JP6673734B2 - ガラスダイシング用粘着シートおよびその製造方法 - Google Patents

ガラスダイシング用粘着シートおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ガラス板をダイシングしてガラスチップを得るのに用いられる、ガラスダイシング用粘着シート、およびその製造方法に関するものである。
携帯電話やスマートフォンに搭載されるカメラモジュールを製造する上で、微細なガラス片が必要となる。このようなガラス片は、ダイシングシートを用いて、一枚のガラス板をダイシングすることで得ることができる。すなわち、ダイシングシートにガラス板を貼付した後、ダイシングブレードにて当該ガラス板を切断することで、個片化されたガラス(以下、「ガラスチップ」という場合がある。)を得ることができる。近年、スマートフォン等の薄型化が進み、搭載されるカメラモジュールも小型化する結果、より薄く微細なガラスチップ(以下「小チップ」という場合がある。)を製造する必要が生じている。
ガラスといった脆い材料をダイシングする場合、チッピングが生じ易い。ここでチッピングとは、ダイシングの際にガラスチップの端部や切断面が欠けることを意味する。チッピングの発生は、ガラス板の厚さが薄くなるほど顕著になる。
また、上述したダイシングシートには、ダイシングを行う際に、形成されたガラスチップが当該シートから剥がれて飛散する現象(以下、「チップ飛散」という場合がある。)が生じないことが求められる。
特許文献1には、基材フィルム上に粘着剤層が設けられたガラス基板ダイシング用粘着シートが開示されている。この特許文献1には、基材フィルムとして厚さ130μm以上且つ引張り弾性率1GPa以上のフィルムを使用し、さらに粘着剤層の厚さを9μm以下とすることで、ダイシングブレードの圧力による粘着シートの変形を小さくすることができ、チッピングおよびチップ飛散の発生を抑えることができると開示されている(特許文献1の段落0010)。
特許第3838637号
近年、カメラモジュールの小型化が進み、必要とされるガラスチップのサイズも非常に小さくなっている。特許文献1に開示されている粘着シートでは、このような小チップのチップ飛散を十分に抑制することができない。
また、ガラスチップの小型化に伴い、ダイシフトと呼ばれる問題も生じやすくなっている。これは、小チップを製造する場合、ガラスチップと粘着シートとの接触面積が小さくなり、ダイシングの振動等によりガラス板やガラスチップが粘着シート上で位置ずれを起こし易くなるためである。ダイシフトが生じると、意図した位置でのダイシングが出来ず、所望の形状を有するガラスチップが得られなくなる。そのため、小チップの製造には、ダイシフトが発生しないことが求められている。
ところで、ガラスチップの製造では、上述したダイシング工程に続き、ガラスチップがダイシングシートに貼着された状態で、ピックアップの工程が行われる場合がある。この工程では、ガラスチップをピックアップし損ねたり、ピックアップする際にガラスチップを破損することなく、良好にピックアップできることが求められる。さらに、ピックアップされたガラスチップには、ダイシングシートに由来する粘着剤が付着(以下、「糊残り」という場合がある。)しないことが求められる。
本発明は、上記のような実状に鑑みてなされたものであり、ダイシング時にチップ飛散が生じ難いとともに、チッピングおよびダイシフトの発生が抑制され、良好なピックアップが可能であり、さらには糊残りが生じ難いガラスダイシング用粘着シート、およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に積層された粘着剤層とを備えたガラスダイシング用粘着シートであって、前記基材の厚さが、30μm以上、130μm未満であり、前記粘着剤層の厚さが、9μm超、40μm以下であることを特徴とするガラスダイシング用粘着シートを提供する(発明1)。
上記発明(発明1)では、基材が上述の厚さを有することで、ガラスダイシング用粘着シートとしてのハンドリング性が良好となる。また、粘着剤層が上述の厚さを有することにより、粘着剤層が優れたタックを発揮し、ガラスチップがガラスダイシング用粘着シートに良好に保持される結果、ダイシング時において、チップ飛散が抑制される。また、粘着剤層および基材がそれぞれ上述の厚さを有することにより、チッピングおよびダイシフトの発生が抑制され、良好なピックアップが可能となり、さらに糊残りが生じ難くなる。特に、粘着剤層に含まれる粘着剤が後述するXタイプの粘着剤である場合には、チッピング、ダイシフト、ピックアップおよび糊残りに関する効果が顕著なものとなる。
上記発明(発明1)において、前記粘着剤層は、エネルギー線硬化性の粘着剤からなることが好ましい(発明2)。
上記発明(発明2)において、前記粘着剤層は、側鎖にエネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を含有する粘着剤組成物から形成された粘着剤からなることが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1〜3)において、前記粘着剤層における、JIS Z0237:1991に記載された方法において剥離速度を1mm/分に変更した条件によりプローブタックを用いて測定したエネルギー量は、0.01〜5mJ/5mmφであることが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1〜4)において、前記粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率は、30〜100kPaであることが好ましい(発明5)。
上記発明(発明1〜5)において、前記粘着剤層の前記基材とは反対側の面を無アルカリガラスに貼付し、20分間静置した後における、前記ガラスダイシング用粘着シートの前記無アルカリガラスに対する粘着力は、8000〜25000mN/25mmであることが好ましい(発明6)。
上記発明(発明2,3)において、前記粘着剤層の前記基材とは反対側の面を無アルカリガラスに貼付し、当該粘着剤層に対してエネルギー線を照射した後における、前記ガラスダイシング用粘着シートの前記無アルカリガラスに対する粘着力は、50〜250mN/25mmであることが好ましい(発明7)。
上記発明(発明2,3,7)において、前記粘着剤層のエネルギー線照射後の23℃における引張弾性率は、15〜1500MPaであることが好ましい(発明8)。
上記発明(発明1〜8)において、前記基材の23℃における貯蔵弾性率は、100〜8000MPaであることが好ましい(発明9)。
上記発明(発明3)において、前記粘着剤組成物は、さらに架橋剤(C)を含有することが好ましい(発明10)。
上記発明(発明1〜10)においては、ガラス板を、平面が1×10−6mm〜1mmの面積を有するガラスチップにダイシングするためのものであることが好ましい(発明11)。
第2に本発明は、前記ガラスダイシング用粘着シート(発明3)を製造する方法であって、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A1)および反応性の官能基を有する官能基含有モノマー(A2)を共重合したアクリル系共重合体(AP)と、前記官能基含有モノマー(A2)の官能基と反応可能な官能基およびエネルギー線硬化性の炭素−炭素二重結合を有するエネルギー線硬化性基含有化合物(A3)とを反応させて、側鎖にエネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を調製する工程、および当該(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を含有する粘着剤組成物を使用して、基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を積層する工程を含むことを特徴とするガラスダイシング用粘着シートの製造方法を提供する(発明12)。
上記発明(発明12)においては、前記アクリル系共重合体(AP)と前記エネルギー線硬化性基含有化合物(A3)との反応を、ジルコニウムを含有する有機化合物、チタンを含有する有機化合物およびスズを含有する有機化合物から選択される少なくとも1種の有機金属触媒(D)の存在下で行うことが好ましい(発明13)。
本発明に係るガラスダイシング用粘着シート、および本発明に係る製造方法により製造されるガラスダイシング用粘着シートによれば、ダイシング時にチップ飛散が生じ難いとともに、チッピングおよびダイシフトの発生が抑制され、良好なピックアップが可能であり、さらには糊残りが生じ難い。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シート(以下、単に「粘着シート」という場合がある。)は、基材と、基材の一方の面に積層された粘着剤層とを備えて構成される。
本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートでは、基材の厚さが、30μm以上、130μm未満である。また、粘着剤層の厚さが、9μm超、40μm以下である。
本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートでは、基材が上記厚さを有することで、ガラスダイシングに関するハンドリング性が良好となる。
また、本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートでは、粘着剤層が上記厚さを有することで、粘着剤層が優れたタックを発揮する。これにより、ダイシングにより形成されたガラスチップが粘着シート上に良好に保持される。その結果、当該ガラスチップがダイシング時に衝撃を受けた場合であっても、ガラスチップが粘着シートから脱落することが防止される。すなわち、チップ飛散が防止される。
さらに、本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートでは、上述の通り、粘着シートが優れたタックを発揮することにより、ダイシング時においてガラスチップが粘着シート上に良好に保持される。その結果、粘着シート上におけるガラスチップのずれに起因したガラスチップ同士の衝突や、ガラス板やガラスチップの切断面とダイシングブレードとの意図しない衝突が抑制される。このことに加えて、基材の厚さが上述の範囲であることにより、薄いガラス板を小チップにダイシングする場合でも、チッピングの発生を抑制することができる。
さらに、本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートでは、上述の通り、粘着シートが優れたタックを発揮し、ダイシング時においてガラス板が粘着シート上に良好に保持されることで、粘着シート上におけるガラス板の動きが抑制される。このことに加えて、基材の厚さが上述の範囲であることにより、薄いガラス板を小チップにダイシングする場合でも、ダイシフトの発生を抑制することができる。
さらに、本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートでは、粘着剤層の厚さが上述の範囲であることで、粘着シートは、ガラスチップのピックアップを容易に行うことができる粘着力を有するものとなる。このことに加えて、基材の厚さが上述の範囲であることにより、粘着シートが良好な柔軟性を有するものとなる結果、ピックアップを良好に行うことができる。
さらに、本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートでは、粘着剤層および基材がそれぞれ上述の厚さを有することにより、ピックアップしたガラスチップに粘着剤層に由来する糊が残りにくい。特に、粘着剤層が後述するXタイプの粘着剤からなる場合には、このXタイプの粘着剤がエネルギー線硬化性化合物(B)といった低分子化合物を含まないことにより、当該化合物がガラスチップ上に残存することがない。また、Xタイプの粘着剤を粘着剤組成物から形成する際、当該粘着剤組成物は均一な架橋が進み易く、得られる粘着剤は、全体的に均一に架橋されたものとなる。以上により、糊残りの発生を効果的に抑制することができる。
1.基材
本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートでは、基材の厚さが、30μm以上、130μm未満であり、50μm以上、120μm以下であることが好ましく、特に70μm以上、110μm以下であることが好ましい。基材の厚さが30μm未満であると、ダイシング工程の際に粘着シートの揺れが発生し易くなり、粘着シート上においてガラス板が動き易くなる結果、チッピングおよびダイシフトが発生し易くなる。さらに、粘着シートを取り扱う際やエキスパンド工程の際に破断し易くなる。一方、基材の厚さが130μm以上であると、粘着シート全体の柔軟性が低下し、リングフレームやダイシング用の治具に貼付する際や、ガラス板をダイシングする際に、粘着シートがリングフレームや治具から脱落し易くなる。
本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートでは、基材の23℃における貯蔵弾性率は、100〜8000MPaであることが好ましく、特に1500〜7000MPaであることが好ましく、さらには2000〜6000MPaであることが好ましい。基材の23℃における貯蔵弾性率が100MPa以上であることで、ダイシング工程における粘着シートの揺れの発生が低減され、粘着シート上におけるガラス板の動きが抑制される結果、チッピングおよびダイシフトの発生を効果的に抑制することができる。また、基材の23℃における貯蔵弾性率が8000MPa以下であることで、基材の柔軟性が確保され、基材の延伸性(エキスパンド性)がより優れたものとなる。これにより、エキスパンド工程時において、粘着シートがより優れたエキスパンド性を示し、ダイシング後のガラスチップのピックアップをより良好に行うことができる。なお、基材の23℃における貯蔵弾性率は、動的弾性率測定装置(ティー・エイ・インスツルメント社製,製品名「DMA Q800」)を使用して、以下の条件で測定したものである。
試験開始温度:0℃
試験終了温度:200℃
昇温速度:3℃/分
周波数:11Hz
振幅:20μm
本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートの基材は、上述した厚さを有する限り、その構成材料は特に限定されない。基材は、樹脂系の材料を主材とするフィルム(樹脂フィルム)を含むものであってよい。好ましくは、基材は樹脂フィルムのみからなる。樹脂フィルムの具体例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム等のエチレン系共重合フィルム;ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、エチレン−ノルボルネン共重合体フィルム、ノルボルネン樹脂フィルム等のポリオレフィン系フィルム;ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム等のポリ塩化ビニル系フィルム;ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム;ポリウレタンフィルム;ポリイミドフィルム;ポリスチレンフィルム;ポリカーボネートフィルム;フッ素樹脂フィルムなどが挙げられる。ポリエチレンフィルムの例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム、高密度ポリエチレン(HDPE)フィルム等が挙げられる。また、これらの架橋フィルム、アイオノマーフィルムといった変性フィルムも用いられる。基材は、これらの1種からなるフィルムでもよいし、これらを2種類以上組み合わせた積層フィルムであってもよい。これらの中でも、前述の貯蔵弾性率を達成し易いという観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用することが好ましい。なお、本明細書における「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語についても同様である。
基材においては、上記のフィルム内に、顔料、染料、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、フィラー等の各種添加剤が含まれていてもよい。顔料としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。また、フィラーとしては、メラミン樹脂のような有機系材料、ヒュームドシリカのような無機系材料およびニッケル粒子のような金属系材料が例示される。これらの添加剤の含有量としては、特に限定されないものの、基材が所望の機能を発揮し且つ平滑性や柔軟性を失わない範囲とすることが好ましい。
粘着剤層を硬化させるために照射するエネルギー線として紫外線を用いる場合、基材は紫外線に対して透過性を有することが好ましい。また、当該エネルギー線として電子線を用いる場合、基材は電子線に対して透過性を有することが好ましい。
基材における粘着剤層側の面は、粘着剤層との密着性を高めるために、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、粗面化処理(マット加工)等の表面処理が施されてもよい。粗面化処理としては、例えば、エンボス加工法、サンドブラスト加工法等が挙げられる。また、基材における粘着剤層とは反対側の面には各種の塗膜が設けられていてもよい。
2.粘着剤層
(1)粘着剤層の厚さおよび物性
本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートにおいて、粘着剤層の厚さは、9μm超、40μm以下であり、9μm超、30μm以下であることが好ましく、特に9μm超、20μm以下であることが好ましい。粘着剤層の厚さが9μm以下であると、粘着剤層のタックが不十分なものとなり、ダイシング時にガラスチップを粘着シートに十分保持することができず、結果としてチップ飛散を防止することができない。また、粘着剤層の厚さが40μmを超えると、粘着力が強くなり過ぎ、ガラスチップを良好にピックアップすることができない。さらに、ダイシングの際に粘着剤層の揺れが発生し易くなり、その結果、チッピングおよびダイシフトが発生し易くなる。
粘着剤層における、プローブタックを用いて測定したエネルギー量(本明細書において「タック値」ともいう。)は、0.01〜5mJ/5mmφであることが好ましく、特に0.13〜4mJ/5mmφであることが好ましく、さらには0.18〜3.5mJ/5mmφであることが好ましい。タック値が上記範囲であることにより、ダイシング時におけるチップ飛散の発生を効果的に抑制することができる。なお、本明細書においては、粘着剤層が後述するエネルギー線硬化性の粘着剤からなる場合、当該タック値はエネルギー線照射前に測定された値とする。また、本明細書においてタック値は、JIS Z0237:2009に記載された方法において、剥離速度を1mm/分に変更した条件により測定したものであり、詳細は後述する試験例に示す通りである。
粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率は、30〜100kPaであることが好ましく、特に40〜90kPaであることが好ましく、さらには50〜80kPaであることが好ましい。当該貯蔵弾性率が上記範囲であることにより、ガラスダイシング用粘着シートはより良好な粘着力を発揮することができ、これにより、ガラスチップが粘着シートにより良好に保持され、チップ飛散を効果的に抑制することができる。なお、本明細書においては、粘着剤層が後述するエネルギー線硬化性の粘着剤からなる場合、当該貯蔵弾性率はエネルギー線照射前に測定された値とする。また、粘着剤層のエネルギー線照射前の23℃における貯蔵弾性率の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
粘着剤層の100℃における貯蔵弾性率は、3〜50kPaであることが好ましく、特に3〜30kPaであることが好ましく、さらには10〜30kPaであることが好ましい。一般に、ガラスダイシング用粘着シートでは、ダイシングの際に摩擦熱が生じ、粘着剤層が約100℃といった高温状態になる。このような高温状態においても、粘着剤層が3kPa以上の貯蔵弾性率を示すことで、ダイシングの際の揺れの発生が抑制され、粘着シート上におけるガラス板の動きがより抑制される結果、チッピングおよびダイシフトがさらに発生し難いものとなる。また、当該貯蔵弾性率が50kPa以下であることで、粘着剤層の弾性率が極端に高くならず、良好な粘着性を得ることができ、その結果、ダイシング時におけるチップ飛散を効果的に抑制することができる。なお、本明細書においては、粘着剤層が後述するエネルギー線硬化性の粘着剤からなる場合、当該貯蔵弾性率はエネルギー線照射前に測定された値とする。また、粘着剤層のエネルギー線照射前の100℃における貯蔵弾性率の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
粘着剤層が後述するエネルギー線硬化性の粘着剤からなる場合、粘着剤層のエネルギー線照射後の23℃における引張弾性率は、15〜1500MPaであることが好ましく、特に20〜1000MPaであることが好ましく、さらには20〜500MPaであることが好ましい。当該引張弾性率が15MPa以上であることで、エネルギー線照射後のガラスチップのピックアップをより良好に行うことができる。また、当該引張弾性率が1500MPa以下であることで、ガラスダイシング用粘着シートのエキスパンド性がより優れたものとなり、ピックアップをより良好に行うことができる。なお、粘着剤層のエネルギー線照射前の23℃における引張弾性率の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
粘着剤層を構成する粘着剤のゲル分率は、12.5〜100%であることが好ましく、特に37.5〜100%であることが好ましく、さらには50〜95%であることが好ましい。粘着剤のゲル分率が上記の範囲内にあると、上述した粘着剤層の物性を満たし易くなる。また、粘着剤のゲル分率が12.5%以上であることで、粘着剤の凝集力が良好なものとなり、粘着剤層の耐久性が維持される。
(2)粘着剤層を構成する粘着剤
粘着剤層を構成する粘着剤は、非硬化性の粘着剤であってもよいし、硬化性の粘着剤であってもよい。また、硬化性の粘着剤は、硬化前の状態であってもよいし、硬化後の状態であってもよい。粘着剤層が多層からなる場合には、非硬化性の粘着剤と硬化性の粘着剤とを組み合わせたものであってもよい。非硬化性の粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤等が挙げられる。硬化性の粘着剤としては、例えば、エネルギー線硬化性粘着剤、熱硬化性粘着剤等が挙げられる。
本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートでは、粘着剤層が、エネルギー線硬化性の粘着剤からなることが好ましく、特にエネルギー線硬化性のアクリル系粘着剤からなることが好ましい。粘着剤層が、エネルギー線硬化性の粘着剤からなることにより、ピックアップ工程の前に粘着剤層に対してエネルギー線を照射して、粘着剤を硬化させることが可能となる。これにより、粘着シートのガラスチップに対する粘着力が適度に低下し、ピックアップを良好に行うことが可能となる。
一般的に、エネルギー線硬化性のアクリル系粘着剤としては、側鎖にエネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を含有し、当該(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)以外のエネルギー線硬化性化合物(B)を含有しない粘着剤組成物から形成されたもの(以下、便宜的に「Xタイプ」という場合がある。)と、エネルギー線硬化性を有しないアクリル系重合体(N)および上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)以外のエネルギー線硬化性化合物(B)を含有する粘着剤組成物から形成されたもの(以下、便宜的に「Yタイプ」という場合がある。)と、側鎖にエネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)および当該(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)以外のエネルギー線硬化性化合物(B)を含有する粘着剤組成物から形成されたもの(以下、便宜的に「Zタイプ」という場合がある。)とが存在する。
本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートでは、粘着剤層が、これらのいずれのタイプの粘着剤からなってもよい。特に、Xタイプの粘着剤は、高温状態においてより高い弾性率を示すため、ダイシング時におけるチッピングおよびダイシフトを効果的に抑制することができる。また、Xタイプの粘着剤は、エネルギー線硬化性化合物(B)といった低分子化合物を含まないため、当該化合物がガラスチップ上に残存することがないとともに、後述する架橋剤を使用する場合には、全体が均一に架橋する。このため、糊残りの発生を効果的に抑制することができる。さらに、Xタイプの粘着剤では、エネルギー線照射による硬化に関与する成分は、上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の一成分のみであるため、複数成分の場合に生じるような成分比率の不均衡に起因する硬化不良が生じ難く、良好に硬化できる。これにより、エネルギー線照射によって粘着力を低下させ易いため、より良好なピックアップが可能となる。以上より、Xタイプの粘着剤を使用することが好ましい。
上述した側鎖にエネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)およびエネルギー線硬化性を有しないアクリル系重合体(N)は、粘着剤層中にそのまま含有されてもよいし、後述する架橋剤(C)と架橋反応を行って架橋物として含有されてもよい。
(2−1)側鎖にエネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)
側鎖にエネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、アクリル系共重合体(AP)と、エネルギー線硬化性基含有化合物(A3)とを反応させて得られるものであることが好ましい。
アクリル系共重合体(AP)は、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A1)と、反応性の官能基を有する官能基含有モノマー(A2)とを共重合したものであることが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A1)としては、アルキル基の炭素数が1〜18であるものが好ましく、特に炭素数が1〜4であるものが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A1)の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル系共重合体(AP)全体の質量に占める上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A1)由来の構造部分の質量の割合は、50〜98質量%であることが好ましく、特に60〜95質量%であることが好ましく、さらには70〜90質量%であることが好ましい。
官能基含有モノマー(A2)としては、エネルギー線硬化性基含有化合物(A3)が有する官能基と反応することが可能な反応性の官能基を有するものが使用される。官能基含有モノマー(A2)が有する官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等が挙げられ、中でも水酸基およびカルボキシ基が好ましく、特に水酸基が好ましい。なお、後述する架橋剤(C)を使用する場合、官能基含有モノマー(A2)が有する反応性の官能基は、当該架橋剤(C)と反応してもよい。
官能基含有モノマー(A2)として水酸基を有するモノマー(水酸基含有モノマー)を使用する場合、その例としては(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが挙げられ、その具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等が挙げられる。これらの中でも、水酸基の反応性および共重合性の点から、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
官能基含有モノマー(A2)としてカルボキシ基を有するモノマー(カルボキシ基含有モノマー)を使用する場合、その例としてはエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられ、その具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。これらの中でも、カルボキシ基の反応性および共重合性の点から、アクリル酸が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、異なる種類の官能基含有モノマー(A2)を組み合わせて用いてもよい。例えば、上述の水酸基含有モノマーとカルボキシ基含有モノマーとを組み合わせて用いてもよい。
アクリル系共重合体(AP)全体の質量に占める官能基含有モノマー(A2)由来の構造部分の質量の割合は、5〜40質量%であることが好ましく、特に7〜35質量%であることが好ましく、さらには10〜30質量%であることが好ましい。官能基含有モノマー(A2)由来の構造部分の質量の割合が上記範囲にあることにより、側鎖にエネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)へのエネルギー線硬化性基含有化合物(A3)の導入量を好適な範囲にすることができる。また、後述する架橋剤(C)を使用して、官能基含有モノマー(A2)と架橋剤(C)とを反応させる場合には、当該架橋剤(C)による架橋の度合い、すなわちゲル分率を好適な範囲にすることができ、粘着剤層の凝集力等の物性をコントロールすることが可能となる。
アクリル系共重合体(AP)は、それを構成するモノマーとして、上述した(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A1)および官能基含有モノマー(A2)に加えて、その他のモノマーを含んでもよい。
当該その他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等のアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の脂肪族環を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド等の非架橋性のアクリルアミド;(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル等の非架橋性の3級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル;スチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル系共重合体(AP)の重合態様は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。また、重合法に関しては特に限定されず、一般的な重合法により重合することができる。
エネルギー線硬化性基含有化合物(A3)は、官能基含有モノマー(A2)の官能基と反応可能な官能基、およびエネルギー線硬化性の炭素−炭素二重結合を有するものである。
官能基含有モノマー(A2)の官能基と反応可能な官能基としては、例えば、イソシアネート基、エポキシ基等が挙げられ、中でも水酸基との反応性の高いイソシアネート基が好ましい。
エネルギー線硬化性の炭素−炭素二重結合を有する硬化性基(エネルギー線硬化性基)としては、(メタ)アクリロイル基等が好ましい。なお、エネルギー線硬化性の炭素−炭素二重結合は、エネルギー線硬化性基含有化合物(A3)1分子中に1〜5個存在することが好ましく、特に1〜3個存在することが好ましい。
エネルギー線硬化性基含有化合物(A3)の例としては、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物などが挙げられる。これらの中でも、特に2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートが好ましい。なお、エネルギー線硬化性基含有化合物(A3)は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
側鎖にエネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を調製する上で、アクリル系共重合体(AP)の調製、およびアクリル系共重合体(AP)とエネルギー線硬化性基含有化合物(A3)との反応は、常法によって行うことができる。この反応工程においては、アクリル系共重合体(AP)中の官能基含有モノマー(A2)に由来する反応性の官能基と、エネルギー線硬化性基含有化合物(A3)中の官能基とが反応する。これにより、側鎖にエネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が得られる。なお、後述するように、アクリル系共重合体(AP)とエネルギー線硬化性基含有化合物(A3)との反応は、有機金属触媒(D)の存在下で行われることが好ましい。
側鎖にエネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)中において、官能基含有モノマー(A2)の反応性の官能基の量に対する、エネルギー線硬化性基含有化合物(A3)の量は、30〜100モル%であることが好ましく、特に40〜95モル%であることが好ましく、さらには50〜90モル%であることが好ましい。
側鎖にエネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、10万〜250万であることが好ましく、特に15万〜200万であることが好ましく、さらには30万〜150万であることが好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。側鎖にエネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)が上記の範囲にあることにより、粘着剤組成物の塗工性が担保されるとともに、粘着剤層の凝集性が良好なものとなるため、ダイシングに適した物性を得ることができる。
(2−2)エネルギー線硬化性を有しないアクリル系重合体(N)
エネルギー線硬化性を有しないアクリル系重合体(N)としては、エネルギー線硬化性を有しない限り、従来公知のアクリル系の重合体を用いることができる。当該アクリル系重合体は、1種類のアクリル系モノマーから形成された単独重合体であってもよいし、複数種類のアクリル系モノマーから形成された共重合体であってもよいし、1種類または複数種類のアクリル系モノマーとアクリル系モノマー以外のモノマーとから形成された共重合体であってもよい。
アクリル系モノマーとなる化合物の具体的な種類は特に限定されず、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、その誘導体(アクリロニトリル、イタコン酸など)が具体例として挙げられる。さらに具体的な例としては、上述した(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A1)および官能基含有モノマー(A2)が挙げられ、その他に、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等のアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の脂肪族環を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド等の非架橋性のアクリルアミド;(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル等の非架橋性の3級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル;スチレンなどが挙げられる。
非エネルギー線硬化性アクリル系粘着剤(N)が、官能基含有モノマー(A2)に由来する反応性官能基を有する場合には、架橋の程度を良好な範囲にする観点から、アクリル系重合体全体の質量に占める官能基含有モノマー(A2)由来の構造部分の質量の割合が、1〜20質量%程度であることが好ましく、2〜10質量%であることがより好ましい。
エネルギー線硬化性を有しないアクリル系重合体(N)の重量平均分子量(Mw)は、10万〜250万であることが好ましく、特に15万〜200万であることが好ましく、さらには20万〜150万であることが好ましい。エネルギー線硬化性を有しないアクリル系重合体(N)の重量平均分子量(Mw)が上記の範囲にあることにより、粘着剤組成物の塗工性が担保されるとともに、粘着剤層の凝集性が良好なものとなるため、ダイシングに適した物性を得ることができる。
(2−3)エネルギー線硬化性化合物(B)
エネルギー線硬化性化合物(B)とは、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射を受けると重合硬化する化合物である。上記エネルギー線硬化性化合物(B)の例としては、エネルギー線重合性基を有する低分子量化合物(単官能または多官能のモノマーおよびオリゴマー)が挙げられ、具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートなどのアクリレート、ジシクロペンタジエンジメトキシジアクリレート、イソボルニルアクリレートなどの環状脂肪族骨格含有アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、オリゴエステルアクリレート、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシ変性アクリレート、ポリエーテルアクリレート、イタコン酸オリゴマーなどのアクリレート系化合物が用いられる。このような化合物は、分子内にエネルギー線硬化性二重結合を有し、通常は、分子量が100〜30000、好ましくは300〜10000程度である。
本実施形態における粘着剤層が上述したYタイプの粘着剤からなる場合、粘着剤組成物中のエネルギー線硬化性化合物(B)の含有量は、エネルギー線硬化性を有しないアクリル系重合体(N)100質量部に対して、20〜200質量部であることが好ましく、特に40〜160質量部であることが好ましく、さらに40〜150質量部であることが好ましい。
本実施形態における粘着剤層が上述したZタイプの粘着剤からなる場合、粘着剤組成物中のエネルギー線硬化性化合物(B)の含有量は、側鎖にエネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部に対して、3〜60質量部であることが好ましく、特に5〜50質量部であることが好ましく、さらに10〜40質量部であることが好ましい。
(3)架橋剤(C)
本実施形態における粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、側鎖にエネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)またはエネルギー線硬化性を有しないアクリル系重合体(N)を架橋することが可能な架橋剤(C)を含有することが好ましい。この場合、本実施形態における粘着剤層は、当該(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)または当該アクリル系重合体(N)と架橋剤(C)との架橋反応により得られた架橋物を含有する。かかる架橋剤(C)を使用することにより、粘着剤層を形成する粘着剤のゲル分率を好適な範囲に調整することが容易となり、ダイシングに適した物性を得ることができる。
架橋剤(C)の種類としては、例えば、エポキシ系化合物、ポリイソシアネート系化合物、金属キレート系化合物、アジリジン系化合物等のポリイミン系化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、金属アルコキシド、金属塩等が挙げられる。これらの中でも、架橋反応を制御し易いことなどの理由により、エポキシ系化合物またはポリイソシアネート系化合物を使用することが好ましく、特にポリイソシアネート系化合物を使用することが好ましい。
エポキシ系化合物としては、例えば、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等が挙げられる。
ポリイソシアネート系化合物は、1分子当たりイソシアネート基を2個以上有する化合物である。具体的には、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。さらには、これらのビウレット体、イソシアヌレート体、アダクト体等が挙げられる。アダクト体としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物が挙げられる。
架橋剤(C)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
粘着剤がXタイプまたはZタイプである場合、粘着剤層を形成する粘着剤組成物の架橋剤(C)の含有量は、側鎖にエネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部に対し、0.01〜15質量部であることが好ましく、特に0.05〜10質量部であることが好ましく、さらには0.1〜2質量部であることが好ましい。また、粘着剤がYタイプである場合、粘着剤層を形成する粘着剤組成物の架橋剤(C)の含有量は、エネルギー線硬化性を有しないアクリル系重合体(N)に対し、3〜20質量部であることが好ましく、特に5〜17質量部であることが好ましく、さらには7〜14質量部であることが好ましい。
(4)有機金属触媒(D)
側鎖にエネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を得るために、アクリル系共重合体(AP)とエネルギー線硬化性基含有化合物(A3)とを反応させる場合、当該反応は、有機金属触媒(D)の存在下で行われることが好ましい。有機金属触媒(D)としては、特に、ジルコニウムを含有する有機化合物、チタンを含有する有機化合物およびスズを含有する有機化合物から選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。このような有機金属触媒(D)の存在下で反応することにより、得られた(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を含有する粘着剤組成物は、より優れたタックを有する粘着剤層を形成することが可能となり、ダイシング時におけるチップ飛散を効果的に抑制することが可能となる。有機金属触媒(D)は、上記3種の有機化合物の中でも、ジルコニウムを含有する有機化合物およびチタンを含有する有機化合物の少なくとも一方であることが好ましく、特に、ジルコニウムを含有する有機化合物であることが好ましい。
上記有機化合物の形態の例としては、アルコキシド化合物、キレート化合物、アシレート化合物等が挙げられ、これらの中でもキレート化合物が好ましい。
有機金属触媒(D)の具体例としては、ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムキレート、チタンアルコキシド、チタンキレート、スズアルコキシド、スズキレート等が挙げられる。これらの中でも、ジルコニウムキレートが好ましい。有機金属触媒(D)は、これらの化合物の1種類からなるものであってもよく、あるいは、これらの化合物の2種類以上からなるものであってもよい。
側鎖にエネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を得るための反応において使用される有機金属触媒(D)の使用量は限定されない。当該使用量は、当該(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の固形分100質量部に対して、金属量換算で0.001〜10質量部であることが好ましく、特に0.01〜5質量部であることが好ましく、さらには0.05〜3質量部であることが好ましい。なお、本発明で金属量換算とは、有機金属触媒(D)において、有機物から構成される構造の分子量に相当する質量を除いた、金属のみの質量で算出した配合量または配合割合であることをいう。
(5)その他の成分
本実施形態における粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、上記の成分に加えて、光重合開始剤、架橋促進剤、染料や顔料等の着色材料、難燃剤、フィラー、帯電防止剤などの各種添加剤を含有してもよい。
光重合開始剤としては、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物、チタノセン化合物、チオキサントン化合物、パーオキサイド化合物等の光開始剤、アミンやキノン等の光増感剤などが挙げられる。具体的には、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどが例示される。エネルギー線として紫外線を用いる場合には、光重合開始剤を配合することにより照射時間および照射量を少なくすることができる。
本実施形態における粘着剤層を形成する粘着剤組成物が架橋剤(C)を含有する場合、その架橋剤(C)の種類などに応じて、適切な架橋促進剤を含有してもよい。
(6)エネルギー線の照射
本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートにおいて、粘着剤層が、エネルギー線硬化性の粘着剤からなる場合、当該粘着剤を硬化させるためのエネルギー線としては、電離放射線、すなわち、紫外線、電子線、X線などが挙げられる。これらのうちでも、比較的照射設備の導入の容易な紫外線が好ましい。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、取り扱いの容易さから波長200〜380nm程度の紫外線を含む近紫外線を用いることが好ましい。光量としては、粘着剤組成物中に含まれるエネルギー線硬化性成分の種類や粘着剤層の厚さに応じて適宜選択すればよく、通常50〜500mJ/cm程度であり、100〜450mJ/cmが好ましく、200〜400mJ/cmがより好ましい。また、紫外線照度は、通常50〜500mW/cm程度であり、100〜450mW/cmが好ましく、200〜400mW/cmがより好ましい。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV−LEDなどが用いられる。
電離放射線として電子線を用いる場合には、その加速電圧については、粘着剤組成物中に含まれるエネルギー線硬化性成分の種類や粘着剤層の厚さに応じて適宜選定すればよく、通常加速電圧10〜1000kV程度であることが好ましい。また、照射線量は、粘着剤が適切に硬化する範囲に設定すればよく、通常10〜1000kradの範囲で選定される。電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
3.剥離フィルム
本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートでは、被着体を貼付するまでの間、粘着剤層における基材とは反対側の面を保護する目的で、剥離フィルムが当該面に積層されていてもよい。剥離フィルムの構成は任意であり、プラスチックフィルムを剥離剤等により剥離処理したものが例示される。プラスチックフィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、およびポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。剥離剤としては、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、長鎖アルキル系剥離剤等を用いることができる。これらの中でも、安価で安定した性能が得られるシリコーン系剥離剤が好ましい。剥離フィルムの厚さは、特に制限はないものの、通常20〜250μm程度である。
4.ガラスダイシング用粘着シートの物性
粘着剤層の基材とは反対側の面を無アルカリガラスに貼付し、20分間静置した後における、本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートの当該無アルカリガラスに対する粘着力は、8000〜25000mN/25mmであることが好ましく、特に9000〜22000mN/25mmであることが好ましく、さらには10000〜19000mN/25mmであることが好ましい。当該粘着力が上記範囲であることで、ダイシングの際にガラス板およびガラスチップを粘着シート上により良好に保持することが可能となる。その結果、チップ飛散が効果的に抑制される。また、ガラス板およびガラスチップが粘着シート上により良好に保持されることで、粘着シート上におけるガラス板およびガラスチップのずれが抑制され、ダイシフトおよびチッピングが発生し難いものとなる。なお、本明細書においては、粘着剤層が上述したエネルギー線硬化性の粘着剤からなる場合、上記粘着力はエネルギー線照射前に測定された値とする。
粘着剤層が上述したエネルギー線硬化性の粘着剤からなる場合、粘着剤層の基材とは反対側の面を無アルカリガラスに貼付し、当該粘着剤層に対してエネルギー線を照射した後における、本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートの無アルカリガラスに対する粘着力は、50〜250mN/25mmであることが好ましく、特に60〜160mN/25mmであることが好ましく、さらには70〜130mN/25mmであることが好ましい。エネルギー線照射後における粘着力が50mN/25mm以上であることで、ガラスチップを粘着シートからピックアップする前の段階において、意図せずガラスチップが粘着シートから剥離したり、ずれたりすることを抑制でき、ピックアップをより良好に行うことができる。一方、エネルギー線照射後における粘着力が250mN/25mm以下であることで、例えばガラスチップを個々にピックアップする場合に、ガラスチップを破損することなく良好にピックアップすることができるとともに、糊残りの発生を効果的に抑制することができる。
なお、本明細書における粘着力は、無アルカリガラスを被着体とし、JIS Z0237:2009に準じた180°引き剥がし法により測定した粘着力(mN/25mm)とし、測定方法の詳細は、後述する試験方法に記載する通りである。
5.ガラスダイシング用粘着シートの製造方法
ガラスダイシング用粘着シートの製造方法は、前述の粘着剤組成物から形成される粘着剤層を基材の一方の面に積層できれば、特に限定されない。
ガラスダイシング用粘着シートの製造方法の一例としては、まず、前述の粘着剤組成物、および所望によりさらに溶媒または分散媒を含有する塗工用組成物を調製する。次に、この塗工用組成物を、基材の一方の面上に、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、スリットコーター、ナイフコーター等により塗布して塗膜を形成する。さらに、当該塗膜を乾燥させることにより、粘着剤層を形成することができる。塗工用組成物は、塗布を行うことが可能であればその性状は特に限定されない。粘着剤層を形成するための成分は、塗工用組成物中に溶質として含有されてもよく、または分散質として含有されてもよい。
塗工用組成物が架橋剤(C)を含有する場合、所望の存在密度で架橋構造を形成させるために、上記の乾燥の条件(温度、時間など)を変えてもよく、または加熱処理を別途設けてもよい。架橋反応を十分に進行させるために、上記の方法などによって基材に粘着剤層を積層した後、得られたガラスダイシング用粘着シートを、例えば23℃、相対湿度50%の環境に1週間から2週間程度静置するといった養生を行ってもよい。
ガラスダイシング用粘着シートの製造方法の別の例としては、まず、上述したような剥離フィルムの剥離処理面上に塗工用組成物を塗布して、塗膜を形成する。次に、当該塗膜を乾燥させて、粘着剤層と剥離フィルムとからなる積層体を形成する。さらに、この積層体の粘着剤層における剥離フィルムとは反対側の面を基材に貼付する。以上によって、ガラスダイシング用粘着シートと剥離フィルムとの積層体を得ることができる。この積層体における剥離フィルムは工程材料として剥離してもよいし、被着体に貼付するまでの間、粘着剤層を保護していてもよい。
6.ガラスダイシング用粘着シートの使用方法
本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートは、ガラス板のダイシングに使用することができる。また、本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートは、ガラス板のダイシングとそれに続くピックアップとを含む一連の工程にも使用することができる。
ダイシングとそれに続くピックアップとを含む一連の工程に使用する場合、最初に、本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートの粘着剤層における基材とは反対側の面(以下、「粘着面」という場合がある。)をガラス板に貼付する。粘着面に剥離フィルムが積層されている場合には、その剥離フィルムを剥離して露出した粘着面に対してガラス板を貼付する。一方、粘着面の周縁部は、リングフレームと呼ばれる搬送や装置への固定のための環状の治具に貼付される。なお、ガラス板を貼付してから、続くダイシング工程を実施するまでの間、10分〜120分静置することが好ましく、特に15分〜60分静置することが好ましく、さらには20分〜40分静置することが好ましい。このような期間静置することで、ガラス板と粘着シートとの密着性を十分なものとすることができる。
次いで、ダイシング工程を実施する。すなわち、ガラスダイシング用粘着シート上に貼付されたガラス板を、ダイシングブレードを用いて切断する。これにより、ガラスダイシング用粘着シート上に貼付された複数のガラスチップが得られる。本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートでは、粘着剤層の厚さが上述したように比較的厚いため、タックが良好なものとなる。それにより、ガラスチップが粘着シートに良好に保持され、チップ飛散が抑制される。また、粘着剤層の厚さに起因してガラスチップが粘着シートに良好に保持されることに加えて、基材の厚さが上述した範囲であることにより、チッピングおよびダイシフトが抑制される。
粘着剤層が上述したエネルギー線硬化性の粘着剤からなる場合、ダイシング工程終了後、複数のガラスチップが貼付された粘着シートに対して、ガラスチップ側の面または基材側の面からエネルギー線照射を行う。これにより、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が有するエネルギー線硬化性基の重合反応が進行して粘着性が低下し、続くピックアップ工程を行い易くなる。
ピックアップ工程は、吸引コレット等の汎用手段により行うことができる。この時、ピックアップし易くするために、対象のガラスチップを基材における粘着剤層とは反対側の面からピンやニードル等で押し上げることが好ましい。本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートでは、基材の厚さが上述の範囲であることで、粘着シートが良好な柔軟性を有するものとなる。さらに、粘着剤層の厚さが上述の範囲であることで、粘着シートの粘着力がガラスチップのピックアップに適した大きさとなる。これらにより、良好なピックアップを行うことができる。また、本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートでは、ピックアップしたガラスチップに粘着剤層に由来する糊が残りにくい。特に、粘着剤層がXタイプの粘着剤からなる場合、Xタイプの粘着剤がエネルギー線硬化性化合物(B)といった低分子化合物を含まないことにより、当該化合物がガラスチップ上に残存することがない。また、Xタイプの粘着剤を形成するための粘着剤組成物は均一な架橋が進み易い。以上により、糊残りの発生が効果的に抑制される。
なお、ピックアップ工程の前に、エキスパンド工程を行うことが好ましい。この場合、ガラスダイシング用粘着シートを平面方向に伸長させる。これにより、ガラスチップ間の間隔が広がり、ピックアップし易くなる。伸長の程度は、好ましい間隔、基材の引張強度等を考慮して適宜設定すればよい。なお、エキスパンド工程は、エネルギー線照射の前に行ってもよい。
また、本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートを用いてガラス板をダイシングする場合、得られるガラスチップの平面の面積は、1×10−6mm〜1mmであることが好ましく、1×10−4mm〜0.25mmであることがより好ましく、特に2.5×10−3mm〜0.09mmであることが好ましく、さらには0.01mm〜0.03mmであることが好ましい。本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートによれば、粘着剤層の厚さが比較的厚く、良好なタックを発揮することができるため、上記範囲の面積を有する小さなガラスチップであっても、チップ飛散、チッピングおよびダイシフトの発生を抑制することができる。
本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートを用いてガラス板をダイシングする場合、ワークとするガラス板の厚さは、50〜10000μmであることが好ましく、特に100〜5000μmであることが好ましく、さらには300〜800μmであることが好ましい。なお、本明細書において「ワーク」とは、本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートが貼付される被着体、または当該粘着シートを用いて加工される被加工物をいうものとする。本実施形態に係るガラスダイシング用粘着シートによれば、粘着剤層の厚さが比較的厚く、良好なタックを発揮することができるため、厚さ50μmといった薄いガラス板であっても、チッピングの発生を抑制しながらダイシングすることができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、ガラスダイシング用粘着シートにおける基材と粘着剤層との間には、他の層が介在していてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。なお、以下における質量部の記載は、固形分換算値として記載されたものである。
〔実施例1〕
(1)(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の調製
アクリル酸2−エチルヘキシル75質量部と、メタクリル酸メチル10質量部と、アクリル酸2−ヒドロキシエチル15質量部とを共重合させて、アクリル系共重合体(AP)を得た。得られたアクリル系共重合体(AP)の分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は70万であった。なお、本実施例における重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定(GPC測定)した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
次いで、得られたアクリル系共重合体(AP)と、エネルギー線硬化性基含有化合物(A3)としての2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを、有機金属触媒(D)としてのジルコニウムキレート触媒(マツモトファインケミカル社製,製品名「ZC−700」)の存在下で反応させた。これにより、側鎖にエネルギー線硬化性基(メタクリロイル基)が導入された(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を得た。このとき、MOIが、アクリル系共重合体(AP)のアクリル酸2−ヒドロキシエチル単位100モル当たり、60モル(60モル%)となるように、両者を反応させた。また、有機金属触媒(D)の配合量は、アクリル系共重合体(AP)100質量部に対して、0.1質量部とした。
(2)粘着剤組成物の調製
上記工程(1)で得られた(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部と、光重合開始剤としてのα−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製,製品名「イルガキュア184」)3.0質量部と、架橋剤(C)としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(東ソー社製,製品名「コロネートL」)0.2質量部とを溶媒中で混合し、粘着剤組成物の塗布溶液を得た。なお、この粘着剤組成物を使用することで、Xタイプの粘着剤が得られる。
(3)ガラスダイシング用粘着シートの作製
上記工程(2)で得られた粘着剤組成物の塗布溶液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した剥離フィルム(リンテック社製,製品名「SP−PET381031」,厚さ:38μm)の剥離処理面にダイコーターで塗布した。次いで、100℃で1分間処理して、塗膜を乾燥させるとともに架橋反応を進行させた。これにより、剥離フィルムと厚さ10μmの粘着剤層とからなる積層体を得た。さらに、当該積層体の粘着剤層側の面に対して、基材としてのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡社製,製品名「A−4100」,厚さ:100μm)を貼合した。これにより、基材と粘着剤層と剥離フィルムとが順に積層されたガラスダイシング用粘着シートを得た。
〔実施例2〜11〕
基材の材料、基材の厚さ、粘着剤層を形成するために使用した2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)の量、粘着剤層を形成するために使用した有機金属触媒(D)の種類、および粘着剤層の厚さを表1に示すように変更する以外、実施例1と同様にしてガラスダイシング用粘着シートを製造した。
〔比較例1〜3〕
基材の厚さ、粘着剤層を形成するために使用した有機金属触媒(D)の種類、および粘着剤層の厚さを表1に示すように変更する以外、実施例1と同様にしてガラスダイシング用粘着シートを製造した。
〔比較例4〕
粘着剤層の厚さを表1に示すように変更する以外、実施例12と同様にしてガラスダイシング用粘着シートを製造した。
表1に記載の略号等の詳細は以下の通りである。
[基材の材料]
PET(厚さ100μm):ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製,製品名「A―4100」)
PET(厚さ50μm):ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製,製品名「A―4100」)
PET(厚さ188μm):ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製,製品名「A―4100」)
PO:ポリオレフィンフィルム(リケンテクノス社製,製品名「ADN09−100T−M8」)
PP:ポリプロピレンフィルム(ダイヤプラスフィルム社製,製品名「PL109」)
PI:ポリイミドフィルム(MPRTECH社製,製品名「Mordohar PIF100」)
[有機金属触媒]
Zr:ジルコニウムキレート触媒(マツモトファインケミカル社製,製品名「ZC−700」)
Sn:ジブチルスズラウリレート触媒(トーヨーケム社製,製品名「BXX−3778」)
〔試験例1〕(基材の貯蔵弾性率の測定)
実施例および比較例で使用した基材について、下記の装置および条件で23℃における貯蔵弾性率を測定した。結果を表1に示す。
測定装置:動的弾性率測定装置,ティー・エイ・インスツルメント社製,製品名「DMA Q800」
試験開始温度:0℃
試験終了温度:200℃
昇温速度:3℃/分
周波数:11Hz
振幅:20μm
〔試験例2〕(紫外線照射前の粘着剤層の貯蔵弾性率の測定)
実施例および比較例において使用した粘着剤組成物の塗布溶液を、厚さ38μmの第1の剥離フィルム(リンテック社製,製品名「SP−PET381031」)の剥離処理面上に塗布した。得られた塗膜を100℃で1分間保持することにより、塗膜を乾燥させた。これにより、第1の剥離フィルム上に厚さ40μmの粘着剤層を形成した。さらに、当該粘着剤層における第1の剥離フィルムとは反対側の面に、厚さ38μmの第2の剥離フィルム(リンテック社製,製品名「SP−PET381031」)の剥離処理面を貼り合わせ、第1の剥離フィルムと厚さ40μmの粘着剤層と第2の剥離フィルムとがこの順に積層されてなる積層体を得た。以上の手順により得られる粘着剤層を、厚さ800μmとなるように複数層積層した。この厚さ800μmの積層体から直径10mmの円形に打ち抜いて、測定のための試料とした。粘弾性測定装置(TAインスツルメンツ社製,製品名「ARES」)により、試料に周波数1Hzのひずみを与え、−50〜150℃の貯蔵弾性率を測定し、23℃および100℃における貯蔵弾性率の値を得た。結果を表1に示す。なお、粘着剤層を複数積層する際には、上記積層体として、粘着剤層の形成後、温度23℃、湿度50%の環境下において1週間放置したものを使用した。
〔試験例3〕(紫外線照射後の粘着剤層の引張弾性率の測定)
試験例2と同様の手順により、粘着剤層を、厚さ200μmとなるように複数層積層した。
続いて、紫外線照射装置(リンテック社製,製品名「RAD−2000」)を用いて紫外線(UV)照射(照度:230mW/cm,光量:190mJ/cm)を行うことで、粘着剤層を硬化させた。さらに、15mm×140mmに裁断して、試験片を得た。
得られた試験片から剥離フィルムを剥離し、硬化した粘着剤層について、JIS K7161:1994およびJIS K7127:1999に準拠して、23℃における引張弾性率を測定した。具体的には、引張試験機(島津製作所製,製品名「オートグラフAG−IS 500N」)にて、チャック間距離100mmに設定した後、200mm/分の速度で引張試験を行い、引張弾性率(Pa)を測定した。結果を表1に示す。
〔試験例4〕(タック値の測定)
実施例および比較例において製造した粘着シートの粘着剤層側の面について、直径5mm(5mmφ)のプローブを用いて、プローブタック試験機(レスカ社製,製品名「RPT−100」)によりタック値を測定した。測定方法は、JIS Z0237:2009に記載の方法において、剥離速度を1mm/分に変更する一方、荷重は100gf/cm、接触時間は1秒間と、上記のJIS規定の記載のとおりとした。測定したエネルギー量(ピーク積算値)を求め、これをタック値(単位:mJ/5mmφ)とした。結果を表1に示す。なお、上記測定には、粘着剤層の形成後、温度23℃、湿度50%の環境下において1週間放置した粘着シートを使用した。
〔試験例5〕(紫外線照射前後の粘着力の測定)
室温下にて、実施例および比較例にて製造し、温度23℃、湿度50%の環境下において1週間放置したガラスダイシング用粘着シートから剥離フィルムを剥離した。粘着剤層の露出した面を6インチ無アルカリガラス板の一方の面に重ね合わせ、2kgのローラーを1往復させることにより荷重をかけて貼合し、20分放置した。その後、JIS Z0237:2009に準じた180°引き剥がし法により、無アルカリガラス板から、剥離速度300mm/min、剥離角度180°にてガラスダイシング用粘着シートを剥離し、粘着力(mN/25mm)を測定した。この測定値を紫外線照射前の粘着力とした。結果を表1に示す。
また、上記と同様に、実施例および比較例にて製造したガラスダイシング用粘着シートと6インチ無アルカリガラス板とを貼合し、20分放置した後、ガラスダイシング用粘着シートの基材側から、紫外線照射装置(リンテック社製,製品名「RAD−2000」)を用いて紫外線(UV)照射(照度:200mW/cm,光量:180mJ/cm)を行い、粘着剤層を硬化させた。その後、上記と同様に粘着力(mN/25mm)を測定した。この測定値を紫外線照射後の粘着力とした。結果を表1に示す。
〔試験例6〕(チップ飛散、チッピングおよびダイシフトの評価)
実施例および比較例にて製造し、温度23℃、湿度50%の環境下において1週間放置したガラスダイシング用粘着シートから剥離フィルムを剥離し、テープマウンター(リンテック社製,製品名「Adwill RAD2500m/12」)を用いて、粘着剤層の露出した面に厚さ550μmの6インチ無アルカリガラス板およびダイシング用リングフレームを貼付した。続いて、リングフレームの外径に合わせてガラスダイシング用粘着シートを裁断した。さらに、ダイシング装置(ディスコ社製,製品名「DFD−651」)を用いて、以下のダイシング条件でガラス板側から切断するダイシングを行い、0.6mm角のガラスチップを得た。
<ダイシング条件>
・ダイシング装置 :ディスコ社製 DFD−651
・ブレード :ディスコ社製 NBC−2H 2050 27HECC
・ブレード幅 :0.025〜0.030mm
・刃先出し量 :0.640〜0.760mm
・ブレード回転数 :30000rpm
・切削速度 :80mm/sec
・基材切り込み深さ:20μm
・切削水量 :1.0L/min
・切削水温度 :20℃
・ダイシングサイズ:0.6mm角(平面の面積が0.36mm
ダイシング工程により得られたガラスチップが付着している粘着シートを目視で観察して、ダイシング工程中に粘着シートから脱落していたガラスチップの個数を数え、その個数をダイシング工程における分割数で除して、チップ飛散率(単位:%)を求めた。この算出結果に基づいて、以下を基準として、チップ飛散を評価した。評価結果を表1に示す。
◎:チップ飛散率が、0.1%未満である。
○:チップ飛散率が、0.1%以上、5%未満である。
△:チップ飛散率が、5%以上、10%未満である。
×:チップ飛散率が、10%以上である。
また、上記ダイシング後における、ガラスダイシング用粘着シートの中心部および近傍に位置するガラスチップについて、端部の欠けの有無および形状を観察した。具体的には、電子顕微鏡(KEYENCE社製,製品名「VHZ−100」,倍率:300倍)を用いて、基材の製造時における流れ方向(MD方向)に50チップ辺分およびMD方向に直交する方向(CD方向)に50チップ辺分を観察した。そして、20μm以上の幅または深さを有する欠けをチッピングと判定し、その数を数えた。この結果に基づいて、以下を基準として、チッピングを評価した。評価結果を表1に示す。
◎:チッピングが生じたチップの数が、5個未満である。
○:チッピングが生じたチップの数が、5個以上、50個未満である。
×:チッピングが生じたチップの数が、50個以上である。
さらに、上記ダイシングにより得られた全てのガラスチップについて、平面視における4辺の長さを測定し、その最大値と最小値との差が、最大値の10%以上となるチップ(以下「NGチップ」という場合がある。)の個数をカウントした。この結果に基づいて、以下を基準として、ダイシフトを評価した。評価結果を表1に示す。
◎:NGチップの数が、50個未満である。
○:NGチップの数が、50個以上、500個未満である。
×:NGチップの数が、500個以上である。
〔試験例7〕(ピックアップの評価)
試験例6でダイシングを行ったガラスダイシング用粘着シートから、100個のガラスチップをピックアップした。このとき、ガラスダイシング用粘着シートにおけるガラスチップが貼付された面とは反対側の面から、ニードルによる突き上げを行った(ニードル数:4本,突き上げ速度:0.3mm/秒,突き上げ高さ:1.5mm)。ピックアップして得られたガラスチップについて、ガラスチップの破損があったものの個数(NG数)を数え、以下の基準によりピックアップを評価した。結果を表1に示す。
◎:ガラスチップの破損が無かった。
○:ガラスチップの破損が1〜2個あった。
×:ガラスチップの破損が3個以上あった。
〔試験例8〕(糊残りの評価)
試験例7に示す方法によりピックアップした5000個のガラスチップについて、ガラスダイシング用粘着シートの粘着剤層に由来する粘着剤の付着の有無を、電子顕微鏡(KEYENCE社製,製品名「VHZ−100」,倍率:300倍)を用いて観察した。最大幅が30μm以上である粘着剤が付着したガラスチップの数を数え、以下の基準により糊残りを評価した。
◎:粘着剤が付着したガラスチップの数が、50個未満であった。
○:粘着剤が付着したガラスチップの数が、50個以上、500個未満であった。
×:粘着剤が付着したガラスチップの数が、500個以上であった。
Figure 0006673734
表1からわかるように、実施例に係る粘着シートによれば、チップ飛散、チッピング、ダイシフトおよび糊残りの発生を抑制することができ、また、良好なピックアップが可能である。
本発明に係るガラスダイシング用粘着シートは、ガラスのダイシング工程に用いられ、特に、薄いガラスのダイシング工程に好適に用いられる。

Claims (11)

  1. 基材と、前記基材の少なくとも一方の面に積層された粘着剤層とを備えたガラスダイシング用粘着シートであって、
    前記基材の厚さが、30μm以上、130μm未満であり、
    前記粘着剤層の厚さが、9μm超、40μm以下である
    前記粘着剤層は、側鎖にエネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を含有し、当該(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)以外のエネルギー線硬化性化合物(B)を含有しない粘着剤組成物から形成されたものであり、且つ、フタル酸エステル類を含まない
    ことを特徴とするガラスダイシング用粘着シート。
  2. 前記粘着剤層における、JIS Z0237:1991に記載された方法において剥離速度を1mm/分に変更した条件によりプローブタックを用いて測定したエネルギー量は、0.01〜5mJ/5mmφであることを特徴とする請求項に記載のガラスダイシング用粘着シート。
  3. 前記粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率は、30〜100kPaであることを特徴とする請求項1または2に記載のガラスダイシング用粘着シート。
  4. 前記粘着剤層の前記基材とは反対側の面を無アルカリガラスに貼付し、20分間静置した後における、前記ガラスダイシング用粘着シートの前記無アルカリガラスに対する粘着力は、8000〜25000mN/25mmであることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載のガラスダイシング用粘着シート。
  5. 前記粘着剤層の前記基材とは反対側の面を無アルカリガラスに貼付し、当該粘着剤層に対してエネルギー線を照射した後における、前記ガラスダイシング用粘着シートの前記無アルカリガラスに対する粘着力は、50〜250mN/25mmであることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のガラスダイシング用粘着シート。
  6. 前記粘着剤層のエネルギー線照射後の23℃における引張弾性率は、15〜1500MPaであることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のガラスダイシング用粘着シート。
  7. 前記基材の23℃における貯蔵弾性率は、100〜8000MPaであることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載のガラスダイシング用粘着シート。
  8. 前記粘着剤組成物は、さらに架橋剤(C)を含有することを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載のガラスダイシング用粘着シート。
  9. ガラス板を、平面が1×10−6mm〜1mmの面積を有するガラスチップにダイシングするためのものであることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載のガラスダイシング用粘着シート。
  10. 請求項1〜9の何れか一項に記載のガラスダイシング用粘着シートを製造する方法であって、
    少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A1)および反応性の官能基を有する官能基含有モノマー(A2)を共重合したアクリル系共重合体(AP)と、
    前記官能基含有モノマー(A2)の官能基と反応可能な官能基およびエネルギー線硬化性の炭素−炭素二重結合を有するエネルギー線硬化性基含有化合物(A3)と
    を反応させて、側鎖にエネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を調製する工程、および
    当該(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を含有する粘着剤組成物を使用して、基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を積層する工程
    を含むことを特徴とするガラスダイシング用粘着シートの製造方法。
  11. 前記アクリル系共重合体(AP)と前記エネルギー線硬化性基含有化合物(A3)との反応を、ジルコニウムを含有する有機化合物、チタンを含有する有機化合物およびスズを含有する有機化合物から選択される少なくとも1種の有機金属触媒(D)の存在下で行うことを特徴とする請求項10に記載のガラスダイシング用粘着シートの製造方法。
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