JP3335115B2 - 積層シート - Google Patents

積層シート

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JP3335115B2
JP3335115B2 JP29804197A JP29804197A JP3335115B2 JP 3335115 B2 JP3335115 B2 JP 3335115B2 JP 29804197 A JP29804197 A JP 29804197A JP 29804197 A JP29804197 A JP 29804197A JP 3335115 B2 JP3335115 B2 JP 3335115B2
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裕三 杉田
洋治 乾
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  • Laminated Bodies (AREA)
  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層フィルムとポ
リプロピレンシートとを積層した、熱成形用途に好適な
積層シートに関する。
【0002】
【従来の技術】通常、弁当容器、フードパック等の食品
包装容器や一般包装容器等は、ポリオレフィンシート、
特にポリプロピレンシートを用いて、真空成形、圧空成
形等の熱成形法により製造されている。そして近年、環
境問題が重要視されるにつれて、これら材料による包装
容器の使用は、増加傾向にある。
【0003】この熱成形法は、シートやフィルムを加熱
した後、機械力、真空、圧空等の外力により、該シート
やフィルムを金型に密着させて成形する方法が一般的で
ある。その際、金型で成形する前の加熱時に、シート等
の中央部分が垂れ下がる現象(以下、ドローダウンと記
す)が発生する。さらに加熱を続けると、シート等の中
央部分が熱収縮により加熱前の位置に戻る力が働き、そ
して成形は、垂れが加熱前の位置に最も戻った時点で行
われる。一般にドローダウンが大きいものほど、加熱前
の位置に戻りにくく、したがって、このドローダウンの
程度が、成形精度に大きく関わってくる。
【0004】また、成形精度は、上記したドローダウン
のみならず、加熱したシートの成形時の引張応力にも左
右される。即ち、成形時の引張応力が不足すると、成形
時に金型へ密着させる際、成形品の厚みが均一にならな
い、偏肉とよばれる現象が発生する。また、引張応力が
過剰だと、成形時に金型へ十分密着が行えず、望む成形
品形状が得られないという問題が発生する。
【0005】一方、包装容器に光沢を付与したり、予め
印刷を施すことによって包装容器に高級感を付与する目
的で、ポリオレフィンシート、例えばポリプロピレンシ
ートに、無延伸ポリプロピレンフィルム(以下、CPP
フィルムと記す)を積層されている。
【0006】しかしながら、CPPフィルムが積層され
た積層シートを熱成形法により成形した場合、ドローダ
ウンが大きく、さらに成形時に光沢が低下する現象をも
生じるため、高い光沢を有する成形品を得ることができ
なかった。
【0007】そこで、上記CPPフィルムを積層した積
層シートにおいて、該CPPフィルムに代えて、二軸延
伸ポリプロピレンフィルムを使用することが提案されて
いる。例えば、特開平3−288641号公報には、結
晶状態がスメクチック構造のポリプロピレンシートに、
二軸延伸ポリプロピレンフィルムをラミネートすること
により、ドローダウン性が改良された積層シートが開示
されている。
【0008】しかしながら、上記公報に示されている積
層シートでは、ドローダウン性は改良できるものの、熱
成形時の引張応力が過剰となるため、金型に十分密着す
ることができず、成形精度に関して、未だ改良の余地が
あった。
【0009】このような背景にあって本発明者らは、成
形精度と光沢に優れた積層延伸ポリプロピレンフィルム
を積層した積層シートを提案した(特願平9−1034
45号)。
【0010】一方、熱成形法は、上記した真空、圧空、
機械力等の外力を組み合わせることにより、種々の成形
法があり、例えば、真空成形、圧空成形、真空圧空成形
等を挙げることができる。その中でも、シート等の両面
をバランスよく金型に密着させることができる真空圧空
成形が成形精度の点から望ましい。しかし真空圧空成形
は、真空と圧空の両方を制御するため、複雑かつ高価な
成形機が必要であった。したがって、より簡便で汎用の
熱成形法である、圧空を併用しない真空成形でも、成形
精度のよい成形品が得られるシートが望まれていた。
【0011】しかしながら、本発明者らが提案した上記
積層シートでは、上記真空圧空成形において十分な成形
精度を得ることはできるが、圧空を併用しない真空成形
では、成形精度に関して未だ改良の余地があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】したがって、ドローダ
ウン性の改善のみならず、特に圧空を併用しない真空成
形において、成形時に金型へ十分に密着できる金型密着
性と成形後の成形品厚みが均一になる均一成形性とを兼
ね備え、さらに熱成形をおこなっても表面光沢が優れ
た、シートが望まれていた。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特に圧空
を併用しない真空成形において、金型密着性や均一成形
性が良好であり、しかも、熱成形後の表面光沢も良好な
上記積層シートを開発すべく、鋭意研究を重ねてきた。
【0014】その結果、特定の物性とフィルム組成・層
構成を有する積層フィルムを、ポリプロピレンシートに
積層した積層シートにより、上記課題を解決できること
を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0015】即ち、本発明は、結晶性ポリプロピレン1
00重量部と、a)ポリプロピレン成分及び/又はプロ
ピレンに基づく単量体単位を90モル%より多く含むプ
ロピレン系ランダム共重合体成分1〜70重量%、b)
エチレンに基づく単量体単位を10〜40モル%、プロ
ピレンに基づく単量体単位を90〜60モル%含むプロ
ピレン−エチレンランダム共重合体成分30〜99重量
%よりなるプロピレン系ブロック共重合体3〜100重
量部との組成物よりなる層(A)と、ポリプロピレン及
び/又はプロピレンに基づく単量体単位を99モル%以
上含むプロピレン系ランダム共重合体よりなる層(B)
との積層体よりなり、引張伸度100%の条件下での熱
機械的分析により測定されるフィルムの流れ方向及び該
フィルムの流れ方向に対して直角となる方向における1
20℃の引張応力が、0.1〜3.0kgf/mm2
ある積層フィルムを、ポリプロピレンシート(C)の少
なくとも片面に積層され、且つ層(B)が表層となるよ
うに構成されたことを特徴とする積層シートである。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明において、積層フィルムの
層(A)の原料に使用される結晶性ポリプロピレンは、
下記に示す物性を満足するものであれば特に制限なく、
たとえば、プロピレン単独重合体、プロピレンとプロピ
レン以外のα−オレフィンとのランダムまたはブロック
共重合体等を使用することができる。上記結晶性ポリプ
ロピレンにおけるプロピレン以外のα−オレフィンに由
来する単量体単位の含有量としては、本発明で規定する
物性を勘案すると、5モル%以下であることが好まし
い。プロピレン以外のα−オレフィンとしては、炭素数
が2〜12のα−オレフィンが好ましく、エチレン、1
−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、
1−オクテン等の炭素数が2〜8のα−オレフィンがよ
り好ましい。
【0017】上記結晶性ポリプロピレンは、示差走査熱
測定(以下、DSCと記す)における融解熱によって定
義される。即ち、本発明で使用される結晶性ポリプロピ
レンは、DSCにおける融解熱が65〜120mJ/m
gであり、より好ましくは70〜120mJ/mgであ
る。
【0018】DSCにおける融解熱が65mJ/mgよ
り小さい場合は、得られる積層シートの剛性が低下する
ため好ましくなく、DSCにおける融解熱が120mJ
/mgより大きい場合は、得られる積層シートの金型密
着性が低下するため好ましくない。
【0019】また、本発明で使用される結晶性ポリプロ
ピレンは、以下のような特性を有していることが好まし
い。
【0020】上記結晶性ポリプロピレンのDSCにおけ
るピークトップの測定値は、125〜165℃が好まし
く、130〜160℃がより好ましい。DSCにおける
ピークトップの測定値が125℃より低い場合は、熱成
形後の積層シートの表面光沢が低下するため好ましくな
い。DSCにおけるピークトップの測定値が165℃よ
り高い場合は、得られる積層シートの金型密着性が低下
するため好ましくない。
【0021】上記結晶性ポリプロピレンのメルトフロー
レートは、製膜性を勘案すれば0.5〜20g/10分
の範囲であることが好適である。
【0022】本発明において、積層フィルムの層(A)
の原料に使用されるプロピレン系ブロック共重合体は、
a)ポリプロピレン成分及び/又はプロピレンに基づく
単量体単位を90モル%より多く含むプロピレン系ラン
ダム共重合体成分(以下、a成分と記す)と、b)エチ
レンに基づく単量体単位を10〜40モル%、プロピレ
ンに基づく単量体単位を90〜60モル%含むプロピレ
ン−エチレンランダム共重合体成分(以下、b成分と記
す)とを含むものである。
【0023】上記a成分において、プロピレン系ランダ
ム共重合体成分中の、プロピレンに基づく単量体単位以
外の単量体単位としては、プロピレンと共重合可能な他
の公知の単量体単位が何等制限なく採用できる。その中
でも、エチレンおよび炭素数が4〜12のα−オレフィ
ンに基づく単量体単位が好適であり、これらは1種また
は2種以上を組み合わせてもよい。その中で特に、エチ
レンおよび炭素数4〜8のα−オレフィンに基づく単量
体単位がより好ましい。
【0024】上記プロピレンに基づく単量体単位以外の
単量体単位の含有割合は、10モル%未満であることが
必要である。上記含有割合が10モル%以上の場合、得
られる積層フィルムの粘着性が強くなり、取扱いが困難
になるため好ましくない。
【0025】上記b成分において、プロピレン−エチレ
ンランダム共重合体成分中の、エチレンに基づく単量体
単位及びプロピレンに基づく単量体単位のそれぞれの含
有割合は、エチレンに基づく単量体単位10〜40モル
%であることが必要であり、好ましくは15〜35モル
%である。逆に、プロピレンに基づく単量体単位90〜
60モル%であり、好ましくは85〜65モル%であ
る。
【0026】エチレンに基づく単量体単位の含有割合が
10モル%未満であり、かつ、プロピレンに基づく単量
体単位の含有割合が90モル%を越える場合、得られる
積層シートの均一成形性が低下するため好ましくない。
一方、エチレンに基づく単量体単位の含有割合が40モ
ル%を越え、プロピレンに基づく単量体単位の含有割合
が60モル%未満である場合、得られる積層フィルムの
粘着性が強くなり、取扱いが困難になるため好ましくな
い。
【0027】また、上記プロピレン−エチレンランダム
共重合体成分には、本発明の効果を損なわない範囲で、
他のα−オレフィンに基づく単量体単位が少量、例えば
5モル%以下の範囲で共重合されて含まれていてもよ
い。他のα−オレフィンとしては、特に制限されない
が、炭素数が4〜12のα−オレフィンの1種または2
種以上が挙げられ、炭素数4〜8のα−オレフィンが特
に好ましい。
【0028】上記プロピレン系ブロック共重合体本発明
における、上記a成分とb成分との割合は、a成分1〜
70重量%とb成分30〜99重量%であり、好適には
a成分3〜60重量%とb成分40〜97重量%であ
る。
【0029】上記a成分が1重量%より少ない場合は、
得られる積層シートの剛性が低下し、また、70重量%
より多い場合は、得られる積層シートの金型密着性が低
下するため好ましくない。
【0030】また、上記プロピレン系ブロック共重合体
は、上記a成分及びb成分の他に、好ましくは10重量
%以下の範囲で、他のα−オレフィン重合体成分が含有
されていても良い。このα−オレフィンとしては、前記
したものが制限なく使用され、その中でも、1−ブテン
が好適である。
【0031】上記プロピレン系ブロック共重合体は、a
成分及びb成分が一分子鎖中に配列したいわゆるブロッ
ク共重合体の分子鎖と、a成分及びb成分のそれぞれ単
独よりなる分子鎖とが機械的な混合では達成できない程
度にミクロに混合しているものが特に好適である。
【0032】また、上記プロピレン系ブロック共重合体
は、以下のような特性を有していることが好ましい。
【0033】上記プロピレン系ブロック共重合体は、D
SCにおける融解熱が60mJ/mg以下であることが
好ましく、55mJ/mgであることがより好ましい。
【0034】DSCにおける融解熱が60mJ/mgよ
り大きい場合は、得られる積層シートの均一成形性等の
熱成形性が低下するため好ましくない。
【0035】上記プロピレン系ブロック共重合体のメル
トフローレートは、製膜性を勘案すれば0.5〜20g
/10分の範囲であることが好適である。
【0036】層(A)原料中のプロピレン系ブロック共
重合体の配合量は、結晶性ポリプロピレン100重量部
に対して、3〜100重量部であることが必要であり、
4〜60重量部であることがより好ましい。
【0037】プロピレン系ブロック共重合体の配合量が
3重量部より少ない場合は、圧空を併用しない真空成形
における金型密着性が低下するだけでなく、本発明の積
層フィルムの製造も困難となるため好ましくない。一
方、プロピレン系ブロック共重合体の配合量が100重
量部より多い場合は、圧空を併用しない真空成形におけ
る金型密着性がこれ以上向上せず、逆にブレンドするこ
とが困難となり、組成物の押出成形も困難となるだけで
なく、得られる積層シートの剛性も低下するため好まし
くない。
【0038】本発明において、結晶性ポリプロピレンと
プロピレン系ブロック共重合体との組成物の製造方法
は、公知の方法が何ら制限なく採用でき、たとえば、結
晶性ポリプロピレンとプロピレン系ブロック共重合体と
を溶融混練し組成物とする方法、結晶性ポリプロピレン
とプロピレン系ブロック共重合体とを単にブレンドして
組成物とする方法が挙げられる。この中でも、ブレンド
性、組成物の押出特性等を勘案すると、結晶性ポリプロ
ピレンとプロピレン系ブロック共重合体とを溶融混練し
組成物とする方法が好適に使用できる。
【0039】本発明において、積層フィルムの層(B)
の原料に使用されるプロピレン系ランダム共重合体は、
プロピレンに基づく単量体単位の含有量が、99モル%
以上であることが必要であり、99.2モル%以上であ
ることがより好ましい。プロピレンに基づく単量体単位
の含有量が99モル%より少ない場合は、積層シートに
おいて熱成形後の表面光沢が低下するため好ましくな
い。該プロピレン系ランダム共重合体において、プロピ
レン以外の単量体としては、プロピレンと共重合可能な
単量体が何ら制限なく使用できるが、その中でも炭素数
が2〜12のα−オレフィンが好ましく、エチレン、1
−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、
1−オクテン等の炭素数が2〜8のα−オレフィンがよ
り好ましい。層(B)原料を具体的に例示すると、プロ
ピレン単独共重合体、プロピレン−エチレンランダム共
重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピ
レン−エチレン−ブテンランダム三元共重合体、プロピ
レン−ヘキセンランダム共重合体等の1種または2種以
上の混合物を挙げることができる。
【0040】また、層(B)原料に使用されるプロピレ
ン単独重合体及び/又はプロピレン系ランダム共重合体
は、DSCにおけるピークトップの測定値が、耐熱性を
勘案すると、150〜165℃であることが好ましく、
155〜165℃であることがより好ましい。また、該
プロピレン単独重合体及び/又はプロピレン系ランダム
共重合体の13C−NMRによるmmmmペンタッド分率
は、0.85〜0.96であることが好ましく、0.8
6〜0.94であることがより好ましい。mmmmペン
タッド分率が0.96より大きい場合は、得られる積層
シートの金型密着性が低下するため好ましくない。mm
mmペンタッド分率が0.85より小さい場合は、熱成
形後の表面光沢が低下するため好ましくない。該プロピ
レン単独重合体及び/又はプロピレン系ランダム共重合
体のMFRは、フィルム成形性を勘案すると、1〜15
g/10分であることが好ましく、2〜15g/10分
であることがより好ましい。
【0041】また、本発明に使用される積層フィルム原
料中には、本発明のフィルム物性を阻害しない程度、他
の樹脂を混合することができる。混合する樹脂として
は、特に制限されないが、一般的にはプロピレン、エチ
レン、ブテン等の単独重合体および共重合体、またはこ
れらの重合体の2種以上の混合物を用いることができ
る。
【0042】さらに、積層フィルム原料樹脂中には、必
要に応じて帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング
剤、酸化防止剤、光安定剤、結晶核剤、滑剤、滑り性付
与およびアンチブロッキング性付与を目的とした界面活
性剤、フィラー、発泡剤等の公知の添加剤を配合させて
用いても良い。
【0043】本発明に使用される積層フィルムは、少な
くとも層(A)と層(B)との積層体によりなることが
必要である。すなわち、該積層フィルムにおいて、層
(A)はドローダウン性を改善し、かつ、特に圧空を使
用しない真空成形における金型密着性を付与するため必
要であり、一方、層(B)はドローダウン性を改善しつ
つ熱成形後の表面光沢と均一成形性を付与するために必
要である。さらに、両層を積層することにより、初めて
本発明の目的を達成することができる。また、上記した
性質を備えるため、層(A)は、充分に配向緩和されて
いることが好ましく、層(B)は、延伸配向されている
ことが好ましい。
【0044】上記した層(A)もしくは層(B)のみの
単層フィルムの場合、本発明が目的とする熱成形後も表
面光沢を有し、かつ、特に圧空を使用しない真空成形に
おける十分な均一成形性や金型密着性を兼ね備えた積層
シートが得られないので好ましくない。また、本発明と
は逆に、積層フィルムの層(A)が表層となるように積
層した積層シートは、熱成形後の表面光沢が低下するの
で好ましくない。
【0045】また、該積層フィルムは、層(A)と層
(B)の2層構成に限定されず、層(B)、層(A)、
層(B)の3層構成でもよく、さらに、層(A)と層
(B)が複数回繰り返し積層されていてもよい。
【0046】本発明に使用される積層フィルムの層
(A)の厚みは、ドローダウン性の維持や、金型密着性
等の熱成形性等を勘案すると、5〜100μmであるこ
とが好ましく、10〜60μmであることがより好まし
い。
【0047】一方、該積層フィルムの層(B)の厚み
は、表面光沢や、均一成形性等の熱成形性等を勘案する
と、0.5〜50μmであることが好ましく、1〜15
μmであることがより好ましい。
【0048】また、該積層フィルム全体の厚みに対する
層(B)の厚みの比率は、0.2〜40%であることが
好ましく、0.5〜30%であることがより好ましい。
層(B)の厚みの比率が0.2%より小さい場合は表面
光沢が低下し、40%より大きい場合は金型密着性等の
熱成形性が低下するため好ましくない。
【0049】本発明に使用される積層フィルムは、特定
条件の熱機械的分析によって特定される。即ち、熱機械
的分析における、フィルムの流れ方向(以下、MD方向
と記す)および流れ方向に対して直角となる方向(以
下、TD方向と記す)における120℃の引張応力(以
下、熱時引張応力と記す)が、引張伸度100%の条件
下で、0.1〜3.0kgf/mm2であることが必要
であり、0.2〜2.5kgf/mm2であることがよ
り好ましい。熱時引張応力が0.1kgf/mm2より
小さい場合は、ドローダウンが大きくなり、さらに均一
成形性も低下するので好ましくない。熱時引張応力が
3.0kgf/mm2より大きい場合は、圧空を使用し
ない真空成形における金型密着性が低下するために好ま
しくない。
【0050】また、23℃における引張伸度は、50〜
400%であることが好ましく、80〜350%である
ことがより好ましい。引張伸度が50%より小さい場合
は、得られる積層シートの金型密着性が低下するため好
ましくない。一方、引張伸度が400%より大きい場合
は、得られる積層シートの剛性が不足し、さらに均一成
形性が低下するため好ましくない。
【0051】本発明で使用される積層フィルムの製造方
法は、特に制限されるものではなく、代表的な製造方法
として、層(A)と層(B)とを積層してから延伸する
方法が挙げられる。
【0052】層(A)と層(B)とを積層する方法は、
一般に層(A)原料と層(B)原料とを共押出して積層
する方法が好適に採用され、さらに層(A)と層(B)
を別々に製造し、適当な接着剤、例えば酸変成ポリオレ
フィン等を介して積層する方法も可能である。
【0053】また、延伸方法としては、熱成形性や成形
後の表面光沢を勘案すると、逐次二軸延伸あるいは同時
二軸延伸方法が好適に採用される。
【0054】本発明において、上記延伸方法の延伸条件
は特に制限されないが、以下に示す延伸条件により、本
発明の目的とする積層シートを好適に得ることができ
る。
【0055】すなわち、面積延伸倍率は、1.5〜30
倍であることが好ましく、2〜28倍であることがより
好ましく、4〜26倍であることがさらに好ましい。面
積延伸倍率が1.5倍より小さい場合は、積層シートの
均一成形性等の熱成形性が低下するため好ましくなく、
面積延伸倍率が30倍より大きい場合は、圧空を使用し
ない真空成形における金型密着性等の熱成形性が低下す
るため好ましくない。
【0056】また、MD方向およびTD方向の延伸倍率
は、1.1〜8倍であることが好ましく、1.2〜7倍
であることが好ましく、さらに好ましくは2〜6倍であ
る。延伸倍率が、1.1倍より小さい場合は、得られる
積層シートのドローダウンが大きくなり、さらに成形後
の表面光沢も低下するため好ましくない。一方、延伸倍
率が8倍より大きい場合は、得られる積層シートの圧空
を使用しない真空成形における金型密着性等の熱成形性
が低下するため好ましくない。
【0057】さらに、MD方向の延伸倍率(a)とTD
方向の延伸倍率(b)の比(a/b)は、0.4〜0.
25であることが好ましく、0.5〜2が好ましく、
0.6〜1.5であることがより好ましい。延伸比(a
/b)が0.4より小さい場合、または2.5より大き
い場合は、均一成形性等の熱成形性が低下するため好ま
しくない。
【0058】本発明において使用される、積層フィルム
が少なくとも片面に積層されるポリプロピレンシート
は、公知のものが何等制限なく使用できる。上記ポリプ
ロピレンシートの原料としては、プロピレン単独重合
体、プロピレン以外のα−オレフィン、例えば、エチレ
ン、1−ブテン、1−ペンテン等が20重量%以下とプ
ロピレンが80重量%以上とのランダム、ブロック、グ
ラフト共重合体、さらにはこれらの混合物が挙げられ
る。
【0059】上記ポリプロピレンシートとしては、無延
伸シートや一軸延伸シート、二軸延伸シート、圧延シー
ト等の延伸シートが挙げられるが、その中でも、熱成形
性を勘案すると無延伸シートが好ましい。
【0060】また、上記ポリプロピレンシートは、発泡
シート、フィラー配合シート等でもかまわない。上記し
たフィラー配合シートに配合されるフィラーとしては、
タルク、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、
シリカ、ガラス等の公知の充填剤を採用することができ
る。これらフィラーの充填量は特に制限されないが、積
層シートの熱成形性等を勘案すると5〜50重量%の範
囲であることが好ましい。
【0061】上記ポリプロピレンシートの厚みは特に制
限されないが、熱成形性を勘案すると、0.1〜1mm
が好ましく、0.2〜0.6mmの範囲であることがよ
り好ましい。
【0062】本発明で使用される積層フィルムとポリプ
ロピレンシートとの積層方法は、該積層フィルムの層
(B)が表層となるように積層されていれば、特に制限
されなく、押し出しラミネート法、ドライラミネート法
等の公知の方法が使用できる。
【0063】本発明の積層シートの用途は、特に制限さ
れないが、弁当容器、フードパック等の食品包装容器や
一般包装容器等に好適に使用できる。また、これらの用
途のための成形方法も特に制限されないが、熱成形法が
好適に使用できる。一般的には、真空成形、圧空成形、
真空圧空成形等の、加熱後金型等の型枠内にて賦形した
後冷却される方法が採用される。これらの中でも、特に
圧空を使用しない真空成形が好適である。
【0064】
【発明の効果】本発明の積層シートは、ドローダウンが
小さく、特に圧空を使用しない真空成形時に金型へ十分
に密着できる金型密着性と、成形後の成形品厚みが均一
になる均一成形性とを兼ね備え、さらに熱成形をおこな
っても表面光沢が優れているシートである。したがっ
て、本発明の積層シートは、食品包装分野および一般包
装分野において好適に使用することができる。
【0065】
【実施例】以下に、本発明を具体的に説明するために実
施例および比較例を掲げるが、本発明はこれら実施例に
限定されるものではない。なお、以下の実施例および比
較例において、フィルム原料として使用した樹脂は、表
1および表2に示すものである。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】また、以下の実施例及び比較例において用
いた測定方法は次の方法により実施した。
【0069】(1)ペンタッド分率(mmmm値)およ
び共重合組成 日本電子社製のJNM−GSX−270(13C−核共鳴
周波数67.8MHz)を用い、次の条件で測定した。
【0070】測定モード: 1H−完全デカップリング パルス幅 : 7.0マイクロ秒(C45度) パルス繰り返し時間: 3秒 積算回数 : 10000回 溶媒 : オルトジクロルベンゼン/重ベンゼンの
混合溶媒(90/10容量%) 試料濃度 : 120mg/2.5ml溶媒 測定温度 : 120℃ この場合、mmmmペンタッド分率は、13C−NMRス
ペクトルのメチル基領域における分裂ピークの測定によ
り求めた。また、メチル基領域のピークの帰属は、A.
Zambelli et al[Macromolec
ules 13,267(1980)]に従って行っ
た。
【0071】(2)熱時引張応力 セイコー電子工業(株)社製TMA/SS150C装置
を用い、幅2mmの試料を120℃に設定した熱媒に浸
せきし、試料温度が120±1℃となった時点で測定を
開始した。引張スピード5mm/分、チャック間距離5
mmの条件で、MD方向およびTD方向の引張伸度10
0%における引張応力を測定した。
【0072】(3)引張伸度(引張破断伸度) 試料を10mm幅の短冊状に切断し、測定長を40mm
として引張試験機によって引張速度300mm/分、チ
ャート速度300mm/分でチャート紙に記録した。破
断点の伸度(%)を読み取った。
【0073】(4)ドローダウン性 クランプ枠(500mm×500mm)に積層シートを
挟んで、遠赤外線ヒーターを300℃に設定し、積層シ
ートを上下から加熱した。シート中央部の加熱前の位置
から、垂れ下がり最下点までの長さを測定し、表3に従
って評価した。
【0074】
【表3】
【0075】(5)成形性(成形精度) トレー(縦200mm、横250mm、高さ20mm)
を真空成形した際の容器の間仕切り部分(幅3mm、高
さ15mm)の高さ15mmを100%とし、各条件の
成形品の間仕切り部分の高さから、成形性を評価した。
評価は表4に示すように4段階とした。なお、成形時に
圧空の併用は、行わなかった。
【0076】
【表4】
【0077】(6)透明性(ヘイズ) JIS K6714に準拠して測定した。
【0078】(7)表面光沢(グロス) JIS K7105に準拠して測定した。
【0079】(8)DSCによる主ピークの測定 約5〜6mgの試料を評量後、アルミパンに封入し、示
差熱量計にて20ml/minの窒素気流中で室温から
235℃まで昇温し、この温度で10分間保持し、次い
で10℃/minで室温まで冷却する。この後、昇温速
度10℃/minで得られる融解曲線により、主ピーク
の温度および融解熱(△H)を測定した。
【0080】(9)数平均分子量(Mn)、重量平均分
子量(Mw) GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法
により測定した。ウォーターズ社製GPC−150Cに
よりO−ジクロルベンゼンを溶媒とし、135℃で行っ
た。用いたカラムは、東ソー製TSK gel GMH
6−HT、ゲルサイズ10〜15μmである。較正曲線
は標準試料として重量平均分子量が950、2900、
1万、5万、49.8万、270万、675万のポリス
チレンを用いて作成した。
【0081】実施例1〜4 表1、2、5に示す樹脂を、Tダイ押出し機を用いて、
280℃で加熱溶融下シート状に押出し、チルロール上
で冷却固化した後、加熱ロール延伸機により延伸し、続
いてテンター横延伸機で延伸した。延伸倍率を表5に示
した。得られた積層フィルムをホモポリプロピレン(M
FR=0.5、DSCピーク温度:161℃)からなる
厚さ0.45mmの無延伸シートに押出ラミネート法を
用いて積層し、真空成形を行った。得られたフィルムの
厚み、ヘイズ、得られた積層シートのドローダウン性、
真空成形における成形性、成形品中央部の表面光沢を測
定し、結果を表5に示した。
【0082】比較例1〜3 表1、2、5に示す樹脂を用いること、延伸倍率を表5
に示したように変えること以外は実施例1と全く同様に
製膜および成形評価を行った。結果を表5に示した。
【0083】
【表5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−85192(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 B29C 51/14

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶性ポリプロピレン100重量部と、
    a)ポリプロピレン成分及び/又はプロピレンに基づく
    単量体単位を90モル%より多く含むプロピレン系ラン
    ダム共重合体成分1〜70重量%、b)エチレンに基づ
    く単量体単位を10〜40モル%、プロピレンに基づく
    単量体単位を90〜60モル%含むプロピレン−エチレ
    ンランダム共重合体成分30〜99重量%よりなるプロ
    ピレン系ブロック共重合体3〜100重量部との組成物
    よりなる層(A)と、ポリプロピレン及び/又はプロピ
    レンに基づく単量体単位を99モル%以上含むプロピレ
    ン系ランダム共重合体よりなる層(B)との積層体より
    なり、引張伸度100%の条件下での熱機械的分析によ
    り測定されるフィルムの流れ方向及び該フィルムの流れ
    方向に対して直角となる方向における120℃の引張応
    力が、0.1〜3.0kgf/mm2である積層フィル
    ムを、ポリプロピレンシート(C)の少なくとも片面に
    積層され、且つ層(B)が表層となるように構成された
    ことを特徴とする積層シート。
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