第四は半導体装置の製造方法に関する。
[18]半導体ウエハに、[16]に記載のダイシングフィルムを前記ダイシングフィルムの粘着剤層を介して貼り付ける工程と、 前記半導体ウエハをダイシングして半導体チップを得る工程と、前記ダイシングフィルムを拡張して、前記半導体チップをピックアップする工程と、を含む、半導体装置の製造方法。
[19]回路面を有する半導体ウエハの回路面と対向する面に、[16]に記載のダイシングフィルムを前記フィルムの粘着剤層を介して貼り付ける工程と、前記半導体ウエハの回路面を封止する工程と、前記半導体ウエハをダイシングして半導体チップを得る工程と、前記ダイシングフィルムを拡張して、前記半導体チップをピックアップする工程と、を含む、半導体装置の製造方法。
本発明の一実施形態に係る拡張性基材フィルムの基材層のMD方向に平行な断面TEM写真である。 本発明の一実施形態に係る拡張性基材フィルムの基材層のTD方向に平行な断面TEM写真である。 本発明の拡張性基材フィルムの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係るダイシングフィルムを用いた半導体装置の製造方法の一部を説明する図である。 本発明の一実施形態に係るダイシングフィルムを用いた半導体装置の製造方法の一部を説明する図である。 本発明の一実施形態に係るダイシングフィルムを用いた半導体装置の製造方法の一部を説明する図である。 本発明の一実施形態に係るダイシングフィルムを用いた半導体装置の製造方法の一部を説明する図である。 本発明の一実施形態に係るダイシングフィルムを用いた半導体装置の製造方法の一部を説明する図である。 本例における積層フィルムの拡張試験方法を説明する上面図および側面図である。 本例における積層フィルムの拡張試験方法を説明する側面図である。
1.拡張性基材フィルム
本発明の拡張性基材フィルムは、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と熱可塑性エラストマー(B)とを含む。
(1)4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)
4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)とは、4−メチル−1−ペンテンから導かれる繰り返し単位を有していればよく、それ以外の制限はない。つまり、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体とは、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体であっても、4−メチル−1−ペンテン以外の4−メチル−1−ペンテンと共重合可能なモノマーとの共重合体であってもよい。なお、後述するプロピレン(共)重合体(C)など、本願明細書における「(共)重合体」とは、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と同様に単独重合体も共重合体も含むことを意味する。
前記4−メチル−1−ペンテンと共重合可能なモノマーとは、具体的には、4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数2〜20のオレフィン(以下「炭素原子数2〜20のオレフィン」という)が挙げられる。
4−メチル−1−ペンテンと共重合される炭素原子数2〜20のオレフィンの例には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセン等が含まれ、フィルムに適度な可とう性を付与するという観点からは、炭素原子数10〜18のオレフィンが好ましい。
4−メチル−1−ペンテンと共重合される炭素原子数2〜20のオレフィンは、一種類であってもよいし、二種類以上を組み合わせてもよい。4−メチル−1−ペンテン(共)重合体における、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位の割合は通常、85モル%以上であり、後述する耐熱性を向上させるという観点からは90モル%以上が好ましい。4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数2〜20のオレフィンに由来する構成単位の割合は15モル%以下、10モル%以下であることが好ましい。4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位の割合が85モル%未満であると、フィルムの弾性率が低下し、柔からすぎてハンドリング性が低下する。また、後述するダイシングフィルムの基材層に用いた場合、貼り付けたシリコンウエハの形状を保持できず、ウエハが割れるなどの問題が発生する恐れがある。
4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)は、破れにくくするという観点からは、結晶性の高い重合体であることが好ましい。結晶性の重合体としては、アイソタクチック構造を有する重合体、シンジオタクチック構造を有する重合体のいずれであってもよいが、特にアイソタクチック構造を有する重合体であることが好ましく、また入手も容易である。さらに、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体は、フィルム状に成形でき、拡張性基材フィルムとして使用に耐える強度を有していれば、立体規則性も特に制限されない。
4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)のASTM−0638準拠にして測定される23℃における引張弾性率は、500〜2000MPaが好ましく、800〜1500がより好ましい。前記範囲よりも、引張弾性率が大きいと、硬すぎて拡張しにくくなり、引張弾性率が低すぎると軟らかすぎてハンドリング性が低下する。
本願発明の4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)のASTM DM1505に準拠して測定される密度は、825〜840(kg/m)であるのが好ましく、830〜835(kg/m)であるのがさらに好ましい。密度が前記範囲よりも小さいとフィルムの機械的な強度が低下し、拡張性基材として用い場合、破れやすいなどの問題が発生する恐れがある。一方、前記範囲よりも密度が大きいと、硬すぎて拡張しにくくなる傾向がある。
4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)の、ASTM D1238に準拠して260℃、2.16kg荷重にて測定されるメルトフローレート(MFR)は、後述する熱可塑性エラストマー(B)と押出機内で混ざりやすく、共押出できる範囲であれば特に規定されないが、通常、0.5〜50g/10minであり、より好ましく1〜30g/10minである。MFRが上記範囲であれば、比較的均一な膜厚に押出成形しやすい。
4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)は、オレフィン類を重合して直接製造してもよく、高分子量の4−メチル−1−ペンテン系重合体を、熱分解して製造してもよい。また4−メチル−1−ペンテン(共)重合体は、溶媒に対する溶解度の差で分別する溶媒分別、あるいは沸点の差で分取する分子蒸留などの方法で精製されていてもよい。
4−メチル−1−ペンテン(共)重合体を重合反応により直接製造する場合には、例えば4−メチル−1−ペンテンおよび炭素原子数2〜20のオレフィンの仕込量、重合触媒の種類、重合温度、重合時の水素添加量などを調整することにより、融点、立体規則性および分子量等を制御する。4−メチル−1−ペンテン(共)重合体の重合反応により製造する方法は、公知の方法であってよい。例えば、チーグラナッタ触媒、メタロセン系触媒等の公知の触媒を用いた方法により製造され、好ましくはメタロセン系触媒を用いて製造されうる。一方、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体を、より高分子量の4-メチル-1-ペンテン系重合体を熱分解して製造する場合には、熱分解の温度や時間を制御することで、所望の分子量に制御する。
4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)は、前述のように製造したもの以外にも、例えば三井化学株式会社製TPX等、市販の重合体であってもよい。
(2)熱可塑性エラストマー(B)
本発明の拡張性基材フィルムに含まれる熱可塑性エラストマー(B)は、本発明の拡張性基材フィルム自体、すなわち少なくとも前述の4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と混合している状態のものに対して示差走査熱量計(DSC)により測定される融点TmB2が100℃以下または実質的に融点TmB2が観測されないものであるか、前記(B)自体について走査熱量計(DSC)により測定される融点TmB1が100℃以下または実質的に融点TmB2が観測されないものである。
融点TmB1または融点TmB2を後述するヒートシールをする際の温度より低く調整するか、そもそも融点を有さない熱可塑性エラストマー、すなわち低結晶性かつ熱可塑性のエラストマーを用いることで、前記成形時の温度で熱可塑性エラストマー(B)と、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)が微分散したアロイ構造(相分散構造ともいう)を形成し、耐熱性を損なうことなく、拡張性を向上させることができる。
熱可塑性エラストマー(B)単体の融点TmB1と、前記フィルム中の熱可塑性エラストマー(B)の融点TmB2は、通常、ほぼ同じだが、前述の4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)や後述する他の成分の結晶性が高い場合に、それらの結晶成分の影響により熱可塑性エラストマー(B)自体の融点が変化する場合がある。また単独では融点を有さない熱可塑性エラストマー(B)を用いても、フィルム中の融点TmB2が観測されることがあるが、通常、TmB1とTmB2の差は20℃以内になる。また融点が100℃以下または融点が実質的に観測されない熱可塑性エラストマー(B)を用いることで、上記融点TmBも100℃以下または実質的に融点TmB2が観測されないフィルムを得ることができる。
熱可塑性エラストマー(B)は、拡張性フィルムの取り扱い温度においてゴム弾性を有すればよく、好ましくはガラス転移点が25℃以下である。ガラス転移点が25℃を超える場合、成形後のフィルムの拡張性等の物性が、保管条件によって変化しやすくなることが懸念される。
熱可塑性エラストマー(B)としては、上記融点を有する熱可塑性エラストマーならば特に限定されないが、具体例としては、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーなどが挙げられる。
オレフィン系エラストマーは、具体例として、プロピレン・α−オレフィン共重合体、すなわちプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。プロピレン・α−オレフィン共重合体におけるα−オレフィンは、好ましくは炭素数2〜20のα−オレフィンである。炭素数2〜20のα−オレフィンの例には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネンおよび1−デセン等が含まれ、好ましくはエチレン、1−ブテンである。プロピレン・α−オレフィン共重合体に含まれるα−オレフィンは、1種類であってもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。プロピレン・α−オレフィン共重合体は、より好ましくはプロピレン・1−ブテン・エチレン共重合体である。プロピレン・α−オレフィン共重合体のプロピレンに由来する構成単位の含有量は、良好な成形性を得る観点から、好ましくは50モル%以上であり、より好ましくは60モル%以上である。
スチレン系エラストマーとは、ハードセグメントとしてポリスチレンと、ソフトセグメントであるポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリブタジエンとポリイソプレンの共重合物、或いはそれらの水素添加物からなるものである。水素添加はポリブタジエンやポリイソプレンの一部のみであっても良いし、全てが水素添加されていても良い。このようなスチレン系エラストマーがカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、エポキシ基及び水酸基などの官能基により変性されていることにより良好な接着性を付与することができる。変性スチレン系エラストマーの市販品としては、「タフテック」(旭化成ケミカルズ社製、登録商標)、「クレイトン」(クレイトンポリマージャパン社製、登録商標)、「ダイナロン」(JSR社製、登録商標)、「セプトン」(クラレ社製、登録商標)、「SIBSTER」(株式会社カネカ製、登録商標)等が挙げられる。
オレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマーは、従来公知の製造方法、例えばチーグラーナッタ触媒あるいはメタロセン系触媒の存在下に、前記エラストマーを構成する単量体(モノマー)を共重合させることで得ることができる。具体的には、プロピレン・α-オレフィン共重合体は、プロピレンと、プロピレン以外のα−オレフィンとを共重合させることにより得ることができる。
熱可塑性エラストマー(B)のJIS K7113−2に準拠して測定される23℃における引張弾性率は、1〜50MPaが好ましく、3〜45MPaがより好ましい。前記範囲よりも引張弾性率が小さいと、フィルムのハンドリング性が低下する。一方、前記範囲よりも引張弾性率が大きいと、本願発明のフィルムの柔軟性が低下し、拡張時に基材フィルムが破ける恐れがある。
また熱可塑性エラストマー(B)のASTM DM1505に準拠して測定される密度は850〜980kg/m3であることが好ましく、860〜970kg/m3がより好ましい。
熱可塑性エラストマー(B)のASTM D1238に準拠して260℃、2.16kg荷重にて測定されるメルトフローレート(MFR)は、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と押出機内で混ざりやすく、共押出できる範囲であれば特に限定されない。後述するように熱可塑性エラストマー(B)のハンドリング性などを向上させるためプロピレン(共)重合体(C)と熱可塑性エラストマー(B)とを混合させ混合物を作成した後、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と前記混合物を押出機内で混ぜる場合、熱可塑性エラストマー(B)とプロピレン(共)重合体(C)との混合物のメルトフローレート(MFR)は、好ましくは1〜50g/10minであり、より好ましく3〜40g/10minである。MFRが上記範囲であれば、比較的均一な膜厚に押出成形しやすい。
本発明の拡張性基材フィルムに含まれる熱可塑性エラストマー(B)の含有量は、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と熱可塑性エラストマー(B)の合計100重量部に対して3〜50重量部であることが好ましく、5〜40重量部であることがより好ましい。上記比率で、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と熱可塑性エラストマー(B)とが含まれることで、後述するように成分Aと成分Bが適度に相分散し、例えばダイシングフィルムの基材層として本発明の拡張性基材フィルムを用いた場合、耐熱性を大きく損なうことなく、高くかつ均一な拡張性を付与することができる。
本発明の拡張性基材フィルムは、比較的結晶性が高い4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と熱可塑性エラストマー組成物(B)とが相分離しそれぞれが分散している構造(相分散構造)をもつことが好ましい。具体的には、本願発明のフィルムの主面に垂直な切断面のTEM像(撮像範囲のフィルム厚さ方向の距離は15μm、かつ撮像面積は45μm)で海島構造または積層構造が観察され、前記海部が前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)から実質的に構成され、前記島部が前記プロピレン系エラストマー組成物(B)から実質的に構成される、相分散構造を有するのが好ましい。このような相分離構造は、特許第3340979号公報で例示されている高結晶性のオレフィン系樹脂と低結晶性のオレフィン系樹脂では形成されないことから、本発明の4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)とプロピレン系エラストマー組成物(B)の組合せによって発現すると考えられる。
図1Aは、本発明の拡張性基材フィルムのMD方向に平行な断面のTEM画像の一例であり、図1Bは、本発明の拡張性基材フィルムのTD方向に平行な断面のTEM画像の一例である。図1Aおよび図1Bに示されるように、MD方向、TD方向のフィルム断面TEM像には、フィルム表面と平行な方向に伸びた明部、すなわち暗部に比べて電子密度が低い部分が見られる。このような相分散構造は、本発明の拡張性基材フィルムの断面を薄切片化して観察した透過型電子顕微鏡(TEM)画像により「明暗構造」として観察されうる。図1AのTEM画像では、例えば「明部」が、電子密度が相対的に低い4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A);「暗部」が、電子密度が相対的に高い熱可塑性エラストマー(B)ないし、熱可塑性エラストマー(B)後述するプロピレン(共)重合体(C)など、比較的熱可塑性エラストマー(B)と相溶解性が高く4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)との相溶解性が低い化合物の混合物であると考えられる。
上記相分散構造が本発明の効果に及ぼすメカニズムは必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。すなわち、前記のような相分離構造を有する拡張性フィルムに応力がかけられると、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)が弾性変形し、ネッキングしないうちに、熱可塑性エラストマー(B)を介して、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)にかかる応力がフィルムの断面方向に均一化される。このため、拡張性フィルム全体として4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)の高次構造が等方的に変形し、ネッキングを生じずに弾性変形可能な範囲が広がる、すなわち高い拡張性が発現すると考えられる。
(3)プロピレン(共)重合体(C)
本願発明の拡張性基材フィルムは、プロピレン(共)重合体(C)をさらに含んでもよい。このようなプロピレン(共)重合体(C)を含むことで、原料の混練時あるいはフィルム成形時のブロッキングを抑制する効果やフィルム成形性を改善するなどの効果が期待できる。
プロピレン(共)重合体(C)は、実質的にはプロピレンの単独重合体であるが、プロピレン以外のα−オレフィンなどを微量含んでもよく、いわゆるホモポリプロピレン(hPP)、ランダムポリプロピレン(rPP)およびブロックポリプロピレン(bPP)のいずれでも良い。ポリプロピレンにおける、プロピレン以外のα−オレフィンの含有量は、好ましくは20モル%以下であり、より好ましくは10モル%以下である。
本願発明のフィルムにプロピレン(共)重合体(C)を含まれる場合は、本願発明のフィルム自体、すなわち少なくとも前述の4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と熱可塑性エラストマー(B)と成分Cが混合している状態のものに対して、示差走査熱量計(DSC)により測定される融点TmC2が110℃〜175℃にあることが好ましく、120〜170℃がより好ましい。
実質的にプロピレン(共)重合体(C)のみなからなるプロピレン(共)重合体(C)単体の融点TmC1と、前記フィルム中のプロピレン(共)重合体(C)の融点TmC2は、通常、ほぼ同じであるが、融点が低いまたは融点を実質的に有さない熱可塑性エラストマー(B)と融点が高い4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)とを混練して、分散構造を形成すると、TmC2がTmC1より高くあるいは低くなる場合があるが、通常、TmC1とTmC2の差は20℃以内である。
プロピレン(共)重合体(C)の含有量は、成分(A)と成分(B)と前記成分(C)の合計100重量部に対して、0.3〜40重量部であることが好ましく、0.5〜25重量部であることがより好ましい。また成分(C)の量が多い場合は、成分(B)の含有量を増やすのが好ましい。プロピレン(共)重合体(C)の含有量が5重量部未満であると、熱可塑性エラストマー(B)がブロッキングしやすい場合がある。一方、40重量部を超えると、本願発明のフィルムを拡張性基材フィルムとして用いた場合、拡張性が低下する可能性がある。
(4)その他の成分
本発明の拡張性基材フィルムは、上記の成分Aと成分Bおよび/または成分(C)から実質的になるのが前述の相分離構造を形成する上で好ましいが、本発明の目的を損なわない範囲で、他の樹脂や添加剤を含んでいてもよい。添加剤の例には、耐熱安定剤、耐候安定剤、発錆防止剤、耐銅害安定剤、および帯電防止剤等が含まれる。添加剤の含有量は、本願発明のフィルムを構成する樹脂組成物全体100質量部に対して0.0001〜10質量部とすることが好ましい。
本発明の拡張性フィルムは、耐熱性が高く、ハンドリング性がよく、かつ優れた拡張性を有する。このため、本発明の拡張性フィルムは、拡張性が要求される各種用途、例えば光学素子などの保護部材や、半導体装置の製造に用いられるダイシングフィルムの基材層として用いることができ、特に、ダイシングフィルムに耐熱性が求められる、半導体ウエハをダイシングする工程を含む半導体装置の製造方法や、WLPプロセスによる半導体装置の製造に好ましく用いられる。
2.拡張性粘着フィルムについて
本発明の拡張性粘着フィルムは、前述の拡張性基材フィルムを含む基材層と、粘着剤層を有し、必要に応じて低摩擦層などをさらに有してもよい。
粘着剤層について
粘着剤層は、公知の粘着剤で構成されてよく特に限定されないが、例えばゴム系、アクリル系およびシリコーン系等の粘着剤のほか、スチレン系エラストマーやオレフィン系エラストマーなど熱可塑性粘着材で構成されても良い。さらに、粘着剤層は、放射線により粘着力を低下させる放射線硬化型粘着剤や加熱により粘着力を低下させる加熱硬化型粘着剤などにより構成されてよい。放射線硬化型粘着剤の好ましい例には、紫外線硬化型粘着剤が含まれる。また半導体用ダイシングフィルムとして、本発明の拡張性粘着フィルムを用いる場合は、特開2005−277297号公報に記載の粘着剤層も持ちいることができる。
アクリル系粘着剤は、アクリル酸エステル化合物の単独重合体、またはアクリル酸エステル化合物とコモノマーとの共重合体であってよい。アクリル酸エステル化合物の例には、エチルアクリレート、ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレート等が含まれる。アクリル系共重合体を構成するコモノマーの例には、酢酸ビニル、アクリルニトリル、アクリルアマイド、スチレン、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリルアマイド、メチロールアクリルアマイド、グリシジルメタクリレートおよび無水マレイン酸等が含まれる。
ゴム系粘着剤の例には、天然ゴム、合成イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンブロツク共重合体、スチレン・イソプレンブロツク共重合体、ブチルゴム、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリビニルエーテル、シリコーンゴム、およびクロロプレンゴム等が含まれる。
ゴム系粘着剤には、粘着力を高めるために、粘着付与樹脂をさらに加えてもよい。粘着付与樹脂の例には、ロジン系樹脂およびテルペン系樹脂等が含まれ、ゴム系粘着剤との相溶性が良い点から、好ましくはテルペン系樹脂である。ロジン系樹脂の例には、ロジン、重合ロジン、水添ロジン、およびロジンエステル等が含まれ;テルペン系樹脂の例には、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変成テルペン樹脂およびロジンフェノール樹脂等が含まれる。粘着付与樹脂の含有量は、ゴム系粘着剤100重量部に対して5〜100重量部であることが好ましい。
紫外線硬化型粘着剤および加熱硬化型粘着剤は、前記アクリル系粘着剤などの粘着剤と、硬化性化合物(炭素−炭素二重結合を有する成分)と、光重合開始剤または熱重合開始剤と、を含む。
硬化性化合物は、分子中に炭素−炭素二重結合を有し、ラジカル重合により硬化可能なモノマー、オリゴマーまたはポリマーであればよい。そのような硬化性化合物の例には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル;エステルアクリレートオリゴマー;2−プロペニルジ−3−ブテニルシアヌレート、2−ヒドロキシエチルビス(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロキシエチル)イソシアヌレートなどのイソシアヌレートまたはイソシアヌレート化合物などが挙げられる。なお、粘着剤が、ポリマーの側鎖に炭素−炭素二重結合を有する紫外線硬化型ポリマーである場合は、硬化性化合物を加える必要はない。
硬化性化合物の含有量は、粘着剤100重量部に対して5〜900重量部が好ましく、20〜200重量部がより好ましい。硬化性化合物の含有量が少なすぎると、硬化する部分が少なすぎて粘着力の調整が不十分となり、硬化性化合物の含有量が多すぎると、熱や光に対する感度が高くすぎて保存安定性が低下する。
光重合開始剤は、紫外線を照射することにより開裂しラジカルを生成する化合物であればよく、例えばベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類;ベンジル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどの芳香族ケトン類;ベンジルジメチルケタールなどの芳香族ケタール類;ポリビニルベンゾフェノン;クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン類などが挙げられる。
熱重合開始剤は、有機過酸化物誘導体やアゾ系重合開始剤などであるが、加熱時に窒素が発生しない点から、好ましくは有機過酸化物誘導体である。熱重合開始剤の例には、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステルおよびパーオキシジカーボネート等が含まれる。
粘着剤には架橋剤を添加してもよい。架橋剤として、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリストールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;テトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)等のアジリジン系化合物;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリイソシアネートなどのイソシアネート系化合物等が挙げられる。
粘着剤層を、SUS−304−BA板の表面に貼着して60分間放置した後、SUS−304−BA板の表面から剥離するときの、JIS Z0237に準拠して測定される粘着力が0.1〜10N/25mmであることが好ましい。粘着力が上記範囲であれば、ウエハとの良好な接着性を確保しつつ、チップを剥離する際の糊残りを抑制できる。粘着剤層の粘着力は、例えば架橋剤の添加量によって調整することができる。具体的には、特開2004−115591号公報に記載の方法などにより調整することができる。
低摩擦層について
本発明の拡張性粘着フィルムは、特に半導体用ダイシングフィルムとして用いる場合は、基材層の粘着剤層が形成されている面とは反対側の表面に、低摩擦層をさらに有してもよい。
すなわち、ダイシングフィルムが、後述のように半導体用ダイシングフィルムとして用いられる場合、ダイシングフィルムを拡張する方法として、ダイシングフィルムの周縁部をリングフレームで固定しておき、ダイシングフィルムの中央部下側から、拡張機のステージを押し上げる方法がある(後述の図4参照)。この際、ダイシングフィルムのステージと接する側の面の摩擦が大きいと、ステージ上でフィルムが滑り難くなり、ステージと接するフィルム部分を拡張できなくなる。このため、ダイシングフィルムのうち、ステージと接する側の表面の摩擦を小さくすること;即ち、低摩擦層を配置することで、拡張機のステージを滑りやすくし、ダイシングフィルムの面全体を均一に拡張できる。
このような低摩擦層は、ポリエチレン、エチレン系アイオノマー樹脂などの樹脂で構成される。また、低摩擦層の表面には、必要に応じて滑り性を一層高めるために、滑剤が塗布または含有されてもよい。このような滑剤の例には、エルカ酸アミドやオレイン酸アミド、シリコーンオイル等の滑剤およびそれらのマスターバッチ(滑剤マスターバッチ)が含まれる。
本発明のダイシングフィルムの層構成は、特に制限されず、基材層と粘着剤層の少なくとも2層からなるフィルムであれば良い。粘着剤層の他に低摩擦層などの他の層を有する3層以上の積層フィルムであってもよい。本発明のダイシングフィルムが前記積層フィルムである場合、粘着剤層が、基材層の一方の面に配置され、低摩擦層が、基材層の他方の面に配置されることが好ましい。基材層および粘着剤層は、それぞれ多層であってもよい。
図2は、本発明のダイシングフィルムの一実施形態を模式的に示す断面図である。図2に示されるように、拡張性を有する基材層12と、その一方の面に配置され、ウエハと接着される粘着剤層14と、基材層の、粘着剤層12とは反対側の面に配置された低摩擦層16とを有する。このような構成を有するダイシングフィルム10は、基材層12を有するため、高い拡張性を有する。
本発明のダイシングフィルムの総厚みは、50〜200μmであることが好ましく、70〜150μmであることがより好ましい。
本発明のダイシングフィルムの、23℃における引張弾性率(初期弾性率)は70MPa以上であることが好ましい。70MPa以下である場合、ダイシングフィルムを、ウエハに貼り付ける際に、ダイシングフィルムが皺になる等して、ハンドリング性が低下するのを抑制するためである。
本発明のダイシングフィルムの粘着剤層の表面には、粘着剤層表面を保護するために、必要に応じてセパレータがさらに設けられてもよい。セパレータの材質は、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルムなどであってよい。セパレータの厚みは、通常10〜200μm程度であり、好ましくは25〜100μm程度である。
本発明の拡張性フィルムは、ポリ塩化ビニル(PVC)などを含まないため、塩素イオンも発生せず、環境負荷を低減できる。また、本発明の拡張性フィルムは、可塑剤を含まないため、ウエハの汚染を低減できる。さらに、本発明の拡張性フィルムは、十分な拡張性を有し、ネッキングを生じ難い。
3.拡張性基材フィルムの製造方法
本発明の拡張性基材フィルムは、任意の方法で製造されうるが、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)と、示差走査熱量計(DSC)で得られる融点TmB1が100℃以下または実質的に融点TmB1が測定されない熱可塑性エラストマー(B)とを含んでなり、前記(B)の含有量が(A)と(B)の合計100重量部に対して3〜50重量部の溶融混練物を成形する工程を含む製造方法で製造するのが好ましい。
また具体的なフィルムの成形方法は、たとえば、1)4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)のペレットと熱可塑性エラストマー(B)のペレットとを押出機で溶融混練し、押出成形して拡張性基材フィルムを製造する方法(ドライブレンド法);2)4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と熱可塑性エラストマー(B)とを二軸押出機等で溶融混練してペレタイズしたメルトブレンド樹脂を、再度押出機にて溶融混練して押出成形して拡張性基材フィルムを製造する方法(メルトブレンド法);3)4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と熱可塑性エラストマー(B)を押出機等で溶融混練してペレタイズしたメルトブレンド樹脂を、プレス機で所定の厚みにプレスする方法(プレスフィルム法)などがある。
前記1)および2)の押出成形により拡張性基材フィルムを製造する場合、押出温度は、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と熱可塑性エラストマー(B)とを均一に混練し、均一な厚みに成形できる温度であればよく、例えば230〜290℃程度とすることができる。押出成形は、例えばTダイやインフレーションダイ等を有する公知の押出機にて行うことができる。
前記3)のプレス成形により拡張性基材フィルムを製造する場合、プレス条件は、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と熱可塑性エラストマー(B)とを溶融させて均一な厚みのシートに成形できる条件に設定されればよい。プレス温度は、例えば230〜290℃程度とすることができる。プレス成形は、公知のプレス機にて行うことができる。
また前述のプロピレン(共)重合体(C)を添加する場合は、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と熱可塑性エラストマー(B)とは別に、プロピレン(共)重合体(C)を添加してもよいが、予め熱可塑性エラストマー(B)とプロピレン(共)重合体(C)を混練した混合体(以下、組成物Dともいう)を作成した後、前記組成物(D)と4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)とを混練した方が、拡張性基材フィルムを製造しやすい場合がある。これは室温近傍においても粘性がある熱可塑性エラストマー(B)は単独ではハンドリングしにくく、またペレット状に成形し保存した場合、ペレット同士で固着する場合があるため、融点が高いプロピレン(共)重合体(C)を成分Bに混合し混合体を作成することで、混合体の粘性を低下させハンドリング性などを向上させることができるためである。また予め前記相分散構造の島部分となる成分である組成物(D)を作成した後、前記相分散構造の海部となる4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)とを混ぜてフィルムを製造することで、相分散構造を形成しやすくなると考えられる。
4.半導体装置の製造方法
本発明のダイシングフィルムを用いた半導体装置の製造方法は、1)本発明のダイシングフィルムを、半導体ウエハの裏面に粘着剤層を介して貼り付ける工程、2)半導体ウエハをダイシングする工程、3)ダイシングフィルムをエクスパンド(拡張)して、ダイシングされた半導体ウエハ(半導体チップ)をピックアップする工程、4)半導体チップを、半導体装置のダイパッド(不図示)等に接着させてマウントする工程、を経て製造される。本発明のダイシングフィルムとしては、前述のダイシングフィルムを用いることができる。
図3A〜3Eは、半導体装置の製造方法の一例を示す図である。図3Aに示されるように、ウエハ22を準備する。次いで、図3Bに示されるように、ウエハ22を、本発明の拡張性基材フィルムを含むダイシングフィルム30に貼着する(前記1)の工程)。ダイシングフィルム30は、ウエハ22よりも大径であり、その周縁部をリングフレーム26で固定できる程度の大きさを有する。そして、ダイシングフィルム30の周縁部を、リングフレーム26で固定する。
次いで、図3Cに示されるように、ウエハ22をダイシング(切断)して半導体チップ22Aを得る(前記2)の工程)。切断深さは、ダイシングフィルム30の基材層32と粘着剤層34の界面に到達する程度に設定されてもよい。切断手段は、特に制限されず、ダイシングソーやレーザー等であってよい。
次いで、図3Dに示されるように、ダイシングフィルム30を拡張(エキスパンド)する(前記3)の工程)。ダイシングフィルム30をエクスパンド(拡張)する手段は、ダイシングフィルム30の下側の拡張機のステージを上昇させてステージと接するダイシングフィルム30を拡張する方法や、フィルム面と平行な方向に引っ張る(拡張する)方法などが含まれる。
これにより、図3Eに示されるように、ダイシングして得られる半導体チップ22A同士の間隔を広げることができる。また、ダイシングフィルム30を拡張(エキスパンド)することで、ダイシングフィルム30の粘着剤層34とウエハ22との間にずり応力が生じ、ウエハ22と粘着剤層34との接着力が減少するため、半導体チップ22Aをピックアップし易くすることができる。このように、半導体チップ22Aのピックアップを行うと、半導体チップ22Aを、ダイシングフィルム30の粘着剤層34から剥離することができる。
またWLP(ウエハレベルパッケージ)の場合は、図3Cの前記2)の工程の前に、ダイシングフィルムが貼り合わされている面と対向する回路面について、通常用いられる方法で電極の作成などを行ない、樹脂封止(ベーキング)まで行なわれる。
ベーキングに用いられる樹脂は、通常、用いられるベーキング樹脂で良く、特に限定されないが、熱硬化性のエポキシ樹脂や熱可塑性ポリイミドなどが用いられる。ベーキング温度は、使用されるベーキング樹脂の硬化温度や軟化温度に依存するが、通常、100〜120℃である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これにより何ら限定されるものではない。
(1)4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)
拡張性基材フィルムに含まれる4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)として、表1に示される4−メチル−1−ペンテン共重合体(A1)(商品名 TPX DX310、三井化学(株)製)、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A2)(商品名 TPX MX004、三井化学(株)製)、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A3)(商品名 TPX MX002、三井化学(株)製)を用いた。さらに、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A1)〜(A3)の1)引張弾性率(室温)2)MFRを、以下のようにして測定した。その結果を表1に示す。
1)引張弾性率(室温)
ASTM−0638に準拠し、射出成形体について弾性率を測定した。
2)MFRの測定
ASTM D1238に準拠して、温度240℃または260℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
3)融点の測定
JIS K7121に準拠してピーク温度から求めた。
(2)熱可塑性エラストマー(B)
(合成例1)
充分に窒素置換した2000mlの重合装置に、833mlの乾燥ヘキサン、100gの1−ブテン、および1.0mmolのトリイソブチルアルミニウムを常温で仕込んだ後、重合装置内の温度を40℃に昇温して、プロピレンで系内の圧力を0.76MPaになるように加圧した。次いで、重合装置内の圧力を、エチレンで0.8MPaに調整した。次いで、0.001mmolのジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロライドと、アルミニウム換算で0.3mmolのメチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム社製)とを接触させたトルエン溶液を、重合装置内に添加し、内温40℃、エチレンで系内圧力を0.8MPaに保ちながら20分間重合させた後、20mlのメタノールを添加して重合反応を停止させた。脱圧後、2Lのメタノール中で重合溶液からポリマーを析出させて、真空下130℃で12時間乾燥させて、36.4gの熱可塑性エラストマー(B1)を得た。
(合成例2〜3)
プロピレン、エチレンおよび1−ブテンの共重合比を表2に示すように変更した以外は、合成例1と同様にして熱可塑性エラストマー(B2)〜(B3)を得た。
合成例1〜3で得られた熱可塑性エラストマー(B1)〜(B3)の組成を表にまとめた。その結果を表2に示す。なお表中のmol%は、熱可塑性エラストマー(B)中のプロピレン、エチレン、1−ブテンの合計を100mol%とした場合のモル%である。
(3)組成物(D)の合成
熱可塑性エラストマー(B)とプロピレン(共)重合体(C)との混合物である組成物(D)を以下のようにして合成した。
(合成例4)
合成例1で得られた90重量部の熱可塑性エラストマー(B1)と、プロピレン(共)重合体(C)として10重量部のホモポリプロピレン(C1)(プライムポリマー製F107BV、融点=160℃、260℃でのMFR=14g/10分)とを200℃で2軸押出機にて混練し、組成物(D1)を得た。
(合成例5)
合成例2で得られた95重量部の熱可塑性エラストマー(B2)と、プロピレン(共)重合体(C)として5重量部のホモポリプロピレン(C1)(プライムポリマー製F107BV、融点=160℃、260℃でのMFR=14g/10分)とを混練した以外は、合成例4と同様にして組成物(D2)を得た。
(合成例6)
合成例3で得られた85重量部の熱可塑性エラストマー(B3)と、プロピレン(共)重合体(C)として15重量部のホモポリプロピレン(C1)(プライムポリマー製F107BV、融点=160℃、260℃でのMFR=14g/10分)とを混練した以外は、合成例4と同様にして組成物(D3)を得た。
得られた組成物(D1)〜(D3)のMFRを前述と同様にして測定した。また4)引張弾性率(室温)および5)密度以下のように測定し、融点は前記3)融点と同様にして測定した。それらの結果を表3に示す。
4)引張弾性率(室温)
JIS K7113−2に準拠し、試験温度を室温(23℃)、試験速度を200mm/分とし、フィルムのMD方向における弾性率を測定した。
5)密度
ASTM D1505に準拠して測定した。
(合成例7)
80重量部の4−メチル−1−ペンテン共重合体(A1)と、20重量部の合成例4で得られた組成物(D1)を260℃で2軸押出機にて混練し、混合物(E1)を得た。
(合成例8〜19)
合成例7において、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)、組成物(D)、さらにプロピレン(共)重合体(C)を表4に示す割合にした以外は、合成例7と同様にして、混合物(E2)〜(E13)を得た。
得られた混合物(E1)〜(E9)のMFRを前述と同様にして測定した。その結果を表4に示す。
また得られた混合物(E1)〜(E9)について前記5)融点と同様にして融点を測定し、TmA2、TmB2、TmC2をそれぞれ求めた。この結果、混合物E6のTmA2が224℃、TmB2が47℃、TmC2が159℃であり、混合物E8のTmA2が224℃、TmB2が45℃、TmC2が158℃であり、混合物E10のTmA2が224℃、TmB2が43℃、TmC2が157℃であることがわかった。表1および表3にあるようにTmA1が223〜224℃であり、TmB1が49℃、TmC1が159℃であることから、前述したようにTmA1とTmA2、TmB1とTmB2、TmC1とTmC2、はそれぞれの温度に大きな差異がないことがわかる。


(実施例1)
フィルムの成形
基材層(拡張性基材フィルム)の原料として混合物(E1)を準備した。粘着層の原料として、組成物D3を準備した。
共押粘着層の成形方法
次いで、基材層の原料を、基材層を押し出すフルフライト型のスクリューを備えた押出機に投入した。また、粘着層の原料を、フルフライト型のスクリューを備えた押出機に投入した。基材層の原料と粘着層の原料をそれぞれの別の押出機内で溶融混練させた。次に、基材層および粘着層の押出温度を230℃とし、基材層と粘着層の2層の溶融樹脂を多層ダイ内で積層させて共押出し成形し、前述の図2に示されるような、基材層および粘着層が順に積層された2層構造の拡張性粘着フィルムを得た。得られた積層フィルムの粘着層上に、セパレータ(東セロ(株)製 商品名SP-PET)をさらに積層した後、所定の幅にスリットして巻き取った。
(実施例2〜13、比較例1〜2)
拡張性基材フィルムの原料として混合物E1を表5に示されるような原料に変更した以外は、実施例1と同様にして拡張性粘着フィルムを得た。なお、比較例1では基材層の原料として混合物(E)ではなく、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A2)を、比較例2では、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A3)を用いた。
実施例および比較例で得られたフィルムの、6)拡張性や7)線膨張係数を以下のようにして評価した。これらの結果を表6および表7に示す。さらに一部の実施例のフィルムについて8)TEM観察を以下のようにして行った。これらの結果を図1Aおよび図1Bに示す。なお表4〜7中のF107BVは、ホモポリプロピレン h−PP(プライムポリマー(株)製 商品名 F107BV、)である。
また前記1)引張弾性率(室温)と同様にして、拡張性粘着フィルムの応力−ひずみ曲線(S−Sカーブともいう)を測定し、前記曲線の応力をかけ始めた初期の部分の傾きから引張弾性率を算出した。前記実施例3で得られたフィルムの引張弾性率は75MPa、実施例4で得られたフィルムは93MPa、実施例11で得られたフィルムは91MPaであった。
6)線膨張係数
フィルムの耐熱性は、熱機械分析(TMA)で測定した。測定はセイコーインスツルメント製TMA/SS120を用い、膨張・圧縮測定を行った。フィルム幅4mm、チャック間距離10mm、荷重5kg、昇温速度5℃/分とした。120〜130℃における線膨張率(TMA%)の変化量から線膨張係数を算出した。線膨張係数が低いほど、熱によるフィルムの変形が少なく、耐熱性が高いことを意味する。
7)拡張性
得られたフィルムからセパレータを剥離した後、フィルムの粘着層を8インチサイズのリングフレームにゴムロールで密着させた。次いで、フィルム層の表面に、2センチ角の格子を油性ペンで記入した。このときの格子のMD方向長さとTD方向長さはそれぞれ12cmであった。次いで、図4Aに示されるように、フィルム40の基材層表面が拡張機のステージ42に接触するように、リングフレーム44を拡張機に固定した。拡張機は、ヒューグルエレクトロニクス製 HS−1800を用いた。そして、図4Bに示されるように、拡張機のステージ44を、65mm上昇させて、フィルム40を拡張したときの格子のTD方向の長さとMD方向の長さを測定した。得られた測定値を、下記式に当てはめて、拡張率と、拡張率の異方性とを求めた。
拡張率(MD方向、TD方向)(%)=100×拡張後の格子長さ/拡張前の格子長さ
拡張率の異方性=(MD方向の拡張率−TD方向の拡張率)の絶対値
よって前記拡張率は、前記ステージ上の拡張性粘着フィルムの拡張率を示す。すべてのフィルムについて、前述のようにステージを65mm上昇させているので、前記拡張率が低いフィルムは、ステージ上のフィルムが大きく拡張せず、ステージ外のフィルム、すなわちステージの端部とリングフレームの間のフィルムが拡張していることを意味する。よって、前記7)拡張性は、前述の7)拡張性の評価と同様にフィルムを拡張し、前記格子に対応する半導体チップをピックアップする半導体などのダイシング工程で必要な拡張性と対応する。拡張時のフィルムのネッキングし易さは、ステージと接するフィルム部分(表中ではフィルム上と表記している)と、ステージ端部と接するフィルム部分(表中では端部として表記している)とで、それぞれ白化が生じるか否かを観察し、以下のように評価した。
○:ネッキングが生じず、均一拡張した
△:一部白化が見られたが、均一拡張した
×:ネッキングが生じ、不均一に拡張した
前記異方位性が小さいほど、拡張の均一性が高く、特に本発明のフィルムを半導体用ダイシングフィルムに用いた場合、素子の間の間隔が均一となりピックアップしやすく好ましい。また半導体用ダイシングフィルムに用いた場合、ステージ上でネッキングした場合、ピックアップ性を大きく阻害する。
8)TEM観察
実施例2のフィルムの、厚み100μmの試料片を用意した。この試料片を、MD方向と平行方向とTD方向に平行方向とで切り出して得た断面を、それぞれ透過電子顕微鏡(TEM、日立製作所製H−7650(装置名))を用いて、10000倍率でそれぞれ観察した。
図1A、実施例2のフィルムのMD方向に平行な断面TEM写真であり、図1BはフィルムのTD方向に平行な断面TEM写真である。
表6に示されるように、実施例1〜13のフィルムは、拡張率が大きく、拡張率の異方位性も低く、またネッキングなども生じにくいことがわかる。またWLPなどのプロセスでダイシングフィルムが加熱されて到達する一般的な温度でえある120℃でも、線膨張係数も小さいことから、耐熱性が高いことがわかる。また、実施例2,4,6,8と実施例1,3,5,7を比較すると、成分(A)、成分(B)、成分(C)の合計100重量部に対して、成分(B)と成分(C)の合計が多い方が、ネッキングなどが生じにくく拡張性がよいことがわかる。また実施例9、12,13を見ると、成分(C)の割合が多い場合は、成分(B)の割合を実施例9のように増やさないと、ネッキングなどが生じやすくなることがわかる。一方、本発明の拡張性基材フィルムを基材層に用いずに、成分(A)のみからなる基材層を有する比較例1〜2のフィルムは、拡張によりネッキングが発生するという問題があることがわかる。また図1Aと図1Bの断面TEM写真から、実施2のフィルムは相分散構造を有することがわかる。なお前記TEM写真の明部(相対的に淡い灰色の部分)は、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)から実質的になる相、暗部(相対的に濃い黒い部分)は、熱可塑性エラストマー(B)とプロピレン(共)重合体(C)とから実質的になる相であると考えられる。
本発明のフィルムは、拡張性と耐熱性に優れるので、拡張性基材として幅広く用いることができる。特に、本発明のフィルムは面内に均一な拡張が可能であるため、半導体用ダイシングフィルムとして、好ましく用いられる。
10 ダイシングフィルム
12 基材層(拡張性基材フィルム)
14 粘着剤層
22 ウエハ
26 リングフレーム
30 ダイシングフィルム
32 基材層(拡張性基材フィルム)
34 粘着剤層
40 フィルム
42 ステージ
44 リングフレーム

Claims (19)

  1. 4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と熱可塑性エラストマー(B)とを含む拡張性基材フィルムであって、前記(B)の含有量が(A)と(B)の合計100重量部に対して3〜50重量部であり、かつ前記フィルムについて示差走査熱量計(DSC)により測定される前記(B)に由来する融点TmB2が100℃以下または前記融点TmB2が実質的に観測されない拡張性基材フィルム。
  2. 4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と熱可塑性エラストマー(B)とを含む拡張性基材フィルムであって、前記(B)の含有量が(A)と(B)の合計100重量部に対して3〜50重量部であり、かつ前記(B)の示差走査熱量計(DSC)により測定される融点TmB1が100℃以下または前記融点TmB1が実質的に観測されない拡張性基材フィルム。
  3. 4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)のASTM−0638準拠にして測定される23℃における引張弾性率が500〜2000MPaである、請求項1または2に記載の拡張性基材フィルム。
  4. 熱可塑性エラストマー(B)のJIS K7113‐2に準拠して測定される23℃における引張弾性率が1〜50MPaである、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の拡張性基材フィルム。
  5. 熱可塑性エラストマー(B)が、オレフィン系エラストマーおよび/またはスチレン系エラストマーからなる、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の拡張性基材フィルム。
  6. 熱可塑性エラストマー(B)の密度が850〜980kg/mである、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の拡張性基材フィルム。
  7. 4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と熱可塑性エラストマー(B)とプロピレン(共)重合体(C)の合計100重量部に対して0.3〜40重量部のプロピレン(共)重合体(C)を含む、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の拡張性基材フィルム。
  8. さらにプロピレン(共)重合体(C)を含む請求項1に記載のフィルムであって、前記フィルムについて示差走査熱量計(DSC)により測定される前記(C)に由来する融点TmC2が110〜175℃の範囲内にある、請求項7に記載の拡張性基材フィルム。
  9. 基材の主面に垂直な切断面のTEM像(撮像範囲のフィルム厚さ方向の距離は15μm、かつ撮像面積は45μm)で、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)から実質的に構成される相と、熱可塑性エラストマー(B)から実質的に構成される相の相分散構造が観察される、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の拡張性基材フィルム。
  10. 120℃における線膨張係数(1/K)が1.0×10−4〜2.0×10−3である、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の拡張性基材フィルム。
  11. 請求項1ないし10のいずれか一項に記載の拡張性基材フィルムからなる基材層と、粘着層とを含む、拡張性粘着フィルム。
  12. 粘着層の25℃における引張弾性率が50MPa以下である、請求項11に記載の拡張性粘着フィルム。
  13. 粘着層の昇温速度2℃/min.で室温から200℃まで昇温した際の熱重量減少率が2%未満である、請求項11または12に記載の拡張性粘着フィルム。
  14. 粘着層を最表面に有する請求項11ないし13のいずれか一項に記載の拡張性粘着フィルム。
  15. 前記基材層以外の層の25℃における引張弾性率が、前記基材層の25℃の引張弾性率未満である、請求項11ないし14のいずれか一項に記載の拡張性粘着フィルム。
  16. 請求項1ないし15のいずれか一項に記載のフィルムを含んでなる、半導体用ダイシングフィルム。
  17. 4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と、示差走査熱量計(DSC)で得られる融点TmB1が100℃以下または前記融点TmB1が実質的に観測されない熱可塑性エラストマー(B)とを含んでなり、前記(B)の含有量が(A)と(B)の合計100重量部に対して3〜50重量部の溶融混練物を成形する工程を含む、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の拡張性基材フィルムの製造方法。
  18. 半導体ウエハに、請求項16に記載のダイシングフィルムを前記ダイシングフィルムの粘着剤層を介して貼り付ける工程と、前記半導体ウエハをダイシングして半導体チップを得る工程と、前記ダイシングフィルムを拡張して、前記半導体チップをピックアップする工程と、を含む半導体装置の製造方法。
  19. 回路面を有する半導体ウエハの回路面と対向する面に、請求項16に記載のダイシングフィルムを前記フィルムの粘着剤層を介して貼り付ける工程と、前記半導体ウエハの回路面を封止する工程と、前記半導体ウエハをダイシングして半導体チップを得る工程と、前記ダイシングフィルムを拡張して、前記半導体チップをピックアップする工程と、を含む、半導体装置の製造方法。
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