JP6542502B2 - 拡張性基材フィルム、ダイシングフィルム、半導体用表面保護フィルム、及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

拡張性基材フィルム、ダイシングフィルム、半導体用表面保護フィルム、及び半導体装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、拡張性基材フィルム、ダイシングフィルム、半導体用表面保護フィルム、及び半導体装置の製造方法に関する。
半導体装置の製造方法として、基材フィルム及び粘着剤層を備えたダイシングフィルムを半導体基板(例えばシリコンウエハ)に貼着し、次いで上記半導体基板を、ダイシングブレード(ダイシングソー)、レーザー光、プラズマ等によってダイシングし、次いでダイシングフィルムを拡張することにより、各々が離隔された複数の半導体チップ(チップ状の半導体装置)を得、次いで複数の半導体チップの少なくとも1つをピックアップする方法が知られている(例えば、特許文献1〜6参照)。
上記ダイシングフィルムの基材フィルムの材質としては、ポリ塩化ビニル(例えば、特許文献7参照)、エチレン・酢酸ビニル共重合体とポリオレフィン系樹脂との混合物(例えば、特許文献8参照)等が知られている。
また、半導体装置の製造方法としては、回路が形成された半導体基板の回路形成面からその半導体基板の厚さ未満の切込み深さの溝を形成し、次いで、該回路形成面に、基材及び粘着剤層からなる表面保護シート(半導体用表面保護フィルム)を貼着し、その後、上記半導体基板の裏面(回路非形成面)を研削することで半導体基板の厚みを薄くするとともに、個々の半導体チップへの分割を行う方法も知られている(例えば、特許文献9参照)。
特開平2−215528号公報 特開2012−188597号公報 特開2008−4836号公報 特開2009−267389号公報 特開2002−343747号公報 特許第4945014号公報 特開2002−235055号公報 特開2004−303999号公報 特許第3410371号公報
上述のとおり、ダイシングフィルムを用いた半導体装置の製造方法では、半導体基板のダイシング後にダイシングフィルムを拡張する。
また、ダイシングフィルムではなく半導体用表面保護フィルムを用いた半導体装置の製造方法においても、半導体基板の研削後において、半導体用表面保護フィルムを拡張することがある(例えば、特許文献9参照)。
ダイシングフィルム及び半導体用表面保護フィルム(以下、これらをまとめて「半導体用フィルム」と称することがある)を拡張する理由は、この拡張の際に生じる、半導体チップと半導体用フィルムとのずり応力により、半導体チップと半導体用フィルムとの粘着力を低下させ、これにより半導体用フィルムから半導体チップをピックアップし易くするためである。また、半導体用フィルムを拡張するもう一つの理由は、複数の半導体チップ間の間隔を拡げることにより、半導体用フィルムから半導体チップをピックアップし易くするためである。
このように、半導体用フィルムは、半導体基板の加工(ダイシング及び研削の少なくとも一方。以下同じ。)の後に拡張されるフィルムである。
そして半導体チップをピックアップする際の作業性を向上させるために、半導体用フィルムの基材フィルムには、全方向について均一に拡張する性質、即ち、等方的な拡張性(引張破断伸び)を有することが望まれ、更に、等方的な引裂強さを有することも望まれる。
言い換えれば、上記基材フィルムにおいては、引張破断伸びの異方性及び引裂強さの異方性を極力低減することが望まれる。
また、半導体基板の加工時に、半導体基板の反り、ひび、割れ等(以下、「半導体基板の反り等」ともいう)が発生する場合がある。この傾向は、近年、半導体基板の厚さが薄くなってきたことにより、一層顕在化されている。
半導体基板の反り等を抑制するためには、半導体用フィルムの基材フィルムの応力緩和性を向上させることが有効である。
以上のように、半導体用フィルムの基材フィルムについては、応力緩和性の向上と、引張破断伸びの異方性及び引裂強さの異方性の低減と、を両立させることが望まれる。また、半導体用途以外に用いられる基材フィルム(例えば、各種の保護フィルム)についても、応力緩和性の向上と、引張破断伸びの異方性及び引裂強さの異方性の低減と、を両立させる必要がある場合がある。
本発明者等の検討により、基材フィルムに4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位を含む重合体(以下、「4MP1系重合体」ともいう)を含有させることにより、基材フィルムの応力緩和性を向上できることが判明した。
しかし、更なる検討の結果、4MP1系重合体を含有する基材フィルムでは、引張破断伸びの異方性及び引裂強さの異方性が大きい場合があることが判明した。
具体的には、4MP1系重合体を含有する基材フィルムでは、MD方向の引張破断伸びとTD方向の引張破断伸びとの差(絶対値)が大きい場合や、MD方向の引裂強さとTD方向の引裂強さとの差(絶対値)が大きい場合があることが判明した。
ここで、「MD方向」(Machine Direction)とは、フィルムの流れ方向を指し、「TD方向」(Transverse Direction)とは、前記MD方向と直交しフィルムの主面と平行な方向を指す。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、応力緩和性に優れ、かつ、引張破断伸びの異方性及び引裂強さの異方性が低減された拡張性基材フィルムを提供することを目的とする。
また、本発明は、上記拡張性基材フィルムを備えたダイシングフィルム及び半導体用表面保護フィルムを提供することを目的とする。
また、本発明は、半導体基板から得られた半導体チップをピックアップする際の作業性に優れた半導体装置の製造方法を提供することができる。
上記の課題を解決するための具体的な手段は、以下の通りである。
<1> 4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位(X)を70モル%〜95モル%、及び4−メチル−1−ペンテン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンに由来する構成単位(Y)を5モル%〜30モル%含む重合体Aと、前記構成単位(Y)を主成分とする重合体Bと、を含有し、前記重合体Aと前記重合体Bとの合計量を100質量部としたときに、前記重合体Aの含有量が20質量部〜90質量部であり、前記重合体Bの含有量が10質量部〜80質量部である、拡張性基材フィルム。
<2> 前記重合体Aが、前記構成単位(X)を70モル%〜90モル%含む、<1>に記載の拡張性基材フィルム。
<3> 前記構成単位(Y)が、プロピレンに由来する構成単位である、<1>又は<2>に記載の拡張性基材フィルム。
<4> 前記重合体Bが、前記構成単位(Y)を50モル%〜100モル%含む、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の拡張性基材フィルム。
<5> 下記式(1)及び下記式(2)を満たす、<1>〜<4>のいずれか1項に記載の拡張性基材フィルム。
0.5≦ELMD/ELTD≦1.5 ・・・ 式(1)
〔式(1)中、ELMDは、MD方向の引張破断伸びを示し、ELTDは、TD方向の引張破断伸びを示す。〕
0.4≦SMD/STD≦1.5 ・・・ 式(2)
〔式(2)中、SMDは、MD方向のエルメンドルフ引裂強さを示し、STDは、TD方向のエルメンドルフ引裂強さを示す。〕
<6> <1>〜<5>のいずれか1項に記載の拡張性基材フィルムを含む基材層と、粘着剤層と、を備える、ダイシングフィルム。
<7> 前記粘着剤層は、SUS−304−BA板の表面に貼着されて60分間放置した後、前記SUS−304−BA板の表面から剥離されるときの、JIS Z0237に準拠して測定される粘着力が、0.1N/25mm〜10N/25mmである、<6>に記載のダイシングフィルム。
<8> 更に、前記基材層と前記粘着剤層との間に配置された中間層であって、25℃における引張弾性率E(25)及び60℃における引張弾性率E(60)がE(60)/E(25)<0.1の関係を満たし、かつ前記引張弾性率E(25)が1MPa〜10MPaである中間層を備える、<6>又は<7>に記載のダイシングフィルム。
<9> <1>〜<5>のいずれか1項に記載の拡張性基材フィルムを含む基材層と、粘着剤層と、を備え、半導体基板の研削時に半導体基板の非研削面を保護する、半導体用表面保護フィルム。
<10> 半導体基板に、<6>〜<8>のいずれか1項に記載のダイシングフィルムを、前記半導体基板と前記粘着剤層とが対向するように貼着する貼着工程と、前記ダイシングフィルムが貼着された半導体基板をダイシングするダイシング工程と、前記ダイシング工程後のダイシングフィルムを拡張することにより、各々が離隔された複数の半導体チップを得る拡張工程と、前記複数の半導体チップのうちの少なくとも1つをピックアップするピックアップ工程と、を有する、半導体装置の製造方法。
<11> 前記貼着工程は、前記半導体基板に前記ダイシングフィルムを、40℃〜80℃の温度で、0.3MPa〜0.5MPaの圧力で貼着する、<10>に記載の半導体装置の製造方法。
<12> 前記貼着工程は、一方の面のみに回路が形成された半導体基板の回路形成面に、前記ダイシングフィルムを、前記回路形成面と前記粘着剤層とが対向するように貼着する工程であり、更に、前記貼着工程後であって前記拡張工程前に、前記半導体基板の回路非形成面を研削する研削工程を有する、<10>又は<11>に記載の半導体装置の製造方法。
<13> 一方の面のみに回路が形成された半導体基板の回路形成面から該半導体基板の厚さ未満の切り込み深さの溝を形成する溝形成工程と、前記溝が形成された前記半導体基板の回路形成面に、<9>に記載の半導体用表面保護フィルムを、前記回路形成面と前記粘着剤層とが対向するように貼着する貼着工程と、前記半導体用表面保護フィルムが貼着された前記半導体基板の回路非形成面を研削する研削工程と、前記研削工程後のダイシングフィルムを拡張することにより、各々が離隔された複数の半導体チップを得る拡張工程と、前記複数の半導体チップのうちの少なくとも1つをピックアップするピックアップ工程と、を有する、半導体装置の製造方法。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、組成物中の各成分の含有量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本発明によれば、応力緩和性に優れ、かつ、引張破断伸びの異方性及び引裂強さの異方性が低減された拡張性基材フィルムを提供することができる。
また、本発明によれば、上記拡張性基材フィルムを備えたダイシングフィルム及び半導体用表面保護フィルムを提供することができる。
また、本発明によれば、半導体基板から得られた半導体チップをピックアップする際の作業性に優れた半導体装置の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
[拡張性基材フィルム]
本発明の拡張性基材フィルムは、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位(X)を70モル%〜95モル%、及び4−メチル−1−ペンテン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンに由来する構成単位(Y)を5モル%〜30モル%含む重合体Aと、前記構成単位(Y)を主成分とする重合体Bと、を含有し、前記重合体Aと前記重合体Bとの合計量を100質量部としたときに、前記重合体Aの含有量が20質量部〜90質量部であり、前記重合体Bの含有量が10質量部〜80質量部である。本発明の拡張性基材フィルムは、必要に応じ、その他の成分を含有していてもよい。
本発明の拡張性基材フィルムによれば、応力緩和性の向上と、引張破断伸びの異方性及び引裂強さの異方性の低減と、が両立される。
かかる効果が得られる理由は、以下のように推測される。
即ち、本発明の拡張性基材フィルムが、4MP1系重合体(4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位を含む重合体)である重合体Aを含有することにより、フィルムの応力緩和性が向上すると考えられる。
そして前述のとおり、4MP1系重合体を含有するフィルムでは、引張破断伸びの異方性及び引裂強さの異方性が大きい場合がある。
これらの異方性に関し、本発明の拡張性基材フィルムでは、重合体A及び重合体Bを所定の比率で含有し、かつ、重合体Aと重合体Bとが、共通の構成単位である構成単位(Y)を含むことにより、引張破断伸びの異方性及び引裂強さの異方性が低減されると考えられる。
以上の理由により、本発明の拡張性基材フィルムによれば、応力緩和性が向上し、かつ、引張破断伸びの異方性及び引裂強さの異方性が低減されると考えられる。
本発明の拡張性基材フィルムは、半導体用フィルム(ダイシングフィルム又は半導体用表面保護フィルム)の基材フィルムとして好適である。但し、本発明の拡張性基材フィルムの用途は、半導体用フィルムの基材フィルムに限られず、応力緩和性の向上と、引張破断伸びの異方性及び引裂強さの異方性の低減と、の両立が求められる各種のフィルムの基材フィルムにも好適である。
重合体Aに含まれる構成単位(Y)は、4−メチル−1−ペンテン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンに由来する構成単位であり、一種のみであっても二種以上であってもよい。
但し、言うまでもないが、重合体Bは、重合体Aに含まれる構成単位(Y)と同一の構成単位を主成分とする。
本発明の拡張性基材フィルムでは、上述のとおり、重合体Aと重合体Bとの合計量を100質量部としたときに、重合体Aの含有量が20質量部〜90質量部であり、重合体Bの含有量が10質量部〜80質量部である。
上記重合体Aの含有量が20質量部以上であることにより、応力緩和性が向上する。
上記重合体Aの含有量が90質量部以下であることにより、引張破断伸びの異方性及び引裂強さの異方性を低減することができる(例えば、MD方向の値とTD方向の値との差(絶対値)が小さくなる)。
上記重合体Aの含有量は、応力緩和性をより向上させる観点から、25質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましく、40質量部以上が更に好ましく、50質量部以上が更に好ましく、60質量部以上が特に好ましい。
また、上記重合体Aの含有量は、引張破断伸びの異方性及び引裂強さの異方性をより低減する観点から、80質量部以下が好ましく、75質量部以下がより好ましい。
また、半導体用フィルム(ダイシングフィルム又は半導体用表面保護フィルム)を用いた半導体装置の製造方法において、半導体基板の反り等を抑制するためには、前述した、半導体用フィルムの基材フィルムの応力緩和性を向上させる方法以外にも、上記基材フィルムに柔軟成分(例えば、上記重合体B)を含有させる方法も考えられる。
しかし、上記基材フィルムにおける柔軟成分の含有量が多すぎると、フィルムの耐熱性が低下する傾向がある。
この点に関し、本発明の拡張性基材フィルムは、4MP1系重合体として、上述した20質量部以上の重合体Aを含有することで、耐熱性にも優れている。
このように、本発明の拡張性基材フィルムは、優れた耐熱性を維持ししつつ、半導体基板の反り等を抑制できるフィルムであるため、ダイシングフィルムの基材フィルムとしてだけでなく、一方の面のみに回路が形成された半導体基板の回路非形成面を研削する際に半導体基板の回路形成面を保護するための半導体用表面保護フィルムの基材フィルムとしても好適である。
更に、本発明の拡張性基材フィルムを用いることにより、半導体基板に一種のみのフィルム(本発明の拡張性基材フィルム)を貼着し、次いでダイシングと研削とを両方行う(いずれが先であってもよい)、という形態の半導体装置の製造方法も可能となる。かかる形態の製造方法では、本発明の拡張性基材フィルムが、ダイシングフィルムとしての役割と、研削時に半導体基板の回路形成面を保護する半導体用表面保護フィルムとしての役割と、を兼ね備えることとなる。
また、本発明の拡張性基材フィルムは、重合体Bを含有することにより、耐衝撃性に優れる。
即ち、本発明の拡張性基材フィルムによれば、優れた応力緩和性と優れた耐衝撃性とが両立される。
本発明の拡張性基材フィルムは、前述のとおり、引張破断伸びの異方性が低減されている。引張破断伸びの異方性に関し、本発明の拡張性基材フィルムは、下記式(1)を満たすことが好ましい。
0.5≦ELMD/ELTD≦1.5 ・・・ 式(1)
〔式(1)中、ELMDは、MD方向の引張破断伸びを示し、ELTDは、TD方向の引張破断伸びを示す。〕
本発明において、引張破断伸びは、測定温度23℃の条件で、JIS K7127(1999)に準拠して測定された値を指す。
ELMD/ELTDの下限は、0.5であることが好ましく、0.7であることがより好ましい。
ELMD/ELTDの上限は、1.4であることが好ましく、1.3であることがより好ましい。
ELMDは、300%〜800%であることが好ましく、400%〜700%であることがより好ましい。
ELMDが300%以上であると、拡張性フィルムをより拡張し易い。
ELMDが800%以下であると、拡張性フィルムの取り扱い性により優れる。
ELTDの好ましい範囲は、ELMDの好ましい範囲と同様である。
また、本発明の拡張性基材フィルムは、前述のとおり、引裂強さの異方性が低減されている。引裂強さの異方性に関し、本発明の拡張性基材フィルムは、下記式(2)を満たすことが好ましい。
0.4≦SMD/STD≦1.5 ・・・ 式(2)
〔式(2)中、SMDは、MD方向のエルメンドルフ引裂強さを示し、STDは、TD方向のエルメンドルフ引裂強さを示す。〕
本発明において、エルメンドルフ引裂強さは、測定温度23℃の条件で、JIS K7128−2(1998)に準拠して測定された値を指す。
MD/STDの下限は、0.4であることが好ましく、0.5であることがより好ましい。
MD/STDの上限は、1.4であることが好ましく、1.3であることがより好ましい。
MDは、50N/cm〜1100N/cmであることが好ましく、100N/cm〜1100N/cmであることがより好ましく、300N/cm〜1100N/cmであることが特に好ましい。
MDが50N/cm以上であると、拡張性フィルムの強度がより向上する。
MDが1100N/cm以下であると、拡張性フィルムの取り扱い性により優れる。
TDの好ましい範囲は、SMDの好ましい範囲と同様である。
本発明の拡張性基材フィルムは、上記式(1)及び上記式(2)の両方を満たすことが特に好ましい。
また、本発明の拡張性基材フィルムは、引張弾性率の異方性が低減されていることも好ましい。より好ましくは、下記式(3)を満たすことである。
0.5≦YMMD/YMTD≦1.5 ・・・ 式(3)
〔式(2)中、YMMDは、MD方向の引張弾性率を示し、YMTDは、TD方向の引張弾性率を示す。〕
本発明において、引張弾性率は、測定温度23℃の条件で、JIS K7127(1999)に準拠して測定された値を指す。
YMMD/YMTDの下限は、0.7であることが好ましく、0.8であることがより好ましい。
YMMD/YMTDの上限は、1.3であることが好ましく、1.2であることがより好ましい。
YMMDは、300MPa〜2000MPaであることが好ましく、500MPa〜1500MPaであることがより好ましい。
YMMDが300MPa以上であると、拡張性フィルムの強度がより向上する。
YMMDが2000MPa以下であると、拡張性フィルムをより拡張し易い。
YMTDの好ましい範囲は、YMMDの好ましい範囲と同様である。
以下、本発明の拡張性基材フィルムに含まれる各成分について説明する。
〔重合体A〕
重合体Aは、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位(X)を70モル%〜95モル%、及び4−メチル−1−ペンテン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンに由来する構成単位(Y)を5モル%〜30モル%含む。
重合体Aにおける構成単位(X)の含有率は、70モル%〜95モル%であり、70モル%〜90モル%が好ましく、75モル%〜90モル%がより好ましく、80モル%〜90モル%が特に好ましい。
重合体Aにおける構成単位(X)の含有率が70モル%以上であることにより、応力緩和性が向上する。
重合体Aにおける構成単位(X)の含有率が95モル%以下であることにより、引張破断伸びの異方性及び引裂強さの異方性が小さくなる。
重合体Aにおける構成単位(Y)の含有率(構成単位(Y)が2種以上である場合は当該2種以上の合計の含有率)は、5モル%〜30モル%であり、10モル%〜30モル%が好ましく、10モル%〜25モル%がより好ましく、10モル%〜20モル%が特に好ましい。
重合体Aにおける構成単位(Y)の含有率が5モル%以上であることにより、引張破断伸びの異方性及び引裂強さの異方性が小さくなる。
重合体Aにおける構成単位(Y)の含有率が30モル%以下であることにより、応力緩和性が向上する。
構成単位(Y)を形成する、4−メチル−1−ペンテン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンとしては、引張破断伸びの異方性及び引裂強さの異方性をより低減する観点から、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンが好ましく、プロピレン、1−オクテン、1−デセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンがより好ましく、エチレン、プロピレン、ブテンが更に好ましく、プロピレンが特に好ましい。
また、上記α−オレフィンが上記好ましい範囲であると、拡張性基材フィルムの耐衝撃性も向上する。
重合体Aは、本発明の効果を損なわない範囲で、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位及び4−メチル−1−ペンテン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンに由来する構成単位以外のその他の構成単位を含んでいてもよい。
上記その他の構成単位を形成するモノマーとしては、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、非共役ポリエン、官能ビニル化合物、水酸基含有オレフィン、ハロゲン化オレフィン等が含まれる。
環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、非共役ポリエン、官能ビニル化合物、水酸基含有オレフィン、及びハロゲン化オレフィンとしては、例えば、特開2013−169685号公報の段落0034〜0041に記載の化合物を用いることができる。
上記その他の構成単位を形成するモノマーとしては、ビニルシクロヘキサン、スチレンが特に好ましい。
重合体Aに、上記その他の構成単位が含まれる場合、上記その他の構成単位は、1種のみ含まれていてもよく、また、2種以上含まれていてもよい。
重合体Aにおける各構成単位の含有率(モル%)は、下記の方法により測定することができる。
〜条件〜
測定装置:核磁気共鳴装置(ECP500型、日本電子(株)製)
観測核:13C(125MHz)
シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング
パルス幅:4.7μ秒(45°パルス)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:1万回以上
溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(容量比:80/20)混合溶媒
試料濃度:55mg/0.6mL
測定温度:120℃
ケミカルシフトの基準値:27.50ppm
重合体Aは、デカリン溶媒中、135℃で測定される極限粘度[η]が、0.5dl/g〜5.0dl/gであることが好ましく、0.5dl/g〜4.0dl/gであることがより好ましい。重合体Aの極限粘度[η]が上記範囲内であると、低分子量体が少ないためフィルムのべたつきが少なくなり、また、押出フィルム成形が可能となる。
重合体Aの極限粘度[η]は、ウベローデ粘度計を用い、下記の方法により測定される値である。
約20mgの重合体Aをデカリン25mlに溶解させた後、ウベローデ粘度計を用い、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液にデカリンを5ml加えて希釈した後、上記と同様にして比粘度ηspを測定する。この希釈操作を更に2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η](単位:dl/g)として求める(下記の式1参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)・・・式1
重合体Aの重量平均分子量(Mw)は、フィルム成形性の観点から、1×10〜2×10であることが好ましく、1×10〜1×10であるであることがより好ましい。
また、重合体Aの分子量分布(Mw/Mn)は、フィルムべたつき及び外観の観点から、1.0〜3.5であることが好ましく、1.1〜3.0であることがより好ましい。
重合体Aの重量平均分子量(Mw)、及び重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、下記のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出される値である。
〜条件〜
測定装置:GPC(ALC/GPC 150−C plus型、示唆屈折計検出器一体型、Waters製)
カラム:GMH6−HT(東ソー(株)製)2本、及びGMH6−HTL(東ソー(株)製)2本を直列に接続
溶離液:o−ジクロロベンゼン
カラム温度:140℃
流量:1.0mL/min
重合体Aのメルトフローレート(MFR:Melt Flow Rate)は、成形時の流動性の観点から、0.1g/10min〜100g/10minであることが好ましく、0.5g/10min〜50g/10minであることがより好ましく、0.5g/10min〜30g/10minであることが更に好ましい。
重合体Aのメルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に準拠し、230℃で2.16kgの荷重にて測定される値である。
重合体Aの密度は、ハンドリング性の観点から、820kg/m〜870kg/mであることが好ましく、830kg/m〜850kg/mであることがより好ましい。
重合体Aの密度は、JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して、測定される値である。
重合体Aの融点(Tm)は、観察されないか、又は100℃〜180℃であることが好ましく、観察されないか、又は110℃〜160℃であることがより好ましい。
重合体Aの融点(Tm)は、示差走査熱量計(DSC:Differential scanning calorimetry)を用い、下記の方法により測定される値である。
約5mgの重合体Aを、セイコーインスツル(株)製の示差走査熱量計(DSC220C型)の測定用アルミニウムパン中に密封し、室温から10℃/minで200℃まで加熱する。重合体Aを完全融解させるために、200℃で5分間保持し、次いで、10℃/minで−50℃まで冷却する。−50℃で5分間置いた後、10℃/minで200℃まで2度目の加熱を行ない、この2度目の加熱でのピーク温度(℃)を重合体の融点(Tm)とする。なお、複数のピークが検出される場合には、最も高温側で検出されるピークを採用する。
重合体Aは、厚さ50μmのフィルムを形成し、フィルム形成の3日後に測定した損失正接(tanδ)の最大値が、−5℃〜50℃の温度範囲内にあり、好ましくは0℃〜45℃、更に好ましくは0℃〜40℃の温度範囲内にあり、かつ、損失正接(tanδ)の最大値が0.4以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、1.0以上であることが更に好ましく、1.2以上であることが特に好ましい。重合体Aは、その損失正接(tanδ)の最大値が、上記温度範囲内にあり、かつ、最大値が0.4以上であると、応力緩和性により優れる。
重合体Aの損失正接(tanδ)の最大値及びその最大値を示す際の温度は、50μmのフィルム状にしたものを、粘弾性測定装置(MCR301、Anton Paar社製)を用い、周波数10rad/sで、−70℃〜180℃の温度範囲の動的粘弾性を測定することにより、得られる値である。
重合体Aは、従来知られているメタロセン触媒系により、例えば、国際公開第2005/121192号パンフレット、国際公開第2011/055803号パンフレット等に記載された方法により合成することができる。
本発明の拡張性基材フィルムにおける重合体Aの含有量については前述のとおりである。
〔重合体B〕
重合体Bは、前述の構成単位(Y)を主成分とする。
即ち、重合体Bは、重合体A中に含まれる構成単位(Y)と同一の構成単位を主成分とする。
構成単位(Y)を形成する、4−メチル−1−ペンテン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンの好ましい範囲については前述したとおりである。
重合体B中における構成単位(Y)の含有率は、50モル%〜100モル%が好ましく、70モル%〜100モル%がより好ましく、80モル%〜100モル%が更に好ましく、90モル%〜100モル%が特に好ましい。
重合体Bのメルトフローレート(MFR)は、フィルム成形性及びフィルムの機械物性の観点から、0.1g/10min〜100g/10minであることが好ましく、0.5g/10min〜50g/10minであることがより好ましい。
上記重合体Bのメルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に準拠し、230℃で2.16kgの荷重にて測定される値を指す。
重合体Bの密度は、軽量性、及び重合体Aとの組成物としたときの分散性の観点から、820kg/m〜960kg/mであることが好ましく、830kg/m〜940kg/mであることがより好ましい。
重合体Bの密度は、JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して、測定される値である。
本発明の拡張性基材フィルムにおける重合体Bの含有量については前述のとおりである。
〔その他の成分〕
本発明の拡張性基材フィルムは、必要に応じ、重合体A及び重合体B以外のその他の成分を含有していてもよい。
但し、本発明の効果をより効果的に奏する点から、重合体A及び重合体Bの合計量は、本発明の拡張性基材フィルム全量に対し、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%(即ち、拡張性基材フィルムが重合体Aと重合体Bとからなること)が最も好ましい。
〔拡張性基材フィルムの構造〕
本発明の拡張性基材フィルムは、比較的結晶性が高い重合体Aと重合体Bとが相分離しそれぞれが分散している構造(相分散構造)をもつことが好ましい。具体的には本発明の拡張性基材フィルムは、海島構造を有することが好ましい。本発明で言う海島構造とは、重合体Aと重合体Bとが相分離構造をとり、メジャー成分が海成分となり、マイナー成分が島成分となる構造を言うものである。
本発明の拡張性基材フィルムが、海島構造を有していると、より優れた応力緩和性と耐衝撃性とを兼ね備えることができる。
なお、本発明の拡張性基材フィルムが、海島構造を有していることは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)により確認することができる。具体的には、拡張性基材フィルムを研削して超薄切片を作製し、いずれか一方の成分のみを四酸化ルテニウムや四酸化オスニウム等の重金属で選択的に染色した後、透過型電子顕微鏡を用いて観察する。
重合体Aと、重合体Bから構成される海島構造を有する拡張性基材フィルムは、例えば、重合体Aと重合体Bとをドライブレンドにより混合し、押出によりフィルム形成することで得られる。
〔拡張性基材フィルムの製造方法〕
本発明の拡張性基材フィルムの製造方法の一例を説明する。本発明の拡張性基材フィルムは、例えば、下記の方法により製造することができる。但し、本発明は、これに限定されるものではない。
重合体Aと重合体Bとを混合(例えば、ドライブレンド)する。次いで、得られた混合物を、Tダイを設置した押出機のホッパーに投入し、シリンダー温度を100℃〜270℃、ダイス温度を200℃〜270℃に設定する。Tダイから溶融混練物を押し出し、キャスト成形して、拡張性基材フィルムを得る。
本発明の拡張性基材フィルムの厚さは、20μm〜350μmであることが好ましく、30μm〜300μmであることがより好ましく、50μm〜250μmであることが更に好ましい。本発明の拡張性基材フィルムの厚さが、上記範囲内であると、取り扱い性が容易である。
〔拡張性基材フィルムの用途〕
本発明の拡張性基材フィルムは、前述のとおり、半導体装置の製造方法において、半導体基板のダイシングの前に半導体基板に貼着されるダイシングフィルム用の基材フィルムとして好適である。
また、本発明の拡張性基材フィルムは、前述のとおり、半導体装置の製造方法において、半導体基板の研削の前に半導体基板に貼着される半導体用表面保護フィルム用の基材フィルムとしても好適である。
また、本発明の拡張性基材フィルムは、ダイシングフィルム及び半導体用表面保護フィルム以外のその他の保護フィルムとしても好適である。
その他の保護フィルムとしては、例えば、建材や光学部品等の各種樹脂製品、金属製品、ガラス製品等の輸送時、保管時、加工時等の傷付き防止や防塵を目的として、これらの表面に貼着される保護フィルムが挙げられる。
[ダイシングフィルム]
本発明のダイシングフィルムは、前述した本発明の拡張性基材フィルムを含む基材層と、粘着剤層と、を備える。
〔基材層〕
基材層は、本発明の拡張性基材フィルムのみからなるものであってもよいし、本発明の拡張性基材フィルムと他の基材フィルムとを備えた積層体であってもよい。
基材層が上記積層体である場合、他の基材フィルムとしては、重合体A及び重合体Bとの親和性が良好なポリマーからなるフィルムであることが好ましく、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等からなるフィルムであることが好ましい。また、他の基材フィルムとしては、後述する中間層も好ましい。
また、基材層が上記積層体である場合、本発明の拡張性基材フィルムと他の基材フィルムとの間には、接着層が介在していてもよい。
基材層の弾性率には特に制限はないが、基材層の周波数1.6Hzにて測定される25℃での貯蔵弾性率G’(25)は、5×10Pa以上であることが好ましく、1×10Pa〜2×1010Paであることがより好ましい。基材層の貯蔵弾性率G’(25)が5×10Pa以上であると、半導体基板のダイシング中又はダイシング後において、半導体基板の反り等をより効果的に抑制できる。
基材層の厚さは、20μm〜500μmであることが好ましく、20μm〜350μmであることがより好ましく、50μm〜300μmであることが特に好ましい。
基材層の厚さが、上記範囲内であると、半導体基板の反り等をより効果的に抑制でき、また、ダイシングフィルムの取り扱い性も良好である。
また、基材層が上記積層体である場合、本発明の拡張性基材フィルムと他の基材フィルムとの厚さの比〔本発明の拡張性基材フィルムの厚さ/他の基材フィルムの厚さ〕には特に制限はないが、100/5〜100/100が好ましく、100/10〜100/80がより好ましく、100/10〜100/60が更に好ましく、100/10〜100/50が特に好ましい。
〔粘着剤層〕
粘着剤層は、ダイシングフィルムを半導体基板に貼着するための層である。
粘着剤層は、ダイシングフィルムにおける最表面層であることが好ましい。但し、本発明のダイシングフィルムは、必要に応じ、粘着剤層の表面に、剥離フィルム(剥離ライナーやセパレータ等とも呼ばれることがある)を備えていてもよい。剥離フィルムを備えるダイシングフィルムを用いる場合、ダイシングフィルムの半導体基板への貼着前に剥離フィルムを除去し、露出した粘着剤層と半導体基板とが接するようにして、剥離フィルムが除去されたダイシングフィルムを半導体基板に貼着することが好ましい。
前記粘着剤層は、SUS−304−BA板の表面に貼着されて60分間放置した後、前記SUS−304−BA板の表面から剥離されるときの、JIS Z0237に準拠して測定される粘着力が、0.1N/25mm〜10N/25mmであることが好ましい。
上記粘着力が0.1N/25mm以上であると、ダイシングフィルムを半導体基板により効果的に貼着することができる。
上記粘着力が10N/25mm以下であると、半導体基板からダイシングフィルムを剥離する際、半導体基板の破損等をより抑制でき、かつ、半導体基板からダイシングフィルムを剥離した後、半導体基板への粘着剤層の残存をより抑制できる。
上記粘着力は、0.1N/25mm〜5N/25mmであることが好ましく、0.1N/25mm〜3N/25mmであることがより好ましい。
なお、粘着剤層に含有される粘着剤が、後述する、放射線硬化型、熱硬化型、加熱発泡型等の粘着力スイッチング機能を有する場合には、放射線照射等により粘着力をスイッチングさせて低下させた後の粘着力が、上記範囲内にあることが好ましい。
粘着剤層に含有される粘着剤としては特に限定はないが、例えば、天然ゴム系;合成ゴム系;シリコーンゴム系;アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル等のアクリル系の粘着剤が挙げられる。これらの中でも、粘着性等の観点からアクリル系粘着剤が好ましい。
粘着剤層に含有される粘着剤は、放射線硬化型、熱硬化型、加熱発泡型等の一定条件により粘着力が低下する粘着力スイッチング機能を有する粘着剤、又は該スイッチング機能を有さない粘着剤のいずれであってもよい。
本発明のダイシングフィルムでは、半導体基板から容易に剥離することができ、半導体基板を損傷するおそれが少ないという観点から、粘着剤は、粘着力スイッチング機能を有するアクリル系の紫外線硬化型粘着剤が好ましい。
アクリル系の紫外線硬化型粘着剤としては、例えば、分子中に光重合性炭素−炭素二重結合が導入されたアクリル酸エステル系共重合体100質量部と、分子内に光重合性炭素−炭素二重結合を2個以上有する低分子量化合物0.1質量部〜20質量部と、光開始剤5〜15質量部と、を含む粘着剤等が挙げられる。
アクリル系の紫外線硬化型粘着剤に含まれる、アクリル酸エステル系共重合体としては、例えば、エチレン性二重結合を有するモノマー、及び反応性官能基を有する共重合性モノマーを共重合した共重合体と、上記反応性官能基と反応し得る基を有する光重合性炭素−炭素二重結合を含むモノマーと、を反応させた化合物等が挙げられる。
アクリル酸エステル系共重合体を得るための、共重合体に含まれるエチレン性二重結合を有するモノマーとしては、例えば、メタクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルモノマー;酢酸ビニル等のビニルエステル;アクリロニトリル;アクリアミド;スチレン;等のエチレン性二重結合を有するモノマーなどが挙げられる。
また、アクリル酸エステル系共重合体を得るための、共重合体に含まれる反応性官能基を有する共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらのうち1種のみを、上記エチレン性二重結合を有するモノマーと重合させてもよく、2種以上を重合させてもよい。
アクリル酸エステル系共重合体を得る場合における、エチレン性二重結合を有するモノマーと、反応性官能基を有する共重合性モノマーとの重合比は、70質量%〜99質量%:30質量%〜1質量%であることが好ましく、80質量%〜95質量%:20質量%〜5質量%であることがより好ましい。
また、アクリル酸エステル系共重合体を得るための、光重合性炭素−炭素二重結合を含むモノマーは、特に限定されるものではなく、共重合体に含まれる反応性官能基(例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、グリシジル基等)と反応し得る基を有する光重合性炭素−炭素二重結合を含む光反応性モノマーであればよい。
共重合体に含まれる反応性官能基と、光反応性モノマーの反応性官能基と反応し得る基と、の組み合わせの例としては、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とアジリジル基、水酸基とイソシアネート基等が挙げられる。このような組み合わせの中でも、容易に付加反応が起こる組み合わせが望ましい。また、光反応性モノマーの反応性官能基と反応し得る基は、共重合体の反応性官能基と付加反応する基に限定されず、共重合体の反応性官能基と縮合反応する基であってもよい。
アクリル系の紫外線硬化型粘着剤に含まれる、分子中に光重合性炭素−炭素二重結合を2個以上有する低分子量化合物としては、例えば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。低分子量化合物は、アクリル系の紫外線硬化型粘着剤に、1種のみが含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。ここでいう「低分子量化合物」とは、分子量が10,000以下の化合物を指し、上記低分子量化合物の分子量は、より好ましくは5,000以下である。
アクリル系の紫外線硬化型粘着剤に含まれる光開始剤としては、例えば、ベンゾイン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、アセトフェノンジエチルケタール、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。光開始剤は、紫外線硬化型粘着剤に、1種のみが含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。紫外線硬化型粘着剤中の光開始剤の含有量は、アクリル酸エステル系共重合体100質量部に対して、5質量部〜15質量部であることが好ましく、5質量部〜10質量部であることがより好ましい。
アクリル系の紫外線硬化型粘着剤は、架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリーグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等のアジリジン系化合物;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリイソシアネート等のイソシアネート系化合物などが挙げられる。
アクリル系の紫外線硬化型粘着剤は、ロジン系、テルペン樹脂系等のタッキファイヤー、各種界面活性剤等を含んでいてもよい。これらによれば、アクリル系の紫外線硬化型粘着剤の粘着特性を調整することができる。
粘着剤層の厚さは特に限定されるものではないが、3μm〜100μmであることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましい。粘着剤層の厚さが、上記範囲内であると、十分な粘着性を得ることができ、また、本発明の拡張性基材フィルムの効果が損なわれ難い。
〔中間層〕
本発明のダイシングフィルムは、基材層と粘着剤層との間に、中間層を備えていてもよい。
中間層としては、25℃における引張弾性率E(25)及び60℃における引張弾性率E(60)がE(60)/E(25)<0.1の関係を満たし、かつ前記E(25)が1MPa〜10MPaである中間層(以下、「特定中間層」ともいう)が好ましい。
本発明のダイシングフィルムが上記特定中間層を備えることにより、ダイシングフィルムが貼着される半導体基板の表面に凹凸(例えば、電極、バンプ、半田ボール等による凹凸等)が存在する場合であっても、上記特定中間層が上記凹凸に追従し、上記凹凸を吸収することができる。これにより、ダイシングフィルムと半導体基板の表面(凹凸面)との密着性をより向上させることができる。
前記E(25)は、1MPa〜10MPaが好ましく、2MPa〜9MPaがより好ましい。E(25)が上記範囲にあれば、シートを貼り付けた後の、常温下での形状を保持でき、加工中の密着性を維持できる。
前記E(60)は、0.005MPa〜1.0MPaが好ましく、0.01MPa〜0.5MPaがより好ましい。E(60)が上記範囲にあれば、シートを加温下で貼り付ける際に、流動性を示すため、凸凹に対する良好な追従性が得られる。
特定中間層の引張弾性率は、以下のようにして測定できる。1)測定サンプルとして、例えば初期長さ140mm、幅10mm、厚み75〜100μmのサンプルフィルムを準備する。2)そして、測定温度25℃、チャック間距離100mm、引張速度50mm/minで引張試験を行い、サンプルの伸びの変化量(mm)を測定する。3)得られたS−S曲線(応力−ひずみ曲線)の初期の立ち上がりの部分に接線を引き、その接線の傾きをサンプルフィルムの断面積で割って得られる値を引張弾性率とする。
中間層の密度は、800kg/m〜890kg/mが好ましく、830kg/m〜890kg/mがより好ましく、850kg/m〜890kg/mがさらに好ましい。中間層の密度が800kg/m以上であると、弾性率をより向上でき、形状固定力をより向上できる。密度が890kg/m以下であると、弾性率が高くなり過ぎるのを抑制できるため、凸凹に対する追従性がより向上する。
中間層は、重合体を含むことが好ましい。
中間層に含まれ得る重合体として、好ましくはオレフィン系共重合体である。オレフィン系共重合体は、炭素原子数2〜12のα−オレフィンを主な構成単位とするα−オレフィン共重合体であることが好ましい。
炭素原子数2〜12のα−オレフィンの例には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が含まれる。
なかでも、貼り付け時の凹凸追従性に優れる点で、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、およびエチレン・プロピレン・炭素原子数4〜12のα−オレフィンの三元共重合体等のエチレン・α−オレフィン共重合体;およびプロピレン・1−ブテン共重合体・炭素原子数5〜12のα−オレフィンの三元共重合体などが好ましく、エチレン・プロピレン共重合体がより好ましい。プロピレンは、オレフィン系共重合体の中でも熱溶融性が高いためである。市販のα−オレフィン系共重合体には、三井化学製TAFMER(登録商標)、NOTIO(登録商標)等が含まれる。
中間層の引張弾性率は、オレフィン系共重合体を構成するモノマーの種類、共重合比および変性の有無などによって調整される。例えば、オレフィン系共重合体の60℃における引張弾性率を低くするためには、プロピレンの共重合比を多くしたり、カルボン酸等で変性したりすればよい。
中間層には、半導体ウエハに対する易貼り付け性、易剥離性などを損なわない範囲で他の重合体または他の添加剤が含まれてもよい。そのような添加剤の例には、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、滑剤、柔軟剤、粘着性付与剤等が含まれる。
中間層の厚みは、ダイシングフィルムを接着する半導体基板の一方の面に設けられた段差より大きいことが好ましく、この段差(例えば、半導体基板の回路形成面の凸凹(半田バンプを含む))を埋め込むことができる厚みであれば、特に制限されない。例えば、凸凹の段差が100μm程度であれば、中間層の厚みは100〜300μmとすることができる。すなわち、半導体基板の段差に対して、中間層の厚みを1倍〜3倍とすることが好ましく、1倍〜2倍とすることがより好ましい。
ダイシングフィルムは、上記以外のその他の層を備えていてもよい。
その他の層としては、例えば、特許第4945014号公報等に記載の公知の層を用いることができる。
その他の層として、例えば、基材層からみて粘着剤層が存在する側とは反対側に設けられる低摩擦層(例えば、特許第4945014号公報の段落0075〜0076参照)等が挙げられる。
〔ダイシングフィルムの製造方法〕
本発明のダイシングフィルムの製造方法には特に限定はなく、公知の方法を用いることができる。
本発明のダイシングフィルムの製造方法としては、例えば、基材層上に、上述の粘着剤を含む粘着剤塗布液(粘着剤の溶液、エマルション液等)を塗布し、乾燥させて粘着剤層を形成する方法が挙げられる。
上記塗布は、ロールコーター、コンマコーター、ダイコーター、メイヤーバーコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター等の公知の装置を用いて行うことができる。
また、粘着剤塗布液を乾燥させる際の乾燥条件は、特に限定されるものではなく、一般的には、80℃〜300℃の温度範囲において、10秒間〜10分間乾燥することが好ましく、80℃〜200℃の温度範囲において、15秒間〜5分間乾燥することがより好ましい。また、粘着剤塗布液の乾燥終了後、ダイシングフィルムを40℃〜80℃で5時間〜300時間程度加熱してもよい。
また、粘着剤層形成後に、粘着剤層表面に剥離フィルムを貼着することも好ましい。
本発明のダイシングフィルムの製造方法としては、例えば、剥離フィルムの一方の面に、上述の方法で粘着剤塗布液を塗布し、乾燥させて粘着剤層を形成した後、粘着剤層が形成された剥離フィルムと基材層とを、粘着剤層と基材層とが対向するようにしてドライラミネート法等によって積層させる方法も挙げられる。この方法において、積層後、剥離フィルムをそのまま残してもよいし、除去してもよい。
また、本発明のダイシングフィルムにおける基材層が、本発明の拡張性基材フィルムと他の基材フィルムとの積層体である場合、積層体である基材層を形成する方法にも特に限定はない。
積層体である基材層を形成する方法としては、例えば、本発明の拡張性基材フィルムを形成するポリマーと他の基材フィルムを形成するポリマーとを多層製膜機等を用いて共押出して積層体を形成する方法;本発明の拡張性基材フィルムと他の基材フィルムとを、それぞれカレンダー法、Tダイ押出法、インフレーション法、キャスト法等の公知の方法により形成した後、これらをドライラミネート等により積層させることにより積層体を形成する方法;本発明の拡張性基材フィルム及び他の基材フィルムのいずれか一方を、それぞれカレンダー法、Tダイ押出法、インフレーション法、キャスト法等の公知の方法により成膜した後、成膜された前記一方の上に他方を、押出コーティングによって形成することにより積層体を形成する方法;等が挙げられる。
上記ドライラミネート等による方法では、本発明の拡張性基材フィルムと他の基材フィルムとの間に接着層を介在させてもよく、また、本発明の拡張性基材フィルム及び他の基材フィルムのそれぞれに、コロナ放電処理等の易接着処理を施してもよい。
本発明のダイシングフィルムの製造方法においては、半導体基板の汚染防止の観点から、基材層、粘着剤層等の全ての製膜環境、及びこれらの原料資材の製造環境が、米国連邦規格209bに規定されるクラス1,000以下のクリーン度に維持されていることが好ましい。
[半導体用表面保護フィルム]
本発明の半導体用表面保護フィルムは、前述した本発明の拡張性基材フィルムを含む基材層と、粘着剤層と、を備え、半導体基板の研削時に半導体基板の非研削面を保護するフィルムである。
本発明の半導体用表面保護フィルムの好ましい形態や好ましい製造方法は、上述した本発明のダイシングフィルムの好ましい形態や好ましい製造方法と同様である。
なお、上述したとおり、本発明のダイシングフィルムは、半導体基板の研削時に半導体基板の非研削面を保護する、本発明の半導体用表面保護フィルムの機能を兼ね備えることがある。
[半導体装置の製造方法]
〔第1実施形態〕
本発明の半導体装置の製造方法の第1実施形態(以下、「第1の製造方法」ともいう)は、半導体基板に、前述した本発明のダイシングフィルムを、前記半導体基板の表面と前記粘着剤層とが対向するように貼着する貼着工程と、前記ダイシングフィルムが貼着された半導体基板をダイシングするダイシング工程と、前記ダイシング工程後のダイシングフィルムを拡張することにより、各々が離隔された複数の半導体チップを得る拡張工程と、前記複数の半導体チップの少なくとも1つをピックアップするピックアップ工程と、を有する。第1の製造方法は、その他の工程を有していてもよい。
第1の製造方法では、応力緩和性に優れる本発明の拡張性基材フィルムを備えた本発明のダイシングフィルムが用いられる。このため、貼着工程以降における半導体基板の反り等が抑制される。
また、第1の製造方法では、引張破断伸びの異方性及び引裂強さの異方性が低減された本発明のダイシングフィルムが用いられる。このため、拡張工程においてダイシングフィルムを拡張する際、ダイシングフィルムの破断や裂けを抑制しながら、ダイシングフィルムを等方的に拡張することができる。これにより、前記拡張によってダイシングフィルムと半導体チップとの密着力を低下させた時に、複数の半導体チップ間での密着力のバラつきを低減することができるので、半導体チップをピックアップしてダイシングフィルムから剥離する際の作業性が向上する。
また、ダイシングフィルムを等方的に拡張することができることにより、複数の半導体チップ間の間隔を均等に拡げ易くすることができるので、半導体チップをピックアップする際の作業性が向上する。
以下、第1の製造方法の各工程について説明する。
<貼着工程>
貼着工程は、半導体基板に、前述した本発明のダイシングフィルムを、前記半導体基板の表面と前記粘着剤層とが対向するように貼着する工程である。
半導体基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム−ヒ素、ガリウム−リン、ガリウム−ヒ素−アルミニウム等の基板(例えば、ウェハ)が挙げられる。
また、半導体基板としては、表面に回路が形成された半導体基板を用いることが好ましい。この場合、回路が形成された回路形成面と粘着剤層とが対向するようにして、半導体基板にダイシングフィルムを貼着することが好ましい。
貼着は、人の手で行なってもよいが、通常、ロール状の表面保護フィルムを取り付けた自動貼り機によって行なう。自動貼り機としては、例えば、タカトリ(株)製、型式:ATM−1000B、同ATM−1100、同TEAM−100、帝国精機(株)製、型式:STLシリーズ、日東精機(株)製、型式:DR−8500II、同DR−3000II等が挙げられる。
貼着時のダイシングフィルム及び半導体基板の温度には特に制限なないが、40℃〜80℃が好ましい。
上記温度が40℃以上であると、半導体基板とダイシングフィルムとの密着力がより向上する。また、本発明のダイシングフィルムは、耐熱性に優れた本発明の拡張性基材フィルムを備えるため、ダイシングフィルムの温度が40℃以上である場合でも、拡張性基材フィルムの劣化が抑制される。
また、上記温度が80℃以下であると、拡張性基材フィルムの劣化がより抑制される。
また、貼着時のダイシングフィルムと半導体基板との圧力については特に制限はないが、0.3MPa〜0.5MPaが好ましい。
上記圧力が0.3MPa以上であると、半導体基板とダイシングフィルムとの密着力がより向上する。また、本発明のダイシングフィルムは、応力緩和性に優れた本発明の拡張性基材フィルムを備えるため、上記圧力が0.3MPa以上である場合でも、半導体基板の反り等が抑制される。
上記圧力が0.5MPa以下であると、半導体基板の反り等がより抑制される。
<ダイシング工程>
ダイシング工程は、前記ダイシングフィルムが貼着された半導体基板をダイシングする工程である。
ここでいう「ダイシング」には、
(a)半導体基板に対してこの半導体基板の厚さと同じ深さの切れ込みを設けることによって半導体基板を分断し、複数の半導体チップを得る操作(以下、「フルカットダイシング」ともいう)、
(b)半導体基板に対してこの半導体基板の厚さ未満の深さの切れ込みを設ける操作(以下、「ハーフカットダイシング」ともいう)、及び、
(c)レーザー光やプラズマを照射することにより、半導体基板に対し、半導体基板の切断までには至らない変質領域を設ける操作(以下、「ステルスダイシング」ともいう)が含まれる。
上記ダイシングは、ダイシングブレード(ダイシングソー)、レーザー光、プラズマ等を用いて行うことができる。
上記フルカットダイシングによる半導体装置の製造方法については、例えば、特開2012−188597号公報(特に、段落0072〜0076及び図3A〜図3E)や、特許第4945014号公報(特に、段落0091〜0103、図4A〜図4E、図5A〜図5E)を適宜参照することができる。
ダイシングがフルカットダイシングである場合には、ダイシングによって半導体基板が複数の半導体チップに分断される。この場合、上記拡張工程では、複数の半導体チップ間の間隔の拡張(即ち、複数の半導体チップの離隔)が行われることとなる。
一方、ダイシングがハーフカットダイシング及びステルスダイシングである場合には、ダイシングのみによっては半導体基板が複数の半導体チップに分断されるまでには至らず、ダイシング後のダイシングフィルムの拡張によって半導体基板が分断されて複数の半導体チップが得られる。この場合、上記拡張工程では、半導体基板の複数の半導体チップへの分断と、複数の半導体チップ間の間隔の拡張(即ち、複数の半導体チップの離隔)と、の両方が行われることとなる。
ダイシングが、フルカットダイシング、ハーフカットダイシング、及びステルスダイシングのいずれである場合においても、ダイシング後にダイシングフィルムが拡張されることには変わりはない。このため、いずれの場合においても、上述した第1の製造方法の効果が奏されることとなる。
<拡張工程>
拡張工程は、前記ダイシング工程後のダイシングフィルムを拡張することにより、各々が離隔された複数の半導体チップを得る工程である。
本工程により、複数の半導体チップ間の間隔を拡げることができる。また、本工程により、ダイシングフィルムの粘着剤層と半導体チップとの間にずり応力が生じ、このずり応力によって半導体チップとダイシングフィルムとの密着力が低下する。
本工程では、これらの理由により、後のピックアップ工程で半導体チップをピックアップし易くすることができる。
ダイシングフィルムを拡張する方法としては、少なくとも拡張工程の操作を、ダイシングフィルムが貼着された半導体基板を載置するためのステージを備えた拡張機の上で行い、ダイシングフィルムの下側の拡張機のステージを上昇させることにより拡張する方法が挙げられる。
また、ダイシングフィルムを拡張する方法としては、フィルム面と平行な方向に引っ張る(拡張する)方法も挙げられる。
<ピックアップ工程>
ピックアップ工程は、前記複数の半導体チップの少なくとも1つをピックアップする工程である。
このピックアップにより、ダイシングフィルムから複数の半導体チップの少なくとも1つを剥離することができる。
ピックアップは、公知の方法で行うことができる。
<研削工程>
第1の製造方法は、更に、前記貼着工程後であって前記拡張工程前に、前記半導体基板を研削する研削工程を有していてもよい。
第1の製造方法が研削工程を有する場合、前記貼着工程は、一方の面のみに回路が形成された半導体基板の回路形成面に、前記ダイシングフィルムを、前記回路形成面と前記粘着剤層とが対向するように貼着する工程であり、前記研削工程は、前記半導体基板の回路非形成面を研削する工程であることが好ましい。この場合、ダイシングフィルムが、半導体用表面保護フィルムとしての機能を兼ね備えることとなる。
研削工程は、ダイシング工程の前及び後のいずれに設けられていてもよい。
研削は、例えば、スルーフィード方式、インフィード方式等の公知の方法により行なうことができる。いずれの方法においても、砥石で半導体基板を研削する。
研削工程開始時の半導体基板の温度は、通常、18℃〜28℃程度であり、好ましくは20℃〜25℃である。また、研削工程中の半導体基板の温度は、研削する基板の材質に依存するが、通常、20℃〜120℃であり、30℃〜80℃であることが好ましく、
40℃〜70℃であることがより好ましい。
<その他の工程>
第1の製造方法は、上記以外のその他の工程を有していてもよい。
その他の工程としては、半導体装置の製造方法において公知の工程を用いることができる。
その他の工程として、例えば、貼着工程後であってダイシング工程前に、半導体基板の回路形成面に、通常用いられる方法で電極形成(ボンディング)及び樹脂封止(ベーキング)を行う工程が挙げられる。この電極形成及び樹脂封止を行う工程が設けられた製造方法は、WLP(Wafer Level Package)とも呼ばれている。本発明の拡張性基材フィルムは、前述のとおり耐熱性に優れているため、WLP(Wafer Level Package)にも好適に用いることができる。WLP(Wafer Level Package)については、例えば、特開2008−16539号公報や特開2012−188597号公報の記載を適宜参照することができる。
〔第2実施形態〕
本発明の半導体装置の製造方法の第2実施形態(以下、「第2の製造方法」ともいう)は、一方の面のみに回路が形成された半導体基板の回路形成面から該半導体基板の厚さ未満の切り込み深さの溝を形成する溝形成工程と、前記溝が形成された前記半導体基板の回路形成面に、前述の本発明の半導体用表面保護フィルムを、前記回路形成面と前記粘着剤層とが対向するように貼着する貼着工程と、前記半導体用表面保護フィルムが貼着された前記半導体基板の回路非形成面を研削する研削工程と、前記研削工程後の半導体用表面保護フィルムを拡張することにより、各々が離隔された複数の半導体チップを得る拡張工程と、前記複数の半導体チップの少なくとも1つをピックアップするピックアップ工程と、を有する。第2の製造方法は、その他の工程を有していてもよい。
第2の製造方法における溝形成工程は、第1の製造方法におけるダイシング工程に対応する。
但し、第2の製造方法における溝形成工程は、貼着工程よりも前に設けられている点、半導体基板の回路形成面から溝を形成することに限定されている点、及び、形成する溝の切り込み深さが半導体基板の厚さ未満に限定されている点(即ち、ダイシングが前述のハーフカットダイシングに限定されている点)で、第1の製造方法におけるダイシング工程と異なる。
第2の製造方法における溝形成工程は、上記以外の点においては第1の製造方法におけるダイシング工程と同様であり、好ましい形態も同様である。
また、第2の製造方法における貼着工程は、第1の製造方法における貼着工程に対応する。
但し、第2の製造方法における貼着工程は、溝形成工程よりも後に設けられている点、及び、ダイシングフィルムが半導体用表面保護フィルムに変更されている点で、第1の製造方法における貼着工程と異なる。
第2の製造方法における貼着工程は、上記以外の点においては第1の製造方法における貼着工程と同様であり、好ましい形態も同様である。
また、第2の製造方法は、研削工程が必須である点で、第1の製造方法と異なる。
第2の製造方法における研削工程では、好ましくは、溝形成工程で形成された溝の底に達するまで半導体基板を研削する。これにより、半導体基板が分断され、半導体チップが得られる。
第2の製造方法における研削工程の好ましい範囲については、第1の製造方法に設けられることがある研削工程の好ましい範囲と同様である。
第2の製造方法における拡張工程及びピックアップ工程については、それぞれ、第1の製造方法における拡張工程及びピックアップ工程と同様であり、好ましい形態も同様である。
また、第2の製造方法において、設けられていてもよいその他の工程も、第1の製造方法におけるその他の工程と同様である。
第2の製造方法は、半導体用フィルム(第2の製造方法では半導体用表面保護フィルム)を拡張することにより、各々が離隔された複数の半導体チップを得る点で、第1の製造方法と共通している。
そして、半導体用表面保護フィルムは、ダイシングフィルムと同様に、本発明の拡張性基材フィルムを備えている。
このため、第2の製造方法によっても、第1の製造方法と同様の効果が得られる。
第2の製造方法については、表面保護シートとして、本発明の半導体用表面保護フィルムが用いられること以外は、特許第3410371号公報の段落0030〜0032及び図1〜図4の記載を適宜参照することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[合成例1]重合体A−1(重合体A)の合成
充分に窒素置換した容量1.5Lの攪拌翼付のSUS製オートクレーブに、300mlのn−ヘキサン(乾燥窒素雰囲気下、活性アルミナ上で乾燥したもの)、及び450mlの4−メチル−1−ペンテンを23℃で装入した後、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し、攪拌機を回した。
次に、オートクレーブを内温が60℃になるまで加熱し、全圧(ゲージ圧)が0.19MPaとなるようにプロピレンで加圧した。
続いて、予め調製しておいた、Al換算で1mmolのメチルアルミノキサン、及び0.01mmolのジフェニルメチレン(1−エチル−3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを含むトルエン溶液0.34mlをオートクレーブに窒素で圧入し、重合反応を開始させた。重合反応中は、オートクレーブの内温が60℃になるように温度調整した。
重合開始から60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し、重合反応を停止させた後、オートクレーブ内を大気圧まで脱圧した。脱圧後、反応溶液に、該反応溶液を攪拌しながらアセトンを添加し、溶媒を含む重合反応生成物を得た。次いで、得られた溶媒を含む重合反応生成物を減圧下、130℃で12時間乾燥させて、重合体Aとして、44.0gの粉末状の重合体A−1を得た。
得られた重合体A−1の各種物性の測定結果を表1に示す。
重合体A−1中の4−メチル−1−ペンテンの含有率は84.1mol%であり、プロピレンの含有率は15.9mol%であった。また、重合体A−1の密度は838kg/mであった。重合体A−1の極限粘度[η]は1.5dl/gであり、重量平均分子量(Mw)は340,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であった。重合体A−1の融点(Tm)は132℃であり、tanδの最大値は1.6(最大値を示す際の温度:39℃)であった。
[合成例2]重合体A−2(重合体A)の合成
充分に窒素置換した容量1.5Lの攪拌翼付のSUS製オートクレーブに、300mlのn−ヘキサン(乾燥窒素雰囲気下、活性アルミナ上で乾燥したもの)、及び450mlの4−メチル−1−ペンテンを23℃で装入した後、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し、攪拌機を回した。
次に、オートクレーブを内温が60℃になるまで加熱し、全圧(ゲージ圧)が0.40MPaとなるようにプロピレンで加圧した。
続いて、予め調製しておいた、Al換算で1mmolのメチルアルミノキサン、及び0.01mmolのジフェニルメチレン(1−エチル−3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを含むトルエン溶液0.34mlをオートクレーブに窒素で圧入し、重合反応を開始させた。重合反応中は、オートクレーブの内温が60℃になるように温度調整した。
重合開始から60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し、重合反応を停止させた後、オートクレーブ内を大気圧まで脱圧した。脱圧後、反応溶液に、該反応溶液を攪拌しながらアセトンを添加し、溶媒を含む重合反応生成物を得た。次いで、得られた溶媒を含む重合反応生成物を減圧下、130℃で12時間乾燥させて、重合体Aとして、36.9gの粉末状の重合体A−2を得た。
得られた重合体A−2の各種物性の測定結果を表1に示す。
重合体A−2中の4−メチル−1−ペンテンの含有率は72.5mol%であり、プロピレンの含有率は27.5mol%であった。また、重合体A−2の密度は839kg/mであった。重合体A−2の極限粘度[η]は1.5dl/gであり、重量平均分子量(Mw)は337,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であった。重合体A−2の融点(Tm)は観察されず、tanδの最大値は2.8(最大値を示す際の温度:31℃)であった。
[合成例3]重合体A−3(重合体A)の合成
充分に窒素置換した容量1.5Lの攪拌翼付のSUS製オートクレーブに、750mlの4−メチル−1−ペンテンを23℃で装入した後、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し、攪拌機を回した。
次に、オートクレーブを内温が60℃になるまで加熱し、全圧(ゲージ圧)が0.15MPaとなるようにプロピレンで加圧した。
続いて、予め調製しておいた、Al換算で1mmolのメチルアルミノキサン、及び0.005mmolのジフェニルメチレン(1−エチル−3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを含むトルエン溶液0.34mlをオートクレーブに窒素で圧入し、重合反応を開始させた。重合反応中は、オートクレーブの内温が60℃になるように温度調整した。
重合開始から60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し、重合反応を停止させた後、オートクレーブ内を大気圧まで脱圧した。脱圧後、反応溶液に、該反応溶液を攪拌しながらアセトンを添加し、溶媒を含む重合反応生成物を得た。次いで、得られた溶媒を含む重合反応生成物を減圧下、130℃で12時間乾燥させて、重合体Aとして、45.9gの粉末状の重合体A−3を得た。
得られた重合体A−3の各種物性の測定結果を表1に示す。
重合体A−3中の4−メチル−1−ペンテンの含有率は92.3mol%であり、プロピレンの含有率は7.7mol%であった。また、重合体A−3の密度は832kg/mであった。重合体A−3の極限粘度[η]は1.6dl/gであり、重量平均分子量(Mw)は370,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であった。重合体A−3の融点(Tm)は178℃であり、tanδの最大値は0.4(最大値を示す際の温度:40℃)であった。
重合体の各種物性の測定方法を以下に示す。
測定結果を下記表1に示す。
〔組成〕
重合体A中の、構成単位(X)(4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位)及び構成単位(Y)(プロピレンに由来する構成単位;下記表1中では、単に「プロピレン」と表記する)の含有率(モル%)は、13C−NMRにより測定した。測定条件は、下記のとおりである。
〜条件〜
測定装置:核磁気共鳴装置(ECP500型、日本電子(株)製)
観測核:13C(125MHz)
シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング
パルス幅:4.7μ秒(45°パルス)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:1万回以上
溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(容量比:80/20)混合溶媒
試料濃度:55mg/0.6mL
測定温度:120℃
ケミカルシフトの基準値:27.50ppm
〔極限粘度[η]〕
重合体Aの極限粘度[η]は、測定装置としてウベローデ粘度計を用い、デカリン溶媒中、135℃で測定した。
具体的には、約20mgの粉末状の重合体Aをデカリン25mlに溶解させた後、ウベローデ粘度計を用い、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリンを5ml加えて希釈した後、上記と同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作を更に2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η](単位:dl/g)として求めた(下記の式1参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)・・・式1
〔重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)〕
重合体Aの重量平均分子量(Mw)、及び重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。測定条件は、下記のとおりである。
〜条件〜
測定装置:GPC(ALC/GPC 150−C plus型、示唆屈折計検出器一体型、Waters製)
カラム:GMH6−HT(東ソー(株)製)2本、及びGMH6−HTL(東ソー(株)製)2本を直列に接続
溶離液:o−ジクロロベンゼン
カラム温度:140℃
流量:1.0mL/min
〔メルトフローレート(MFR)〕
重合体Aのメルトフローレート(MFR:Melt Flow Rate)は、ASTM D1238に準拠し、230℃で2.16kgの荷重にて測定した。単位は、g/10min)である。
〔密度〕
重合体Aの密度(kg/m)は、JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して、測定した。この密度(kg/m)を軽量性の指標とした。
〔融点(Tm)〕
重合体Aの融点(Tm)は、測定装置として示差走査熱量計(DSC220C型、セイコーインスツル(株)製)を用いて測定した。
約5mgの重合体Aを測定用アルミニウムパン中に密封し、室温から10℃/minで200℃まで加熱した。重合体Aを完全融解させるために、200℃で5分間保持し、次いで、10℃/minで−50℃まで冷却した。−50℃で5分間置いた後、10℃/minで200℃まで2度目の加熱を行なった。この2度目の加熱でのピーク温度(℃)を重合体Aの融点(Tm)とした。この重合体Aの融点(Tm)を耐熱性の指標とした。
〔応力緩和性〕
上記にて得られた粉末状の重合体Aを、リップ幅240mmのTダイを設置した20mmφの単軸押出機(単軸シート形成機、(株)田中鉄工所製)のホッパーに投入した。そして、シリンダー温度を100℃〜250℃、ダイス温度を250℃に設定し、Tダイから溶融混練物を押し出した。この押し出した溶融混練物を、チルロール温度20℃、引取速度10m/minで引き取ることにより、厚さ50μmのキャストフィルムを得た。このキャストフィルムを45mm×10mmに切り出し、試験片とした。
この試験片について、粘弾性測定装置(MCR301、Anton Paar社製)を用いて、周波数10rad/sで、−70℃〜180℃の温度範囲の動的粘弾性を測定し、ガラス転移温度に起因する損失正接(tanδ)の最大値(ピーク値)と、その最大値を示す際の温度(ピーク時の温度)とを測定した。この測定は、キャストフィルムの形成から3日後に行った。
前述のとおり、tanδのピーク値が0.4以上であり、かつ、ピーク時の温度が−5℃〜50℃の温度範囲内にあると、応力緩和性に優れている。
<実施例1>
〔拡張性基材フィルムの作製〕
重合体Aとしての上記重合体A−1 75質量部と、重合体Bとしての下記重合体B−1 25質量部と、を混合(ドライブレンド)した。次いで、得られた混合物を、リップ幅240mmのTダイを設置した20mmφの単軸押出機(単軸シート形成機、(株)田中鉄工所製)のホッパーに投入した。そして、シリンダー温度を230℃、ダイス温度を250℃に設定し、Tダイから溶融混練物を押し出し、キャスト成形することにより、拡張性基材フィルム(以下、単に「フィルム」ともいう)を得た。
なお、フィルムは、厚みが50μmのものと、厚みが200μmのものと、を形成した。
重合体B−1としては、(株)プライムポリマー製のプライムポリプロ(登録商標)F327(プロピレン・エチレン・ブテンランダム共重合体、密度:907kg/m、MFR(230℃):7g/10min)を用いた。
〔評価〕
上記重合体B及び上記拡張性基材フィルムについて、以下の評価(測定)を行った。
1.重合体Bの主成分である構成単位の種類及びその含有率(モル%)の測定
重合体Bについて、13C−NMRにより、主成分である構成単位の種類及び含有率(モル%)を測定した。13C−NMRの測定条件の詳細は、重合体Aの組成の測定における13C−NMRの測定条件と同様である。
結果を下記表2に示す。
2.フィルムの引張弾性率(YM)及び引張破断伸び(EL)の測定
厚みが200μmのフィルムをJIS K7127(1999)に準拠する「試験片タイプ5」のダンベル形状に切断したものを試験片として用いた。
JIS K7127(1999)に準拠し、引張試験機(万能引張試験機3380、インストロン製)を用いて、チャック間距離50mm、引張速度200mm/min、及び温度23℃の条件で、上記試験片の引張弾性率(YM)(単位:MPa)及び引張破断伸び(EL)(単位:%)を測定した。
これらの測定は、フィルムのMD方向及びTD方向のそれぞれについて行った。
次に、MD方向の引張破断伸びをELMDとし、TD方向の引張破断伸びをELTDとして、比率〔ELMD/ELTD〕を算出した。
以上の結果を下記表2に示す。
3.フィルムのエルメンドルフ引裂強さの測定
厚みが50μmのフィルムを、75mm×63mmの長方形状に切断したものを試験片として用いた。
JIS K7128−2(1998)に準拠し、(株)東洋精機製作所SA−WPを用い、測定温度23℃の条件で、試験片のエルメンドルフ引裂強さ(単位:N/cm)を測定した。
この測定は、フィルムのMD方向及びTD方向のそれぞれについて行った。
次に、MD方向のエルメンドルフ引裂強さをSMDとし、TD方向のエルメンドルフ引裂強さをSTDとして、比率〔SMD/STD〕を算出した。
以上の結果を下記表2に示す。
4.フィルムの応力緩和率の測定
厚みが50μmのフィルムから幅10mm×長さ100mmのシートを打ち抜いたものを試験片として用いた。
引張試験機(万能引張試験機3380、インストロン製)を用いて、チャック間距離75mm、引張速度200mm/min、及び温度23℃の条件で、試験片を10%伸長させた。そして、10%伸長させた際の応力(初期応力)を計測し、そのまま試験片の伸長を120秒間保持させ、その間の応力の変化についても計測した。そして、上記初期応力と、伸長から60秒後の応力と、の差から応力緩和率(%)を算出した。
以上の結果を下記表2に示す。
なお、応力緩和率が高い程、応力緩和性に優れている。
<実施例2〜10及び比較例1〜4>
実施例1において、重合体Aの種類、重合体Bの種類、及び含有質量比〔重合体A/重合体B〕(表2中では、「含有質量比〔A/B〕」と表記する)の組み合わせを、下記表2に示す組み合わせに変更したこと以外は実施例1と同様にして拡張性基材フィルムを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
結果を表2に示す。
−表2の説明−
・重合体B−1 ・・・ (株)プライムポリマー製のプライムポリプロ(登録商標)F327(プロピレン・エチレン・ブテンランダム共重合体、密度:907kg/m、MFR(230℃):7g/10min)
・重合体B−2 ・・・ (株)プライムポリマー製のプライムポリプロ(登録商標)F107(ホモポリプロピレン、密度:910kg/m、MFR(230℃):7g/10min)
・重合体B−3 ・・・ (株)プライムポリマー製のエボリュー(登録商標)SP2540(直鎖状低密度ポリエチレン、密度:924kg/m、MFR(190℃):3.8g/10min)
・重合体B−4 ・・・ (株)プライムポリマー製のエボリュー(登録商標)SP0540(直鎖状低密度ポリエチレン、密度:903kg/m、MFR(190℃):3.8g/10min)
・重合体B−5 ・・・ 三井化学(株)製のタフマー(登録商標)A0550S(エチレン・ブテン共重合体、密度860kg/m、MFR(190℃)=0.5g/10分)
表2に示すように、実施例1〜10では、高い応力緩和率が維持され、ELMD/ELTD及びSMD/STDが共に1.0に近い値となっていた。これにより、実施例1〜10では、応力緩和性に優れ、かつ、引張破断伸びの異方性及び引裂強さの異方性が低減されていることがわかった。
一方、重合体Bの主成分である構成単位が、重合体A中の構成単位(Y)(ここでは、プロピレンに由来する構成単位)以外の構成単位である比較例1〜4では、ELMD/ELTD及びSMD/STDが1.0から離れた値となっていた。これにより、比較例1〜4では、引張破断伸びの異方性及び引裂強さの異方性が大きいことがわかった。
〔透過型電子顕微鏡(TEM)によるフィルムの観察〕
また、実施例1〜10及び比較例1〜4のフィルムを、断面方向にマイクロトームにて研削しフィルム断面の超薄切片をトリミングした後、四酸化ルテニウムの蒸気に一定時間晒して一方を選択的に染色させた。作製したサンプルを日立ハイテク(株)製の透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope、型式:H−7650)を用いて観察したところ、実施例1〜10及び比較例1〜4のフィルムが、海島構造を有していることが確認された。

Claims (11)

  1. 4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位(X)を70モル%〜95モル%、及び4−メチル−1−ペンテン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンに由来する構成単位(Y)を5モル%〜30モル%含む重合体Aと、前記構成単位(Y)を主成分とする重合体Bと、を含有し、前記重合体Aと前記重合体Bとの合計量を100質量部としたときに、前記重合体Aの含有量が20質量部〜90質量部であり、前記重合体Bの含有量が10質量部〜80質量部である拡張性基材フィルムを含む基材層と、
    アクリル系粘着剤を含み、ダイシングフィルムとしてSUS−304−BA板の表面に貼着されて60分間放置した後、前記SUS−304−BA板の表面から前記ダイシングフィルムを剥離するときの、JIS Z0237に準拠して測定される粘着力が、0.1N/25mm〜10N/25mmである粘着剤層と、
    を備える、ダイシングフィルム。
  2. 前記基材層と前記粘着剤層との間に配置された中間層であって、25℃における引張弾性率E(25)及び60℃における引張弾性率E(60)がE(60)/E(25)<0.1の関係を満たし、かつ前記引張弾性率E(25)が1MPa〜10MPaである中間層を更に備える、請求項1に記載のダイシングフィルム。
  3. 前記重合体Aが、前記構成単位(X)を70モル%〜90モル%含む、請求項1又は請求項2に記載のダイシングフィルム。
  4. 前記構成単位(Y)が、プロピレンに由来する構成単位である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のダイシングフィルム。
  5. 前記重合体Bが、前記構成単位(Y)を50モル%〜100モル%含む、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のダイシングフィルム。
  6. 下記式(1)及び下記式(2)を満たす、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のダイシングフィルム。
    0.5≦ELMD/ELTD≦1.5 ・・・ 式(1)
    〔式(1)中、ELMDは、MD方向の引張破断伸びを示し、ELTDは、TD方向の引張破断伸びを示す。〕
    0.4≦SMD/STD≦1.5 ・・・ 式(2)
    〔式(2)中、SMDは、MD方向のエルメンドルフ引裂強さを示し、STDは、TD方向のエルメンドルフ引裂強さを示す。〕
  7. 4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位(X)を70モル%〜95モル%、及び4−メチル−1−ペンテン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンに由来する構成単位(Y)を5モル%〜30モル%含む重合体Aと、前記構成単位(Y)を主成分とする重合体Bと、を含有し、前記重合体Aと前記重合体Bとの合計量を100質量部としたときに、前記重合体Aの含有量が20質量部〜90質量部であり、前記重合体Bの含有量が10質量部〜80質量部である拡張性基材フィルムを含む基材層と、
    アクリル系粘着剤を含み、半導体用表面保護フィルムとしてSUS−304−BA板の表面に貼着されて60分間放置した後、前記SUS−304−BA板の表面から前記半導体用表面保護フィルムを剥離るときの、JIS Z0237に準拠して測定される粘着力が、0.1N/25mm〜10N/25mmである粘着剤層と、
    を備え、半導体基板の研削時に半導体基板の非研削面を保護する、半導体用表面保護フィルム。
  8. 半導体基板に、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のダイシングフィルムを、前記半導体基板と前記粘着剤層とが対向するように貼着する貼着工程と、
    前記ダイシングフィルムが貼着された半導体基板をダイシングするダイシング工程と、
    前記ダイシング工程後のダイシングフィルムを拡張することにより、各々が離隔された複数の半導体チップを得る拡張工程と、
    前記複数の半導体チップの少なくとも1つをピックアップするピックアップ工程と、
    を有する、半導体装置の製造方法。
  9. 前記貼着工程は、前記半導体基板に前記ダイシングフィルムを、40℃〜80℃の温度で、0.3MPa〜0.5MPaの圧力で貼着する、請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
  10. 前記貼着工程は、一方の面のみに回路が形成された半導体基板の回路形成面に、前記ダイシングフィルムを、前記回路形成面と前記粘着剤層とが対向するように貼着する工程であり、
    更に、前記貼着工程後であって前記拡張工程前に、前記半導体基板の回路非形成面を研削する研削工程を有する、請求項8又は請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
  11. 一方の面のみに回路が形成された半導体基板の回路形成面から該半導体基板の厚さ未満の切り込み深さの溝を形成する溝形成工程と、
    前記溝が形成された前記半導体基板の回路形成面に、請求項7に記載の半導体用表面保護フィルムを、前記回路形成面と前記粘着剤層とが対向するように貼着する貼着工程と、
    前記半導体用表面保護フィルムが貼着された前記半導体基板の回路非形成面を研削する研削工程と、
    前記研削工程後の半導体用表面保護フィルムを拡張することにより、各々が離隔された複数の半導体チップを得る拡張工程と、
    前記複数の半導体チップの少なくとも1つをピックアップするピックアップ工程と、
    を有する、半導体装置の製造方法。
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