JP6412411B2 - 半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム - Google Patents
半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルムInfo
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Description
[1]熱可塑性樹脂を含有する基材フィルムであって、引張弾性率が50〜370MPa、かつ130℃における熱荷重伸度が10%以下であり、
ポリプロピレン系樹脂(A)、オレフィン系エラストマー(B)及びスチレン系エラストマー(C)を含有し、(A)〜(C)の成分の合計質量に対して、ポリプロピレン系樹脂(A)5〜55質量%、オレフィン系エラストマー(B)25〜75質量%およびスチレン系エラストマー(C)5〜40質量%含有し、
前記ポリプロピレン系樹脂(A)は、融点が160℃以上であることを特徴とする半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム。
[2]前記ポリプロピレン系樹脂(A)は、プロピレン単独重合体であることを特徴とする[1]に記載の半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム。
[3]前記オレフィン系エラストマー(B)は、クロス分別法により測定した0℃における樹脂溶出量が全溶出量に対して10質量%未満であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム。
[4]前記オレフィン系エラストマー(B)は、ハードセグメント部がメタロセン触媒を用いて重合させたエチレン/プロピレン共重合体ブロックであり、かつ多段重合法により得られることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム。
[5]前記スチレン系エラストマー(C)は、水素添加スチレン系エラストマーであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム。
[6][1]〜[5]のいずれか1項に記載の基材フィルムを少なくとも1つ備える、半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム。
[7][1]〜[6]のいずれか1項に記載の基材フィルムの少なくとも片面側に、粘着剤層を積層してなる半導体製造工程用粘着フィルム。
[8][1]〜[6]のいずれか1項に記載の基材フィルムの少なくとも片面側に、粘着剤層を積層してなるダイシング用粘着フィルム。
長さ100mm、幅10mmの試験片を使用し、長さ方向に40mm間隔の標線を引く。次いで標線下部に荷重3gの錘を取り付け、試験片を垂直に保持し、試験温度130℃の環境で30分間養生し、得られた結果を下記式1にて算出し、得られた結果を熱荷重伸度とする。
[式1]
熱荷重伸度=(加熱後の標線間長−加熱前の標線間長)/(加熱前の標線間長)×100
本発明に使用するポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレンの共重合体、及びこれらの混合物等が例示できる。
本発明に使用するオレフィン系エラストマーは、クロス分別法により測定した0℃における樹脂溶出量が、全溶出量に対して10質量%未満であることが好ましい。0℃での樹脂溶出量が全溶出量に対して10質量%未満であれば、基材層から粘着剤層への低分子量成分の移行により発生する粘着力の低下を抑制することができる。さらに、低分子量成分の移行によって粘着剤の凝集力が低下することを防止でき、離型紙および貼付対象への糊残りが発生するといった不具合を抑制することができる。このようなオレフィン系エラストマーとしては、メタロセン触媒を用いてハードセグメント部を重合させたエチレン/プロピレン共重合体ブロックを多段重合したオレフィン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。
本発明に使用するスチレン系エラストマーは、特に限定されることはなく一般的に公知であるスチレン系エラストマーを使用することができる。中でも、常温でのゴム弾性性能やオレフィン系樹脂との相溶性が良い点から、スチレン−エチレン・ブチレン共重合体(SEBS)やスチレン−エチレン・プロピレン共重合体(SEPS)等の水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを好ましく使用することができ、前記オレフィン系エラストマーに添加した際には、よりブリードアウトが発生しにくくなるため好ましい。
本発明の基材フィルムは、単層フィルムでも多層フィルムでもよい。多層フィルムとする場合は、少なくとも1層が引張弾性率50〜370MPa、かつ130℃における熱荷重伸度が10%以下であればよい。また、多層フィルム全体として引張弾性率50〜370MPa、かつ130℃における熱荷重伸度が10%以下であってもよい。また、多層フィルムは、表裏層からなる2種2層の積層フィルムおよび/または表裏層と中間層からなる2種3層の積層フィルムとすることもできる。
本発明の基材フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)、オレフィン系エラストマー(B)及びスチレン系エラストマー(C)、更に任意の添加剤及び他の樹脂をドライブレンド又は押出機で混練することにより樹脂組成物を調製し、当該樹脂組成物をTダイ押出し成形法等の押出し成形法、インフレーション成形法及びカレンダー成形法等の一般的な熱可塑性樹脂フィルムの成形方法により製造することができる。本発明の基材フィルムの製造方法においては、特に押出し成形法が適している。尚、押出しの際の樹脂組成物のメルトフローレートは、1〜20g/10分、好ましくは、5〜15g/10分である。樹脂組成物のメルトフローレートが1g/10分以上であれば溶融粘度が高くなり過ぎることがなく押出加工性が良好であり、20g/10分以下であれば溶融粘度が低くなり過ぎることがなく流動性が良好で加工性に優れるためである。
本発明の粘着フィルムは、本発明で得られる単層または多層の基材フィルムが少なくとも1層含まれていればよい。本発明の粘着フィルムは、基材フィルムの少なくとも片面側に、粘着剤層を積層してなる。
粘着剤層として用いられる粘着剤は特に限定されないが、例えば、天然ゴム系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂等の各種粘着剤が用いられる。また粘着剤層の上にさらに接着剤層や熱硬化性樹脂層等の機能層を設けても良い。
樹脂A−1:日本ポリプロ社製「ノバテック MA3U」
(ホモPP、Tm:168℃)
樹脂A−2:日本ポリプロ社製「ノバテック FX3B」
(ランダムPP、Tm:134℃)
樹脂A−3:日本ポリプロ社製「ノバテック BC3HF」
(ブロックPP、Tm:164℃)
樹脂B:日本ポリプロ社製「ウェルネクス RFX4V」
(メタロセン重合オレフィン系エラストマー、Tm:127℃、全溶出量に対する0℃における樹脂溶出量:4.1%)
樹脂C:旭化成ケミカルズ社製「タフテック H1221」
(水添スチレン系エラストマー)
[融点(Tm)]
示差走査熱量測定装置(メトラー・トレド製 DSC823e)を用い、試料約5mgを、昇温速度10℃/分で25℃から230℃まで昇温した後、冷却速度10℃/分で25℃まで降温し、再度、昇温速度10℃/分で230℃まで昇温した際に測定されたチャートの融解ピーク温度を融点(Tm)とした。
測定装置:クロス分別クロマトグラフ CFC2(Polymer ChAR社製)、検出器:赤外分光光度計 IR4(Polymer ChAR社製)、検出波長:3.42μm、GPCカラム:Shodex HT−806M(昭和電工社製)、カラム温度:140℃、カラム校正:単分散ポリスチレン(東ソー社製)、分子量校正法:ポリスチレン換算、溶離液:o‐ジクロロベンゼン(ODCB)
流速:1.0mL/分、試料濃度:90mg/30mL(3mg/mL)、注入量:0.5mL、降温条件:1℃/分(140℃→0℃)、その後60分間保持し、以下に記載する温度にて段階的に昇温され、それぞれの温度において溶出量が安定するまで保持されながら、その温度における溶出分を測定し、全溶出量に対して0℃における樹脂溶出量を算出する。溶出区分:0、10、20、30、40、50、60、70、75、80、83、86、90、94、98、102、106、110、120、140℃
各樹脂を表1〜3に記載する配合にてドライブレンドし、東芝機械製単軸押出機(50φmm、L/D=32)のホッパーに投入し、押出機温度をC1:210℃、C2:230℃、C3:230℃、C4:230℃、C5:230℃のように設定し、550mm幅Tダイ(温度設定:230℃、リップ開度0.3mm)から押出した。押出された溶融樹脂は、冷却ロールを備えた巻き取り機(冷却ロール700mm幅×φ350mm、ロール温度30℃)にて冷却固化し、厚み0.08mmの単層および2種3層(表層/中間層/表層=1/8/1)の基材フィルムを得た。
得られた基材フィルムを使用し、JISK7127に準拠し、1号ダンベル試験片を採取し、23℃、60%RHの雰囲気下、オートグラフ(島津製作所製AGS−X)を用いて、引張速度50mm/分にて引張弾性率を測定した。
得られた基材フィルムを使用し、長さ100mm、幅10mmの試験片を作製し、長さ方向に40mm間隔の標線を引く。次いで標線下部に荷重3gの錘を取り付け、試験片を垂直に保持し、ギヤオーブン(東洋精機製作所製STD60−P)を用いて、試験温度130℃の環境で30分間養生した。
養生後、ギヤオーブンから取り出し、標線間長さを測定し、下記式にて熱荷重伸度を求めた。
熱荷重伸度=(加熱後の標線間長さ−加熱前の標線間長さ)/(加熱前の標線間長さ)×100
得られた基材フィルムを使用し、JISK7105に準拠し、ヘイズメーター(日本電色工業製NDH2000)を用いて、基材フィルムのヘイズを測定した。
また、比較例2〜4は耐熱性が良好であるものの柔軟性が不足しておりエキスパンド性に優れないことが確認された。
Claims (8)
- 熱可塑性樹脂を含有する基材フィルムであって、引張弾性率が50〜370MPa、かつ130℃における熱荷重伸度が10%以下であり、
ポリプロピレン系樹脂(A)、オレフィン系エラストマー(B)及びスチレン系エラストマー(C)を含有し、(A)〜(C)の成分の合計質量に対して、ポリプロピレン系樹脂(A)5〜55質量%、オレフィン系エラストマー(B)25〜75質量%およびスチレン系エラストマー(C)5〜40質量%含有し、
前記ポリプロピレン系樹脂(A)は、融点が160℃以上であることを特徴とする半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム。 - 前記ポリプロピレン系樹脂(A)は、プロピレン単独重合体であることを特徴とする請求項1に記載の半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム。
- 前記オレフィン系エラストマー(B)は、クロス分別法により測定した0℃における樹脂溶出量が全溶出量に対して10質量%未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム。
- 前記オレフィン系エラストマー(B)は、ハードセグメント部がメタロセン触媒を用いて重合させたエチレン/プロピレン共重合体ブロックであり、かつ多段重合法により得られることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム。
- 前記スチレン系エラストマー(C)は、水素添加スチレン系エラストマーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の基材フィルムを少なくとも1つ備える、半導体製造工程用粘着フィルムに使用する基材フィルム。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の基材フィルムの少なくとも片面側に、粘着剤層を積層してなる半導体製造工程用粘着フィルム。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の基材フィルムの少なくとも片面側に、粘着剤層を積層してなるダイシング用粘着フィルム。
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