JP6423242B2 - ダイシングフィルムおよび半導体装置の製造方法 - Google Patents

ダイシングフィルムおよび半導体装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ダイシングフィルムおよび半導体装置の製造方法に関する。ダイシングフィルムは、半導体ウエハや発光ダイオード(LED)を素子小片(チップ)に切断・分割し、素子をピックアップ方式で自動回収する工程においてウエハの表面または裏面に貼り付けする固定支持用粘着シートとして有用である。
従来の電子・電気機器に用いられる半導体装置の製造方法では、基板上に設置した半導体チップをワイヤボンディングにより導電接続することが行われていた。近年、機器のさらなる小型化、薄型化、軽量化を図ることが要求されており、機器の内部に使用される半導体装置をはじめとする電子部品についても同様の要求がなされている。電子部品の小型化・高密度実装化への取り組みの一つとして、例えば半導体チップを積層して高密度実装を実現する三次元実装技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、これらの取り組みに応える技術として、例えば半導体チップの内部に貫通電極を形成し、インターポーザと呼ばれる実装用のチップに積層した半導体パッケージ構造が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
貫通電極を有する半導体チップの製造に用いるダイシングテープとしては、粘着剤層の厚みを一定範囲としたうえで、粘着剤層のゲル分率を一定の範囲にすると同時に、貯蔵弾性率を一定以上にしたダイシングテープが知られている(例えば、特許文献3参照)。
また、特許文献3に記載のダイシングテープは、刺激により気体を発生する気体発生剤を粘着剤層に含有させることにより、剥離時に刺激を与えて、貫通電極を破損することなく剥離するように構成されている。
他にも、表面に均一に突起を設けた半導体ウエハに対する粘着力を一定範囲にしたダイシングテープが知られている(例えば、特許文献4参照)。
特開2002−50738号公報 特開2005−236245号公報 特開2006−202926号公報 特許5379459号
特許文献2のように、貫通電極が形成された半導体ウエハを、素子小片(半導体チップ)に切断分離(ダイシング)するダイシング工程後に半導体チップをピックアップするピックアップ工程にて粘着テープを用いる場合、ダイシング工程時にはウエハ裏面およびウエハ裏面の電極を十分に保持しなければならない。
しかし、貫通電極が設けられた半導体ウエハでは、通常、一方又は両方の面に貫通電極が10〜15μm程度の高さに突出した突起部分がある。そのため、従来の貫通電極の無い半導体ウエハの加工用のダイシングテープを貼付しても、その突起部分に十分に追従できず、十分な保持力を得られない。一方、ピックアップ工程では容易に半導体チップが粘着テープから剥離できる性能が要求されるため、単にダイシングテープの粘着剤層の粘着力を大きく、保持力を大きくしただけでは、この要求に答えられない。また、個片化したチップの積層時の接触不良を引き起こす原因となりうるため、ピックアップ工程後に半導体チップのウエハ裏面およびウエハ裏面の電極に粘着剤が付着しないことが求められている。
さらに、貫通電極が設けられた半導体ウエハに従来のダイシングテープを貼付した場合、粘着剤層が充分に上記の突起部分に追従できず、粘着剤層と貫通電極との間に「空間」が生じてしまうことがある。通常ダイシング工程においては、加工点の冷却および半導体表面の洗浄を目的として切削水が供給されるが、上記の空間が存在する場合、その空間に切削水が侵入して貫通電極を機械的または電気的に破損するおそれがある。
特許文献3に記載のダイシングテープでは、ゲル分率および貯蔵弾性率を特定の範囲で規定しているが、これらの規定では、実際のダイシング工程における突起付半導体ウエハ保持力を正しく評価できるものとは言い難い。
また、特許文献3では、特別な気体発生剤を含有させるためコスト高となる上、ピックアップ工程において、通常は行われない、刺激を与えて気体を発生させる工程を必要とし、手順が煩雑になる。
また、特許文献4に記載のダイシングテープでは、均一に配置されている突起に粘着剤層を追従させてウエハに対する粘着力を高めているが、ウエハの平滑面では粘着力が低くなってしまう。ここで、ダイシング工程では突起がなく平滑面であるダイシングストリートに対してブレードが切り込むため、平滑面での粘着力が低いことで切削水の浸入が発生し、十分な効果が得られないおそれがある。
また、特許文献1〜4に記載のようなダイシングテープでは、薄いウエハをダイシングした場合、その後、ダイシングテープを拡張してチップをピックアップする際に、チップに過重な応力がかかり、チップが変形したり、破損したりするおそれがある。また、チップの変形・破損を抑制するために、柔らかいダイシングテープを用いた場合、テープ同士でブロッキングが発生しやすくなる。
本発明の一形態は、上記課題を鑑みてなされたものであり、ダイシング後の半導体チップをピックアップするピックアップ工程にて、半導体チップの変形・破損を抑制しつつ半導体チップを容易に剥離でき、かつ、フィルム同士のブロッキングが抑制されたダイシングフィルムおよび当該ダイシングフィルムを用いた半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明の他の形態は、半導体装置の製造時に用いることで、ダイシング工程にてウエハを十分に保持でき、かつ、ピックアップ工程後に半導体チップの裏面および貫通電極に粘着剤が付着しにくいダイシングフィルムおよび当該ダイシングフィルムを用いた半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
<1> 幅25mmおよび長さ150mmの試料片とし、引張試験機によりチャック間距離100mm、引張速度10mm/分の条件で前記試料片を引張った場合における1%伸長時の力が300g/25mm以下であること、および(2)JIS K7125により測定した表面の静摩擦係数が0.1〜2.0であること、を満たす、ダイシングフィルム。
<2> 密度が900kg/m〜930kg/mである低密度ポリエチレンを含み、厚みが40μm〜150μmであるA層と、密度が800kg/m〜890kg/mであるオレフィン系共重合体を含み、厚みが20μm〜100μmであるB層と、放射線硬化型粘着剤および熱硬化型粘着剤からなる群より選択される少なくとも一つの粘着剤であるC層と、がこの順に積層されている、<1>に記載のダイシングフィルム。
<3> 前記B層の厚みは、ダイシングフィルムの総厚みの1/2以下である、<2>に記載のダイシングフィルム。
<4> 前記A層は、滑剤成分を1質量%以下含む、<2>に記載のダイシングフィルム。
<5> 更に、滑剤成分を含む層が、前記B層が設けられている面とは反対側にて、前記A層上に積層されている、<2>〜<4>のいずれか1つに記載のダイシングフィルム。
<6> 総厚みが60μm超300μm以下である、<1>〜<5>のいずれか1つに記載のダイシングフィルム。
<7> 貫通電極を備える半導体ウエハに、<1>〜<6>のいずれか1つに記載のダイシングフィルムを貼り合わせる工程と、前記半導体ウエハをダイシングして半導体チップを得る工程と、前記ダイシングフィルムを拡張して、前記半導体チップをピックアップする工程と、を含む、半導体装置の製造方法。
<8> 前記貼り合わせる工程では、前記半導体ウエハに<2>〜<5>のいずれか1つに記載のダイシングフィルムを、前記半導体ウエハと前記C層とが接するようにして貼り合わせる、<7>に記載の半導体装置の製造方法。
<9> 前記ダイシングフィルムの総厚みが60μm超300μm以下である、<8>に記載の半導体装置の製造方法。
本発明の一形態によれば、ダイシング後の半導体チップをピックアップするピックアップ工程にて、半導体チップの変形・破損を抑制しつつ半導体チップを容易に剥離でき、かつ、フィルム同士のブロッキングが抑制されたダイシングフィルムおよび当該ダイシングフィルムを用いた半導体装置の製造方法を提供することができる。
本発明の他の形態によれば、半導体装置の製造時に用いることで、ダイシング工程にてウエハを十分に保持でき、かつ、ピックアップ工程後に半導体チップの裏面および貫通電極に粘着剤が付着しにくいダイシングフィルムおよび当該ダイシングフィルムを用いた半導体装置の製造方法を提供することができる。
本実施形態に係るダイシングフィルムを模式的に示す断面図である。 滑剤層を備える本実施形態に係るダイシングフィルムを模式的に示す断面図である。 本実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
以下、本発明の一実施形態について説明する。本発明の一実施形態に係るダイシングフィルムは、幅25mmおよび長さ150mmの試料片とし、引張試験機によりチャック間距離100mm、引張速度10mm/分の条件で前記試料片を引張った場合における1%伸長時の力が300g/25mm以下であること、および(2)JIS K7125により測定した表面の静摩擦係数が0.1〜2.0であることを満たす。
ダイシングフィルムが、上記(1)を満たすことにより、ダイシング後の半導体チップをピックアップするピックアップ工程にてダイシングフィルムを低応力で拡張させることができる。そのため、ピックアップ工程にて、半導体チップに過重な応力がかかることが抑制され、剛性が低い薄い半導体チップであっても変形したり、破損したりすることが抑制される。
また、ダイシングフィルムが、上記(2)を満たすことにより、フィルム同士のブロッキングが抑制される。また、ピックアップ工程にて、拡張テーブルおよび突き上げ装置との滑りがよいため、半導体チップの変形・破損を抑制しつつ半導体チップを容易に剥離でき、併せて、フィルム同士のブロッキングの発生も抑制できる。
ダイシングフィルムにおいて、幅25mmにおける1%伸長時の力は、300g/25mm以下であればよいが、280g/25mm以下が好ましく、260g/25mm以下がより好ましい。これにより、ダイシング後の半導体チップをダイシングテープからピックアップする際に、半導体チップに過剰な応力を掛けることがなく半導体チップの破損を防止することができる。
幅25mmにおける1%伸長時の力は、以下の方法で測定すればよい。すなわち、
i)ダイシングフィルムをカットして、幅(TD方向)25mm、長さ(MD方向)150mmの短冊状の試料片を準備する。
ii)次いで、引張試験機によりチャック間距離100mm、引張速度10mm/分の条件で試料片を引張り、伸び1mmの時点の力を測定する。測定は、温度23℃、相対湿度55%の条件下で実施する。
本実施形態において、1%伸長時の力が前記範囲であれば、総厚みは特に限定されないが、上記試験により1%伸長時の力を測定するためには、60μm超300μm以下であることが好ましく、80μm〜250μmであることがより好ましい。
さらに、ダイシングフィルムにおいて、幅25mmにおける1%伸長時の力は、100g/25mm以上であることが好ましく、150g/25mm以上であることがより好ましく、180g/25mm以上であることがさらに好ましい。これにより、ダイシング後の半導体チップをダイシングテープからピックアップする際に、半導体チップからのダイシングテープの剥離を進行させることができる程度の応力をダイシングテープに継続してかけることが容易にでき、ピックアップ性により優れる。
また、ダイシングフィルムにおいて、表面の静摩擦係数が0.1〜2.0であればよいが、0.1〜1.0であることが好ましい。これにより、ダイシングフィルム表面がべた付かず、ブロッキング性が良好となる。
次に、本実施形態に係るダイシングフィルムについて、図1を用いてより詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るダイシングフィルム10を模式的に示す断面図である。本発明の一実施形態に係るダイシングフィルム10は、密度が900kg/m〜930kg/mである低密度ポリエチレンを含み、厚みが40μm〜150μmであるA層12と、密度が800kg/m〜890kg/mであるオレフィン系共重合体を含み、厚みが20μm〜100μmであるB層13と、放射線硬化型粘着剤および熱硬化型粘着剤からなる群より選択される少なくとも一つの粘着剤であるC層14と、がこの順に積層されている。
本実施形態のダイシングフィルムは、低密度ポリエチレンを含む低汚染の層(拡張性フィルム)であるA層を含んでいるため、高い拡張性を有し、かつ、ピックアップ性に優れている。より具体的には、A層は、密度が900kg/m〜930kg/mである低密度ポリエチレンを含んでいるため、適度な弾性を有しており、ダイシングフィルムからダイシングした半導体ウエハ(半導体チップ)を剥離してピックアップする際に、チップが破損することがなく、ピックアップ性が良好である。
さらに、後述するB層はA層と比較してべた付きやすい層であるが、本実施形態のダイシングフィルムでは、B層上にA層を積層しているため、べた付きが防止されており、アンチブロッキング性に優れている。
ここで、ダイシングが行われる半導体ウエハには、表面にポリイミド膜、はんだ電極や銅電極、ダイシングするためのスクライブラインなどが形成され、その表面形状は起伏に富んだ凹凸形状を有しているものがある。
また、近年、標準的なLSIと比較して起伏の大きな金バンプ、高周波用デバイスの実装基板接合に用いられる半田ボールなどのバンプが形成されたウエハなども多く見られる。そこで、ダイシングに際して、これらの凹凸を有する半導体ウエハの破損を防止することも、大きな課題の一つとなっている。
そこで、このような段差の大きい凹凸を有するウエハのダイシング方法としては、ダイシング時の破損やチップの欠けを抑制する観点から、ウエハの回路形成面側にダイシングフィルムを密着させて、回転するブレードで非回路形成面から切断する方法がある。ただし、凹凸追従性のないダイシングフィルムを用いた場合には、粘着面と回路形成面との間に空隙が生じ、切断時に発生する屑により回路形成面の破損が生じることがあり、汚染を十分に抑制することが困難である。
一方、本実施形態のダイシングフィルムは、半導体ウエハの表面の凹凸を吸収可能なB層を有している。さらに、本実施形態のダイシングフィルムが後述のB層を有することにより、半導体ウエハ表面の凹凸に密着し、ダイシング工程にてウエハを十分に保持でき、かつダイシングによる回路形成面の汚染や、半導体ウエハの破損を防止することができる。
また、半導体ウエハをダイシングすることで得られる半導体チップと、ダイシングフィルムとの密着性が不足する場合、ダイシング中に半導体チップが脱落してしまうことがある。本実施形態のダイシングフィルムは、半導体ウエハに貼り合わせる側の最表面に、粘着剤層として後述するC層を有しているため、半導体ウエハおよび半導体チップに対する密着性が良好である。
さらに、C層の粘着剤として、放射線硬化型粘着剤、または熱硬化型粘着剤を用いることにより、ピックアップ工程後に半導体ウエハの裏面および貫通電極に粘着剤が付着しにくい。
(A層)
本実施形態に係るダイシングフィルムは、密度が900kg/m〜930kg/mである低密度ポリエチレンを含み、厚みが40μm〜150μmであるA層を有する。A層は、例えば、密度が900kg/m〜930kg/mである低密度ポリエチレンを含む樹脂組成物から形成される。
密度が900kg/m以上である低密度ポリエチレンを用いることにより、ダイシングフィルムの保管中に結晶化がおきにくいため、安定性の点で好ましい。さらに、密度が900kg/m以上であると、べた付かず、ハンドリング性に優れる点で好ましい。
また、密度が930kg/m以下であると、ピックアップ性に優れる点で好ましい。
低密度ポリエチレンの密度は、900kg/m〜925kg/mであることが好ましく、910kg/m〜920kg/mであることがより好ましい。これにより、安定性及びピックアップ性により優れたダイシングフィルムを提供することができる。
本実施形態で用いる低密度ポリエチレンおよび後述するオレフィン系共重合体の密度は、特開2001−33372に開示されている密度勾配管法を用いて測定すればよい。まず、具体的には、得られた低密度ポリエチレン試料またはオレフィン系共重合体試料を、メルトインデクサ−によって溶融し、ストランドを得る。そして、このストランドにアニ−リングを施した後、適当な大きさに切断して密度勾配管に投入する。
密度勾配管は、ガラス製円筒管内に、連続的な密度勾配を有する液体を充填したものを用いる。投入した低密度ポリエチレンまたはオレフィン系共重合体の固体試料が液体中で静止した平衡位置からその試料の密度を読み取る。ガラス製円筒管中に充填される液体は、JISK7112の表2に規定のエタノール−水系の混合液体を用いる。
低密度ポリエチレンの、ASTM D1238に準拠して190℃、2.16kg荷重にて測定されるメルトフローレート(MFR)は、0.1g/10min〜50g/10minの範囲にあることが好ましく、1g/10min〜20g/10minの範囲にあることがより好ましく、2g/10min〜10g/10minの範囲にあることがさらに好ましい。
低密度ポリエチレンの分子量分布(Mw/Mn)は、1.5〜4.0であることが好ましい。また、低密度ポリエチレンの分子量分布は、共押出し性を考慮すると後述するオレフィン系共重合体および粘着剤の分子量分布と値が近いことが好ましい。
なお、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を用いて測定すればよい。
本実施形態で用いる低密度ポリエチレンの製造方法としては、特に限定されず、例えば、メタロセン触媒、チタン系触媒などを用いて製造してもよい。また、低密度ポリエチレンとしては、市販品を用いてもよく、例えば、株式会社プライムポリマー製エボリューTM、日本ポリエチレン株式会社製ノバテックTM等であってもよい。
また、本実施形態で用いる低密度ポリエチレンは高圧法低密度ポリエチレンであってもよい。高圧法低密度ポリエチレンとしては、三井デュポンポリケミカル社製ミラソンTMがあげられる。
A層の厚みは、40μm〜150μmの範囲であれば特に限定されないが、40μm〜120μmの範囲にあることが好ましく、40μm〜100μmの範囲にあることがより好ましく、40μm〜70μmの範囲にあることがさらに好ましい。
A層の厚みが40μm以上であると、適度な剛性があり、ハンドリング性に優れる点で好ましい。A層の厚みが150μm以下であると、ピックアップ時の突き上げ量に対して、ダイシングフィルムの変形量が大きく得られ、ダイシングフィルムの拡張性に優れる点で好ましい。
(B層)
本実施形態に係るダイシングフィルムは、密度が800kg/m〜890kg/mであるオレフィン系共重合体を含み、厚みが20μm〜100μmであるB層を有する。B層は、例えば、密度が800kg/m〜890kg/mであるオレフィン系共重合体を含む樹脂組成物から形成される。
密度が890kg/m以下であることにより、半導体ウエハ表面の凹凸(突起形状)に密着し、凹凸追従性に優れている点で好ましい。密度が800kg/m以上であると、フィルム成形時のべた付きを抑えられる点で好ましい。
オレフィン系共重合体としては、炭素原子数2〜12のα−オレフィンを主な構成要素とするα−オレフィン共重合体であることが好ましい。炭素原子数2〜12のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。
また、オレフィン系共重合体としては、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、ブテン・α−オレフィン共重合体等を挙げることができる。中でもエチレン・α−オレフィン共重合体が好ましく、エチレン・α−オレフィン共重合体としては、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体などを挙げることができる。
なかでも、貼り付け時の凹凸追従性に優れる点で、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・炭素原子数4〜12のα−オレフィンの三元共重合体等のエチレン・α−オレフィン共重合体、あるいは、プロピレン・1−ブテン共重合体・炭素原子数5〜12のα−オレフィンの三元共重合体などが好ましく、エチレン・プロピレン共重合体がより好ましい。プロピレンは、オレフィン系共重合体の中でも熱溶融性が高いためである。
オレフィン系共重合体の密度としては、830kg/m〜890kg/mであることが好ましく、850kg/m〜890kg/mであることがより好ましく、850kg/m〜870kg/mであることがさらに好ましい。
オレフィン系共重合体の、ASTM D1238に準拠して190℃、2.16kg荷重にて測定されるメルトフローレート(MFR)は、0.1g/10min〜50g/10minの範囲にあることが好ましく、1g/10min〜20g/10minの範囲にあることがより好ましく、2g/10min〜10g/10minの範囲にあることがさらに好ましい。
また、オレフィン系共重合体のMFRは、共押出し性を考慮すると、前述の低密度ポリエチレンのMFRと値が近いことが好ましく、オレフィン系共重合体および低密度ポリエチレンのMFRは、ともに2g/10min〜10g/10minの範囲にあることがより好ましい。
また、オレフィン系共重合体しては、市販品を用いてもよく、例えば、三井化学株式会社製タフマーTM等であってもよい。
B層の厚みは、例えば、20μm〜100μmの範囲にあることが好ましく、30μm〜80μmの範囲にあることがより好ましく、40μm〜60μmの範囲にあることがさらに好ましい。
ここで、B層の厚みが20μm以上であると、半導体ウエハ表面の凹凸を埋め込むことができ、かつ凹凸追従性に優れている点で好ましく、B層の厚みが100μm以下であると、ダイシングフィルムの拡張性に優れる点の点で好ましい。
また、B層の厚みは、ダイシングフィルムを接着する半導体ウエハの一方の面に設けられた段差より大きいことが好ましい。つまり、B層の厚みは、この段差(例えば、半導体ウエハの回路形成面の凹凸(半田バンプを含む))を埋め込むことができる厚みであることが好ましい。
B層には、半導体ウエハに対する易貼り付け性、易剥離性などを損なわない範囲で他の樹脂または他の添加剤が含まれてもよい。そのような添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、滑剤、柔軟剤、粘着性付与剤等が挙げられる。
(C層)
本実施形態に係るダイシングフィルムは、放射線硬化型粘着剤および熱硬化型粘着剤からなる群より選択される少なくとも一つの粘着剤であるC層を含む。放射線硬化型粘着剤は、放射線の照射により粘着力を低下させる粘着剤であり、熱硬化型粘着剤は、加熱により粘着力を低下させる粘着剤である。
放射線としては、紫外線、電子ビーム、X線、α線、β線、γ線、可視光線、赤外線等が挙げられるが、中でも紫外線が好ましい。また、放射線硬化型粘着剤の好ましい例には、紫外線硬化型粘着剤が挙げられる。
硬化型粘着剤としては、公知の粘着剤であってもよく、例えばゴム系、アクリル系、シリコーン系等の粘着剤のほか、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマーなど熱可塑性エラストマーであってもよい。公知の粘着剤としては、特許4945014号の段落〔0049〕〜〔0055〕に記載の紫外線硬化型粘着剤、加熱硬化型粘着剤であってもよい。また、粘着剤は、特許4945014号の段落〔0056〕〜〔0061〕に記載の光重合開始剤、熱重合開始剤、架橋剤などの成分を含んでいてもよい。
C層の粘着力は、ダイシングフィルムの用途等に応じて適宜選択する。C層の粘着力が低すぎると、ダイシングフィルムを被保護部材に十分に貼着できないおそれがある。また、C層の粘着力が高すぎると、半導体ウエハをダイシングフィルムから剥離する際に半導体ウエハを破損したり、半導体ウエハの表面にC層が残存したりすること等がある。
C層を、SUS−304−BA板の表面に貼着して60分間放置した後、SUS−304−BA板の表面から剥離するときの、JIS Z0237に準拠して測定される粘着力は、0.1N/25mm〜10N/25mmであることが好ましい。粘着力が上記範囲であれば、ウエハとの良好な接着性を確保しつつ、チップを剥離する際の糊残りを抑制できる。C層の粘着力は、例えば架橋剤の添加量によって調整することができる。具体的には、特開2004−115591号公報に記載の方法などにより調整することができる。
C層の厚みは、A層の拡張性およびB層の凹凸追従性を阻害しない範囲であれば特に制限はないが、1μm〜50μmであることが好ましく、1μm〜30μmであることがより好ましい。C層の厚みが1μm以上であることにより、十分な粘着性を得ることができ、C層の厚みが50μm以下であることにより、C層の凝集破壊を抑制でき、被着体表面にC層の粘着剤が残存することを抑制できる。
(滑剤層)
A層は、貼り付け安定性、ダイシング安定性およびピックアップ性に優れ、かつ高い拡張性を有する層であり、A層自体は、後述するシリコーン系滑剤などの滑剤成分を1質量%以下含むことが好ましく、滑剤成分を含まないことがより好ましい。また、以下に記載するように、B層と接している面とは反対側にてA層に接する層として、滑剤成分を含む滑剤層(NB層)を設けてもよい。
なお、「A層が滑剤成分を1質量%以下含む」とは、滑剤成分を実質的に含んでいないことを意味している。
図2は、滑剤層16を備える本実施形態に係るダイシングフィルム20を模式的に示す断面図である。図2に示すように、拡張性を有するA層12と、その一方の面に配置され、半導体ウエハの凹凸を吸収するB層13と、ウエハと接着されるC層14と、A層12の、B層13およびC層14とは反対側の面に配置された滑剤層16と、を有してもよい。
滑剤層は、樹脂から形成され、例えば、ポリエチレン、エチレン系アイオノマー樹脂などから形成される。滑剤層を形成する樹脂としては、A層と同様の低密度ポリエチレンを含むことが好ましい。さらに、滑剤層は、滑剤成分を含有することにより、フィルム間のブロッキングを防止する。また、ダイシングフィルムが滑剤層を備えることにより、拡張機を用いてダイシングフィルムを拡張するときに、ステージ上のダイシングフィルムが滑りやすくなり、ダイシングフィルムの面全体をより均一に拡張できる。
滑剤層に含まれる滑剤成分としては、特に限定されず、シリコーン系滑剤、エルカ酸アミド、オレイン酸アミドなどが挙げられ、特にシリコーン系滑剤が好ましい。
滑剤成分の含有量は、樹脂成分(例えば、低密度ポリエチレン)に対して1質量%〜10質量%であることが好ましく、3質量%〜8質量%であることがより好ましい。
滑剤成分としては、市販品を用いてもよく、例えば、東レ・ダウ・コーニングシリコーン社製のシリコーン樹脂である商品名 BY27−002を用いてもよい。
滑剤層はA層に比べて薄いことが好ましく、1μm〜30μmであることが好ましく、5μm〜20μmであることがより好ましい。
また、本実施形態のダイシングフィルムは、A層/B層/C層をこの順に積層されてなるが、他に滑剤層(低摩擦層)などの他の層を有する4層以上の積層フィルムであってもよい。
滑剤層は、A層の他方の面側(B層の反対側)に配置されることが好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、A層/B層/C層、または、滑剤層/A層/B層/C層の各層間に、上記以外の層が積層されていてもよい。
本実施形態のダイシングフィルムのC層の表面には、粘着剤層であるC層を保護するために、必要に応じてセパレータがさらに設けられていてもよい。セパレータの材質は、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルムなどであってよい。セパレータの厚みは、通常10μm〜200μm程度であり、好ましくは25μm〜100μm程度である。
本実施形態のダイシングフィルムにおいて、総厚みが、60μm超300μm以下であることが好ましく、80μm〜250μmであることがより好ましく、100μm〜200μmであることがさらに好ましい。総厚みとしては、A層、B層およびC層の総厚み、滑剤層、A層、B層およびC層の総厚み、A層、B層、C層およびその他の層の総厚み、滑剤層、A層、B層、C層およびその他の層の総厚みが挙げられる。
本実施形態のダイシングフィルムでは、B層の厚みは、総厚みの1/2以下であることが好ましい。
また、本実施形態のダイシングフィルムでは、B層の厚みは、総厚みの1/4以上であることが好ましい。
本実施形態のダイシングフィルムは、JIS K7161に準拠して測定した引張弾性率が30MPa〜90MPaの範囲にあることが好ましく、50MPa〜90MPaの範囲にあることがより好ましい。引張弾性率が前記範囲にあると、薄いウエハであってもダイシングした際にチップを破損なく取り外すことができる(ピックアップ性に優れる)。同様に、ダイシングフィルムは、JIS K 7161に準拠して測定した引張25%モジュラス(25%伸長時の引張応力)が5.0MPa以下であると好ましい。
〔ダイシングフィルムの製造方法〕
本実施形態のダイシングフィルムは、任意の方法で製造することができる。例えば、本実施形態のダイシングフィルムは、1)各層を構成する溶融樹脂を押出成形または共押出しして積層する方法(共押出し法);2)一層上に、他の層を構成する溶融樹脂を積層する方法(押出しラミネート法);3)各層を構成するフィルムを熱圧着または接着剤等を介して積層する方法(ラミネート法);および4)A層、B層が積層された樹脂積層体上に、粘着剤層であるC層を構成する樹脂組成物を塗布して積層する方法(塗布法)等、により製造されてもよい。
本実施形態のダイシングフィルムが、低摩擦層(滑剤層)など他の層を含む積層フィルムである場合には、当該他層を上述のように共押出し法や押出しラミネート法により積層することができる。
押出成形または共押出する前に、2種類以上の異なる樹脂をブレンドする方法は、特に制限されないが、ヘンシェルミキサーやタンブラーミキサー等の各種ミキサーにより乾式混合する方法(ドライブレンド法);一軸押出機もしくは二軸押出機等により溶融混練する方法(メルトブレンド法)等であってよく、二軸押出機により溶融混練する方法が好ましい。
溶融混練温度は、各層を構成する樹脂が溶融し、混練するのに適した温度であればよく、基材層を構成する樹脂の溶融温度は、例えば180〜260℃とすることができる。押出方法は、特に制限されないが、インフレーション押出法、Tダイ押出法などであってよい。
なお、C層を形成する粘着剤が放射線硬化性の粘着剤である場合には、セパレータ上に粘着剤を塗工して、乾燥したものを、A層(基材層)に貼り合せることが好ましい。A層上に直接、もしくはA層とB層との樹脂積層体上に塗布後、乾燥する方法(前述の塗布法)でも良い。A層とB層との樹脂積層体は、A層を構成する樹脂組成物と、B層を構成する樹脂組成物とを共押出しするか、またはA層上に、B層を構成する樹脂組成物を押出ラミネートして得ることができる。
C層を構成する粘着剤は、被保護部材の種類に応じて適宜選択される。粘着剤の例には、天然ゴム系;合成ゴム系;シリコーンゴム系;アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル等のアクリル系粘着剤;が含まれる。これらの粘着剤の中でも、粘着性等の面から、アクリル系粘着剤が好ましい。
C層を構成する粘着剤としては、例えば、放射線硬化型、熱硬化型、加熱発泡型等の粘着剤、一定条件により粘着力が低下する粘着力スイッチング機能を有する粘着剤であってもよく、スイッチング機能を有さない粘着剤であってもよい。なお、粘着剤が放射線硬化型、熱硬化型、加熱発泡型等の粘着力スイッチング機能を有する粘着剤の場合には、放射線照射等により粘着力をスイッチングさせて低下させた後の粘着力が、上記範囲内(0.1N/25mm〜10N/25mm)にあることが好ましい。
粘着剤としては、粘着力スイッチング機能を有するアクリル系の紫外線硬化型粘着剤が好ましい。C層が粘着力スイッチング機能を有すると、半導体チップをダイシングフィルムから容易に剥離でき、半導体チップを損傷するおそれが少ない。
アクリル系の紫外線硬化型粘着剤は、例えば(1)分子中に光重合性炭素−炭素二重結合が導入されたアクリル酸エステル系共重合体100質量部と、(2)分子内に光重合性炭素−炭素二重結合を2個以上有する低分子量化合物0.1質量部〜20質量部と、(3)光開始剤5質量部〜15質量部を含む粘着剤等でありうる。
アクリル系の紫外線硬化型粘着剤に含まれる、(1)分子中に光重合性炭素−炭素二重結合が導入されたアクリル酸エステル系共重合体は、1)エチレン性二重結合を有するモノマー、及び反応性官能基を有する共重合性モノマーを共重合した共重合体と、2)上記反応性官能基と反応しうる基を有する光重合性炭素−炭素二重結合を含むモノマーと、を反応させた化合物でありうる。
(1)アクリル酸エステル系共重合体を得るための上記1)の共重合体を構成するエチレン性二重結合を有するモノマーは、メタクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルモノマー;酢酸ビニル等のビニルエステル;アクリロニトリル;アクリルアミド;スチレン;等のエチレン性二重結合を有するモノマー等でありうる。
また、(1)アクリル酸エステル系共重合体を得るための上記1)の共重合体を構成する反応性官能基を有する共重合性モノマーは、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、Nーメチロール(メタ)アクリルアミド等でありうる。これらのうち1種のみを、上記エチレン性二重結合を有するモノマーと重合させてもよく、2種以上を重合させてもよい。
上記1)の共重合体を得る際、エチレン性二重結合を有するモノマーと、反応性官能基を有する共重合性モノマーとの重合比は、70質量%〜99質量%:30質量%〜1質量%であることが好ましく、80質量%〜95質量%:20質量%〜5質量%であることが好ましい。
また、(1)アクリル酸エステル系共重合体を合成するための上記2)の光重合性炭素−炭素二重結合を含むモノマーは、特に制限されず、上記1)の共重合体が含む反応性官能基(例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、グリシジル基など)と反応しうる基を有する光重合性炭素−炭素二重結合を含むモノマー(光反応性モノマー)であればよい。
上記1)の共重合体の反応性官能基と、上記光反応性モノマーの反応性官能基と反応しうる基との組み合わせの例には、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とアジリジル基、水酸基とイソシアネート基等がある。このような組み合わせの中でも、容易に付加反応が起こる組み合わせが望ましい。また、上記光反応性モノマーの反応性官能基と反応しうる基は、上記1)の共重合体の反応性官能基と付加反応する基に限らず、反応性官能基と縮合反応する基であってもよい。
アクリル系の紫外線硬化型粘着剤に含まれる、(2)分子中に光重合性炭素−炭素二重結合を2個以上有する低分子量化合物としては、例えば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの低分子量化合物は、アクリル系の紫外線硬化型粘着剤に1種のみが含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。なお、低分子量化合物とは、分子量が10,000以下の化合物であり、低分子量化合物の分子量は、さらに好ましくは5,000以下である。
アクリル系の紫外線硬化型粘着剤に含まれる(3)光開始剤としては、例えば、ベンゾイン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、アセトフェノンジエチルケタール、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。紫外線硬化型粘着剤には、光開始剤が1種のみ、または2種以上含まれていてもよい。紫外線硬化型粘着剤中の光開始剤の量は、上記(1)のアクリル酸エステル系共重合体100質量部に対して、5質量部〜15質量部であることが好ましい。より好ましくは、5質量部〜10質量部である。
アクリル系の紫外線硬化型粘着剤には、架橋剤が含まれていてもよい。架橋剤としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリーグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等のアジリジン系化合物;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリイソシアネート等のイソシアネート系化合物;等が挙げられる。
アクリル系の紫外線硬化型粘着剤には、粘着特性を調整するため、ロジン系、テルペン樹脂系等のタッキファイヤー、各種界面活性剤等が含まれていてもよい。
〔半導体装置の製造方法〕
本実施形態のダイシングフィルムを用いた半導体装置の製造方法は、1)本実施形態のダイシングフィルムを、半導体ウエハの裏面にC層を貼り合わせる工程、2)半導体ウエハをダイシングする工程、3)ダイシングフィルムをエキスパンド(拡張)して、ダイシングされた半導体ウエハ(半導体チップ)をピックアップする工程、4)半導体チップを、半導体装置のダイパッド(不図示)等に接着させてマウントする工程、を経て製造される。本発明のダイシングフィルムとしては、前述のダイシングフィルムを用いることができる。
また、図3A〜3Eは、A層52の一方の面にB層53及びC層54をこの順に有し、他方の面に滑剤層56を有するダイシングフィルム50を用いた半導体装置の製造方法の一例を示す図である。
図3Aに示されるように、表面に回路等の凹凸を有するウエハ42、及び上記ダイシングフィルム50を準備する。回路が形成されたウエハ42においては、回路を保護する回路保護層が設けられていてもよい。回路保護層は、絶縁樹脂を含んでいればよく、例えばポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、エポキシ樹脂等を含んでいればよい。
図3Bに示されるように、ウエハ42の凹凸面を、本発明のダイシングフィルム50に加温下で貼着する(前記1)の工程)。貼着は40℃〜80℃の温度で、0.3MPa〜0.5MPaの圧力行うことができる。貼着時の温度が40℃未満であると、B層53の弾性率が低くなりにくいため、B層53の凹凸に対する追従性が低くなる。また、貼着時の温度が80℃を超えると、プロセス温度として好ましくない。ダイシングフィルム50の貼着は、公知のテープ貼り機によって行うことができる。
ウエハ42を貼着後、ダイシングフィルム50を冷却してもよい。ダイシングフィルム50を貼着時の温度より冷却することにより、B層53の弾性率が高くなり、B層53とウエハ42の凹凸とが良好に密着した状態を保持することができる。
ダイシングフィルム50は、ウエハ42よりも大径であり、その周縁部をリングフレーム46で固定できる程度の大きさを有する。そして、ダイシングフィルム50の周縁部を、リングフレーム46で固定する。
次いで、図3Cに示されるように、ウエハ42をダイシング(切断)して半導体チップ42Aを得る(前記2)の工程)。切断深さは、ダイシングフィルム50のA層52とB層53との界面に到達する程度に設定されてもよい。切断手段は、特に制限されず、ダイシングソーやレーザー等であってよい。
次いで、図3Dに示されるように、ダイシングフィルム50を拡張(エキスパンド)する(前記3)の工程)。ダイシングフィルム50をエキスパンド(拡張)する手段は、ダイシングフィルム50の下側の拡張機のステージを上昇させてステージと接するダイシングフィルム50を拡張する方法や、フィルム面と平行な方向に引っ張る(拡張する)方法などが含まれる。
これにより、図3Eに示されるように、ダイシングして得られる半導体チップ42A同士の間隔を広げることができる。また、ダイシングフィルム50を拡張(エキスパンド)し、半導体チップ42Aの下から突き上げることでダイシングフィルム50が局所的に伸長し、半導体チップ42AとC層54との接触面積が減り粘着力が減少する。ジグで半導体チップ42Aを吸い付けることにより、半導体チップ42Aをピックアップすることができる。このように、半導体チップ42Aのピックアップを行うと、半導体チップ42Aを、ダイシングフィルム50のC層54から剥離することができる。
以下に実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。
本実施例では、以下に示す(1)〜(6)に示す低密度ポリエチレン、オレフィン系共重合体、および粘着剤を主に使用した。
(1)低密度ポリエチレン(LLDPE)
実施例1〜実施例4、比較例1では、A層に含まれる低密度ポリエチレン(LLDPE)として、商品名 エボリューSP2040(プライムポリマー(株)製)を用いた。この低密度ポリエチレンの各物性値は、以下の通りである。
曲げ弾性率(E’ 25℃):150MPa
MFR(190℃):3.8g/10min
密度:918kg/m
融点:116℃
タイプDデュロメータ硬さ:55
(2)低密度ポリエチレン(LDPE)
実施例5では、A層に含まれる低密度ポリエチレン(LDPE)として、商品名 ミラソン(登録商標)401(三井・デュポンポリケミカル社製)を用いた。この低密度ポリエチレンの各物性値は、以下の通りである。
曲げ弾性率(E’ 25℃):220MPa
MFR(190℃):1.6g/10min
密度:920kg/m
融点:107℃
タイプDデュロメータ硬さ:51
(3)低密度ポリエチレン(LLDPE)
比較例2では、A層に含まれる低密度ポリエチレン(LLDPE)として、商品名 エボリューSP4030(プライムポリマー(株)製)を用いた。この低密度ポリエチレンの各物性値は、以下の通りである。
曲げ弾性率(E’ 25℃):550MPa
MFR(190℃):3.8g/10min
密度:938kg/m
融点:127℃
タイプDデュロメータ硬さ:59
(4)オレフィン系共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体;EVA)
比較例4では、低密度ポリエチレンの代わりに、オレフィン系共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体;EVA)である商品名 エバフレックス(登録商標) EV170(三井・デュポンポリケミカル社製)を用いた。このオレフィン系共重合体の各物性値は、以下の通りである。
曲げ弾性率(E’ 25℃):8MPa
MFR(190℃):3.0g/10min
密度:960kg/m
融点:61℃
JIS−A硬度:67
(5)オレフィン系共重合体(B層)
実施例1〜5、比較例1〜4では、B層に含まれるオレフィン系共重合体として、商品名 タフマー(登録商標) P0275(三井化学(株)製 エチレン・α−オレフィン共重合体)を用いた。このオレフィン系共重合体の各物性値は、以下の通りである。
曲げ弾性率(E’ 25℃):6MPa
MFR(190℃):5.4g/10min
密度:861kg/m
融点:45℃
JIS−A硬度:55
(6)粘着剤
実施例1〜5、比較例1〜4では、C層を形成するためのアクリル系粘着剤(UV硬化性粘着剤)を用いた。アクリル系粘着剤の調製方法は、以下の通りである。
まず、アクリル酸エチル48質量部、アクリル酸−2−エチルヘキシル27質量部、アクリル酸メチル20質量部、メタクリル酸グリシジル5質量部、および重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.5質量部を混合した。混合した溶液を、トルエン65質量部、酢酸エチル50質量部が入った窒素置換フラスコ中に、撹拌しながら80℃で5時間かけて滴下し、さらに5時間撹拌して反応させた。反応終了後、この溶液を冷却し、これにキシレン25質量部、アクリル酸2.5質量部、およびテトラデシルベンジルアンモニウムクロライド1.5質量部を加え、空気を吹き込みながら80℃で10時間反応させ、光重合性炭素−炭素二重結合が導入されたアクリル酸エステル共重合体溶液を得た。
このアクリル酸エステル共重合体溶液に、共重合体(固形分)100質量部に対して光開始剤としてベンゾイン7質量部、イソシアネート系架橋剤(三井化学(株)製、商品名:オレスターP49−75S)2質量部、1分子内に光重合性炭素−炭素二重結合を2個以上有する低分子量化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成(株)製、商品名:アロニックスM−400)15質量部を添加し、アクリル系粘着剤を得た。
〔実施例1〕
A層の原料として、前述の低密度ポリエチレン(商品名 エボリューSP2040)を準備し、B層の原料として、前述のオレフィン系共重合体(商品名 タフマーP0275)を準備し、さらに、C層の原料として、前述の粘着剤(アクリル系粘着剤)を準備した。
また、シリコーン系滑剤を含む滑剤層の原料として、前述の低密度ポリエチレン(商品名 エボリューSP2040)およびシリコーン樹脂(東レ・ダウ・コーニングシリコーン社製:商品名 BY27−002)を準備した。なお、低密度ポリエチレンに対して、5質量%のシリコーン樹脂を用いた。
[ダイシングフィルムの作製]
次いで、A層およびB層の各原料を、フルフライト型のスクリューを備えた各押出機に投入し、溶融混練させた。そして、Tダイにより押出温度250℃で2層共押出し成形して基材フィルムを形成した。次に、基材フィルムのB層の表面にコロナ処理を実施した。
片表面にシリコーン処理(離型処理)が施された厚み38μmの離型PETフィルム(剥離フィルム、東セロ(株)製 商品名SP-PET)の離型処理が施された側の面に、上述の粘着剤をコンマコーターにより塗工し、乾燥することで、C層とした粘着剤付きフィルムを準備した。粘着剤であるC層をB層の表面に貼り合わせることにより、A層、B層、およびC層が順に積層された積層フィルム(ダイシングフィルム)を作製した。
ダイシングフィルムの各層の厚みは、A層/B層/C層の厚みは、70μm/50μm/5μmであった。
〔実施例2〕
実施例2では、A層のB層が設けられた側とは反対側の面上に滑剤層を形成させ、滑剤層、A層、B層、およびC層が順に積層された積層フィルム(ダイシングフィルム)を作製した。
具体的には、A層、B層および滑剤層の各原料を、フルフライト型のスクリューを備えた各押出機に投入し、溶融混練させた。そして、Tダイにより押出温度250℃で3層共押出し成形して基材フィルムを形成した。次に、基材フィルムのB層の表面にコロナ処理を実施した。
次に、離型PETフィルム上に上述の粘着剤を塗工し、C層とした粘着剤付きフィルムを準備した。粘着剤であるC層をB層の表面に貼り合わせることにより、滑剤層、A層、B層、およびC層が順に積層された積層フィルム(ダイシングフィルム)を作製した。
ダイシングフィルムの各層の厚みは、滑剤層/A層/B層/C層の厚みは、10μm/70μm/50μm/5μmであった。
〔実施例3、4〕
実施例3では、A層の厚みを100μmに変更したこと以外は、実施例2と同様にしてダイシングフィルムを作製し、実施例4では、A層の厚みを50μmに変更し、かつB層の厚みを45μmに変更したこと以外は、実施例2と同様にしてダイシングフィルムを作製した。
〔実施例5〕
実施例5では、A層および滑剤層に含まれる低密度ポリエチレンとして、商品名 ミラソン401(三井・デュポンポリケミカル社製)を用いたこと以外は、実施例2と同様にしてダイシングフィルムを作製した。
〔比較例1〕
比較例1では、A層の厚みを160μm、B層の厚みを110μm、およびC層の厚みを50μmに変更したこと以外は、実施例2と同様にしてダイシングフィルムを作製した。
〔比較例2〕
比較例2では、前述したようにA層および滑剤層に含まれる低密度ポリエチレンとして、商品名 エボリューSP4030(プライムポリマー(株)製)を用いたこと以外は実施例2と同様にしてダイシングフィルムを作製した。
〔比較例3〕
比較例3では、A層および滑剤層を設けず、かつB層の厚みを100μmとしたことに以外は、実施例2と同様にしてダイシングフィルムを作製した。
〔比較例4〕
比較例4では、滑剤層を設けず、かつA層に含まれる低密度ポリエチレンをエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA:商品名 エバフレックス(登録商標) EV170)に変更してA層の厚みを50μmとしたこと以外は、実施例1と同様にしてダイシングフィルムを作製した。
1)引張弾性率および引張25%モジュラスの測定
前述のようにして得られたダイシングフィルムの引張弾性率および引張25%モジュラスを、JIS K7161に準拠した方法で測定した。すなわち、
i)ダイシングフィルムをカットして、幅(TD方向)10mm、長さ(MD方向)100mmの短冊状の試料片を準備した。
ii)次いで、引張試験機によりチャック間距離50mm、引張速度200mm/分の条件で試料片の引張弾性率および引張25%モジュラスを測定した。測定は、温度23℃、相対湿度55%の条件下で実施した。
2)粘着力の測定
前述のようにして得られたダイシングフィルムの粘着力(C層の粘着力)を、JIS Z0237に記載の粘着シート試験方法に準拠して、温度23℃、相対湿度50%の環境下にて測定した。離型PETフィルムを剥がしたダイシングフィルムを、SUS−BA板に約2kgゴムロールで圧力を加えながら貼り付けて、温度23℃、相対湿度50%の一定環境下に30分間置いた。次いで、フィルムを180°方向に、剥離速度300mm/分でSUS−BA板から引き剥がす際の粘着力を測定した。この粘着力の測定を2回行った。幅25mmの試験片を用いて測定したときの粘着力の平均値を「粘着力」(N/25mm)とした。
3)1%伸長時の力
前述のようにして得られたダイシングフィルムの1%伸長時の力を、以下の方法で測定した。すなわち、
i)ダイシングフィルムをカットして、幅(TD方向)25mm、長さ(MD方向)150mmの短冊状の試料片を準備した。
ii)次いで、引張試験機によりチャック間距離100mm、引張速度10mm/分の条件で試料片を引張り、伸び1mmの時点の力を測定した。測定は、温度23℃、相対湿度55%の条件下で実施した。
4)静摩擦係数
前述のようにして得られたダイシングフィルムの表面の静摩擦係数を、以下の方法で測定した。実施例1および比較例4については、測定する面をA層表面とし、実施例2〜5、比較例1、2については、測定する面を滑剤層の表面とし、比較例3については、測定する面をB層の表面とした。
JIS K7125に準拠して、温度23℃、相対湿度50%の環境下にて静摩擦係数を測定した。まず、ダイシングフィルムを63.5mm×200mmに切り出し、測定表面上に63mm×63mmのSUS板を滑り片として設置した。滑り片の上に錘を設置し、滑り片と錘の合計重量が200g(g)となるようにした。引張試験機により試験速度100mm/分で滑り片を水平方向に引張り、滑り片が動き始める際の荷重(F)を測定し、下式により静摩擦係数を算出した。
式)静摩擦係数μ=F/g
引張弾性率、引張25%モジュラス、粘着力、1%伸長時の力および静摩擦係数の結果を、以下の表1に示す。
[ハンドリング性評価]
次に、ダイシングフィルムをシリコンウエハ(直径12インチ)およびリングフレーム(ディスコ社製)にC層を介して貼り付けた後、ハンドリング性を以下の基準で評価した。
A・・・・ダイシングフィルムの表面(A層の表面)にシワが発生しない(25枚全て)
B・・・・ダイシングフィルムの表面(A層の表面)にシワが発生(25枚中1枚以上)
[ダイシング性評価]
ディスコ社製BG機(DGP8760)を使用し、シリコンウエハを厚み50μmとなるように研削した。あらかじめ研削したシリコンウエハを、上述のようにダイシングフィルムにリングフレームと併せて貼り合わせた後、ディスコ社製ダイシングソー(DFD3240)を用いて5mm×5mmにダイシングした。そして、顕微鏡にてダイシング後のシリコンチップ端部を観察し、ダイシング性を以下の基準で評価した。
A・・・・10μm未満の欠け、およびチップ紛失なし
B・・・・10μm以上の欠け、あるいはチップがダイシング中に紛失
[ピックアップ性評価]
次に、ダイシングフィルムを拡張した後、パナソニック社製のフリップチップボンダー装置FCB3を用いてダイシング後のシリコンチップ(厚み50μm)をピックアップした。このときのピックアップ性を以下の基準で評価した。
A・・・・Try数10回当たりのピックアップ数(損傷なし)=10(個)
B・・・・Try数10回当たりのピックアップ数(損傷なし)<10(個)
実施例1〜5については、1%伸長時の力が300g/25mm以下であり、ダイシングフィルムからシリコンチップを剥離してピックアップする際に、チップが損傷することなく取り外すことができ、ピックアップ性は良好であった(評価A)。さらに、実施例1〜5については、表面(A層表面)の静摩擦係数が0.1〜2.0であるため、表面がべた付いておらず、ブロッキング性が良好であった。
比較例1、2については、1%伸長時の力が300g/25mm超であり、ダイシングフィルムからシリコンチップを剥離してピックアップする際に、チップが損傷してしまい、ピックアップ性は不良であった(評価B)。
また、比較例3、4については、表面の静摩擦係数が2.0以上であるため、表面がべた付き、ブロッキング性が不良であった。
表1に示すとおり、所定のA層、B層およびC層を備えるダイシングフィルムは、アンチブロッキング性、ハンドリング性、ダイシング性およびピックアップ性に優れていることが分かった。
10、20、50 ダイシングフィルム
12、52 A層
13、53 B層
14、54 C層
16、56 滑剤層
42 ウエハ
46 リングフレーム

Claims (9)

  1. (1)幅25mmおよび長さ150mmの試料片とし、引張試験機によりチャック間距離100mm、引張速度10mm/分の条件で前記試料片を引張った場合における1%伸長時の力が300g/25mm以下であること、および
    (2)JIS K7125により測定した表面の静摩擦係数が0.1〜2.0であること、
    を満たす、ダイシングフィルム。
  2. 密度が900kg/m〜930kg/mである低密度ポリエチレンを含み、厚みが40μm〜150μmであるA層と、
    密度が800kg/m〜890kg/mであるオレフィン系共重合体を含み、厚みが20μm〜100μmであるB層と、
    放射線硬化型粘着剤および熱硬化型粘着剤からなる群より選択される少なくとも一つの粘着剤であるC層と、
    がこの順に積層されている、請求項1に記載のダイシングフィルム。
  3. 前記B層の厚みは、ダイシングフィルムの総厚みの1/2以下である、請求項2に記載のダイシングフィルム。
  4. 前記A層は、滑剤成分を1質量%以下含む、請求項2に記載のダイシングフィルム。
  5. 更に、滑剤成分を含む層が、前記B層が設けられている面とは反対側にて、前記A層上に積層されている、請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載のダイシングフィルム。
  6. 総厚みが60μm超300μm以下である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のダイシングフィルム。
  7. 貫通電極を備える半導体ウエハに、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のダイシングフィルムを貼り合わせる工程と、
    前記半導体ウエハをダイシングして半導体チップを得る工程と、
    前記ダイシングフィルムを拡張して、前記半導体チップをピックアップする工程と、
    を含む、半導体装置の製造方法。
  8. 前記貼り合わせる工程では、前記半導体ウエハに請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載のダイシングフィルムを、前記半導体ウエハと前記C層とが接するようにして貼り合わせる、請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
  9. 前記ダイシングフィルムの総厚みが60μm超300μm以下である、請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
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