JP4311973B2 - ポリオレフィン系ストレッチフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン系ストレッチフィルムに関する。詳しくは、スーパーマーケット等でのプリパック用、ヒートシール包装用などの各種包装用途に使用される包装用多層フィルムであるポリオレフィン系ストレッチフィルムに関する。更に詳しくは透明性、ヒートシール性等の性能と共に、カット性にも優れた包装用多層フィルムであるポリオレフィン系ストレッチフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、スーパーマーケット等において、野菜等の食品をプリパックする業務用の包装フィルムとして、プラスチックフィルムが用いられている。このプリパックフィルムは、小分けされてプラスチックトレイ等に収容された食品、あるいは裸のままの食品等を包むように覆って包装するためのフィルムであり、透明で適度の伸び弾性と粘着性を持ちながら容易にカットできるとともに、包装した際にフィルムの内側が曇らないこと、ヒートシール性能が優れていることなどの性能が要求されている。従来このような包装フィルムとしてポリ塩化ビニル系ポリマーやエチレン・酢酸ビニル共重合体からなるフィルムが用いられてきた。このうちポリ塩化ビニル系のポリマーは優れた性能を持っている。しかし、近年の環境問題から塩素を含有しない素材が求められている。
【0003】
このような点を改善する包装フィルムとして、特開平4−246536号公報(特許文献1参照)には、線状低密度エチレン・α−オレフィン系共重合体と低密度ポリエチレンおよび/またはエチレン・酢酸ビニル共重合体とからなる外層間に、ブテン系樹脂からなる中間層が積層された多層フィルムがストレッチフィルムとして開示されている(特許請求の範囲)。しかし、このような多層フィルムは透明性、伸び弾性、カット性等には優れているが、粘着性、ヒートシール性が必ずしも十分ではないという問題点がある。これらを改良するために、外層を密度の低い樹脂で形成する方法が挙げられるが、高温シール時にフィルムに穴が開く等の問題がある。
【0004】
また、特許第3296532号公報(特許文献2参照)には、結晶化熱量が10〜60J/gであるプロピレン系重合体、及び、石油樹脂、テルペン樹脂、クロマン−インデン樹脂、ロジン樹脂又はこれらの水素添加誘導体を含有する層を少なくとも一層有する特定の貯蔵弾性率を有する食品包装用ストレッチフィルムが開示されている(請求項1)。そして、この発明に係わる食品包装用ストレッチフィルムは、透明性などを損なわない範囲で他の樹脂を混合した層を有しても良いことが記載されている(段落〔0015〕)。しかし、かかる食品包装用ストレッチフィルムは、復元性や包装時の仕上がり等が良好であるが、製膜時の安定性が悪く製膜速度を200m/分以上迄あげることができず生産性に劣り、また、30℃を超える環境では自動包装機のカット性が劣る等の問題がある。また、該発明は、他の層の構成などについては何も言及していない。
【0005】
【特許文献1】
特開平4−246536号公報(特許請求の範囲)。
【特許文献2】
特許第3296532号公報(請求項1、段落〔0015〕)。
【特許文献3】
特公平3−39524号公報(第9欄〜16欄)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、自動包装機で包装する際に必要な優れた伸度、横カット性、密着性、指圧復元性等を有し、しかも伸長時の応力の縦/横(MD/TD)のバランスがとれていて、表面しわのない包装が可能であるポリオレフィン系ストレッチフィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、防曇剤を含むポリオレフィン系樹脂組成物で表裏両外層を形成し、プロピレン単位、1−ブテン単位および炭素数5〜12のα−オレフィン単位を含む非晶性3元共重合体及び結晶性ポリプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物で中間層を形成した多層のポリオレフィン系ストレッチフィルムが、上記課題を解決し得るものであり、しかも、該ストレッチフィルムが多層押出成形法により生産性よく製造できることを見出し、本発明に到った。
【0008】
すなわち、本発明は、少なくとも3層で構成され、下記外層樹脂組成物1から形成された表裏両外層間に、下記中間層樹脂組成物から形成された中間層が積層されたポリオレフィン系ストレッチフィルムである。
【0009】
<外層樹脂組成物1>
(A)ポリオレフィン系樹脂90〜99.5重量%、及び(B)防曇剤0.5〜10重量%を含む外層樹脂組成物。
<中間層樹脂組成物>
(C)プロピレン単位、1−ブテン単位および炭素数5〜12のα−オレフィン単位を含む非晶性3元共重合体20〜80重量%、(D)230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜100g/10分、密度が0.880〜0.920g/cm3である結晶性プロピレン系ポリマー80〜20重量%を含む中間層樹脂組成物。
【0010】
本発明の好ましい態様として、前記表裏両外層の少なくとも1層が下記外層樹脂組成物2から形成された前記ポリオレフィン系ストレッチフィルムが挙げられる。表裏両外層が下記外層樹脂組成物2から形成された前記ポリオレフィン系ストレッチフィルムが最も好ましい。
<外層樹脂組成物2>
(A1)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であって、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜10g/10分、密度が0.850g/cm3以上、0.940g/cm3未満のエチレン・α−オレフィン共重合体39.5〜99.5重量%、(A2)密度が0.915〜0.930g/cm3の高圧法低密度ポリエチレン0〜60重量%、及び(B)防曇剤0.5〜10重量%を含む外層樹脂組成物。
【0011】
また、前記(A1)成分のエチレン・α−オレフィン共重合体が、メタロセン型触媒を用いて製造された共重合体である前記ポリオレフィン系ストレッチフィルム、前記(C)成分である非晶性3元共重合体がプロピレン単位10〜85モル%、1−ブテン単位3〜60モル%、および炭素数5〜12のα−オレフィン単位10〜85モル%を含む共重合体である前記ポリオレフィン系ストレッチフィルム、前記(C)成分である非晶性3元共重合体における炭素数5〜12のα−オレフィン単位が、4−メチル−1−ペンテン単位である前記ポリオレフィン系ストレッチフィルム、機械方向の100%伸長時応力が8〜30MPa、機械方向と直交する方向の100%伸長時応力が4〜11MPaである前記ポリオレフィン系ストレッチフィルム、フィルムの総厚さが6〜200μm、表裏両外層の合計厚さが総厚さの20〜90%である前記ポリオレフィン系ストレッチフィルム、前記樹脂組成物のTダイ付押出成形により得られたフィルムである前記ポリオレフィン系ストレッチフィルム、がそれぞれ挙げられる。
【0012】
本発明に係わるポリオレフィン系ストレッチフィルムは、自動包装用の包装フィルムに適し、優れた伸度、横カット性、密着性、及び指圧復元性等を有する。しかも、伸長時の応力の縦/横(MD/TD)のバランスがとれていて、表面しわのない包装が可能である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明に係わるポリオレフィン系ストレッチフィルムは、前記外層樹脂組成物1及び/又は2を原料として表裏両外層を形成し、該表裏両外層間に前記中間層樹脂組成物を原料として中間層を形成し、少なくとも3層からなる積層フィルムを形成することにより製造される。
【0014】
先ず、本発明に係わるポリオレフィン系ストレッチフィルムの表裏両外層を形成する外層樹脂組成物について説明する。(a)前記外層樹脂組成物1で表裏両外層を形成する方法、(b)前記外層樹脂組成物2で表裏両外層を形成する方法、及び、(c)前記外層樹脂組成物1で表側又は裏側の外層を形成し、前記外層樹脂組成物2で他方の外層を形成する方法がある。好ましくは(c)であり、更に好ましくは(b)である。
外層樹脂組成物1に、(A)成分として含む樹脂はポリオレフィン系樹脂である。例えば、ポリエチレン、エチレンと他のα−オレフィンとの共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸・アクリル酸アルキルエステル三元共重合体、エチレン・メタクリル酸・メタクリル酸アルキルエステル三元共重合体等のポリエチレン系樹脂、ポリピロピレン、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体等のポリプロピレン系樹脂などが挙げられる。これらに限定されるものではなく、またこれらは単独で、または混合物として使用される。
【0015】
外層樹脂組成物1に、(B)成分として含む防曇剤は、空気中の水分が凝縮してフィルムの表面を曇らせるのを防止するために配合される薬剤である。従って、フィルムの表面を親水性にして、生じた水滴を拡がらせる作用を有するものであれば特に制限はなく、一般に防曇剤として用いられているものがそのまま使用できる。
【0016】
このような防曇剤(B)としては、界面活性剤が用いられる。例えば、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル;グリセリンモノオレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル;ジグリセリンモノオレート、ジグリセリンセスキラウレート、ジグリセリンセスキオレート、テトラグリセリンモノオレート、テトラグリセリンモノステアレート、ヘキサグリセリンモノラウレート、ヘキサグリセリンモノオレート、デカグリセリンモノオレート、デカグリセリンモノラウレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシアルキレンエーテル;ラウリルジエタノールアミン等の脂肪酸アミン;オレイン酸アミド等の脂肪酸アミドなどが挙げられる。これらに限定されるものではなく、またこれらは単独で、または混合物として使用される。
【0017】
上記外層樹脂組成物1は、(A)上記ポリオレフィン系樹脂90〜99.5重量%、及び上記(B)防曇剤0.5〜10重量%を含む。好ましくは、(A)成分92〜99.5重量%、(B)成分0.5〜8重量%、より好ましくは(A)成分95〜99重量%、(B)成分1〜5重量%である。防曇剤の配合割合が0.5重量%未満である場合は、防曇効果が得られず、また、10重量%を超える場合は、防曇剤のブリードのために透明性が悪化する。防曇剤は、予め(A)成分の一部に混合してマスターバッチを形成し、これを残余の成分として混合して樹脂組成物を得ることが好ましい。
【0018】
本発明に係わるポリオレフィン系ストレッチフィルムは、柔軟性と強度のバランス、高速成形による生産効率等を考慮するとき、その外層が上記外層樹脂組成物1に替えて、上記外層樹脂組成物2を用いて形成することが好ましい。外層樹脂組成物2を用いて表裏両外層を形成してもよいし、また、表裏両外層のいずれか1方の層を上記外層樹脂組成物1で形成し、他方の層を外層樹脂組成物2を用いて形成してもよい。前者の方法が最も好ましい。
【0019】
外層樹脂組成物2は、上記外層樹脂組成物1に含まれる(A)成分であるポリオレフィン系樹脂を特定のポリオレフィン系樹脂、即ち、(A1)エチレン・α−オレフィン共重合体、及び(A2)高圧法低密度ポリエチレンで置き換えることにより製造される。(A1)成分及び(A2)成分の混合比は、外層樹脂組成物2中において、(A1)エチレン・α−オレフィン共重合体39.5〜99.5重量%、(A2)高圧法低密度ポリエチレン0〜60重量%、及び(B)防曇剤0.5〜10重量%を含む組成となるように混合する。
【0020】
外層樹脂組成物2は、主成分樹脂としてエチレン・α−オレフィン共重合体(A1)を含むので、これに防曇剤(B)を配合した2成分だけからなる外層樹脂組成物を用いても本発明の目的とする多層フィルムが得られる。
【0021】
外層樹脂組成物2に含まれる(A1)成分として用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体としては、X線回折法による結晶化度が約0〜50%程度、好ましくは5〜45%、さらに好ましくは10〜40%で、エチレン単位が主成分、例えば80〜99モル%、好ましくは85〜97モル%、より好ましくは88〜95モル%のものが望ましい。
【0022】
上記エチレンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等が例示される。コモノマーとしてのα−オレフィンは1種類に限らず、ターポリマーのように2種類以上用いることもできる。
【0023】
(A1)成分として用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体は、通常、遷移金属触媒の存在下にエチレンとα−オレフィンを気相または液相下で共重合して得ることができる。例えば、チーグラー型触媒、フィリップス型触媒、メタロセン型触媒などが使用できるが、低温でのシール性、強度、弾性率、伸び等のバランスを考慮するとメタロセン型触媒が好ましい。また、重合方法などに特に制限はなく、気相法、溶液法、バルク重合法などの重合方法により重合することができる。(A1)成分としては市販品を用いてもよい。
【0024】
外層樹脂組成物2を製造する際には、(A1)成分のエチレン・α−オレフィン共重合体は、外層樹脂組成物2中39.5〜99.5重量%、好ましくは50〜98重量%、より好ましくは60〜97重量%配合する。(A1)成分の配合割合が39.5重量%未満である場合は、透明性、強度に劣り、99.5重量%を超える場合は防曇性に劣る。また、低温シール性、強度、弾性率、伸び等を考慮すると、(A1)成分であるエチレン・α−オレフィン共重合体は、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(以下、MFRという)が0.1〜10g/10分、密度が0.850g/cm3以上、0.940g/cm3未満であることが好ましい。(A1)成分はMFRや密度の異なるエチレン・α−オレフィン共重合体の2種類以上の混合物であってもよい。(A1)成分として用いられる市販品としては、例えば、三井住友ポリオレフィン(株)製、商品名:エボリュー等が挙げられる。
【0025】
本発明において、外層樹脂組成物の(A2)成分として用いられている高圧法低密度ポリエチレン(以下、HPLDという)は、いわゆる高圧ラジカル重合により製造される長鎖分岐を有する分岐の多いポリエチレンであり、密度が0.915〜0.930g/cm3、好ましくは0.918〜0.927g/cm3、より好ましくは0.920〜0.925g/cm3のポリエチレンである。本発明で(A2)成分として用いられる高圧法低密度ポリエチレンは190℃、2.16kg荷重におけるMFRが0.01〜100g/10分、好ましくは0.05〜10g/10分、より好ましくは0.1〜8g/10分の範囲にあることが望ましい。
【0026】
この高圧法低密度ポリエチレンは、長鎖分岐の度合を表わすスウェル比、すなわち、毛細式流れ特性試験機を用い、190℃の条件下で内径(d)2.0mm、長さ15mmのノズルより押出速度10mm/分で押し出したストランドの径(ds)と、ノズル内径dとの比(ds/d)が1.3以上であることが望ましい。また、(A2)成分として用いられる高圧法低密度ポリエチレン(HPLD)は、本発明の目的を損なわない範囲で、エチレンと、50モル%以下、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下の酢酸ビニル、α,β−不飽和カルボン酸及びそのエステル等との1種以上の重合性単量体との共重合体であってもよい。
【0027】
上記(A2)成分のHPLDは、外層樹脂組成物2中0〜60重量%、好ましくは5〜30重量%、より好ましくは10〜20重量%配合する。HPLDは必ずしも配合しなくてもよいが、配合すると成形性が向上する。また、HPLDの配合割合が60重量%を超えると透明性、柔軟性が悪化する。(A2)成分として用いられる市販品としては、例えば、三井住友ポリオレフィン(株)製、商品名:スミカセン等が挙げられる。
【0028】
本発明に用いる外層樹脂組成物1及び2には、本発明の目的を損なわない範囲で、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤、顔料、染料、核剤、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤等の添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。
【0029】
本発明に用いる外層樹脂組成物1、2及び中間層樹脂組成物は、公知の方法を利用して製造することができる。例えば、各成分及び所望により添加される他成分を室温において混合する方法、各成分及び所望により添加される他成分を押出機、ニーダー等を用いて機械的にブレンドする方法などが挙げられる。
【0030】
次いで、中間層を形成する中間層樹脂組成物について説明する。本発明に係わるポリオレフィン系ストレッチフィルムの中間層は、前記中間層樹脂組成物から形成される。中間層の少なくとも1層は、(C)非晶性3元共重合体及び(D)結晶性プロピレン系ポリマーとの樹脂混合物により形成する。
【0031】
本発明でいう非晶性3元共重合体とは、沸騰n−ヘプタン不溶分、即ち、沸騰n−ヘプタンによるソックスレー抽出不溶分が70重量%以下、好ましくは60重量%以下のものをいう。沸騰n−ヘプタン不溶分が70重量%を超えると、非晶質部分の比率が少なくなり、得られるフィルムに目的とする充分な柔軟性を付与することができない。本発明において、非晶性3元共重合体は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
本発明で用いる(C)非晶性3元共重合体は、プロピレン単位、1−ブテン単位および炭素数炭素数5〜12のα−オレフィン単位を含む3元共重合体である。炭素数5〜12のα−オレフィンとしては、例えば、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、シクロヘキシルエチレン、4−シクロヘキシル−1−ブテン、5−シクロヘキシル−1−ペンテン、3−シクロペンチル−1−プロペン、3,3−ジメチル−1−ヘプテン、6,6−ジメチル−1−ヘプテン、5,5−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン等が挙げられる。(C)非晶性3元共重合体の中間層樹脂組成物2中に占める含有割合は、通常、20〜80重量%である。
【0033】
これらの(C)非晶性3元共重合体の中でも、各成分の含有割合が、プロピレン単位10〜85モル%、1−ブテン単位3〜60モル%および炭素数5〜12のα−オレフィン単位10〜85モル%の組成を有する共重合体を用いると、包装適性に優れる点で好ましい。炭素数5〜12のα−オレフィン単位の含有量は、フィルムのカット性、柔軟性などに影響を及ぼす。含有量が少な過ぎるとフィルムのカット性が低下し、逆に多過ぎるとフィルムの柔軟性が低下する。かかる点を考慮すると、炭素数5〜12のα−オレフィン単位の含有量は上記範囲であることが好ましい。さらに、プロピレン単位15〜70モル%、1−ブテン単位5〜50モル%および炭素数5〜12のα−オレフィン単位15〜70モル%の割合で含む共重合体が好ましい。特に、炭素数5〜12のα−オレフィン単位として、4−メチル−1−ペンテン単位を含む共重合体は、ストレッチフィルムの柔軟性やフィルムのカット性等の特性が優れる点で好ましい。
【0034】
(C)非晶性3元共重合体は、特公平3−39524号公報(特許文献3参照)などに記載される公知の方法により製造することができる。例えば、固体状チタン触媒成分、有機アルミニウム化合物成分、及び珪素化合物成分からなる電子供与体成分からなる触媒の存在下、10〜200℃において、プロピレン5〜88モル%、1−ブテン2〜60モル%、炭素数5〜12のα−オレフィン10〜90モル%の範囲において、共重合体組成が上記範囲になるような組成割合で上記単量体を用いて共重合する方法が挙げられる。使用触媒は、上記チーグラー型触媒の他、フィリップス型触媒、メタロセン型触媒なども使用することができる。
【0035】
本発明で用いる(D)結晶性プロピレン系ポリマーは、主にアイソタクチックポリプロピレンをいい、単独重合体でもよく、プロピレンとエチレン又は炭素数4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体又はブロック共重合体、又はこれらの混合物であってもよい。結晶性プロピレン系ポリマーは、有機過酸化物の存在下、又は不存在下に公知の方法で、例えばMFRで代表される流動性を変化させることが可能である。(D)結晶性プロピレン系ポリマーは、230℃、2.16kg荷重におけるMFRが0.1〜100g/10分、密度が0.880〜0.920g/cm3であることが好ましい。更に、耐熱性を考慮すると、示差走査熱量計で測定した、結晶融解後走査温度10℃/分で20℃まで降温したときの結晶化熱量が少なくとも60J/gであることが好ましい。(D)成分の市販品としては、三井住友ポリオレフィン(株)製、商品名:三井住友ポリプロFL8115、同F122等が挙げられる。結晶性プロピレン系ポリマーの中間層樹脂組成物中に占める含有割合は、通常、80〜20重量%である。
【0036】
本発明で用いる(C)非晶性3元共重合体と(D)結晶性プロピレン系ポリマーとの混合樹脂は、非晶性3元共重合体20〜80重量%と結晶性プロピレン系ポリマー80〜20重量%を含有するものである。非晶性3元共重合体の割合が、少なすぎると、フィルムの柔軟性が低下する。一方、多すぎる場合は、フィルムの耐熱性が低下するため好ましくない。特に、非晶性3元共重合体30〜70重量%と結晶性プロピレン系重合体70〜30重量%を含有する樹脂混合物が柔軟性と耐熱性とのバランスの観点から好ましい。
【0037】
本発明において、ストレッチフィルムの柔軟性や復元性等の特性を考慮するとき、中間層用樹脂組成物に他の非晶性ポリオレフィンや、脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族・芳香族共重合系炭化水素樹脂、ジシクロペンタジエン系炭化水素樹脂、水添脂肪族系炭化水素樹脂、水添芳香族系炭化水素樹脂、水添脂肪族・芳香族共重合系炭化水素樹脂、水添ジシクロペンタジエン系炭化水素樹脂、合成テルペン系炭化水素樹脂、テルペン系炭化水素樹脂、水添テルペン系炭化水素樹脂、クマロンインデン系炭化水素樹脂、低分子量スチレン系樹脂、及びロジン系炭化水素樹脂のうちの1種類または2種類以上の混合物を含ませてもよい。
【0038】
本発明のポリオレフィン系ストレッチフィルムは、中間層にリサイクル樹脂層を積層挿入してもよく、他の熱可塑性樹脂層、例えば、ガスバリヤーを付与するためポリアミド樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリエステル樹脂等を積層挿入してもよい。更には、層間の接着強度を上げるため、接着剤や接着性樹脂層を積層挿入してもよい。
【0039】
本発明のポリオレフィン系ストレッチフィルムを構成する各層の厚みは、特に限定されるものでなく、任意に選択することができる。通常は、各層を約2〜100μmの範囲に形成する。また、フィルム総厚みに対する両外層の厚みの比率も、特に限定されるものでなく、任意に選択することができる。通常は、両外層の合計厚みをポリオレフィン系ストレッチフィルム全体厚みの20〜90%となるように構成する。
【0040】
本発明に係わるポリオレフィン系ストレッチフィルムは、上記樹脂組成物を使用して、インフレーション成形法で製造することも可能である。Tダイ付押出機を用いる押出成形法は、高速度で製膜、巻取が可能な点で好ましい。Tダイ押出成形法では、配向防止処理として、例えば、成形温度200〜270℃、ドラフト比(ドラフト距離内での延伸比)40〜130、ドラフト距離(ダイ先からフィルムが冷却ロールに接触するまでの距離)50〜120mmとし、フィルム温度40〜70℃で延伸倍率1.2倍以下にして巻き取るような多層押出成形法が好ましい。
【0041】
このようにして成形される本発明のポリオレフィン系ストレッチフィルムは、フィルムの総厚みが6〜200μm程度で、MD方向の100%伸長時の応力が8〜30MPa、好ましくは12〜25MPa、更に好ましくは14〜20MPa、MD方向の弾性率が80〜200MPa、好ましくは100〜190MPaの範囲にある。TD方向の100%伸長時の応力が4〜11MPa、好ましくは4.5〜10MPa、更に好ましくは4.5〜8MPaの範囲にある。また、フィルムのMD方向の配向が抑えられて伸長時応力のMD方向/TD方向のバランスがとられ、MD方向の100%伸長時の応力と、TD方向の100%伸長時の応力との比(MD/TD)が、好ましくは1〜5、更に好ましくは1.2〜3.5の範囲である。
【0042】
上記特性を有するポリオレフィン系ストレッチフィルムは、横カット性、密着性、指圧復元性に優れるとともに、パック時に表面しわを生じ難く、自動包装機適性に優れ、連続でストレッチ包装を行っても切れの少ない効果を奏する。また、インフレーションフィルム成形方法のみでなく、生産性に優れたTダイ押出成形法で製造することもできるので経済性にも優れる。
【0043】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明について更に詳細に説明する。尚、本発明に係わる各種特性の評価は下記方法により実施した。
【0044】
(1)メルトフローレート(MFR)(g/10分)
ASTM D1238に規定される方法により測定する。
【0045】
(2)密度(g/cm3)
ASTM D1505に規定される方法により測定する。
【0046】
(3)100%伸長時応力(MPa)、及び破断強度(MPa)
インストロン型引張試験機〔オリエンテック(株)製、形式:U−1330〕を用いて、チャック間距離:50mm、引張速度:500mm/分、試験片形状:ASTM D638type−1により、ASTM D882に規定される方法により、MD方向及びTD方向について測定する。
【0047】
(4)弾性率(MPa)
インストロン型引張試験機〔オリエンテック(株)製、形式:U−1330〕を用いて、チャック間距離:50mm、引張速度:500mm/分、試験片形状:ASTM D638type−1により、ASTM D882に規定される方法により、MD方向について測定する。
【0048】
(5)カット性
環境温度23℃及び30℃において、市販の突き上げ式トレー自動包装機〔寺岡精工社製、形式:AW2600AT−III.PE〕を用いて、発泡ポリスチレン製トレーを包装するとき、フィルムカット後の折れ込み状況を観察し、以下のように判定する。無作為に100個の包装体を選び、1個でも不具合が認められた場合は、以下の基準に従って、◎、○、△または×と判定する。
◎:カット不良によるフィルムの折れ込みが全くなく、極めて良好である。○:フィルムの折れ込みが僅かに認められるが、良好である。△:フィルムの折れ込みが若干認められる。×:フィルムの折れ込みが頻発する。
【0049】
(6)表面仕上がり
前項(5)と同一の試料について、トレー上面のフィルムのシワ、トレーの変形などを以下のように判定する。
○:シワ、トレー変形などがなく、極めて良好である。△:シワ、トレー変形が若干見られるが、良好である。×:シワ、トレー変形が見られる。
【0050】
(7)底の開き
前項(5)と同様にして包装した試料について、トレー底のフィルムの状態を観察し、以下のように判定する。
○:トレー底のフィルムが十分な重なりを持ち密着しており、極めて良好である。△:トレー底のフィルムの重なりがやや少ないが、良好である。×:トレー底のフィルムの重なりがなく開いている。
【0051】
(8)耐熱性(℃)
市販のハンド式トレー包装機〔ARC(株)製、形式:ポリラッパー〕の熱シール用熱板にフィルム1枚を2秒間接触させ、フィルムに穴が開かない最高熱板温度を測定し、耐熱温度とする。
【0052】
<実施例で使用した原料樹脂>
(A)成分用樹脂
EVA:エチレン・酢酸ビニル共重合体〔三井デュポンポリケミカル(株)製、商品名:エバフレックスP−1405、密度0.93g/cm3、190℃、荷重2.16kgにおけるMFR3.5g/10分〕。
EMAAiBA:エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチル三元共重合体〔エチレン単位含有量94.6モル%(83重量%)、メタクリル酸単位含有量3.4モル%(9重量%)、アクリル酸イソブチル単位含有量2.0モル%(8重量%)、MFR10g/10分〕。
【0053】
(A1成分用樹脂)
A1:エチレン・ヘキセン−1共重合体〔三井住友ポリオレフィン(株)製、商品名:エボリューSP0540、密度0.903g/cm3、190℃、荷重2.16kgにおけるMFR3.4g/10分〕。
【0054】
(A2成分用樹脂)
A2:高圧法低密度ポリエチレン〔三井住友ポリオレフィン(株)製、商品名:スミカセンF−200,密度0.924g/cm3、190℃、荷重2.16kgにおけるMFR2.0g/10分〕。
【0055】
(C成分用樹脂)
C1:プロピレン・ブテン−1・4−メチル−1−ペンテン3元共重合体〔プロピレン単位含有量50モル%、ブテン−1単位含有量20モル%、4−メチル−1−ペンテン単位含有量30モル%、190℃、荷重2.16kgにおけるMFR4.0g/10分〕。
C2:プロピレン・ブテン−1・4−メチル−1−ペンテン3元共重合体〔プロピレン単位含有量30モル%、ブテン−1単位含有量30モル%、4−メチル−1−ペンテン単位含有量40モル%、190℃、荷重2.16kgにおけるMFR4.0g/10分〕。
C3:プロピレン・ブテン−1・4−メチル−1−ペンテン3元共重合体〔プロピレン単位含有量60モル%、ブテン−1単位含有量20モル%、4−メチル−1−ペンテン単位含有量20モル%、190℃、荷重2.16kgにおけるMFR4.0g/10分〕。
【0056】
(D成分用樹脂)
D1:プロピレン・エチレンランダム共重合体〔三井住友ポリオレフィン(株)製、商品名:三井住友ポリプロFL8115、密度0.90g/cm3、230℃、荷重2.16kgにおけるMFR=7g/分〕。
D2:プロピレン重合体〔三井住友ポリオレフィン(株)製、商品名:三井住友ポリプロF122、密度0.90g/cm3、230℃、荷重2.16kgにおけるMFR=2.2g/分〕。
【0057】
(その他の成分)
E1:プロピレン・ブテン−1・エチレン3元共重合体〔デグサジャパン(株)製、商品名:ベストプラスト750、190℃における溶融粘度50000mPa・s〕
E2:ブテン−1・プロピレン・エチレン3元共重合体〔デグサジャパン(株)製、商品名:ベストプラスト520、190℃における溶融粘度22000mPa・s〕。
E3:水添芳香族系炭化水素樹脂〔荒川化学工業(株)製、商品名:アルコンP125〕。
E4:水添テルペン樹脂〔ヤスハラケミカル(株)製、商品名:クリアロンP−125〕。
【0058】
実施例1
<防曇剤マスターバッチの調製>
エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)〔三井デュポンポリケミカル(株)製、商品名:エバフレックスP−1405、密度0.93g/cm3、190℃、荷重2.16kgにおけるMFR3.5g/10分〕88重量%、及びジグリセリンオレート(B)〔理研ビタミン(株)製、商品名:O−71DE〕12重量%を含む樹脂組成物を口径30mm、L/Dが26の二軸押出機を用いて樹脂温度200℃において混練り、造粒しこれをマスターバッチ(AB1)とした。
【0059】
<外層樹脂組成物の調製>
(A)成分(EVA)として、エチレン・酢酸ビニル共重合体〔三井デュポンポリケミカル(株)製、商品名:エバフレックスP−1405、密度0.93g/cm3、190℃、荷重2.16kgにおけるMFR3.5g/10分〕80重量%、及び上記防曇剤マスターバッチ(AB1)20重量%をブレンドして外層樹脂組成物を得た。
【0060】
<中間層樹脂組成物の調製>
結晶性プロピレン系重合体(D2)としてプロピレン重合体〔三井住友ポリオレフィン(株)製、商品名:三井住友ポリプロF122、密度0.90g/cm3、230℃、荷重2.16kgにおけるMFR=2.2g/分〕40重量%、非晶性ポリオレフィン(C1)としてプロピレン・ブテン−1・4−メチル−1−ペンテン3元共重合体〔プロピレン単位含有量50重量%、ブテン−1単位含有量20重量%、4−メチル−1−ペンテン単位含有量30重量%、190℃、荷重2.16kgにおけるMFR4.0g/10分〕60重量%をブレンドして中間層樹脂組成物を得た。尚、(C1)は、特公平3−39524号公報に記載された方法により得た。
【0061】
<フィルムの製造>
上記樹脂構成の外層/中間層/外層の厚み構成比が1/2/1、合計厚みが12μmの2種3層積層フィルムを環状三層ダイ温度190℃、ブローアップ比4.5で共押出インフレーション製膜し、巻き取り速度40m/分でポリオレフィン系ストレッチフィルムを製造した。得られたフィルムについて、上記方法により各種特性を評価した。主な製造条件を表1、評価結果を表4にそれぞれ示す。
実施例2
<防曇剤マスターバッチの調製>
高圧法低密度ポリエチレン(A2)〔三井住友ポリオレフィン(株)製、商品名:スミカセンF−200、密度0.924g/cm3、190℃、荷重2.16kgにおけるMFR2.0g/10分〕88重量%、ジグリセリンオレート(B)〔理研ビタミン(株)製、商品名:O−71DE〕12重量%を含む樹脂組成物を口径30mm、L/Dが26の二軸押出機を用いて樹脂温度200℃で混練り、造粒しこれをマスターバッチ(AB2)とした。
【0062】
<外層樹脂組成物の調製>
メタロセン型触媒を使用して製造されたエチレン・ヘキセン−1共重合体(A1)〔三井住友ポリオレフィン(株)製、商品名:エボリューSP0540、エチレン単位含有量93.7モル%、結晶化度25%、密度0.903g/cm3、190℃、荷重2.16kgにおけるMFR3.4g/10分〕80重量%、及び上記防曇剤マスターバッチ(AB2)20重量%をブレンドして外層樹脂組成物を得た。
【0063】
<中間層樹脂組成物の調製>
結晶性プロピレン系重合体(D1)としてプロピレン・エチレンランダム共重合体〔三井住友ポリオレフィン(株)製、商品名:三井住友ポリプロFL8115、密度0.90g/cm3、230℃、荷重2.16kgにおけるMFR=7g/分〕40重量%、非晶性ポリオレフィン(C1)としてプロピレン・ブテン−1・4−メチル−1−ペンテン3元共重合体〔プロピレン単位含有量50重量%、ブテン−1単位含有量20重量%、4−メチル−1−ペンテン単位含有量30重量%、190℃、荷重2.16kgにおけるMFR4.0g/10分〕60重量%をブレンドして中間層樹脂組成物を得た。尚、(C1)は、特公平3−39524号公報に記載された方法により得た。
【0064】
<フィルムの製造>
上記樹脂構成の外層/中間層/外層の厚み構成比が1/1/1、合計厚みが12μmの2種3層積層フィルムをプラコー社製3層フィードブロック型Tダイ成形機を用いて、樹脂温度240℃、ドラフト比50、ドラフト距離80mmとして、キャストロール温度を40℃とし、バキュームチャンバー方式で延伸倍率1.2倍、巻取速度250m/分でポリオレフィン系ストレッチフィルムを製造した。得られたフィルムについて、上記方法により各種特性を評価した。主な製造条件を表1、評価結果を表4に示す。
【0065】
実施例3〜8、比較例1〜3
使用原料及び製造条件を表1〜3に示した通りに変更した以外は、実施例2と同様にして樹脂組成物を製造し、得られた樹脂組成物からポリオレフィン系ストレッチフィルムを製造した。尚、実施例3、5〜8、及び比較例1〜2の中間層樹脂組成物は、口径30mm、L/Dが26の二軸押出機を用いて樹脂温度180℃で混練り、調製した。各種特性を実施例1と同様にして評価した。主な製造条件を表1〜3、評価結果を表4〜5にそれぞれ示す。
尚、実施例で用いた非晶性3元共重合体(C1)、(C2)、(C3)は、特公平3−39524号公報(特許文献3)に記載された方法により製造した。
【0066】
実施例9
<防曇剤マスターバッチの調製>
EMAAiBA:エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチル三元共重合体〔エチレン単位含有量94.6モル%(83重量%)、メタクリル酸単位含有量3.4モル%(9重量%)、アクリル酸イソブチル単位含有量2.0モル%(8重量%)、MFR10g/10分〕88重量%、及びB成分として、ジグリセリンオレート(B)〔理研ビタミン(株)製、商品名:O−71DE〕12重量%を含む樹脂組成物を口径30mm、L/Dが26の二軸押出機を用いて樹脂温度200℃において混練し、造粒しこれをマスターバッチ(AB3)とした。
【0067】
<外層樹脂組成物の調製>
(A)成分として、EMAAiBA:エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチル三元共重合体〔エチレン単位含有量94.6モル%(83重量%)、メタクリル酸成分含有量3.4モル%(9重量%)、アクリル酸イソブチル成分含有量2.0モル%(8重量%)、MFR10g/10分〕80重量%、及び上記防曇剤マスターバッチ(AB3)20重量%をブレンドして外層樹脂組成物を得た。
【0068】
<中間層樹脂組成物の調製>
結晶性プロピレン系重合体(D1)としてプロピレン・エチレンランダム共重合体〔三井住友ポリオレフィン(株)製、商品名:三井住友ポリプロFL8115、密度0.90g/cm3、230℃、荷重2.16kgにおけるMFR=7g/分〕40重量%、及び非晶性ポリオレフィン(C1)としてプロピレン・ブテン−1・4−メチル−1−ペンテン3元共重合体〔プロピレン単位含有量50重量%、ブテン−1単位含有量20重量%、4−メチル−1−ペンテン単位含有量30重量%、190℃、荷重2.16kgにおけるMFR4.0g/10分〕60重量%をブレンドして中間層樹脂組成物を得た。尚、(C1)は、特公平3−39524号公報に記載された方法により得た。
【0069】
<フィルムの製造>
上記樹脂構成の外層/中間層/外層の厚み構成比が1/1/1、合計厚みが12μmの2種3層積層フィルムをプラコー社製3層フィードブロック型Tダイ成形機を用いて、樹脂温度240℃、ドラフト比50、ドラフト距離80mmとして、キャストロール温度を40℃とし、バキュームチャンバー方式で延伸倍率1.2倍、巻取速度250m/分でポリオレフィン系ストレッチフィルムを製造した。得られたフィルムについて、上記方法により各種特性を評価した。主な製造条件を表3、評価結果を表4にそれぞれ示す。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】
【表5】
【0075】
【発明の効果】
本発明に係わるポリオレフィン系ストレッチフィルムは、自動包装用の包装フィルムに適し、優れた伸度、横カット性、密着性、及び指圧復元性等を有する。しかも、伸長時の応力の縦/横(MD/TD)のバランスがとれていて、表面しわのない包装が可能である。
Claims (9)
- 少なくとも3層で構成され、下記外層樹脂組成物1から形成された表裏両外層間に、下記中間層樹脂組成物から形成された中間層が積層されたポリオレフィン系ストレッチフィルム。
<外層樹脂組成物1>
(A)ポリオレフィン系樹脂90〜99.5重量%、及び(B)防曇剤0.5〜10重量%を含む外層樹脂組成物。
<中間層樹脂組成物>
(C)プロピレン単位、1−ブテン単位および炭素数5〜12のα−オレフィン単位を含む非晶性3元共重合体20〜80重量%、(D)230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜100g/10分、密度が0.880〜0.920g/cm3である結晶性プロピレン系ポリマー80〜20重量%を含む中間層樹脂組成物。 - 表裏両外層の少なくとも1層が下記外層樹脂組成物2から形成された請求項1記載のポリオレフィン系ストレッチフィルム。
<外層樹脂組成物2>
(A1)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であって、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜10g/10分、密度が0.850g/cm3以上、0.940g/cm3未満のエチレン・α−オレフィン共重合体39.5〜99.5重量%、(A2)密度が0.915〜0.930g/cm3の高圧法低密度ポリエチレン0〜60重量%、及び(B)防曇剤0.5〜10重量%を含む外層樹脂組成物。 - 表裏両外層が上記外層樹脂組成物2から形成された請求項2記載のポリオレフィン系ストレッチフィルム。
- (A1)成分のエチレン・α−オレフィン共重合体が、メタロセン型触媒を用いて製造された共重合体であることを特徴とする請求項2記載のポリオレフィン系ストレッチフィルム。
- 前記(C)成分である非晶性3元共重合体がプロピレン単位10〜85モル%、1−ブテン単位3〜60モル%、および炭素数5〜12のα−オレフィン単位10〜85モル%を含む共重合体であることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン系ストレッチフィルム。
- 前記(C)成分である非晶性3元共重合体における炭素数5〜12のα−オレフィン単位が、4−メチル−1−ペンテン単位である請求項1記載のポリオレフィン系ストレッチフィルム。
- 機械方向の100%伸長時応力が8〜30MPa、機械方向と直交する方向の100%伸長時応力が4〜11MPaであることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン系ストレッチフィルム。
- フィルムの総厚さが6〜200μm、表裏両外層の合計厚さが総厚さの20〜90%であることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン系ストレッチフィルム。
- 前記樹脂組成物のTダイ付押出成形により得られたフィルムであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリオレフィン系ストレッチフィルム。
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