JP2020117697A - 積層フィルムおよび積層体 - Google Patents

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Katsumasa Fukagawa
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Abstract

【課題】被着体に対し適度な粘着強度を示し、高温下でも、被着体からの浮きや剥離が起こりにくい積層フィルムであり、該積層フィルムを被着体から剥離する際には、容易に剥離でき、かつ、被着体への粘着層残りが起こりにくく、さらに、高温下でも、被着体との積層体の反りを抑制できる積層フィルムを提供すること。【解決手段】基材層(A)と粘着層(X)とを含む積層フィルムであって、該積層フィルムが、JIS K7127に準拠した引張試験(厚み50μm、試験片タイプ2に対応した幅15mm、長さ100mmの形状の試験片を使用)において、23℃、引張速度200mm/分で10%伸長した時の引張力が8N以下、かつ、引張弾性率が1500MPa未満であり、前記層(A)が、周波数1.6Hzでの動的粘弾性測定の、23℃におけるtanδ値が0.15以上、かつ、50℃におけるtanδ値が0.08以上である熱可塑性樹脂(A−1)5〜100質量%と、該樹脂(A−1)以外のポリオレフィン(A−2)0〜95質量%(但し、(A−1)+(A−2)=100質量%)とを含む、積層フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、積層フィルムおよび積層体に関する。
表面保護フィルムは、光学用や建材用等の、樹脂製品、金属製品、ガラス製品、半導体ウエハなどの被着体に貼付して使用され、これらを輸送、保管、加工する際の傷付き、破損、異物の混入を防ぐ等の役割や、所定の工程における支持体等の役割を果たしている。これらの表面保護フィルムは、一般には粘着性の無い表面層と、前記被着体と貼り合わせるための粘着層とを含む。表面層としては、通常、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンや、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリ塩化ビニルなどのビニル重合体から形成された層が使用されている。
このような表面保護フィルムに必要な特性としては、被着体に対する適度な粘着強度を示すこと、表面保護フィルムの被着体からの浮きや剥がれがないこと、被着体に変形や欠けといった欠陥が生じないこと、該フィルムを剥離除去して用いられる場合には、粘着層の成分が被着体に残留しないこと等が要求される。特に、表面保護フィルムを被着体に貼り合わせた積層体が高温条件下におかれる場合には、被着体および表面保護フィルムに収縮や軟化が生じやすいため、表面保護フィルムに求められる性能は、表面保護フィルム以外の汎用的な積層フィルムに求められる性能よりも一層高度となる。
特許文献1には、共押出成形により得られる表面保護フィルムであって、スチレン系エラストマー、粘着付与樹脂およびポリオレフィン系樹脂からなる樹脂組成物を粘着層とする表面保護フィルムが開示されている。
特許文献2には、粘着層にスチレン系エラストマーとオレフィン系共重合体を用いた表面保護フィルムが開示されている。
また、特許文献3には、基材層にプロピレン系共重合体を用いることで、保管等の際に温度変化が生じてもフィルムの浮きや剥がれを抑制できる表面保護フィルムが開示されている。
特開2012−131978号公報 特開2015−034215号公報 特開2014−208734号公報
近年、ブラウン管ディスプレイから、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイへの移行や、多機能携帯電話、所謂スマートフォンに代表される携帯情報端末の普及が進んでいる。これらに用いる部材において、高機能化、高性能化に伴い、凹凸の大きい表面形状を有する、または、表面が凹凸になるように表面処理された部材が増えており、これらの部材と、表面保護フィルムの粘着層との接触面積が必然的に小さくなることから、表面保護フィルムが部分的に変形した状態になりやすくなっている。このような状態で、輸送、保管、加工等をする際に、高温下に曝されると、変形した部分は元の状態に回復しようとするため、表面保護フィルムは被着体から浮きを生じ、剥離し易くなるという問題がある。
しかしながら、特許文献1や2に記載の表面保護フィルムは、常温下での貼り合わせでは、適度な粘着強度を示すが、該フィルムを、被着体、特に、凹凸の大きい表面形状を有する部材に貼り合わせた場合、高温下で浮きや剥がれを起こすことが分かった。
また、特許文献3に記載の表面保護フィルムは、応力緩和効果が十分ではなく、被着体と貼り合わせた後に熱処理が行われると、表面保護フィルムと被着体とを貼り合わせた積層体が反り上がることが分かった。
本発明は、以上のことに鑑みてなされたものである。本発明は、被着体に対し適度な粘着強度を示し、高温下でも、被着体からの浮きや剥離が起こりにくい積層フィルムであり、該積層フィルムを被着体から剥離する際には、容易に剥離でき、かつ、被着体への粘着層残りが起こりにくく、さらに、高温下でも、被着体との積層体の反りを抑制できる積層フィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは前記課題を解決するべく鋭意検討した結果、特定の積層フィルムによれば、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の構成例は、以下の通りである。
[1] 基材層(A)と粘着層(X)とを含む積層フィルムであって、
前記積層フィルムが、JIS K7127に準拠した引張試験(但し、厚み50μm、試験片タイプ2に対応した幅15mm、長さ100mmの形状の試験片を使用)において、23℃、引張速度200mm/分で10%伸長した時の引張力が8N以下、かつ、引張弾性率が1500MPa未満であり、
前記基材層(A)が、周波数1.6Hzでの動的粘弾性測定の、23℃におけるtanδ値(損失正接)が0.15以上、かつ、50℃におけるtanδ値が0.08以上である熱可塑性樹脂(A−1)5〜100質量%と、
前記熱可塑性樹脂(A−1)以外のポリオレフィン(A−2)0〜95質量%(但し、(A−1)および(A−2)の合計を100質量%とする。)とを含む、
積層フィルム。
[2] 前記熱可塑性樹脂(A−1)が、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位(I)が50〜96モル%であり、かつ、炭素数2〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)に由来する構成単位(II)が4〜50モル%(但し、(I)および(II)の合計を100モル%とする。)である共重合体を含む、[1]に記載の積層フィルム。
[3] 前記熱可塑性樹脂(A−1)が、下記要件(i)〜(iv)のうち少なくとも1つを満たす、[1]または[2]に記載の積層フィルム。
(i)デカリン中135℃で測定した極限粘度〔η〕が0.1〜5.0dl/gである
(ii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と、数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5である
(iii)示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が200℃未満であるか、またはDSCで融点が観測されない
(iv)密度が830〜860kg/m3である
[4] 前記ポリオレフィン(A−2)がプロピレン系重合体を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の積層フィルム。
[5] 前記粘着層(X)が、
エチレン系重合体、または、炭素数3以上のα−オレフィンに由来する構成単位を主成分とするオレフィン系重合体(B)、
スチレン系重合体(C)、および、
(メタ)アクリル系重合体(D)
から選ばれる1種類以上の重合体を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の積層フィルム。
[6] 保護フィルムである、[1]〜[5]のいずれかに記載の積層フィルム。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の積層フィルムと、
JIS K7127に準拠(但し、厚み50μm、試験片タイプ2に対応した幅15mm、長さ100mmの形状の試験片を使用)して、23℃、引張速度200mm/分で伸長した時の引張弾性率が1500MPa以上である被着体と、
を含み、
前記積層フィルムにおける前記粘着層(X)が前記被着体と接している、
積層体。
本発明に係る積層フィルムは、被着体に対し適度な粘着強度を示し、高温下でも、被着体からの浮きや剥離が起こりにくく、被着体から剥離させる際には、容易に剥離でき、かつ、被着体には粘着層由来の成分が残りにくい。また、本発明に係る積層フィルムを用いることで、高温下でも反りが起こり難い、積層フィルムと被着体との積層体を得ることができる。このため、本発明に係る積層フィルムは、光学基材、建材、自動車部品、半導体ウエハ等に使用される表面保護フィルムとして好適に用いることができ、産業上の利用価値は極めて高い。
また、本発明に係る積層フィルムは、凹凸の大きい表面形状を有する被着体を用いた場合であっても、前記効果を十分に奏する。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
なお、本明細書において、「(共)重合体」および「重合体」なる語は、単独重合体および共重合体を包含する意味で用いられる。
<積層フィルム>
本発明に係る積層フィルム(以下「本フィルム」ともいう。)は、基材層(A)と粘着層(X)とを含み、
前記積層フィルムが、JIS K7127に準拠した引張試験(但し、厚み50μm、試験片タイプ2に対応した幅15mm、長さ100mmの形状の試験片を使用)において、23℃、引張速度200mm/分で10%伸長した時の引張力が8N以下であり、かつ、引張弾性率が1500MPa未満であり、
前記基材層(A)が、周波数1.6Hzでの動的粘弾性測定の、23℃におけるtanδ値(損失正接)が0.15以上、かつ、50℃におけるtanδ値(損失正接)が0.08以上である熱可塑性樹脂(A−1)5〜100質量%と、
前記熱可塑性樹脂(A−1)以外のポリオレフィン(A−2)0〜95質量%(但し、(A−1)および(A−2)の合計を100質量%とする。)とを含む。
本フィルムの前記引張力は、好ましくは7.5N以下であり、さらに好ましくは7.0N以下であり、好ましくは1N以上である。
また、本フィルムの前記引張弾性率は、好ましくは1400MPa以下であり、さらに好ましくは1200MPa以下であり、好ましくは500MPa以上である。
本フィルムの引張力および引張弾性率が前記範囲内にあると、前述の効果を奏する積層フィルムを容易に得ることができ、特に、高温下でも反りが起こり難い、積層フィルムと被着体との積層体を容易に得ることができる。
本フィルムは、少なくとも基材層(A)と粘着層(X)とを含めば特に制限されず、これらの層を2層以上有していてもよいし、これらの層以外の他の層を1層または2層以上有していてもよい。
本フィルムの厚みとしては、例えば、4〜500μm、好ましくは4〜350μm、より好ましくは4〜300μmである。
前記基材層(A)の厚みは、例えば、2〜400μm、好ましくは2〜300μm、より好ましくは2〜250μm、さらに好ましくは3〜200μmである。
前記粘着層(X)の厚みは、例えば、2〜100μm、好ましくは2〜80μm、より好ましくは2〜60μm、さらに好ましくは2〜50μmである。
これらの厚みは特に制限されず、所望の用途に応じて適宜選択すればよい。
基材層(A)および粘着層(X)の厚みが前記範囲にあり、特に、粘着層(X)よりも基材層(A)の厚みを厚くすることで、高温下での寸法安定性と機械強度とにバランスよく優れる本フィルムを容易に得ることができる。さらに、例えば、粘着層(X)の厚みに対して、基材層(A)の厚みを2〜5倍に相当する範囲にすると、引張力および引張弾性率が前記範囲内にある本フィルムを容易に得ることができる傾向にある。
本フィルムの用途としては特に制限されないが、本発明の効果がより発揮される等の点から、光学基材、建材、自動車部品、半導体ウエハ等に使用される表面保護フィルム等が挙げられる。
また、本フィルムは、被着体を加工等する際の支持体としても用いることができる。
<基材層(A)>
前記基材層(A)は、周波数1.6Hzでの動的粘弾性測定の、23℃におけるtanδ値(損失正接)が0.15以上であり、かつ、50℃におけるtanδ値(損失正接)が0.08以上である熱可塑性樹脂(A−1)5〜100質量%と、該熱可塑性樹脂(A−1)以外のポリオレフィン(A−2)0〜95質量%(但し、熱可塑性樹脂(A−1)およびポリオレフィン(A−2)の合計を100質量%とする。)とを含む。
前記基材層(A)は、得られる積層フィルムの引張力および引張弾性率が前記範囲内となるような層であることが好ましく、前記熱可塑性樹脂(A−1)およびポリオレフィン(A−2)のみからなる層であることがより好ましい。
基材層(A)に用いられる熱可塑性樹脂(A−1)は、1種でも2種以上でもよく、基材層(A)に用いられ得るポリオレフィン(A−2)も、1種でも2種以上でもよい。
<熱可塑性樹脂(A−1)>
前記23℃におけるtanδ値は、好ましくは0.20〜3.0であり、50℃におけるtanδ値は、好ましくは0.10〜1.0である。
23℃および50℃におけるtanδ値が、前記範囲にある熱可塑性樹脂(A−1)を用いることで、十分な応力緩和性を有する積層フィルムが得られる。即ち、被着体との積層体を高温下に曝した場合であっても、本フィルムは被着体から浮きや剥離を抑制することができる。
前記23℃におけるtanδ値が0.15未満であり、かつ、50℃におけるtanδ値が0.08未満である樹脂を用いる場合には、十分な応力緩和性が得られず、積層フィルムと被着体からなる積層体を高温下に曝した場合に、該積層フィルムには被着体から浮きや剥離が生じ易い傾向にある。
前記熱可塑性樹脂(A−1)は、炭素数3以上のα−オレフィンに由来する構成単位を主成分とするオレフィン系重合体を含むことが好ましく、前記熱可塑性樹脂(A−1)は、実質的に、この重合体であることが好ましい。
前記熱可塑性樹脂(A−1)は、前述のtanδ値を満足するような樹脂であればよく、その構造は、アイソタクチック構造でも、シンジオタクチック構造でも、アタクチック構造でもよい。
前記熱可塑性樹脂(A−1)としては、好ましくは、4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体、4−メチル−1−ペンテン・1−ブテン共重合体、4−メチル−1−ペンテン・プロピレン・1−ブテン共重合体、4−メチル−1−ペンテン単独重合体、シンジオタクチック構造のプロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体等が挙げられる。
熱可塑性樹脂(A−1)としては、4−メチル−1−ペンテンを主成分とする4−メチル−1−ペンテン共重合体であることが好ましい。4−メチル−1−ペンテン共重合体は、従来公知のオレフィン重合用触媒、例えば、バナジウム系触媒、チタン系触媒、マグネシウム担持型チタン触媒、国際公開第01/53369号、国際公開第01/27124号、特開平3−193796号公報、特開平02−41303号公報等に記載のメタロセン触媒を用いて、4−メチル−1−ペンテンと、必要に応じて、炭素数2〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)やその他の化合物とを重合することにより得ることができる。
前記炭素数2〜20のα−オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−デセン、1−ドデセンが挙げられ、この中でも、特にプロピレンが好ましい。
前記熱可塑性樹脂(A−1)としては、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位を50モル%以上含有するオレフィン系共重合体がより好ましく、周波数1.6Hzでの動的粘弾性測定における、最大tanδ値の温度が5℃以上である、4−メチル−1−ペンテンと、少なくとも1種の炭素数2〜20のオレフィンとの共重合体がさらに好ましい。
前記熱可塑性樹脂(A−1)としては、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位(I)および炭素数2〜20のオレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)に由来する構成単位(II)の合計を100モル%とした場合、構成単位(I)の含有量が、好ましくは50〜96モル%、より好ましくは70〜96モル%であり、かつ、構成単位(II)の含有量が、好ましくは4〜50モル%、より好ましくは4〜30モル%である共重合体であることが特に好ましい。
構成単位(I)および(II)の含有量が前記範囲内にあると、高い応力緩和性を有する熱可塑性樹脂となる傾向にあり、23℃および50℃におけるtanδ値前記範囲内にある熱可塑性樹脂を容易に得ることができる傾向にある。
構成単位の含有率(モル%)の値は、13C−NMRにより測定され、具体的な測定方法については、実施例に記載の通りである。
前記熱可塑性樹脂(A−1)は、下記の要件(i)〜(iv)のうち少なくとも1つを満たすことが好ましく、これらすべての要件を満たすことがより好ましい。
[要件(i)]
前記熱可塑性樹脂(A−1)の、デカリン中135℃で測定した極限粘度〔η〕は、0.1〜5.0dl/gの範囲にある。
前記極限粘度〔η〕は、好ましくは0.5〜4.0dl/g、より好ましくは1.0〜4.0dl/gである。
限粘度〔η〕が前記範囲内にある熱可塑性樹脂(A−1)を用いることで、本フィルムを成形する際の成形性に優れる。また、前記極限粘度〔η〕が0.1dl/g未満または5.0dl/gを超えると、本フィルムの成形性が損なわれることがある。
なお、熱可塑性樹脂(A−1)を重合する際に水素を用いることで、該樹脂の分子量を制御でき、低分子量体から高分子量体まで自在に得ることができるので、極限粘度〔η〕を調整することができる。
[要件(ii)]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜3.5の範囲にある。
前記分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.2〜3.0、さらに好ましくは1.5〜2.8である。
分子量分布(Mw/Mn)が前記範囲内にある熱可塑性樹脂(A−1)を用いることで、本フィルムを成形する際の成形性に優れる。また、前記分子量分布(Mw/Mn)が3.5を超えると、組成分布に由来する低分子量、低立体規則性ポリマーの影響が現れて、本フィルムの成形性が損なわれることがある。
なお、測定条件等の詳細は、後述する実施例の欄に記載の通りである。
また、前記熱可塑性樹脂(A−1)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは500〜10,000,000、より好ましくは1,000〜5,000,000、さらに好ましくは1,000〜2,500,000である。
[要件(iii)]
前記熱可塑性樹脂(A−1)の示差走査熱量計(DSC)で測定した融点は、200℃未満であるか、またはDSCで融点が観測されない。
融点を有する場合、その上限は好ましくは180℃、より好ましくは160℃、さらに好ましくは140℃である。なお、下限は特に限定されないが、通常130℃である。
前記融点の値は、熱可塑性樹脂(A−1)に含まれる重合体の立体規則性ならびに前記α−オレフィン量に依存して変化する。前述のオレフィン重合用触媒を用いて所望の組成に制御することで、融点を調整することが可能である。
なお、測定条件等の詳細は、後述する実施例の欄に記載の通りである。
[要件(iv)]
前記熱可塑性樹脂(A−1)の密度は、830〜860kg/m3である。
前記密度は、好ましくは830〜850kg/m3である。
密度が前記範囲内にある熱可塑性樹脂(A−1)を用いることで、透明性や寸法安定性に優れる本フィルムを容易に得ることができる。
前記密度は、例えば、熱可塑性樹脂(A−1)が4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体である場合、該α−オレフィンの組成比によって適宜調整することができる。
なお、測定条件等の詳細は、後述する実施例の欄に記載の通りである。
前記基材層(A)に含まれる熱可塑性樹脂(A−1)の含有量は、前記効果がより発揮される等の点から、前記熱可塑性樹脂(A−1)および前記ポリオレフィン(A−2)の合計100質量%に対し、5〜100質量%であり、好ましくは20〜100質量%である。
<ポリオレフィン(A−2)>
前記ポリオレフィン(A−2)としては、前記熱可塑性樹脂(A−1)以外の従来公知のポリオレフィンを使用することができる。
ポリオレフィン(A−2)としては、例えば、低密度、中密度または高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、ポリ1−ブテン、1−ブテン・エチレン共重合体、4−メチル−1−ペンテン単独重合体、4−メチル−1−ペンテン・1−デセン共重合体、4−メチル−1−ペンテン・1−ヘキサデセン・1−オクタデセン共重合体、3−メチル−1−ブテン単独重合体、環状オレフィン共重合体、塩素化ポリオレフィン樹脂が挙げられる。好ましくはプロピレン系重合体であり、より好ましくは、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体であり、さらに好ましくはアイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレンである。
前記基材層(A)に含まれるポリオレフィン(A−2)の含有量は、前記効果がより発揮される等の点から、前記熱可塑性樹脂(A−1)およびポリオレフィン(A−2)の合計100質量%に対し、0〜95質量%、好ましくは0〜70質量%である。
前記基材層(A)が、前記熱可塑性樹脂(A−1)およびポリオレフィン(A−2)を含有する場合、機械物性を損ねることなく、寸法安定性が良好な本フィルムを容易に得ることができる傾向にあり、特に、熱可塑性樹脂(A−1)が4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体である場合、該共重合体に対する相容性に優れ、前記効果を奏する本フィルムを容易に得ることができる等の点から、ポリオレフィン(A−2)としては、前記プロピレン系重合体が好ましい。
<粘着層(X)>
前記粘着層(X)としては、得られる本フィルムの引張力および引張弾性率が、前記範囲内となるような層であれば特に制限されないが、通常、被着体と貼り付け可能なタック性を有する層であり、従来の表面保護フィルムの粘着層として使用されている公知の粘着層の材料構成と同様の材料構成の層を使用することができる。
これらの中でも、フィッシュアイの発生による被着体の損傷、粘着層成分の被着体への移行、いわゆる糊残りを抑制する等の点から、エチレン系重合体、または、炭素数3以上のα−オレフィンに由来する構成単位を主成分とするオレフィン系重合体(B)、スチレン系重合体(C)、および、(メタ)アクリル系重合体(D)から選ばれる1種類以上の重合体を含むことが好ましい。
前記エチレン系共重合体、または、炭素数3以上のα−オレフィンに由来する構成単位を主成分とするオレフィン系重合体(B)におけるエチレン系重合体としては、エチレンを主成分とする重合体であればよく、例えば、低密度、中密度または高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンが挙げられる。低密度ポリエチレンの中でも、直鎖状低密度ポリエチレンを用いることが、粘着効果として必要なタック性を付与することができる等の点で好ましい。
前記エチレン系重合体、または、炭素数3以上のα−オレフィンに由来する構成単位を主成分とするオレフィン系重合体(B)におけるオレフィン系重合体としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、1−ブテン単独重合体、1−ブテン・エチレン共重合体、4−メチル−1−ペンテン単独重合体、4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体、4−メチル−1−ペンテン・1−ブテン共重合体、4−メチル−1−ペンテン・プロピレン・1−ブテン共重合体が挙げられ、好ましくは、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体である。
4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体を用いることで、凹凸追従性に優れ、被着体への糊残りの起こりにくい粘着層(X)を容易に得ることができる。
また、プロピレン・エチレン共重合体を用いることで、粘着効果として必要なタック性を有する粘着層(X)を容易に得ることができる。
前記粘着層(X)が、エチレン系重合体、または、炭素数3以上のα−オレフィンに由来する構成単位を主成分とするオレフィン系重合体(B)を含む場合、4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体、プロピレン・エチレン共重合体およびプロピレン単独重合体を含むこと、4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体および直鎖状低密度ポリエチレンを含むこと、または、プロピレン・エチレン共重合体とプロピレン単独重合体を含むことが好ましい。
このような粘着層(X)は、粘着効果として必要なタック性の付与と、被着体から剥がした後の糊残りが起こりにくいという特性とにバランスよく優れるため好ましい。
前記エチレン系重合体、または、炭素数3以上のα−オレフィンに由来する構成単位を主成分とするオレフィン系重合体(B)におけるオレフィン系重合体の230℃で測定したメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.1〜100g/10分、より好ましくは0.5〜50g/10分である。
前記スチレン系重合体(C)としては、ポリスチレン相をハードセグメントとして有する公知のスチレン系エラストマー等を使用することができる。具体的には、スチレン・ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体(SIS)、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SBS)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SEBS)、これらの水素化物、スチレン・イソブチレン・スチレントリブロック共重合体(SIBS)、スチレン・イソブチレンジブロック共重合体(SIB)等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル系重合体(D)としては、(メタ)アクリロイル基を有するモノマーの重合体であれば特に制限されないが、例えば、エチレン性二重結合を有するモノマーと、反応性官能基を有する共重合性モノマーとを共重合した共重合体と、前記反応性官能基と反応し得る基を有する重合性炭素−炭素二重結合を含むモノマーと、を反応させた重合体が挙げられる(但し、これらのモノマーのうち、少なくとも1つは(メタ)アクリロイル基を有するモノマーである。)。
前記エチレン性二重結合を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;酢酸ビニル等のビニルエステル;アクリロニトリル;(メタ)アクリルアミド;スチレンが挙げられる。
これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記反応性官能基を有する共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミドが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記反応性官能基と反応し得る基を有する重合性炭素−炭素二重結合を含むモノマーとしては、特に限定されない。例えば、前記反応性官能基と、該反応性官能基と反応し得る基との組み合わせの例としては、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とアジリジル基、水酸基とイソシアネート基が挙げられる。
これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
また、粘着層(X)は、粘着強度の制御を目的として、本発明の特性を損なわない範囲で、従来公知の添加剤、例えば、ポリエステルエラストマー等の樹脂改質剤、石油樹脂、水添系石油樹脂、クロマン・インデン樹脂、ロジン誘導体、テルペン系樹脂等の粘着付与剤、ポリオレフィン系ワックス、シリコーン系ワックス、シリカやタルクに代表されるアンチブロッキング剤等の公知の離型性付与剤、帯電防止剤、導電剤、耐候安定剤、結晶核剤、酸化防止剤を含有してもよい。
<表面層(Z)>
本フィルムは、離型性、剛性、寸法安定性、取扱性などを考慮し、基材層(A)の、粘着層(X)とは反対側に、少なくとも1層の表面層(Z)を設けてもよい。
前記表面層(Z)としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル重合体等の公知の樹脂を含む層が挙げられる。
これらの中でも、前記表面層(Z)と前記基材層(A)とが積層された本フィルムを作製するにあたり、前記表面層(Z)と前記基材層(A)との層間接着性に優れる等の点から、前記表面層(Z)としては、ポリオレフィンからなる層が好ましい。
該ポリオレフィンとしては、具体的には、プロピレン単独重合体、プロピレンと少なくとも1種の炭素数3以外のα−オレフィンとからなる共重合体、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、4−メチル−1−ペンテン共重合体等が挙げられるが、これらの中でも、フィッシュアイ(架橋ゲル)が生じにくい、プロピレン単独重合体、プロピレンと少なくとも1種の炭素数3以外のα−オレフィンとからなる共重合体等のプロピレン系重合体がより好ましく、離型性等の観点から、プロピレンと少なくとも1種の炭素数3以外のα−オレフィンとからなるブロック共重合体がさらに好ましい。
前記表面層(Z)は、1種の樹脂を含んでいてもよく、2種以上の樹脂を含んでいてもよく、また必要に応じて、本発明の特性を損なわない範囲で、従来公知の添加剤、例えば、ポリオレフィン系ワックス、シリコーン系ワックス、シリカやタルクに代表されるアンチブロッキング剤等の公知の離型性付与剤、帯電防止剤、導電剤、耐候安定剤、結晶核剤、酸化防止剤を含有してもよい。
前記表面層(Z)の厚みは特に制限されず、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、例えば、1〜100μm、好ましくは5〜30μmである。
<積層フィルムの製造方法>
本フィルムを製造する方法としては特に制限されないが、各層を構成する重合体等を用い、共押出成形法や押出ラミネート法などの通常の成形法により製造することができる。また、予め、Tダイ押出成形、インフレーションフィルム成形等にて得られた層上に、押出コーティングする方法や、各層となるフィルムをドライラミネーションなどにより積層させる方法等も挙げることができる。
これらの中でも、本フィルムを容易に製造でき、かつ、高品質を維持できるTダイ共押出成形法が好ましい。
<積層体>
本フィルムは、通常、被着体と積層された積層体として用いられる。つまり、本明細書では、本フィルムと被着体との積層物を積層体という。
この積層体では、本フィルムの粘着層(X)側が被着体側となるように積層されることが好ましく、本フィルムの粘着層(X)と被着体とが接するように積層されることがより好ましい。
前記被着体としては特に制限されないが、JIS K7127に準拠(但し、厚み50μm、試験片タイプ2に対応した幅15mm、長さ100mmの形状の試験片を使用)して、23℃、引張速度200mm/分で伸長した時の引張弾性率が1500MPa以上である被着体が好ましく、より好ましくは1800〜4500MPaである。
引張弾性率が前記範囲内にある被着体は、室温下では硬く、収縮しにくい特徴がある。
前記被着体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、環状オレフィン共重合体(COP、COC)、ポリ(メタ)アクリレート、シリコンウエハ、ガラス等が挙げられる。
以下に本発明を実施例により詳細説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例および比較例に用いた原料の物性は、以下のように測定した。
<メルトフローレート(MFR)>
ASTM D1238に準拠して、荷重2.16kg、温度230℃または190℃で測定した。
<融点>
JIS K7121に準拠し、示差走査熱量計(DSC)を用い、毎分10℃の加熱速度で測定される融解ピーク頂点に相当する最も高い温度を融点とした。
<構成単位の含有率>
重合体中の各構成単位の含有率は、13C−NMRにより測定した。測定条件は以下のとおりである。
・測定装置:核磁気共鳴装置(ECP500型、日本電子(株)製)
・観測核:13C(125MHz)
・シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング
・パルス幅:4.7μ秒(45°パルス)
・繰り返し時間:5.5秒
・積算回数:1万回以上
・溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(容量比:80/20)混合溶媒
・試料濃度:55mg/0.6mL
・測定温度:120℃
・ケミカルシフトの基準値:27.50ppm
<tanδ値(損失正接)の測定>
下記原料樹脂をSUS製型枠に所定量充填し、加熱盤を200℃に設定した油圧式熱プレス機(関西ロール(株)製PEWR−30、加圧力:29.4kN)を用いて、予熱7分間、ゲージ圧10MPaで2分間加圧した後、20℃に設定した冷却盤に移し替え、ゲージ圧10MPaで圧縮して3分間冷却することで、厚み2.0mmの測定用プレスシートを得た。
アントンパール社製レオメーターMCR301を用いて、トーションモード、周波数1.6Hz、歪設定0.1%、昇温速度2℃/分の条件で、温度−40〜120℃における動的粘弾性の温度分散を測定し、ガラス転移温度に起因するtanδ(損失正接)が最大値となる時の温度(最大tanδの温度)、その時のtanδ値(最大tanδ値)、23℃におけるtanδ値、50℃におけるtanδ値を測定した。
<極限粘度〔η〕>
極限粘度〔η〕は、デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した。
具体的には、下記原料樹脂約20mgを採取し、これをデカリン15mlに溶解させて、得られたデカリン溶液を135℃に加熱したオイルバス中に入れ、比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同じように比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)をゼロに外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として算出した(下記式を参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
<重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)>
MnおよびMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
具体的には、液体クロマトグラフとしてWaters社製ALC/GPC150−Cplus型(示差屈折計検出器一体型)を用い、分離カラムとして東ソー(株)製GMH6−HTを2本、およびGMH6−HTLを2本直列接続して用い、移動相媒体としてo−ジクロロベンゼン、酸化防止剤として0.025質量%のBHT(武田薬品工業(株)製)を用い、移動相媒体を1.0ml/分で移動させ、試料濃度は15mg/10mlとし、試料注入量は500マイクロリットルとし、検出器は示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンとしては、重量平均分子量(Mw)が1,000以上、4000,000以下において、東ソー(株)製の標準ポリスチレンを用いた。
得られたクロマトグラムを、公知の方法によって、標準ポリスチレンサンプルを用いて検量線を作成して解析することで、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn値)を算出した。1サンプル当たりの測定時間は60分であった。
<密度>
JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して、密度を測定した。
[熱可塑性樹脂(A−1)の合成]
前記熱可塑性樹脂(A−1)を以下の方法により合成した。
<熱可塑性樹脂(A−1−1)の合成>
充分に窒素置換した容量1.5リットルの攪拌翼付SUS製オートクレーブに、23℃でノルマルヘキサンを300ml(乾燥窒素雰囲気下、活性アルミナ上で乾燥したもの)、4−メチル−1−ペンテンを450ml挿入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml挿入して攪拌した。
次に、オートクレーブを内温60℃まで加熱し、全圧が0.40MPa(ゲージ圧)となるようにプロピレンで加圧した。続いて、予め調製しておいたメチルアルミノキサンをAl換算で1mmol、ジフェニルメチレン(1−エチル−3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.01mmol含むトルエン溶液0.34mlを窒素でオートクレーブに圧入し、重合を開始した。重合反応中、オートクレーブの内温が60℃になるように温度を調整した。重合を開始してから60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し、重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。次いで、反応溶液にアセトンを攪拌しながら注いだ。
得られた溶媒を含むパウダー状の重合体を、100℃、減圧下で12時間乾燥した。得られた熱可塑性樹脂(A−1−1)は36.9gであり、該樹脂中の4−メチル−1−ペンテン含量は73mol%、プロピレン含量は27mol%であった。DSCで測定を行ったところ、融点は観測されなかった。
<熱可塑性樹脂(A−1−2)の合成>
充分に窒素置換した容量1.5リットルの攪拌翼付SUS製オートクレーブに、23℃でノルマルヘキサンを300ml(乾燥窒素雰囲気下、活性アルミナ上で乾燥したもの)、4−メチル−1−ペンテンを450ml装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml挿入して攪拌した。
次に、オートクレーブを内温60℃まで加熱し、全圧が0.19MPa(ゲージ圧)となるようにプロピレンで加圧した。続いて、予め調製しておいたメチルアルミノキサンをAl換算で1mmol、ジフェニルメチレン(1−エチル−3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.01mmol含むトルエン溶液0.34mlを窒素でオートクレーブに圧入し、重合を開始した。重合反応中、オートクレーブの内温が60℃になるように温度を調整した。重合を開始してから60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し、重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。次いで、反応溶液にアセトンを攪拌しながら注いだ。
得られた溶媒を含むパウダー状の重合体を、100℃、減圧下で12時間乾燥した。得られた熱可塑性樹脂(A−1−2)は44.0gであり、該樹脂中の4−メチル−1−ペンテン含量は84mol%、プロピレン含量は16mol%であった。DSCで測定を行ったところ、融点は131℃であった。
下記実施例および比較例で用いた原料は、以下の通りである。
<表面層(Z)の原料:PP−1>
ブロックポリプロピレン((株)プライムポリマー製、F707W、MFR(230℃):6.0g/10分、融点:160℃)
<基材層(A)の原料:A−1−1>
4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体
・MFR(230℃):10g/10分
・融点:観測されず
・4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位:73モル%
・プロピレンに由来する構成単位:27モル%
・周波数1.6Hzでの動的粘弾性測定の23℃におけるtanδ値:0.88
・周波数1.6Hzでの動的粘弾性測定における最大tanδの温度:31℃
・周波数1.6Hzでの動的粘弾性測定における最大tanδ値:2.80
・周波数1.6Hzでの動的粘弾性測定の50℃におけるtanδ値:0.57
・極限粘度[η]:1.5dl/g
・重量平均分子量(Mw):308,000
・数平均分子量(Mn):149,000
・分子量分布(Mw/Mn):2.1
・密度:840kg/m3
<基材層(A)の原料:A−1−2>
4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体
・MFR(230℃):10g/10分
・融点:131℃
・4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位:84モル%
・プロピレンに由来する構成単位:16モル%
・周波数1.6Hzでの動的粘弾性測定の23℃におけるtanδ値:0.29
・周波数1.6Hzでの動的粘弾性測定における最大tanδの温度:43℃
・周波数1.6Hzでの動的粘弾性測定における最大tanδ値:2.30
・周波数1.6Hzでの動的粘弾性測定の50℃におけるtanδ値:0.91
・極限粘度[η]:1.4dl/g
・重量平均分子量(Mw):297,000
・数平均分子量(Mn):143,000
・分子量分布(Mw/Mn):2.1
・密度:838kg/m3
<基材層(A)の原料:A−2>
ホモポリプロピレン((株)プライムポリマー製、F107BV、MFR(230℃):7.0g/10分、融点:160℃)、前記ポリオレフィン(A−2)に相当
<粘着層(X)の原料:X−1>
前記A−1−2と同じ共重合体
<粘着層(X)の原料:X−2>
直鎖状低密度ポリエチレン((株)プライムポリマー製、エボリューSP0540、MFR(190℃):3.8g/10分、融点:98℃、密度:903kg/m3
<粘着層(X)の原料:X−3>
プロピレン・エチレン共重合体(メタロセン触媒で製造、融点:115℃、MFR(230℃):7g/10分)
<粘着層(X)の原料:X−4>
前記A−2と同じ重合体
[実施例1]
表面層(Z)、基材層(A)および粘着層(X)それぞれをこの順で積層可能な3種3層Tダイ共押出成形機(基材層用の押出機口径Φ40mm、表面層および粘着層用の押出機口径Φ25mm、Tダイ幅400mm、Tダイはフィードブロック機構、キャストロールおよび引取ロール工程を含む)を用いて、表面層(Z)として、ブロックポリプロピレン(PP−1)を用い、基材層(A)として、50質量%の4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A−1−1)と50質量%のホモポリプロピレン(A−2)とを用い、粘着層(X)として、20質量%の4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(X−1)、60質量%のプロピレン・エチレン共重合体(X−3)および20質量%のホモポリプロピレン(X−4)を用い、表面層(Z)が10μm、基材層(A)が30μm、粘着層(X)が10μmとなるように調整して、シリンダー設定温度200〜240℃で製膜を行い、これら3層全てが積層された積層フィルム(総厚み50μm)を得た。
[実施例2〜4および比較例1〜2]
各層を構成する樹脂の種類および配合量を、表1に記載の通り変更した以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
前記で得られた積層フィルムを用いて、後述の評価を行った。その測定結果を表1に示す。
<引張試験>
得られた積層フィルムから、JIS K7127の試験片タイプ2に対応した形状(幅15mm、長さ100mm)の試験片を作製し、JIS K7127に準拠して引張試験を行った。具体的には、(株)島津製作所製のオートグラフ精密万能試験機AG−X−P(試験温度:23℃、引張速度:200mm/分、チャック間距離:70mm)を用い、試験片が10%伸長した時の引張力および引張弾性率を測定した。
<tanδ値(損失正接)測定>
ティー・エイ・インスツルメント社製のレオメーターRSA−IIIを用いて、引張モード、周波数1.6Hz、昇温速度2℃/分の条件で、温度−40〜130℃における固体粘弾性の温度分散を測定し、得られた積層フィルムの23℃におけるtanδ値を算出した。
<アクリル板に対する最大粘着強度>
幅50mm、長さ125mmのアクリル板(三菱ケミカル(株)製のアクリライトL、厚み10mm)に、JIS Z0237に準拠して、2kgのゴムローラーを用い、得られた積層フィルムの粘着層(X)がアクリル板に接するように積層フィルムを貼り付けた。次いで、温度23℃、湿度50%RHの条件下にて、(株)インテスコ製の万能材料試験機を用いて、試験速度300mm/分で積層フィルムを剥離(180度剥離)した時の剥離力を測定し、50mm幅あたりの剥離強さを最大粘着強度(N)とした。
スティッキングがある場合には、スティッキングの最大値を50mm幅あたりの最大粘着強度(N)とした。
<引張応力の測定>
積層フィルムから、幅15mm、長さ100mmの試験片を作製し、引張試験機((株)島津製作所製のオートグラフ精密万能試験機AG−X−P)を用い、試験温度23℃または120℃、試験速度200mm/分、チャック間距離70mmの条件にて、試験片を10%伸長し、その状態を保持した時の、経時における引張応力が変化したプロファイルを測定した。伸張後の最大引張応力および60秒保持後の引張応力を求めた。また、緩和率を次式に基づき算出した。
緩和率(%)=[(最大引張応力値−60秒保持後の引張応力値)/(最大引張応力値)]×100
<高温下浮き/剥離評価>
被着体として、寸法10cm×10cm、厚み100μmのPETフィルム(パナック(株)製のポリエステルフィルム)を用い、該被着体に粘着層(X)が接するように、寸法10cm×10cmの積層フィルムを貼り付けて積層体とした後、オーブン中120℃で30分間保持した。その後、オーブンから積層体を取り出し、得られた積層体において、積層フィルムの被着体からの浮きや剥離を目視にて確認した後、積層フィルムを被着体から剥離し、被着体への糊残り(粘着層成分の残り)を観察した。
被着体からの積層フィルムの剥離がない場合、積層体が被着体から浮いている部分があっても、その部分の被着体と積層フィルムとの間隔が1cm未満である場合、および、被着体への糊残りがない場合を○とし、
被着体からの積層フィルムの剥離がある場合、積層体が被着体から浮いている部分があり、その部分の被着体と積層フィルムとの間隔が1cm以上である場合、または、被着体への糊残りがある場合を×とした。
なお、前記PETフィルムを、JIS K7127に準拠(但し、厚み50μm、試験片タイプ2に対応した幅15mm、長さ100mmの形状の試験片を使用)して、温度23℃、引張速度200mm/分で伸長した時の引張弾性率は3900MPaであった。
<積層体の反り>
被着体として、寸法10cm×10cm、厚み100μmのPETフィルム(パナック(株)製のポリエステルフィルム)を用い、該被着体に粘着層(X)が接するように、寸法10cm×10cmの積層フィルムを貼り付けることで積層体とした後、該積層体を、恒温恒湿槽中、温度23℃、湿度80%RHの条件で24時間静置し、次いで120℃に設定したオーブン中で30分間静置した。積層体をオーブンから取り出して、自然放冷により室温に戻した後、積層フィルムが上側となるように、水平面上に積層体を置いた。
積層体の四隅は程度の差こそあれ捲れていた。水平面からの、積層体の捲れた四隅の高さを測定し、これらの測定結果から平均高さ(以下「カール量」ともいう。)を算出し、下記基準で積層体の反りを評価した。また、積層体が1周以上丸まってしまった場合はCと判定した。
A:カール量が15mm未満
B:カール量が15mm以上、30mm未満
C:カール量が30mm以上、または積層体が1周以上丸まってしまい、カール量の算出が困難
Figure 2020117697

Claims (7)

  1. 基材層(A)と粘着層(X)とを含む積層フィルムであって、
    前記積層フィルムが、JIS K7127に準拠した引張試験(但し、厚み50μm、試験片タイプ2に対応した幅15mm、長さ100mmの形状の試験片を使用)において、23℃、引張速度200mm/分で10%伸長した時の引張力が8N以下、かつ、引張弾性率が1500MPa未満であり、
    前記基材層(A)が、周波数1.6Hzでの動的粘弾性測定の、23℃におけるtanδ値(損失正接)が0.15以上、かつ、50℃におけるtanδ値が0.08以上である熱可塑性樹脂(A−1)5〜100質量%と、
    前記熱可塑性樹脂(A−1)以外のポリオレフィン(A−2)0〜95質量%(但し、(A−1)および(A−2)の合計を100質量%とする。)とを含む、
    積層フィルム。
  2. 前記熱可塑性樹脂(A−1)が、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位(I)が50〜96モル%であり、かつ、炭素数2〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)に由来する構成単位(II)が4〜50モル%(但し、(I)および(II)の合計を100モル%とする。)である共重合体を含む、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記熱可塑性樹脂(A−1)が、下記要件(i)〜(iv)のうち少なくとも1つを満たす、請求項1または2に記載の積層フィルム。
    (i)デカリン中135℃で測定した極限粘度〔η〕が0.1〜5.0dl/gである
    (ii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と、数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5である
    (iii)示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が200℃未満であるか、またはDSCで融点が観測されない
    (iv)密度が830〜860kg/m3である
  4. 前記ポリオレフィン(A−2)がプロピレン系重合体を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  5. 前記粘着層(X)が、
    エチレン系重合体、または、炭素数3以上のα−オレフィンに由来する構成単位を主成分とするオレフィン系重合体(B)、
    スチレン系重合体(C)、および、
    (メタ)アクリル系重合体(D)
    から選ばれる1種類以上の重合体を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  6. 保護フィルムである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層フィルムと、
    JIS K7127に準拠(但し、厚み50μm、試験片タイプ2に対応した幅15mm、長さ100mmの形状の試験片を使用)して、23℃、引張速度200mm/分で伸長した時の引張弾性率が1500MPa以上である被着体と、
    を含み、
    前記積層フィルムにおける前記粘着層(X)が前記被着体と接している、
    積層体。
JP2020005775A 2019-01-21 2020-01-17 積層フィルムおよび積層体 Pending JP2020117697A (ja)

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