JP3550557B2 - ポリプロピレン系熱成形シート積層用フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なポリプロピレン系熱成形シート積層用フィルムに関するものである。詳しくは、ポリプロピレン系シートに積層して熱成形用シートとして熱成形する際の成形精度、成形サイクル、成形品の剛性および成形安定性、成形品の寸法安定性に優れたポリプロピレン系熱成形シート積層用フィルムである。
【0002】
【従来の技術】
現在、弁当容器、トレー、丼容器等の食品包装容器、及び一般包装容器には、ポリオレフィンシート、特に、ポリプロピレンシートや発泡ポリプロピレンシートが用いられており、環境問題などにより、従来から使用されていたポリスチレン系シートに替わり、その使用量は増加傾向にある。
【0003】
これらの容器は、一般的に、真空成形、圧空成形等の熱成形法により製造されている。この熱成形方法とは、シートを赤外線ヒーター等によって加熱した後、機械力、真空、圧空等の外力により、該シートを金型に密着させて成形するという方法である。
【0004】
上記熱成形においては、シートの加熱時に、シートの中央部が垂れ下がる現象(以下、ドローダウンと記す)が発生する。そして、さらに、加熱を続けると、シートの中央部が熱収縮により成形前の位置に戻ろうとする力が働き、シートが加熱前の位置に最も近づいた時点で成形が行われる。
【0005】
一般に、上記ドローダウンが大きいものほど、成形前の位置に戻り難く、また、戻るまでに要する時間が長くなり、さらに、成形品の厚みむらやシワが発生し易くなる。
【0006】
従って、上記ドローダウンの程度が成形サイクルや成形精度において重要となる。また、成形性、成形サイクルや成形精度、成形品の剛性および、成形安定性、成形後の寸法安定性は、上記したドローダウンのみならず、加熱したシートの成形時の引張応力、引張破断伸度、熱収縮力にも左右される。
【0007】
即ち、加熱時の引張応力が不足すると、ドローダウンが改良できないために成形サイクルが短縮できず、更に、成形時にシートを金型に密着させる際、成形品の厚みが均一にならず偏肉と呼ばれる現象が発生し、剛性も低下する。
【0008】
また、引張応力が過剰であると、成形サイクルは短くなるものの、成形時にシートが金型に密着しにくく、成形精度が低下し、所望の成形品形状が得られないという問題が生じる。
【0009】
また、加熱時の引張破断伸度が不足すると、容器等の成形時割れが発生する。
【0010】
さらに、熱収縮力について、成形するシートの熱収縮力に関する発生温度が低く、加熱時の熱収縮力が高いと安定した成形性を得られず、また、成形後、成形品の寸法安定性に劣るという問題が発生する。
【0011】
従来、このような熱成形法に使用される熱成形シートとしては、成形品である包装容器に光沢を付与したり、予め印刷を施すことによって、高級感を付与する目的で、例えばポリプロピレンシートに、無延伸ポリプロピレンフィルム(以下、CPPフィルムと記す)を積層した熱成形シートが一般に採用されていた。
【0012】
しかしながら、CPPフィルムが積層された熱成形シートは、熱成形時におけるドローダウンが大きく、成形サイクルが長いという問題を有していた。
【0013】
そこで、上記問題を解決するために、CPPフィルムに代えて2軸延伸ポリプロピレンフィルムを熱成形シートに積層する事が提案されている。例えば、特開平3−288641号公報には、結晶状態がスメクチック構造のポリプロピレンシートに、高結晶のポリプロピレンを原料とした2軸延伸フィルムをラミネートすることにより、ドローダウンを改善する方法が開示されている。
【0014】
しかしながら、上記2軸延伸ポリプロピレンフィルムは、ドローダウンは改良できるものの、成形精度において十分ではなく、未だ改良の余地があった。
【0015】
この原因としては、結晶性ポリプロピレンの2軸延伸フィルムにおいて延伸による分子配向が大きすぎ、熱成形時の引張応力が過剰になるとともに、引張破断伸度が小さく、さらに、熱収縮力の発生温度が低く、加熱時の熱収縮力が大きいため、金型に十分密着することができないということが考えられる。
【0016】
このような背景にあって本発明者らは、面積延伸倍率が4〜30倍と比較的低い延伸条件によって得られた、小さい引張応力と大きい引張伸度を有する2軸延伸ポリプロピレンフィルムを積層することによって、上記成形精度を改良した熱成形シート(特開平11−170455号公報)を提案した。
【0017】
しかしながら、本発明者らが提案した上記低延伸により得られたフィルムを積層したシートは、成形精度、成形品の剛性に優れるものの、成形サイクル、成形安定性、成形品の寸法安定性に関しては未だ改良の余地があった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、成形精度、成形品の剛性に優れ、且つ、成形サイクル、成形安定性、成形品の寸法安定性が改良された熱成形シート積層用フィルムを提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、ポリプロピレン系樹脂を用いた延伸フィルムの加温時の引張破断伸度が高く、且つ、特定の熱収縮力に設定された延伸フィルムを熱成形シート積層用フィルムとして使用することにより、成形精度を殆ど低下させることなく、成形サイクル、成形安定性、成形品の寸法安定性を効果的に向上せしめることができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0020】
即ち、本発明は、エチレン含有量が0〜2.5重量%であるプロピレンの単独重合体またはエチレン−プロピレン共重合体よりなるポリプロピレン系延伸フィルムであって、フィルムの流れ方向およびフィルムの流れ方向と垂直な方向について、下記(a)〜(d)を満足することを特徴とするポリプロピレン系熱成形シート積層用フィルム。
(a)120℃における引張破断伸度が100〜500%;
(b)熱収縮力の発生温度が95〜145℃;
(c)120℃における熱収縮力が−0.05〜0.03N/4mm幅;
(d)最大熱収縮力が0.05〜0.8N/4mm幅;
である。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明のポリプロピレン系熱成形シート積層用フィルムは、フィルムの流れ方向およびフィルムの流れ方向と垂直な方向について、120℃における引張破断伸度が100%以上である延伸フィルムであることが、後記の熱収縮力の要件との組合せにおいて極めて重要である。
【0022】
即ち、フィルムの流れ方向あるいはフィルムの流れ方向と垂直な方向について、120℃における引張破断伸度が100%未満の場合、成形精度および高い成形安定性を得ることができない。また、フィルムの流れ方向およびフィルムの流れ方向と垂直な方向について、120℃における引張破断伸度が100%以上であっても、延伸フィルム、好ましくは二軸延伸フィルムでなければ、ドローダウンが大きく、成形サイクルが長くなり、また、成形品の剛性が低下する。本発明における延伸フィルムの120℃における引張破断伸度の範囲は、100〜500%である。
【0023】
また、本発明のポリプロピレン系熱成形シート積層用フィルムは、フィルムの流れ方向およびフィルムの流れ方向と垂直な方向について、熱収縮力の発生温度が95℃以上、好ましくは100℃以上であることが必要であり、また、フィルムの流れ方向およびフィルムの流れ方向と垂直な方向について、120℃における熱収縮力が0.03N/4mm幅以下、好ましくは、0.02N/4mm幅以下であり、さらに、フィルムの流れ方向およびフィルムの流れ方向と垂直な方向について、最大熱収縮力が0.8N/4mm幅以下、好ましくは、0.6N/4mm幅以下であることが必要である。
【0024】
即ち、熱収縮力の発生温度が95℃未満の場合、成形後の成形品の寸法安定性に劣る。例えば成形品を電子レンジで加熱後、成形品の変形が大きい。ポリプロピレン系樹脂を用いた延伸フィルムにおいて、熱収縮力の発生温度は、95〜145℃である。熱収縮力の発生温度が145℃を超えると熱成形時のドローダウンが大きくなり易く、成形サイクルが短縮し難くなる。
【0025】
また、120℃における熱収縮力が0.03N/4mm幅を超え、最大熱収縮力が0.8N/4mm幅を超えると成形時の成形安定性に劣り、また、成形後の成形品の寸法安定性に劣る。この原因は、熱収縮力の発生温度が低く、熱収縮力が大きいと、熱成形時の加熱温度により延伸フィルムが収縮し、成形時に必要なフィルムの伸度が、フィルムの収縮力によりフィルムを伸び難くする作用が働くため、成形安定性に劣り、成形後、電子レンジ等で再加熱した際の成形品の変形が大きいものと推測される。本発明における120℃における熱収縮力の範囲は、−0.05〜0.03N/4mm幅であり、最大収縮力は、0.05〜0.8N/4mm幅である。
【0026】
上記フィルムに用いるポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体である。なお、エチレン含有量は0〜5重量%の範囲であり、0〜2.5重量%の範囲がさらに好ましい。エチレン含有量が5重量%を超えると、フィルムの熱収縮力が大きくなりやすく、成形安定性に劣る場合がある。また、成形後、電子レンジ等で再加熱した際の成形品の変形が大きくなりやすい。
【0027】
上記エチレン−プロピレン共重合体の共重合組成は、後記の核磁気共鳴装置を用いて測定することができる。
【0028】
また、上記ポリプロピレン系樹脂のMFRは、製膜性を勘案すると0.1〜50g/10分、好ましくは、0.2〜10g/10分の範囲が好適である。さらに好ましくは、0.3〜4g/10分の範囲が120℃の引張破断伸度を大きくするためには好ましい。
【0029】
また、本発明のポリプロピレン系熱成形シート積層用フィルムに使用される原料樹脂であるポリプロピレン系樹脂には、得られるフィルムの特性を著しく変化させない範囲で、他の樹脂を混合することができる。
【0030】
混合することができる樹脂は特に限定されないが、一般的には、ポリオレフィン系ワックス、ポリオレフィン系エラストマー、または、石油樹脂、テルペン樹脂等の炭化水素系樹脂などが挙げられる。また、これらの樹脂は2種以上を混合して使用することができる。
【0031】
さらに、本発明のポリプロピレン系熱成形シート積層用フィルムの原料樹脂には、必要に応じて帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、結晶化核剤、滑剤、界面活性剤、着色剤、抗菌剤等の公知の添加剤を配合しても良い。
さらに、本発明のポリプロピレン系熱成形シート積層用フィルムは、以下の性質を有していることが好ましい。
【0032】
本発明のポリプロピレン系熱成形シート積層用フィルムは、MD方向の引張弾性率が1300MPaを超えることが好ましく、1400MPaを超えることがさらに好ましい。MD方向の引張弾性率が1300MPa以下の場合、フィルムとシート積層時、例えばフィルムとシートを熱ラミネートする際の作業性に劣る場合がある。
【0033】
本発明に使用されるポリプロピレン系熱成形シート積層用フィルムの厚みは、これを積層して得られる熱成形シートの成形精度、成形サイクル等の熱成形性を勘案すると、10〜60μmであることが好ましく、15〜50μmであることがより好ましい。
【0034】
本発明のポリプロピレン系熱成形シート積層用フィルムの製造方法は特に制限されないが、熱成形性を勘案すると、逐次二軸延伸、あるいは、同時二軸延伸する方法が好適である。
【0035】
上記逐次二軸延伸法の場合、例えば、60〜160℃、好ましくは130〜155℃に加熱したロールでMD方向に延伸後、120〜195℃、好ましくは、140〜165℃に加熱したテンター内でTD方向に延伸し、TD方向に0〜20%弛緩しながら140〜190℃、好ましくは、155〜185℃の範囲で熱処理をすれば良い。この際、成形安定性、成形後の成形品の寸法安定性を勘案すると、厚薄精度、フィルム外観の良好な範囲で高温にて延伸することが好ましい。
【0036】
また、延伸倍率は、フィルムの厚薄精度および本発明で規定する引張破断伸度、熱収縮力を得るために、面積延伸倍率が20〜47倍であることが好ましく、25〜45倍であることがより好ましい。即ち、面積延伸倍率が20倍より小さい場合は、得られる延伸フィルムの厚薄精度に劣り、シートとのラミネート適性に劣る。また、面積延伸倍率が47倍より大きい場合は、得られる延伸フィルムの引張破断伸度が小さく、熱収縮力が大きくなりやすいため、成形安定性、成形品の寸法安定性に劣るため好ましくない。また、フィルムの流れ方向とフィルムの流れ方向と垂直な方向のそれぞれの延伸倍率は、いずれも3〜10倍の範囲であることが好ましく、3.5〜9.5倍であることがより好ましい。いずれかの延伸倍率が3倍より小さい場合は、延伸むらにより厚薄精度に劣り、また、いずれかの延伸倍率が10倍より大きい場合は、得られる延伸フィルムの引張破断伸度が小さく、熱収縮力が大きくなりやすいため、成形安定性、成形品の寸法安定性に劣るため好ましくない。
【0037】
また、本発明のポリプロピレン系熱成形シート積層用フィルムは、その用途に応じて本発明の範囲内であれば多層構成のフィルムとしても構わない。例えば、熱ラミネート適性を向上させるために、該フィルムの表層を融点が60〜150℃程度のポリオレフィン樹脂を積層する方法、該フィルム表面をマット調あるいは粗面化して成形品を艶消し調にするために、該フィルムの表面にポリエチレン系樹脂あるいはエチレン−ポリプロピレンブロック共重合体等を積層する方法等が挙げられる。その場合、積層する層の厚みについては特に制限するものではないが、全体の0.1〜20%の範囲であることが好ましい。
【0038】
本発明のポリプロピレン系熱成形シート積層用フィルムは、ポリプロピレン系樹脂シートに積層して熱成形シートを構成することができる。
【0039】
上記プロピレン系樹脂シートを構成するポリプロピレン系樹脂は特に制限されず、プロピレンの単独重合体、プロピレンを主構成単位とした、プロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体が一般に使用される。
【0040】
また、上記ポリプロピレン系樹脂シートは、公知のものが何ら制限なく使用される。例えば、ポリプロピレン系樹脂を単にシート状に成形したもの、ポリプロピレン系樹脂にフィラーを配合した組成物をシート状に成形したもの(フィラー含有シート)、ポリプロピレン系樹脂を発泡せしめてシート状に成形したもの(発泡シート)などである。
【0041】
これらのシートについての他の形態としては、無延伸シートや、一軸延伸シート、二軸延伸シート、圧延シート等が挙げられるが、その中でも、熱成形性を勘案すると無延伸シートが好ましい。
【0042】
更に、上記熱成形用シートの厚みも特に制限されないが、熱成形性を勘案すると、0.2〜3mmが好ましい。
【0043】
本発明のポリプロピレン系熱成形シート積層用フィルムと前記ポリプロピレン系樹脂シートの積層態様は特に制限なく、ポリプロピレン系樹脂シートの少なくとも片面に熱成形用シート積層用フィルムが積層されていれば良い。
【0044】
また、上記積層シートの積層方法は、ポリプロピレン系熱成形シート積層用フィルムの特性を著しく変化させない公知の方法が特に制限なく用いることができる。例えば、押出ラミネート法、熱ラミネート法、ドライラミネート法などの方法が使用できる。より具体的には、チルロール上にセットされた本発明のポリプロピレン系熱成形シート積層用フィルムに、ポリプロピレン系樹脂をラミネートする方法が推奨される。
【0045】
本発明のポリプロピレン系熱成形シート積層用フィルムは、前記ポリプロピレン系シートと積層して、弁当容器、トレー、丼容器等の食品容器、一般容器等の熱成形用シートとして好適に使用できる。
【0046】
さらに、上記熱成形方法としては、一般には、加熱後、真空成形、圧空成形、真空圧空成形等により、金型等の型枠内にて賦形した後冷却する方法が採用される。これらの中で、真空圧空成形が特に好ましい。
【0047】
【発明の効果】
本発明のポリプロピレン系熱成形シート積層用フィルムは、熱成形シートを構成した際、成形精度、成形サイクル、成形品の剛性に優れ、成形安定性、成形品の寸法安定性に優れるという、優れた特性を有する。
【0048】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例を掲げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例、及び、比較例において、フィルムの原料樹脂として使用した樹脂を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
また、実施例及び比較例において使用した熱成形用シートを表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
また、以下の実施例及び比較例における樹脂及びフィルム物性等の測定については下記の方法により行った。
【0053】
(1)共重合組成
日本電子製のJNM−GSX−270(13C−核共鳴周波数67.8MHz)を用い、次の条件で測定した。
【0054】
測定モード:1H−完全デカップリング
パルス幅:7.0マイクロ秒(C45度)
パルス繰返し時間:3秒
積算回数:10000回
溶媒:オルトジクロルベンゼン/重ベンゼンの混合溶媒(90/10容量%)
試料濃度:120mg/2.5ml溶媒
測定温度:120℃
メチル基領域のピークの帰属は、A.Zambelli et al [Macromolecules 13、267(1980)]に従って行った。
【0055】
(2)メルトマスフローレイト(MFR)
JIS K6758に従って、230℃でのMFRを測定した。
【0056】
(3)熱収縮力
セイコー電子工業製のTMA/SS150Cを用い、幅4mmのフィルム試料を、チャック間距離10mmで、20℃に設定した熱媒に浸漬し、昇温速度10℃/分でフィルムが溶融するまで温度を上昇させ、チャック間距離10mmを保持したままの状態での収縮力を測定をした。その際の熱収縮力の発生温度、120℃での熱収縮力、最大熱収縮力を読み取った。
【0057】
(4)120℃での引張破断伸度
島津製作所製のオートグラフAD−500Gを用い、幅10mmのフィルム試料を120℃に設定した熱媒に浸漬し、試料温度が120℃±1℃となった時点で測定を開始した。引張速度300mm/分、チャック間距離50mmの条件で、MD方向及びTD方向の引張破断伸度を測定した。
【0058】
(5)ドローダウン
クランプ枠(500mm×500mm)に積層シートを挟んで、遠赤外線ヒーターを300℃に設定し、試料の熱成形シートを上下から加熱した。シート中央分の加熱前の位置から、垂れ下がり最下点までの長さを測定し、表3に従って評価した。
【0059】
【表3】
【0060】
(6)成形性(成形精度)
試料の熱成形シートについて、(株)浅野研究所製コスミック成形機FK−0431−40を用い、ヒーター温度300〜430℃、真空度70mmHg、圧空度3kg/cm2にて、トレー(縦200mm、横250mm、高さ20mm)を真空圧空成形した。
【0061】
トレーの間仕切り部分(幅3mm、高さ15mm)の高さ15mmを100%とし、成形後の間仕切り部分の高さから、成形精度を評価した。評価は、表4に示すように4段階とした。
【0062】
【表4】
【0063】
(7)成形安定性
上記(6)に記した成形機および金型を用い、成形を50回行い、成形品の割れ(フィルム割れ)を目視により判定し、不良率を計算し、表5に示すように4段階とした。
【0064】
不良率(%)=(成形品割れ個数/50)×100
【0065】
【表5】
【0066】
(8)成形サイクル
試料の熱成形シートについて、(株)浅野研究所製コスミック成形機FK−0431−40を用い、ヒーター温度300〜430℃における予熱開始から成形時(金型転写)までの時間(秒)を測定した。尚、金型は成形性評価と同じトレー用金型を使用し、表4における成形性評価が○以上となるために必要な、最短予熱時間を成形サイクルとした。
【0067】
(9)成形品の剛性
島津製作所製のオートグラフAD−500Gを用い、上記(6)に記した成形機を用い製造した丼容器(開口部135×135mm、底部90×90mm、高さ55mm、間仕切りなし)の底部を、50mm/分の速度にて圧縮した場合の降伏点強度を測定し、成形品の剛性とした。
【0068】
(10)成形品の寸法安定性
上記(6)に記した成形機および金型を用いた成形品に100ccの水道水を入れ、ラップフィルムでラッピング後、1600Wの電子レンジに2分間熱処理後、成形品の変形量を測定した。変形量は、成形品の縦、横の寸法変化の和とし、表6に示すように3段階とした。
【0069】
【表6】
【0070】
(11)引張弾性率
フィルムから幅10mm、長さ100mmのサンプルを、製膜加工時のフィルムの流れ方向に切り出し、サンプルの両端を引張試験機(オートグラフ:島津製作所製)のチャックで固定した。この場合、サンプルの長さ方向のチャック間隙が20mmになるように調整した。引張速度20mm/minで引張試験を行い、引張応力−歪み曲線を作成した。
【0071】
引張弾性率は、引張応力−歪み曲線の初めの直線部を用いて次の式によって計算した。
【0072】
Em=Δδ/Δε
Em:引張弾性率
Δδ:直線上の2点間の、サンプルの元の平均断面積による応力の差
Δε:同じ2点間の歪みの差
実施例1
表1に示す樹脂Aを、Tダイ押出機を用いて、280℃で加熱溶融下シート状に押出し、冷却ロール上で冷却固化した後、加熱ロール延伸機により縦延伸し、続いてテンター延伸機で横延伸し、ポリプロピレン系フィルムを得た。
【0073】
該フィルムの面積延伸倍率、及びMD方向、TD方向の延伸倍率、延伸温度、フィルムの厚み、フィルムの延伸倍率、120℃での引張破断伸度、熱収縮力を表7に示した。また、得られたフィルムをポリプロピレン系熱成形シート積層用フィルムとして用いて、表2に示したポリプロピレンシートとを、流れ方向を合わせて、上160℃、下190℃に加熱された熱ロールにフィルムが下になるようにして、熱ラミネート法により積層し、熱成形シートを得た。
【0074】
得られた熱成形シートを真空圧空成形した。得られた積層シートのドローダウン、成形精度、成形安定性、成形サイクル、成形品の剛性、成形品の寸法安定性を測定し、結果を表8に示した。
【0075】
実施例2〜12、比較例1〜8
表1に示す樹脂を用いること、延伸倍率、延伸温度、フィルムの厚み、フィルムの延伸倍率を表7に示したように変えること以外は、実施例1と全く同様に製膜、熱成形、及び、評価を行った。結果を表7、8に示した。
【0076】
【表7】
【0077】
【表8】
Claims (3)
- エチレン含有量が0〜2.5重量%であるプロピレンの単独重合体またはエチレン−プロピレン共重合体よりなるポリプロピレン系延伸フィルムであって、フィルムの流れ方向およびフィルムの流れ方向と垂直な方向について、下記(a)〜(d)を満足することを特徴とするポリプロピレン系熱成形シート積層用フィルム。
(a)120℃における引張破断伸度が100〜500%;
(b)熱収縮力の発生温度が95〜145℃;
(c)120℃における熱収縮力が−0.05〜0.03N/4mm幅;
(d)最大熱収縮力が0.05〜0.8N/4mm幅; - フィルムの流れ方向の引張弾性率が1370〜1580MPaであることを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン系熱成形シート積層用フィルム。
- 請求項1または2記載のポリプロピレン系熱成形シート積層用フィルムとポリプロピレン系シートを積層した積層シート。
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