JP6081094B2 - ダイシングシート - Google Patents

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Description

本発明は、複数の半導体チップが樹脂封止されてなる半導体パッケージをダイシングする際に用いられるダイシングシートに関する。
半導体チップが樹脂封止された半導体部品(本明細書において「モールドチップ」という。)は、通常次のようにして作製される。
まず、TABテープのような複数の基台が連接してなる集合体の各基台上に半導体チップを搭載し、これらの半導体チップを一括して樹脂封止して電子部品集合体(本明細書において、「半導体パッケージ」という。)を得る。次に、半導体パッケージの一方の面に、基材と粘着剤層とを備えた粘着シート(本明細書において「ダイシングシート」という。)を貼付することによって半導体パッケージをダイシングシートに対して固定する。このダイシングシートに対して固定された半導体パッケージを切断分離(ダイシング)して個片化し、ダイシングシート上に複数のモールドチップが近接配置された部材を作製する(ダイシング工程)。
通常ダイシングシートの粘着剤層は、特定の刺激により粘着剤層の粘着性が低下するように設計されており、特定の刺激としてはたとえばエネルギー線照射が採用される。このダイシングシートにエネルギー線を照射して粘着剤層の粘着性を低下させる作業は、ダイシング工程のダイシング作業後、後述するピックアップ工程が開始されるまでに行われる。
ダイシング工程により作製された上記の部材におけるダイシングシートをエキスパンド(主面内方向に伸張)して、ダイシングシート上に配置されたモールドチップの間隔を広げる(エキスパンド工程)。こうしてダイシングシート上で互いに離間した状態とされたモールドチップを、個別にピックアップしてダイシングシートから分離させ(ピックアップ工程)、次の工程に移送する。このピックアップ工程が開始されるまでに上記の粘着剤層の粘着性を低下させるためのエネルギー線照射が行われていることにより、ピックアップを行うことが容易化される。
これらの一連の工程のうち、ダイシング工程およびその後のエキスパンド工程では、半導体パッケージおよびこれがダイシングされてなるモールドチップは、ダイシングシート上に固定された状態を維持することが求められる。この目的を達成する観点からは、ダイシングシートの粘着剤層は、その半導体パッケージおよびモールドチップに対するエネルギー線照射前の粘着性(本明細書において、ことわりのない「粘着性」は、半導体パッケージおよび/またはモールドチップに対するエネルギー線照射前の粘着剤層の粘着性を意味する。)が高いことが好ましい。
ここで、ダイシングシートの被着体が半導体パッケージおよびモールドチップである場合には、半導体チップを被着体とする場合に比べて、被着面の凹凸が大きくなる傾向がある。このため、半導体チップを被着体とするダイシングシートを半導体パッケージに対する上記の一連の工程に使用されるダイシングシートとして転用すると、被着体に対する粘着性が不十分となり、ダイシング工程において半導体パッケージを切断中に個片化されたモールドチップがダイシングシートから剥離して飛散したり、エキスパンド工程においてダイシングシートを伸張させたときにモールドチップがからダイシングシートから剥離して飛散したりする不具合が生じる。以下、ダイシング工程やエキスパンド工程において生じるこれらの不具合を「モールドチップ飛散」と総称する。
このモールドチップ飛散が生じる可能性を低減させることを目的として、例えば特許文献1や2に記載されるように、ダイシングシートの粘着剤層に粘着性を付与するための樹脂材料(本明細書において、「粘着付与樹脂」という。)を含有させることが行われている。
特許第4861081号公報 特許第4040706号公報
粘着付与樹脂を含有させることにより、粘着剤層の粘着性は向上し、モールドチップ飛散は生じにくくなる。しかしながら、粘着剤層が軟質化するため、ピックアップ工程が終了したのちに、ダイシングシートを、これを固定するためのリングフレームからの剥離させる際に、リングフレーム上にダイシングシートの粘着剤層を構成する材料が残留する現象(本明細書において「粘着剤残着現象」ともいう。)が生じることが明らかになった。リングフレームに残着した粘着剤を除去しないまま新たなダイシングシートをリングフレームで固定すると、その固定の均一性が失われ、ダイシング工程の作業安定性が低下する。このため、この残着した粘着剤を除去する必要があり、この除去工程はモールドチップの生産性の低下をもたらす。
そこで、本発明は、粘着剤残着現象が生じる可能性が低減されたダイシングシートを提供すること、およびそのダイシングシートを用いるモールドチップの製造方法の提供を課題とする。
上記目的を達成するべく本発明者らが検討したところ、上記の粘着剤残着現象は、リングフレームに貼付されたダイシングシートを剥離する際に、ダイシングシートの基材と粘着剤層との間で界面剥離が生じているために発生する場合があることが明らかとなった。この知見に基づきさらに検討した結果、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物にイソシアネート系架橋剤を多量に含有させる等の方法により、粘着剤残着現象を生じにくくすることが可能であるとの知見を得た。
かかる知見に基づき完成された本発明は、第1に、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に積層された粘着剤層とを備えたダイシングシートであって、前記粘着剤層は、水酸基を有する重合体(a1)、イソシアネート系架橋剤(a2)、エネルギー線重合性化合物(B)および粘着付与樹脂(C)を含有する粘着剤組成物から形成されたものであって、前記粘着剤組成物に含有される前記イソシアネート系架橋剤(a2)が有するイソシアネート基の総量(単位:mol)の、前記粘着剤組成物に含有される前記イソシアネート系架橋剤(a2)以外の成分が有する水酸基の総量(単位:mol)に対する比率であるNCO/OH比が4以上15以下であるダイシングシートを提供する(発明1)。
NCO/OH比が上記の範囲にあることにより、基材と粘着剤層との界面部にイソシアネート系架橋剤(a2)が有するイソシアネート基が関与する相互作用が生じる可能性が高まる。この相互作用により粘着剤層の基材に対する密着性が高まる(キーイングが向上する)ため、NCO/OH比が上記の範囲にあることにより、ダイシングシートを使用した際に粘着剤残着現象が生じる可能性が低減される。
上記発明(発明1)において、前記粘着剤組成物に含有される前記イソシアネート系架橋剤(a2)の含有量は、前記水酸基を有する重合体(a1)100質量部に対して、2質量部以上14質量部以下であることが好ましい(発明2)。この場合には、NCO/OH比を上記の範囲(4〜15)に設定することが容易となる。
上記発明(発明1,2)において、前記粘着剤組成物に含有される前記イソシアネート系架橋剤(a2)以外の成分全体の水酸基価は、2mgKOH/g以上であることが好ましい(発明3)。この場合には、NCO/OH比を上記の範囲(4〜15)に調整したときに粘着剤残着現象を生じにくくなることがより安定的に実現される。
上記発明(発明1から3)において、前記粘着剤層の厚さが5μm以上35μm以下であることが好ましい(発明4)。粘着剤層の厚さが上記の範囲にある場合には、粘着剤層の粘着性にばらつきが生じたり、ピックアップ時に粘着剤層内部で凝集破壊が生じたりする可能性がより安定的に低減される。
上記発明(発明1から4)において、前記基材の前記粘着剤層が積層される側の面には、前記粘着剤層が積層される前の状態においてイソシアネート反応性基が存在することが好ましい(発明5)。イソシアネート基に対する反応性を有する基であるイソシアネート反応性基が存在することにより、粘着剤層内のイソシアネート基と基材が有するイソシアネート反応性基とが相互作用、特に化学的な相互作用を生じる可能性がより高まる。その結果、粘着剤層の基材に対するキーイングはより向上しやすくなり、粘着剤残着現象が生じる可能性がより安定的に低減される。
上記発明(発明5)において、前記イソシアネート反応性基は、カルボキシル基、水酸基、アミノ基およびチオール基からなる群から選ばれる1種または2種以上を含むことが好ましい(発明6)。イソシアネート反応性基が上記の官能基である場合には、当該官能基とイソシアネート基との反応に基づく結合構造が形成されやすくなるため、粘着剤残着現象が生じる可能性をさらに安定的に低減させることができる。
上記発明(発明5,6)において、前記基材の前記粘着剤層が積層される側の面は、前記イソシアネート反応性基を有する重合体を含む樹脂系材料からなるフィルムの面であることが好ましい(発明7)。基材が上記の構成を有する場合には、基材の粘着剤層が積層される側の面にイソシアネート反応性基を安定的に存在させることができるため、粘着剤残着現象が生じる可能性をさらに安定的に低減させることができる。
上記発明(発明7)において、前記イソシアネート反応性基を有する重合体は、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体およびアイオノマーからなる群から選ばれる1種または2種以上を含むことが好ましい(発明8)。基材が上記の材料を含むことで、破断伸度など基材の機械特性を調整することが容易となる。
上記発明(発明5,6)において、前記基材の前記粘着剤層が積層される側の面は、前記粘着剤層が積層される前に表面処理が施された面であってもよいし(発明9)、前記イソシアネート反応性基を有する材料を含有する層の面であってもよい(発明10)。これらの場合には、イソシアネート反応性基を存在させるために基材を構成する材料に求められる制限が少ないため、基材の設計自由度が高い。
上記発明(発明1から10)において、前記ダイシングシートは、粘着剤層における基材に対向する側と反対側の露出面を測定対象面、半導体パッケージの樹脂封止面を被着面として、JIS Z0237:2009に準拠して180°引き剥がし試験を行ったときに測定される粘着力について、エネルギー線照射前の状態における粘着力のエネルギー線照射後の状態における粘着力に対する比が3以上であることが好ましい(発明11)。粘着力比が上記の範囲であることにより、ダイシング工程やエキスパンド工程においてモールドチップ飛散が生じる可能性を低減させつつ、ピックアップ工程においてピックアップ不良が生じる可能性を低減させることができる。
上記発明(発明1から11)において、前記ダイシングシートは、粘着剤層における基材に対向する側と反対側の露出面を測定対象面、半導体パッケージの樹脂封止面を被着面として、JIS Z0237:2009に準拠して180°引き剥がし試験を行ったときに測定される粘着力が、エネルギー線照射前の状態において500mN/25mm以上であることが好ましい(発明12)。エネルギー線照射前の粘着力が上記の範囲にある場合には、ダイシング工程中にモールドチップ飛散が生じにくい。
上記発明(発明1から12)において、前記粘着剤層の前記基材と反対側の面を、半導体チップを樹脂封止した半導体パッケージの樹脂封止面に貼付することが好ましい(発明13)。上記発明に係るダイシングシートは表面粗さが大きい面に対しても優れた粘着性を有し、しかも粘着剤残着現象が生じにくいため、半導体パッケージの樹脂封止面に貼付されてダイシング工程などに供されても、不具合が生じにくい。
本発明は、第2に、上記発明(1から13)のいずれかに係るダイシングシートの前記粘着剤層側の面を、半導体パッケージの樹脂封止面に貼付し、前記ダイシングシート上の前記半導体パッケージを切断して個片化し、複数のモールドチップを得る、モールドチップの製造方法を提供する(発明14)。
前述のように、上記発明(1から13)のいずれに係るダイシングシートは表面粗さが大きい面に対しても優れた粘着性を有しつつ、粘着剤残着現象が生じにくいため、かかるダイシングシートを用いてモールドチップの製造するにあたり、粘着剤残着現象など工程不良が生じにく、モールドチップ飛散に基づく不良品も生じにくい。したがって、製品の品質が低下しにくく、不良品に由来する製造コスト上昇も少ない。
本発明によれば、粘着剤残着現象が生じる可能性が低減され、また、ダイシング工程、エキスパンド工程およびピックアップ工程において、モールドチップが飛散する、モールドチップのピックアップが適切に行われないといった不具合が生じる可能性が低減されたダイシングシートが提供される。また、かかるダイシングシートを用いることで品質に優れコスト的にも有利なモールドチップを製造することができる。
本発明の一実施形態に係るダイシングシートの概略断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
1.ダイシングシート
図1に示されるように、本発明の一実施形態に係るダイシングシート1は、基材2および粘着剤層3を備える。
(1)基材
本実施形態に係るダイシングシート1が備える基材2は、エキスパンド工程やピックアップ工程において破断しない限り、その構成材料は、特に限定はされず、重合体を主材とする樹脂系材料からなるフィルムが例示される。そのようなフィルムの具体例として、低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム、高密度ポリエチレン(HDPE)フィルム等のポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、エチレン−ノルボルネン共重合体フィルム、ノルボルネン樹脂フィルム等のポリオレフィン系フィルム;ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム等のポリ塩化ビニル系フィルム;ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム;ポリウレタンフィルム;ポリイミドフィルム;アイオノマー樹脂フィルム;エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム等のエチレン系共重合フィルム;ポリビニルアルコールフィルム、セロファン等の水酸基含有樹脂フィルム;ポリ乳酸;ポリスチレンフィルム;ポリカーボネートフィルム;フッ素樹脂フィルム;ならびにこれらの樹脂の水添加物および変性物を主材とするフィルムなどが挙げられる。上記の基材2を構成するフィルムは1種単独でもよいし、さらにこれらを2種類以上組み合わせた積層フィルムであってもよい。後述する破断伸度などの要請を満たすことが容易となる観点から、基材2は、ポリオレフィン系フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体フィルムおよびアイオノマー樹脂フィルムから選ばれる1種または2種以上を備えることが好ましい。なお、本明細書における「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語についても同様である。
本実施形態に係る基材2は、上記の樹脂系材料を主材とするフィルム内に、顔料、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、フィラー等の各種添加剤が含まれていてもよい。顔料としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。また、フィラーとして、メラミン樹脂のような有機系材料、ヒュームドシリカのような無機系材料およびニッケル粒子のような金属系材料が例示される。こうした添加剤の含有量は特に限定されないが、基材2が所望の機能を発揮し、所望の平滑性や柔軟性を失わない範囲に留めるべきである。
粘着剤層3を構成する材料(すなわち、エネルギー線重合性化合物(B))を重合させるために照射するエネルギー線として紫外線を用いる場合には、基材2は紫外線に対して透過性を有することが好ましい。なお、エネルギー線として電子線を用いる場合には電子線に対して透過性を有していることが好ましい。
基材2における粘着剤層3が積層される側の面(本明細書において「被粘着処理面」ともいう。)には、粘着剤層3が積層される前の状態において、イソシアネート基に対する反応性を有する官能基(本明細書において「イソシアネート反応性基」ともいう。)が存在することが好ましい。この場合、本実施形態に係るダイシングシート1は、基材2と粘着剤層3との界面部(本明細書において、「界面部」とは、基材と粘着剤層との界面、基材における当該界面の近傍の領域、および粘着剤層における当該界面の近傍の領域を意味する。)に、粘着剤層3内のイソシアネート基と基材2が有するイソシアネート反応性基とが関与する相互作用が生じる可能性が高まり、この相互作用により基材2と粘着剤層3との密着性が高まる(キーイングの向上)。そのような相互作用の例として、イソシアネート基とイソシアネート反応性基とが反応してなる結合構造が形成されるといった化学的な相互作用が挙げられる。このような結合構造が形成されると、基材2と粘着剤層3とは強固に結合される。それゆえ、被粘着処理面にイソシアネート反応性基が存在する場合には、基材2と粘着剤層3との界面での剥離がより生じにくくなり、粘着剤残着現象が生じる可能性がより安定的に低減される。
このイソシアネート反応性基はイソシアネート基と結合する反応をなしうる限りその具体的な種類は特に限定されない。カルボキシル基、水酸基、アミノ基およびチオール基が例示される。イソシアネート反応性基は1種類の官能基から構成されていてもよいし、複数種類の官能基から構成されていてもよい。粘着剤層3が積層される前の状態における基材2の被粘着処理面に存在するイソシアネート反応性基の量は特に限定されない。その量が過度に低い場合には、粘着剤残着現象が生じる可能性を低減することが困難となり、その量が過度に高い場合には、基材2の物性や粘着剤層3の物性がダイシングシートとして適切な範囲外となる(例えば基材2の破断伸度が過度に低下することなどが挙げられる。)可能性が高まることが懸念されることを考慮して、適宜設定すればよい。
このイソシアネート反応性基を被粘着処理面に存在させる方法は特に限定されない。例えば、基材2自体が主鎖、側鎖、または末端にカルボキシル基や水酸基などのイソシアネート反応性基を有する重合体を含む樹脂系材料からなるフィルムを備え、そのフィルムの面が被粘着処理面をなすことで、カルボキシル基や水酸基などのイソシアネート反応性基が被粘着処理面に存在していてもよい。基材2がかかる構成であることで、表面処理により被粘着処理面にイソシアネート反応性基を存在させる方法と比べて、被粘着処理面にイソシアネート反応性基を安定的に存在させることができ、本実施形態に係るダイシングシート1の粘着剤残着現象の発生を抑制する効果を特に効率的に得ることができる。イソシアネート反応性基を有する重合体を含む樹脂系材料からなるフィルムとしては、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、ポリ乳酸フィルム等のカルボキシル基を含有する樹脂を用いたフィルムや水酸基含有樹脂フィルム等が例示される。なお、アイオノマー樹脂フィルムは、カルボキシル基を有する重合体のカルボキシル基を金属架橋してなる樹脂を用いたフィルムであるが、金属イオンとイオン結合しているカルボキシル基は通常一部であるため、カルボキシル基は残存している。これらのフィルムの中でも、上述のとおり基材の破断伸度等を調整しやすいという観点から、基材2は、アイオノマー樹脂フィルムおよびエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体フィルムからなる群から選ばれる1種または2種以上を備えることが好ましい。エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体フィルムを用いる場合には、(メタ)アクリル酸の共重合比は、当該共重合体を形成するために用いられる単量体の全質量中、5質量%以上25質量%以下程度の範囲とすることが好ましい。
あるいは、例えば、基材2はポリオレフィン系フィルムのように基材自体としてはイソシアネート反応性基を有さない材料のフィルムを備える場合であって、粘着剤層3が積層される前にあらかじめコロナ処理等の表面処理が被粘着処理面に施されることにより、当該被粘着処理面にカルボキシル基、水酸基などのイソシアネート反応性基が存在するようにされていてもよい。また、被粘着処理面は、上記のイソシアネート反応性基を有する重合体を含む樹脂系材料からなるフィルム以外のイソシアネート反応性基を有する材料から形成されていてもよい。具体的には、プライマー層が上記のフィルムの粘着剤層3側の面に設けられ、被粘着処理面はこのプライマー層の面であり、このプライマー層に基づきイソシアネート反応性基が被粘着処理面に存在するようにされていてもよい。なお、基材2の被粘着処理面と反対側の面には各種の塗膜が設けられていてもよい。
本実施形態に係る基材2の厚さはダイシングシート1が前述の各工程において適切に機能できる限り、限定されない。好ましくは20〜450μm、より好ましくは25〜200μm、特に好ましくは50〜150μmの範囲にある。
本実施形態における基材2の破断伸度は、23℃、相対湿度50%のときに測定した値として100%以上であることが好ましく、特に200%以上1000%以下であることが好ましい。上記の破断伸度が100%以上である基材2は、エキスパンド工程の際に破断しにくく、半導体パッケージを切断して形成したモールドチップを離間し易いものとなる。なお、破断伸度はJIS K7161:1994(ISO 527−1:1993)に準拠した引張り試験における、試験片破壊時の試験片の長さの元の長さに対する伸び率である。
また、本実施形態における基材2のJIS K7162:1994(ISO 527−2:1993)に準拠した試験により測定される破断応力は10MPa以上であることが好ましく、15MPa以上50MPa以下であることがより好ましく、20MPa以上40MPa以下であることがさらに好ましい。破断応力が10MPa未満であると、ダイシングシート1に半導体パッケージを貼着した後、リングフレームに固定した際、基材2が柔らかいために弛みが発生し、搬送エラーの原因となることがある。
(2)粘着剤層
本実施形態に係るダイシングシート1は、基材2の一方の面に積層された粘着剤層3を備える。この粘着剤層3は、次に説明する成分を含有する粘着剤組成物から形成されたものである。
(2−1)粘着剤組成物
粘着剤組成物は、水酸基を有する重合体(a1)、イソシアネート系架橋剤(a2)、エネルギー線重合性化合物(B)および粘着付与樹脂(C)を含有し、必要に応じその他の成分を含有してもよい。
(2−1−1)水酸基を有する重合体(a1)
水酸基を有する重合体(a1)は、その少なくとも一部が、後述するイソシアネート系架橋剤(a2)の一部と反応し、重合体の架橋物(A)を形成する。したがって、粘着剤層3は重合体の架橋物(A)を含有する。
水酸基を有する重合体(a1)の重量平均分子量(Mw)は、1万〜200万であることが好ましく、10万〜150万であることがより好ましい。また、水酸基を有する重合体(a1)のガラス転移温度Tgは、好ましくは−70〜30℃、さらに好ましくは−60〜20℃の範囲にある。水酸基を有する重合体(a1)としては、1種類のモノマーが重合してなる単独重合体および複数種類のモノマーが重合してなる共重合体のいずれでもよい。いずれの場合でも、水酸基を有する重合体(a1)を形成するためのモノマーの種類は特に限定されない。重合体の物理的特性や化学的特性を制御しやすい観点から、水酸基を有する重合体(a1)は共重合体であることが好ましい。
水酸基を有する重合体(a1)の一例としてアクリル系重合体であって水酸基を有するものが挙げられる。そのような水酸基を有するアクリル系重合体を形成するための原料となりうるモノマー(本明細書において「原料モノマー」ともいう。)として、水酸基を有するアクリル系モノマー(本明細書において「ヒドロキシアクリル系モノマー」という。)、水酸基を有する非アクリル系モノマー、水酸基を有しないアクリル系モノマーおよび水酸基を有しない非アクリル系モノマーが挙げられる。水酸基を有するアクリル系重合体は、上記の原料モノマーのうち、当該重合体がアクリル系重合体となるように、ヒドロキシアクリル系モノマーおよび水酸基を有しないアクリル系モノマーの少なくとも一種に由来する構成単位を含むとともに、当該重合体が水酸基を有するように、ヒドロキシアクリル系モノマーおよび水酸基を有する非アクリル系モノマーの少なくとも一種に由来する構成単位を含む。
ヒドロキシアクリル系モノマーの具体的例として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、水酸基を有する非アクリル系モノマーの具体例として、N−メチロールアクリルアミドなどが挙げられる。取り扱い性を高める観点や粘着剤層3の物性の調整を容易とする観点から、水酸基を有するアクリル系重合体は、ヒドロキシアクリル系モノマーに由来する構成単位を含むものが好ましい。
上記の原料モノマーのうち、水酸基を有しないアクリル系モノマーの具体的例として、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸エステル、その誘導体(アクリロニトリルなど)が具体例として挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルについてさらに具体例を示せば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の鎖状骨格を有する(メタ)アクリレート;シクロアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イミドアクリレート等の環状骨格を有する(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の水酸基以外の反応性官能基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、水酸基を有しないアクリル系モノマーがアルキル(メタ)アクリレートである場合には、そのアルキル基の炭素数は1から18の範囲であることが好ましい。また、水酸基を有しない非アクリル系モノマーとしては、エチレン、ノルボルネン等のオレフィン、酢酸ビニル、スチレンなどが例示される。
水酸基を有するアクリル系重合体を形成するための原料モノマーの構成比率は特に限定されない。アクリル系重合体としての性質が得られることを安定的に実現する観点から、アクリル系モノマーの質量の合計、すなわち、ヒドロキシアクリル系モノマーの質量および水酸基を有しないアクリル系モノマー質量の合計の、水酸基を有するアクリル系重合体を形成するための原料モノマーの全質量に対する割合は、30〜100質量%であることが好ましく、50〜99質量%であることがより好ましい。
(2−1−2)イソシアネート系架橋剤(a2)
イソシアネート系架橋剤(a2)の具体的な種類は特に限定されず、一例としてポリイソシアネート化合物が例示される。ポリイソシアネート化合物は1分子当たりイソシアネート基を2個以上有する化合物であって、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートなどの脂環式イソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの非環式脂肪族イソシアネートが挙げられる。
また、これらの化合物の、ビウレット体、イソシアヌレート体や、これらの化合物と、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の非芳香族性低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などの変性体も架橋剤として用いることができる。イソシアネート系架橋剤(a2)を構成する上記のポリイソシアネート化合物は一種類であってもよいし、複数種類であってもよい。
粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物に含有されるイソシアネート系架橋剤(a2)が有するイソシアネート基の総量(単位:mol)の、上記の粘着剤組成物に含有されるイソシアネート系架橋剤(a2)以外の成分が有する水酸基の総量(単位:mol)に対する比率(本明細書において「NCO/OH比」という。)は4以上15以下である。なお、上記のイソシアネート基の総量は、イソシアネート系架橋剤(a2)に含有されるポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基の質量比率(単位:質量%)であるNCO含有率と上記の粘着剤組成物に含有されるイソシアネート系架橋剤(a2)の質量とから求めることができる。また、上記の水酸基の総量は、JIS K1557−1:2007(ISO 14900:2001)に準拠した中和滴定法を実施することによって求めた、上記の粘着剤組成物に含有されるイソシアネート系架橋剤(a2)以外の成分全体の水酸基価(単位:mgKOH/g、本明細書において「架橋性水酸基価」ともいう。)から求めることができる。
NCO/OH比が4以上であれば、基材2と粘着剤層3との界面部に前述の相互作用が生じる可能性が高まり、キーイングが向上し、粘着剤残着現象が生じる可能性は低減される。粘着剤残着現象が生じる可能性をより安定的に低減させる観点から、NCO/OH比は5以上とすることが好ましい。一方、NCO/OH比が15を超えると、粘着剤層3の粘着性が低下してモールドチップ飛散が生じる可能性が高まる。このモールドチップ飛散が生じる可能性をより安定的に低減させる観点から、NCO/OH比を12以下とすることが好ましい。
粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物に含有されるイソシアネート系架橋剤(a2)の含有量は特に限定されない。かかる含有量を、水酸基を有する重合体(a1)100質量部に対して2質量部以上14質量部以下とすれば、NCO/OH比を上記の範囲(4〜15)に設定することが容易となり、粘着剤残着現象およびモールドチップ飛散の双方についてより安定的に生じにくくすることができる。上記の含有量を4質量部以上12質量部以下とすることがより好ましく、6質量部以上10質量部以下とすることがさらに好ましい。なお、本明細書において、各成分の含有量を示す「質量部」は固形分としての量を意味する。
架橋性水酸基価は2mgKOH/g以上であることが好ましく、3mgKOH/g以上であることがより好ましく、4mgKOH/g以上であることが特に好ましい。架橋性水酸基価がこの範囲にあることにより、NCO/OH比を上記の範囲に調整することによって粘着剤残着現象を生じにくくすることがより容易となる。架橋性水酸基価が過度に低い場合には、NCO/OH比が上記の範囲にあっても、粘着剤組成物内のNCO基の量が過少となることが懸念される。この場合には、その粘着剤組成物から形成された粘着剤層3を備えたダイシングシート1における基材2と粘着剤層3との界面部に前述の相互作用が十分には生じず、粘着剤残着現象を生じにくくすることが困難となる。架橋性水酸基価の上限は特に限定されないが、過度に高い場合には、相対的に後述するエネルギー線重合性化合物(B)の含有量が低下することがあり、このとき、ピックアップ工程において適切にモールドチップをピックアップできなくなる不具合が発生しやすくなる。
(2−1−3)エネルギー線重合性化合物(B)
本実施形態に係るダイシングシート1が備える粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物が含有するエネルギー線重合性化合物(B)は、エネルギー線重合性基を有し、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射を受けて重合反応することができる限り、具体的な構成は特に限定されない。エネルギー線重合性化合物(B)が重合することによって粘着剤層3の貯蔵弾性率は上昇し、その結果、粘着剤層3のモールドチップに対する粘着性が低下してピックアップ工程の作業性が向上する。
エネルギー線重合性化合物(B)が有するエネルギー線重合性基の種類は特に限定されない。その具体例として、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和結合を有する官能基などが挙げられる。これらの中でもエネルギー線が照射されたときの反応性の高さの観点から(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
エネルギー線重合性化合物(B)は、エネルギー線重合性基を有する単官能モノマーおよび多官能のモノマーならびにこれらのモノマーのオリゴマーからなる群から選ばれる一種または二種以上からなる低分子量化合物(本明細書において、「低分子量化合物」と略記する。)(B1)と、主鎖または側鎖にエネルギー線重合性基を有する重合体からなるエネルギー線重合性ポリマー(B2)とに大別することができる。
i)低分子量化合物(B1)
エネルギー線重合性化合物(B)が低分子量化合物(B1)を含有する場合には、低分子量化合物(B1)が後述する粘着付与樹脂(C)と同様に、粘着剤層3の可塑化を促進するため、粘着剤層3の粘着性を向上させることが容易となる。低分子量化合物(B1)の分子量は重量平均分子量(Mw)として100以上30,000以下であることが好ましい。その分子量が過度に小さい場合には、製造過程において揮発することが懸念され、このとき粘着剤層3の組成の安定性が低下する。製造過程において揮発する可能性を低減させることと粘着剤層3を可塑化する機能を高めることとをより安定的に両立させる観点から、低分子量化合物(B1)の分子量は、重量平均分子量(Mw)として200以上20,000以下とすることが好ましく、300以上10,000以下程度とすることがより好ましい。
低分子量化合物(B1)の具体的な組成は特に限定されない。具体例として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどの鎖状骨格を有するアルキル(メタ)アクリレート;ジシクロペンタジエンジメトキシジ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの環状骨格を有するアルキル(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ変性(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、イタコン酸オリゴマー等のアクリレート系化合物などが挙げられる。これらの中でも、粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物に含有される前述の水酸基を有する重合体(a1)がアクリル系重合体である場合には、この重合体への相溶性の高さの観点からアクリレート系化合物が好ましい。
本実施形態に係る粘着剤層3における低分子量化合物(B1)の含有量は特に限定されない。かかる含有量が過度に少ない場合には、粘着剤層3内のエネルギー線重合性基の量が過度に少なくなるため、エネルギー線を照射しても粘着剤層3のモールドチップに対する粘着性が適切に低下せず、ピックアップ工程において不具合が生じる可能性が高まることが懸念される。一方、その含有量が過度に多い場合には、低分子量化合物(B1)の種類によっては、他の成分との相溶性が低下することが懸念される。したがって、前述の3工程のいずれにおいても不具合が生じる可能性を低減させる観点から、粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物における低分子量化合物(B1)の含有量は、水酸基を有する重合体(a1)100質量部に対して50質量部以上150質量部以下とすることが好ましく、75質量部以上125質量部以下とすることがより好ましい。
ii)エネルギー線重合性ポリマー(B2)
エネルギー線重合性ポリマー(B2)はエネルギー線重合性基を有する重合体である。エネルギー線重合性ポリマー(B2)の具体的な構造は限定されないが、エネルギー線重合型ポリマー(B2)は水酸基を有する重合体(a1)の性質を有することができる。この場合、エネルギー線重合性ポリマー(B2)が水酸基などイソシアネート基と反応しうる官能基を有し、イソシアネート系架橋剤(a2)と反応して重合体の架橋物(A)を形成する。このようにエネルギー線重合性ポリマー(B2)が水酸基を有する重合体(a1)としての性質を有する場合には、粘着剤層3の製造工程が簡素化される、粘着剤層3内に存在するエネルギー線重合性基の量を制御しやすいなどの利点を有する。また、この場合は、別途水酸基を有する重合体(a1)を含有していなくてもよい。なお、このようにエネルギー線重合性ポリマー(B2)が水酸基を有する重合体(a1)としての性質を有する場合には、「水酸基を有する重合体(a1)100質量部」とは、水酸基を有する重合体(a1)および水酸基を有する重合体(a1)としての性質を有するエネルギー線重合性ポリマー(B2)の総含有量100質量部を意味する。
エネルギー線重合性ポリマー(B2)の分子量は、重量平均分子量(Mw)として30,000程度よりも大きい。かかるエネルギー線重合性ポリマー(B2)は、水酸基を有する重合体(a1)同様に粘着剤主剤の一般的な機能である粘着剤層3の凝集性を維持する効果を生じさせるものであり、このような効果は分子量が高いほど、より発揮される。一方で、エネルギー線重合性ポリマー(B2)の分子量が過度に大きい場合には、粘着剤層3を製造するにあたり薄層化することが困難となるなどの問題が生じる可能性が高まる。したがって、エネルギー線重合性ポリマー(B2)の重量平均分子量(Mw)は、10万超200万以下程度であることが好ましく、20万以上150万以下程度であることがより好ましい。
エネルギー線重合性ポリマー(B2)が(メタ)アクリレートに基づく構成単位を骨格に有するものである場合には、例えば次のような方法で調製することができる。水酸基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基を含有する(メタ)アクリレートに基づく構成単位およびアルキル(メタ)アクリレートに基づく構成単位を有するアクリル系重合体と、上記の官能基と反応しうる置換基およびエネルギー線重合性基を1分子毎に1〜5個を有する化合物とを反応させることにより、上記のアクリル系重合体にエネルギー線重合性基を付加させることができる。
エネルギー線重合性化合物(B)を重合させるためのエネルギー線としては、電離放射線、すなわち、X線、紫外線、電子線などが挙げられる。これらのうちでも、比較的照射設備の導入の容易な紫外線が好ましい。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、取り扱いのしやすさから波長200〜380nm程度の紫外線を含む近紫外線を用いればよい。紫外線量としては、エネルギー線重合性化合物(B)の種類や粘着剤層3の厚さに応じて適宜選択すればよく、通常50〜500mJ/cm程度であり、100〜450mJ/cmが好ましく、200〜400mJ/cmがより好ましい。また、紫外線照度は、通常50〜500mW/cm程度であり、100〜450mW/cmが好ましく、200〜400mW/cmがより好ましい。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、発光ダイオードなどが用いられる。
電離放射線として電子線を用いる場合には、その加速電圧については、エネルギー線重合性化合物(B)の種類や粘着剤層3の厚さに応じて適宜選定すればよく、通常加速電圧10〜1000kV程度であることが好ましい。また、照射線量は、エネルギー線重合性化合物(B)が適切に硬化する範囲に設定すればよく、通常10〜1000kradの範囲で選定される。電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
(2−1−4)粘着付与樹脂(C)
本実施形態に係る粘着剤層3に含有される粘着付与樹脂(C)の具体的な種類は限定されない。粘着付与樹脂(C)として、ロジンおよびその誘導体(具体例として重合化ロジン、エステル化ロジン、重合ロジンエステル、不均化ロジン、およびこれらの水素添加樹脂が挙げられる。)等のロジン系粘着付与樹脂;αピネン樹脂、βピネン樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペンとスチレンとの共重合体等のテルペン系粘着付与樹脂;C系石油樹脂、C系石油樹脂、C/C系石油樹脂およびこれらの水素添加樹脂等の石油系樹脂;クマロン樹脂;アルキルフェノール樹脂;キシレン樹脂などが例示される。分子量が数百から数千のオリゴマーからなる粘着付与樹脂(C)を含有することにより、通常、粘着剤層3の粘弾性測定により求められる損失正接が極大値を示す温度は高まる一方、この温度よりも高い温度における貯蔵弾性率は低下して、粘着剤層3の粘着性が増加する。かかる粘着性増加の効果をより効率的に得、ダイシング工程やエキスパンド工程におけるモールドチップ飛散の発生を抑制する観点から、上記の粘着付与樹脂の中でも、ロジン系粘着付与樹脂およびテルペン系粘着付与樹脂から選ばれる1種単独または両者の混合物が粘着付与樹脂(C)を構成する材料として好ましい。
粘着付与樹脂(C)の含有量は、粘着剤層3に求められる粘着性、貯蔵弾性率などに応じて適宜設定される。基本的な傾向として、粘着付与樹脂(C)の含有量が過度に少ない場合には粘着性を高めることが困難となり、逆に含有量が過度に多い場合には粘着剤層3を構成する他の成分との相溶性が低下し、粘着性にばらつきが生じたり、エネルギー線照射前の貯蔵弾性率(本明細書において「照射前貯蔵弾性率」ともいう。)G’が過度に低くなったりする。粘着性のばらつきを抑え、照射前貯蔵弾性率G’を適切な範囲にすることを容易にする観点から、粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物における粘着付与樹脂(C)の含有量は、水酸基を有する重合体(a1)100質量部に対して15質量部以上200質量部以下であることが好ましく、30質量部以上150質量部以下であることがより好ましく、50質量部以上100質量部以下であることが特に好ましい。
粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物がエネルギー線重合性基を有する低分子量化合物(B1)を含有する場合には、当該化合物が粘着付与樹脂(C)と同様の機能(粘着剤層3の可塑化)を発揮する場合があるため、粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物におけるエネルギー線重合性基を有する低分子量化合物(B1)の含有量と粘着付与樹脂(C)の含有量との総和を、水酸基を有する重合体(a1)100質量部に対して100質量部以上とすることが好ましく、120質量部以上300質量部以下とすることがより好ましく、150質量部以上250質量部以下とすることがさらに好ましい。
(2−1−5)その他の成分
本実施形態に係るダイシングシート1が備える粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物は、上記の成分に加えて、架橋促進剤、光重合開始剤、染料や顔料などの着色材料、難燃剤、フィラー等の各種添加剤を含有してもよい。
粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物から粘着剤層3を形成するにあたり、イソシアネート系架橋剤(a2)のイソシアネート基と水酸基などイソシアネート基に対する反応性を有する官能基との反応が行われることから、粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物は有機スズ化合物などの有機金属化合物系の架橋促進剤を含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物、チタノセン化合物、チオキサントン化合物、パーオキサイド化合物等の光開始剤、アミンやキノン等の光増感剤などが挙げられ、具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどが例示できる。エネルギー線として紫外線を用いる場合には、光重合開始剤を配合することにより照射時間、照射量を少なくすることができる。
(2−2)粘着剤層の物性等
上記の粘着剤組成物から形成された粘着剤層3は、上記の粘着剤組成物に含有される水酸基を有する重合体(a1)とイソシアネート系架橋剤(a2)とが架橋反応を生じるため、前述のように重合体の架橋物(A)を含有する。
また、基材2と粘着剤層3との界面部では、粘着剤層3が有するイソシアネート基(このイソシアネート基は、上記の粘着剤組成物に含有されるイソシアネート系架橋剤(a2)に基づく。)が関与する相互作用が生じやすく、この相互作用に基づき、上記の粘着剤組成物から形成された粘着剤層3は基材2との間で層間剥離が生じにくくなる。
さらに、粘着剤層3は、上記の粘着剤組成物に含有される粘着付与樹脂(C)などに基づきエネルギー線照射前の粘着性が高く、エネルギー線重合性化合物(B)に基づきエネルギー線照射後の粘着性が低い。
以下、粘着剤層3の物性や形状の特徴について詳説する。なお、粘着剤組成物から粘着剤層3を形成する方法については後述する。
(2−2−1)照射前貯蔵弾性率
本実施形態に係るダイシングシート1が備える粘着剤層3は、照射前貯蔵弾性率G’が0.01MPa以上であることが好ましい。照射前貯蔵弾性率G’がこの範囲を満たすことによって、粘着剤層3が過度に軟質となってダイシング工程中にモールドチップが飛散はしないもののずれが生じてしまうなどの問題が生じる可能性を安定的に低減させることができる。上記の問題が生じる可能性をより安定的に低減させる観点から、照射前貯蔵弾性率G’は0.03MPa以上であることが好ましい。照射前貯蔵弾性率G’の上限は特に限定されないが、照射前貯蔵弾性率G’が過度に高い場合には、粘着性、特にエネルギー線照射前の粘着性が低くなり、結果的に次に説明する粘着力比の要請を満たすことが困難となる。粘着力比を下記の範囲に制御することを安定的に実現する観点から、照射前貯蔵弾性率G’は0.12MPa以下とすることが好ましく、0.09MPa以下とすることがより好ましい。なお、上記の照射前貯蔵弾性率は、例えば、公知の粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント社製、ARES)を用いて測定することができる。また、その測定にあたっては、実施例において後述するように、粘着剤層3を構成する材料からなる厚さ1mm程度の層状体を被測定物とすることが、測定結果のばらつきを少なくする観点から好ましい。
(2−2−2)粘着力比
本明細書において、粘着力比とは、本実施形態に係るダイシングシート1が備える粘着剤層3における基材2に対向する側と反対側の露出面を測定対象面、半導体パッケージの樹脂封止面を被着面として、JIS Z0237:2009(ISO 29862−29864:2007)に準拠して、180°引き剥がし試験を行ったときに測定されるダイシングシート1の粘着力について、エネルギー線照射前の状態における粘着力(以下、「照射前粘着力」ともいう。)の、エネルギー線照射後の状態における粘着力(以下、「照射後粘着力」ともいう。)に対する比(前/後)を意味する。本実施形態に係るダイシングシート1の粘着力比は3以上であることが好ましい。粘着力比がかかる範囲であることにより、ダイシング工程やエキスパンド工程においてモールドチップ飛散が生じる可能性を低減させつつ、ピックアップ工程においてピックアップ不良が生じる可能性を低減させることが実現される。粘着力比が3未満の場合には、照射前粘着力を高く維持することが困難となるためにモールドチップ飛散が発生しやすくなったり、照射後粘着力を低く維持することが困難となるためにピックアップ不良が発生しやすくなったりする。粘着力比の上限は特に設定されない。粘着剤層3のエネルギー線照射による重合の際に生じる体積収縮の程度は、粘着力比と正の相関関係にあるため、粘着力比が過度に高い場合には、モールドチップが粘着剤層3のこの重合時に移動する不具合が発生することが懸念される。したがって、通常は、粘着力比は20以下とすることが好ましく、13以下とすることがより好ましく、10以下とすることが特に好ましい。
照射前粘着力および照射後粘着力のそれぞれの好適範囲は、ダイシング工程、エキスパンド工程およびピックアップ工程の具体的条件や、被着体である半導体パッケージの被着面である樹脂封止面の材質や表面状態(凹凸の程度など)に応じて適宜設定される。ダイシング工程中にモールドチップ飛散を生じにくくする観点から、通常は、照射前粘着力は500mN/25mm以上であることが好ましく、1000mN/25mm以上であることがより好ましい。また、照射後粘着力は100mN/25mm以上500mN/25mm以下であることが好ましく、200mN/25mm以上400mN/25mm以下であることがより好ましい。
(2−2−3)厚さ
本実施形態に係るダイシングシート1が備える粘着剤層3の厚さは特に限定されない。過度に薄い場合には粘着性にばらつきが発生しやすくなり、過度に厚い場合には粘着性が過度に高まって粘着力比を前述の範囲に制御することが困難となったり、ピックアップ時に粘着剤層3内部で凝集破壊が生じる可能性が高まったりすることが懸念される。こうした問題が生じる可能性を安定的に低減させる観点から、粘着剤層3の厚さは、2μm以上50μm以下とすることが好ましく、5μm以上35μm以下とすることがより好ましく、5μm以上20μm以下とすることが特に好ましい。
(3)剥離シート
本実施形態に係るダイシングシート1は、粘着剤層3を被着体である半導体パッケージに貼付するまでの間において粘着剤層3を保護する目的で、粘着剤層3の被粘着処理面に対向する側と反対側の面に、剥離シートの剥離面が貼合されていてもよい。剥離シートの構成は任意であり、プラスチックフィルムに剥離剤を塗布したものが例示される。プラスチックフィルムの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、およびポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンフィルムが挙げられる。剥離剤としては、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系などを用いることができるが、これらの中で、安価で安定した性能が得られるシリコーン系が好ましい。上記の剥離シートのプラスチックフィルムに代えて、グラシン紙、コート紙、上質紙などの紙基材または紙基材にポリエチレンなどの熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙を用いてもよい。該剥離シートの厚さについては特に制限はないが、通常20μm以上250μm以下程度である。
2.ダイシングシートの製造方法
ダイシングシート1は、一例として、基材2の被粘着処理面に、粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物を含む塗工用組成物を塗布し、得られた塗膜を乾燥することによって製造することができる。
塗工用組成物の組成は、粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物を含む限り特に限定されない。一例を挙げれば、塗工用組成物は、粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物を含有し、塗布工程のハンドリング性や塗膜のレべリング性を向上させる観点からさらに溶媒を含有する。塗工用組成物が溶媒を含む場合における溶媒の種類は特に限定されないが、粘着剤層3を形成するための粘着剤組成物がイソシアネート系架橋剤(a2)を含有することから、水酸基、アミノ基などイソシアネート基に対する反応性が高い基を有さない有機物質からなることが好ましい。
上記の塗工用組成物を、基材2の被粘着処理面上に、ロッドコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、スリットコーター、ナイフコーター等により塗布し、得られた被粘着処理面上の塗膜を乾燥させることにより、粘着剤層3を形成することができる。塗工用組成物は、塗布を行うことが可能であればその性状は特に限定されず、粘着剤層3を形成するための成分を溶質として含有する場合もあれば、分散質として含有する場合もある。また、上記の乾燥条件(温度、時間など)を調整することにより、または別途架橋のための加熱処理を設けることにより、粘着剤層3内のイソシアネート系架橋剤(a2)と水酸基を有する重合体(a1)および基材2の被粘着処理面に存在するイソシアネート反応性基との反応を進ませることができる。この反応を十分に進行させるために、上記の方法などによって基材2に粘着剤層3を積層させた後、得られたダイシングシート1を、例えば23℃、相対湿度50%の環境下に数日間静置するといった養生を行ってもよい。
あるいは、上記の剥離シートの剥離面上に塗工用組成物を塗布して塗膜を形成し、これを乾燥させて粘着剤層3と剥離シートとからなる積層体を形成し、この積層体の粘着剤層3における剥離シートに対向する側と反対側の面を基材2の被粘着処理面に貼付して、ダイシングシート1と剥離シートとの積層体を得てもよい。この積層体における剥離シートは工程材料として剥離してもよいし、半導体パッケージに貼付するまでの間粘着剤層3を保護していてもよい。
3.モールドチップの製造方法
続いて、本実施形態に係るダイシングシート1を用いて、半導体パッケージからモールドチップを製造する方法について説明する。
本実施形態に係るダイシングシート1は、使用にあたり、粘着剤層3側の面(かかる面に剥離シートが貼付されている場合には、剥離シートを剥離することによりこれを表出させる。)を半導体パッケージの樹脂封止面に貼付する。ダイシングシート1の外周部は、通常その部分に設けられた粘着剤層3により、リングフレームと呼ばれる搬送や装置への固定のための環状の冶具に貼付される。粘着剤層3が粘着付与樹脂(C)などを含有するため、ダイシングシート1の照射前粘着力は高められている。それゆえ、ダイシングシート1に貼付された半導体パッケージをダイシング工程に供しても、半導体パッケージが個片化されてなるモールドチップが加工中に飛散する可能性は低減されている。なお、半導体パッケージは上述のとおり基台の集合体の各基台上に半導体チップを搭載し、これらの半導体チップを一括して樹脂封止した電子部品集合体であるが、通常基板面と樹脂封止面を有し、その厚さは200〜2000μm程度である。樹脂封止面は表面の算術平均粗さRaが0.5〜10μm程度と粗く、また、封止装置の型からの取り出しを容易とするため、封止材料が離型成分を含有していることがあるために、ダイシングシートの粘着剤層を樹脂封止面に貼付しても、十分な固定性能が発揮されない傾向がある。また、ダイシング工程により形成されるモールドチップのサイズは通常10mm×10mm以下であり、近年は5mm×5mm以下、さらには1mm×1mm程度とされる場合もあるが、本実施形態に係るダイシングシート1は、好ましい一態様では照射前粘着力が十分に高いため、そのようなファインピッチのダイシングにも十分に対応することができる。
ダイシング工程終了後、ダイシングシート1上に近接配置された複数のモールドチップをピックアップしやすいように、通常は、ダイシングシート1を主面内方向に伸張するエキスパンド工程が行われる。伸張の程度は、隣接するモールドチップが有すべき間隔、基材2の引張強度などを考慮して適宜設定すればよい。
エキスパンド工程の実施により隣接配置されたモールドチップ同士が適切に離間したら、吸引コレット等の汎用手段により、粘着剤層3上のモールドチップのピックアップを行う。このピックアップ工程の実施までに、本実施形態に係るダイシングシート1の基材2側からエネルギー線照射を行えば、ダイシングシート1が備える粘着剤層3は、これに含有されるエネルギー線重合性化合物(B)の重合反応が進行して、照射後粘着力が減少する。好ましい一態様によれば、照射後粘着力は照射前粘着力の1/3以下となり、このときピックアップ工程においてピックアップできないといった不具合が生じる可能性は低減される。このエネルギー線照射の実施時期は、ダイシング工程におけるダイシング作業の終了後、ピックアップ工程の開始前であれば特に限定されない。エキスパンド工程においてモールドチップ飛散が生じる可能性を低減する観点からはエキスパンド工程後に実施することが好ましいが、エネルギー線照射による粘着剤層3が硬化することに伴って当該層は若干収縮するため、この収縮に基づく位置ずれが問題となる場合などは、エキスパンド工程の実施前にエネルギー線照射を実施してもよい。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)塗工用組成物の調製
次の組成を有する塗工用組成物を調製した。
i)水酸基を有する重合体(a1)として、100質量部のブチルアクリレートと2質量部のアクリル酸と0.5質量部の2−ヒドロキシエチルアクリレートとを共重合して得た共重合体(重量平均分子量60万、固形分濃度40質量%)を固形分として100質量部、
ii)エネルギー線重合性化合物(B)として、6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(大日精化工業社製14−29B、重量平均分子量2000、固形分濃度80質量%)からなるアクリレート系化合物を固形分として100質量部、
iii)粘着付与樹脂(C)として、テルペンフェノール系粘着付与樹脂(ヤスハラケミカル社製ポリスターU115、固形分濃度100質量%)を固形分として62.5質量部、
iv)イソシアネート系架橋剤(a2)として、ポリイソシアネート化合物(トリレンジイソシアネ−トのトリメチロールプロパン付加物、日本ポリウレタン社製コロネートL、1分子中のイソシアネート基数3個、固形分濃度75質量%、後述するNCO含有率26質量%)を固形分として9.4質量部、および
v)光重合開始剤として、イルガキュア184(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、固形分濃度100質量%)を固形分として7.5質量部。
(2)ダイシングシートの作製
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート製基材フィルムの一方の主面上に厚さ0.1μmのシリコーン系の剥離剤層が形成されてなる剥離シート(リンテック社製SP−PET382120、幅長1000mm)を用意した。この剥離シートの剥離面上に、前述の塗工用組成物を、ロッドコーターにて、最終的に得られる粘着剤層の厚さが10μmとなるように塗布した。得られた塗膜を剥離シートごと80℃のオーブン内に1分間静置することにより塗膜を乾燥するとともに水酸基を有する重合体(a1)とイソシアネート系架橋剤(a2)との反応を進行させて、剥離シートと粘着剤層(厚さ10μm)とからなる積層体を得た。
厚さ140μmのエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)フィルム(メタクリル酸の共重合比は、用いた単量体の全質量を基準として9質量%であり、破断伸度は26MPa、破断応力は525%であった。)からなる基材の一方の面を被粘着処理面として、その面に、上記の積層体の粘着剤層側の面を貼付して、図1に示されるような基材と粘着剤層とからなるダイシングシートを、粘着剤層側の面に剥離シートがさらに積層された状態で得た。
〔実施例2〕
実施例1において、塗工用組成物に含有される粘着付与樹脂(C)の含有量を固形分として25質量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ダイシングシートを得た。
〔実施例3〕
実施例1において、塗工用組成物に含有される粘着付与樹脂(C)の種類を石油系樹脂(三井化学社製FTR6100、固形分濃度100質量%)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ダイシングシートを得た。
〔実施例4〕
実施例1において、塗工用組成物に含有される粘着付与樹脂(C)の種類をロジンエステル系粘着付与樹脂(荒川化学工業社製KE−311、固形分濃度100質量%)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ダイシングシートを得た。
〔実施例5〕
実施例1において、塗工用組成物に含有されるイソシアネート系架橋剤(a2)の含有量を固形分として13.2質量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ダイシングシートを得た。
〔実施例6〕
実施例1において、塗工用組成物に含有されるイソシアネート系架橋剤(a2)の含有量を固形分として6.6質量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ダイシングシートを得た。
〔実施例7〕
実施例1において、基材を厚さ140μmのポリエチレンフィルム(破断伸度:28MPa、破断応力:580%)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ダイシングシートを得た。
〔実施例8〕
実施例1において、基材を厚さ140μmの、中心金属がZnイオンであるアイオノマーフィルム(破断伸度:24MPa、破断応力:530%)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ダイシングシートを得た。
〔比較例1〕
実施例1において、塗工用組成物に含有されるイソシアネート系架橋剤(a2)の含有量を固形分として1質量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ダイシングシートを得た。
〔比較例2〕
実施例1において、塗工用組成物にエネルギー線重合性化合物(B)を含有させなかった以外は、実施例1と同様の操作を行い、ダイシングシートを得た。
〔比較例3〕
実施例1において、塗工用組成物に含有されるイソシアネート系架橋剤(a2)の含有量を固形分として27.2質量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ダイシングシートを得た。
実施例および比較例に係る塗工用組成物の組成を表1に示す。
Figure 0006081094
〔試験例1〕<NCO/OH比の測定>
(1)架橋性水酸基価
実施例1から9および比較例1から2に係る塗工用組成物のそれぞれの組成から、イソシアネート系架橋剤(a2)を含有させないこととして得られる組成を有する試験液、具体的には、水酸基を有する重合体(a1)、エネルギー線重合性化合物(B)、粘着付与樹脂(C)、光重合開始剤、および溶媒からなる架橋性水酸基価測定用試験液を用意した。なお、比較例2に係る試験液ではエネルギー線重合性化合物(B)を含有させなかった。
この架橋性水酸基価測定用試験液を被測定液として、JIS K1557−1:2007に準拠して中和滴定法を実施し、各試験液の架橋性水酸基価(単位:mgKOH/g)を測定した。測定結果を表2に示す。
(2)NCO含有率
イソシアネート系架橋剤(a2)を5〜10gサンプリングしてその固形分の質量を測定した(単位:mg)のち、これをトルエン20mlに溶解し、得られた溶液に2規定のn−ジブチルアミンのトルエン溶液20ml加え、室温で15分間放置してイソシアネート系架橋剤(a2)に含まれているポリイソシアネート化合物とn−ジブチルアミンとの反応を行った。
反応終了後、自動滴定装置(京都電子社製APB−410)を用いて、得られた反応混合物の全量を1規定塩酸で逆滴定し、反応混合物中の未反応n−ジブチルアミンの中和に要する1規定塩酸の体積(試料滴定量、単位:ml)を求めた。
一方、イソシアネート系架橋剤(a2)を含有させない以外は上記と同様の操作を行い、同様に未反応n−ジブチルアミンの中和に要する1規定塩酸の体積(ブランク滴定量、単位:ml)を求めた。
以上のようにして求めた試料滴定量およびブランク滴定量より、以下の式に従ってNCO含有率を求めた。下記式から明らかなように、NCO含有率とは、イソシアネート系架橋剤(a2)に含有されるポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基の質量比率(単位:質量%)である。
NCO含有率=(ブランク滴定量−試料滴定量)×42/試料質量×100
(3)NCO/OH比
実施例および比較例のそれぞれに対応する架橋性水酸基測定用試験液の100gあたりの架橋性水酸基のモル数MOH(単位:mol)を下記式により求めた。
OH=架橋性水酸基価/1000/KOH式量(56.1)×100
一方、実施例および比較例に係る塗工用組成物のそれぞれについて、塗工用組成物中の架橋性水酸基を与えうる成分の質量の総和が100gであるとした場合における塗工用組成物中のイソシアネート系架橋剤の質量W(単位:g)を求め、その質量Wのイソシアネート架橋剤が有するイソシアネート基のモル数MNCO(単位:mol))を下記式により算出した。
NCO=NCO含有率/100/イソシアネート基構成原子の原子量総和(42)×W
上記式により求めたモル数MOHおよびMNCOから、下記式によって、実施例および比較例に係る塗工用組成物のそれぞれについてのNCO/OH比を求めた。
NCO/OH比=MNCO/MOH
架橋性水酸基価およびNCO/OH比を表2に示す。
〔試験例2〕<キーイング試験>
実施例1から9および比較例1から2により製造したダイシングシートに、23℃、相対湿度50%の環境下に7日間静置することによる養生を行った後、切断して、各辺200mmの正方形のキーイング試験用シートを得た。このキーイング試験用シートの粘着剤層側の主面の中央部に5mm間隔で縦横双方に21ライン(マス目の数が400)の碁盤目切れ込みを入れた。各ラインの切れ込みは、粘着剤層を完全に切断するものの基材への切り込み深さは浅くなるようにした。こうして得られたキーイング試験用シートの粘着剤層側の主面にセロハン粘着テープ(ニチバン社製セロテープ(登録商標)No.405)の5列を、テープが互いに重なり部分を有するように貼付して、上記の碁盤目切れ込み全体を貼付したセロハン粘着テープによって覆った。この状態で、23℃、相対湿度50%の環境下に20分間放置した。その後、一方の手でキーイング試験用シートを押えながらもう一方でセロハン粘着テープの一方の端を持ち、セロハン粘着テープをキーイング試験用シートの主面の法線方向に沿った方向に一気に引き剥がした。
セロハン粘着テープ剥離後のキーイング試験用シートの碁盤目切れ込み部分を目視で観察し、部分的にも剥離が生じていないマスの数を付着マス数として計測し、下記式により非剥離率(単位:%)を求めた。非剥離率が80%以上の場合に合格と判定した。結果を表2に示す。
非剥離率=付着マス数/400×100
〔試験例3〕<粘着力比の測定>
上記の実施例および比較例により製造したダイシングシートに、23℃、相対湿度50%の環境下に7日間静置することによる養生を行った後、それぞれを切断して長さ200mm幅25mmの粘着力測定用シートを得た。半導体パッケージ用樹脂(京セラケミカル社製KE−G1250)を用いて、厚さが600μm、一方の主面の算術平均粗さRaが2μmのシート状の部材を製造した。上記の粘着力測定用シートのそれぞれについて、その粘着剤層側の面をこのシート状部材の上記の一方の主面に貼付して、シート状部材と粘着力測定用シートとからなる積層体を得た。得られた積層体を23℃、相対湿度50%の雰囲気下に20分間放置した。放置後の積層体について、万能型引張試験機(株式会社オリエンテック製、TENSILON/UTM−4−100)を用いて、JIS Z0237:2009に準拠して、180°引き剥がし試験(粘着力測定用シートを引き剥がされる側の部材とした。)を行い、照射前粘着力を測定した(単位:mN/25mm)。
上記のシート状部材と粘着力測定用シートとからなる積層体をもう一組作製し、23℃、相対湿度50%の雰囲気下に20分間放置した。その後、紫外線照射装置(リンテック社製、RAD−2000m/12)を用い、窒素雰囲気下にてダイシングシート側から紫外線照射(照度230mW/cm、光量190mJ/cm)して、上記の積層体における粘着剤層に含有されるエネルギー線重合性化合物(B)を重合させた。この紫外線照射後の積層体について、上記の照射前粘着力を測定するための引き剥がし試験と同一の条件での引き剥がし試験を行い、照射後粘着力を測定した(単位:mN/25mm)。
こうして得られた照射前粘着力および照射後粘着力から、粘着力比を求めた。得られた照射前粘着力および粘着力比を表2に示す。
〔試験例4〕<ダイシング工程におけるチップ飛散率の測定>
半導体基板の代わりとしてガラスエポキシ板(ガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸させ、硬化させたもの)を用い、この上に、半導体パッケージ用樹脂(京セラケミカル製:KE−G1250)を下記条件にてトランスファー成型して、サイズ:50mm×50mm、厚さ:600μmの封止樹脂を形成し、半導体パッケージを模した部材(以下、「試験部材」という。)を得た。
<トランスファー成型条件>
封止装置:アピックヤマダ社製、MPC−06M Trial Press
注入樹脂温度:180℃
樹脂注入圧:6.9MPa
樹脂注入時間:120秒
得られた試験部材の封止樹脂側の面の算術平均粗さRaは2μmであった。
試験部材の封止樹脂側の面に、実施例および比較例にて作製したダイシングシートに、23℃、相対湿度50%の環境下に7日間静置することによる養生を行った後、それぞれをテープマウンター(リンテック社製:Adwill RAD2500)を用いて貼付し、得られた試験部材とダイシングシートとの積層体における試験部材側の面の周縁部(ダイシングシートの粘着剤層側の面が露出している部分)に、ダイシング用リングフレーム(ディスコ社製:2−6−1)を付着させた。次いで、試験部材を下記の条件でダイシングして、5mm角のモールドチップを模したチップ状部材(個数:100)を得た。
<ダイシング条件>
・ダイシング装置 :DISCO社製 DFD−651
・ブレード :DISCO社製 ZBT−5074(Z111OLS3)
・刃の厚さ :0.17mm
・刃先出し量 :3.3mm
・ブレード回転数 :30000rpm
・切削速度 :100mm/分
・基材切り込み深さ:50μm
・切削水量 :1.0L/分
・切削水温度 :20℃
ダイシング工程により得られた、ダイシングシートの粘着剤層側の面にチップ状部材が付着してなる部材を目視で観察して、ダイシング工程中にダイシングシートから飛散したチップ状部材の個数を数え、その個数をダイシング工程における分割数100で除して、チップ飛散率(単位:%)を求めた。結果を表1に示す。
ダイシングピッチを5mmから1mmに変更するとともに切削速度を50mm/分に変更した以外は試験例3と同一の条件で試験部材をダイシングして、1mm角のデバイスチップを模したチップ状部材(個数:2500)を得た。この場合におけるチップ飛散率(単位:%)も求めた。その結果を表2に示す。
〔試験例5〕<ピックアップ試験>
試験例3と同様の条件にて試験部材の作製およびダイシング工程を行うことにより、実施例および比較例にて作製したそれぞれのダイシングシートの粘着剤層側の面に1mm×1mmの大きさのチップ状部材が付着した部材を得た。
このダイシングシートの粘着剤層側の面にチップ状部材が付着してなる部材におけるダイシングシートを、エキスパンド装置(ジェイシーエム社製ME−300Bタイプ)を用いて、速度300mm/分で当該シートの主面内方向に20mm伸張させるエキスパンド工程を実施した。
エキスパンド工程後の上記の部材に対して、紫外線照射装置(リンテック社製RAD−2000m/12)を用い、窒素雰囲気下にてダイシングシート側から紫外線照射(照度230mW/cm、光量190mJ/cm)を行って、ダイシングシートが備える粘着剤層に含有されるエネルギー線重合性化合物(B)を重合させた。
続いて、ダイシングシートの主面の中心近傍上に位置する100個のチップ状部材についてピックアップ試験を行った。すなわち、装置としてデジタル・プッシュプルゲージ(アイコーエンジニアリング社製 MODEL−RE)にニードル(5号)をセットしたものを用い、ダイシングシートにおけるピックアップ対象とするチップ状部材に接する部分を、基材側からニードルで1.5mm突き上げ、突出したチップ状部材のダイシングシートに対向する側と反対側の面に真空コレットを付着させ、真空コレットに付着したチップ状部材を持ち上げた。このとき、真空コレットによりピックアップできたチップ状部材の個数を測定し、その個数を試験個数(100)で除してピックアップ率(単位:%)を求め、ピックアップ率が80%以上である場合に良好(表1中「A」)と判定し、80%未満の場合に不良(表1中「F」)と判定した。その結果を表2に示す。
Figure 0006081094
表1から分かるように、本発明の条件を満たす実施例のダイシングシートは、ダイシング工程、エキスパンド工程およびピックアップ工程のいずれにおいても不具合が発生しにくいといえるものであった。
本発明に係るダイシングシートは、被着面である樹脂封止面の凹凸が大きい半導体パッケージのダイシングシートとして好適に用いられる。
1…ダイシングシート
2…基材
3…粘着剤層

Claims (13)

  1. 基材と、前記基材の少なくとも一方の面に積層された粘着剤層とを備えたダイシングシートであって、
    前記粘着剤層は、水酸基を有する重合体(a1)、イソシアネート系架橋剤(a2)、エネルギー線重合性化合物(B)および粘着付与樹脂(C)を含有する粘着剤組成物から形成されたものであって、
    前記粘着剤組成物に含有される前記イソシアネート系架橋剤(a2)が有するイソシアネート基の総量(単位:mol)の、前記粘着剤組成物に含有される前記イソシアネート系架橋剤(a2)以外の成分が有する水酸基の総量(単位:mol)に対する比率であるNCO/OH比が4以上15以下であり、
    前記粘着剤組成物に含有される前記イソシアネート系架橋剤(a2)以外の成分全体の水酸基価は、2mgKOH/g以上であるダイシングシート。
  2. 前記粘着剤組成物に含有される前記イソシアネート系架橋剤(a2)の含有量は、前記水酸基を有する重合体(a1)100質量部に対して、2質量部以上14質量部以下である請求項1に記載のダイシングシート。
  3. 前記粘着剤層の厚さが5μm以上35μm以下である請求項1または2に記載のダイシングシート。
  4. 前記基材の前記粘着剤層が積層される側の面には、前記粘着剤層が積層される前の状態においてイソシアネート反応性基が存在する請求項1からのいずれか一項に記載のダイシングシート。
  5. 前記イソシアネート反応性基は、カルボキシル基、水酸基、アミノ基およびチオール基からなる群から選ばれる1種または2種以上を含む請求項に記載のダイシングシート。
  6. 前記基材の前記粘着剤層が積層される側の面は、前記イソシアネート反応性基を有する重合体を含む樹脂系材料からなるフィルムの面である請求項またはに記載のダイシングシート。
  7. 前記イソシアネート反応性基を有する重合体は、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体およびアイオノマーからなる群から選ばれる1種または2種以上を含む請求項に記載のダイシングシート。
  8. 前記基材の前記粘着剤層が積層される側の面は、前記粘着剤層が積層される前に表面処理が施された面である請求項またはに記載のダイシングシート。
  9. 前記基材の前記粘着剤層が積層される側の面は、前記イソシアネート反応性基を有する材料を含有する層の面である請求項またはに記載のダイシングシート。
  10. 前記ダイシングシートは、粘着剤層における基材に対向する側と反対側の露出面を測定対象面、半導体パッケージの樹脂封止面を被着面として、JIS Z0237:2009に準拠して180°引き剥がし試験を行ったときに測定される粘着力について、エネルギー線照射前の状態における粘着力のエネルギー線照射後の状態における粘着力に対する比が3以上である請求項1からのいずれか一項に記載のダイシングシート。
  11. 前記ダイシングシートは、粘着剤層における基材に対向する側と反対側の露出面を測定対象面、半導体パッケージの樹脂封止面を被着面として、JIS Z0237:2009に準拠して180°引き剥がし試験を行ったときに測定される粘着力が、エネルギー線照射前の状態において500mN/25mm以上である請求項1から10のいずれか一項に記載のダイシングシート。
  12. 前記粘着剤層の前記基材と反対側の面を、半導体チップを樹脂封止した半導体パッケージの樹脂封止面に貼付する請求項1から11のいずれか一項に記載のダイシングシート。
  13. 請求項1から12のいずれか一項に記載されるダイシングシートの前記粘着剤層側の面を、半導体パッケージの樹脂封止面に貼付し、前記ダイシングシート上の前記半導体パッケージを切断して個片化し、複数のモールドチップを得る、モールドチップの製造方法。
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