JP3989610B2 - ポリプロピレン系樹脂フイルム又はシートの添加剤ブリード防止方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、十分な紫外線遮断性を有したポリプロピレン系のフイルム又はシートであって、特に製品を保管中に紫外線吸収添加剤のブリードにより表面外観を損なうことのないフイルム又はシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、建材、家具等の表面保護フイルムには主に塩化ビニル系樹脂が使用されてきたが環境問題等からより安全な代替材料が検討されている。
その代替材料候補としてポリプロピレン系樹脂が採り上げられているが、耐候性に難点があるため、その添加剤処方の確立をめざして、主に印刷されたフイルム、シート類、特に接着剤で張り合わせたドライラミネーションフイルムのタイプで、耐候性、接着力保持性が検討されている(特開平5−92514号公報、特開平6−212033号公報)。
【0003】
しかし、これまでの添加剤の処方では、成形加工時の揮散性が少ない添加剤を良しとして、加熱減量のデータを重視してきたが、意外にもフイルムやシート成形品を製造した後10日前後の保管品の表面に、添加剤がブリードして外観を著しく損ねる問題がしばしば顕在化した。原因も不明であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、十分な紫外線遮断性を有したポリプロピレン系のフイルム又はシートであって、特に製品を保管中に添加剤のブリードにより表面外観を損なうことのないフイルム又はシートの提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、成形品の保管中におきる添加剤のブリードの原因には樹脂と添加剤との相溶性が深く関与していることを突き止め、特定の化合物がその解決に有効であることを見出した。
かかる知見をもとに以下に示す本発明を完成した。
(1)ポリプロピレン系樹脂100重量部に下記(A)〜(D)から選択される1種又は2種以上の化合物0.01〜5重量部添加し、成形してなるフイルム又はシート。
(A)2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール
(B)2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール
(C)式 (I)で表される化合物
【0006】
【化3】
【0007】
(R1 〜R8 は、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、アリール基若しくはアルコキシル基である。)
(D)式 (II) で表される化合物
【0008】
【化4】
【0009】
(R1 〜R3 は、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、アリール基若しくはアルコキシル基である。)
(2)式 (I)で表される化合物が2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシフェニル)1,3,5−トリアジンである上記(1)記載のフイルム又はシート。
(3)式 (II) で表される化合物が6−(2−ベンゾトリアゾリル)−4−t−オクチル−6’−t−ブチル−4’−メチル−2,2’−メチレンビスフェノールである上記(1)記載のフイルム又はシート。
(4)ポリプロピレン系樹脂100重量部に下記(E)と(F)を併用した化合物0.01〜5重量部添加し、成形してなるフイルム又はシート。
(E)2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−〔(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕〕
(F)2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール
(5)ポリプロピレン系樹脂が(イ)示差走査熱量分析計(DSC)にて測定した融解ピーク温度(Tm)が150℃以上、(ロ)引張弾性率が200〜700MPaである上記(1)〜(4)のいずれかに記載のフイルム又はシート。
(6)ポリプロピレン系樹脂が(a)(イ)示差走査熱量分析計(DSC)にて測定した融解ピーク温度(Tm)が150℃以上、(ロ)引張弾性率が200〜700MPa、(ハ)同位体炭素核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)によるペンダット分率において、rrrr/(1−mmmm)×100が20〜60%、(ニ)示差走査熱量分析計(DSC)にて測定した融解エンタルピー(ΔH)が10〜100J/gであるプロピレンの単独重合体及び/又は4重量%以下の他のオレフィン単位を含有する共重合体100〜20重量%と(b)プロピレン以外のオレフィン単位10〜80重量%を含有するプロピレン系共重合体0〜80重量%とからなる上記(1)〜(4)のいずれかに記載のフイルム又はシート。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
〔1〕ポリプロピレン系樹脂
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂としては、メルトフローレート(MFR :JIS K 7210に準拠して、230℃、荷重2.16kgでの測定値)が0.1〜200g/10分のもの、特に5〜60g/10分のものを好適に用いることができる。
【0011】
ポリプロピレン系樹脂の種類としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体もしくは同ブロック共重合体が代表的なものであるが、更にこれらの重合体に、プロピレンとエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などのαオレフィンの1種又は2種以上とのランダム共重合体若しくはブロック共重合体等を混合して用いることもできる。更に、これらに各種合成ゴム、例えばエチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBブロック)等を配合した樹脂組成物も使用することができる。
【0012】
〔1−1〕軟質ポリプロピレン系樹脂
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂として、特に以下に示す軟質ポリプロピレン系樹脂をより好適に用いることができる。
すなわち、(イ)示差走査熱量分析計(DSC)にて測定した融解ピーク温度(Tm)が150℃以上、(ロ)引張弾性率が200〜700MPaである軟質ポリプロピレン系樹脂である。このような軟質ポリプロピレン系樹脂としては、特に制限はなくプロピレンの単独重合体、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体またはこれらの混合物であってもよい。具体的には、(a)プロピレンの単独重合体及び/又は4重量%以下の他のオレフィン単位を含有する共重合体を用いてもよく、また、この(a)成分の樹脂と、(b)プロピレン以外のオレフィン単位10〜80重量%を含有するプロピレン系共重合体とからなる組成物を用いてもよい。
【0013】
しかしながら、特に好ましいのは軟質ポリプロピレン系樹脂が(a)前記の(イ)融解ピーク温度と(ロ)引張弾性率に加えて、(ハ)同位体炭素核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)によるペンタッド分率において、rrrr/(1−mmmm)×100が20〜60%,(ニ)示差走査熱量分析計(DSC)にて測定した融解エンタルピー(ΔH)が10〜100J/gであるプロピレンの単独重合体及び/又は4重量%以下の他のオレフィン単位を含有する共重合体100〜20重量%と、(b)プロピレン以外のオレフィン単位10〜80重量%を含有するプロピレン系共重合体0〜80重量%とからなるポリプロピレン系樹脂である。
【0014】
以下、本発明における軟質ポリプロピレン系樹脂に関連する望ましい性状(イ)〜(ニ)について説明する。
先ず、(イ)示差走査熱量分析計(DSC)にて測定した融解ピーク温度(Tm)が150℃以上であることが必要である。Tmが150℃未満では充分な耐熱性が得られない。このTmは、通常150〜165℃の範囲とする。なお、該Tmは、Perkin−Elmer社製DSC−7を用いて測定を行い、JISK7121に準拠して融解ピークの温度として求めた値である。
【0015】
次に、(ロ)引張弾性率が200〜700MPa、好ましくは400〜600MPaである。200MPa未満では、強度、剛性が不十分であり、700MPaを超えると柔軟性、低温耐衝撃性が不十分となる。なお、引張弾性率はJIS−K7113に準拠して求めた値である。
また、(ハ)同位体炭素核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)によるペンタッド分率において、rrrr/(1−mmmm)×100が20〜60%の範囲にあることが望ましい。この値が20%未満では耐熱性が不十分であり、また60%を超えると柔軟性が不十分である。これらの面から、好ましいrrrr/(1−mmmm)×100は25〜55%の範囲である。ここでrrrrとは任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される炭素−炭素結合による主鎖に対して、側鎖である5つのメチル基が交互に反対方向に位置する立体構造あるいはその割合を意味し、mmmmとは任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される炭素−炭素結合による主鎖に対して、側鎖である5つのメチル基がいずれも同方向に位置する立体構造あるいはその割合を意味する。
【0016】
なお、このrrrr/(1−mmmm)×100は次のようにして測定した値である。すなわち、JNM−FX−200(日本電子社製,13C−核共鳴周波数50.1MHz)を用い、測定モード:プロトン完全デカップリング法,パルス幅:6.9μs(45°),パルス繰り返し時間:3s,積算回数:10000回,溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン/重ベンゼン(90/10容量%),試料濃度250mg/2.5ミリリットル溶媒,測定温度:130℃の条件にて、13C−NMR測定を行い、メチル基の立体規則性によるケミカルシフトの違いにより、すなわち、22.5〜19.5ppm領域に現れるmmmm〜mrrmの各ピークの面積強度比から、ペンタッド分率を測定し、rrrr/(1−mmmm)×100の値を求めた。
mmmm:21.86ppm
mmmr:21.62ppm
mmrr:21.08ppm
mmrm+rrmr:20.89ppm
rrrr:20.36ppm
mrrm:19.97ppm
【0017】
更に、(ニ)DSCにて測定した融解エンタルピー(ΔH)が10〜100J/g以下であることが望ましい。ΔHが100J/gを超えると柔軟性が損なわれ、本発明の目的が達せられない場合がある。このΔHは、通常20〜100J/gの範囲である。なお、該ΔHは、Perkin−Elmer社製DSC−7を用いて測定を行い、JIS K−7122に準拠して、結晶融解時に吸収される総熱エネルギーとして求めた値である。なお、DSCによるTm、ΔHの測定における、昇温、降温速度は10℃/分とした。
【0018】
又、上記(a)成分のプロピレンの単独重合体及び4重量%以下の他のオレフィン単位を含有する共重合体は、沸騰n−ヘプタン不溶分量が40〜95重量%の範囲にあるものが好ましい。この沸騰n−ヘプタン不溶分量が95重量%を超えると柔軟性が損なわれるおそれがあり、また、40重量%未満では充分な機械的強度が得られない傾向がみられる。柔軟性及び機械的強度のバランスの面から、より好ましい沸騰n−ヘプタン不溶分量は45〜90重量%の範囲である。なお、沸騰n−ヘプタン不溶分量は、ソックスレー抽出試験器を用い、沸騰n−ヘプタンで6時間抽出した後の抽出残分量から算出して得られた値である。
【0019】
更に、この(a)成分のプロピレンの単独重合体及び4重量%以下の他のオレフィン単位を含有する共重合体においては、そのプロピレン連鎖部において、通常側鎖のメチル基を有する炭素が隣接して並ぶことはなく、すなわち逆転結合はなく、一つおきに整然と並んでいる。つまり、本発明においては、各プロピレン単位が頭−尾(head-tail)結合により連結しており、頭−頭(head-head)結合や尾−尾(tail-tail)結合は実質的に皆無である。
【0020】
また、上記(a)成分の4重量%以下の他のオレフィン単位を含有するプロピレン共重合体において、他のオレフィン単位を形成するコモノマーのオレフィン類としては、例えば、エチレン;ブテン−1;ペンテン−1;4−メチル−1−ペンテン;ヘキセン−1;ヘプテン−1;オクテン−1;ノネン−1;デセン−1等のα−オレフィンを挙げることができる。これらの中では、エチレンが好適である。これらのオレフィン類はそれぞれ単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらのコモノマーのオレフィン類は、得られるプロピレン共重合体中の該オレフィン類に由来する単位の含有量が4重量%以下になるように用いることが必要である。
【0021】
なお、上記(b)成分のプロピレン以外のオレフィン単位10〜80重量%を含有するプロピレン系共重合体でプロピレン以外のオレフィン単位を形成するコモノマーのオレフィン類としては、例えば、エチレン;ブテン−1;ペンテン−1;4−メチル−1−ペンテン;ヘキセン−1;ヘプテン−1;オクテン−1;ノネン−1;デセン−1等のαオレフィン、ブタジエン,ジシクロペンタジエン,トリシクロペンタジエン等のジエン等が挙げられる。これらのコモノマーのオレフィン類は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
本発明においては、軟質ポリプロピレン系樹脂成分として、上記(b)成分のプロピレン系共重合体を用いる場合、樹脂成分中の(b)成分の含有量は80重量%以下である。この含有量が80重量%を超えると強度、弾性率、耐熱性の点で好ましくない。(b)成分の好ましい含有量は70重量%以下であり、特に60重量%以下が好ましい。
【0023】
本発明の軟質ポリプロピレン樹脂において、上記(a)成分として用いられるポリプロピレン系樹脂は、メルトフローレート(MFR)が0.5〜200g/10分の範囲にあるのが望ましい。このMFRが0.5g/10分未満では成形が困難であり、また200g/10分を超えると得られる成形品の機械的物性が不充分となる。成形性及び成形品の機械的物性等のバランスの面から、より好ましいMFRは2〜100g/10分の範囲である。なお、このMFRは、荷重2.16kgf,温度230℃の条件で測定した値である。
【0024】
本発明における(a)成分又は(a)成分と(b)成分からなる軟質ポリプロピレン系樹脂は、例えば気相一段重合法,スラリー一段重合法,気相多段重合法,スラリー多段重合法,又はブレンド法等によって製造することができる。 例えば、重合法によって製造する場合には、(W)(i)マグネシウム,チタン,ハロゲン原子及び電子供与体からなる固体触媒成分、及び必要に応じて用いられる(ii)結晶性ポリオレフィンから構成される固体成分と、(X)有機アルミニウム化合物と、(Y)アルコキシ基含有芳香族化合物と、必要に応じて用いられる(Z)電子供与性化合物とからなる触媒系の存在下、プロピレンを単独重合又はプロピレンとその他のオレフィン類とを共重合させればよい。
【0025】
上記(W)固体成分は、(i)成分のマグネシウム,チタン,ハロゲン原子及び電子供与体からなる固体触媒成分と、必要に応じて用いられる(ii)成分の結晶性ポリオレフィンとから構成されている。該(i)成分の固体触媒成分は、マグネシウム,チタン,ハロゲン原子及び電子供与体を必須成分とするものであって、マグネシウム化合物とチタン化合物と電子供与体とを接触させることによって調製することができる。なお、この場合、ハロゲン原子は、ハロゲン化物としてマグネシウム化合物及び/又はチタン化合物等に含まれる。
【0026】
該マグネシウム化合物としては、例えばマグネシウムクロリド等のマグネシウムジハライド、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、マグネシウムのカルボン酸塩、ジエトキシマグネシウム等のアルコキシマグネシウム、アリロキシマグネシウム、アルコキシマグネシウムハライド、アリロキシマグネシウムハライド、エチルブチルマグネシウム等のアルキルマグネシウム、アルキルマグネシウムハライド、あるいは有機マグネシウム化合物と電子供与体、ハロシラン、アルコキシシラン、シラノール及びアルミニウム化合物等との反応物等を挙げることができるが、これらの中でマグネシウムハライド、アルコキシマグネシウム、アルキルマグネシウム、アルキルマグネシウムハライドが好適である。またこれらのマグネシウム化合物は一種だけで用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
また、マグネシウム化合物として、金属マグネシウムとハロゲンとアルコールとの反応生成物を用いることもできる。この際用いられる金属マグネシウムは特に制限はなく、任意の粒径の金属マグネシウム、例えば顆粒状、リボン状、粉末状等のものを用いることができる。また、金属マグネシウムの表面状態も特に制限はないが、表面に酸化マグネシウム等の被膜が生成されていないものが好ましい。
【0028】
さらに、アルコールとしては任意のものを用いることができるが、炭素数1〜6の低級アルコールを用いることが好ましく、特に、エタノールは触媒性能の発現を著しく向上させる固体触媒成分を与えるので好適である。アルコールの純度及び含水量も限られないが、含水量の多いアルコールを用いると金属マグネシウム表面に水酸化マグネシウムが形成されるので、含水量が1重量%以下、特に2000ppm以下のアルコールを用いることが好ましく、水分は少なければ少ないほど有利である。
【0029】
ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物の種類に制限はなく、ハロゲン含有化合物としては、ハロゲン原子をその分子中に含む化合物であればいずれのものでも使用できる。この場合、ハロゲン原子の種類については特に制限されないが、塩素,臭素又はヨウ素、特にヨウ素が好適に使用される。ハロゲン含有化合物の中ではハロゲン含有金属化合物が特に好ましい。これらの状態,形状,粒度等は特に限定されず、任意のものでよく、例えばアルコール系溶媒(例えば、エタノール)中の溶液の形で用いることができる。
【0030】
アルコールの使用量は、金属マグネシウム1モルに対して2〜100モル、好ましくは5〜50モルの範囲で選ばれる。アルコール量が多すぎると、モルフォロジーの良好なマグネシウム化合物が得られにくい傾向がみられ、少ない場合は、金属マグネシウムとの反応がスムーズに行われなくなるおそれがある。
ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物は通常、金属マグネシウム1グラム原子に対して、ハロゲン原子として0.0001グラム原子以上、好ましくは0.0005グラム原子以上、さらに好ましくは0.001グラム原子以上の割合で用いられる。0.0001グラム原子未満では、得られたマグネシウム化合物を粉砕することなく用いた場合、担持量,活性,立体規則性,生成ポリマーのモルフォロジー等が低下し、粉砕処理が不可欠なものとなり好ましくない。また、ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物の使用量を適宜選択することにより、得られるマグネシウム化合物の粒径を任意にコントロールすることが可能である。
【0031】
金属マグネシウムとアルコールとハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物との反応それ自体は、公知の方法を用いて行うことができる。例えば、金属マグネシウムとアルコールとハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物とを、還流下で、水素ガスの発生が認められなくなるまで、通常約20〜30時間反応させて所望のマグネシウム化合物を得る方法である。具体的には、例えばハロゲンとしてヨウ素を用いる場合には、アルコール中に金属マグネシウム及び固体状のヨウ素を投入したのち、加熱し還流する方法、アルコール中に金属マグネシウム及びヨウ素のアルコール溶液を滴下投入後加熱し還流する方法、金属マグネシウムを含むアルコール溶液を加熱しつつヨウ素のアルコール溶液を滴下する方法等が挙げられる。いずれの方法も、例えば窒素ガス,アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で、場合により不活性有機溶媒(例えば、n−ヘキサン等の飽和炭化水素)を用いて行うことが好ましい。金属マグネシウム、アルコール、ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物の投入については、最初からそれぞれ全量を反応槽に投入しておく必要はなく、分割して投入してもよい。特に好ましい形態は、アルコールを最初から全量投入しておき、金属マグネシウムを数回に分割して投入する方法である。
【0032】
このようにした場合、水素ガスの一時的な大量発生を防ぐことができ、安全面から非常に望ましい。また、反応槽も小型化することが可能となる。さらには、水素ガスの一時的な大量発生により引き起こされるアルコールやハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物の飛沫同伴を防ぐことも可能となる。分割する回数は、反応槽の規模を勘案して決めればよく、操作の煩雑さを考えると通常5〜10回が好適である。また、反応自体は、バッチ式,連続式のいずれでもよいことは言うまでもない。さらには、変法として、最初から全量投入したアルコール中に金属マグネシウムを先ず少量投入し、反応により生成した生成物を別の槽に分離して除去したのち、再び金属マグネシウムを少量投入するという操作を繰り返すということも可能である。
【0033】
こうして得たマグネシウム化合物を、次の固体触媒成分の調製に用いる場合、乾燥させたものを用いてもよく、またろ別後ヘプタン等の不活性溶媒で洗浄したものを用いてもよい。いずれの場合においても、得られたマグネシウム化合物は、粉砕あるいは粒度分布をそろえるための分級操作をすることなく次工程に用いることができる。
【0034】
また、該チタン化合物としては、例えばテトラメトキシチタン,テトラエトキシチタン,テトラ−n−プロポキシチタン,テトライソプロポキシチタン,テトラ−n−ブトキシチタン,テトライソブトキシチタン,テトラシクロヘキシロキシチタン,テトラフェノキシチタン等のテトラアルコキシチタン、四塩化チタン,四臭化チタン,四ヨウ化チタン等のテトラハロゲン化チタン、メトキシチタニウムトリクロリド,エトキシチタニウムトリクロリド,プロポキシチタニウムトリクロリド,n−ブトキシチタニウムトリクロリド,エトキシチタニウムトリブロミド等のハロゲン化アルコキシチタン、ジメトキシチタニウムジクロリド,ジエトキシチタニウムジクロリド,ジプロポキシチタニウムジクロリド,ジ−n−ブトキシチタニウムジクロリド,ジエトキシチタニウムジブロミド等のジハロゲン化ジアルコキシチタン、トリメトキシチタニウムクロリド,トリエトキシチタニウムクロリド,トリプロポキシチタニウムクロリド,トリ−n−ブトキシチタニウムクロリド等のモノハロゲン化トリアルコキシチタン等が挙げられるが、これらの中で高ハロゲン含有チタン化合物、特に四塩化チタンが好適である。またこれらのチタン化合物は一種だけで用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
また、電子供与体としては、後で(Z)成分の電子供与性化合物として例示するものを用いることができる。
該(i)固体触媒成分の調製は、公知の方法(特開昭53−43094号公報,特開昭55−135102号公報,特開昭55−135103号公報,特開昭56−18606号公報,特開昭56−166205号公報,特開昭57−63309号公報,特開昭57−190004号公報,特開昭57−300407号公報,特開昭58−47003号公報)で行うことができる。
【0036】
このようにして調製された(i)固体触媒成分の組成は通常、マグネシウム/チタン原子比が2〜100、ハロゲン/チタン原子比が5〜100、電子供与体/チタンモル比が0.1〜10の範囲にある。
また、(W)固体成分の調製において必要に応じて用いられる(ii)成分の結晶性ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリブテン,ポリ4−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜10のα−オレフィンから得られる結晶性ポリオレフィンが挙げられる。この結晶性ポリオレフィンは、(1)前記(i)固体触媒成分と有機アルミニウム化合物と必要に応じて用いられる電子供与性化合物とを組み合わせたものの存在下に、オレフィンを予備重合させる方法(予備重合法)、(2)粒径の揃った結晶性ポリエチレンやポリプロピレン等の結晶性パウダーに、前記(i)固体触媒成分と必要に応じて用いられる有機アルミニウム化合物と電子供与性化合物(融点100℃以上)とを分散させる方法(分散法)、(3)上記(1)の方法と(2)の方法とを組み合わせる方法等を用いることにより得ることができる。
【0037】
上記(1)の予備重合法においては、アルミニウム/チタン原子比は通常0.1〜100、好ましくは0.5〜5の範囲で選ばれ、また電子供与化合物/チタンのモル比は0〜50、好ましくは0.1〜2の範囲で選ばれる。
(W)固体成分における、(i)固体触媒成分と(ii)結晶性ポリオレフィンとの割合については、(i)成分に対する(ii)成分の重量比が通常、0.33〜200、好ましくは1〜50の範囲になるように選ばれる。
【0038】
次に、(X)成分として用いられ有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、ジイソプロピルアルミニウムモノクロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロリド、ジオクチルアルミニウムモノクロリド等のジアルキルアルミニウムモノハライド、エチルアルミニウムセスキクロリド等のアルキルアルミニウムセスキハライド等を好適に使用することができる。これらのアルミニウム化合物は一種だけで用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
本発明における軟質ポリプロピレン系樹脂を得る触媒系には、(Y)成分としてのアルコキシ基含有芳香族化合物が用いられる。このアルコキシ基含有芳香族化合物の具体例としては、m−メトキシトルエン;o−メトキシフェノール;m−メトキシフェノール;2−メトキシ−4−メチルフェノール;ビニルアニソール;p−(1−プロペニル)アニソール;p−アリルアニソール;1,3−ビス(p−メトキシフェニル)−1 −ペンテン;5−アリル−2−メトキシフェノール;4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジルアルコール;メトキシベンジルアルコール;ニトロアニソール;ニトロフェネトール等のモノアルコキシ化合物、o−ジメトキシベンゼン;m−ジメトキシベンゼン;p−ジメトキシベンゼン;3,4−ジメトキシトルエン;2,6−ジメトキシフェノール;1−アリル−3,4−ジメトキシベンゼン等のジアルコキシ化合物、1,3,5−トリメトキシベンゼン;5−アリル−1,2,3−トリメトキシベンゼン;5−アリル−1,2,4−トリメトキシベンゼン;1,2,3−トリメトキシ−5−(1−プロペニル)ベンゼン;1,2,4−トリメトキシ−5−(1−プロペニル)ベンゼン;1,2,3−トリメトキシベンゼン;1,2,4−トリメトキシベンゼン等のトリアルコキシ化合物等が挙げられるが、これらの中でジアルコキシ化合物及びトリアルコキシ化合物が好適である。これらのアルコキシ基含有芳香族化合物は一種だけで用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
さらに、該触媒には、必要に応じ(Z)成分として電子供与性化合物が用いられる。この電子供与性化合物は、酸素,窒素,リン,イオウ,ケイ素等を含有する化合物であり、基本的にはプロピレンの重合において、規則性の向上性能を有するものが考えられる。
このような電子供与性化合物としては、例えば、有機ケイ素化合物,エステル類,チオエステル類,アミン類,ケトン類,ニトリル類,ホスフィン類,エーテル類,チオエーテル類,酸無水物,酸ハライド類,酸アミド類,アルデヒド類,有機酸類,アゾ化合物等を挙げることができる。
【0041】
例えば、ジフェニルジメトキシシラン,ジフェニルジエトキシシラン,ジベンジルジメトキシシラン,テトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン,テトラフェノキシシラン,メチルトリメトキシシラン,メチルトリエトキシシラン,メチルトリフェノキシシラン,フェニルトリメトキシシラン,フェニルトリエトキシシラン,ベンジルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン等の有機ケイ素化合物、モノメチルフタレート,モノエチルフタレート,モノプロピルフタレート,モノブチルフタレート,モノイソブチルフタレート,モノアミルフタレート,モノイソアミルフタレート,モノメチルテレフタレート,モノエチルテレフタレート,モノプロピルテレフタレート,モノブチルテレフタレート,モノイソブチルテレフタレート,ジメチルフタレート,ジエチルフタレート,ジプロピルフタレート,ジブチルフタレート,ジイソブチルフタレート,ジアミルフタレート,ジイソアミルフタレート,メチルエチルフタレート,メチルイソブチルフタレート,メチルプロピルフタレート,エチルブチルフタレート,エチルイソブチルフタレート,エチルプロピルフタレート,プロピルイソブチルフタレート,ジメチルテレフタレート,ジエチルテレフタレート,ジプロピルテレフタレート,ジイソブチルテレフタレート,メチルエチルテレフタレート,メチルイソブチルテレフタレート,メチルプロピルテレフタレート,エチルブチルテレフタレート,エチルイソブチルテレフタレート,エチルプロピルテレフタレート,プロピルイソブチルテレフタレート,ジメチルイソフタレート,ジエチルイソフタレート,ジプロピルイソフタレート,ジイソブチルイソフタレート,メチルエチルイソフタレート,メチルイソブチルイソフタレート,メチルプロピルイソフタレート,エチルブチルイソフタレート,エチルイソブチルイソフタレート,エチルプロピルイソフタレート,プロピルイソブチルイソフタレート等の芳香族ジカルボン酸エステル、ギ酸メチル,ギ酸エチル,酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸ビニル,酢酸プロピル,酢酸オクチル,酢酸シクロヘキシル,プロピオン酸エチル,酪酸メチル,酪酸エチル,吉草酸エチル,クロル酢酸メチル,ジクロル酢酸エチル,メタクリル酸メチル,クロトン酸エチル,ビバリン酸エチル,マレイン酸ジメチル,シクロヘキサンカルボン酸エチル,安息香酸メチル,安息香酸エチル,安息香酸プロピル,安息香酸ブチル,安息香酸オクチル,安息香酸シクロヘキシル,安息香酸フェニル,安息香酸ベンジル,トルイル酸メチル,トルイル酸エチル,トルイル酸アミル,エチル安息香酸エチル,アニス酸メチル,アニス酸エチル,エトキシ安息香酸エチル,p−ブトキシ安息香酸エチル,o−クロル安息香酸エチル,ナフトエ酸エチル等のモノエステル、γ−ブチロラクトン,δ−バレロラクトン,クマリン,フタリド,炭酸エチレン等のエステル類、安息香酸,p−オキシ安息香酸等の有機酸類、無水コハク酸,無水安息香酸,無水p−トルイル酸等の酸無水物、アセトン,メチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン,アセトフェノン,ベンゾフェノン,ベンゾキノン等のケトン類、アセトアルデヒド,プロピオンアルデヒド,オクチルアルデヒド,トルアルデヒド,ベンズアルデド,ナフチルアルデヒド等のアルデヒド類、アセチルクロリド,アセチルブロミド,プロピオニルクロリド,ブチリルクロリド,イソブチリルクロリド,2−メチルプロピオニルクロリド,バレリルクロリド,イソバレリルクロリド,ヘキサノイルクロリド,メチルヘキサノイルクロリド,2−エチルヘキサノイルクロリド,オクタノイルクロリド,デカノイルクロリド,ウンデカノイルクロリド,ヘキサデカノイルクロリド,オクタデカノイルクロリド,ヘンジルカルボニルクロリド,ジクロヘキサンカルボニルクロリド,マロニルジクロリド,スクシニルジクロリド,ペンタンジオレイルジクロリド,ヘキサンジオレイルジクロリド,ジクロヘキサンジカルボニルジクロリド,ベンゾイルクロリド,ベンゾイルブロミド,メチルベンゾイルクロリド,フタロイルクロリド,イソフタロイルクロリド,テレフタロイルクロリド,ベンゼン−1,2,4−トリカルボニルトリクロリド等の酸ハロゲン化物類、メチルエーテル,エチルエーテル,イソプロピルエーテル,n−ブチルエーテル,イソプロピルメチルエーテル,イソプロピルエチルエーテル,t−ブチルエチルエーテル,t−ブチル−n−プロピルエーテル,t−ブチル−n−ブチルエーテル,t−アミルメチルエーテル,t−アミルエチルエーテル,アミルエーテル,テトラヒドロフラン,アニソール,ジフェニルエーテル,エチレングリコールブチルエーテル等のエーテル類、酢酸アミド,安息香酸アミド,トルイル酸アミド等の酸アミド類、トリブチルアミン,N、N’−ジメチルピペラジン,トリベンジルアミン,アニリン,ピリジン,ピロリン,テトラメチルエチレンジアミン等のアミン類、アセトニトリル,ベンゾニトリル,トルニトリル等のニトリル類、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン),2,2’−アゾビス(2−エチルプロパン),2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)等のアゾ結合に立体障害置換基が結合してなるアゾ化合物等が挙げられる。
【0042】
これらの中で有機ケイ素化合物、エステル類,ケトン類,エーテル類,チオエーテル類,酸無水物,酸ハライド類が好ましく、特に、ジフェニルジメトキシシラン,フェニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン等の有機ケイ素化合物、ジ−n−ブチルフタレート,ジイソブチルフタレート等の芳香族ジカルボン酸ジエステル、安息香酸,p−メトキシ安息香酸,p−エトキシ安息香酸,トルイル酸等の芳香族モノカルボン酸のアルキルエステル等が好適である。これらの電子供与性化合物は一種だけで用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
触媒系の各成分の使用量については、(W)固体成分はチタン原子に換算して反応容積1リットル当たり、通常0.0005〜1モルの範囲になるような量が用いられる。また、(X)有機アルミニウム化合物は、アルミニウム/チタン原子の比が、通常1〜3000、好ましくは40〜800になるような量が用いられ、この量が前記範囲を逸脱すると触媒活性が不充分になるおそれがある。さらに、(Y)アルコキシ基含有芳香族化合物は(W)固体成分中のチタン原子に対するモル比が通常、0.01〜500、好ましくは1〜300になるような割合で用いられ、この量が0.01未満では生成ポリマーの物性が低下するおそれがあり、500を超えると触媒活性が不充分になるおそれがある。
【0044】
本発明における軟質ポリプロピレン系樹脂として、(a)成分のプロピレンの単独重合体及び/又は4重量%以下の他のオレフィン単位を含有する共重合体を用いる場合は、前記触媒系の存在下に、例えば一段重合法にてプロピレンの単独重合又はプロピレンと少量の他のオレフィンとを共重合させることにより、(a)成分の樹脂を製造すればよい。また、(a)成分の樹脂と(b)成分のプロピレン系共重合体とからなるものを用いる場合には例えば前記触媒系の存在下での多段重合において、まず最初の重合(第一段重合)で上記と同様にして(a)成分の樹脂を製造したのち、第二段以降でプロピレンと他のオレフィンとの共重合を行い、(b)成分のプロピレン系共重合体を製造すればよい。
【0045】
重合形式としては、特に制限はなく、スラリー重合,気相重合,バルク重合,溶液重合,懸濁重合等が用いられる。
気相重合により重合を行う場合、(a)成分の樹脂の製造又は製造段階については、重合圧力は通常10〜45kg/cm2 、好ましくは20〜30kg/cm2 、重合温度は通常40〜90℃、好ましくは60〜75℃の範囲で適宜選ばれる。また、(b)成分のプロピレン系共重合体の製造段階については、重合圧力は通常5〜30kg/cm2 、好ましくは10〜20kg/cm2 、重合温度は通常20〜90℃、好ましくは40〜60℃の範囲で適宜選ばれる。いずれの段階においても、重合体の分子量調節は、公知の手段、例えば、重合器中の水素濃度を調節することにより行うことができる。また、重合工程で比較的高分子量の(共)重合体を製造し、得られた(共)重合体を有機過酸化物の存在下に溶融混練することにより調節することもできる。重合時間は5分〜10時間程度で適宜選ばれる。
【0046】
重合に際しては、触媒系を構成する各成分、すなわち、(W)〜(Z)成分を所定の割合で混合し、接触させたのち、ただちに原料モノマーを導入し、重合を開始してもよいし、接触後0.2〜3時間程度熟成させたのち、原料モノマーを導入してもよい。さらに、この触媒成分は不活性溶媒や原料モノマーのオレフィン等に懸濁して供給することができる。
【0047】
重合後の後処理は常法により行うことができる。すなわち、気相重合法においては、重合後、重合器から導出されるポリマー粉体に、その中に含まれる未反応モノマー等を除くために、窒素気流等を通過させてもよい。また、所望に応じて押出機によりペレット化してもよく、その際、触媒を完全に失活させるために、少量の水、アルコール等を添加することもできる。また、バルク重合法においては、重合後、重合器から導出されるポリマーから完全に未反応モノマーを分離したのち、ペレット化することもできる。
【0048】
また、軟質ポリプロピレン系樹脂として、(a)成分と(b)成分とからなるものを用いる場合には、(a)成分の樹脂と(b)成分の樹脂とを別々に製造し、これらを公知の方法(例えば、ドライブレンド、溶液ブレンド又は混練)により、所定の割合でブレンドすることにより調製することもできる。
【0049】
〔2〕紫外線吸収剤
本発明に用いる紫外線吸収剤としては、
(A)2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール
(B)2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール
(C)式 (I)で表される化合物
【0050】
【化5】
【0051】
(R1 〜R8 は、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、アリール基若しくはアルコキシル基である。)
(D)式 (II) で表される化合物
【0052】
【化6】
【0053】
(R1 〜R3 は、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、アリール基若しくはアルコキシル基である。)
が挙げられ、前記紫外線吸収剤の中、(A)、(B)化合物はベンゾトリアゾール系化合物であり、他の多くのベンゾトリアゾール系化合物の中にあって本発明の効果を有する化合物の選択性が大きく、特に上記化合物が好適である。
【0054】
又、併用すれば有効であるベンゾトリアゾール系化合物に、以下の(E)と(F)の化合物が挙げられる。
(E)2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−〔(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕〕
(F)2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール
なお、(E)化合物と(F)化合物の併用比(重量比)は、1:9〜9:1で用いることが好ましい。
【0055】
又、(C)式 (I)で表される化合物にあっては、特に2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシフェニル)1,3,5−トリアジンが、(D)式 (II) で表される化合物にあっては、特に6−(2−ベンゾトリアゾリル)−4−t−オクチル−6’−t−ブチル−4’−メチル−2,2’−メチレンビスフェノールが好適である。
【0056】
ポリプロピレン系樹脂100重量部に前記(A)〜(D)から選択される1種若しくは2種以上の化合物、(E)と(F)の化合物2種併用、或いは(C)の式 (I)で表される化合物にあっては、特に2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシフェニル)1,3,5−トリアジンが、(D)の式 (II) で表される化合物にあっては、特に6−(2−ベンゾトリアゾリル)−4−t−オクチル−6’−t−ブチル−4’−メチル−2,2’−メチレンビスフェノール0.01〜5重量部、より好ましくは0.05〜2.5重量部、更により好ましくは0.25〜2.0重量部を配合して用いる。0.01重量部より少ないとこの樹脂を用いて成形したフイルム、シートおよびそれらの各種二次加工品は、耐侯劣化を防ぐことは難しく、5重量部より多いと添加量の増量効果が僅かとなるほか表面ブリードが生じやすい。
【0057】
本発明の目的を損なわない範囲で、用途に応じて他のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤を追加的に添加してもよい。
他のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラ−ヒドロフタルイミド・メチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル−3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2−(3,5−ジ−t−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノール等を挙げることができる。
【0058】
又、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、1,4−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)ブタンを挙げることができる。
又、ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート、1,1’−(1,2−エタンジイル)ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、(ミックスト2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(ミックスト1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジン/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジン)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕デカン−2,4−ジオン、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等を挙げることができる。
【0059】
〔3〕配合、成形
本発明のポリプロピレン樹脂に前記紫外線吸収剤及び所望に応じて用いられる他の紫外線吸収剤、フェノール系安定剤、有機ホスファイト系安定剤、チオエーテル系安定剤等各種添加剤、無機又は有機充てん剤,さらには帯電防止剤,塩素捕捉剤,アンチブロッキング剤,防曇剤,有機系難燃剤,難燃助剤,染料,顔料,天然油,合成油,ワックス等を配合することができる。配合する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、タンブラーブレンダー,ヘンシェルミキサー等で混合するか、又は混合後さらに単軸押出機や多軸押出機を用いて溶融混練造粒するか、あるいはニーダー,バンバリーミキサー等で溶融混練造粒することができる。また、前記紫外線吸収剤をポリプロピレン系樹脂に高濃度に練り込みマスターバッチとし、それを用いて所望の添加量となるようにポリプロピレン系樹脂と混合する方法であってもよい。
【0060】
また、本発明の軟質ポリプロピレン樹脂は、重合して得られたパウダーに過酸化物を添加し、押出機内で分解し低分子量化すると成形加工時の取扱が容易となる。この過酸化物により樹脂を分解し、低分子量化しても、その樹脂は、流動性が大きくなるのみで、上述したペンダッド分率、融解ピーク温度及び融解エンタルピーにはほとんど影響しない。過酸化物として、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、又は2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等を混合し、所望により、酸化防止剤,安定剤,塩素捕捉剤を添加するとよい。
【0061】
本発明においては、前記添加剤を配合したポリプロピレン系樹脂成形材料を用いてインフレーション成形法、キャスト成形法、カレンダー成形法等の公知の成形方法でフイルム、シートに成形することができる。
これらフイルム、シートは、更に印刷された基材との貼り合せや真空成形等の二次化工が施されて、化粧フイルム、プロテクトフイルム等各種最終成形品に仕上げられる。
【0062】
本発明のフイルム、シートは、フイルム、シートの仕掛かり在庫中、特に貼り合せ処理待ち、印刷待ち等の保管期間中、通常の室温条件下でも製品表面での添加剤ブリードによる外観不良を有効に防止することができる。
【0063】
【実施例】
本発明について、更に、実施例を用いて詳細に説明する。
〔実施例1〕
1.軟質プロピレン樹脂の製造
▲1▼マグネシウム化合物の調製
内容積約6リットルの撹拌機付きガラス製反応器を窒素ガスで充分に置換した後、これにエタノール約2,430g、ヨウ素16g及び金属マグネシウム160gを仕込み、撹拌しながら加熱して、還流条件下で系内からの水素ガスの発生がなくなるまで反応させ、固体状反応生成物を得た。この固体状反応生成物を含む反応液を減圧下乾燥させることによりマグネシウム化合物を得た。
【0064】
▲2▼ 固体触媒成分(W)の調製
窒素ガスで充分に置換した内容積5リットルのガラス製反応器に、上記▲1▼で得られたマグネシウム化合物(粉砕していないもの)160g,精製ヘプタン800ミリリットル,四塩化ケイ素24ミリリットル及びフタル酸ジエチル23ミリリットルを仕込み、系内を80℃に保ち、撹拌しながら四塩化チタン770ミリリットルを加えて110℃で2時間反応させた後、固体成分を分離して90℃の精製ヘプタンで洗浄した。さらに、四塩化チタン1,220ミリリットルを加え、110℃で2時間反応させた後、精製ヘプタンで充分に洗浄し、固体触媒成分(W)を得た。
【0065】
▲3▼ 気相重合
内容積200リットルの重合槽に、上記▲2▼で得られた固体触媒成分(W)6.0g/時間、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)0.2モル/時間、1−アリル−3,4−ジメトキシベンゼン(ADMB)0.006モル/時間、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CHMDMS)0.003モル/時間、プロピレン43kg/時間で供給し、70℃,28kg/cm2 Gで重合を行った。ポリマーの生成量は30kg/時間であった。
【0066】
この重合で得られたポリマーの極限粘度〔η〕(135℃,デカリン中)は、5.04デシリットル/gであった。
また、上記ポリマーの沸騰n−ヘプタン不溶成分量は88.2重量%であり、該沸騰n−ヘプタン不溶成分の〔η〕は5.42デシリットル/g、沸騰n−ヘプタン可溶成分の〔η〕は2.07デシリットル/gであった。
【0067】
一方、該ホモポリマーの13C−NMRスペクトルから算出したペンタッド分率rrrr/(1−mmmm)×100は24.2%であり、DSCにて測定した融解ピーク温度(Tm)は158.7℃、融解エンタルピー(ΔH)は80.7J/gであった。また、プロピレンの頭−尾間の結合に関する逆転結合はみられなかった。
【0068】
得られたパウダーに2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサンを混合し、これにさらに酸化防止剤,安定剤,塩素捕捉剤を添加して混合し、40mmφで押し出して、メルトインデックス(MI,230℃,2.16kgf)が2.5g/10分のペレットを得た。なお、上記ポリマーを過酸化物で分解して低分子量化したが、この低分子量化ポリマーにあっても、上述したペンダッド分率,融解ピーク温度及び融解エンタルピーに変化はなかった。
得られた樹脂の引張弾性率は、500MPaであった。
【0069】
2.フィルムの成形と評価
得られた軟質プロピレン樹脂のペレット100kgに対して、紫外線吸収剤2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(サイテックインダストリーズ社製 サイアソーブUV5411)1.1kgを配合して、40mmφTダイ押出機(成形温度:270℃)で厚み100μmのフィルムを成形した。フイルム単膜の紫外線透過率を島津製作所製自記分光光度計UV2400を用いて測定し、300nmの紫外線波長域での光線透過率が3%以下であった。
【0070】
ブリードの評価は、成形されたフイルムが夏場の倉庫内保管やラミネート工程におけるウレタン系接着剤の硬化工程における温度条件下で受ける熱量を想定して、試料フイルムを40℃ギヤオーブン中に240時間静置し、外観目視およびヘイズを測定する。
ヘイズ(曇価)の測定方法は、JIS−K−7105に準拠し、日本電色工業(株)製1001DPを使用する。Δヘイズは、未試験のフイルムと試験後のフイルムのヘイズの差である。
【0071】
外観目視は、目視によりフイルム外観を評価する。○:成形直後と変化なし。×:フイルム表面にブリードによる白化が認められる。
得られた結果は表1に示す。
【0072】
〔実施例2〕実施例1において、紫外線吸収剤を2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール(チバスペシヤルティケミカルズ社製 チヌビン571)に代えた以外は同様にフイルムサンプルを作成し、評価した。得られた結果は表1に示す。
〔実施例3〕実施例1において、紫外線吸収剤を2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシフェニル)1,3,5−トリアジン(サイテックインダストリーズ社製 サイアソーブUV1164)に代えた以外は同様にフイルムサンプルを作成し、評価した。得られた結果は表1に示す。
〔実施例4〕実施例1において、紫外線吸収剤を6−(2−ベンゾトリアゾリル)−4−t−オクチル−6’−t−ブチル−4’−メチル−2,2’−メチレンビスフェノール(城北化学工業社製 JAST−500)に代えた以外は同様にフイルムサンプルを作成し、評価した。得られた結果は表1に示す。
〔実施例5〕実施例1において、紫外線吸収剤を2,2’−メチレン−ビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−〔(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕〕(旭電化工業社製 アデカスタブLA31)と2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール(チバスペシヤルティケミカルズ社製 チヌビン234)をそれぞれ0.7kg、0.4kg併用したものに代えた以外は同様にフイルムサンプルを作成し、評価した。得られた結果は表1に示す。
〔実施例6〕実施例1において、紫外線吸収剤を2,2’−メチレン−ビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−〔(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕〕(旭電化工業社製 アデカスタブLA31)と2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール(チバスペシヤルティケミカルズ社製 チヌビン234)をそれぞれ0.4kg、0.7kg併用したものに代えた以外は同様にフイルムサンプルを作成し、評価した。得られた結果は表1に示す。
【0073】
〔比較例1〕実施例5において、紫外線吸収剤を2,2’−メチレン−ビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−〔(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕〕(旭電化工業社製 アデカスタブLA31)1.1kg単独に使用する以外は同様にフイルムサンプルを作成し、評価した。得られた結果は表1に示す。
〔比較例2〕実施例6において、紫外線吸収剤を2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール(チバスペシヤルティケミカルズ社製 チヌビン234)1.1kg単独に使用する以外は同様にフイルムサンプルを作成し、評価した。得られた結果は表1に示す。
〔比較例3〕実施例1において、紫外線吸収剤を2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(チバスペシヤルティケミカルズ社製 チヌビンP)に代えた以外は同様にフイルムサンプルを作成し、評価した。得られた結果は表1に示す。
【0074】
実施例1〜6では目視評価でブリードによる表面の外観変化は認められず、またヘイズの増加もない。比較例1〜3ではブリードによる外観変化(白化)が認められ、白化によってヘイズも増加する。特に比較例1、2のように、それぞれ単独の使用ではブリードによる外観の変化がおこる化合物でも実施例5、6のように併用すればブリードを無くすことができる。
【0075】
【表1】
【0076】
【発明の効果】
ポリプロピレン系樹脂に特定のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤ほかトリアジン系化合物、メチレンビスフェノール系化合物を添加して成形したフイルム、シートは、製品保存時(40℃、240時間に相当)のブリードによる表面外観を損なうことがなく良好である。
Claims (4)
- (イ)示差走査熱量分析計(DSC)にて測定した融解ピーク温度(Tm)が150℃以上、(ロ)引張弾性率が200〜700MPaであるポリプロピレン系樹脂100重量部に、下記(A)〜(D)から選択される1種又は2種以上の化合物を0.01〜5重量部添加し、フイルム又はシートを成形する、フイルム又はシートの添加剤ブリード防止方法。
(A)2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(B)2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール
(C)式(I)で表される化合物
(D)式(II)で表される化合物
- 前記ポリプロピレン系樹脂が(a)(イ)示差走査熱量分析計(DSC)にて測定した融解ピーク温度(Tm)が150℃以上、(ロ)引張弾性率が200〜700MPa、(ハ)同位体炭素核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)によるペンダット分率において、rrrr/(1−mmmm)×100が20〜60%、(ニ)示差走査熱量分析計(DSC)にて測定した融解エンタルピー(ΔH)が10〜100J/gであるプロピレンの単独重合体及び/又は4重量%以下の他のオレフィン単位を含有する共重合体100〜20重量%と(b)プロピレン以外のオレフィン単位10〜80重量%を含有するプロピレン系共重合体0〜80重量%とからなる、請求項1に記載のフイルム又はシートの添加剤ブリード防止方法。
- (イ)示差走査熱量分析計(DSC)にて測定した融解ピーク温度(Tm)が150℃以上、(ロ)引張弾性率が200〜700MPaであるポリプロピレン系樹脂100重量部に、下記(E)と(F)を併用して0.01〜5重量部添加し、フイルム又はシートを成形する、フイルム又はシートの添加剤ブリード防止方法。
(E)2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−〔(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕〕
(F)2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール - 前記ポリプロピレン系樹脂が(a)(イ)示差走査熱量分析計(DSC)にて測定した融解ピーク温度(Tm)が150℃以上、(ロ)引張弾性率が200〜700MPa、( ハ)同位体炭素核磁気共鳴スペクトル( 13 C−NMR)によるペンダット分率において、rrrr/(1−mmmm)×100が20〜60%、(ニ)示差走査熱量分析計(DSC)にて測定した融解エンタルピー(ΔH)が10〜100J/gであるプロピレンの単独重合体及び/又は4重量%以下の他のオレフィン単位を含有する共重合体100〜20重量%と(b)プロピレン以外のオレフィン単位10〜80重量%を含有するプロピレン系共重合体0〜80重量%とからなる、請求項3に記載のフイルム又はシートの添加剤ブリード防止方法。
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